【解決手段】ポリエチレンを主成分とする熱可塑性樹脂46〜52質量%,好ましくは46〜51質量%と,平均粒子径50〜300μmの木粉33〜38質量%,好ましくは33〜34質量%,残余を副資材とする成形材料100質量%に,0.4質量%以上の発泡剤を添加して押出成形することにより,比重0.8以下,好ましくは0.75以下の木質合成板に押出成形する。剛性を高めるために前記成形材料には前記副資材としてタルクを8.7〜10.8質量%含めることが好ましく,また,前記成形材料100質量%に対し,長さが20mm以下,好ましくは10mm以下のガラス繊維及び/又は炭素繊維を8〜12質量%添加して押出成形することが好ましい。
ポリエチレンを主成分とする熱可塑性樹脂46〜52質量%と,平均粒子径50〜300μmの木粉33〜38質量%,残余を副資材とする成形材料100質量%に,0.4質量%以上の発泡剤を添加して押出成形することにより,比重0.8以下の木質合成板に押出成形することを特徴とするコンクリート型枠用せき板の押出成形方法。
前記成形材料が,各構成成分が均一に分散された状態に溶融混練した後に所定粒径に造粒して得たペレットであることを特徴とする請求項1記載のコンクリート型枠用せき板の押出成形方法。
前記成形材料100質量%に対し,長さが20mm以下のガラス繊維及び/又は炭素繊維を8〜12質量%添加して押出成形することを特徴とする請求項1又は2記載のコンクリート型枠用せき板の押出成形方法。
請求項1〜4いずれか1項記載のコンクリート型枠用せき板の押出成形方法に使用され,熱可塑性樹脂と木粉を主原料とする成形材料と発泡剤の混合材料を溶融すると共に混練しながら押し出すスクリュ式の押出機と,前記押出機により押し出された成形生地を導入して成形する成形ダイと,前記押出機と前記成形ダイ間に配置されて前記押出機より押し出された前記成形生地を前記成形ダイに導入する押出ダイを備えた押出成形装置において,
前記押出ダイ内に,該押出ダイ内を流れる成形生地に対し流動抵抗を与える抵抗体を設け,前記抵抗体の外周と前記押出ダイの内周間に形成された間隔を前記成形生地の流路と成すと共に,前記抵抗体の前記押出機側の端部に,平面視において幅方向中央部を前記押出機側に向かって膨出させた湾曲形状を有する端面を設けたことを特徴とするコンクリート型枠用せき板の押出成形装置。
前記押出ダイの幅方向の断面において,前記押出ダイの断面内周形状と前記抵抗体の断面外周形状を略相似形に形成すると共に,前記抵抗体を前記押出ダイ内に形成された空間の中央で,かつ,前記抵抗体の前記成形ダイ側の端部が,前記押出ダイの出口内で終端するように配置したことを特徴とする請求項5記載のコンクリート型枠用せき板の押出成形装置。
前記押出ダイの出口内周と前記抵抗体の成形ダイ側の端部の外周間の間隔を3〜5mmに形成したことを特徴とする請求項6記載のコンクリート型枠用せき板の押出成形装置。
前記押出ダイの出口の面積に対する,前記抵抗体の前記成形ダイ側の端部の面積が占める割合を17〜50%としたことを特徴とする請求項6又は7記載のコンクリート型枠用せき板の押出成形装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
木質合成板製のコンクリート型枠用のせき板は,建築廃材等から回収された木粉や容器包装リサイクル法(所謂「容リ法」)に基づき回収された熱可塑性樹脂材料等のリサイクルされた材料を原料として使用できる点で,環境負荷の低減された製品である。
【0006】
しかし,木質合成板は,合板製のせき板に比較して高比重であるために重く,輸送コストや設置時の労力が増大する。そのため,木質合成板製せき板の軽量化が要望される。
【0007】
木質合成板製のせき板を軽量化するために,前掲の特許文献1は,木質合成板を中空率20〜70%の中空構造とする構成を採用し,これにより,合板(ベニヤ)製のせき板と同程度の比重を得ている(特許文献1[0062]欄)。
【0008】
しかし,中空構造とした木質合成板は剛性が低下し,特に,押出成形で製造された木質合成板では,押出方向に連続して中空部が形成されるため,幅方向の剛性が低下する。
【0009】
そのため,コンクリート打設時の側圧によって変形や破損が生じると繰り返し使用ができなくなる。
【0010】
前掲の特許文献2には,ポリプロピレン39.7質量%と,木粉44.7質量%を主原料とする成形材料中にマスタバッチで0.4質量%の発泡剤(特許文献2の表1)を配合して押出成形することにより発泡木質合成板を製造する実施例が記載されており,このように発泡成形された木質合成板は,無発泡の木質合成板よりも低比重となるため軽量化できる。
【0011】
また,特許文献2では,押出ダイ内に成形生地の流れに抵抗を与える抵抗体(ドーピード)を設けること,及び,この抵抗体の押出機側の端部に,成形生地の押出方向に対して直交方向を成す端面を設ける構成を採用することで,木質合成板に反りや変形を生じさせる原因となる成形生地の流れの偏りを防止することを提案する。
【0012】
