特開2020-71066(P2020-71066A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-71066(P2020-71066A)
(43)【公開日】2020年5月7日
(54)【発明の名称】回転軸部材の偏移検知機構
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/12 20060101AFI20200410BHJP
   G01D 5/245 20060101ALI20200410BHJP
【FI】
   G01D5/12 G
   G01D5/245 110M
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-203129(P2018-203129)
(22)【出願日】2018年10月29日
(71)【出願人】
【識別番号】514150181
【氏名又は名称】大銀微系統股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HIWIN MIKROSYSTEM CORP.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】蕭恆昇
(72)【発明者】
【氏名】徐志豪
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA47
2F077CC02
2F077JJ08
2F077JJ09
2F077JJ23
2F077NN02
2F077NN04
2F077NN24
2F077PP12
2F077PP14
2F077QQ03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】回転軸部材の回転運動時の径方向又は軸方向での位置偏移量を検知可能である回転軸部材の偏移検知機構を提供する。
【解決手段】回転軸部材の周りに、前記回転軸部材と同期して回転可能な同心円弧状の第1セクター32及びインクリメンタルコーディング又はアブソリュートコーディングによる第2セクター33、外部固着アセンブリに定着される検知ユニットが設置されており、前記回転軸部材が回転する時、第1セクター32と第2セクター33を検知し、且つ検知信号を発生し、更に前記検知信号により前記回転軸部材の位置を解析して前記回転軸部材の回転角度及びその径方向又は軸方向での偏移量を取得する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状となっており、自身の柱軸を回転軸として回転可能である回転軸部材と、
本体を有し、前記回転軸部材に固設されており、前記回転軸部材と同期して回転可能であり、円弧状の第1セクターを前記回転軸部材の柱軸と同軸となるように前記本体に設置し、前記第1セクターの南磁極及び北磁極を前記回転軸部材の柱軸を中心として仮設した異なる円形軌道に位置させ、円弧状の第2セクターをも前記回転軸部材の柱軸と同軸となるように前記本体に設置したエンコーダー部材と、
外部固着アセンブリに定着されており、前記エンコーダー部材の前記第1セクター及び前記第2セクターを検知する検知ユニットと、を備える回転軸部材の偏移検知機構。
【請求項2】
前記第2セクターはインクリメンタルコーディング又はアブソリュートコーディングによるものである請求項1に記載の回転軸部材の偏移検知機構。
【請求項3】
前記第1セクターの南磁極と北磁極は前記回転軸部材の軸方向における同一位置に対して、前記第1セクターの南磁極と北磁極のそれぞれが所在する円形軌道を前記回転軸部材の径方向に隔てられている請求項1に記載の回転軸部材の偏移検知機構。
【請求項4】
前記本体は円盤状となっている請求項3に記載の回転軸部材の偏移検知機構。
【請求項5】
前記エンコーダー部材の有する前記第1セクターの数量が複数であり、各前記第1セクターが全て前記回転軸部材の柱軸を中心として前記回転軸部材の径方向に隔てられている請求項3に記載の回転軸部材の偏移検知機構。
【請求項6】
前記第1セクターの南磁極と北磁極は前記回転軸部材の軸方向における異なった位置に対して、前記第1セクターの南磁極と北磁極のそれぞれが所在する円形軌道を前記回転軸部材の軸方向に隔てられている請求項1に記載の回転軸部材の偏移検知機構。
【請求項7】
前記本体は円環盤状となっている請求項6に記載の回転軸部材の偏移検知機構。
【請求項8】
前記エンコーダー部材の有する前記第1セクターの数量が複数であり、各前記第1セクターが全て前記回転軸部材の柱軸を中心として前記回転軸部材の軸方向に隔てられている請求項6に記載の回転軸部材の偏移検知機構。
【請求項9】
前記検知ユニットはホール素子又は磁気抵抗検知ユニットである請求項1に記載の回転軸部材の偏移検知機構。
【請求項10】
前記本体は磁性材料又は透磁性材料で製作される請求項1に記載の回転軸部材の偏移検知機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転運動の検知技術に関し、特に、回転軸部材の偏移検知機構に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械、主軸、モータ又は回転軸などの回転軸部材の運動状態を知るために、従来の技術には、ロータリーエンコーダーにより回転軸部材の回転角度を測定し、測定した回転角度に基づいて計算した後、例えば角度、速度及び位置などのデータを取得して、自動化制御のパラメーターとすることができることが開示されている。
