【解決手段】加工装置は、ワークを載置可能に構成されたステージと、ステージに対して相対移動可能に構成された工具と、ステージ上に載置されているワークを撮像可能に構成された撮像装置と、制御部とを備える。制御部は、ステージに載置されているワークを撮像装置によって撮像し、撮像画像を取得する処理と、加工データを取得する処理と、加工データに基づいて、ステージ及び工具の少なくとも一方を動作させる実行コードを自動的に生成する処理と、実行コードに基づいて、ステージ及び工具の少なくとも一方を動作させる処理とを実行する。加工データを取得する処理は、撮像画像に基づいて、ステージに対するワークの位置を加工データとして取得することを含む。
前記制御部は、前記撮像画像に基づいて前記ワークの姿勢を取得し、当該姿勢が前記ステージに対して傾いているか否かを判断する処理をさらに実行する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係る実施形態の一例について、図面を参照しつつより詳細に説明する。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1には、X軸、Y軸及びZ軸により規定される直交座標系が例示されている。当該直交座標系において、Y軸は鉛直上向きに延びており、X軸はY軸に直交するように水平方向に延びており、Z軸はX軸及びY軸の双方に直交するように水平方向に延びている。
【0012】
[加工装置の構成]
図1〜
図5を参照して、加工装置1について説明する。加工装置1は、
図1に示されるように、加工対象であるワークWを加工する機能を有する。ワークWは、例えば、シート状の母材(金属板など)を打ち抜く打抜装置を構成する金型部品であってもよい。ワークWの形状は、例えば、直方体形状、円柱形状、多角柱形状、その他の異形状であってもよい。
図2に示されるように、ワークWの表面に加工指示表示Cが設けられていてもよい。
【0013】
加工指示表示Cは、ワークWに関する情報(ワーク情報)を表示するものであってもよいし、加工指示表示Cが付されたワークWに対する加工条件を表示するものであってもよいし、これらの両者を表示するものであってもよい。ワーク情報は、例えば、ワークWの材質、サイズ、形状などを含んでいてもよい。加工条件は、例えば、Y方向の切込量(以下、単に「切込量」という。)、後述するステージ13の移動速度(単位時間あたりの往復回数)、後述する工具21の回転数を含んでいてもよい。
【0014】
加工指示表示Cは、例えば、数字であってもよいし、記号であってもよいし、所定の規則によって生成される模様状符号であってもよい。当該模様状符号としては、明模様と暗模様との組み合わせにより情報を保持することが可能なものであってもよく、例えば、バーコードであってもよいし、二次元コードであってもよい。二次元コードとしては、例えば、QRコード(登録商標)、DataMatrix、Vericode等であってもよい。
【0015】
加工装置1は、
図1に示されるように、ベースユニット10と、加工ユニット20と、カメラ30(撮像装置)と、レーザ距離計40(測定機)と、ディスプレイ50(表示装置)と、コントローラCtr(制御部)とを備える。加工装置1は、これらの一部又は全部を収容可能に構成された筐体(図示せず)をさらに備えていてもよい。
【0016】
ベースユニット10は、ベース11と、ガイド機構12と、ステージ13とを含む。ベース11は、ガイド機構12及びステージ13を下側から支持するように構成されている。ガイド機構12は、ベース11上に取り付けられている。ガイド機構12は、例えば、リニアアクチュエータであってもよい。ガイド機構12は、例えば、レール12aと、ブロック(図示せず)とを含んでいてもよい。ブロックは、コントローラCtrからの指示に基づいて、レール12a(Z軸)に沿って往復移動可能に構成されていてもよい。
【0017】
ステージ13は、上面(載置面)に載置されたワークWを吸着保持するように構成されている。ステージ13は、例えば、マグネットチャックであってもよいし、真空チャックであってもよい。