しかし,特許文献2に記載の成形材料の配合では,発泡剤の添加量の増大によっては発泡率の大幅な向上が得られず,しかも,発泡剤の添加量を増大させると,特許文献2に記載の押出成形装置においても発泡剤の発泡に伴って生じる生地の圧力や流れの急激な変化によって成形生地の流れを制御することが困難となり,発泡ガスの偏在等によって木質合成板内にボイド(巣)ができる等の欠陥が生じ得る。
【0013】
その結果,木質合成板の更なる低比重化を図ることができず,発泡成形によっても合板(ベニヤ)製のせき板と同程度に軽量化することは困難である。
【0014】
また,木質合成板の発泡率を高めると剛性が低下することから,発泡率を高めて軽量化した木質合成板では,コンクリート型枠用のせき板として必要とされる剛性が失われる。
【0015】
そのため,木質合成板製のせき板において,合板(ベニヤ)製のせき板と同等の軽量化を実現しつつ,コンクリート型枠用のせき板として使用し得る剛性を両立させることは困難である。
【0016】
そこで,本発明の第1の目的は,従来の木質合成板に比較して高い発泡率で発泡させることが可能で,合板製のコンクリート型枠用せき板と同等の低比重の木質合成板製のコンクリート型枠用せき板を製造することができるコンクリート型枠用せき板の押出成形方法を提供することを目的とする。
【0017】
また,本発明の第2の目的は,前述したように高発泡率で発泡された低比重を有するものでありながら,高い剛性を備えたコンクリート型枠用せき板の押出成形方法を提供することを目的とする。
【0018】
更に,本発明の第3の目的は,押出成形装置に設ける抵抗体(ドーピード)の形状を見直すことにより,前述したように高い発泡率で発泡した成形材料を整形した場合であっても,成形生地の流れを適切に制御して気泡の偏在等に伴う巣の発生等の欠陥の発生を防止することができる押出成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と,発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0020】
上記目的を達成するために,本発明のコンクリート型枠用せき板の押出成形方法は,
ポリエチレン(PE)を主成分とする熱可塑性樹脂46〜52質量%と,平均粒子径50〜300μmの木粉33〜38質量%,残余を副資材とする成形材料100質量%に,0.4質量%以上,好ましくは0.4〜4.0質量%,一例として2質量%の発泡剤を添加して押出成形することにより,比重0.8以下,好ましくは0.75以下,より好ましくは0.72以下の木質合成板に押出成形することを特徴とする(請求項1)。
【0021】
前記成形材料は,各構成成分が均一に分散された状態に溶融混練した後に所定粒径に造粒して得たペレットとすることが好ましい(請求項2)。
【0022】
更に,前記成形材料100質量%に対し,長さが20mm以下,好ましくは10mm以下のガラス繊維及び/又は炭素繊維を8〜12質量%添加して押出成形するものとしても良い(請求項3)。
【0023】
また,前記成形材料は,前記副資材としてタルクを8.7〜10.8質量%含むものとしても良い(請求項4)。
【0024】
また,前記いずれかのコンクリート型枠用せき板の押出成形方法に使用する押出成形装置は,
熱可塑性樹脂と木粉を主原料とする成形材料と発泡剤の混合材料を溶融すると共に混練しながら押し出すスクリュ式の押出機12と,前記押出機12により押し出された成形生地25aを導入して成形する成形ダイ30と,前記押出機12と前記成形ダイ30間に配置されて前記押出機20より押し出された前記成形生地25aを前記成形ダイ30に導入する押出ダイ20を備えた押出成形装置11において,
前記押出ダイ20内に,該押出ダイ20内を流れる成形生地25aに対し流動抵抗を与える抵抗体(ドーピード)26を設け,前記抵抗体26の外周と前記押出ダイ20の内周間に形成された間隔を前記成形生地の流路21aと成すと共に,前記抵抗体26の前記押出機12側の端部に,平面視において幅方向中央部を前記押出機12側に向かって膨出させた湾曲形状を有する端面261aを設けたことを特徴とする(請求項5)。
【0025】
前記押出ダイ20は,幅方向の断面において,前記押出ダイ20の断面内周形状と前記抵抗体26の断面外周形状を略相似形に形成すると共に,前記抵抗体26を前記押出ダイ20内に形成された空間21の中央で,かつ,前記抵抗体26の前記成形ダイ30側の端部261bが,前記押出ダイ20の出口20b内で終端するように配置することが好ましい(請求項6)。
【0026】
前記押出ダイ20の出口20b内周と前記抵抗体26の成形ダイ30側の端部261bの外周間の間隔(クリアランスCR)を3〜5mm(実施例において4mm)に形成することが好ましい(請求項7)。
【0027】
前記押出ダイ20の出口20bの面積に対する,前記抵抗体26の前記成形ダイ30側の端部261bの面積が占める割合(遮断率)を17〜50%(実施例において33%)とすることが好ましい(請求項8)。
【発明の効果】
【0028】
