【解決手段】束紙幣Wを並設状態で収納する束紙幣収納部と、束紙幣Wの並設方向に沿う第1の方向及び第1の方向とは反対の第2の方向に移動し、束紙幣Wの帯Tを検出して束紙幣Wの束数を計数するセンサ部122とを備え、センサ部122は、前記第1の方向と前記第2の方向とでは異なる経路で移動する。これにより、センサ部122が、束紙幣Wの帯Tを誤検出する可能性を低く抑えることができる。従って、束紙幣Wの束数の計数精度を高めることが可能となる。
前記センサ部は、所定のピッチで設けられた複数のセンサを有するセンサ基板を備え、前記第1の方向と前記第2の方向とでは、前記センサの配設ピッチの半分の長さずれて移動することを特徴とする請求項1又は2記載の束計数機構。
前記センサ部は、反射センサを有し、前記第1の方向への移動時に束紙幣を測定した往路データと、前記第2の方向への移動時に束紙幣を測定した復路データとに基づいて、束紙幣の帯を検出し、束紙幣の束数を計数することを特徴とする請求項1から6の何れか一項記載の束計数機構。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る一実施形態の束計数機構及びそれを用いた紙幣処理装置を図面を参照して以下に説明する。
【0026】
[構成]
本実施形態の紙幣処理装置は、束紙幣である小束紙幣(以下、小束と称す)を入出金するものである。以下の説明において、「前」は操作者側、「後」は操作者とは反対側、「右」は操作者から見て右側、「左」は操作者から見て左側である。
【0027】
図1に示すように、紙幣処理装置11は、小束入出金部12と、小束搬送部13と、小束識別部14と、複数の金種別の小束収納部15(束紙幣収納部)と、1つの小束カセット16と、紙幣処理装置11の全体を制御する制御部20とを備えている。
【0028】
小束入出金部12は、紙幣処理装置11の前端上部に外部に臨んで設けられており、外部から小束Wが装填される。小束Wは、同じ金種の100枚のバラ紙幣(以下、紙幣と称す)Sを表側の面が厚さ方向の同側に向くように集積させて帯Tで結束したものである。帯Tは、紙幣Sの短辺方向に延びるようにして長辺方向の中央よりも一側に偏った所定の位置に巻回されている。
【0029】
小束入出金部12には、小束Wが、紙幣Sの短辺方向を前後方向に沿わせ、長辺方向を左右に沿わせた状態で装填される。ここで、小束Wは、予め設定された所定の側に帯Tが配置され、上面が予め設定された所定の紙幣Sの面となる向きで、小束入出金部12に装填されることがルール化されている。具体的に、小束Wは、全て、左側に帯Tが配置され、上面が紙幣Sの表側の面となる向きで、小束入出金部12に装填されることがルール化されている。小束カセット16への小束Wの外部からの装填時も同様である。
【0030】
小束入出金部12に複数装填される場合、小束Wは、上下に積み重ねられた状態で装填される。小束入出金部12は、外部から装填された小束Wを載置させる入出金ステージ21を有している。入出金ステージ21は上下に昇降可能となっており、小束入出金部12は、入出金ステージ21上の小束Wを最上部のものから1束ずつ後方に繰り出し可能となっている。
【0031】
小束入出金部12の後側には、小束Wを前後方向に往復搬送する小束搬送部13が設けられている。小束搬送部13は、小束Wを搬送方向に直列状に並べて搬送する。小束搬送部13は、小束入出金部12から1束ずつ繰り出されてくる小束Wを受け取って後方に搬送する。
【0032】
小束入出金部12は、小束搬送部13で搬送されてきた小束Wを入出金ステージ21上に積み重ねて載置させる。小束入出金部12は、入出金ステージ21が上昇することで、入出金ステージ21上の小束Wが外部に取り出し可能となる。
【0033】
小束搬送部13の下側には、前側に小束カセット16が設けられており、小束カセット16よりも後側に小束識別部14が設けられている。また、小束搬送部13の下側には、小束識別部14よりも後側に金種別の複数、具体的には4つの小束収納部15が前後方向に並んで設けられている。小束カセット16は紙幣処理装置11の筐体25に対し着脱可能であり、金種別の小束収納部15は筐体25に対し位置固定で着脱不可に設けられている。
【0034】
小束カセット16は、小束Wを、その紙幣Sの短辺方向を前後方向に沿わせ、長辺方向を左右に沿わせた状態で収納する。小束カセット16に複数収納される場合、小束Wは、上下に積み重ねられた状態で収納される。小束カセット16は、上下方向に延びる角筒状をなして小束Wを収納するカセット本体41と、カセット本体41内に収納される小束Wを載置させるカセットステージ42と、カセット本体41の上端部に設けられた開閉可能なカセットフラッパ43とを有している。
【0035】
小束カセット16は、小束搬送部13で搬送されてきた小束Wを、カセットフラッパ43が開いた状態でカセットステージ42上、或いはカセットステージ42上に既に積み重ねられている小束Wの上に載置させる。カセットステージ42は上下に昇降可能となっている。小束カセット16は、カセット本体41内のカセットステージ42とカセットフラッパ43との間に小束Wを収納する。
【0036】
小束カセット16は、カセットフラッパ43が開いた状態でカセットステージ42が上昇することで、小束搬送部13に小束Wを、カセットステージ42上に載置されている最上部の小束Wから受け渡す。小束カセット16のカセットフラッパ43を閉じた状態で、小束搬送部13は、小束Wを小束カセット16に収納することなく、小束カセット16のカセットフラッパ43上で前後に移動させる。
【0037】
