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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-67591(P2020-67591A)
(43)【公開日】2020年4月30日
(54)【発明の名称】パルス列生成装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/28 20060101AFI20200403BHJP
   G02B 27/10 20060101ALI20200403BHJP
   H01S 3/30 20060101ALI20200403BHJP
【FI】
   G02B27/28 Z
   G02B27/10
   H01S3/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-200964(P2018-200964)
(22)【出願日】2018年10月25日
(71)【出願人】
【識別番号】504151365
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100093816
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 邦雄
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー アリセフ
(72)【発明者】
【氏名】浦川 順治
【テーマコード(参考)】
2H199
5F172
【Fターム(参考)】
2H199AB01
2H199AB29
2H199AB47
2H199AB48
2H199AB52
2H199AB61
5F172AG01
5F172EE23
5F172NN17
5F172NN26
5F172NN28
5F172NR12
5F172NR13
(57)【要約】
【課題】フェムト秒レーザーパルスを、任意の間隔で16分割するパルス列生成装置を提供する。
【解決手段】半波長板(1/2λplate)によってS偏光を45度回転した後に偏光ビームスプリッター(PBS)で反射・通過させるとフェムト秒レーザーパルスが二つに分かれる。通過したS偏光パルスはOptical delay line(移動ミラーの位置を変更することによる光路距離に差を設ける)によって200fsec程度(空間距離に変換すると60um)遅らせる。再度PBSを使ってP偏光パルスとS偏光パルスを合流させると、フェムト秒レーザー2パルス列が生成できる。これを4回繰り返して、フェムト秒レーザー16パルス列生成を行うことができる。その際、光学アライメントの調整が容易になるよう、レーザーをプリズム、位置制御可能な移動ミラーで構成するとよい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線偏光レーザーパルスs(0)を透過させ、線偏光方向を45°回転させ水平波(s)と垂直波(p)が50%ずつの成分の線偏光s/p(1)にする第一半波長板と、
s/p(1)の進行方向を反射させる第一プリズムと、
s/p(1)からs成分の進行方向を反射させるとともにp成分を透過させる第一スプリッタと、
反射したs(1)を進行方向逆向きに反射する第一固定ミラーと、
前記第一固定ミラーと前記第一スプリッタの光路の間に配置され、s(1)をp(2)に変換する第一1/4波長板と、
透過したp(1)の進行方向を反射させる第二プリズムと、
反射したp(1)を進行方向逆向きに反射する第一移動ミラーと、
前記第一移動ミラーと前記第二プリズムの光路の間に配置され、p(1)をs(2)に変換する第二1/4波長板と、
前記第一スプリッタに再度到達し透過したp(2)及び前記第一スプリッタで反射させられたs(2)を透過させ、それぞれs/p(3)に変換する第二半波長板と、
s/p(3)の内、s(3)を反射させ、p(3)を透過させる第二スプリッタと、
透過したp(3)を透過、進行方向逆向きに反射させつつp(3)をs(4)に変換する第五1/4波長板及び第二固定ミラーと、
反射したs(3)の進行方向を反射させる第四プリズムと、
反射したs(3)を進行方向逆向きに反射する第三移動ミラーと、