図2は、ステージ13がマグネットチャックの例を示している。この場合、ステージ13の表面には、複数の磁性体13aが露出していてもよい。複数の磁性体13aは、X軸に沿って直線状に延びていてもよい。複数の磁性体13aは、ステージ13の表面においてN極とS極とがZ軸に沿って交互に並ぶように配置されていてもよい。複数の磁性体13aの間に非磁性体(セパレータ)が介在しており、隣り合う磁性体13aが非磁性体によって隔てられていてもよい。ステージ13は、少なくとも一つのワークWを保持してもよいし、複数のワークWを保持してもよい。ステージ13は、ガイド機構12のブロックに接続されていてもよい。そのため、ブロックがレール12aを往復移動すると、ステージ13に保持されているワークWも共にレール12a(Z軸)に沿って往復移動する。
【0018】
加工ユニット20は、ワークWが所定形状となるようワークWを加工する機能を有する。加工ユニット20は、ベースユニット10の上方に配置されていてもよい。加工ユニット20は、工具21と、シャフト22と、駆動機構23とを含む。
【0019】
工具21は、ワークWに接触した状態でワークWを加工するように構成されている。例えば、加工装置1が研削装置である場合には、工具21は、ワークWを研削加工する砥石であってもよい。工具21は、例えば、円柱状を呈していてもよい。この場合、工具21の周面がワークWと接触することによりワークWの加工が行われてもよいし、工具21の端面がワークWと接触することによりワークWの加工が行われてもよい。
【0020】
シャフト22は、X軸に沿って延びている。シャフト22の一端には、工具21が取り付けられている。シャフト22の中心軸と工具21の中心軸とは略一致していてもよい。シャフト22の他端には、駆動機構23が取り付けられている。
【0021】
駆動機構23は、コントローラCtrからの指示に基づいて、シャフト22を支持して回転させるように構成されている。シャフト22の回転に伴い、シャフト22の中心軸を回転軸として、工具21も回転する。駆動機構23は、コントローラCtrからの指示に基づいて、シャフト22をY軸に沿って上下動させるように構成されている。このとき、シャフト22に取り付けられている工具21も共に上下方向に往復移動する。駆動機構23は、コントローラCtrからの指示に基づいて、シャフト22をX軸に沿って進退させるように構成されている。このとき、シャフト22に取り付けられている工具21も共に水平方向に往復移動する。
【0022】
ガイド機構12によってステージ13上のワークがZ軸に沿って移動し、駆動機構23によって工具21がX軸及びY軸に沿って移動すると、工具21とワークWとの相対位置が変動する。工具21によるワークWの加工が行われる場合には、駆動機構23によって、ワークWと接触する高さまで工具21をY軸に沿って移動させ、工具21を所定の速度で回転させる。次に、ガイド機構12によってワークWをZ軸に沿って所定の速度で移動させる。これにより、工具21がワークWに接触した領域(例えば、工具21の幅に対応する領域)が加工される。次に、駆動機構23によって、工具21をX軸に沿って所定の大きさ(例えば、工具21の幅以下の大きさ)だけ繰り出し又は引き込む。次に、ガイド機構12によってワークWをZ軸に沿って所定の速度で移動させる。これにより、ワークWのうち加工済領域の隣の領域が加工される。その後は、工具21がワークWの全域と接触して加工が完了するまで、ステージ13及び工具21が同様に動作する。すなわち、工具21は、ワークWに対して蛇行しながらワークWを加工する。
【0023】
カメラ30は、例えば、ガイド機構12の一端側の上方に配置されている。この場合、ステージ13上のワークWに対する照明の自由度を高めることが可能となる。カメラ30は、ワークWが載置されているステージ13が当該一端側に位置している状態で、ワークW及びステージ13を撮像するように構成されている。なお、カメラ30は、ステージ13の中央上方に配置されていてもよい。カメラ30による撮像画像のデータは、コントローラCtrに送信される。
【0024】
レーザ距離計40は、例えば、ガイド機構12の一端側の上方に配置されている。レーザ距離計40は、ワークWが載置されているステージ13が当該一端側を移動する際に、ステージ13上のワークWの高さを測定するように構成されている。レーザ距離計40による測定データは、加工データとしてコントローラCtrに送信される。
【0025】
ディスプレイ50は、種々の情報を画面上に表示する機能を有する。ディスプレイ50に表示される情報は、
図2に示されるように、例えば、カメラ30によって撮像された撮像画像、ワークWのサイズ、ワークWの位置(原点座標)、加工条件などを含んでいてもよい。
