(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-71058(P2020-71058A)
(43)【公開日】2020年5月7日
(54)【発明の名称】線形位置検出装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20200410BHJP
【FI】
G01D5/245 110M
G01D5/245 H
G01D5/245 R
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-203054(P2018-203054)
(22)【出願日】2018年10月29日
(71)【出願人】
【識別番号】514150181
【氏名又は名称】大銀微系統股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HIWIN MIKROSYSTEM CORP.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】蕭恆昇
(72)【発明者】
【氏名】徐志豪
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA30
2F077AA32
2F077CC02
2F077CC08
2F077NN05
2F077NN17
2F077NN24
2F077PP12
2F077PP14
2F077QQ15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】線形伝動システムに適用される線形位置検出装置を提供する。
【解決手段】符号化部材及び検出部材を含み、検出部材は符号化部材に対応して設置され、符号化部材の信号を検出して変位情報を取得するのに用いられる。符号化部材は、基材10、第1符号化セット20及び第2符号化セット30を含み、基材10は、基材10の長辺と平行な軸方向11、及び軸方向11と直交するラジアル方向12を有する。第1符号化セット20は基材10上に配置され、基材10の軸方向11に沿って延在し、且つラジアル方向12に沿って間隔をあけて配列された複数の第1磁区21を有する。第2符号化セット30は基材10上に配置され、且つ第1符号化セット20と隣接して設置され、ラジアル方向12に延在し、且つ軸方向11に沿って間隔を空けて配列された複数の第2磁区31を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化部材と、検出部材とを含む線形伝動システムに適用して線形軸の変位測定を行うのに用いられる線形位置検出装置であって、
符号化部材は基材、第1符号化セット、第2符号化セットを含み、そして、
前記基材の長辺と平行な軸方向、及び前記軸方向と直交するラジアル方向を有し、
前記第1符号化セットは、前記基材上に配置され、また前記基材の前記軸方向に沿って延在し、且つ前記ラジアル方向に沿って間隔をあけて配列された複数の第1磁区を有し、
前記第2符号化セットは、前記基材上に配置され、且つ前記第1符号化セットと隣接して設置され、また前記ラジアル方向に延在し、且つ前記軸方向に沿って間隔を空けて配列された複数の第2磁区を有し、
前記検出部材は、前記符号化部材に対応して設置され、前記符号化部材の信号を検出して変位情報を取得する。
【請求項2】
前記基材は磁性材料又は磁気伝導材料で作られることを特徴とする請求項1に記載の線形位置検出装置。
【請求項3】
前記第2符号化セットはインクリメンタル式コードであることを特徴とする請求項1に記載の線形位置検出装置。
【請求項4】
前記第2符号化セットはアブソリュート式コードであることを特徴とする請求項1に記載の線形位置検出装置。
【請求項5】
前記検出部材は第1検出器及び第2検出器を含み、前記第1検出器は前記符号化部材の振幅及び周期信号を検出するためのものであり、前記第2検出器は前記符号化部材の磁場強度を検出するためのものであることを特徴とする請求項1に記載の線形位置検出装置。
【請求項6】
前記第1検出器は磁気抵抗式センサーであり、且つ前記第2検出器はホールセンサーであることを特徴とする請求項5に記載の線形位置検出装置。
【請求項7】
前記線形伝動システムは固定部材及び可動部材を含み、前記符号化部材は固定部材上に設置され、且つ前記検出部材は前記可動部材上に前記符号化部材に対応して設置されることを特徴とする請求項1に記載の線形位置検出装置。
【請求項8】
前記固定部材は線形レールであり、且つ前記可動部材は荷重支持プラットフォームであることを特徴とする請求項7に記載の線形位置検出装置。
【請求項9】
前記検出部材と前記符号化部材との間は間隔を有することを特徴とする請求項7に記載の線形位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出装置に関し、特に線形位置検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、線形又は回転軸の強磁性体(ferromagnetic material)を測定するための装置は歯形構造を有しており、その物理変位量を解析して測定するため、検出器と永久磁石とが並列に、且つ歯形構造を検出する最大磁場部分に設置される。
