【実施例】
【0083】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【0084】
〔実験試薬・機器〕
TLCはシリカゲル70 TLCプレート-ワコー社製(蛍光剤不含タイプ)5cm x 20cm)を用い、各化合物に適した展開溶媒で分析した。
1H-NMRは、使用装置 JNM-ECX400A 5mm TH5AT/FG2Dプローブを用い、テトラメチルシランを内部標準物質として測定した。質量分析は、JEOL JMS-DX302を用いて測定した。試薬はSigma-Aldrich, Inc、東京化成工業株式会社等の特級試薬、あるいは海外化学薬品メーカーの特注品を用いた。
【0085】
(実施例1)フラボン誘導体の合成
(1)4-ニトロ安息香酸 2-アセチル-4-ブロモフェニルエステル(1)の合成
【化15】
4-ニトロベンゾイルクロリド(3.71 g, 20.0 mmol, MW=185.56)のピリジン溶液(100 mL)に5’-ブロモ-2’-ヒドロキシアセトフェノン(4.30 g, 20.0 mmol, MW=215.04)を加えた。室温で1時間反応させた後、氷冷下1 N塩酸へ注ぎ、析出した沈澱を濾取し、精製水で洗浄後、目的物である4-ニトロ安息香酸 2-アセチル-4-ブロモフェニルエステル(化合物1)を得た。収量6.75 g(収率92.7 %, MW=364.15)
【0086】
(2)1-(5-ブロモ-2-ヒドロキシフェニル)-3-(4-ニトロフェニル)プロパン-1,3-ジオン(2)の合成
【化16】
化合物1(6.75 g, 18.5 mmol, MW=364.15)をピリジン(120 mL)に溶解し、50℃まで加熱した。粉砕した水酸化カリウム(1.59 g, 28.3 mmol, MW=56.11)を加え、30分間撹拌後に氷冷し、10%酢酸溶液を加えた。析出した淡黄色の沈澱を濾取し、目的物である1-(5-ブロモ-2-ヒドロキシフェニル)-3-(4-ニトロフェニル)プロパン-1,3-ジオン(化合物2)を得た。収量5.83 g(収率86.5%, MW=364.15)
【0087】
(3)6-ブロモ-4’-ニトロフラボン(3)の合成
【化17】
化合物2(5 g, 13.7 mmol, MW=364.15)、濃硫酸(1.25 mL)、酢酸(100 mL)の混液を1時間加熱還流した。室温に戻した後、氷片を反応溶液に加え、析出した結晶を濾取し目的物である6-ブロモ-4’-ニトロフラボン(化合物3, MW=346.13)を得た。収量4.46 g(収率94.1%)
【0088】
(4)6-ブロモ-4’-アミノフラボン(4)の合成
【化18】
化合物3(1.43 g, 4.13 mmol, MW=346.14)のエタノール(100 mL)溶液に、撹拌しながら塩化スズ(II)(3.93 g, 20.7 mmol, MW=189.60)を加え、1時間加熱還流した。反応終了後、反応溶液に1 N水酸化ナトリウム水溶液(700 mL)を加え、酢酸エチル 700 mL(350 mL x 2)で抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、目的物である6-ブロモ-4’-アミノフラボン(化合物4, MW=316.15)を得た。収量 1.06 g(収率81.2%)
【0089】
(5)6-ブロモ-4’-メチルアミノフラボン(5)の合成
【化19】
化合物4(326 mg, 1.031 mmol: MW=316.15)とパラホルムアルデヒド(167 mg, 5.57 mmol, MW=30.0)のメタノール溶液(16.3 mL)に撹拌しながら28%ナトリウムメチラートメタノール溶液(0.293 mL, MW=54.02)をゆっくり滴下した。1時間加熱還流後、水素化ホウ素ナトリウム(195 mg, 5.15 mmol: MW=37.83)を少しずつ加えて、更に2時間加熱還流した。反応溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチル/ヘキサン(3/5)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、目的物である6-ブロモ-4’-メチルアミノフラボン(化合物5, MW=330.18)を得た。収量 91.6 mg(収率26.9%)
1H NMR(400MHz, CDCl
3)δ8.37(d,J=2.4Hz, 1H), 7.99(d,J=8.8Hz,2H),7.81(dd,J1=8.8Hz, J2=2.4Hz,1H),7.48(d,J=9.2Hz,1H),7.46(d,J=8.8Hz,2H),6.85(s,1H), 2.91(S,3H). MS m/z 329.
