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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-65912(P2020-65912A)
(43)【公開日】2020年4月30日
(54)【発明の名称】運動器具、および運動器具セット
(51)【国際特許分類】
   A63B 21/22 20060101AFI20200403BHJP
   A63B 21/05 20060101ALI20200403BHJP
   A63B 23/04 20060101ALI20200403BHJP
   A63B 23/12 20060101ALI20200403BHJP
   A63B 22/06 20060101ALI20200403BHJP
【FI】
   A63B21/22
   A63B21/05
   A63B23/04 Z
   A63B23/12
   A63B22/06 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-105104(P2019-105104)
(22)【出願日】2019年6月5日
(62)【分割の表示】特願2019-511505(P2019-511505)の分割
【原出願日】2018年10月24日
(71)【出願人】
【識別番号】517393846
【氏名又は名称】トライリングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】山奥 慎一
(72)【発明者】
【氏名】田沢 優
(57)【要約】
【課題】使用者によるアーム部の回動操作の負担を低減し、例えば筋力が弱い人や、身体の機能に障碍がある人であっても使用することができる運動器具を提供する。
【解決手段】本発明の運動器具は、躯体部と、躯体部から一方向に向けて延びるアーム部と、アーム部を、躯体部に対して回動可能に支持する回動軸と、を備えた運動器具であって、アーム部における一方向の一端部に設けられた操作部と、アーム部と連結され、かつ使用者が操作部を操作して、アーム部を回動させる際に、アーム部の回動を促す加勢部と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体部と、
前記躯体部から一方向に向けて延びるアーム部と、
前記アーム部を、前記躯体部に対して回動可能に支持する回動軸と、を備えた運動器具であって、
前記アーム部における前記一方向の一端部に設けられた操作部と、
前記アーム部と連結され、かつ使用者が前記操作部を操作して、前記アーム部を回動させる際に、前記アーム部の回動を促す加勢部と、を備えている運動器具。
【請求項2】
前記加勢部は、前記躯体部と前記アーム部とを連結し、これらの間に引張力を発揮するバネ部材であり、
前記アーム部のうち、前記一方向における前記操作部と反対側に位置する他端部に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の運動器具。
【請求項3】
前記アーム部のうち、前記一端部から前記回動軸までの長さは、前記他端部から前記回動軸までの長さよりも長くなっていることを特徴とする請求項2に記載の運動器具。
【請求項4】
前記アーム部における前記一端部に、前記アーム部の回動面と平行に回動可能に支持された補助アーム部を備え、
前記操作部は、前記補助アーム部を介して、前記アーム部における前記一端部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の運動器具。
【請求項5】
前記加勢部は、前記アーム部の回動を促して、前記アーム部を元の位置に復元させることを特徴とする請求項2に記載の運動器具。
【請求項6】
前記アーム部における回動範囲のうち、使用者が使用を開始する際の初期位置を規定する調整板を備えていることを特徴とする請求項2に記載の運動器具。
【請求項7】
前記請求項1から6のうちのいずれか1項に記載の運動器具が、使用者に対して左右対称に2台配置されていることを特徴とする運動器具セット。
【請求項8】
前記加勢部は、前記回動軸の回転に伴って回転する回転部材であることを特徴とする請求項1に記載の運動器具。
【請求項9】
前記加勢部は、前記回動軸に設けられ、かつ前記回動軸の回転速度を増速する増速機を介して、前記回動軸と連結されていることを特徴とする請求項8に記載の運動器具。
【請求項10】
前記アーム部は、左右対称となるように一対配置され、互いに同期して回動することを特徴とする請求項8に記載の運動器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動器具、および運動器具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、躯体部と、躯体部から一方向に向けて延びるアーム部と、アーム部を、躯体部に対して回動可能に支持する回動軸と、を備えた運動器具が知られている。