以上で説明した本発明の構成により,前記押出成形方法によって製造されたコンクリート型枠用のせき板では,成型生地を高い発泡率で発泡させることができ,比重0.8以下,好ましくは0.75以下,より好ましくは0.72という,ベニヤ製のコンクリート型枠用のせき板と同等の軽量なコンクリート型枠用せき板を得ることができた。
【0029】
特に,ガラス繊維や炭素繊維,タルクを添加した構成では,前述したように軽量なコンクリート型枠用せき板が得られるだけでなく,コンクリート型枠用せき板に高い剛性を付与することができ,繰り返しの使用に耐え得る高剛性のコンクリート型枠用せき板を得ることができた。
【0030】
また,前述した本発明の押出成形装置によれば,前述したように多量の発泡剤の添加によって比重0.8以下,好ましくは0.75以下,より好ましくは0.72以下という低比重が得られる程度に高い発泡率で成形生地を発泡させて,発泡剤の発泡に伴う生地の圧力や流れの急激な変化が生じた場合であっても,成形生地に偏りが生じることを防止して均一に発泡させることができ,得られた木質合成板にボイド(巣)の発生や歪み,シワの発生等の成形不良が生じることを防止できた。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に,本発明の実施例につき添付図面を参照しながら説明するが,本発明の構成は,以下に示す実施例に限定されない。
【0033】
〔原材料〕
全体構成
本発明の押出成形装置によって製造されるコンクリート型枠用せき板の原材料は,熱可塑性樹脂と木粉を主原料とする「成形材料」と,この成形材料を発泡させる「発泡剤」及び必要に応じて前記発泡剤と共に添加される「ガラス繊維及び/又は炭素繊維」によって構成される。
【0034】
成形材料
本発明において,前述の発泡剤及びガラス繊維及び/又は炭素繊維以外の原材料を総称して「成形材料」という。
【0035】
この成形材料は,主原料である熱可塑性樹脂と木粉の他,必要に応じてタルク,強化剤,顔料,滑剤等の副資材を含む。
【0036】
これらの成形材料は,それぞれ別個に後述の押出成形装置に投入するものとしても良いが,本実施形態では予めこれらを加熱しながら各成分が均一な分散状態となるように溶融混練して混練材料とした後,所定の粒径に造粒してペレットに製造しておき,この成形材料のペレットに,後述する発泡剤と必要に応じてガラス繊維及び/又は炭素繊維を添加して木質合成板を製造する。
【0037】
(1) 熱可塑性樹脂
成形材料の主原料の一方である熱可塑性樹脂として,ポリエチレン(PE)を主成分としたものを使用する。
【0038】
ポリエチレン(PE)としては,低密度ポリエチレン(PE−LD),高密度ポリエチレン(PE−HD),直鎖状低密度ポリエチレン(PE−LLD)が挙げられるが,これらのいずれのポリエチレンともに使用可能である。
【0039】
また,容器包装リサイクル法(所謂「容リ法」)に従って回収されたポリエチレンや,複数種類のポリエチレンが混在したもの等,いずれであっても使用可能であり,また,ポリエチレン(PE)を主成分とするものであれば,その他の熱可塑性樹脂を一部含んでいるものも使用可能である。
【0040】
(2) 木粉
成形材料の主原料の他方である木粉は,一般に市販されている各種の木粉の他,例えば未使用の木材,使用済みの建築廃材,木材加工の際に発生したおが屑等の廃材,間伐材等をクラッシャ,カッタ,ミル等を使用して破砕する等して得ても良い。
【0041】
使用する木材の品種は特に限定されず,複数の品種の木材が混在していても構造上は問題が無いが,最終的に得られる木質合成板の仕上がりを考慮すれば,ある程度,色目の揃ったものを使用することが好ましい。
【0042】
使用する木粉は,好ましくは平均粒子径50〜300μmのものを使用する。
【0043】
木粉は,熱可塑性樹脂との馴染みの向上や加熱混練時における水蒸気の発生防止等の観点から,他原料との配合前に乾燥されていることが好ましく,好ましくは含有水分量が1質量%以下に乾燥されているものを使用する。
【0044】
(3) 熱可塑性樹脂と木粉の配合比
前述した熱可塑性樹脂と木粉の配合比は,成形材料全体100質量%中,熱可塑性樹脂が46〜52質量%,木粉が33〜35質量%である。
【0045】
発泡剤による発泡は,熱可塑性樹脂の部分において生じることから,木粉の配合量を少なくすると共に,熱可塑性樹脂の配合量を多くする程,発泡率を高めることができ,熱可塑性樹脂の配合量が46質量%未満で木粉の配合量が35質量%を超えると,得られたコンクリート型枠用せき板の比重を0.8以下とすることができない。
【0046】
一方,木粉の配合量を少なくすると,得られるコンクリート型枠用せき板の強度が低下してコンクリート型枠用せき板として必要な剛性を維持できないことから熱可塑性樹脂の添加量の上限を52質量%,木粉の添加量の下限を33質量%とした。
【0047】
なお,前述したように木粉の添加量を33〜35質量%の範囲とし,熱可塑性樹脂の配合量を48質量%以上とすることで,コンクリート型枠(せき板)の比重を0.75以下に低下させることができ,更に,上限値である52質量%に近付けることで,コンクリート型枠用せき板の比重を0.72まで低減させることが可能である(後掲の実施例参照)。