金種別の小束収納部15は、小束Wを上下方向に並設状態、即ち積層状態で収納するものであり、何れも同様の構造である。小束収納部15は、小束Wを、その紙幣Sの短辺方向を前後方向に沿わせ、長辺方向を左右に沿わせた状態で収納する。小束収納部15に複数収納される場合、小束Wは、上下に積み重ねられた状態で収納される。小束収納部15は、上下方向に延びる角筒状をなして小束Wを収納する収納部本体51と、収納部本体51内に収納される小束Wを載置させる収納部ステージ52と、収納部本体51の上端部に設けられた開閉可能な収納部フラッパ53とを有している。
【0038】
小束収納部15は、小束搬送部13で搬送されてきた小束Wを、収納部フラッパ53が開いた状態で収納部ステージ52上、或いは収納部ステージ52上に既に積み重ねられている小束Wの上に載置させる。収納部ステージ52は上下に昇降可能となっている。小束収納部15は、収納部本体51内の収納部ステージ52と収納部フラッパ53との間に小束Wを収納する。
【0039】
小束収納部15は、収納部フラッパ53が開いた状態で収納部ステージ52が上昇することで、小束搬送部13に小束Wを、収納部ステージ52上に載置されている最上部の小束Wから受け渡す。小束収納部15の収納部フラッパ53を閉じた状態で、小束搬送部13は、小束Wをこの小束収納部15に収納することなく、この小束収納部15の収納部フラッパ53上で前後に移動させる。
【0040】
小束識別部14は、隣り合う小束カセット16と小束収納部15との間で小束搬送部13によって搬送される小束Wの画像を識別して金種等を判別する。
【0041】
このような紙幣処理装置11は、小束Wを出金する際には、金種別の小束収納部15から指定金種の小束Wを1束ずつ小束搬送部13に受け渡し、小束搬送部13で小束入出金部12に向けて搬送する。即ち、小束Wを出金する小束収納部15が、収納部フラッパ53を開き、収納部ステージ52を上昇させて収納部ステージ52上の最上部の小束Wから順に小束搬送部13に受け渡し、小束搬送部13が受け取った小束Wを小束入出金部12に向けて搬送する。
【0042】
そして、小束搬送部13によって搬送されている小束Wが小束識別部14上を通過する際に、小束識別部14がその画像を識別し金種を判別する。小束識別部14の小束Wに対する判別結果が、指定金種の場合には、この小束Wを小束搬送部13で更に小束入出金部12に向け搬送して小束入出金部12に押し出す。小束入出金部12では、このように小束搬送部13から押し出された小束Wを、入出金ステージ21上、或いは入出金ステージ21上に既に載置されている小束W上に載置させることになる。
【0043】
その一方で、小束識別部14の判別結果が、指定金種と異なる場合及び金種を判断できない場合には、その小束Wを小束カセット16に搬送し収納する、又は、エラー停止する。小束カセット16に搬送し収納する場合、小束カセット16がカセットフラッパ43を開いてカセットステージ42を上昇させることにより、小束搬送部13からの小束Wを、カセットステージ42上、或いはカセットステージ42上に既に載置されている小束W上に載置させることになる。
【0044】
そして、小束入出金部12は、所定数の小束Wを受け入れると、入出金ステージ21を上昇させて入出金ステージ21上の小束Wを外部に取り出し可能とすることになり、入出金ステージ21上の小束Wを操作者が取り出す。
【0045】
また、小束入出金部12から小束Wを入金する際に、操作者は、先ず、小束入出金部12に小束Wをセットする。この際に、小束Wを、その長手方向と紙幣処理装置11の幅方向(左右方向)とを揃え、複数ある場合には上下方向に積み重なるようにして、小束入出金部12の入出金ステージ21上にセットする。すると、入出金ステージ21が下降して、小束入出金部12は、セットされた小束Wを最上部のものから1束ずつ小束搬送部13に向けて押し出し、小束搬送部13が小束収納部15に向けて搬送する。即ち、小束入出金部12が入出金ステージ21上の最上部の小束Wから順に小束搬送部13に受け渡し、小束搬送部13が受け取った小束Wを小束収納部15に向けて搬送する。
【0046】
そして、小束搬送部13によって搬送されている小束Wが小束識別部14上を通過する際に、小束識別部14がその画像を識別し、金種、帯Tの向き、紙幣Sの表裏を判別する。この判別結果から、この小束Wが、金種が判別可能であって、予め設定された所定の側である左側に帯Tがあり、搬送されている際の下面が予め設定された所定の紙幣Sの面である裏側の面である場合には、この小束Wを、その金種を収納している小束収納部15に収納する。
【0047】
この小束収納部15では、小束搬送部13からの小束Wを、収納部フラッパ53が開いて、収納部ステージ52上、或いは収納部ステージ52上に既に載置されている小束W上に載置させることになる。よって、小束入出金部12から小束収納部15に収納される小束Wは、予め設定された所定の側である左側に帯Tがあり、下面が予め設定された所定の紙幣Sの面である裏側の面である向きで収納されることになる。
【0048】
その一方で、小束識別部14の判別結果から、小束Wが、左側に帯Tがない場合と、搬送されている際の下面が紙幣の裏側の面でない場合とについては、この小束Wを小束搬送部13によって小束入出金部12に戻す。更に、金種が判別できない場合には、その小束Wを小束搬送部13によって小束入出金部12に戻す、又は、エラー停止する。
【0049】