このような運動器具として、特許文献1には、回動するアーム部におもりを装着し、アーム部を回動軸回りに回動させる構成が知られている。使用者は、アーム部を回動させることで、腕部や胸部を鍛えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−261470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された運動器具では、アーム部におもりが装着されるので、例えば筋力が弱い人や、身体の機能に障碍がある人が使用する場合には、運動強度が大きすぎる場合があった。また、仮におもりを外した場合でも、アーム部自体の重さが、使用者に対して大きな負担となる場合があった。
【0005】
そこで本発明は、使用者によるアーム部の回動操作の負担を低減し、例えば筋力が弱い人や、身体の機能に障碍がある人であっても使用することができる運動器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の運動器具は、躯体部と、躯体部から一方向に向けて延びるアーム部と、アーム部を、躯体部に対して回動可能に支持する回動軸と、を備えた運動器具であって、アーム部において、一方向の一端部に設けられた操作部と、アーム部と連結され、かつ使用者が、操作部を操作してアーム部を回動させる際に、アーム部の回動を促す加勢部と、を備えている。
【0007】
また、加勢部は、躯体部とアーム部とを連結し、これらの間に引張力を発揮するバネ部材であり、アーム部のうち、一方向における操作部と反対側に位置する他端部に連結されてもよい。
【0008】
また、アーム部において、一端部から回動軸までの長さは、他端部から回動軸までの長さよりも長くなってもよい。
【0009】
また、アーム部における一端部に、アーム部の回動面と平行に回動可能に支持された補助アーム部を備え、操作部は、補助アーム部を介して、アーム部における一端部に設けられてもよい。
【0010】
また、加勢部は、アーム部の回動を促して、アーム部を元の位置に復元させてもよい。
【0011】
また、アーム部における回動範囲のうち、使用者が使用を開始する際の初期位置を規定する調整板を備えてもよい。
【0012】
また、前述したいずれかの運動器具が、使用者に対して左右対称に2台配置されてもよい。
【0013】
また、加勢部は、回動軸の回転に伴って回転する回転部材であってもよい。
【0014】
また、加勢部は、回動軸に設けられ、かつ回動軸の回転速度を増速する増速機を介して、回動軸と連結されてもよい。
【0015】
アーム部は、左右対称となるように一対配置され、互いに同期して回動してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の運動器具は、アーム部と連結され、かつ使用者が、操作部を操作してアーム部を回動させる際に、アーム部の回動を促す加勢部を備えている。このため、使用者によるアーム部の回動操作を加勢部が促すことで、使用者の負担を低減することができる。これにより、筋力が弱い人や身体の機能に障害がある人であっても運動器具を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る運動器具の側面図である。
図2図1に示す運動器具を一対備えた運動器具セットの上面図である。
図3図2に示す運動器具セットの正面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る運動器具の側面図である。
図5図4に示す運動器具の動作の開始時を示す図である。
図6図5に示す運動器具からアーム部が動いた状態を示す図である。
図7図6に示す運動器具からアーム部が更に動いた状態を示す図である。
図8図4に示す運動器具を一対備えた運動器具セットの上面図である。
図9図8に示す運動器具セットの正面図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る運動器具の側面図である。
図11】(a)図10に示す運動器具の上面図、(b)正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
以下、図1から図3を参照して本発明の第1実施形態に係る運動器具1、および運動器具セット100について説明する。
図1は、運動器具1の側面図である。また、図2は、運動器具1を一対備えた運動器具セット100の上面図であり、図3は、運動器具セット100の正面図である。なお、図1は、図2および図3におけるL矢視となっている。
