【実施例】
【0046】
以下の非限定的な実施例は、単に本発明を例示するためにのみ提示するものである。当業者は、例示されない多くの等価物および変形形態があるが、それらは本教示の一部を依然として形成することを理解されよう。
【0047】
全般.全ての市販されている材料および溶媒を、特に記載がない限り受領したままで使用した。全ての反応を、窒素雰囲気下で実行した。反応温度を、特に指示がない限り内部で測定した。アキラルUPLC分析は、Waters Acquity(商標)H−Class UPLCシステムで、Waters HSS(商標)T3カラム(2.1×100mm、1.8μm);カラム温度45℃;流量0.65mL/分;検出UV 210nm;移動相:水中0.1%MsOH(溶媒A)、アセトニトリル(溶媒B);勾配溶離(12分):0〜8.20分 溶媒Bを2%〜50%まで増加、8.20〜9.00分 溶媒Bを50%〜100%まで増加、9.00〜9.50分 溶媒Bを100%で保持、9.50〜9.51分 溶媒Bを100%〜2%まで減少、9.51〜12.00分 溶媒Aを2%で保持、を使用して実施した。キラルSFC分析は、Waters UPC
2 SFCシステムで、Chiralcel(商標)OJ−Hカラム(4.6×250mm、5μm);カラム温度40℃;流量4.0mL/分;検出UV 210nm;背圧150バール;移動相:CO
2(溶媒A)、75:25アセトニトリル/MeOH+0.1%TFA+0.1%イソプロピルアミン(溶媒B);勾配溶離(15分):0〜11.0分 溶媒Bを5%〜30%まで増加、11.0〜11.1分 溶媒Bを30%で保持、11.1〜11.2分 溶媒Bを30%〜5%まで減少、11.2〜12.0分 溶媒Bを5%で保持、を使用して実施した。
【0048】
(実施例1)
1−((2S,5R)−5−((7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)−2−メチルピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン p−トルエンスルホン酸塩(形態1)の調製
(A) オーバーヘッドスターラーを備えた50mL EasyMax(商標)フラスコに、p−トルエンスルホン酸一水和物(7.01mmol、1.35g)、メチルエチルケトン(10.0mL)および水(0.30mL)を加えた。溶液を22℃で5分間撹拌した。1−((2S,5R)−5−((7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)−2−メチルピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(7.01mmol、2.00g)のメチルエチルケトン(10.0mL)溶液を添加漏斗によって20分にわたってゆっくり加えた。スラリーを22℃で30分間撹拌した。メチルエチルケトン(10.0mL)を添加漏斗によって15分にわたってゆっくり加えた。スラリーを22℃で60分間撹拌し、次いでろ過した。固体をメチルエチルケトン(2×3mL)で洗浄し、真空乾燥器(30℃)内で16時間乾燥させた。1−((2S,5R)−5−((7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)−2−メチルピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン p−トルエンスルホン酸塩(形態1)(5.81mmol、2.66g)を白色の砂状粉末として82.9%収率で得た。典型的な純度は99%超であった。
【0049】
(B) p−トルエンスルホン酸一水和物(2.66g、13.8mmol)のメチルエチルケトン(7.2mL)溶液を、メチルエチルケトン(22.5mL)および水(1.56mL)中の1−((2S,5R)−5−((7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)−2−メチルピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(3.60g、12.5mmol)の撹拌溶液に22℃で加えた。PF−06651600−15(89mg)の種結晶を加え、混合物を22℃で4時間撹拌した。次いでメチルエチルケトン(48mL)を1時間にわたってゆっくり加えた。スラリーを22℃で18時間撹拌し、次いでろ過した。ケーキをメチルエチルケトン(15mL)で洗浄し、次いで真空下40℃で4時間乾燥させた。1−((2S,5R)−5−((7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)−2−メチルピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン p−トルエンスルホン酸塩 形態1(4.95g、10.8mmol)を白色固体として86%収率で得た。