前記第三移動ミラーと前記第四プリズムの光路の間に配置され、s(3)をp(4)に変換する第四1/4波長板と、
前記第二スプリッタで反射したs(4)及び前記第二スプリッタを透過したp(4)を透過させ、それぞれs/p(5)に変換する第四半波長板と、
s(4)及びp(4)と進行方向軸をズラし逆向きにs/p(5)を反射する第五プリズム30と、
前記第二スプリッタを透過したp(5)を前記第四プリズムによって前記第三移動ミラーと異なる方向に反射したものを逆向きに反射させる第四移動ミラーと、
第四移動ミラーと第四プリズムの光路の間に配置され、p(5)をs(6)に変換する第六1/4波長板と、
前記第二スプリッタで反射したs(5)は前記第二固定ミラーに反射、前記第五1/4波長板を通過してp(6)に変換され、前記第二スプリッタを透過し、また、
前記第二スプリッタを透過したp(5)はs(6)に変換されたうえで、前記第二スプリッタで反射して、それぞれ前記第二半波長板に戻り、透過して、それぞれs/p(7)になり、前記第一スプリッタを透過したp(7)は、前記第一固定ミラーで進行方向逆向きに反射しつつ前記第一1/4波長板を透過してs(8)に変換され、
前記第一スプリッタで反射したs(7)は、前記第二プリズムに向かい、前記第一移動ミラーと異なる方向に反射したものを逆向きに反射させる第二移動ミラーと、
前記第二移動ミラーと前記第二プリズムの光路の間に配置され、s(7)をp(8)に変換する第三1/4波長板と、
前記第一スプリッタで反射したs(8)と、前記第一スプリッタを透過したp(8)を、8つのs(8)及び8つのp(8)とする16分割のs/p(9)に変換する第三半波長板と、
からなり、
直線偏光レーザーパルスを、16列のフェムト秒パルスに分割することを特徴とする
パルス列生成装置。
【請求項2】
前記線偏光レーザーパルスの時間幅を拡張するパルスストレッチャーを、前記第一半波長板の前段光路に配置したことを特徴とする請求項1に記載のパルス列生成装置。
【請求項3】
目的の分割数に分割された各パルスの時間幅を短縮するパルスコンプレッサを、前記光路末端に配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパルス列生成装置。
【請求項4】
前記第五1/4波長板及び前記第二固定ミラーを除き、当該位置に第二半波長板が位置する倍化要素を追加配置して、直線偏光レーザーパルスを、32列のフェムト秒パルスに分割することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のパルス列生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェムト(10−5)秒(fs)のレーザーパルスを、任意の間隔で16分割、或いは32分割するパルス列生成装置(以下、それぞれ「16パルス列生成装置」、「32パルス列生成措置」ともいう)に関する。
【背景技術】
【0002】
フェムト秒レーザーパルスは、数十〜数百フェムト秒の時間長(パルス幅)を有するビームである。
【0003】
発明者等は、すでにフェムト秒レーザーパルスを、任意の間隔で4分割するパルス列生成装置(「4パルス列生成装置」ともいう)を開発し、非特許文献1,2で公開している。
【0004】
ここで、発明者がこれまで開発した4パルス列生成装置を、図1(非特許文献1のFig2),図2(非特許文献2のFig2)に掲載し、その概要を、図3にまとめ、それに沿って説明する。光路中の矢印の向きはレーザーパルスの進行方向、矢印の数はパルス列(ビームバンチ)の数を意味する。
【0005】
図3に示すように、4パルス列生成装置1は、
例えばパルス幅100fs〜200fsの線偏光レーザーパルスs(0)を透過させ、線偏光方向を45°回転させ水平波(s)と垂直波(p)が50%ずつの成分の線偏光s/p(1)にする第一半波長板2と、
s/p(1)の進行方向を反射(例えば90°)させる第一プリズム3と、
s/p(1)からs成分の進行方向を反射(例えば90°)させるとともにp成分を透過させる第一スプリッタ4と、
反射したs(1)を進行方向逆向きに反射する第一固定ミラー6と、
第一固定ミラー6と第一スプリッタ4の光路の間に配置され、s(1)をp(2)に変換する第一1/4波長板5と、