また、この説明において、前後方向X、左右方向Y、および上下方向Zの各方向は、この運動器具1を使用する使用者Pにとっての各方向と一致している。また、各図において、前方A、後方Bとする。
【0019】
図1に示すように、運動器具1は、躯体部10と、躯体部10から一方向に向けて延びるアーム部20と、アーム部20を、躯体部10に対して回動可能に支持する回動軸30と、を備えている。
【0020】
躯体部10は、側面視で矩形状を呈する本体フレーム11と、枠体を左右方向Yの両側から覆う本体カバー12と、本体フレーム11を支持するベースフレーム13と、を備えている。本体フレーム11は、側面視で2辺が前後方向Xに延びるとともに、残り2辺が上下方向Zに延びる矩形状を呈している。

本体フレーム11における一対の縦フレーム11Aは、下側に位置する横フレーム11Bから、下方に向けて延びている。縦フレーム11Aの下端部が、ベースフレーム13の上面と連結されている。
【0021】
図2に示すように、ベースフレーム13は、上面視で2辺が前後方向Xに向けて延びるとともに、残り2辺が左右方向Yに延びる枠状を呈している。
前後方向Xに延びる一対の前後フレーム13Aの上面に、左右方向Yに延びる一対の左右フレーム13Bが固定されている。そして、左右フレーム13Bの上面に、本体フレーム11における縦フレーム11Aの下端部が連結されている。
ここで、左右フレーム13Bに対して、本体フレーム11を固定する左右方向Yの位置は、使用する態様、すなわち、運動器具1同士の配置間隔、運動器具1を使用する使用者Pの体格等に応じて、任意に変更可能となっている。
【0022】
本体フレーム11およびベースフレーム13それぞれを構成する各フレーム部材には、アルミフレームが採用されている。これにより、運動器具1の全体の重量を抑えるとともに、各部品の重量を抑えることで、組み立て作業を容易に行うことができる。なお、各フレーム部材の材質は、アルミニウムに限られず、任意に変更することができる。
本体カバー12には、厚さが1mm以下のスチール板が採用されている。なお、本体カバー12の材質は、任意に変更することができる。
【0023】
アーム部20は、躯体部10から前後方向Xに延びている。アーム部20は、躯体部10の外側に配置されたアーム部本体21と、アーム部本体21と連結されるとともに、躯体部10の内側に配置されたスライドアーム22と、を備えている。
アーム部本体21とスライドアーム22とは、回動軸30を介して一方向にまっすぐ連結されている。このため、アーム部本体21を回動させると、回動軸30を中心にスライドアーム22も同じ回動方向に回動する。回動軸30には樹脂ベアリングが採用されている。
【0024】
図1に示すように、運動器具1はまた、アーム部20における一端部に、アーム部20の回動面と平行に回動可能に支持された補助アーム部23を備えている。
補助アーム部23の端部が、補助回動軸31により、アーム部本体21の一端部に連結されている。
【0025】
補助アーム部23は、自重によりアーム部本体21の一端部から下方に向けて延び、アーム部本体21の一端部回りに回動可能となっている。
補助アーム部23の長さは、アーム部本体21よりも短くなっている。アーム部20および補助アーム部23には、スチール材が採用されている。なお、アーム部20および補助アーム部23の材料は任意に変更することができる。
補助回動軸31には樹脂ベアリングが採用されている。
【0026】
図2に示すように、運動器具1はまた、アーム部20における一方向の一端部に設けられた操作部40を備えている。操作部40は、ソフトパッドが巻き付けられたスチール製のパイプ材であり、左右方向Yに延びている。
操作部40は、アーム部20のアーム部本体21における一端部に、補助アーム部23を介して固定されている。
すなわち、操作部40は補助アーム部23のうち、補助回動軸31と反対側に位置する端部に固定されている。使用者Pが操作部40を把持した状態で、アーム部20の回動操作を行うことができる。
【0027】
そして図1に示すように、本実施形態では、運動器具1は、アーム部20の回動を促す加勢部50を備えている。
加勢部50は、アーム部20と連結されている。加勢部50は、使用者Pが操作部40を操作して、アーム部20を回動させる際に、アーム部20の回動を促す。
すなわち、使用者Pのアーム部20に対する回動操作に伴って、アーム部20に対して使用者Pが回動させようとする方向の回動力を与える。
【0028】
加勢部50は、躯体部10とアーム部20とを連結し、これらの間に引張力Fを発揮するバネ部材である。加勢部50は、アーム部20が前後方向Xに延びている際に、既に引張力Fを発揮している。
加勢部50は、アーム部20のうち、一方向における操作部40と反対側に位置する他端部に連結されている。すなわち、加勢部50は、アーム部20におけるスライドアーム22に連結され、略上下方向Zに延びている。
【0029】