【0090】
(6)6-ブロモ-4’-ジメチルアミノフラボン(6)の合成
【化20】
化合物4(190 mg, 0.60 mmol: MW=316.15)とパラホルムアルデヒド(180 mg, 6 mmol, MW=30.0)の酢酸溶液(30 mL)にシアノ水素化ホウ素ナトリウム(189 mg, 3.01 mmol, MW=62.84)を撹拌しながら加え、室温で 3時間撹拌した。反応終了後、反応溶液に1 N水酸化ナトリウム水溶液150 mLを加え、クロロホルム160 mL(80 mL x 2)で抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、目的物である6-ブロモ-4’-ジメチルアミノフラボン(化合物6, MW=344.20)を黄色結晶として得た。収量 153 mg(収率74.2%)
1H NMR(400MHz, CDCl
3)δ8.35(d,J=2.4Hz,1H),7.97(d,J=8.8Hz,2H),7.80 (dd,J1=8.8Hz,J2=2.4Hz,1H),7.48(d,J=9.2Hz,1H),7.36(d,J=8.8Hz,2H),6.87(s,1H),3.07(s,6H).MS m/z 343.
【0091】
(7)6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロリル)-4’-メチルアミノフラボン(7)の合成
【化21】
化合物5(59.8 mg, 0.18 mmol, MW=330.18)のジオキサン(1.5mL)溶液に、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(Pd(dppf)Cl
2)(2 mg: 2.4 mmol: MW=816.64)を加え、4-メチルモルホリン(22μl: 0.20 mmol, MW=101.15, d=0.92)と4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(以後、ピナコールボランと記す)(60μl: 0.42 mmol: MW=127.98, d=0.89)をゆっくり滴下した。アルゴン気流下、85℃で5時間加熱還流した。反応終了後、酢酸エチル/ヘキサン(1/2)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、目的物である6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロリル)-4’-メチルアミノフラボン(化合物7, MW=377.24)を得た。収量 30 mg(収率44.2%)
1H NMR(400MHz, CDCl
3)δ8.32(d,J=2.5Hz,1H),7.76(d,J1=8.9Hz,2H),7.72(dd,J1=8.7Hz,J2=2.5,1H),7.41(d,J=8.9Hz,1H),6.74(d,J=8.9Hz,2H),6.69(s,1H), 2.94(s,3H),1.26(s,12H). MS m/z 377.
【0092】
(8)6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロリル)-4’-ジメチルアミノフラボン(8)の合成
【化22】
化合物6(62 mg, 0.18 mmol, MW=344.20)のジオキサン(1.5mL)溶液に、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(Pd(dppf)Cl
2)(2 mg)を加え、4-メチルモルホリン(22μl: 0.20 mmol, MW=101.15, d=0.92)とピナコールボラン(60μl: 0.42 mmol: MW=127.98, d=0.89)をゆっくり滴下した。アルゴン気流下、85℃で5時間加熱還流した。反応終了後、酢酸エチル/ヘキサン(1/2)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、目的物である6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロリル)-4’-ジメチルアミノフラボン(化合物8, MW=391.27)を得た。収量 26 mg(収率36.9%)
1H NMR(400MHz, CDCl
3)δ8.34(d,J=2.8Hz,1H), 7.74(d,J=8.8Hz,2H),7.72(dd,J1=8.8hz, J2=2.4,1H),7.41(d,J=8.8Hz,1H),6.69(d,J=8.9Hz,2H),6.68(s,1H),3.09(s, 6H),1.26(s,12H). MS m/z 391.