透過したp(1)の進行方向を反射(例えば90°)させる第二プリズム7と、
反射したp(1)を進行方向逆向きに反射する第一移動ミラー9と、
第一移動ミラー9と第二プリズム7の光路の間に配置され、p(1)をs(2)に変換する第二1/4波長板8と、
第一スプリッタ4に再度到達し透過したp(2)及び第一スプリッタ4で反射させられたs(2)の進行方向軸をズラし逆向きに反射する第三プリズム10と、
第一スプリッタ4と第三プリズム10の光路の間に配置され、p(2)、s(2)を一度通過させそれぞれs/p(3)に変換する第二半波長板11と、
s/p(3)の内、スプリッタ4でs(3)を第二プリズム7方向に反射させ、さらに第一移動ミラー9と異なる方向に第二プリズム7で反射したものを進行方向逆向きに反射させる第二移動ミラー13と、
第二移動ミラー13と第二プリズム7の光路の間に配置され、s(3)をp(4)に変換する第三1/4波長板12と、
s/p(3)の内、スプリッタ4を透過したp(3)を第一固定ミラー6で反射及び第一1/4波長板5を透過し変換された2つのs(4)及び2つのp(4)をそれぞれs/p(5)に変換する第三半波長板14とからなり、
フェムト秒レーザーパルスを、任意の間隔で4分割する。ここでは、第一プリズム3の後段光路に第三半波長板14を設置し、第一プリズム3で反射した後にs/p(5)調整している。
【0006】
分割されるパルス間の任意の間隔は、第一移動ミラー9及び第二移動ミラー13の移動により、すなわち、第一スプリッタ4と第一固定ミラーまでの光路(L1)と、第一スプリッタ4と第一移動ミラー9までの距離(L2)との差(時間差)、さらにL1と第一スプリッタ4と第二移動ミラー13までの距離(L3)との差(時間差)を調節することで簡易に制御できる。
【0007】
なお、プリズムを用いることで光学アライメント調整が簡単になる。スプリッタ(偏光ビームスプリッタ/PBS)は、偏光方向が水平なS波を反射し、垂直なP波を通過させる光学素子であるので、レーザーパルスを成分に応じて分離できる。1/4波長板はS波の2回の通過で、S波をP波に変換する。
【0008】
また、移動ミラーの位置制御に、ステッピングパルスモータとリニアセンサを使うことで、1um精度でミラー位置を位置決め制御することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】A. Aryshev, M. Shevelev, Y. Honda, N. Terunuma, J. Urakawa, “Femtosecond response time measurements of a Cs2Te photocathode”, Applied Physics Letters 111, 033508-1, -5, 2017.
【非特許文献2】M. Shevelev, A. Aryshev, N. Terunuma, and J. Urakawa1, “Generation of a femtosecond electron microbunch train from a photocathode using twofold Michelson interferometer”, Phys. Rev. ST Accel. Beams 20, 103401 (2017)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
さらに、フェムト秒レーザーパルスを多数に分割する要請がある。そこで、フェムト秒レーザーパルスを、任意の間隔で16分割、或いは32分割するパルス列生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明を実現するための原理、方法論は、以下の通りでさる。半波長板(1/2λplate)によってS偏光を45度回転した後に偏光ビームスプリッター(PBS)で反射・通過させるとフェムト秒レーザーパルスが二つに分かれる。通過したS偏光パルスはOptical delay line(移動ミラーの位置を変更することによる光路距離に差を設ける)によって200fsec程度(空間距離に変換すると60um)遅らせる。再度PBSを使ってP偏光パルスとS偏光パルスを合流させると、フェムト秒レーザー2パルス列が生成できる。これを4回繰り返して、フェムト秒レーザー16パルス列生成を行うことができる。その際、光学アライメントの調整が容易になるよう、レーザーをプリズム、位置制御可能な移動ミラーで構成するとよい。