ここで、アーム部20のうち、一端部から回動軸30までの長さは、他端部から回動軸30までの長さよりも長くなっている。
言い換えると、アーム部本体21の長さが、スライドアーム22の長さよりも長くなっている。
【0030】
スライドアーム22には、一方向に沿って延びるスリット25が形成されている。加勢部50の一方側の端部は、スリット25の内部を一方向に移動自在とされた連結片26と連結されている。
このため、スライドアーム22の姿勢の変化に伴って、連結片26はスライドアーム22におけるスリット25の内部を移動し、加勢部50の延びる向きが変化する。
【0031】
加勢部50の他方側の端部は、本体フレーム11における下側に位置する横フレーム11Bに載置されて固定されたテンションアジャスター60と連結されている。
テンションアジャスター60を調整することで、加勢部50がアーム部20に与える回動力を調整することができる。
【0032】
すなわち、テンションアジャスター60は、加勢部50をテンションアジャスター60に取り付ける取り付け位置を上下させることが可能となっている。そして、テンションアジャスター60への加勢部50の取り付け位置を上下させることにより、バネ部材である加勢部50の引張力Fを調整することができる。
なお、運動器具1は、テンションアジャスター60を備えていなくてもよい。
【0033】
図2および図3に示すように、運動器具1を用いた運動器具セット100では、運動器具1が使用者Pに対して左右対称に一対配置されている。
これにより、例えば椅子Cに座った使用者Pが、左右の手で、一対の運動器具1それぞれにおける操作部40を把持し、それぞれのアーム部20を回動させる運動を行うことができる。この際のアーム部20の運動について詳述する。
【0034】
図1に示すように、使用者Pは操作部40を把持した状態で、側面視で操作部40が時計回りに円弧を描くように回動させる。なお、図1に示す運動器具1に対して左右対称に配置された運動器具1の場合には、操作部40を側面視で反時計回りに円弧を描くように回動させる。
【0035】
これにより、補助アーム部23が、補助回動軸31回りに回動するとともに、アーム部本体21が、回動軸30回りにその一端部が上方に向かうように回動する。そして、スライドアーム22が回動軸30を中心にして回動し、連結片26がスライドアーム22におけるスリット25の内部を移動する。
【0036】
この際、バネ部材である加勢部50が引張力Fを発揮するため、アーム部20が回動する向きに沿って、加勢部50がアーム部20の回動を促すこととなる。これにより、使用者Pは小さな力で、アーム部本体21の一端部を上方に向けて押し上げることができる。
そして、アーム部本体21の一端部が、回動範囲の上端まで到達すると、アーム部本体21の一端部は、初期位置に復帰するように下方に向けて回動する。このようにアーム部本体21の一端部が、初期位置に復帰するように下方に向けて回動する際、加勢部50は伸ばされる状態となる。
【0037】
そして、アーム部本体21の一端部が、回動範囲の下端部まで到達すると、加勢部50が伸ばされた反動も加えられて、勢いをもって加勢部50がアーム部20を回動させる。使用者Pはこの動作を連続して繰り返す。
運動器具セット100の場合には、左右の動きを交互に行うことで、体のバランスを取りやすくすることができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係る運動器具1は、アーム部20と連結され、かつ使用者Pが、操作部40を操作してアーム部20を回動させる際に、アーム部20の回動を促す加勢部50を備えている。このため、使用者Pによるアーム部20の回動操作を加勢部50が促すことで、使用者Pの負担を低減することができる。
これにより、筋力が弱い人や身体の機能に障害がある人であっても運動器具1を使用することができる。そして、過度に心拍数を上げずにトレーニングをすることが可能なため、副交感神経を有意に働かせたまま運動することができる。
【0039】
また、加勢部50からの回動力を用いることで、例えば逆におもりをアーム部20により持ち上げるような構成と比較して、極めて軽い力での運動を連続的に繰り返すことができる。
すなわち、使用者が脳からの随意的な指令ではなく、反射的な運動を容易に長時間繰り返すことができる。この運動の際に、筋腱複合体を伸ばしてから縮める動作を繰り返し行うことで、伸張-短縮サイクル(Stretch-Shortening Cycle: SSC)運動が行われる。
【0040】
これにより、少ない筋力で大きな力を発揮する効率的な筋肉の使い方が獲得できる。同時に、使用者のイメージより軽い負荷による筋発揮を繰り返すことで、「身体を楽に操作できる」という感覚を脳内にフィードバックし、効率的な運動を学習することが可能である。
【0041】