また、外部で小束カセット16に装填された小束Wを小束カセット16から入金する際には、先ず、操作者が、小束Wが装填された小束カセット16を筐体25内のカセットハウジング(不図示)にセットする。すると、小束カセット16が小束Wを小束搬送部13に受け渡し、小束搬送部13が受け取った小束Wを小束収納部15に向けて搬送する。即ち、小束カセット16が、カセットフラッパ43を開き、カセットステージ42を上昇させてカセットステージ42上の最上部の小束Wから順に小束搬送部13に受け渡し、小束搬送部13が受け取った小束Wを小束収納部15に向けて搬送する。
【0050】
そして、小束搬送部13によって搬送されている小束Wが小束識別部14上を通過する際に、小束識別部14が、その画像を識別し、金種、帯Tの向き、紙幣Sの表裏を判別する。この判別結果から、この小束Wが、金種が判別可能であって、予め設定された所定の側である左側に帯Tがあり、搬送されている際の下面が予め設定された所定の紙幣Sの面である裏側の面である場合には、その小束Wを、その金種を収納している小束収納部15に収納する。
【0051】
この小束収納部15では、小束搬送部13からの小束Wを、収納部フラッパ53を開いて、収納部ステージ52上、或いは収納部ステージ52上に既に載置されている小束W上に載置させることになる。よって、小束カセット16から小束収納部15に収納される小束Wは、予め設定された所定の側である左側に帯Tがあり、下面が予め設定された所定の紙幣Sの面である裏側の面である向きで収納されることになる。
【0052】
その一方で、小束識別部14の判別結果から、小束Wが、左側に帯Tがない場合と、搬送されている際の下面が紙幣Sの裏側の面でない場合と、金種が判別できない場合とについては、エラー停止する。
【0053】
小束カセット16は、このように紙幣処理装置11の外部で装填された小束Wを筐体25にセットされた状態で小束収納部15に補充する以外にも、小束収納部15の小束Wを外部に回収する場合に、小束収納部15から繰り出され小束搬送部13で搬送されてきた小束Wを収納し、この状態で筐体25から取り外される。
【0054】
小束収納部15に収納される小束Wは、小束入出金部12から入金される小束Wと、小束カセット16から補充される小束Wとであり、よって、小束収納部15に収納される小束Wは、基本的に、予め設定された所定の側である左側に帯Tがあり、下面が予め設定された所定の紙幣Sの面である裏側の面である向きで収納されることになる。
【0055】
ここで、帯Tには、
図2に示すように、その幅方向の中央に、柄、ロゴ、会社名等が印刷されたものが使用されることがある。つまり、この種の帯Tは、その幅方向の中央に、柄、ロゴ、会社名等が長手方向に所定の間隔で又は連続的に印刷された印刷領域a1を有しており、帯Tの幅方向における印刷領域a1の両側に、何も印刷されていない非印刷領域a2を有している。
【0056】
紙幣処理装置11は、上述したように小束収納部15に対して小束Wの入出金が行われると、各小束収納部15内の小束Wの束数を計数することになる。このため、
図3に示すように、小束収納部15は、収納部本体51内の小束Wの束数を計数する束計数機構61を有している。束計数機構61は、全ての小束収納部15のそれぞれの後部に設けられており、全て同様の構成となっている。
【0057】
小束収納部15は、その収納部本体51の後面を構成する後板部71に、収納している小束Wの帯T及びその周辺の束側面fを収納部本体51から後方に露出させる開口部72が形成されている。ここで、小束収納部15に収納されている小束Wは、上述したように、左側に帯Tがある向きとなっている。このため、小束Wの帯Tを露出させる開口部72も、後板部71の左右方向の中央よりも左側にずれて形成されている。開口部72は、後板部71の上下方向の両端部を除くほぼ全範囲に連続して形成されている。
【0058】
束計数機構61は、小束収納部15内に収納された小束Wの並設方向、即ち積層方向である上下方向に往復移動し、小束Wの帯Tを検出して小束収納部15内の小束Wの束数を計数する束計数センサ部81と、
図4及び
図5に示すように、束計数センサ部81を昇降駆動するセンサ駆動部82とを有している。
【0059】
図4に示すように、センサ駆動部82は、収納部本体51の左側面側に配置されている。センサ駆動部82は、駆動ベース部90とセンサ搬送部91と基端センサガイド部92とを有している。駆動ベース部90は、位置固定で収納部本体51の左側面を覆うように収納部本体51及び筐体25の何れかに取り付けられている。
【0060】
センサ搬送部91は、収納部本体51の左側面の左方の上部に回転可能に設けられるプーリ101と、収納部本体51の左側面の左方の下部に回転可能に設けられるプーリ102と、これら一対のプーリ101,102に巻回される無端ベルト103とを有している。
【0061】
上部のプーリ101は、前後方向に回転中心軸を配置した状態で、位置固定となるように、上部の固定部106を介して、駆動ベース部90、収納部本体51及び筐体25の何れかに取り付けられている。下部のプーリ102は、前後方向に回転中心軸を配置した状態で、位置固定となるように、下部の固定部107を介して、駆動ベース部90、収納部本体51及び筐体25の何れかに取り付けられている。プーリ101,102は、前後左右の位置を合わせて上下に離間して配置されている。
【0062】
センサ駆動部82は、プーリ101,102の何れか一方を駆動するセンサ駆動モータ(不図示)を有しており、このセンサ駆動モータがプーリ101,102の何れか一方を回転させることで、無端ベルト103及びプーリ101,102の何れか他方が回転する。
【0063】