【0050】
(実施例2)
1−((2S,5R)−5−((7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)−2−メチルピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン リン酸塩(形態A)の調製
MEK(133mL)および水(10.8mL)中の1−((2S,5R)−5−((7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)−2−メチルピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(18.00g、63.1mmol)の溶液を、アセトン(72mL)および水(18mL)中の85%リン酸(8.00g、69.4mmol)の撹拌溶液に22℃で10分間にわたってゆっくり加えた。1−((2S,5R)−5−((7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)−2−メチルピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン溶液50mLを加えたときに、1−((2S,5R)−5−((7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)−2−メチルピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(200mg)の種結晶を加えた。スラリーを22℃で4時間撹拌し、次いでろ過した。ケーキを15:1v/v MEK/水(48mL)で洗浄し、次いで真空下50℃で16時間乾燥させた。1−((2S,5R)−5−((7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)−2−メチルピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン リン酸塩形態A(21.30g、55.6mmol)を白色固体として88%収率で得た。
【0051】
調製
【0052】
【化5】
【0053】
【化6】
【0054】
【化7】
【0055】
【化8】
【0056】
調製1
tert−ブチル(6−メチルピリジン−3−イル)カルバミン酸(3)。3000L反応器に、2(72.00kg、665.8mol)およびTHF(660kg)を投入した。NH
4Cl(1.07kg、20mol)の水(72kg、4000mol)溶液を加えた。混合物を57℃に加熱し、二炭酸ジ−t−ブチル(220.0kg、1003mol)を、温度を55〜60℃に維持しながらTHF(45kg)のリンス液と共にゆっくり加えた。混合物を55〜60℃で10時間撹拌した。反応完了後、スラリーを20℃に冷却し、酢酸エチル(654kg)および水(367kg)を加えた。有機相を分離し、水(2×360kg)で洗浄し、活性炭(22kg)と共に5時間撹拌した。混合物をTHFリンス液と共に珪藻土(22kg)の層に通してろ過し、ろ液を真空下40℃未満で残留体積約370Lまで濃縮した。n−ヘプタン(500kg)を1時間にわたってゆっくり加え、得られたスラリーを20℃に冷却し、2時間撹拌した。固体を、n−ヘプタン洗浄液(420kg)と共に遠心分離によって回収し、次いで真空下45℃で20時間乾燥させて、3(131.15kg、629.7mol)を白色粉末として94.5%収率で得た。HPLC純度:99.9%。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ ppm 9.42 (brs, 1H), 8.48 (d, J = 1.9 Hz,
1H), 7.75 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.13 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 2.38 (s, 3H), 1.49 (s,
9H).
13C NMR (100
MHz, DMSO-d
6): δ ppm
153.34, 151.56, 139.75, 134.13, 126.10, 123.09, 79.87, 28.56, 23.70. HRMS (ESI)
m/z: C
11H
17N
2O
2 [M + H]
+の計算値209.1290; 実測値209.1285.