【0003】
従来の技術には回転軸部材の回転状態の検知を達成することができる技術内容が複数開示されているが、精密性が日増しに求められている自動化制御技術において、回転軸部材の回転角度を知る必要があることに加えて、慣性モーメントの変動により回転軸部材に偏心回転が発生した偏向状態について、自動制御技術で制御パラメーターとして取り入れることもと必要されているが、従来の技術においてこれらの回転軸部材の偏移検知技術について好ましい設計がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明は、回転軸部材の回転運動時の径方向又は軸方向での位置偏移量を検知可能である回転軸部材の偏移検知機構を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、上記目的を達成するために、本発明の提供する回転軸部材の偏移検知機構は、回転軸部材の周りに、該回転軸部材と同期して回転可能な同心円弧状の第1セクター及びインクリメンタルコーディング又はアブソリュートコーディングによる第2セクター、外部固着アセンブリに定着される検知ユニットが設置されており、該回転軸部材が回転する時に、該第1セクターと該第2セクターを検知し、且つ検知信号を発生し、更に該検知信号により該回転軸部材の位置を解析して該回転軸部材の回転角度及びその径方向又は軸方向での偏移量を取得する。
【0006】
ここで、該第1セクターの南磁極と北磁極がそれぞれ該回転軸部材の軸心を中心として仮設した異なる円形軌道に位置しており、それにより該検知ユニットが該回転軸部材の回転期間内に持続的に該第1セクターを検知して対応する検知信号を発生することができる。
【0007】
該回転軸部材の軸方向での偏移量を得ようとする時に、該検知ユニットの検知方向を該回転軸部材の軸心と平行にし、逆には、該回転軸部材の径方向での偏移量を得ようとする時に、該検知ユニットの検知方向を該回転軸部材の軸心に垂直にしてよい。
【0008】
更に言えば、より好ましい検知信号を取得するために、該第1セクターの数量を複数にし、且つこれらの第1セクターを全て該回転軸部材の軸心を中心とする円環状にし、各該第1セクターを互いに隔てるようにしてもよく、ここで、回転軸部材の軸方向偏移量を取得することを目的とする時、これらの第1セクターを該回転軸部材の径方向に互いに隔て、即ちこれらの第1セクターの環形内径を互いに異なるようにし、逆には、回転軸部材の径方向偏移量を取得することを目的とする時に、これらの第1セクターを回転軸部材の軸方向に互いに隔て、即ちこれらの第1セクターの環形内径を互いに同様にする。
【0009】
ここで、該第1セクターは該回転軸部材に固設された本体に位置している。
【0010】
ここで、該第1セクターの数量が複数である時、該本体の形状はこれらの第1セクターを収容するように設置することに適合する形状であり、即ち、これらの第1セクター同士の環形内径が同じである時に、該本体は円環盤状となって、これらの第1セクターを該本体の周りの円環面に環設し、逆には、該第1セクター同士の環形内径が異なった時に、該本体を円盤状にして、これらの第1セクターをそれぞれ該本体の一側の平面に設置する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の好ましい実施例におけるエンコーダー部材の斜視図である。
図2】本発明の第1の好ましい実施例の斜視図である。
図3】本発明の第1の好ましい実施例で予め設定した磁場強度の変化と距離の大きさの間の関係の図である。
図4】本発明の第2の好ましい実施例のエンコーダー部材の斜視図である。
図5】本発明の第2の好ましい実施例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第2の好ましい実施例を挙げて、図面を参照しながら更に説明する。
【0013】
まず、図1及び図2に示すように、本発明の第1の好ましい実施例で提供される回転軸部材の偏移検知機構(10)は、主に1つの回転軸部材(20)、2つのエンコーダー部材(30)及び2つの検知ユニット(40)を含む。
【0014】
該回転軸部材(20)は、力を伝達するアセンブリとし、例えば、工作機械、加工主軸、モータ又は回転軸などの回転運動を発生するアセンブリであってよく、形状に関しては本実施例に開示された直柱形態の中実物体であってもよく、直管形態の中空物体又は他の形状であってもよい。
【0015】
これらのエンコーダー部材(30)は、それぞれ磁性材料又は透磁性材料で製作された円盤状の本体(31)を備え、該回転軸部材(20)と同軸となるように固設され、互いに隔てられており、複数の等距離をもって同心円環状に配列される第1セクター(32)が該本体(31)の一側の片面に分散設置されており、同心円環の円心を該回転軸部材(20)の柱軸に位置させてこれらの第1セクター(32)と該回転軸部材(20)の同心度を確保し、インクリメンタルコーディングにより構成された円環形状の第2セクター(33)がこれらの第1セクター(32)と同軸となるように該本体(31)の一側の片面に設置され且つこれらの第1セクター(32)の円心に近い一側に位置している。
【0016】
より具体的には、これらの第1セクター(32)のそれぞれの南磁極と北磁極はそれぞれ各該第1セクター(32)の自身の円環形状に沿って連続的に延伸して円環状になって、隣接する第1セクター(32)の間に介在する磁極境界線(34)をも円環形状にしている。
【0017】