【0012】
より詳しくは、
[1]
線偏光レーザーパルスs(0)を透過させ、線偏光方向を45°回転させ水平波(s)と垂直波(p)が50%ずつの成分の線偏光s/p(1)にする第一半波長板と、
s/p(1)の進行方向を反射させる第一プリズムと、
s/p(1)からs成分の進行方向を反射させるとともにp成分を透過させる第一スプリッタと、
反射したs(1)を進行方向逆向きに反射する第一固定ミラーと、
前記第一固定ミラーと前記第一スプリッタの光路の間に配置され、s(1)をp(2)に変換する第一1/4波長板と、
透過したp(1)の進行方向を反射させる第二プリズムと、
反射したp(1)を進行方向逆向きに反射する第一移動ミラーと、
前記第一移動ミラーと前記第二プリズムの光路の間に配置され、p(1)をs(2)に変換する第二1/4波長板と、
前記第一スプリッタに再度到達し透過したp(2)及び前記第一スプリッタで反射させられたs(2)を透過させ、それぞれs/p(3)に変換する第二半波長板と、
s/p(3)の内、s(3)を反射させ、p(3)を透過させる第二スプリッタと、
透過したp(3)を透過、進行方向逆向きに反射させつつp(3)をs(4)に変換する第五1/4波長板及び第二固定ミラーと、
反射したs(3)の進行方向を反射させる第四プリズムと、
反射したs(3)を進行方向逆向きに反射する第三移動ミラーと、
前記第三移動ミラーと前記第四プリズムの光路の間に配置され、s(3)をp(4)に変換する第四1/4波長板と、
前記第二スプリッタで反射したs(4)及び前記第二スプリッタを透過したp(4)を透過させ、それぞれs/p(5)に変換する第四半波長板と、
s(4)及びp(4)と進行方向軸をズラし逆向きにs/p(5)を反射する第五プリズム30と、
前記第二スプリッタを透過したp(5)を前記第四プリズムによって前記第三移動ミラーと異なる方向に反射したものを逆向きに反射させる第四移動ミラーと、
第四移動ミラーと第四プリズムの光路の間に配置され、p(5)をs(6)に変換する第六1/4波長板と、
前記第二スプリッタで反射したs(5)は前記第二固定ミラーに反射、前記第五1/4波長板を通過してp(6)に変換され、前記第二スプリッタを透過し、また、
前記第二スプリッタを透過したp(5)はs(6)に変換されたうえで、前記第二スプリッタで反射して、それぞれ前記第二半波長板に戻り、透過して、それぞれs/p(7)になり、前記第一スプリッタを透過したp(7)は、前記第一固定ミラーで進行方向逆向きに反射しつつ前記第一1/4波長板を透過してs(8)に変換され、
前記第一スプリッタで反射したs(7)は、前記第二プリズムに向かい、前記第一移動ミラーと異なる方向に反射したものを逆向きに反射させる第二移動ミラーと、
前記第二移動ミラーと前記第二プリズムの光路の間に配置され、s(7)をp(8)に変換する第三1/4波長板と、
前記第一スプリッタで反射したs(8)と、前記第一スプリッタを透過したp(8)を、8つのs(8)及び8つのp(8)とする16分割のs/p(9)に変換する第三半波長板と、
からなり、
直線偏光レーザーパルスを、16列のフェムト秒パルスに分割することを特徴とする
パルス列生成装置。
[2]
前記線偏光レーザーパルスの時間幅を拡張するパルスストレッチャーを、前記第一半波長板の前段光路に配置したことを特徴とする[1]に記載のパルス列生成装置。
[3]
目的の分割数に分割された各パルスの時間幅を短縮するパルスコンプレッサを、前記光路末端に配置したことを特徴とする[1]又は[2]に記載のパルス列生成装置。
[4]
前記第五1/4波長板及び前記第二固定ミラーを除き、当該位置に第二半波長板が位置する倍化要素を追加配置して、直線偏光レーザーパルスを、32列のフェムト秒パルスに分割することを特徴とする[1]〜[3]の何れか1に記載のパルス列生成装置。
とした。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上記構成であるので、フェムト秒レーザーパルスを、16分割、32分割することが可能になった。
【0014】