【0093】
(9)6-ジヒドロキシボリル-4’-メチルアミノフラボン(9)の合成
【化23】
化合物7をアセトニトリル中、80℃において2%トリフルオロ酢酸で処理することにより、ホウ酸体9を得た。
【0094】
(10)6-ジヒドロキシボリル-4’-ジメチルアミノフラボン(10)の合成
【化24】
化合物8をアセトニトリル中、80℃において2%トリフルオロ酢酸で処理することにより、ホウ酸体10を得た。
【0095】
(実施例2)スチリルクロモン誘導体の合成
(1)(E)-2-アセチル-4-ブロモフェニル=3-(4-ニトロフェニル)アクリレート(11)の合成
【化25】
trans-4-ニトロシンナモイルクロリド(5 g, 23.6 mmol, MW=211.60)のピリジン溶液(92 mL)に5’-ブロモ-2’-ヒドロキシアセトフェノン(5.07 g, 23.6 mmol, MW=215.04)を加えた。室温で120分反応させた後、氷冷下1 N塩酸150mLに注ぎ撹拌させた。析出した沈殿を濾取し、精製水で洗浄後、目的物である化合物11(MW=390.18)を得た。収量8.86 g(収率96.2%)
【0096】
(2)1-(5-ブロモ-2-ヒドロキシフェニル)-5-(4-ニトロフェニル)ペント-4-エン-1,3-ジオン(12)の合成
【化26】
化合物11(5g, 12.8 mmol, MW=390.18)をピリジン(120 mL)に溶解し、50℃まで加熱した。粉砕した水酸化カリウム(2.2 g, 39.2 mmol, MW=56.11)を加え、30分間撹拌後、氷冷し、10%酢酸溶液を加えた。析出した淡黄色の沈殿を濾取し、目的物12(MW=390.18)を得た。収量4.21 g(収率84.2%)
【0097】
(3)6-ブロモ-4’-ニトロスチリルクロモン(13)の合成
【化27】
化合物12(4.0 g, 10.3 mmol, MW=390.18)、濃硫酸(5.57 mL)、酢酸(69.6 mL)の混液を1時間加熱還流した。室温に戻した後、氷片を反応溶液に加え、析出した結晶を濾取し、目的物13(MW=372.17)を得た。収量3.53 g(収率 92.5%)
【0098】
(4)6-ブロモ-4’-アミノスチリルクロモン(14)の合成
【化28】
化合物13(1.85g, 4.97 mmol, MW=372.17)のエタノール(150 mL)溶液に、撹拌しながら塩化スズ(II)(6.42 g, 33.9 mmol, MW=189.60)をゆっくり加え、2時間加熱還流した。反応終了後、反応溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液(500 mL)を加え、酢酸エチル500 mL(250 mL x 2)で抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、目的物14(MW=342.19)を得た。収量1.20 g(収率 70.5%)
【0099】
(5)6-ブロモ-4’-メチルアミノスチリルクロモン(15)の合成
【化29】
化合物14(530 mg, 1.55 mmol, MW=342.19)とパラホルムアルデヒド(173 mg, 5.75 mmol, MW=30.0)のメタノール溶液(11.2 mL)に撹拌しながらナトリウムメチラートメタノール溶液(336μl)をゆっくり滴下した。1時間加熱還流後、水素化ホウ素ナトリウム(202 mg, 5.34 mmol, MW=37.83)を少しずつ加えて、更に2時間加熱還流した。反応溶媒を減圧留去し、残渣を、クロロホルムを溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、目的物15(MW=356.21)を得た。収量378 mg(収率68.5%)
1H-NMR(400MHz, CDCl
3)δ8.31(d,J=2.4Hz,1H),7.73(dd,J1=9.2Hz,J2=2.8Hz,1H),7.53(d, J=16Hz,1H),7.44(d,J=6.4Hz,2H),7.41(d,J=8.8Hz,1H),6.61(d,J=8.4Hz,2H),6.55(d,J=16Hz,1H), 6.25(s,1H),2.91(s,3H). MS m/z 355.
【0100】
(6)6-ブロモ-4’-ジメチルアミノスチリルクロモン(16)の合成
【化30】
化合物14(200 mg, 0.584 mmol, MW=342.19)とパラホルムアルデヒド(175 mg, 5.83 mmol, MW=30.0)の酢酸溶液(10 mL)に水素化シアノホウ素ナトリウム(220 mg, 3.51 mmol, MW=62.84)をゆっくり加え、室温で3時間撹拌した。反応終了後、反応溶液に1 N水酸化ナトリウム水溶液60 mLを加え、クロロホルム60 mL(30 mL x 2)で抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し化合物16(MW=370.24)を得た。 収量156.1 mg(収率 72.2%)
1H-NMR(400MHz, CDCl
3)δ8.30(d,J=2.4Hz,1H),7.73(dd,J1=9.2Hz,J2=2.8,1H),7.76(d,J=16.0Hz,1H),7.45(d,J=6.4Hz,2H),7.40(d,J=8.8Hz,1H),6.56(d,J=8.4Hz,2H),6.54(d,J=16.0Hz,1H),6.25(s,1H),3.05(s,3H). MS m/z 369.
【0101】
(7)6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロリル)-4’-メチルアミノスチリルクロモン(17)の合成
【化31】
アルゴン気中で、化合物15(150 mg, 0.42 mmol, MW=356.21)のジオキサン(4.0 mL)溶液に、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(Pd(PPh
3)
2Cl
2)(21.0 mg: 30 mmol: MW=701.90)を加え、引き続きトリエチルアミン(177μl)とピナコールボラン(92.4μl)をゆっくり滴下した。100℃で8時間加熱還流した。反応終了後、酢酸エチル/ヘキサン(1/2)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、目的物である6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロリル)-4’-メチルアミノスチリルクロモン(化合物17, MW=403.28)を得た。収量 70 mg(収率41.3 %)
1H-NMR(400MHz, CDCl
3)δ8.31(d, J=2.4Hz, 1H), 7.73(dd, J1=8.6Hz, J2=2.6Hz, 1H), 7.52(d, J=15.2Hz, 1H), 7.44(d, J=6.8Hz, 2H), 7.40(d, J=8.8Hz, 1H), 6.61(d, J=8.8Hz, 2H), 6.54(d, J=15.6Hz, 1H), 6.25(s, 1H), 2.90(s, 3H), 1.26(s, 12H). MS m/z 403.
