(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-66941(P2020-66941A)
(43)【公開日】2020年4月30日
(54)【発明の名称】基礎の水抜き栓
(51)【国際特許分類】
E02D 27/01 20060101AFI20200403BHJP
【FI】
E02D27/01 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-200925(P2018-200925)
(22)【出願日】2018年10月25日
(71)【出願人】
【識別番号】392034746
【氏名又は名称】吉川化成株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】516024501
【氏名又は名称】株式会社T&N
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】福田 博
(72)【発明者】
【氏名】足立 清泰
(72)【発明者】
【氏名】島内 国信
(72)【発明者】
【氏名】田中 純一
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046BA01
(57)【要約】
【課題】設置作業や後処理に手数を要することがなく、また、一定した設置精度を確保することができる基礎の水抜き栓を提供すること。
【解決手段】建造物を構築中に布基礎Kによって囲まれた土間部分Dに溜まった水を排出するためのもので、布基礎K内に布基礎Kの幅方向に貫通して埋設される下方が開放した外枠部材2と、外枠部材2に貫装される栓部材3とからなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物を構築中に布基礎によって囲まれた土間部分に溜まった水を排出するための基礎の水抜き栓において、布基礎内に該布基礎の幅方向に貫通して埋設される下方が開放した外枠部材と、該外枠部材に貫装される栓部材とからなることを特徴とする基礎の水抜き栓。
【請求項2】
前記栓部材の長手方向の間に、易切断部が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の基礎の水抜き栓。
【請求項3】
前記栓部材の長手方向の端面に、目印片を取り付けてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の基礎の水抜き栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布基礎によって囲まれた土間部分に溜まった水を排出するための基礎の水抜き栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建造物を構築する際、構築中に雨が降ると、布基礎によって囲まれた土間部分に水が溜まり、水を排出するのに手数を要するという問題があった。
【0003】
この問題に対処するために、布基礎に水抜き穴を形成したり、布基礎によって囲まれた土間部分に水抜き栓を設けることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ところで、上記布基礎によって囲まれた土間部分に溜まった水を排出するために布基礎に形成される水抜き穴は、布基礎を構築する際に、木片等からなる離脱型を布基礎構築用型枠に仕込んでおき、布基礎構築用型枠内にコンクリートを打設して布基礎を構築した後、布基礎内に埋設されている離脱型を抜き去って形成するものであるため、離脱型の離脱や建造物を構築した後の水抜き穴の処置に手数を要するとともに、水抜き穴の形成精度が一定しないという問題があった。
【0005】
また、上記布基礎によって囲まれた土間部分に溜まった水を排出するために布基礎によって囲まれた土間部分に設けられる水抜き栓は、布基礎によって囲まれた土間部分の地中に水を排出するものであるため、水抜き栓の設置に手数を要するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−161982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記布基礎によって囲まれた土間部分に溜まった水を排出するために布基礎に形成される水抜き穴や布基礎によって囲まれた土間部分に溜まった水を排出するために布基礎によって囲まれた土間部分に設けられる水抜き栓の有する問題点に鑑み、設置作業や後処理に手数を要することがなく、また、一定した設置精度を確保することができる基礎の水抜き栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の基礎の水抜き栓は、建造物を構築中に布基礎によって囲まれた土間部分に溜まった水を排出するための基礎の水抜き栓において、布基礎内に該布基礎の幅方向に貫通して埋設される下方が開放した外枠部材と、該外枠部材に貫装される栓部材とからなることを特徴とする。
【0009】
この場合において、前記栓部材の長手方向の間に、易切断部が形成されてなるようにすることができる。
【0010】
また、前記栓部材の長手方向の端面に、目印片を取り付けてなるようにすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の基礎の水抜き栓によれば、布基礎内に該布基礎の幅方向に貫通して埋設される下方が開放した外枠部材と、該外枠部材に貫装される栓部材とからなることから、水抜き栓の設置作業や後処理に手数を要することがなく、また、一定した水抜き栓の設置精度を確保することができる。
【0012】
また、栓部材の長手方向の間に、易切断部が形成されてなるようにすることにより、栓部材の長手方向の寸法を、栓部材を易切断部で切断することで外枠部材の長手方向の寸法より短くなるようにし、埋め戻し部材として転用することができる。
【0013】
また、栓部材の長手方向の端面に、目印片を取り付けてなるようにすることにより、布基礎構築用型枠内にコンクリートを打設して布基礎を構築し、布基礎構築用型枠を外した状態で、布基礎内に埋設されている水抜き栓の位置を容易に視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の基礎の水抜き栓の一実施例を示す設置状態を示す説明図である。