【0048】
(4) 副資材
前述した熱可塑性樹脂と木粉と共に成形材料として添加されてペレット化される副資材としては,一例として以下のものが挙げられる。
【0049】
(4-1) タルク
タルクは得られる木質合成板の強度を向上するために添加する。
添加するタルクの好ましい粒径は,平均粒径5〜50μmであり,より好ましくは20μm程度である。
【0050】
タルクの添加量は,成形材料の全体量に対し,8.7〜10.8質量%であり,この量より少ないと強度の向上が得られず,また,逆に添加量が多すぎると脆さが出て却って強度が低下する。
【0051】
(4-2) その他の副資材
その他の副資材として,必要に応じて顔料,強化剤,及び滑剤等を添加することができ,これらの添加量は,一例として成形材料100質量%のうち,合計で4.6〜5.9質量%となるように配合する。
【0052】
このうちの顔料は,製品に着色を行う場合に添加するもので,最終製品で得ようとする色に対応して,各種の顔料を各種の配合で添加することができる。
【0053】
強化剤は,木粉と樹脂の結合を強化する目的で添加するもので,熱可塑性樹脂がポリエチレンである本発明では,一例としてポリオレフィン系樹脂用の強化剤であるマレイン酸変性ポリプロピレンを強化剤として使用することができ,これによりポリエチレンと前述の木粉の他,これらが添加される場合にはガラス繊維や炭素繊維,タルクとポリエチレンの親和性を向上させる。
【0054】
滑剤は,金型と成形材料の滑性を良くするために,及び原料の分散性を向上させるために添加するもので,既知の各種の滑剤を使用可能であり,一例として,パラフィンワックス,ポリエチレンワックス,ポリプロピレンワックス,脂肪酸アミド系の滑剤であるオレイン酸アミド等が好適に使用できる。
【0055】
発泡剤
前述した成形材料を発泡させる発泡剤としては,揮発性発泡剤(ガス系)であるCO
2,N
2,フロン,プロパン等と分解性発泡剤とがあるが,いずれの発泡剤を使用するものとしても良く,市販されている各種の発泡剤が使用可能である。
【0056】
本実施形態では,分解性発泡剤を使用している。この分解性発泡剤としては,無機化合物系,アゾ化合物系,スルホニルヒドラジド化合物系,ニトロソ化合物系,アジド化合物系等が存在するが,成形材料の主原料であるポリエチレンに対し容易に分散乃至は溶解すると共に,得られる木質合成板に不要な着色等を与えるものでなければいずれの発泡剤を使用しても良い。
【0057】
これらの発泡剤は,キャリア樹脂に発泡剤を高濃度に添加した,所謂「マスタバッチ」と呼ばれるペレット状の形態で市販されており,このようなマスタバッチを使用しても良い。
【0058】
本実施形態にあっては,キャリア樹脂をポリエチレン,発泡剤を無機化合物系に属する重炭酸ナトリウムとしたマスタバッチ〔永和化成工業製「EE405F」〕を使用した。
【0059】
発泡剤は,使用する発泡剤のガス発生量,製造する木質合成板の発泡度等に応じて必要な量,添加するが,一例として本実施形態における発泡剤(マスタバッチ)の添加量は,前述した成形材料100質量%に対し,0.4質量%以上,好ましくは0.4〜4.0質量%であり,本実施形態では2質量%とした。
【0060】
ガラス繊維及び/又は炭素繊維
ガラス繊維及び/又は炭素繊維は得られる木質合成板の強度を向上するために添加するもので,添加するガラス繊維及び/又は炭素繊維は,好ましくは長さ20mm以下のものを使用し,本実施形態では10mmのものを使用した。
【0061】
ガラス繊維及び/又は炭素繊維の添加量は,前述した成形材料100質量%に対し8〜12質量%であり,ガラス繊維及び/又は炭素繊維は,熱可塑性樹脂や木粉と共にペレット化せずに,発泡剤と共に押出成形時に添加する。
【0062】
炭素繊維としては,PAN系,ピッチ系のいずれの炭素繊維を使用するものとしても良く,一例として,PAN系炭素繊維としては東レ社製「トレカ」,ピッチ系炭素繊維としてクレハ社製「クレカ」等を挙げることができる。
【0063】
炭素繊維は,炭素原糸を前述した長さに裁断したチョップドカーボンファイバーとして添加することも,各種サイジング剤により集束処理したものを使用しても良く,更には各種炭素繊維製品を製造する際に生じた端材や,自動車部品,航空機部品等として使用され,廃棄された炭素繊維製品を回収して破砕する等して得た炭素繊維を添加しても良い。
【0064】
〔押出成形装置〕
前述した成形材料と発泡剤,必要に応じて添加されるガラス繊維及び/又は炭素繊維は,以下の押出成形装置11によって押出成形されてコンクリート型枠のせき板用の木質合成板に成形される。
【0065】
押出成形装置の全体構成(
図1参照)
図1に示す押出成形装置11は,定量供給装置14,スクリュ式の押出機12,押出ダイ20,成形ダイ30,及び引取機50を備える。
【0066】
定量供給装置(
図1参照)