【0102】
(8)6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロリル)-4’-ジメチルアミノスチリルクロモン(18)の合成
【化32】
アルゴン気中で、化合物16(55.5 mg, 0.15 mmol, MW=370.24)のジオキサン(1 mL)溶液に、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(Pd(dppf)Cl
2)(5 mg)加え、4-メチルモルホリン(25μl: 0.23 mmol, MW=101.15, d=0.92)とピナコールボラン(45μl 0.31 mmol, MW=127.98, d=0.89)とをゆっくり滴下した。85℃で6時間加熱還流した。反応終了後、酢酸エチル/ヘキサン(1/2)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、目的物である6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロリル)-4’-ジメチルアミノスチリルクロモン(化合物18 MW=417.31)を得た。収量 30.4 mg(収率48.5%)
1H-NMR(400MHz, CDCl
3)δ8.32(d,J=2.4Hz,1H),7.96(dd,J1=8.6Hz, J2=2.6,1H),7.51(d,J=15.2Hz,1H),7.42(d,J=6.8Hz,2H),7.34(d,J=8.8Hz,1H),6.62(d,J=8.8Hz,2H),6.56(d,J=15.6Hz,1H),6.25(s,1H),3.04(s,3H),1.24(s,12H). MS m/z 417.
【0103】
(9)6-ジヒドロキシボリル-4’-メチルアミノスチリルクロモン(19)の合成
【化33】
化合物17をアセトニトリル中、80℃において2%トリフルオロ酢酸で処理することにより、ホウ酸体19を得た。
【0104】
(10)6-ジヒドロキシボリル-4’-ジメチルアミノスチリルクロモン(20)の合成
【化34】
化合物18をアセトニトリル中、80℃において2%トリフルオロ酢酸で処理することにより、ホウ酸体20を得た。
【0105】
(実施例3)クマリン誘導体の合成
(1)6-ブロモ-3-(4-ニトロフェニル)クマリン(21)の合成
【化35】
5-ブロモサリチルアルデヒド(2g, 9.95 mmol, MW=201.02)、4-ニトロフェニル酢酸(1.87g ,10.32 mmol, MW=181.15)、2-クロロ-1-メチルピリジニウムヨージド(5.13g, 20 mmol, MW=255.48)をアセトニトリル(100 mL)に溶解させた。トリエチルアミン(3.3 mL, 23.8mmol, MW=101.19, d=0.73)を加えた後、加熱還流を3時間行った。反応溶媒を減圧留去した後、半固体状の残渣に希塩酸を加えて吸引濾過、沈殿を濾取し、目的物21(MW=346.13)を得た。収量2.14 g(収率62.2%)
【0106】
(2)6-ブロモ-3-(4-アミノフェニル)クマリン(22)の合成
【化36】
化合物21(600 mg, 1.73 mmol, MW=346.13)をエタノール(100 mL)に溶解させ、塩化スズ(II)(1.52g, 8.0 mmol, MW=189.60)を加えて加熱還流を2時間行った。反応溶媒を減圧留去した後、0.1 N水酸化ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出を行った。酢酸エチル相を回収し、酢酸エチルを減圧留去して目的物22(MW=316.15)を得た。収量251 mg(収率46%)
【0107】
(3)6-ブロモ-3-(4-メチルアミノフェニル)クマリン(23)の合成
【化37】
化合物22(135 mg, 0.43 mmol, MW=316.15)をメタノール(7.5 mL)に溶解させ、パラホルムアルデヒド(69.3 mg, 2.31 mmol, MW=30.0)とナトリウムメチラートメタノール溶液(0.135 mL)を加えて加熱還流を行った。0.5時間後、水素化ホウ素ナトリウム(85.5 mg, 2.26 mmol, MW=37.83)を少しずつ加えて、更に2時間還流を行った。反応溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチル/ヘキサン(1/2)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、目的物23(MW=330.18)を得た。収量46.9 mg(収率33%)
1H NMR(400MHz, CDCl
3)δ8.32(d,J=9.2Hz,2H),7.90(d,J=8.8Hz,2H),7.85(s,1H),7.74(d, J=2.4Hz,1H),7.69(dd,J1=8.8Hz,J2=2.4,1H), 7.30(d, J=8.8Hz,1H), 2.84(s,3H). MS m/z 329.