【0026】
コントローラCtrは、
図3に示されるように、機能モジュールとして、画像処理部M1と、実行コード生成部M2と、駆動指示部M3とを含む。これらの機能モジュールは、コントローラCtrの機能を便宜上複数のモジュールに区切ったものに過ぎず、コントローラCtrを構成するハードウェアがこのようなモジュールに分かれていることを必ずしも意味するものではない。各機能モジュールは、プログラムの実行により実現されるものに限られず、専用の電気回路(例えば論理回路)、又は、これを集積した集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)により実現されるものであってもよい。
【0027】
画像処理部M1は、カメラ30による撮像画像のデータを画像処理してワークWのエッジ検出を行い、ステージ13上のワークWの形状、サイズ(縦幅及び横幅)、位置などを取得する機能を有する。画像処理部M1は、取得したこれらの情報を加工データとして実行コード生成部M2に送信する。
【0028】
エッジ検出には、公知の種々のアルゴリズムを用いることができる。例えばステージ13がマグネットチャックの場合には、画像処理部M1は、撮像画像から抽出した1mm以上の直線を磁性体13aのエッジとして認識すると共に、公知の動的閾値法(撮像画像の輝度ムラに応じて局所的に閾値を変動させながら撮像画像を二値化する手法)により撮像画像から全てのエッジを認識してもよい。さらに、画像処理部M1は、認識したこれらのエッジに基づいて、磁性体13aのエッジが途切れている箇所にワークWが存在していると認識してもよい。ステージ13の表面に複数の基準線(例えば、罫線、方眼状の縦横線)を設けておき、画像処理部M1は、磁性体13aのエッジを認識することに代えて基準線を認識し、基準線のエッジが途切れている箇所にワークが存在していると認識してもよい。複数の基準線の間隔は、1mm〜5mm程度であってもよい。複数の基準線の色は、ワークW及びステージ13と異なる色に設定されていてもよい。画像処理部M1は、ワークWが載置されていないステージ13の撮像画像と、ワークWが載置されているステージ13の撮像画像とを比較して、両画像の相違箇所(例えば、輝度、濃淡、色などの相違箇所)にワークWが存在していると認識してもよい。
【0029】
画像処理部M1は、カメラ30による撮像画像のデータを画像処理してワークWに付されている加工指示表示Cを読み取り、加工指示表示Cによって示されるワーク情報又は加工条件を取得する機能を有する。加工指示表示Cが文字、数字等である場合(
図2参照)、画像処理部M1は、光学的文字認識(OCR)により文字、数字等を認識し、ワーク情報又は加工条件を取得してもよい。例えば、ワークWに加工指示表示Cとして「20」が付されている場合には、画像処理部M1は、切込量が20μmであると判断してもよい。加工指示表示Cがバーコード、二次元コード等である場合(
図2参照)、画像処理部M1は、規格にしたがってこれらのコードをデコードし、ワーク情報又は加工条件を取得してもよい。画像処理部M1は、取得したこれらの情報を加工データとして実行コード生成部M2に送信する。
【0030】
画像処理部M1は、ワークWのエッジ検出に基づいて得られたワークWの形状、サイズと、加工指示表示Cの読み取りにより得られたワークWの形状、サイズが存在する場合、どちらか一方を加工データとして採用してもよい。画像処理部M1は、加工指示表示Cの読み取りにより得られたワークWの形状、サイズを優先して加工データとして採用してもよい。画像処理部M1は、取得した加工データをディスプレイ50に表示してもよい。
【0031】
実行コード生成部M2は、加工データに基づいて、ステージ13及び工具を動作させるための実行コードを自動的に生成する機能を有する。当該加工データは、画像処理部M1から受信した加工データ(ワークWの形状、サイズ(縦幅及び横幅)、位置、姿勢、及び加工条件)と、レーザ距離計40から受信した加工データ(ワークWの高さ)とを含む。
【0032】