前述の定量供給装置14は,成形材料を発泡剤と共に定量ずつ後述する押出機12に供給するもので,この定量供給装置14は,成形材料,本実施形態にあっては成形材料のペレットを定量ずつ押出機12に供給する成形材料フィーダ14aと,この成形材料フィーダ14aによって押出機12に向かって搬送される成形材料に,本実施形態にあってはマスタバッチである発泡剤を定量ずつ合流させる発泡剤フィーダ14bを備える。
【0067】
なお,ガラス繊維及び/又は炭素繊維を添加する場合,定量供給装置14にガラス繊維及び/又は炭素繊維用のフィーダを別途設けるものとしても良いが,本実施形態ではガラス繊維及び/又は炭素繊維を成形材料ペレットと予め混合しておき,成形材料ペレットと共に成形材料フィーダ14a内に投入することで,成形材料と共にガラス繊維及び/又は炭素繊維を押出機12に供給できるようにした。
【0068】
前記各フィーダ14a,14bに設けたホッパ内にそれぞれ成形材料と発泡剤を投入しておくことで,このホッパの下部に設けられたモータMによる搬送スクリュの回転によって,成形材料のペレットと発泡剤とが所定の配合比で押出機12に供給できるようになっている。
【0069】
押出機(
図1参照)
押出機12は,前述の定量供給装置14から供給された成形材料と発泡剤,ガラス繊維及び/又は炭素繊維が供給される場合には更にガラス繊維及び/又は炭素繊維を溶融混練して後述の押出ダイ20に押し出す。
【0070】
押出機12は,成形材料と発泡剤の混合材料を加熱混練して溶融可塑化し,この溶融可塑化した成形生地25aを押し出すスクリュ15を備えるスクリュ式の押出機12である。
【0071】
なお,本実施形態では押出成形装置11として2軸型のスクリュ押出機12を備えるものを図示するが,押出機12としては1軸型,多軸型,それらを組み合わせたスクリュ押出機等の各種のスクリュ押出機を使用しても良い。
【0072】
もっとも,前述した二軸スクリュ押出機は,スクリュ15の噛み合い構造による強制的な押出力と独特な混練効果を持っており,原料の分散に非常に有利であると共に,回転数を小さくしても必要な押出力を確保することができるために,摩擦による材料の温度上昇を抑えることができることから,押出機12のバレル13外周に設けたヒータ(図示せず)等による材料温度の制御を行い易い等の利点があることから,好ましくは,押出成形装置11の押出機12として,二軸型のスクリュ押出機を使用する。
【0073】
図1に示す2軸型のスクリュ押出機12は,バレル13と,該バレル13内に回転可能に設けられる一対のスクリュ15と,該スクリュ15を回転駆動させる減速機,モータ等からなる駆動源Mとを備え,バレル13の先端側(押出方向前方,
図1中右側)に後述する押出ダイ20及び成形ダイ30が設けられている。
【0074】
バレル13は,押出方向先端が開放されて出口13aが形成されていると共に,後端側(押出方向後方,
図1中左側)が閉塞された筒状に形成されており,後端側の上部にバレル13の内外を貫通する原料の投入口13bが設けられ,この投入口13bを介して前述の定量供給装置14からの成形材料と発泡剤の混合材料が投入される。
【0075】
バレル13の外周部には,バンドヒータ等の加熱手段(図示せず)がバレル13の全長に亘ってバレル13を巻回ないしは外環するように設けられており,この加熱手段によってバレル13の内部に供給された混合材料が加熱される。
【0076】
バレル13の全長は複数のゾーン(例えば,溶解ゾーン131,発泡剤の分解ゾーン132,発泡ガスの混合ゾーン133)に分けられ,加熱手段により各ゾーン131〜133毎に個別に温度制御が行われる。
【0077】
スクリュ15のそれぞれは,丸棒状の回転軸と,該回転軸の周囲に螺旋状に一体に設けられる,スクリュ15のネジ山部分を構成するスクリュとから構成されている。各スクリュ15の後端に設けた回転軸(
図1中左側)はバレル13の後端から後方に突出し,その突出している部分が駆動源Mのモータに連結され,このモータにより各スクリュ15に形成された傾斜したネジ山とネジ溝とが対称の状態で噛合回転する,先端側に向かって先細りの形状を成す二軸コニカルスクリュとして構成されている。
【0078】
スクリュ15のバレル13内に位置する部分は,溶解ゾーン131に配置されて加熱された原料を溶融混練する溶融混練部151と,発泡剤の分解ゾーン132に配置されて発泡剤の分解を促進する分解促進部152と,発泡ガスの混合ゾーン133に配置されて発泡ガスの分散を促進する分散促進部153によって構成され,スクリュの歯形が,各部分において上記機能に対応した形状に形成されている。
【0079】
駆動源Mの作動によってスクリュ15を回転駆動させることにより,定量供給装置14を介してバレル13内に供給された混合材料が加熱混練されながらスクリュ15のスクリュ間の溝に沿ってスクリュ15の先端方向に圧送され,溶融可塑化状態の成形生地25aとなって成形生地25aに対して加えられる押出力により,スクリュ15の先端側から出口13aを介してバレル13外に押し出される。
【0080】
押出ダイ(
図1及び
図2参照)
押出ダイ20は,押出機12のバレル13より押し出された成形生地25aを,溶融状態を維持しつつ後述する成形ダイ30に導入する。