【0108】
(4)6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロリル)-3-(4-メチルアミノフェニル)クマリン(24)の合成
【化38】
アルゴン気中、化合物23(20 mg,61μmol, MW=330.18)のジオキサン(900μl)溶液に、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(Pd(dppf)Cl
2)(2 mg)加え、引き続きピナコールボラン(34μl)と4-メチルモルホリン(12.8μl)をゆっくり滴下した。80℃で加熱還流を6時間行った。反応終了後、酢酸エチル/ヘキサン(1/4)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、目的物である6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロリル)-3-(4-メチルアミノフェニル)クマリン(化合物24, MW=377.24)を得た。収量12.6 mg(収率55%)
1H NMR(400MHz, CDCl
3)δ8.42(d,J=9.2Hz,2H),7.97(d,J=8.8Hz,2H),7.91(s,1H),7.74(d,J=2.4Hz,1H),7.69(dd,J1=8.8Hz,J2=2.4,1H),7.31(d,J=8.8Hz,1H),2.88(s,3H),1.25(s,12H). MS m/z 377.
【0109】
(5)6-ジヒドロキシボリル-3-(4-メチルアミノフェニル)クマリン(25)の合成
【化39】
化合物24をアセトニトリル中、80℃において2%トリフルオロ酢酸で処理することにより、ホウ酸体25を得た。
【0110】
(実施例4)オーロン誘導体の合成
(1)6-ブロモ-4’-ジメチルアミノオーロン(26)の合成
【化40】
6-ブロモベンゾフラン-3(2H)-オン(100 mg, 0.47 mmol, MW=213.03)をメタノール(2.0 mL)に溶かし、氷冷下で10分攪拌した、その後、固体のままで4-(ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド(77.6 mg, 0.52 mmol, MW=149.19)を加え、更に氷冷下15分攪拌した。水酸化カリウム(134 mg, 2.4 mmol, MW=56.11)を精製水(2 mL)に溶解させ、反応溶液に加え室温で3時間攪拌した。20 mLの精製水とクロロホルム30 mL(15 mL x 2回)で抽出した。更にクロロホルム層を30 mLの精製水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、反応溶媒を減圧留去し、適量のメタノール(14mL)中で再結晶させた。目的物26(MW=344.20)を得た。収量78.5 mg(収率48.5%)
1H NMR(400MHz, CDCl
3)δ7.83(d,J=9.2Hz,2H),7.66(d,J=8.0Hz,1H),7.53(d,J=1.2Hz,1H),7.34(dd,J1=8.0Hz,J2=1.6Hz,1H),6.94(s,1H),6.83(d,J=8.4Hz,2H), 3.04(s,6H). MS m/z 343.
【0111】
(2)6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロリル)-4’-ジメチルアミノオーロン(27)の合成
【化41】
アルゴン気中、化合物26(8 mg,0.023mmol, MW=344.20)のジオキサン(800μl)とクロロホルム(100μl)溶液に、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(Pd(PPh
3)
2Cl
2)(1.5 mg)加え、トリエチルアミン(8.4μl)とピナコールボラン(8.8μl)をゆっくり滴下した。撹拌しながら90℃で22時間加熱還流した。反応終了後、酢酸エチル/ヘキサン(1/9)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、目的物である6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロリル)-4’-ジメチルアミノオーロン(化合物27, MW=391.27)を得た。収量5.4 mg(収率60%)
1H NMR(400MHz, CDCl
3)δ7.91(d,J=9.2Hz,2H),7.74(d,J=8.0Hz,1H),7.61(d,J=1.2Hz,1H),7.40(dd,J1=8.0Hz,J2=1.6Hz,1H),7.02(s,1H),6.83(d,J=8.4Hz,2H),3.09(s,6H),1.25 (s,12H). MS m/z 391.
【0112】
(3)6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロリル)-4’-ジメチルアミノオーロン(28)の合成
【化42】
化合物27をアセトニトリル中、80℃において2%トリフルオロ酢酸で処理することにより、ホウ酸体28を得た。
【0113】
(実施例5)カルコン誘導体の合成
(1)(E)-1-(4-ブロモフェニル)-3-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)プロパン-2-エン-1-オン(29)の合成
【化43】
4-ブロモアセトフェノン5.0 g(25.1 mmol, MW=199.05)をエタノール(25 mL)に溶解し、10%水酸化カリウム水溶液(75.35 mL)に氷冷下加えた。15分間撹拌後、4−(ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド3.79 g(25.1 mmol, MW=151.12)を固体のまま加え、更に氷冷下15分間撹拌した。室温に戻し、4時間撹拌した後、ジクロロメタン(85 mL)を加え、析出した油状溶液を抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、目的物である化合物29(MW=330.22)を得た。収量3.17 g(収率38.2%)
1H NMR(400MHz, CDCl
3)δ7.87(d,J=8.4Hz,2H),7.79(d,J=15.6Hz,1H),7.62(d,J=8.4Hz,2H), 7.55(d,J=6.8Hz,2H),7.27(d,J=14.8Hz,1H),6.70(d,J=8.4Hz,2H),3.06(s,6H). MS m/z 329.