【0057】
調製2
tert−ブチル(6−メチルピペリジン−3−イル)カルバメート(rac−4)。3000L反応器に3(137.0kg、667.8mol)、エタノール(988kg)および酢酸(139kg)を投入した。反応器を窒素で3回パージし、5wt%ロジウム/炭素(湿潤、27.4kg、3に対して20wt%担持)を加えた。反応器を窒素で3回、次いで水素3回パージした。水素圧を0.34〜0.38MPaに調整し、反応器温度を47℃に調整した。混合物を水素圧下0.34〜0.38MPaで、45〜60℃で10時間撹拌した。反応完了後、反応器を20℃に冷却し、窒素で流した。混合物をエタノールリンス液(1320kg)と共に珪藻土(20kg)の層に通してろ過し、ろ液を真空下50℃未満で残留体積約350Lまで濃縮した。n−ヘプタン(571kg)を加え、混合物を真空下50℃未満で残留体積約350Lまで濃縮した。この操作を、残留酢酸が8.0%未満になるまで2回繰り返した。エタノール(672kg)を加え、混合物を真空下50℃未満で残留体積約350Lまで濃縮した。この操作を、残留n−ヘプタンが0.2%未満、水が0.2%未満になるまで2回繰り返した。エタノール(889kg)を加え、溶液(1254kg)を、後続の古典的な溶解ステップで使用するためにドラムに移した。アキラルHPLCアッセイは、溶液に、96%質量回収率で10.8wt%の全還元生成物(rac−4)が含有されていることを示唆し、キラルSFCは、溶液に、36.3%の所望の立体異性体シス−4が含有されていることを示した。
【0058】
調製3
tert−ブチル((3R,6S)−6−メチルピペリジン−3−イル)カルバメート(R)−2−(3,5−ジニトロベンズアミド)−2−フェニル酢酸塩(15)。2000L反応器(R1)に、rac−4を10.8wt%のエタノール溶液(620.5kg、全4異性体約312.7mol)として投入した。溶液を真空下45℃未満で残留体積約210Lまで濃縮し、次いで20℃に冷却した。3000L反応器(R2)に、(R)−2−(3,5−ジニトロベンズアミド)−2−フェニル酢酸14(47.0kg、136.1mol)およびエタノール(1125kg)を投入した。高速撹拌しながら、反応器R2を70℃に加熱し、68〜70℃で約2時間撹拌して固体14全てを溶解させ、次いで結晶15(11g)をシーディングした。反応器R1中の4を含有する溶液をエタノールリンス液(160kg)と共に反応器R2に30分にわたってゆっくり移した。反応器R2を約74℃で3時間撹拌し、次いで5時間にわたって線形冷却速度で22℃に冷却し、16時間撹拌した。エタノール洗浄液(2×200kg)と共に遠心分離によって固体を回収した。ウェットケーキ(97.1%e.e.)を反応器R2に再度投入した。スラリーを74℃に加熱し、混合物を17時間撹拌した。次いで混合物を5時間にわたって線形冷却速度で22℃に冷却し、4時間撹拌した。エタノール洗浄液(2×200kg)と共に遠心分離によって固体を回収し、真空下35℃で25時間乾燥させて、2ステップにわたって15(56.05kg、100.2mol)を白色粉末として30.7%収率で得た。キラルHPLC純度:99.1%。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ ppm 9.46 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 9.07 (d, J =
2.2 Hz, 2H), 8.96 (t, J = 2.2 Hz, 1H), 7.49 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 7.30 (t, J =
7.3 Hz, 2H), 7.23 (t, J = 7.3, 1H), 7.11 (m, 1H), 5.31 (d, J = 7.0 Hz, 1H),
3.66 (m, 1H), 2.98 (m, 3H), 1.63 (m, 2H), 1.45 (m, 2H), 1.40 (s, 9H),
1.11 (d, J = 6.7 Hz, 3H).
13C NMR (100 MHz, DMSO-d
6): δ ppm 172.71, 161.71, 155.42, 148.51,
141.27, 137.70, 128.29, 128.25, 128.02, 127.05, 121.12, 78.49, 59.74, 50.66,
46.29, 43.34, 28.66, 26.88, 26.11, 18.60.