実行コード生成部M2が以下の加工データを受信した場合には、実行コード生成部M2は、以下の加工手順1〜17を加工装置1に実行させる実行コードを生成してもよい。例えば、以下の加工データによれば、ワークWの長さ24mmに対して工具21の移動量が3mmである。そのため、実行コード生成部M2は、工具21がX軸に沿って間欠的に−3mmずつ移動しながら、工具21がワークWを4往復することで、ワークWの表面全体の加工が行われると判断してもよい。なお、工具21の移動量は、工具21の種類に応じて予め設定されていてもよい。例えば、工具21の進退量は、工具21の幅と同程度であってもよい。
【0033】
<加工データの例>
ワークWの原点 :(X,Z)=(0,50)
ワークWのX軸に沿った長さ :24mm
ワークWのZ軸に沿った幅 :120mm
ワークWの高さ :30mm
切込量 :5μm
ステージ13の移動速度 :10m/min
工具21のX軸に沿った1回の移動量 :−3mm
【0034】
<加工手順>
1:工具21がワークWの原点(X,Z)=(0,50)に位置するように、ステージ13又は工具21を移動させる
2:ワークWの高さから切込量を減算した高さに工具21が位置するように、工具21を移動させる
3:ステージ13をZ軸に沿って120mm(ワークWの長さ)移動させる
4:工具21をX軸に沿って−3mm移動させる
5:ステージ13をZ軸に沿って−120mm(ワークWの長さ)移動させる
6:工具21をX軸に沿って−3mm移動させる
7:ステージ13をZ軸に沿って120mm(ワークWの長さ)移動させる
8:工具21をX軸に沿って−3mm移動させる
9:ステージ13をZ軸に沿って−120mm(ワークWの長さ)移動させる
10:工具21をX軸に沿って−3mm移動させる
11:ステージ13をZ軸に沿って120mm(ワークWの長さ)移動させる
12:工具21をX軸に沿って−3mm移動させる
13:ステージ13をZ軸に沿って−120mm(ワークWの長さ)移動させる
14:工具21をX軸に沿って−3mm移動させる
15:ステージ13をZ軸に沿って120mm(ワークWの長さ)移動させる
16:工具21をX軸に沿って−3mm移動させる
17:ステージ13をZ軸に沿って−120mm(ワークWの長さ)移動させる
【0035】
加工装置1がGコードで動作する場合、上記の加工手順1〜17を実行する実行コードの例を
図4に示す。
【0036】
駆動指示部M3は、実行コード生成部M2によって生成された実行コードに基づいて、ガイド機構12及び駆動機構23を駆動させる機能を有する。
【0037】
コントローラCtrのハードウェアは、例えば一つ又は複数の制御用のコンピュータにより構成されていてもよい。コントローラCtrは、ハードウェア上の構成として、例えば
図5に示される回路Ctr1を含んでいてもよい。回路Ctr1は、電気回路要素(circuitry)で構成されていてもよい。回路Ctr1は、具体的には、プロセッサCtr2(制御部)と、メモリCtr3(記憶部)と、ストレージCtr4(記憶部)と、入出力ポートCtr5とを含む。プロセッサCtr2は、メモリCtr3及びストレージCtr4の少なくとも一方と協働してプログラムを実行し、入出力ポートCtr5を介した信号の入出力を実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。入出力ポートCtr5は、プロセッサCtr2、メモリCtr3及びストレージCtr4と、加工装置1の各部(例えば、ガイド機構12、駆動機構23、カメラ30、レーザ距離計40、ディスプレイ50)との間で、信号の入出力を行う。
【0038】
加工装置1は、例えば、一つのコントローラCtrを備えていてもよいし、複数のコントローラCtrで構成されるコントローラ群(制御部)を備えていてもよい。加工装置1がコントローラ群を備えている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つ又は複数のコントローラCtrによって実現されていてもよい。コントローラCtrが複数のコンピュータ(回路Ctr1)で構成されている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つ又は複数のコンピュータ(回路Ctr1)によって実現されていてもよい。コントローラCtrが複数のプロセッサCtr2を含んでいる場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つ又は複数のプロセッサCtr2によって実現されていてもよい。
【0039】
[加工方法]
次に、