【0114】
(2)4’-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロリル)-4-(ジメチルアミノ)カルコン(30)の合成
【化44】
アルゴン気中で化合物29(515 mg,1.56mmol, MW=330.22)のジオキサン(4mL)溶液に、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(Pd(PPh
3)
2Cl
2)(28.3 mg)加え、引き続きピナコールボラン(220μl)と4-トリエチルアミン(420μl)をゆっくり滴下した。撹拌しながら90℃で3時間加熱還流した。反応終了後、酢酸エチル/ヘキサン(1/9)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、目的物である4’-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロリル)-4-(ジメチルアミノ)カルコン(化合物30, MW=377.28)を得た。収量372mg(収率66%)
1H NMR(400MHz, CDCl
3)δ7.92(d,J=8.4Hz,2H),7.82(d,J=15.6Hz,1H),7.68(d,J=8.4Hz,2H), 7.55(d,J=6.8Hz,2H),7.38(d,J=14.8Hz,1H),6.74(d,J=8.4Hz,2H),3.09(s,6H),1.25(s,12H). MS m/z 377.
【0115】
(3)4’-ジヒドロキシボリル-4-(ジメチルアミノ)カルコン(31)の合成
【化45】
化合物30をアセトニトリル中、80℃において2%トリフルオロ酢酸で処理することにより、ホウ酸体31を得た。
【0116】
(実施例6)ベンゾチアゾール誘導体の合成
(1)2-(4-(メチルアミノ)フェニル)-6-(トリメチルシリルオキシ)ベンゾ[d]チアゾール(33)の合成
【化46】
アルゴン気中で、2-(4-(メチルアミノ)フェニル)ベンゾ[d]チアゾール-6-オール(Ark Pharm, Inc. IL, USA)(化合物32)256mg(1mmol, MW=256.32)をジクロロメタン5mLに溶かしトリエチルアミン278.8μl(2 mmol, MW=101.19, d=0.73)を加えた後に、クロロトリメチルシラン126.9μl(1mmol, 108.64, d=0.86)を滴下した。室温下で撹拌を2時間行い、10時間室温放置して反応を終えた(化合物33)。
【0117】
(2)2-(4-(N-メチル-N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)フェニル)-6-(トリメチルシリルオキシ)ベンゾ[d]チアゾール(34)の合成
【化47】
アルゴン気中で、化合物33にトリエチルアミン280μl(2 mmol, MW=101.19, d=0.726)、二炭酸ジ−tert−ブチル 240μl(1mmol, MW=218.25, d=0.95)を加え、室温にて1時間反応させ化合物34を得た。TLCでN-tert-ブトキシカルボニル化が起こったことを確認した。
【0118】
(3)2-(4-(N-メチル-N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)フェニル)ベンゾ[d]チアゾール-6-オール(35)の合成
【化48】
アルゴン気中で、化合物34に、テトラブチルアンモニウムフルオリド 300μl(0.3 mmol, MW=261.47, 1mmol/mLテトラヒドロフラン溶液)を加え室温で30分撹拌し、トリメチルシリル基を脱保護させ、析出した結晶を減圧留去し、酢酸エチル/ヘキサン(1/4)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、目的物である2-(4-(N-メチル-N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)フェニル)ベンゾ[d]チアゾール-6-オール(化合物35, MW=356.47)を得た。なお、本実施例の(1)〜(3)まではワンポット反応であり、各反応終了後にTLCで確認した。トータル収量100mg(収率26.8%)
1H NMR(400MHz, CDCl
3)δ7.95(d,J=8.8Hz,1H),7.90(d,J=6.8Hz,2H),7.67(d,J=2.4Hz,1H),7.24(dd,J1=8.6Hz,J2=2.2Hz,1H),6.65(d,J=8.8Hz,2H),2.91(s,3H),1.58(s,9H). MS m/z 356.