【0003】
しかし従来技術で歯形構造を配列する方法では、線形磁性材上の場合には幅方向に沿って延在させ、且つ長さ方向に沿って配列され、環形磁性材上の場合には歯形構造が環形磁性材の内側表面上に設置され、同様に幅方向に沿って延在させ、且つ長さ方向に沿って配列される。言い換えれば、歯形構造の配列方法は単一方向の変位量しか測定することができないということである。例えば、歯形構造が軸方向の配列である場合には軸方向の変位量しか測定できず、ラジアル方向の配列である場合にはラジアル方向の変位量しか測定できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、本発明は、2つの磁気符号化セット及びアナログ検出器を導入することで異なる軸方向に移動する物理変位量を取得し、それによりユーザーが動作中の誤差発生を即座に発見し、且つ後続の校正・補償システムによって調整を行い、誤差が招く製品不良率の発生を防止することが可能な磁性線形位置検出装置を提供することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明が提供する線形伝動システムにおいて適用される線形位置検出装置は、符号化部材及び検出部材を含み、そのうちの検出部材は符号化部材に対応して設置され、符号化部材の信号を検出して変位情報を取得するのに用いられる。符号化部材は、基材、第1符号化セット及び第2符号化セットを含み、そのうちの基材は、基材の長辺と平行な軸方向、及びその軸方向と直交するラジアル方向を有する。第1符号化セットは基材上に配置され、また基材の軸方向に沿って延在し、且つラジアル方向に沿って間隔をあけて配列された複数の第1磁区を有する。第2符号化セットは基材上に配置され、且つ第1符号化セットと隣接して設置され、またラジアル方向に延在し、且つ軸方向に沿って間隔を空けて配列された複数の第2磁区を有する。
【0006】
本発明の一つの実施例では、基材は磁性材料又は磁気伝導材料で作られる。
【0007】
本発明の一つの実施例では、第2符号化セットはインクリメンタル式コード又はアブソリュート式コードである。
【0008】
本発明の一つの実施例では、検出部材は第1検出器及び第2検出器を含み、そのうちの第1検出器は符号化部材の振幅及び周期信号を検出するためのものであり、第2検出器は符号化部材の磁場強度を検出するためのものである。
【0009】
本発明の一つの実施例では、第1検出器は磁気抵抗式センサーであり、且つ第2検出器はホールセンサーである。
【0010】
本発明の一つの実施例では、線形伝動システムは固定部材及び可動部材を含み、符号化部材は固定部材上に設置され、且つ検出部材は可動部材上に符号化部材に対応して設置されるとともに間隔を有する。
【0011】
本発明の一つの実施例では、固定部材は線形レールであり、且つ可動部材は荷重支持プラットフォームである。
【発明の効果】
【0012】
要約すると、本発明の磁性線形位置検出装置は、2つの磁気符号化セット及びアナログ検出器を導入することで異なる軸方向に移動する物理変位量を取得し、それによりユーザーが動作中の誤差発生を即座に発見し、且つ後続の校正・補償システムによって調整を行い、誤差が招く製品不良率の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施例の符号化部材の立体図である。
【
図2】本発明の第2実施例の符号化部材の立体図である。
【
図3】本発明の第1実施例の線形位置検出装置の立体図である。
【
図4】本発明の第2実施例の線形位置検出装置の立体図である。
【
図5】本発明の線形位置検出装置中の符号化部材と検出部材の距離間隔と磁場強度との関係グラフである。
【
図6】本発明の線形位置検出装置中の検出部材が、異なる軸方向に移動する物理変位量の解析を行うフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0014】
本発明の線形位置検出装置は、符号化部材及び検出部材を含むが、
図1は第1実施例で提供する符号化部材であり、それは基材(10)、第1符号化セット(20)及び第2符号化セット(30)を含み、そのうちの第1符号化セット(20)及び第2符号化セット(30)は基材(10)上に配置され、且つ隣接して設置される。基材(10)は、基材の長辺と平行な軸方向(11)、及びその軸方向と直交するラジアル方向(12)を有する。本実施例では、基材(10)は線形の形態を呈しており、且つ磁性材料又は磁気伝導材料で作られる。
【0015】