図6を参照して、ワークWの加工方法について説明する。まず、作業者又はロボットが少なくとも1つのワークWをステージ13に載置する(ステップS1)。次に、コントローラCtrがガイド機構12に指示して、ステージ13をガイド機構12の一端側に移動させる。この過程で、コントローラCtrがカメラ30及びレーザ距離計40に指示して、ワークW及びステージ13を撮像すると共に、ワークWの高さを測定する(ステップS2)。
【0040】
次に、画像処理部M1は、撮像画像に基づいて加工データ(ワークWの形状、サイズ(縦幅及び横幅)、位置、及び加工条件)を生成し、当該加工データを実行コード生成部M2に送信する(ステップS3)。また、レーザ距離計40は、測定したワークWの高さを加工データとして実行コード生成部M2に送信する(ステップS3)。
【0041】
次に、実行コード生成部M2は、加工データに基づいて実行コードを自動的に生成する(ステップS4)。次に、駆動指示部M3は、生成された実行コードに基づいてガイド機構12及び駆動機構23を駆動する。これにより、ステージ13上のワークWが工具21によって加工される(ステップS5)。
【0042】
[作用]
以上の例によれば、撮像画像から得られた加工データに基づいて、ステージ13及び工具21の少なくとも一方を動作させる実行コードが自動的に生成される。また、異なる種類のワークを加工する場合でも、それぞれの種類に対応した実行コードが自動的に生成される。そのため、作業者の経験や勘に頼ることなく、自動生成された実行コードによりワークWを素早く加工できる。したがって、熟練技術者でなくても、ワークWの加工を効率的に行うことが可能となる。
【0043】
以上の例によれば、ワークWの表面に設けられている加工指示表示Cをカメラ30で読み取り、当該加工指示表示Cに基づいて加工データを取得している。そのため、作業者が加工条件を加工装置1に入力する必要がなくなる。したがって、ワークWの加工をより効率的に行うことが可能となる。
【0044】
[変形例]
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。
【0045】
(1)画像処理部M1は、カメラ30による撮像画像のデータに基づいて、少なくともステージ13上のワークWの位置を検出してもよい。そのため、ワークWの位置以外の加工データは作業者によって加工装置1に入力されてもよい。
【0046】
(2)加工装置1は、ワークWの高さを識別するためのカメラをさらに備えていてもよい。
【0047】
(3)ステージ13上に複数のワークWが載置されている場合、コントローラCtrは、加工対象ではないワークW(非加工対象物)に工具21が干渉するか否かを判断してもよい。この場合、ステージ13に加工対象のワークWの他に加工対象でないワークWが存在していても、工具21が加工対象でないワークWに接触することが避けられる。そのため、加工対象でないワークWに対する予期しない加工を抑制することが可能となる。コントローラCtrは、干渉を検知した場合に、例えばディスプレイ50を通じて作業者に工具21と加工対象でないワークWとの間で干渉が生ずる可能性があることを報知してもよい。
【0048】
コントローラCtrによる干渉の判断は、例えば次のように行われてもよい。まず、コントローラCtrがカメラ30及びレーザ距離計40に指示して、全てのワークW及びステージ13を撮像すると共に、全てのワークWの高さを測定する。次に、コントローラCtrは、全てのワークWのサイズ及びステージ13に対する位置を、コントローラCtrによって作り出された仮想空間に再現する。次に、コントローラCtrは、当該仮想空間において加工対象のワークWに対して工具21を仮想的に移動させて、工具21が加工対象でないワークWに衝突するか否かを判断する。例えば、コントローラCtrは、工具21のソリッドモデルが、加工対象でないワークWのソリッドモデルに干渉するか否かを公知のアルゴリズムを用いて判断してもよい。
【0049】
(4)画像処理部M1は、カメラ30による撮像画像のデータに基づいて、ステージ13に対するワークWの姿勢を取得してもよい。コントローラCtrは、画像処理部M1が取得した姿勢に基づいて、ワークWがステージ13に対して傾いているか否かを判断してもよい。この場合、適切な姿勢のワークWに対してより適切な加工を行うことが可能となる。コントローラCtrは、姿勢の傾きを検知した場合に、例えばディスプレイ50を通じてワークWの姿勢が適切でない可能性があることを報知してもよい。