【0059】
調製4
ベンジル(2S,5R)−5−アミノ−2−メチルピペリジン−1−カルボキシレート塩酸塩(7・HCl)−短縮したプロセス。2000L反応器に、15(70.0kg、125mol)およびMTBE(500kg)を投入した。混合物を12℃に冷却し、10〜25℃の温度に維持しながら6.9wt%NaOH水溶液(378kg、652mol)をゆっくり加えた。混合物を18℃で1時間撹拌した。有機相を分離し、3.8wt%NaOH水溶液(2×221kg)、次いで25wt%NaCl水溶液(2×220kg)で洗浄した。有機層(遊離塩基シス−4を含有)を真空下40℃未満で残留体積約300Lまで濃縮し、次いで20℃に冷却した。NaHCO
3(53kg、632mol)および水(200kg)を加え、混合物を7℃に冷却した。クロロ蟻酸ベンジル(32.30kg、189.3mol)を5〜20℃の温度に維持しながらゆっくり加えた。混合物を17℃で20時間撹拌した。反応完了後、混合物を12℃に冷却し、25wt%水酸化アンモニウム水溶液(79kg、1160mol)を10〜20℃の温度に維持しながらゆっくり加え、混合物を15℃で1時間撹拌した。有機相を分離し、25wt%NaCl水溶液(3×90kg)で洗浄した。有機層(5を含有)を真空下45℃未満で残留体積約150Lまで濃縮した。酢酸イソプロピル(310kg)を加え、混合物を真空下45℃未満で残留体積約150Lまで濃縮した。水0.1%未満の基準(KFによる)を満たすように、この操作を2回繰り返した。次いで酢酸イソプロピル(130kg)を加え、混合物を−3℃に冷却した。メタノール中4〜5N HCl(181kg、約730mol)を−5〜5℃の温度に維持しながらゆっくり加え、混合物を3℃で12時間撹拌した。反応完了後、混合物を−3℃に冷却し、MTBE(940kg)を−5〜5℃の温度に維持しながらゆっくり加えた。得られたスラリーを3℃で3時間撹拌した。MTBE洗浄液(4×70kg)と共に遠心分離によって固体を回収し、次いで真空下45℃で20時間乾燥させて、7・HCl(28.60kg、100.4mol)を白色粉末として80.3%収率で得た。アキラルHPLC純度:100%。キラルSFC純度:99.8%e.e.。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ ppm 8.36 (brs, 3H), 7.37 (m, 5H), 5.09 (s,
2H), 4.31 (m, 1H), 4.16 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 3.00 (m, 2H), 1.82 (m, 2H), 1.59
(m, 2H), 1.11 (d, J = 7.0 Hz, 3H).
13C NMR (100 MHz, DMSO-d
6): δ ppm 154.71, 137.24, 128.92, 128.34, 128.00, 66.89, 47.20, 45.66,
40.68, 28.16, 23.02, 15.67. HRMS (ESI) m/z: C
14H
20N
2O
2
[M + H]
+の計算値249.1603;
実測値249.1598.
【0060】
調製5
ベンジル(2S,5R)−5−((2−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)−2−メチル−ピペリジン−1−カルボキシレート(9)。2000L反応器に、7・HCl(88.6kg、311.12mol)、8(56.0kg、298mol)、K
2CO
3(133.0kg、962.3mol)、水(570kg)およびMIBK(101kg)を投入した。混合物を90℃に加熱し、この温度で22時間撹拌した。反応完了後、混合物を56℃に冷却し、酢酸エチル(531kg)を加えた。混合物を22℃に冷却後、有機相を分離し、水(570kg)で洗浄し、真空下40℃未満で残留体積約220Lまで濃縮した。メタノール(360kg)を1時間にわたってゆっくり加え、混合物を真空下50℃未満で残留体積約220Lまで濃縮した。残留MIBKが5wt%未満に達するまでこの操作を3回繰り返した。メタノール(270kg)を加え、続いて9(120g)をシーディングした。混合物を22℃で4時間超撹拌し、水(286kg)を4時間にわたってゆっくり加えた。スラリーを10時間撹拌し、次いで固体を遠心分離によって回収した。ウェットケーキ(165.6kg)をきれいな反応器に再度投入し、水(896kg)を加えた。スラリーを55℃に加熱し、この温度で7時間撹拌し;次いで22℃に冷却し、この温度で2時間撹拌した。水洗浄液(3×170kg)と共に遠心分離によって固体を回収し、真空下55℃で20時間乾燥させて、9(106.62kg、266.6mol)を白色粉末として89.5%収率で得た。アキラルHPLC純度:99.7%。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ ppm 11.71 (brs, 1H), 7.72 (d, J = 7.9 Hz,
1H), 7.38 (m, 5H), 7.10 (s, 1H), 6.57 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 5.11 (m, 2H), 4.39
(m, 1H), 4.17 (m, 1H), 4.01 (m, 1H), 3.36 (s, 2H), 2.77 (m, 1H), 1.73-1.81 (m,
4H), 1.16 (d, J = 6.6 Hz, 3H).