例えば、16列のレーザーパルスを光カソードに照射して、16電子ミクロバンチ列生成を行い加速後、その16電子ミクロバンチ列がアンジュレータを通過すると、比較的短いアンジュレータで自由電子レーザー発振(FEL)飽和が安定に起こる。THz放射や赤外線放射ピーク強度が従来のレーザーによる放射ピーク強度の1000倍以上になる。基礎物性研究や物の診断等に利用できる装置として非常に有用である。
【0015】
また、32列のレーザーパルス生成が可能になれば、放射安定性、放射ピーク強度、実用性はさらに高まりまる。以上の物理現象は共鳴現象であるので、強度と安定性は画期的に良くなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、発明者がすでに提案した、フェムト秒レーザーパルスを4分割する、4パルス列生成装置の構成図(非特許文献1のFig2)である。
図2図2は、発明者がすでに提案した、フェムト秒レーザーパルスを4分割する、4パルス列生成装置の構成図(非特許文献2のFig2)である。
図3図3は、発明者がすでに提案した、4パルス列生成装置の説明図である。
図4図4は、本発明であるフェムト秒レーザーパルスを16分割する、16パルス列生成装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は下記形態例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0018】
図4に示すように、本発明であるフェムト秒レーザーパルスを任意の間隔で16分割するパルス列生成装置21は、従来の4パルス列生成装置1において、第三プリズム10及び第二半波長板11を除き、当該位置に、倍化要素34を付加したものである。
【0019】
したがって、実施例1の構成については、その説明の詳細は省略する。なお、図4中において、(数字)の順にパルスは進み16列のパルスになる。
【0020】
パルス列生成装置21は、
必要に応じて備える、例えばパルス幅100fs〜200fsの線偏光レーザーパルスを透過させ、時間幅を拡張させ、パルス幅1ピコ秒(ps)程度の線偏光レーザーパルスs(0)に調整するパルスストレッチャー22と、
線偏光レーザーパルスs(0)を透過させ、線偏光方向を45°回転させ水平波(s)と垂直波(p)が50%ずつの成分の線偏光s/p(1)にする第一半波長板2と、
s/p(1)の進行方向を反射(例えば90°)させる第一プリズム3と、
s/p(1)からs成分の進行方向を反射(例えば90°)させるとともにp成分を透過させる第一スプリッタ4と、
反射したs(1)を進行方向逆向きに反射する第一固定ミラー6と、
第一固定ミラー6と第一スプリッタ4の光路の間に配置され、s(1)をp(2)に変換する第一1/4波長板5と、
透過したp(1)の進行方向を反射(例えば90°)させる第二プリズム7と、
反射したp(1)を進行方向逆向きに反射する第一移動ミラー9と、
第一移動ミラー9と第二プリズム7の光路の間に配置され、p(1)をs(2)に変換する第二1/4波長板8と、
第一スプリッタ4に再度到達し透過したp(2)及び第一スプリッタ4で反射させられたs(2)を透過させ、それぞれs/p(3)に変換する第二半波長板11と、
s/p(3)の内、s(3)を反射させ、p(3)を透過させる第二スプリッタ23と、
透過したp(3)を透過、進行方向逆向きに反射させつつp(3)をs(4)に変換する第五1/4波長板27及び第二固定ミラー28と、
反射したs(3)の進行方向を反射させる第四プリズム24と、
反射したs(3)を進行方向逆向きに反射する第三移動ミラー26と、
第三移動ミラー26と第四プリズム24の光路の間に配置され、s(3)をp(4)に変換する第四1/4波長板25と、
第二スプリッタ23で反射したs(4)及び第二スプリッタ23を透過したp(4)を透過させ、それぞれs/p(5)に変換する第四半波長板29と、
s(4)及びp(4)と進行方向軸をズラし逆向きにs/p(5)を反射する第五プリズム30(第四半波長板29は、第五プリズム30の後段に配置しておもよい)と、
第二スプリッタ23を透過したp(5)を第四プリズム24によって第三移動ミラー26と異なる方向に反射したものを逆向きに反射させる第四移動ミラー32と、