基端センサガイド部92は、棒状の部材であって、センサ搬送部91の後側に、上下方向に延在するように設けられている。基端センサガイド部92は、位置固定となるように、上部の固定部106及び下部の固定部107を介して、駆動ベース部90、収納部本体51及び筐体25の何れかに取り付けられている。
【0064】
このようなセンサ駆動部82のセンサ搬送部91の無端ベルト103に、束計数センサ部81が固定されている。この束計数センサ部81は、基端センサガイド部92に摺動可能に支持されている。これにより、センサ搬送部91の無端ベルト103が一方向に回転すると、これに連動し同期して束計数センサ部81が基端センサガイド部92に案内されて上昇することになり、無端ベルト103が他方向に回転すると、これに連動し同期して束計数センサ部81が基端センサガイド部92に案内されて下降することになる。
【0065】
収納部本体51の後板部71の後面には、開口部72よりも右側に上下方向に延在するガイド溝形成部材111が取り付けられている。ガイド溝形成部材111は、収納部本体51の後板部71とで上下方向に延在するガイド溝112を形成している。このガイド溝112は開口部72側、即ち左方に開口している。
【0066】
束計数センサ部81は、基端センサガイド部92に摺動可能に支持され、センサ搬送部91の無端ベルト103に取り付けられるベース部121と、収納部本体51の後板部71に形成された開口部72と対向するように、収納部本体51の後板部71の直ぐ後に設けられるセンサ部122とを有している。
図5、
図6及び
図7に示すように、ベース部121は、支持部131と支持ベース132と先端ガイド係合部133とを有しており、センサ部122は、可動ブラケット141と、センサ基板142とを有している。
【0067】
図6に示すように、ベース部121の支持部131には、挿通孔151が形成されている。この挿通孔151に、
図4に示すセンサ駆動部82の基端センサガイド部92が挿通される。これにより、束計数センサ部81は、上記したように基端センサガイド部92に沿って上下に摺動する。言い換えれば、
図6に示すように、基端センサガイド部92は、束計数センサ部81の支持部131の挿通孔151に挿通されることにより、束計数センサ部81を摺動可能に支持している。
【0068】
図6及び
図7に示すように、支持部131には、駆動接続部152が設けられている。この駆動接続部152が、
図4に示すようにセンサ駆動部82の無端ベルト103に接続されて固定される。これにより、束計数センサ部81は、無端ベルト103が一方向に回転するのに連動して、支持部131が基端センサガイド部92に沿って一方、例えば上方に摺動し、他方向に回転するのに連動して、支持部131が基端センサガイド部92に沿って他方、例えば下方に摺動する。即ち、支持部131を含むベース部121は、上方向及び下方向のうちの何れか一方向(第1の方向)と、これとは反対の上方向及び下方向のうちの何れか他方向(第2の方向)とに移動する。
【0069】
図6及び
図7に示すように、ベース部121の支持ベース132は、支持部131に固定されており、支持部131から駆動接続部152とは反対方向に延出している。よって、支持ベース132は支持部131側が基端側となり、支持部131とは反対側が先端側となる。支持ベース132を含む束計数センサ部81も、支持部131側が基端側となり、支持部131とは反対側が先端側となる。支持ベース132の先端部に、更に先に向けて凸状となるように先端ガイド係合部133が設けられている。支持ベース132には、左右方向に長い長穴161が左右方向に離間して2箇所形成されている。支持ベース132の下部の基端側には、上方に凹む規制部162が形成されている。
【0070】
図4に示すように、支持部131が基端センサガイド部92に支持され無端ベルト103に接続された状態で、センサ部122は、収納部本体51の後板部71の開口部72に対向するように右方に延出する。このとき、センサ部122は、その先端ガイド係合部133が、収納部本体51の後板部71とガイド溝形成部材111とで形成されたガイド溝112に係合されている。
【0071】
束計数センサ部81は、上記したように基端側の支持部131が基端センサガイド部92で案内されて上下に移動することになるが、その際に、先端側の先端ガイド係合部133がガイド溝112で案内されて上下に移動することになる。これにより、束計数センサ部81が上下に摺動する際に、束計数センサ部81の基端側及び先端部が前後方向及び左右方向に振れることを防止する。
【0072】
図6及び
図7に示すように、センサ部122の可動ブラケット141は、支持ベース132の後側に配置される可動ブラケット本体171と、可動ブラケット本体171に取り付けられて支持ベース132の2箇所の長穴161に摺動可能に嵌合する2本のガイドピン172とを有している。可動ブラケット141は、ガイドピン172が長穴161を摺動することで、支持ベース132、即ちベース部121に対して摺動する。
【0073】
図6に示すように、可動ブラケット141は、可動ブラケット本体171から前方に延出して支持ベース132の規制部162内に配置される支持ピン175と、支持ピン175の前端部に回転自在に支持されるガイドローラ176とを有している。可動ブラケット141は、支持ピン175が規制部162に当接することで摺動範囲が規制される。言い換えれば、支持ベース132には、可動ブラケット141の移動を規制する規制部162が設けられている。
【0074】