その結果、使用者が筋肉や腱の弾力性を取り戻し、筋肉の緊張を減らすことにより、無駄な力が抜けてしなやかな動きを獲得することができる。
また使用者が関節可動域を向上したり、疲れにくい体質を獲得したりすることもできる。
【0042】
一般に、ヒトは歩行運動の開始後は、動作を意識することなく半自動的に運動を継続することができるが、これには脊髄のCPG(central pattern generator)という制御機構が関連していると考えられている。腕や下肢の交互のリズミックな運動を不随意で実施することにより、CPGを賦活させ、その結果、脳障害等で運動や歩行が困難になっている人の運動機能や歩行機能を一部回復させられる可能性がある。
【0043】
また、加勢部50がバネ部材であるため、アーム部20の繰り返し動作の中で、安定して一定の力を回動力としてアーム部20に与えることができるとともに、簡易な構成で加勢部50を実現することができる。
【0044】
また、アーム部20のうち、一端部から回動軸30までの長さが、他端部から回動軸30までの長さよりも長くなっている。このため、他端部に連結された加勢部50からの回動力が、回動軸30回りのモーメントとして大きく作用するのを抑え、アーム部20の一端部での回動操作において要する力を小さく抑えることができる。
【0045】
また、運動器具1は補助アーム部23を備え、操作部40が、補助アーム部23を介して、アーム部20における一端部に設けられている。
このため、アーム部本体21の一端部を、使用者Pが直接把持してアーム部20を回動する構成と比較して、使用者Pによるアーム部20の回動操作を容易なものとすることができる。
【0046】
また、運動器具セット100として、左右対称に2台の運動器具1を配置した場合には、例えば左右の腕を交互に動かして、それぞれの神経系統に均等に刺激を与えることで、より一層効果的に、前述した効果を奏することができる。
また、左右一方の神経系統に障碍がある場合には、健常な神経系統に促されて、障碍がある神経系統に効果的な改善を期待することができる。
【0047】
<第2実施形態>
以下、図4から図9を参照して、本発明の第2実施形態に係る運動器具2、および運動器具セット200について説明する。
図4は、運動器具2の側面図であり、図8は、運動器具2を一対備えた運動器具セット200の上面図である。また、図9は、運動器具セット200の正面図である。
なお、この説明において、第1実施形態と同様の構成についてはその説明を省略する。また、第1実施形態と同様の効果についても、その説明を省略する。
【0048】
図4に示すように、本実施形態の運動器具2では、加勢部50Bは、板状に形成されたスライドプレート22Bに連結されている。
スライドプレート22Bは、第1実施形態におけるスライドアーム22に対応する部品であり、躯体部10Bの内部に配置され、アーム部20Bにおけるアーム部本体21Bと固定されている。
スライドプレート22Bは、側面視で2辺が前後方向Xに延び、残り2辺が上下方向Zに延びるとともに、上底が下底よりも長く形成された略台形状を呈している。
【0049】
スライドプレート22Bにおける前後方向Xの大きさは、上下方向Zの大きさよりも大きくなっている。スライドプレート22Bの前後方向Xの両端部に、台形状の脚に沿って延びるスリット25Bが各別に形成されている。
加勢部50Bの一方側の端部は、スリット25B内の連結片26Bと連結されている。加勢部50Bはバネ部材であり、上下方向Zに延びている。本実施形態では、加勢部50Bは、前後方向Xに間隔をあけて一対配置されている。
【0050】
また本実施形態では、加勢部50Bは、アーム部20Bの回動を促して、アーム部20Bを元の位置に復元させる。
すなわち、アーム部20Bの回動位置の変化に伴って、一対の加勢部50Bそれぞれが、スリット25Bを介してスライドプレート22Bを回動させることで、アーム部20Bを元の位置に復元させる。
一対のバネ部材は大きさや長さ、およびバネ特性が互いに同等となっている。なお、運動の目的等により、2つのバネ特性を互いに異ならせてもよい。
【0051】
また本実施形態では、運動器具2は、アーム部20Bにおける回動範囲のうち、使用者Pが使用を開始する際の初期位置を規定する調整板27を備えている。
調整板27は、円弧が上方に位置する扇形状を呈している。調整板27には、円弧に沿って、調整用孔27Aが複数形成されている。ここで、アーム部20Bの他端部に連結された連結プレート28には、固定孔が形成されている。
【0052】
そして、調整用孔27Aと固定孔とを貫くように、固定ピン29が挿入される。すなわち、アーム部20Bを回動させて、図5に示す初期位置に位置した際に、複数の調整用孔27Aのうちのいずれかと、連結プレート28の固定孔と、を左右方向Yに連通させて、固定ピン29を挿入することで、アーム部20Bの位置が固定される。
【0053】