なお、該第2セクター(33)は従来のアブソリュートコーディング方式を採用してもよく、本実施例で具体的に開示したインクリメンタルコーディングと共に、全て回転角度及び位置を解析するための従来のものである。
【0018】
これらの検知ユニット(40)はホール素子又は磁気抵抗ユニットで構成された従来の磁性検知部材であってよく、これらの検知ユニット(40)をそれぞれ外部の固着アセンブリ(未図示)に固定して、各該エンコーダー部材(30)に対する検知をそれぞれ行って、対応する検知信号を発生して解析する。
【0019】
ここで、いわゆる外部の固着アセンブリはこれらの検知ユニット(40)を固定位置に位置決めすることができるものであればよく、それにより検知ユニット(40)とエンコーダー部材(30)の間に固定側と可動側の相対関係を持たせ、これらの技術は当業者であれば理解可能なことであるので、本願で詳しく説明する必要がない。
【0020】
更に言えば、該回転軸部材(20)が外力により駆動されて自身の柱軸を回転軸として自転運動する時に、これらのエンコーダー部材(30)が該回転軸部材(20)と同期して回転し、更にこれらの検知ユニット(40)が該第1セクター(32)とこれらの第2セクター(33)の磁極変化を検知し、且つそれぞれ対応する検知信号を発生し、これらの検知信号により、更に該回転軸部材(20)の回転状態を解析して該回転軸部材(20)が回転運動時に径方向の偏移を発生したかどうかを知ったり、又は更なる径方向偏移量を知ることができ、また、解析して回転軸部材(20)のトルクの大きさを知ることができ、回転角度を検知しそれに基づいて回転位置を解析することしかできない従来の技術のエンコーダー技術と比較して、回転運動の真実な姿をより全面的に把握して自動制御の正確度を向上させることができる。
【0021】
これらの検知ユニット(40)がこれらの第1セクター(32)の磁極変化を検知する時に、これらの第1セクター(32)の磁極が全て円環状に配列されているので、回転軸部材(20)が回転した時に径方向での偏移を発生しなかった場合に、これらの検知ユニット(40)がこれらの第1セクター(32)において磁極の変化を検知できなく、この時、その出力するA/B相信号の望ましい波形振幅が零に近くなっており、該回転軸部材(20)の自転運動に径方向での偏移が発生した時、該検知ユニット(40)が該第1セクター(32)の範囲において対応する磁極変化を検知でき、偏移程度と正比例する振幅のA/B相弦波信号を発生し、解析した後該回転軸部材(20)の径方向での偏移量を知ることができる。ここで、本実施例に開示された第1セクターの数量が複数であるが、該回転軸部材(20)の径方向偏移量の検知に関しては、単一の第1セクターが回転する時に発生する磁極変化を基礎とするようにしてもよいため、本実施例に開示された第1セクターの数量は本発明の保護される範囲に制限を加えるものではない。
【0022】
また、これらの検知ユニット(40)がそれぞれこれらの第2セクター(33)の磁極変化をも検知し、且つ従来の技術により該回転軸部材(20)の回転角度又は所在する回転位置を解析し、各該検知ユニット(40)が各該第2セクター(33)をそれぞれ検知し解析して得られた2つの値を比較することにより、該回転軸部材(20)のトルクの大きさを取得することができる。
【0023】
なお、本実施例においてこれらの第1セクター(32)の磁極変化により該回転軸部材(20)の径方向での偏移を検知できることのみを開示したが、実施する際にして、アナログセンサー(未図示)を検知ユニット(40)に組み合わせてこれらのエンコーダー部材(30)の該回転軸部材(20)の軸方向での磁場強度変化を検知し、更に例えば図3で例示された磁場信号強度(縦軸)及びアナログセンサーとエンコーダー部材の磁場の間の距離(横軸)の関係図により、該回転軸部材の軸方向での偏移量を解析することもできる。
【0024】
図4図5を参照し続け、本発明の第2の好ましい実施例で提供された回転軸部材の偏移検知機構(10a)は、その技術的特徴が前記の第1の好ましい実施例で開示したものと同じであり、異なる点は、主に、第1の好ましい実施例で、検知ユニットが回転軸部材の軸方向から第1セクターの磁極変化を検知し、それに基づいて回転軸部材が径方向に偏移を発生したかどうかを判断するようになっているが、本実施例で該検知ユニット(40a)が回転軸部材(20a)の径方向から第1セクター(32a)の磁極変化を検知し、更に回転軸部材が軸方向に偏移を発生したかどうかを判断するようになっていることである。なお、本実施例でインクリメンタルコーディングを該第2セクター(33a)の例とする。
【0025】
更に、複数のこれらの第1セクター(32a)を設置可能にするために、第2の好ましい実施例で各該本体(31a)の形状を円環盤状にし、且つ円盤状の固定ベース(35a)により該回転軸部材(20a)に固定し、更に各該第1セクター(32a)と各該第2セクター(33a)を該本体(31a)の外周円環面に分散設置し、そのようにして、本実施例において外部固着アセンブリに固着されたこれらの検知ユニット(40a)により該回転軸部材(20a)の径方向からこれらの第1セクター(32a)が該回転軸部材(20a)の軸方向に発生した磁極変化を検知して該回転軸部材(20a)が回転時に軸方向に偏移を発生したかどうかを判断し、その具体的な偏移量を取得することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】
2020071066000001.pdf