図7に示すように、センサ部122の可動ブラケット本体171と、ベース部121の支持ベース132とには、2位置で係合可能な係合部181が、左右方向に離間して2組設けられている。係合部181は、支持ベース132に設けられた凹状の第1ベース側センサ固定部182及び第2ベース側センサ固定部183と、可動ブラケット本体171に設けられた、これら第1ベース側センサ固定部182及び第2ベース側センサ固定部183に選択的に係合する1つの凸状のブラケット側センサ固定部184とを有している。
【0075】
第1ベース側センサ固定部182及び第2ベース側センサ固定部183は、可動ブラケット本体171の支持ベース132に対する摺動方向に並んでおり、第1ベース側センサ固定部182は、第2ベース側センサ固定部183よりも支持部131側、即ち支持ベース132の基端側に配置されている。
【0076】
図7(A)に示すように、ブラケット側センサ固定部184が第1ベース側センサ固定部182に係合する位置を、センサ部122のベース部121に対する幅方向定位置とし、
図7(B)に示すように、ブラケット側センサ固定部184が第2ベース側センサ固定部183に係合する位置を、センサ部122のベース部121に対する幅寄せ位置とする。幅方向定位置にあるセンサ部122は、幅寄せ位置にあるセンサ部122よりも支持部131との距離が短くなっている。
【0077】
係合部181を設けることにより、束計数センサ部81が上下に摺動する際に、可動ブラケット141を含むセンサ部122がベース部121に対して上下方向及び左右方向に振れることを防止する。なお、上記とは逆に、ベース側センサ固定部を1つ凸状に、ブラケット側センサ固定部を2箇所凹状に設けて、センサ部122がベース部121に対し幅方向定位置と幅寄せ位置との2箇所で係合するようにしても良い。
【0078】
図6に示すように、センサ基板142は、可動ブラケット141の可動ブラケット本体171にその後側に配置されて固定されるセンサ基板本体191と、センサ基板本体191の前面に取り付けられる反射センサ192(センサ)とを有している。反射センサ192は、複数、具体的には8つが、上下前後の位置を合わせ、所定の等ピッチで左右方向に並んで設けられている。言い換えれば、センサ部122は、所定のピッチで設けられた複数の反射センサ192を有するセンサ基板142を備えている。
【0079】
複数の反射センサ192は、何れも可動ブラケット141及び支持ベース132で前方が覆われることがないように、これらよりも上側に配置されている。全ての反射センサ192は、
図4に示す収納部本体51の開口部72の左右方向及び上下方向の範囲内に配置されている。そして、全ての反射センサ192は、
図3に示すように収納部本体51に収納されている小束Wの帯T或いは帯Tの近傍の束側面fに対向することになる。センサ基板142は、筐体25に取り付けられた中継基板145にテープ状の変形容易な配線部146を介して通信可能に接続されている。
【0080】
図7に示すように、反射センサ192は、具体的に、発光素子であるLED等で発光した光の対象物からの反射光を受光素子で検出するもので、横方向に等ピッチで8つ搭載されている。これにより、小束Wの後面である束側面fの帯T及び帯Tが巻いてある周辺をスキャン(測定)することができる。
【0081】
ここでは、
図8に示すように、左右方向の内側の幅がL1である収納部本体51内に収納される紙幣が、小束Wのうち最小の幅L2である千円札の小束Wの場合、L3動く可能性がある。帯Tの幅方向の中央位置は小束Wの幅方向の帯T側の端からL4であり、帯幅L5で、帯ずれを左右にL6ずつ許容するようにしている。よって、帯Tの幅方向の中央から帯ずれ最大位置までの距離L7、帯Tから小束Wの幅方向の帯T側の端までの取り得る最小距離L8、帯Tから小束Wの幅方向の帯T側の端までの取り得る最大距離L9、収納部本体51の幅方向の帯T側の内端と帯Tとの取り得る最大距離L10となる。このような条件で、千円札の小束Wが、収納部本体51の帯T側の端にある場合でも、帯Tとは反対側の端にある場合でも、帯幅L5が必ず見られるようにするには、L0(L10−L8)のセンサ幅が必要となる。
【0082】
図9に示すように、センサ駆動部82の駆動ベース部90には、その上部に、上方向に移動し最大上昇位置近傍の所定位置に位置する束計数センサ部81のガイドローラ176と当接してガイドローラ176を
図10(A)及び
図10(B)から
図10(C)に示すように右側に移動させ、センサ部122の走行位置を幅方向定位置から幅寄せ位置にずらす第1の幅寄せガイド部201が一体に設けられている。第1の幅寄せガイド部201は、その下縁部が上側ほど右側に位置するように傾斜している。
【0083】
図10(A)及び
図10(B)に示すように、センサ部122が幅方向定位置にあって、ブラケット側センサ固定部184が第1ベース側センサ固定部182に係合している状態で、束計数センサ部81がセンサ駆動部82のセンサ搬送部91で駆動されて上昇し、ガイドローラ176が第1の幅寄せガイド部201の下縁部に当接して更に上昇すると、
図10(C)に示すように、第1の幅寄せガイド部201の下縁部の傾斜によって、ガイドローラ176が右方向の力を受けて、センサ部122がベース部121の支持ベース132に対し右方向に摺動する。このとき、第1の幅寄せガイド部201の左右方向の長さにより、センサ部122は、ブラケット側センサ固定部184を第2ベース側センサ固定部183に係合させて幅寄せ位置で停止する。言い換えれば、第1の幅寄せガイド部201は、上方向に移動するセンサ部122の経路を末端位置近傍の所定位置で幅方向定位置から幅寄せ位置にずらす。
【0084】
図11(B)、