13C NMR (100 MHz, DMSO-d
6): δ ppm 156.65, 154.74, 153.04, 151.31, 137.43, 128.89, 128.27, 127.96,
122.13, 101.65, 99.51, 66.75, 49.10, 47.32, 45.64, 42.98, 29.05, 25.08. HRMS
(ESI) m/z: C
20H
22ClN
5O
2 [M + H]
+の計算値400.1540; 実測値400.1535.
【0061】
調製6
N−((3R,6S)−6−メチルピペリジン−3−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミン一水和物(10・H
2O)。1600L反応器に水(570kg)を投入した。反応器を窒素で3回パージした。10%Pd(OH)
2/C(湿潤、3.2kg)および9(53.34kg、133.2mol)を水リンス液(2×55kg)と共に加えた。反応器を窒素で3回、次いで水素で3回パージした。水素圧を0.34〜0.38MPaに調整し、反応器の温度を77℃に調整した。混合物を0.34〜0.38MPaの水素圧下75〜80℃で10時間撹拌した。反応完了後、反応器を20℃に冷却し、窒素でパージした。混合物を水リンス液(460kg)と共に珪藻土(8kg)の層に通してろ過し、ろ液を3000L反応器に移した。メタノール(260kg)を加え、続いて50wt%水性水酸化ナトリウム(12.0kg、150mol)を、15〜25℃の温度を維持しながらゆっくり加えた。スラリーを55℃に加熱し、2時間撹拌し;次いで22℃に冷却し、10時間撹拌した。10:1水/メタノール洗浄液(3×110kg)と共に遠心分離によって固体を回収し、次いで真空下55℃で20時間乾燥させて、10・H
2O(30.90kg、266.6mol)を白色粉末として89.1%収率で得た。アキラルHPLC純度:99.7%。キラルSFC純度:99.8%e.e.。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ ppm 11.48 (brs, 1H), 8.08 (s, 1H), 7.07
(s, 1H), 6.85 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 6.64 (s, 1H), 4.16 (m, 1H), 3.35 (brs, 2H),
2.96 (d, J = 12.7 Hz, 1H), 2.82 (d, J = 12.7 Hz, 1H), 2.67 (m, 1H), 2.04 (brs,
1H), 1.92 (m, 1H), 1.63 (m, 1H), 1.44 (m, 1H), 1.33 (m, 1H), 1.03 (d, J =
6.2 Hz, 3H).
13C NMR
(100 MHz, DMSO-d
6): δ ppm 155.95, 151.87, 150.74, 121.20, 102.97, 99.20, 51.27, 49.94,
44.78, 29.97, 28.69, 22.35. HRMS (ESI) m/z: C
12H
17N
5
[M + H]
+の計算値232.1562;
実測値232.1558.
【0062】
調製7
1−((2S,5R)−5−((7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)−2−メチルピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(1)。100L反応器に水(18.0L)、10・H
2O(3.60kg、14.4mol)およびTHF(36.0L)を投入した。混合物を53℃に加熱し、15分間撹拌して全ての固体を溶解させた。次いで溶液を18℃に冷却し、K
3PO
4(6.38kg、30.1mol)を加えた。混合物を18℃で10分間撹拌して、全ての固体を溶解させ、次いで10℃に冷却した。塩化3−クロロプロピオニル(2.20kg、17.3mol)を、20℃未満の温度を維持しながら加えた。次いで混合物を20℃で2時間撹拌した。反応完了後、2N NaOH水溶液(23.50kg、43.76mol)を、25℃未満の温度を維持しながら加えた。混合物を、脱離反応が完了するまで(11<0.2%)22℃で12時間超撹拌した。KH
2PO