【0119】
(4)2-(4-(N-メチル-N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)フェニル)-6-トリフルオロメタンスルホニルオキシベンゾ[d]チアゾール(36)の合成
【化49】
アルゴン気中で、化合物35(95mg, 0.266mmol, MW=356.47)に2,6-ジ-tert-ブチルピリジン(450μl, 2.05mmol, MW=191.32, d=0.87)とジクロロメタン超脱水(1mL)を加え撹拌し、氷冷下、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(60μl, 0.36mmol, MW=282.13, d=1.68)をゆっくり滴下し、室温で30分反応させた。反応終了後、反応溶液に0.5N水酸化ナトリウム水溶液5mLと10%のクエン酸を加え精製水で洗浄し、ジクロロメタン10mLで抽出した。反応溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチル/ヘキサン(1/2)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、目的物である2-(4-(N-メチル-N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)フェニル)-6-トリフルオロメタンスルホニルオキシベンゾ[d]チアゾール(化合物36, MW=488.58)を得た。収量118mg(収率92%)
1H NMR(400MHz, CDCl
3)δ8.05(d,J=9.1Hz,1H),7.98(d,J=8.7Hz,2H),7.68(d,J=2.3Hz,1H), 7.27(dd,J=9.1,J2=2.3Hz,1H),6.78(d,J=8.7Hz,2H),2.94(s,3H),1.58(s,9H). MS m/z 488.
【0120】
(5)2-(4-(N-メチル-N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)フェニル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロリル)ベンゾ[d]チアゾール(37)の合成
【化50】
アルゴン気中、化合物36(41.2 mg, 0.084mmol, MW=488.58)のジオキサン(660μl)溶液に、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(Pd(PPh
3)
2Cl
2)(5.5 mg)加え、ピナコールボラン(40μl)とトリエチルアミン(64μl)をゆっくり滴下した。撹拌しながら100℃で3時間加熱還流し、反応終了後、酢酸エチル/ヘキサン(1/2)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、目的物である2-(4-(N-メチル-N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)フェニル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロリル)ベンゾ[d]チアゾール(化合物37, MW=466.44)を得た。収量12.7 mg(収率35%)
1H NMR(400MHz, CDCl
3)δ8.13(d,J=8.8Hz,2H),8.06(d,J=8.8Hz,1H),7.77(d,J=2.4Hz,1H),7.50(d,J=8.4Hz,2H),7.33(dd,J1=8.8Hz,J2=2.4,1H),2.95(s,3H),1.56(s,9H),1.24(s,12H). MS m/z 466.
【0121】
(6)2-(4-(N-メチルアミノ)フェニル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロリル)ベンゾ[d]チアゾール(38)の合成
【化51】
化合物37をアセトニトリル中、トリフルオロ酢酸で処理することにより、化合物38を得た。
【0122】
(7)2-(4-(N-メチルアミノ)フェニル)-6-ジヒドロキシボリルベンゾ[d]チアゾール(39)の合成
【化52】
化合物38をアセトニトリル中、80℃において2%トリフルオロ酢酸で処理することにより、ホウ酸体39を得た。
【0123】
(実施例7)スチルベン誘導体の合成
(1)p-ビニルフェニルボロン酸DAN保護型(40)の合成
【化53】
p-ビニルフェニルボロン酸149mg(1mmol,MW=148.0, Wako 329-84401)に、1,8-ジアミノナフタレン156mg(1mmol,MW=158.2)を粉末のまま混合し、10mLのトルエン(超脱水)を加え溶解し、90分間還流した。TLC(シリカゲル)で反応を確かめ化合物40を得た(収率99%)。
【0124】
(2)4-N-BOC-N-メチル-4’-ボロノスチルベン-DAN保護型(41)の合成
【化54】
N-BOC-N-メチル-4-(4,4,5,5,-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(MW=333.21, Wako322-52381)を397mg(1.2mmol)秤量し、パラジウム触媒として36mgの酢酸パラジウムを加え、塩基として炭酸ナトリウムを213mg(2mmol)加えた。それらを5 mLのDMFに溶解し、化合物40に加え、酸素環境下にて50℃、5時間撹拌しながら反応を行って、化合物41を得た(収率40%, TLC評価)。
1H NMR(400MHz, CDCl
3)δ 7.76(d,J=8.4Hz,2H), 7.61(d,J=8.0Hz,2H), 7.48(d,J=8.0Hz,2H), 7.24(d,J=8.4, 2H), 7.13(d,J=7.2Hz,2H), 7.05(d,J=8.0Hz,2H), 6.79-6.72(m,2H), 6.42(d,J=8.0Hz,2H), 6.03(s,2H), 3.26(s,3H), 1.45(s,9H). MS m/z 475.