図11(C)及び
図12に示すように、センサ駆動部82の駆動ベース部90には、その下部に、下方向に移動し最大下降位置近傍の所定位置に位置する束計数センサ部81のガイドローラ176と当接してガイドローラ176を
図11(A)及び
図11(B)から
図11(C)に示すように左側に移動させ、センサ部122の走行位置を幅寄せ位置から幅方向定位置にずらす第2の幅寄せガイド部202が設けられている。第2の幅寄せガイド部202は、その上縁部が下側ほど左側に位置するように傾斜している。第2の幅寄せガイド部202は、位置固定となるように、駆動ベース部90に設けられている。
【0085】
図11(A)及び
図11(B)に示すように、センサ部122が幅寄せ位置にあって、ブラケット側センサ固定部184が第2ベース側センサ固定部183に係合している状態で、束計数センサ部81がセンサ駆動部82のセンサ搬送部91で駆動されて下降し、ガイドローラ176が第2の幅寄せガイド部202の上縁部に当接して更に下降すると、
図11(C)に示すように、第2の幅寄せガイド部202の上縁部の傾斜によって、ガイドローラ176が左方向の力を受けてセンサ部122がベース部121の支持ベース132に対し左方向に摺動する。このとき、第2の幅寄せガイド部202の左右方向の長さにより、センサ部122はブラケット側センサ固定部184を第1ベース側センサ固定部182に係合させて幅方向定位置で停止する。言い換えれば、第2の幅寄せガイド部202は、下方向に移動するセンサ部122の経路を末端位置近傍の所定位置で幅寄せ位置から幅方向定位置に戻す。
【0086】
以上により、センサ部122は、
図7(A)に示す幅方向定位置から
図7(B)に示すように支持ベース132に対しその先端側に摺動させられると、走行位置を幅寄せ位置にずらすことになる。ここでは、センサ部122の反射センサ192の並設方向に対して支持ベース132の先端側に、反射センサ192の配設ピッチPの半分のP/2ずらすことができるように設けられている。また、センサ部122は、
図7(B)に示す幅寄せ位置から
図7(A)に示すように支持ベース132に対しその基端側に摺動させられると、走行位置を幅方向定位置にずらす、即ち元に戻すことになる。
【0087】
以上のように、センサ部122は、小束Wを並設状態で収納する小束収納部15における小束Wの並設方向である上方向と下方向とでは異なる経路で移動することになり、上方向と下方向とでは、帯Tの幅方向に、反射センサ192の配設ピッチPの半分の長さP/2だけずれて移動することになる。
【0088】
[動作]
束計数機構61によって小束収納部15内の小束Wの束数を計数する際に、制御部20は、先ず、束計数センサ部81を、
図9(A)及び
図10(A)に示すような最大下降位置(高さ方向定位置)にある待機状態から、センサ駆動部82によって、
図9(B)に示すように、上昇させつつ、束計数センサ部81の反射センサ192によって小束Wの帯T及びその周辺の束側面fをスキャン、即ち光の反射量を測定させる往路測定処理を行う。この際、
図10(A)に示すように、束計数センサ部81の可動ブラケット141を含むセンサ部122が支持ベース132の基端側に幅寄せされた幅方向定位置に位置し、センサ部122は幅方向定位置を走行する。このとき、係合部181は、ブラケット側センサ固定部184が第1ベース側センサ固定部182に係合する状態に維持される。
【0089】
そして、
図10(B)に示すように、束計数センサ部81のセンサ部122が、小束収納部15内に積み重ねられた全ての小束Wを抜けた後に、更に上昇して最大上昇位置近傍の所定位置に位置すると、
図10(C)に示すように、センサ部122の可動ブラケット141のガイドローラ176が第1の幅寄せガイド部201と接触して支持ベース132の先端側に移動し、それと一体に、センサ部122のセンサ基板142が支持ベース132の先端側に摺動する。すると、束計数センサ部81のセンサ部122は、反射センサ192の配設ピッチPの半分の長さP/2だけ支持ベース132の先端側にずらされ、幅方向定位置から幅寄せ位置に配置される。このとき、係合部181は、ブラケット側センサ固定部184が第2ベース側センサ固定部183に係合する状態になる。
【0090】
その後、束計数センサ部81がセンサ駆動部82又は小束収納部15の収納部本体51に設けられた最大上昇位置検知センサ(不図示)によって検知されるまで上昇すると、これに基づいて、制御部20は、束計数センサ部81を上端の最大上昇位置で停止させて往路測定処理を終了する。
【0091】
次いで、制御部20は、
図11(A)に示すように、束計数センサ部81のセンサ部122が幅寄せ位置に設けられた状態で、束計数センサ部81を、最大上昇位置から、センサ駆動部82によって、
図12に示すように、下降させつつ、反射センサ192によって小束Wの帯T及びその周辺の束側面fをスキャン、即ち光の反射量を測定させる復路測定処理を行う。つまり、束計数センサ部81のセンサ部122は幅方向定位置ではなく幅寄せ位置を走行する。このとき、
図11(A)及び
図11(B)に示すように、係合部181は、ブラケット側センサ固定部184が第2ベース側センサ固定部183に係合する状態に維持される。
【0092】
そして、
図11(B)に示すように、束計数センサ部81のセンサ部122が、小束収納部15内に積み重ねられた全ての小束Wを抜けた後に、更に下降して最大下降位置近傍の所定位置に位置すると、