第四移動ミラー32と第四プリズム24の光路の間に配置され、p(5)をs(6)に変換する第六1/4波長板31と、
第二スプリッタ23で反射したs(5)は第二固定ミラー28に反射、第五1/4波長板27を通過してp(6)に変換され、第二スプリッタ23を透過し、また、
第二スプリッタ23を透過したp(5)は上述したようにs(6)に変換されたうえで、第二スプリッタ23で反射して、それぞれ第二半波長板11に戻り、透過して、それぞれs/p(7)になり、第一スプリッタ4を透過したp(7)は、第一固定ミラー6で進行方向逆向きに反射しつつ第一1/4波長板5を透過してs(8)に変換され、
第一スプリッタ4で反射したs(7)は、第二プリズム7に向かい、第一移動ミラー9と異なる方向に反射したものを逆向きに反射させる第二移動ミラー13と、
第二移動ミラー13と第二プリズム7の光路の間に配置され、s(7)をp(8)に変換する第三1/4波長板12と、
第一スプリッタ4で反射したs(8)と、第一スプリッタ4を透過したp(8)を、8つのs(8)及び8つのp(8)とする16分割のs/p(9)に変換する第三半波長板14と、
必要に応じて、分割後、各パルスの時間幅を短縮するパルスコンプレッサ33を備えてなる。
【0021】
これにより、フェムト秒レーザーパルスを、任意の間隔で16分割する。任意の間隔は、移動ミラーの移動を調節することで、分離されたレーザービームの光路距離差を利用して制御する。
【0022】
パルスストレッチャー22は、必要に応じて、第一半波長板2の前段光路に配置され、線偏光レーザーパルスの時間幅(パルス幅)を拡張する、概ね1ps。これにより、パルスストレッチャーを備えることで、レーザーパルスのピークパワーを低くでき、ミラー損傷を低減できる。このことにより、16パルス列生成が安定に行える。
【0023】
パルスコンプレッサ33は、必要に応じて、出射前段(光路末端)に配置され、目的の分割数に分割された各パルスの時間幅を短縮、整形する。これにより、パルス列間の分離性(分解能)を高めることができる。短い時間幅(fs)において、多数のパルス列、16,32列に分割にすると、パルス同士の重なりが問題になってくるため、パルスコンプレッサ33で整形することで多数分割パルス列の利用範囲を広めることができる。
【実施例2】
【0024】
フェムト秒レーザーパルスを任意の間隔で32分割するパルス列生成装置は、実施例1において、第五1/4波長板27及び第二固定ミラー28を除き、当該位置に第二半波長板11が位置する倍化要素34を追加配置してなる。
【0025】
さらに、追加すれば、64分割のパルス列生成装置となるが、各パルス間の分離能が低いこともあるが、そもそも、そのようなパルス列の用途がない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、小型電子加速器による大強度電磁波放射装置、放射線化学、非破壊分子診断、電磁波によるセキュリティー診断装置に利用でき、医療用分野において、低コスト、省スペースで、医療用高周波加速器などを提供することができる。
【0027】
より具体的には、THz電磁波発生をFELで行う場合、従来の方法では3m近いアンジュレータ電磁石が必要であったが、本光学部品によりPre−Bunched FELを行えば、0.5m 以内のアンジュレータ電磁石によりFEL飽和状態が実現できる。これにより加速器を小型化できる。
【0028】
レーザーマイクロパルストレインと電子ビームによるポンプ・プローブ実験により高速の分子反応ダイナミックス研究が可能になる。
【符号の説明】
【0029】
1 4パルス列生成装置
2 第一半波長板
3 第一プリズム
4 第一スプリッタ
5 第一1/4波長板
6 第一固定ミラー
7 第二プリズム
8 第二1/4波長板
9 第一移動ミラー
10 第三プリズム
11 第二半波長板
12 第三1/4波長板
13 第二移動ミラー
14 第三半波長板
21 16パルス列生成装置
22 パルスストレッチャー
23 第二スプリッタ
24 第四プリズム
25 第四1/4波長板
26 第三移動ミラー
27 第五1/4波長板
28 第二固定ミラー
29 第四半波長板
30 第五プリズム
31 第六1/4波長板
32 第四移動ミラー
33 パルスコンプレッサ
34 倍化要素
図1
図2
図3
図4