【0050】
(5)加工装置1による加工の対象となり得るワークW(サンプルワーク)の外形データをメモリCtr3又はストレージCtr4が予め記憶していてもよい。コントローラCtrは、画像処理部M1によって取得されたワークWの形状が、メモリCtr3又はストレージCtr4に記憶されている外形データに適合するか否かを判断してもよい。この場合、サンプルワークと異なる外形のワークWを識別することができる。そのため、加工対象のワークW以外の異物がステージ上に存在している場合、当該異物を除去することが可能となる。
【0051】
(6)例えば、ディスプレイ50がタッチパネル式であり、作業者がディスプレイ50をタッチすることで、ディスプレイ50に表示されているワークWの位置、形状等を指定するようにしてもよい。例えば、画像処理部M1においてワークWの位置、形状等が取得できなかった場合に、
図7において破線の四角形Rで示されるように、ワークWに対応する範囲を作業者がタッチ操作により指定してもよい(範囲指定操作)。コントローラCtrは、指定された範囲の外形がワークWの外形であると見做すと共に、指定された範囲にワークWが位置していると見做して、実行コード生成部M2による実行コードの生成を行ってもよい。この場合、作業者の範囲指定操作により、ワークWのおおよその位置が得られる。そのため、撮像画像に基づく加工データの取得が困難な状況においても、ワークWの加工を効率的に行うことが可能となる。
【0052】
(7)ステージ13が往復移動する間に、ワークWが工具21に接触してワークWの加工が行われてもよいし、ステージ13が往復移動するうちの片道分のみワークWが工具21に接触してワークWの加工が行われてもよい。
【0053】
(8)ワークWの形状は、特に限定されない。すなわち、ワークWの形状は、直方体形状、円柱状、多角柱状、環状、筒状、歯車状などであってもよい。加工装置1は、ワークWの形状及び加工目的に応じて、工具21(砥石)により、円筒研削、内面研削、心なし研削、ねじ研削、歯車研削、ならい研削、及び切断を行ってもよい。
【0054】
(9)加工装置1は、工具21をワークWに接触してワークWを加工する加工装置であれば、どのような加工を行う装置であってもよい。例えば、加工装置1は、研削装置であってもよいし、切削装置であってもよいし、研磨装置であってもよい。加工装置1が切削装置である場合、工具21は切削工具(例えば、バイト、フライス工具など)であってもよい。加工装置1が研磨装置である場合、工具21はワークWに対して定圧で押し付けられる遊離砥粒又は固定砥粒であってもよい。
【0055】
[他の例]
例1.本開示の一つの例に係る加工装置(1)は、ワーク(W)を載置可能に構成されたステージ(13)と、ステージ(13)に対して相対移動可能に構成された工具(21)と、ステージ(13)上に載置されているワーク(W)を撮像可能に構成された撮像装置(30)と、制御部(Ctr)とを備える。制御部(Ctr)は、ステージ(13)に載置されているワーク(W)を撮像装置(30)によって撮像し、撮像画像を取得する処理と、加工データを取得する処理と、加工データに基づいて、ステージ(13)及び工具(21)の少なくとも一方を動作させる実行コードを自動的に生成する処理と、実行コードに基づいて、ステージ(13)及び工具(21)の少なくとも一方を動作させる処理とを実行する。加工データを取得する処理は、撮像画像に基づいて、ステージ(13)に対するワーク(W)の位置を加工データとして取得することを含む。この場合、撮像画像から得られた加工データに基づいて、ステージ及び工具の少なくとも一方を動作させる実行コードが自動的に生成される。また、異なる種類のワークを加工する場合でも、それぞれの種類に対応した実行コードが自動的に生成される。そのため、作業者の経験や勘に頼ることなく、自動生成された実行コードによりワークを素早く加工できる。したがって、熟練技術者でなくても、ワークの加工を効率的に行うことが可能となる。
【0056】