図11(C)に示すように、センサ部122の可動ブラケット141のガイドローラ176が、第2の幅寄せガイド部202と接触して支持ベース132に対しその基端側に移動し、それと一体に、センサ部122のセンサ基板142が支持ベース132に対しその基端側に摺動する。すると、束計数センサ部81のセンサ部122は、反射センサ192の配設ピッチPの半分の長さP/2だけ支持ベース132の基端側にずらされ、幅寄せ位置から幅方向定位置に配置される。このとき、係合部181は、ブラケット側センサ固定部184が第1ベース側センサ固定部182に係合する状態になる。
【0093】
その後、束計数センサ部81がセンサ駆動部82又は小束収納部15の収納部本体51に設けられた最大下降位置検知センサ(不図示)によって検知されるまで下降すると、これに基づいて、制御部20は、束計数センサ部81を最大下降位置(高さ方向定位置)で停止させて復路測定処理を終了する。
【0094】
以上のようにして、束計数機構61は、束計数センサ部81のセンサ部122の走行位置を、
図13(A)に示すように、最大下降位置(高さ方向定位置)から最大上昇位置手前まで移動させる往路時と、
図13(B)に示すように、その後の最大上昇位置から最大下降位置手前まで移動させる復路時とで、反射センサ192の配設ピッチPの半分であるP/2だけずらして、小束Wの帯T及びその周辺の束側面fの光の反射量をセンサ部122の複数の反射センサ192で測定する。
【0095】
次いで、制御部20は、
図14(A)及び
図14(B)に示すような、センサ部122の8個の反射センサ192の出力を、反射センサ192の並設方向を横軸、小束収納部15の上下方向を縦軸として、並べて、小束収納部15内の濃淡データを作成する。なお、
図14(A)は、小束収納部15に収納されている複数の小束Wに対する往路時のデータであり、
図14(B)は、同じ複数の小束Wに対する復路時のデータであって、何れも40個の小束Wが小束収納部15に設けられている場合を示している。
【0096】
次いで、制御部20は、小束収納部15内の濃淡データから、小束Wの帯Tを検出し、小束収納部15内の小束Wの束数を計数する。即ち、センサ部122は、束計数センサ部81の上方向への移動時に小束Wを測定した往路データと、束計数センサ部81の下方向への移動時に小束Wを測定した復路データとに基づいて、小束Wの帯Tを検出し、小束Wの束数を計数する。
【0097】
第1の計数方法としては、往路時のデータと復路時のデータとでそれぞれ反射センサ192の横方向(行毎)の8個の濃淡の平均を算出し、平均よりも薄い(白い)濃淡と、算出した平均濃淡との濃淡の差を算出する。そして、その濃淡の差が所定以上ある場合は、その薄い(白い)濃淡の箇所は、帯Tの非印刷領域a2と判断する。そして、往路時と復路時とのうちのどちらか一方でも帯Tの非印刷領域a2があると判断された場合には、その位置には、小束Wの帯Tがあり、小束Wがあると判断する。その一方で、往路時と復路時との何れでもその濃淡の差が所定以上無い場合は、その位置には、小束Wの帯T、即ち小束Wが無いと判断する。そして、小束Wの帯T、即ち小束Wがあると判断された行数から小束収納部15内の小束Wの束数を算出する。
【0098】
例えば、
図14(A)及び
図14(B)のように、往路時の上から2行目(段目)以外は濃淡の差が所定以上有る場合、往路時の上から2行目は濃淡の差が所定以上無いが、復路時の上から2行目には濃淡の差が所定以上有るので、この上から2行目の位置には小束Wの帯Tが有り、小束Wが有ると判断する。そして、上から2行目以外は濃淡の差が所定以上有るので、これらの位置にも小束Wの帯Tが有り、小束Wが有ると判断する。従って、小束Wの帯T、即ち小束Wがあると判断される行数が40行あることになり、この小束収納部15内には小束Wが40個あると分かる。
【0099】
つまり、往路時の上からp行目の濃淡の差が所定以上無いが、復路時の上からp行目の濃淡の差が所定以上有る場合、この上からp行目の位置には小束Wの帯T、即ち小束Wがあると判断する。
【0100】
また、往路時の上からq行目の濃淡の差が所定以上有るが、復路時の上からq行目の濃淡の差が所定以上無い場合、この上からq行目の位置には小束Wの帯T、即ち小束Wがあると判断する。
【0101】
そして、往路時の上からr行目の濃淡の差が所定以上無く、復路時の上からr行目の濃淡の差も所定以上無い場合、この上からr行目の位置には小束Wの帯T、即ち小束Wが無いと判断する。
【0102】
当然、往路時の上かs行目が濃淡の差が所定以上有り、復路時の上からs行目も濃淡の差が所定以上有る場合、この上からs行目の位置には小束Wの帯T、即ち小束Wがあると判断する。
【0103】
第2の方法としては、往路時のデータでそれぞれ反射センサ192の横方向(行毎)の8個の濃淡の平均を算出し、平均よりも薄い(白い)濃淡と、算出した平均濃淡との濃淡の差を算出する。そして、その濃淡の差が所定以上ある場合は、その薄い(白い)濃淡の箇所は帯Tの非印刷領域a2と判断し、その位置には、小束Wの帯Tがあり、小束Wがあると判断する。濃淡の差が所定以上無い場合には、その位置には、小束Wの帯Tも小束Wも無いと判断する。
【0104】
次いで、往路時で濃淡の差が所定以上無いと判断された行についてのみ、復路時の8個の濃淡の平均を算出し、平均よりも薄い(白い)濃淡と、算出した平均濃淡との濃淡の差を算出する。そして、その濃淡の差が所定以上有る場合は、その薄い(白い)濃淡の箇所は、帯Tの非印刷領域a2と判断する。そして、往路時では小束Wの帯T、即ち小束Wが無いと判断されていても、復路時で帯Tの非印刷領域a2と判断された場合には、その位置には、小束Wの帯Tがあり、小束Wがあると判断する。その一方で、復路時においても濃淡の差が所定以上無い場合には、その位置には、小束Wの帯T、即ち小束Wが無いと判断する。