4(10.32kg、75.8mol)を加え、混合物を20℃で10分間撹拌した。有機相を分離し、次いで23.5wt%NaCl水溶液(2×8.5kg)で洗浄した。単離した有機相を、真空下30℃未満で残留体積約10Lまで濃縮し、その後MEK(39.6L)を加えた。この操作を、残留THFが1%未満、および水が2%未満になるまで、1回または2回繰り返した。MgSO
4(0.96kg)、シリカゲル(4.90kg)およびDarco(商標)G−60(0.48kg)をMEK溶液に加え、混合物を20℃で1時間撹拌し、次いで
MEKリンス液(76L)と共に珪藻土の層に通してろ過した。合わせたろ液を真空下30℃未満で残留体積約8Lまで濃縮した。残留溶液の濃度をqNMRによって測定し、計算した量のMEKを使用して最終濃度を30wt%に調整し、溶液をリンス液と共に容器に移した。したがって、純度98.7%のMEK中1の30wt%溶液(11.09kg、11.66molの1)を81%収率で得、それを次のステップのために冷蔵室(2〜8℃)に保管した。
【0063】
調製8
1−((2S,5R)−5−((7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)−2−メチルピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン p−トルエンスルホン酸塩(1・TsOH)。20L反応器に、MEK中1の30wt%溶液(9.80kg、10.30molの1)およびシリカゲル(0.74kg)を投入した。混合物を22℃で15分間撹拌し、MEKリンス液(7.89kg、9.8L)と共に0.45ミクロンのテフロンカートリッジフィルターを通してろ過し、100L反応器に回収した。水(1.27L)、続いてp−トルエンスルホン酸一水和物(2.18kg、11.3mol)のMEK(4.75kg、5.9L)溶液をMEKリンス液(3.14kg、3.9L)と共に加え、続いて1・TsOH種結晶(188g、0.41mol)を加えた。混合物を22℃で4時間撹拌して、スラリーを形成し、MEK(31.56kg、39.2L)を3時間にわたってゆっくり加えた。スラリーを22℃で追加の2時間撹拌し、次いでろ過した。ケーキをMEK(4.02kg、5L)で洗浄し、次いで真空下50℃で10時間乾燥させて、1・TsOH(4.41kg、9.64mol)を白色粉末として89.6%収率(投入した種結晶の量に当たる)で得た。アキラルHPLC純度:99.6%、0.22%の二量体15。キラルSFC純度:>99.7%。m.p.199℃。NMR分光法で観察された回転異性体。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ ppm 12.68 (brs, 1H), 9.22 (brs, 1H), 8.40
(s, 1H), 7.50 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.45 (m, 1H), 7.12 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 6.94
(d, J = 1.2 Hz, 1H), 6.84 (m, 1H), 6.13 (m, 1H), 5.70 (m, 1H), 4.81 (m, 0.5H),
4.54 (m, 0.5H), 4.41 (m, 0.5H), 4.12 (m, 0.5H), 3.99 (m, 1H), 3.15 (m, 0.5H),
2.82 (m, 0.5H), 2.29 (s, 3H), 1.91-1.72 (m, 4H), 1.24-1.17 (m, 3H).
13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ ppm 165.52, 165.13, 150.50, 145.64,
143.06, 138.48, 129.51, 129.24, 128.67, 127.99, 127.73, 125.97, 125.02, 102.30,
49.53, 48.92, 47.27, 43.83, 42.96, 29.37, 28.41, 25.22, 21.28, 16.97, 15.51.
HRMS (ESI) m/z: C
15H
20N
5O [M + H]
+の計算値286.1668; 実測値286.1692.