例2.例1の装置(1)は、ステージ(13)上に載置されているワーク(W)及び非加工対象物の高さを測定するように構成された測定機(40)をさらに備え、撮像画像を取得する処理は、ステージ(13)に載置されているワーク(W)及び非加工対象物を撮像装置(30)によって撮像し、撮像画像を取得することを含み、加工データは、ステージ(13)に対するワーク(W)及び非加工対象物の位置と、ワーク(W)及び非加工対象物の高さとを含み、制御部(Ctr)は、実行コードに基づいてステージ(13)及び工具(21)の少なくとも一方が動作した場合に、ステージ(13)上の非加工対象物に対して工具(21)が干渉するか否かを加工データに基づいて判断する処理をさらに実行してもよい。この場合、ステージに加工対象のワークの他に非加工対象物(例えば、既に加工済みの他のワーク、加工予定の他のワークなど)が存在していても、工具が非加工対象物に接触することが避けられる。そのため、非加工対象物の予期しない加工を抑制することが可能となる。
【0057】
例3.例1又は例2の装置(1)において、ワーク(W)の表面には、当該ワーク(W)の加工のために用いられる加工指示表示(C)が設けられており、加工データを取得する処理は、撮像画像に含まれる加工指示表示(C)に基づいて、ワーク(W)に対する加工条件を加工データとして取得することを含んでいてもよい。この場合、ワークの表面に加工指示表示(例えば、文字、数字、記号、又はこれらの情報を保持する識別コードなど)を予め設けておくことで、作業者が加工条件を加工装置に入力する必要がなくなる。そのため、ワークの加工をより効率的に行うことが可能となる。
【0058】
例4.例1〜例3のいずれかの装置(1)において、制御部(Ctr)は、撮像画像に基づいてワーク(W)の姿勢を取得し、当該姿勢がステージ(13)に対して傾いているか否かを判断する処理をさらに実行してもよい。この場合、適切な姿勢のワークWに対してより適切な加工を行うことが可能となる。
【0059】
例5.例1〜例4のいずれかの装置(1)は、サンプルワークの外形データが予め記憶された記憶部(Ctr3,Ctr4)をさらに備え、制御部(Ctr)は、撮像画像に基づいてワーク(W)の外形を取得し、当該外形が外形データに適合しているか否かを判断する処理をさらに実行してもよい。この場合、サンプルワークと異なる外形のワークを識別することができる。そのため、加工対象のワーク以外の異物がステージ上に存在している場合、当該異物を除去することが可能となる。
【0060】
例6.例1〜例5のいずれかの装置(1)は、撮像画像を表示するように構成された表示装置(50)と、表示装置(50)に表示された撮像画像のうちの所定の範囲を指定する範囲指定操作を作業者から入力可能に構成された入力装置(50)とをさらに備え、加工データを取得する処理は、範囲指定操作により指定された範囲を、ステージ(13)に対するワーク(W)の位置として取得することを含んでいてもよい。この場合、作業者の範囲指定操作により、ワークのおおよその位置が得られる。そのため、撮像画像に基づく加工データの取得が困難な状況においても、ワークの加工を効率的に行うことが可能となる。
【0061】
例7.例1〜例6のいずれかの装置(1)において、ステージ(13)はマグネットチャックであってもよい。
【0062】
例8.本開示の他の例に係る加工方法は、ステージに載置されているワークを撮像して撮像画像を取得することと、ステージと、ワークを加工するように構成された工具との少なくとも一方を動作させる実行コードを、加工データに基づいて自動的に生成することであって、加工データは、撮像画像に基づいて、ステージに対するワークの位置を含むことと、実行コードに基づいて、ステージ及び工具の少なくとも一方を動作させることとを含む。この場合、例1と同様の効果が得られる。
【0063】
例9.本開示の他の例に係る加工方法は、ステージに載置されているワーク及び非加工対象物を撮像して撮像画像を取得することと、ステージ上に載置されているワーク及び非加工対象物の高さを測定することと、ステージと、ワークを加工するように構成された工具との少なくとも一方を動作させる実行コードを、加工データに基づいて自動的に生成することであって、加工データは、撮像画像に基づいて、ステージに対するワーク及び非加工対象物の位置と、ワーク及び非加工対象物の高さとを含むことと、実行コードに基づいてステージ及び工具の少なくとも一方が動作した場合に、ステージ上の非加工対象物に対して工具が干渉するか否かを加工データに基づいて判断すること、工具が非加工対象物に干渉しないと判断された場合に、実行コードに基づいて、ステージ及び工具の少なくとも一方を動作させることとを含む。この場合、例2と同様の効果が得られる。