第1符号化セット(20)は軸方向(11)に沿って延在し、且つラジアル方向(12)に沿って間隔をあけて配列された複数の第1磁区(21)を有する。第2符号化セット(30)はラジアル方向(12)に沿って延在し、且つ軸方向(11)に沿って間隔をあけて配列された複数の第2磁区(31)を有する。本実施例では、第2符号化セット(30)をインクリメンタル式コードとして説明する。
図2が示す符号化部材の第2実施例では、第2符号化セット(30)がアブソリュート式コードで設計されているが、第1符号化セット(20)及び第1実施例と同様であるため、ここでは説明を省略する。また、第1符号化セット(20)の第1磁区(21)及び第2符号化セット(30)の第2磁区(31)の数量は特に限定されず、第1磁区(21)及び第2磁区(31)の数量は応用における精度要求に応じて増設するか又は減らすことができる。
【0016】
よって、上述の第1実施例及び第2実施例の符号化部材は、第1符号化セット(20)及び第2符号化セット(30)を線形形態の基材上に設置し、且つ第1磁区(21)及び第2磁区(31)をそれぞれ上述の軸方向(11)及びラジアル方向(12)に沿って間隔をあけて配列することで、線形軸の平坦度誤差、横振動量、垂直振動量、又は変位などの関係する物理量を測定するのに用いられるものであり、その関係する測定フローについては後述する。
【0017】
図3を参照して、本発明の線形位置検出装置は線形伝動システムに取り付けられ、線形軸の変位測定が行われる。本実施例では、線形伝動システムは線形レール(40)及び荷重支持プラットフォーム(50)を含み、そして、符号化部材は線形レール(40)上に設置され、検出部材は荷重支持プラットフォーム(50)上に符号化部材に対応して設置され、且つ符号化部材とは間隔を有しており、符号化部材の信号を検出して変位情報を取得するのに用いられる。具体的には、符号化部材の基材(10)は線形レール(40)の荷重支持プラットフォーム(50)に対応する表面上に設置され、基材の長辺の軸方向(11)を線形レール(40)の軸方向と同軸にさせる。荷重支持プラットフォーム(50)上に設置される検出部材は第1検出器及び第2検出器を含み、そのうちの第1検出器は符号化部材の振幅及び周期信号を検出するためのものであり、第2検出器は符号化部材の磁場強度を検出するためのものである。本実施例では、第1検出器は磁気抵抗式センサーであり、且つ第2検出器はホールセンサーであり、また符号化部材の第2符号化セット(30)をインクリメンタル式コードとして説明する。
図4が示す線形伝動システムの実施例において、その違いは第2符号化セット(30)がアブソリュート式コードで設計されている点だけであり、ここでは説明を省略する。
【0018】
さらに説明すると、検出部材は第1検出器及び第2検出器を含み、そのうちの第1検出器はインクリメンタル位置コード又はアブソリュート位置コードの検出によって位置情報を判断するのに用いられ、第2検出器は磁性材料又は磁気伝導材料の磁場強度の検出に基づいて平坦度誤差又は垂直振動量を判断する。検出部材は荷重支持プラットフォーム(50)上に符号化部材に対応して設置され、且つ符号化部材とは間隔を有しているので、距離間隔が変化した場合には磁場強度が
図5で示すような曲線を呈し、これにより平坦度誤差又は垂直振動量を判断する。
【0019】
図6を参照して、本発明の検出部材が線形伝動システムの平坦度誤差、真直度誤差、垂直振動量、横振動量、変位、及び速度を検出する解析フローについて説明する。線形伝動システムの荷重支持プラットフォーム(50)が線形レール(40)において移動するとき、検出部材が第1符号化セット(20)の磁場強度を検出し、次にビルトインのルックアップテーブル(look up table、LUT)との比較を行い、さらにマイクロ制御器(micro−controller unit、MCU)が行う演算と解析により位置情報を得ることで、線形伝動システムの平坦度誤差又は垂直振動量を得る。また、検出部材によって第1符号化セット(20)の磁気コードを検出し、次に検出器が電圧信号をマイクロ制御器に出力し、演算と解析を行って位置情報を得ることで、線形伝動システムの真直度誤差又は横振動量を得ることができる。最後に、検出部材によって第2符号化セット(30)の磁気コードを検出し、次に荷重支持プラットフォーム(50)の線形レール(40)における移動の変位、速度及び加速度を取得するが、そのうちの第2符号化セット(30)は、
図1の実施例中で示すインクリメンタル式コードで設計してもよく、また
図2の実施例中で示すアブソリュート式コードで設計してもよい。
【0020】
上述をまとめると、本発明の線形位置検出装置は線形伝動システムに応用され、インクリメンタルコード又はアブソリュートコードだけで位置情報を得る従来の方式と比較すると、さらに別の符号化セット及び別のアナログ検出器(ホールセンサーなど)によって異なる軸方向に移動する物理変位量を取得し、それによりユーザーが動作中の誤差発生を即座に発見し、且つ後続の校正・補償システムによって調整を行い、誤差が招く製品不良率の発生を防止することができる。
【外国語明細書】