【0081】
押出ダイ20は,押出機12のバレル13の先端側にアダプタ16を介して着脱可能に取り付けられている。
【0082】
成形生地25aの溶融状態を維持できるよう,押出ダイ20の外周にもバンドヒータ等の加熱手段(図示せず)が取り付けられており,内部を通過する成形生地25aを加熱乃至は保温をすることができるようになっている。
【0083】
押出機12より押し出された成形生地25aの流れを,成形ダイ30の入口に対応した形状の流れに変化させることができるよう,押出ダイ20は,前記押出機12のバレル13の出口13aの形状と一致した形状の入口20aと,成形ダイ30の入口形状と一致した形状の出口20bを備えている。
【0084】
また,
図2(A),(B)に示すように,内部空間21の高さは入口20a側から出口20b側に向かって減少する形状に形成されていると共に,横方向の幅が入口20a側から出口20b側に向かって徐々に広がった後,出口20b近くにおいて僅かに狭まり,その後,後述する成形ダイ30の入口30aの幅と同一幅となるように形成され,この空間21の形状変化によって押出機12のバレル13の出口13aより押し出された成形生地25aの流れを,成形ダイ30の入口30aに対応した形状に徐々に変化させることができるようになっている。
【0085】
本発明の押出成形装置11では,この押出ダイ20内を通過する際に成形生地25aの流れを均一化して成形ダイ30に導入することにより,成形材料に多量の発泡剤を添加した場合であっても成形生地の流れに偏りが生じることで発生する巣や歪み,しわの発生等の成形不良を防止することができるようにしている。
【0086】
このような均一化を目的として,押出ダイ20内の空間21には,成形生地25aの流れを均一化する抵抗体26が配置されている。
【0087】
また,押出ダイ20の入口20a側に取り付けられた前述のアダプタ16に,必要に応じてブレーカプレート22を嵌合装着することができる。
【0088】
抵抗体(
図2及び
図3参照)
押出ダイ20の空間21内に設けられる前述の抵抗体26は,押出ダイ20内の成形生地25aの流れに抵抗を与えると共に,抵抗体26の上流側において成形生地の攪拌と整流により,押出ダイ20内における成形生地25aの流れを均一化する。
【0089】
成形生地25aの流れに対する抵抗は,抵抗体26を押出ダイ20内に配置することで,抵抗体26に対する接触抵抗と,流路面積の減少によって与えられ,抵抗体26の配置により,抵抗体26の外周と押出ダイ20の空間21の内周間に,他の部分に比較して幅狭に形成された成形生地の流路21aが形成される。
【0090】
抵抗体26の上流側における成形生地25aの攪拌と整流は,前述した幅狭の流路21aの形成と共に,押出機12側における抵抗体26の端部に,所定形状の端面261aを設けることにより実現される。
【0091】
一例として,異方向回転型の二軸スクリュ押出機12より押し出された成形生地25aは,押出ダイ20の上側と下側とで流れの強さ(速さ)が異なり,上側に対し下側の流れが強く(速く)なる〔
図5(A),(B)参照〕。
【0092】
上下で流れの強さ(速さ)が異なる成形生地25aに対し,
図5(B)に示すように先端が尖った形状の抵抗体26’を使用した場合には,この抵抗体26’によって成形生地25aの流れが上下に分割されると共に,抵抗体26’の表面形状に沿って分割された流れが分割された状態を維持しながら成形ダイ30に導入されて冷却・固化されることで,得られた木質合成板の上側と下側で材料の密度が異なることで反りや変形等が生じる。
【0093】
一方,
図5(A)に示すように,押出機12側の端部に,「面」(端面261a)を備えた抵抗体26を設ける場合,成形生地25aは,この流れに対して抵抗が与えられることにより均一化が行われるだけでなく,成形生地25aが抵抗体26の端面261aと衝突して,上層側及び下層側の流れが攪拌により混ざり合うことにより,成形生地25aの流れがより一層均一化される。
【0094】
また,この端面261aを,
図2(B)に示すように平面視において中央を押出機12側に向けて膨出させた湾曲形状とすることで,この端面261aに衝突した成形生地は,相対的に速い流れとなっている中央部の流れが抑制されることで,成形生地25aの流れが幅方向にも均一化されることで,得られた成形体の各部における材料の密度が均一化し,成形後の反りや変形の発生が防止できるだけでなく,発泡剤を多量に添加した場合であても気泡が均一に分散されて気泡の偏在による巣の発生を防止することができる。
【0095】
抵抗体26の形状は図示のものに限定されないが,本実施形態にあっては,
図2及び
図3に示すように押出ダイ20の入口20a側に設けた端面261aから出口20b側に向かって徐々に幅及び厚みを増加する第1テーパ部261と,この第1テーパ部261の端部を延長する直方体状に形成された第1平坦部262を有すると共に,前記第1平坦部262から押出ダイ20の出口20bに向かって僅かに厚み及び幅を狭める第2テーパ部263と,前記第2テーパ部263に連通し,一定の幅及び厚みに形成された第2平坦部264を備え,前記第2平坦部の端部が押出ダイ20の出口20b内に配置されている。