【0105】
そして、小束Wの帯T、即ち小束Wがあると判断された行数から小束収納部15内の小束Wの束数を算出する。
【0106】
以上に述べた実施形態の束計数機構61及びこれを有する紙幣処理装置11によれば、センサ部122が、小束収納部15に収納されている小束Wの並設方向に沿う上方向及びこれとは反対の下方向に移動し、両方向の移動中に小束Wの帯Tを検出して小束Wの束数を計数することになるが、その際に、上方向と下方向とでは異なる経路で移動する。これにより、センサ部122が、小束Wの帯Tを誤検出する可能性を低く抑えることができる。従って、小束Wの束数の計数精度を高めることが可能となる。よって、例えば、上記のように幅方向の略中央部に印刷領域a1を有する帯Tで結束された小束Wであっても、より確実に、小束Wの束数を計数することができる。
【0107】
即ち、小束Wの帯Tの幅方向の略中央部に、柄やロゴ等が印刷された印刷領域a1を有する場合に、このような印刷領域a1は、小束Wの紙幣Sの部分と同様に反射量が低いが、紙幣Sの部分及び帯Tの印刷領域a1の何れも帯Tの非印刷領域a2との反射量が異なるので、このような帯Tで結束された小束Wであって印刷領域a1が束計数センサ部81によってスキャンされる束側面fにあっても、小束Wの帯Tを検出することができ、小束Wの束数を計数することができる。しかしながら、小束収納部は、1万円等の最も大きな紙幣の小束Wが収納できるように設けられているため、千円等のそれよりも小さな紙幣Sの小束Wが収納されると、小束Wの帯Tが束計数センサに対して帯Tの幅方向にずれることがある。よって、束計数センサと小束Wの帯Tとの位置関係によっては、紙幣Sの部分及び帯Tの印刷領域a1と帯Tの非印刷領域a2との反射量の違いが分かり難く、小束Wの帯Tの検出が難しくなるおそれがある。これに対して、実施形態では、束計数センサ部81のセンサ部122が、上方向及び下方向に移動しつつ小束Wの帯Tを検出して小束Wの束数を計数する際に、上方向と下方向とでは異なる経路で移動するため、小束Wの帯Tを誤検出する可能性を低く抑えることができる。
【0108】
また、実施形態の束計数機構61及びこれを有する紙幣処理装置11によれば、センサ部122は、上方向と下方向では帯Tの幅方向にずれて移動するため、帯Tの幅方向のずれによる影響を低減できる。
【0109】
また、束計数機構61及びこれを有する紙幣処理装置11によれば、センサ部122は、上方向と下方向とでは、センサ基板142に設けられた複数の反射センサ192の配設ピッチPの半分の長さP/2だけずれて移動するため、配設ピッチPを半分とし反射センサ192の数を2倍に増やした場合と同等の精度で小束Wの帯Tを検出することができる。
【0110】
また、束計数機構61及びこれを有する紙幣処理装置11によれば、センサ部122が、上方向に移動すると、最大上昇位置の近傍で第1の幅寄せガイド部201がセンサ部122に当接してその経路をずらすことになり、下方向に移動すると、最大下降位置の近傍で第2の幅寄せガイド部202がセンサ部122に当接してその経路を戻すことになる。これにより、簡素な構造で、センサ部122を異なる経路で移動させることができる。
【0111】
また、束計数機構61及びこれを有する紙幣処理装置11によれば、ベース部121が上方向及び下方向に移動し、センサ部122がベース部121に対し摺動する。これにより、簡素な構造で、センサ部122を異なる経路で移動させることができる。
【0112】
また、束計数機構61及びこれを有する紙幣処理装置11によれば、センサ部122及びベース部121には、2位置で係合可能な係合部181が設けられているため、ベース部121に対し摺動するセンサ部122を、ベース部121の上方向及び下方向への移動中にベース部121に幅方向定位置と幅寄せ位置とに固定することができる。
【0113】
また、束計数機構61及びこれを有する紙幣処理装置11によれば、反射センサ192を有するセンサ部122が、上方向への移動時に小束Wを測定した往路データと、下方向への移動時に小束Wを測定した復路データとに基づいて、小束Wの帯Tを検出し、小束Wの束数を計数するため、簡素な構造で、小束Wの束数の計数精度を高めることが可能となる。
【0114】
以上の実施形態を以下の変形例1〜3のように変更することができる。
【0115】
<変形例1>
束計数機構61は、小束収納部15に設けられることに限定されるものではなく、小束カセット16に設けて、小束カセット16内の小束Wの束数を計数するようにしても良い。
【0116】
<変形例2>
紙幣処理装置11は、バラ紙幣入出金部と、バラ紙幣搬送部と、バラ紙幣識別部と、バラ紙幣収納部と、小束Wを作成する結束部とを更に備え、バラ紙幣入出金部から入金されたバラ紙幣又はバラ紙幣収納部から繰り出されたバラ紙幣から結束部で小束Wを作成し、その小束を小束収納部15に収納するようにしても良い。
【0117】
<変形例3>
上記小束入出金部12と、上記小束搬送部13と、上記小束識別部14と、上記小束収納部15と、上記小束カセット16とを小束処理装置とし、上記バラ紙幣入出金部と、上記バラ紙幣搬送部と、上記バラ紙幣識別部と、上記バラ紙幣収納部と、上記結束部とをバラ紙幣処理装置とする。そして、紙幣処理装置を、小束処理装置と、これに並設されるバラ紙幣処理装置とを備える構成としても良い。その場合、小束処理装置は、バラ紙幣処理装置によって作成された小束Wを受け取り、その小束Wを小束収納部15に収納するようにしても良い。