なお、このような態様に限られず、調整板27に調整用孔27Aが形成されておらず、連結プレート28と調整板27とが、予め固定されていてもよい。
この場合には、図5に示すように、アーム部20Bが、下方に向かうに従い漸次、後方Bに向けて延びる状態で、連結プレート28と調整板27とが固定されていてもよい。
【0054】
図8および図9に示すように、運動器具2を使用者Pに対して左右対称に2台配置して、運動器具セット200として使用することができる。これにより、使用者Pが例えば椅子Cに座った状態で、左右対称の運動を行うことができる。
このような運動器具セット200で行う運動について、以下に詳述する。
【0055】
図5に示すように、アーム部20Bを使用者P側に少し回動させて、調整板27を用いてアーム部20Bの初期位置を規定する。この際、一対の加勢部50Bそれぞれは、自然長から少し伸びた状態となっている。
そして、椅子Cに座った使用者Pが、足で操作部40を前方Aに向けて押し出すことで、アーム部20Bを回動させる。この際、足の重みを操作部40にかけることで、わずかな力でアーム部20Bを回動させることができる。
【0056】
そして、図6の状態になると、前方Aに位置する加勢部50Bは伸びた状態になる一方、後方Bに位置する加勢部50Bは、自然長となり緩んだ状態となる。この状態から更に足の重みを操作部40にかけながら足を伸ばすことで、運動器具2は、図7の状態となる。
【0057】
図7の状態になると、前方Aに位置する加勢部50Bは更に伸びた状態になり、後方Bに位置する加勢部50Bも、自然長から少し伸びた状態となる。この際、後方Bに位置する加勢部50Bの上端部は、スリット25B内において、後方Bに向けて少し移動する。
【0058】
そして、一対の加勢部50Bそれぞれが引張力を発揮し、アーム部20Bに対して回動力を付与する。これにより、加勢部50Bが縮みながら、アーム部20Bの回動位置を復元させようとする。アーム部20Bの位置が復元するのに伴って、使用者Pの足が屈伸され、初期姿勢となる。使用者はこの動きを繰り返し行う。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る運動器具2によれば、加勢部50Bがアーム部20Bを回動させて、アーム部20Bを元の位置に戻そうとする。
このため、加勢部50Bがアーム部20Bに作用することで、アーム部20Bの回動操作を繰り返して行うことができる。
【0060】
また、アーム部20Bにおける回動範囲のうち、使用者Pが使用を開始する際の初期位置を規定する調整板27を備えている。
このため、調整板27により、アーム部20Bの初期位置を規定することで、アーム部20Bの回動範囲の全域を有効に利用することができる。
【0061】
また、運動器具セット200として、左右対称に2台の運動器具2を配置した場合には、例えば左右の足を交互に動かして、それぞれの神経系統に均等に刺激を与えることで、より一層効果的に、前述した効果を奏することができる。
また、左右一方の神経系統に障碍がある場合には、健常な神経系統に促されて効果的な改善を期待することができる。
【0062】
<第3実施形態>
以下、図10および図11を参照して、本発明の第3実施形態に係る運動器具3について説明する。
図10は、運動器具3の側面図であり、図11(a)は、運動器具3の上面図、図11(b)は、運動器具3の上面図である。
なお、この説明において、第1実施形態と同様の構成についてはその説明を省略する。また、第1実施形態と同様の効果についても、その説明を省略する。
【0063】
図10および図11に示すように、本実施形態の運動器具3はバイクマシンの形状を呈している。
すなわち、運動器具3は、躯体部10Cから上方に向けて延びるハンドル80およびサドル81と、躯体部10Cに対して回動可能に支持されたクランク82と、クランク82に連結されたペダル83と、を備えている。
【0064】
そして一対のクランク82が、運動器具3におけるアーム部として機能し、ペダル83が、運動器具3における操作部として機能する。
クランク82およびペダル83は、左右対称となるように一対配置され、互いに同期して回動軸30C回りに回動する。
【0065】
また本実施形態では、加勢部50Cは、回動軸30Cの回転に伴って回転する回転部材である。加勢部50Cは円盤状をなしている。
加勢部50Cは、回動軸30Cに設けられ、かつ回動軸30Cの回転速度を増速する増速機90を介して、回動軸30Cと連結されている。
【0066】
増速機90は、回動軸30Cと同軸に連結された第1ギア91と、加勢部50Cと同軸に連結された第2ギア92と、第1ギア91と第2ギア92との間の動力を伝達するチェーン93と、を備えている。第2ギア92は、第1ギア91よりも前方Aに配置されている。