【0096】
前述の第1平坦部262には,抵抗体を押出ダイ20内の所定の位置に固定するためのリブ265が設けられており,このリブ265によって,抵抗体26が押出ダイ20内に形成された空間21の中央に配置されて,抵抗体26の外周と押出ダイ20の空間21内周間に成形生地25aが流れる間隔が形成されている。
【0097】
抵抗体26の外周と押出ダイ20内の空間21内周間に形成される前述の間隔は,押出ダイ20の入口20a側から出口20b側に向かって徐々に流路面積を狭めた後,前述の第2平坦部の外周位置において一定幅に形成されるように構成されている。
【0098】
この抵抗体26を通り,成形生地25aの流れ方向に対して直交方向を成す押出ダイ20の幅方向のいずれの断面においても,押出ダイ20の空間21の開口形状と,抵抗体26の外周の断面形状とは,相似形となるように形成することが好ましく,これにより押出ダイ20の空間21内周と抵抗体26の外周間に形成される前述の隙間が,幅方向の断面〔一例として
図2(C)〕において全周に亘り均一な幅を有するものとして形成され,部分的に流路の間隔が変化することにより新たに成形生地に不均一な流れが発生することを防止している。
【0099】
押出ダイ20の出口20b内周と抵抗体26の成形ダイ30側の端部261b外周間の間隔CRは,3〜5mmの範囲とすることができ,好ましくは4mmである。
【0100】
また,押出ダイ20の出口20bの面積に対する抵抗体26の成形ダイ30側の端部261bの面積の割合(遮断率)は,17〜50%であり,好ましくは33%である。
【0101】
以上のように,第1テーパ部261,第1平坦部262,第2テーパ部263及び第2平坦部264を備えた抵抗体26を押出ダイ20内に配置することで,押出ダイ20を通過する成形生地25aは,第1テーパ部261に設けた端面261aとの衝突によって攪拌,整流されると共に,抵抗体26によって押出ダイ20の空間21の内壁に沿った流れとなり,押出ダイ20の出口20b内周と第2平坦部264の外周間の隙間に形成された流路21aを通過する際に比較的細い流れに集束されることで,成形生地25aの流れが更に均一な流れとなる。
【0102】
押出ダイ20を通過する成形生地25aは,添加された発泡剤が熱分解されることにより発生した発泡ガスを含んでいるが,抵抗体26の外周と押出ダイ20内の空間21内周間に形成された前述の間隔を通過することにより,成形生地25a内の発泡ガスの均一な分散が助長されると共に,押出ダイ20を通過する成形生地には圧力がかかった状態が維持されることで,押出ダイ20内における発泡ガスの膨張が抑制されて,押出ダイ20より押し出されて均一に分散された後に発泡ガスが膨張を開始することで,全体に均一な気泡した木質合成板が得られるものとなっている。
【0103】
ブレーカプレート(
図4参照)
前述のブレーカプレート22は,一例として
図4(A),(B)に示すように,多数の小孔22aがメッシュ状に形成された円盤状の部材である。
【0104】
ブレーカプレート22を取り付けるために,アダプタ16には,
図2(A),(B)に示すようにブレーカプレート22の取付穴16aが形成されており,この取付穴16a内にブレーカプレート22と固定リング17を挿入することで,アダプタ16内の所定の位置にブレーカプレート22が取り付けられている。
【0105】
このように押出ダイ20の入口20a側にブレーカプレート22を取り付けることで,押出機12より押し出された成形生地25aは,ブレーカプレート22に形成された小孔22aを通過する際に抵抗を受けることで流れの均一性が改善される。
【0106】
ブレーカプレート22は必要に応じて設けるものであり,省略しても良い。
【0107】
成形ダイ(
図1参照)
以上のように,押出ダイ20を通過して流れが均一化された成形生地25aは,成形ダイ30内に導入されて,成形ダイ30内に形成された成形室の形状によって決定される所定の形状に成形されると共に冷却固化され木質合成板となる。
【0108】
この成形ダイ30は,本実施形態において
図1に示すように複数の金型の集合体によって形成されており,押出ダイ20の出口に入口を連通させた第1の成形ダイ301を備えると共に,この第1の成形ダイ301の出口側に所定間隔を介して配置された第2成形ダイ302,第2成形ダイ302の出口側に所定間隔を介して配置された第3成形ダイ303と,図示の実施形態にあっては,第4成形ダイ304までを連続して配置した構成としている(
図1参照)。
【0109】
個々の成形ダイ301〜304には,前述した押出ダイ20の出口20b形状に対応した断面形状の成形室が形成されている。
【0110】
幅狭の流路21aが形成された押出ダイ20を通過した成形生地25aを第1成形ダイ301内に導入すると,第1成形ダイ301内で成形生地25aは急激に圧力が開放されて,第1成形ダイ301内に形成された成形室の形状に成形されて冷却・固化される。