【
図2】同基礎の水抜き栓の外枠部材の説明図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は右側面図、(e)は(a)のA−A断面図である。
【
図3】同基礎の水抜き栓の栓部材の説明図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は右側面図、(e)は(a)のA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の基礎の水抜き栓の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0016】
図1〜
図3に、本発明の基礎の水抜き栓の一実施例を示す。
この基礎の水抜き栓1は、建造物を構築中に布基礎Kによって囲まれた土間部分Dに溜まった水を排出するためのもので、布基礎K内に布基礎Kの幅方向に貫通して埋設される下方が開放した外枠部材2と、外枠部材2に貫装される栓部材3とからなる。
【0017】
この水抜き栓1を構成する外枠部材2及び栓部材3は、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂の成形品からなる。
【0018】
このうち、外枠部材2は、布基礎K内に布基礎Kの幅方向に貫通して埋設されるもので、下方が開放し、下端に水平方向外側に延設した設置片21を形成することで、断面形状がハット形をしている。
この外枠部材2は、建造物を構築中に布基礎Kによって囲まれた土間部分Dに溜まった水を排出する際の導水路を構成するものであるが、下方が開放して形成されているため、設置片21を形成することで設置精度を容易に確保することができることと相俟って、布基礎K内に布基礎Kの幅方向に貫通して埋設したときに土間部分Dとに段差が生じにくく、水を円滑に排出することができるようにしている。
【0019】
また、外枠部材2に貫装される栓部材3は、外枠部材2の内面に沿って摺接、摺動する精度に形成するようにしたもので、上方が開放し、内部を横仕切り片31a及び縦仕切り片31bによって適宜区画した箱形をしている。
この栓部材3は、栓部材3を外枠部材2に装着した状態の水抜き栓1を布基礎構築用型枠に仕込んでおき、布基礎構築用型枠内にコンクリートを打設して布基礎Kを構築する際に、打設したコンクリートが外枠部材2の内部に入り込まないようにしたり、建造物を構築中に布基礎Kによって囲まれた土間部分Dに溜まった水を排出する際に、外枠部材2から栓部材3を抜いて外枠部材2による導水路を構成するようにしたり、さらに、外枠部材2に栓部材3を貫装することによって、外枠部材2により構成された導水路を閉鎖し、外部からの水の浸入や害虫等の侵入を防止できるようにしている。
【0020】
ここで、栓部材3を外枠部材2に装着した状態の水抜き栓1を布基礎構築用型枠に仕込む位置は、外枠部材2及び栓部材3の下面と、土間部分Dに打設したコンクリートの表面とが略面一になる位置にすることが好ましい。
このため、ます、土間部分Dに打設したコンクリートと略面一になるように布基礎Kを構築する位置にコンクリートを打設し、当該打設したコンクリートの表面に栓部材3を外枠部材2に装着した状態の水抜き栓1を配置し(このとき、必要に応じて、外枠部材2の設置片21を打設したコンクリートに釘止めすることができる。)、布基礎構築用型枠内にコンクリートを打設して布基礎Kを構築するようにする。
【0021】
また、この栓部材3は、外枠部材2により構成された導水路を閉鎖する機能に加え、補強の機能を発揮するために、外枠部材2に比べて全体が比較的厚肉に形成することで剛性を持たせるようにしている。
そして、栓部材3の長手方向の間に、上部接続部32a及び下部接続部32bからなる易切断部32を形成することにより、より具体的には、栓部材3を、上方が開放した箱形の部分3A、3Bと、この箱形の部分3A、3B同士を上部接続部32a及び下部接続部32bからなる易切断部32を介して接続するようにしている。
これにより、建造物を構築した後、栓部材3の長手方向の寸法を、栓部材3を易切断部32で切断することで外枠部材2の長手方向の寸法より短くなるようにし、箱形の部分3A(又は箱形の部分3B)を外枠部材2に貫装することで、埋め戻し部材として転用することができるようにしている。この場合、箱形の部分3A(又は箱形の部分3B)を貫装した外枠部材2の残り空間には、必要に応じて、モルタル等を充填することで、外枠部材2により構成された導水路を確実に閉鎖し、外部からの水の浸入や害虫等の侵入を防止することができる。
【0022】
また、栓部材3の長手方向の端面(両端面又はいずれか一方の端面)には、布基礎構築用型枠内にコンクリートを打設して布基礎Kを構築し、布基礎構築用型枠を外した状態で、布基礎K内に埋設されている水抜き栓の位置を容易に視認することができるようにするための目印片4を取り付けるようにしている。
目印片4は、可圧縮性の材料、例えば、連続気泡性の発砲樹脂材料やゴム等で構成し、この目印片4を栓部材3の長手方向の端面に接着し、栓部材3を外枠部材2に装着した状態の水抜き栓1を布基礎構築用型枠に仕込んだ際に、目印片4の表面を布基礎構築用型枠と密着させることで、布基礎構築用型枠内にコンクリートを打設して布基礎Kを構築する際に、布基礎構築用型枠と打設したコンクリートが目印片4の表面側に入り込まないようにし、布基礎構築用型枠内にコンクリートを打設して布基礎Kを構築し、布基礎構築用型枠を外したときに目印片4が布基礎Kの表面に露出するようにする。
【0023】
以上、本発明の基礎の水抜き栓について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の基礎の水抜き栓は、設置作業や後処理に手数を要することがなく、また、一定した設置精度を確保することができるという特性を有していることから、建造物を構築中に布基礎によって囲まれた土間部分に溜まった水を排出するための用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 水抜き栓
D 土間部分
K 布基礎
2 外枠部材
21 設置片
3 栓部材
3A 箱形の部分
3B 箱形の部分
31a 横仕切り片
31b 縦仕切り片
32 易切断部
32a 上部接続部
32b 下部接続部
4 目印片