第2ギア92のギア部の直径は、第1ギア91のギア部の直径よりも小さくなっている。このため、第1ギア91の回転は、第2ギア92において増速される。
運動器具3での運動について、以下に詳述する。
【0067】
使用者Pがサドル81に座った状態で、足を各ペダル83(操作部)に載せる。そして足の重さをペダル83にかけると、力を入れなくてもクランク82(アーム部)が回転する。この際、回動軸30Cと連結された第1ギア91の回転し、この回転がチェーン93を介して第2ギア92に増速された状態で伝達される。そして、第2ギア92と連結された加勢部50Cが回転する。
【0068】
加勢部50Cが回転すると、加勢部50Cに慣性モーメントが発生する。この慣性モーメントにより、加勢部50Cは回転速度を保つように回転を継続する。加勢部50の回転により、第2ギア92が回転し、チェーン93を介して回転力が伝達され、第1ギア91が回転する。これにより、ペダル83に回動力が与えられる。このため、使用者Pはペダル83をこぐ力をほとんど加えることなく、ペダル83を連続して回動軸30C回りに回動させることができる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係る運動器具3によれば、加勢部50Cが、回動軸30Cの回転に伴って回転する回転部材である。このため、回転部材の回転に伴って発生する慣性モーメントにより、アーム部20の回転が促される。
これにより、筋力が弱い人や身体の機能に障害がある人であっても運動器具3を使用することができる。そして、過度に心拍数を上げずにトレーニングをすることが可能なため、副交感神経を有意に働かせたまま運動することができる。
【0070】
また、加勢部50Cが、増速機90を介して回動軸30Cと連結されている。このため、回動軸30Cの回動が増速されて加勢部50Cに伝達されることにより、加勢部50Cが有する慣性モーメントを大きくすることができる。これにより、より一層小さな力でアーム部20を回動させる動作を連続して行うことができる。
【0071】
また、アーム部20が、左右対称となるように一対配置され、互いに同期して回動する。このため、左右の足を交互に動かして、それぞれの神経系統に均等に刺激を与えることで、より一層効果的に、前述した効果を奏することができる。また、左右一方の神経系統に障碍がある場合には、健常な神経系統に促されて効果的な改善を期待することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではない。
例えば、第1実施形態および第2実施形態では、運動器具セット100、200として2台の運動器具1、2を同時に使用する構成を示したが、このような態様に限られない。運動器具1、2をそれぞれ1台で使用してもよい。
【0073】
また、第1実施形態および第2実施形態では、運動器具セット100、200を使用する際に、使用者Pが椅子Cに座った状態で使用する構成を示したが、このような態様に限られない。使用者Pは例えば片足や両足で起立した姿勢で、運動器具セット100、200を使用してもよい。
【0074】
また、第1実施形態および第2実施形態では、加勢部50、50Bとしてバネ部材を用いた構成を示したが、このような態様に限られない。加勢部50、50Bとしては、アーム部20、20Bの回動を促す回動力を発生する機構であれば、バネ部材以外の構成であってもよい。
【0075】
また、第2実施形態では、運動器具2は調整板27を備えている構成を示したが、このような態様に限られない。運動器具2は調整板27を備えなくてもよい。
【0076】
また、第3実施形態では、ギアおよびチェーン93により構成された増速機90を備えた構成を示したが、このような態様に限られない。増速機90はプーリおよびタイミングベルトにより構成されてもよいし、運動器具3が増速機90を備えなくてもよい。
【0077】
また、第3実施形態では、回転部材を加勢部50として備えている構成を示したが、このような態様に限られない。回動軸30Cの回動に伴って回動するアーム部20自体の慣性モーメントにより、アーム部20の回動を促してもよい。この場合には、アーム部20が加勢部として機能する。すなわち、本発明では、アーム部20と加勢部とが一体に形成されてもよい。
【0078】
また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。また、前述した各実施形態における構成を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1、2、3 運動器具
10、10B、10C 躯体部
20 アーム部
30 回動軸
40 操作部
50、50B、50C 加勢部
70 復元部
90 減速機
100、200 運動器具セット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11