【0125】
(3)スチルベン誘導体(42)の合成
【化55】
化合物41をTHFに溶解し、1N 塩酸を加え、室温下、12時間反応させて化合物42を得た。
【0126】
(実施例8)ベンズオキサボロール誘導体の合成
【化56】
【0127】
(1)(1,3-ジヒドロ-2,1-ベンゾオキサボロール-1-オール)-4-(ジメチルアミノ)カルコン(43)の合成
【化57】
5-アセチル-2-(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸 環状モノエステル176mg(1mmol, MW=176)をエタノール(10 mL)に溶解し、10%水酸化カリウム水溶液(3 mL)に氷冷下加えた。15分間撹拌後、4-(ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド151mg(1mmol, MW=151.12)を固体のまま加え、氷冷下15分間撹拌した。室温に戻し、4時間撹拌した後、ジクロロメタン(10 mL)を加え、析出した油状溶液を抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、目的物である化合物43(MW=307.16)を得た。収量67.5mg(収率22%)
1H NMR(400MHz, CDCl
3)δ7.72(d,J=15.6Hz,1H), 7.62(d,J=8.4Hz,2H), 7.48(dd,J1=7.4,J2=1.2,1H), 7.37(dd,J1=9.8,J2=7.2,2H), 7.27(d,J=14.8Hz,1H), 6.70(d,J=8.4Hz,2H), 5.12 (s,2H), 3.08 (s,6H). MS m/z 307.
【0128】
(2)(1,3-ジヒドロ-2,1-ベンゾオキサボロール-1-オール)-4-(ジメチルアミノ)フラボン(45)の合成
【化58】
5-アセチル-4-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸 環状モノエステルと4-(ジメチルアミノ)ベンズアルデヒドによるアルドール縮合により化合物44を合成し、続いてI
2酸化による環化反応により(1,3-ジヒドロ-2,1-ベンゾオキサボロール-1-オール)-4-(ジメチルアミノ)フラボン(45)を合成できた。
【0129】
(実施例9)凝集アミロイドβと各種含ホウ素リガンドの断片化実験
(1)凝集アミロイドβの調製方法
アミロイドβモノマー 300μg, Beta-Amyloid (1-42) Human Cat#AS-24224 (AnaSpec, Inc. CA, USA) に3.2mMに調整した緩衝液を200μL加えた。緩衝液は39 mgの2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール 999 (分子量 121.14, Fujifilm)を100 mLの蒸留水に加え3.2mMに調整した。アミロイドβモノマーを凝集させるために超音波にて3時間かけて基本凝集し、その後4℃(冷蔵庫内)で42時間スターラーで撹拌、更に4℃(冷蔵庫内)で48時間静置した。
【0130】
(2)BNCT(熱外中性子による中性子照射)による断片化実験
調製された凝集アミロイドβと表1の各含ホウ素リガンド(DMSOに溶解)を検査対象として36℃で3時間のインキュベーションを行い、ホウ素リガンド溶解補助剤DMSOのみを含む前記緩衝溶液をリファレンスとして、その後に加速器を用いた中性子捕捉療法機器(CICS-1, CICS社製, 東京)により熱外中性子による中性子照射を行った。各含ホウ素リガンド及びホウ酸のホウ素-10は照射時の濃度を20ppmになるように調整した。照射量は30分間の照射で3.0 Gy (物理線量)とした。照射時の機器や容器の配置は
図1に示す。
【0131】
【表1】
A:ホウ酸
B:6-ジヒドロキシボリル-4’-ジメチルアミノフラボン
C:6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロリル)-4’-ジメチルアミノスチリルクロモン
D:4’-ジヒドロキシボリル-4-(ジメチルアミノ)カルコン
【0132】
(3)断片化実験の評価
BNCTによる凝集アミロイド βの断片化実験はSDS-PAGE法を用いて行った。結果は
図2に示されるように、リファレンス及びホウ酸(A)では250kDa以上のオリゴマーやフィブリルの断片化は起こらなかった。
【0133】
一方、6-ジヒドロキシボリル-4’-ジメチルアミノフラボン(B)、6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロリル)-4’-ジメチルアミノスチリルクロモン(C)及び4’-ジヒドロキシボリル-4-(ジメチルアミノ)カルコン(D)では250kDa以上のオリゴマーやフィブリルは消失や減少傾向がみられ断片化が起こったことが示唆された。
【0134】
以上より、表1に示される各含ホウ素リガンド(B、C、D)は凝集アミロイドβの巨大分子構造を破壊することがSDS-PAGE法(
図2)により示された。ホウ酸(A)では効果は認められなかった。4’-ジヒドロキシボリル-4-(ジメチルアミノ)カルコン(D)では断片化効果はやや弱い傾向を示した。