【0064】
比較例
1−((2S,5R)−5−((7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)−2−メチル−ピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オンマロン酸塩(形態1)の調製
250mL丸底フラスコに、1−((2S,5R)−5−((7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)−2−メチルピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(4.10g、14.4mmol)、MEK(メチルエチルケトン(15.0mL/g、687mmol、49.5g、61.5mL))を投入した。溶液に、マロン酸(0.950当量 13.7mmol、1.42g)を一度に加えた。混合物を50℃に加熱し、50で15分間撹拌した。加熱を止め、スラリーを16時間撹拌した。得られた白色スラリーをろ過した。ろ過ケーキをMEK(2×5mL)で洗浄し、真空乾燥器(40℃)内で2時間乾燥させて、1−((2S,5R)−5−((7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)−2−メチルピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オンマロン酸塩(形態1)(4.48g、11.5mmol、4.48g、80.1%収率)を白色粉末として得た。
【0065】
機器および分析方法:
粉末X線回折:
PXRDパターンを、自動サンプルチェンジャー、シータ−シータゴニオメーター、自動ビーム発散スリット、およびPSD Vantec−1検出器を取り付けたBruker−AXS Ltd.D4粉末X線回折計で回収した。X線管の電圧およびアンペア数は、それぞれ35kVおよび40mAに設定した。回折計を配置し、データ回収の日にコランダム標準物質を使用して較正チェックを行なった。Cu波長で、0.018度のステップサイズおよび11.3時間のスキャン時間を使用し、2.0から65.0度2−シータまでスキャンして、データを回収した。試料は、わずかにグリースを塗った低バックグラウンドホルダーに粉末を置くことによって準備した。試料粉末をスライドガラスによってプレスして、確実に適切な試料高さが達成され、回収中に回転させる。Bruker DIFFRACソフトウェアを使用してデータを回収し、DIFFRAC EVAソフトウェア(バージョン3.1)によって分析を行なった。
【0066】
回収したPXRDパターンを、Bruker DIFFRAC EVAソフトウェアにインポートした。測定したPXRDパターンは、ピーク位置を選択する前に、単結晶データからシミュレーションしたパターンに合わせて配置した。Brukerソフトウェアを使用してピークサーチを行なった。ピーク選択を注意深くチェックして、全てのピークが捕捉され、全てのピーク位置が正確に割り当てられていることを確認した。30未満の2−シータをもつピークのピークリストは、100%に等しい最高強度のピークに対して正規化された。ピーク位置における±0.2° 2−シータの典型的な誤差が、このデータに適用される。この測定に関連する軽微な誤差は、(a)試料調製(例えば、試料高さ)、(b)機器、(c)較正、(d)オペレーター(ピーク位置を決定するときに存在するこれらの誤差を含む)、および(e)材料の性質(例えば、優先配向および透明度の誤差)を含む種々の要因の結果として生じる可能性がある。したがってピークは、±0.2°2−シータの典型的な関連誤差があると見なされる。リスト中の2つのピークが、オーバーラップしていると見なされる場合(±0.2°2−シータ)、より強度が低いピークはリストから削除されている。より高い強度の隣接ピーク上のショルダーとして存在するピークも、ピークリストから削除されている。ショルダーが隣接ピークの位置から0.2°2−シータより大きい場合があるが、隣接ピークから識別可能とは見なされない。
【0067】
理想的には、粉末パターンは、参照に対して配置すべきである。これは、同じ形態の結晶構造からシミュレーションした粉末パターン、または内部標準、例えばシリカのいずれかである。ピークリストを生成するために使用した形態1の測定したPXRDパターンは、単結晶構造からのシミュレーションしたパターンに配置された。
【0068】
FT−ラマン:
FT−ラマンスペクトルを、Vertex 70 FTIR分光計に取り付けたRAM II FT ラマンモジュールを使用して、回収した。機器は、1064nm Nd:YAGレーザーおよび液体窒素で冷却されたゲルマニウム検出器を備えている。データ取得の前に、白色光源、およびポリスチレンおよびナフタレン参照を使用して、機器の運転および較正の検証を実施した。
【0069】
試料は、スペクトル回収中に回転させていた、切り詰めたNMR管(直径5mm)で分析した。回転器中の試料からの後方散乱によるラマンシグナルを最適化し、以下のパラメーターを使用してスペクトルを取得した:
レーザー出力: 500mW
スペクトル分解能: 2cm
−1