【0111】
第1成形ダイ301で成形,冷却されて成形体となった成形生地は,引取機50による引取りによって第1成形ダイ301を通過した後,第2成形ダイ302,第3成形ダイ303,第4成形ダイ304を順次通過する際に冷却されて,コンクリート型枠用のせき板となる木質発泡成形体の製造が完了する。
【実施例】
【0112】
〔試験1:押出成形装置の効果確認試験〕
(1) 試験の目的
本発明の押出成形装置を使用することで,従来の押出成形装置を使用した場合に比較して,より発泡率の高い木質合成板(低比重の木質合成板)の製造が可能となることを確認する。
【0113】
(2) 試験方法
押出機側の端部形状が異なる3種類の抵抗体(ドーピード)を装着した押出成形装置を使用して,発泡剤の添加量を変化させて押出成形を行い木質合成板を製造する。
【0114】
得られた木質合成板の断面に巣が発生しているか否かを確認し,巣の発生がない最大の発泡剤添加量を求め,得られた木質合成板の比重を測定すると共に,外観を観察する。
【0115】
(3) 試験条件
成形材料の配合比を表1に示す。
【0116】
【表1】
【0117】
上記成形材料を予めペレット製造装置で溶融混練して平均粒径5mmのペレットに造粒した。
【0118】
成形材料のペレットに対し,発泡剤〔キャリア樹脂PEに重炭酸ナトリウムを添加したマスタバッチ:前掲の永和化成工業製「EE405F」〕を添加して得た成形材料を使用して,
図1を参照して説明した押出成形装置により,コンクリート型枠用のせき板として使用する幅600mm,厚さ12mmの木質合成板を製造した。
【0119】
実施例1,比較例1及び比較例2のいずれも,抵抗体(ドーピード)を付け替えた点を除き,共通の押出成形装置を使用して木質合成板を製造した。
【0120】
比較例1では,
図6(A)に示すように押出機側の端部が先鋭な形状を有する抵抗体(ドーピード)を使用した。
【0121】
比較例2では,
図6(B)に示すように,押出機側の端部が成形材料の流れ方向に対し直交方向を有する端面を備えた形状を有する抵抗体(ドーピード)を使用した。
【0122】
実施例1では,
図6(C)示したように,押出機側の端部が平面視において中央が押出機側に向かって膨出する湾曲形状の端面を有する抵抗体(ドーピード)を使用した。
【0123】
(4) 試験結果
試験結果を表2に示す。
【0124】
【表2】
【0125】
(5) 考察
抵抗体(ドーピード)として,押出機側の端部に平面視湾曲形状の端面を備えた形状のものを使用した実施例1では,発泡剤の添加量を大幅に増やした場合であっても,成形生地の流れが偏ることを防止でき,巣の発生,反りやしわの発生等の成形不良の発生を防止できた。
【0126】
その結果,比較例1及び2に比較して,低比重である軽量な木質合成板を製造することができた。
【0127】
〔試験2:低比重・高剛性を実現する原料配合比の確認試験〕
(1) 試験の目的
合板(ベニヤ)製のせき板に匹敵する0.75以下,0.72以下の比重と,コンクリート型枠用のせき板として必要な剛性が得られる原材料の配合を求める。
【0128】
(2) 試験方法
下記の[表3]に示す3種類の配合比の原料を,前述した試験1における実施例1の押出成形装置を使用して幅約600mm,厚み約12mmの木質合成板を製造する。
【0129】
得られた各木質合成板を長さ約600mmで切断して試験片を得て,各試験片の厚み,比重,曲げ強度,及び曲げ弾性を測定した。
【0130】
【表3】
【0131】
(3)試験結果
試験結果を[表4]に示す。
【0132】
【表4】
【0133】
(4)考察
上記表4の結果から,PEを上限である52質量%付近とした実施例2の配合では比重0.72,PEを48質量%とした実施例3の配合では比重0.75という低比重で軽量なコンクリート型枠用のせき板を製造することができた。
【0134】
しかも,実施例2及び実施例3の配合比で製造されたコンクリート型枠用のせき板は,0.72,0.75という低比重,従って0.82の比重である比較例3のせき板に比較して高い発泡率で発泡されたものであるにも拘わらず,曲げ強度と曲げ弾性率については比較例3のせき板と同等の数値を示すものであることから,発泡率の向上に伴う剛性の低下が好適に抑制されていることが確認された。
【0135】
因って,本発明の製造方法では,低密度で軽量でありながら,必要な剛性を備えたコンクリート型枠用のせき板を製造できることが確認された。
【0136】
また,上記の結果から,熱可塑性樹脂が46〜52質量%,木粉が33〜35質量%の数値範囲内である上記実施例2及び3において比重0.80以下(実施例において0.75,0.72)という低比重で,かつ,コンクリート型枠用せき板として必要な剛性を備えた成品を製造できたのに対し,熱可塑性樹脂が上記数値範囲より外れた比較例3のせき板の比重は,0.82と,比重0.8を超えており,比重0.8以下,好ましくは0.75以下,より好ましくは0.72以下の低比重を実現することができず,本願における上記配合比が低比重のせき板を得る上で有効であることが確認された。