回収範囲: 約4000〜50cm
−1
走査数: 512
アポダイゼーション関数: Blackmann−Harris 4項
【0070】
この実験構成におけるピーク位置の変動は、±2cm
−1内である。
【0071】
ピークピッキングの前に、Stokes散乱ラマンシグナルの強度スケールを1.00に正規化した。次いで、GRAMS/AI v.9.1ソフトウェア(Thermo Fisher Scientific)においてピークピッキング機能を使用し、閾値を0.05に設定して、ピーク位置を同定した。
【0072】
相対強度が1.00〜0.75、0.74〜0.5、0.49〜0.25および0.25未満であるピークを、それぞれ極強、強、中および弱に分類した。
【0073】
固体
13C核磁気共鳴分光法:
固体NMR(ssNMR)分析は、Bruker−BioSpin Avance III 500MHz(
1H振動数)NMR分光計の中に配置されたCPMASプローブで行なった。材料は、標準的なドライブキャップで密封した4mmローターに詰め込んだ。データを5℃で回収した(PbNO
3によって較正された)。
13CssNMRスペクトルは、プロトンデカップリング交差偏波マジック角スピン(CPMAS)実験を使用して回収した。マジック角スピン速度15.0kHzを使用した。スペクトルを取得する間、80〜90kHzの位相変調されたプロトンデカップリング場を適用した。交差偏波接触時間は、2ミリ秒に設定し、リサイクル遅延は15秒に設定した。走査数は、妥当なシグナル対ノイズ比が得られるように調整し、APIのために1024スキャンを回収し、薬物製剤のために6144スキャンを回収した。炭素化学シフトスケールは、結晶質アダマンタンの外部標準に関する
13C CPMAS実験を使用して参照し、その高磁場共鳴を29.5ppmに設定した。
【0074】
Bruker−BioSpin TopSpinバージョン3.5ソフトウェアを使用して、自動ピークピッキングを行なった。一般に、相対強度5%の閾値を使用して、予備的なピーク選択をした。自動化によるピークピッキングの出力を視覚的にチェックして、妥当性を保証し、必要に応じて調整を手作業で行なった。本明細書で特定の
13C固体NMRピーク値を報告しているが、機器、試料、および試料調製の違いによって、それらのピーク値に範囲が存在する。これは、ピーク位置に固有の変動があるため、固体NMRの分野において一般的なことである。
13C化学シフトのx軸値についての典型的な変動性は、結晶性固体ではだいたいプラスマイナス0.2ppmである。本明細書で報告した固体NMRピーク高さは、相対強度である。固体NMR強度は、CPMAS実験パラメーターの実際の設定および試料の熱履歴に応じて変化し得る。
【0075】
本発明は、1つまたは複数の固体状態分析方法によって同定することができる1−((2S,5R)−5−((7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)−2−メチル−ピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オンのp−トルエンスルホン酸塩の結晶形態を提供する。23℃における1−((2S,5R)−5−((7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)−2−メチル−ピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オンのp−トルエンスルホン酸塩の結晶形態についてのPXRDピークリストを、表1に示す。特徴的なピークをアスタリスク(
*)によって示す。
【0076】
【表1】
【0077】
開示した方法に従って調製した結晶形態についてのラマンピークのリストを表2に示す。特徴的なピークをアスタリスク(
*)によって示す。
【0078】
【表2-1】
【0079】
【表2-2】
【0080】
開示した方法に従って調製した結晶形態についての固体
13C NMRピークリストを表3に示す。特徴的なピークをアスタリスク(
*)によって示す。
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
(実施例3)
固体状態安定性
トシル酸塩とリン酸塩の固体状態安定性は、非晶質遊離塩基ならびにマロン酸塩の両方と比較すると、著しく改善されている。固体状態安定性は、加速安定性条件(70℃/75%RH)を使用して1週間モニターし、次いで、外観、純度および形態変化をモニターする。これらの加速条件は、APIの初期使用期間を割り当てるために使用される。マロン酸塩の場合、APIの純度は、1週間の加速条件にかけた後、99.5%から81.6%に低下した。比較のトシル酸塩は、加速安定性条件にかけ、99.1%から97.7%への純度低下を示した。リン酸塩は、遊離塩基およびマロン酸塩の比較物よりも安定性において同様に予期しない改善を示した。比較データを表5に記載している。したがって、APIのマロン酸塩に処方された推奨保管条件は、冷蔵を必要とするが、トシル酸塩は、APIとして使用するための冷蔵保管条件を必要としないであろう。
【0084】
【表5】