本発明は、磁性粒子及び絶縁樹脂を含む本体と、上記本体の内部に配置されたコイル部と、を含み、上記本体は、上記コイル部をカバーするコア部、及び上記コア部をカバーするカバー部を含む多層構造であり、上記コア部に含まれる磁性粒子はD
前記コア部に含まれる磁性Ms(saturation magnetization)値が200emu/g以上である、請求項1から6のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及びサイズなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0011】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。
【0012】
さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0013】
コイル電子部品
以下、本発明の一実施形態によるコイル電子部品を説明するにあたり、特に薄膜型インダクタについて説明するが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0014】
図1は本発明の一実施形態によるコイル電子部品の内部コイル部が示されるように示す概略斜視図である。
【0015】
図1を参照すると、コイル電子部品の一例として、電源供給回路の電源ラインに用いられる薄膜インダクタが開示される。
【0016】
本発明の一実施形態によるコイル電子部品100は、本体50と、上記本体50の内部に埋設された内部コイル部42、44と、上記本体50の外側に配置され、上記内部コイル部42、44と連結された第1及び第2外部電極81、82と、を含む。
【0017】
本発明の一実施形態によるコイル電子部品100において、「長さ」方向は
図1の「L」方向、「幅」方向は「W」方向、及び「厚さ」方向は「T」方向と定義する。
【0018】
上記本体50は、薄膜型インダクタ100の外観をなし、磁気特性を示す材料であれば制限されず、例えば、磁性粒子を含むことができる。
【0019】
上記磁性粒子は、Fe、Si、Cr、Cu、Al、Mo、及びNiからなる群より選択されたいずれか一つ以上を含む結晶質または非晶質の金属であることができる。
【0020】
上記磁性粒子は、エポキシ(epoxy)樹脂またはポリイミド(polyimide)などの熱硬化性樹脂に分散した形で含まれることができる。
【0021】
上記本体50の内部に配置された絶縁基板20の一面にはコイル状の第1内部コイル部42が形成され、上記絶縁基板20の一面と対向する他面にはコイル状の第2内部コイル部44が形成される。
【0022】
上記第1及び第2内部コイル部42、44は、電気めっきを行うことにより形成することができる。
【0023】
上記絶縁基板20は、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)基板、フェライト基板、または金属系軟磁性基板などで形成される。
【0024】
上記絶縁基板20の中央部は貫通されて貫通孔が形成される。上記貫通孔は、磁性材料で充填されてコア部41aを形成する。磁性材料で充填されるコア部41aを形成することにより、インダクタンス(Ls)を向上させることができる。
【0025】
上記第1及び第2内部コイル部42、44は、スパイラル(spiral)状に形成されることができ、上記絶縁基板20の一面及び他面に形成された第1及び第2内部コイル部42、44は、上記絶縁基板20を貫通して形成されるビア46を介して電気的に接続される。
【0026】
上記第1及び第2内部コイル部42、44ならびにビア46は、電気導電性に優れた金属を含んで形成されることができ、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)、またはこれらの合金などで形成されることができる。
【0027】
上記絶縁基板20の一面に形成された第1内部コイル部42の一端は、本体50の長さL方向の一端面に露出し、絶縁基板20の他面に形成された第2内部コイル部44の一端は、本体50の長さL方向の他端面に露出する。
【0028】
但し、必ずしもこれに制限されず、上記第1及び第2内部コイル部42、44のそれぞれの一端は、上記本体50の少なくとも一面に露出することができる。
【0029】
上記本体50の端面に露出する上記第1及び第2内部コイル部42、44のそれぞれと接続されるように、上記本体50の外側に第1及び第2外部電極81、82が形成さされる。
【0030】
上記第1及び第2外部電極81、82は、電気導電性に優れた金属を含んで形成されることができ、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、銀(Ag)などの単独、またはこれらの合金などで形成されることができる。
【0031】
図2は
図1のI−I'線による断面図である。
【0032】
図2を参照すると、本発明の一実施形態による本体50は、コア部41a、及び上記コア部41aと区分されるカバー部41bを含む。
【0033】
隣接する上記コア部41aとカバー部41bの間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いて確認することができるが、必ずしも走査電子顕微鏡(SEM)により観察された境界で上記コア部41aとカバー部41bが区分されるものではなく、上記コア部41a及びカバー部41bに含まれる磁性体シート51、52、53の種類のうち少なくともいずれかが異なっていることにより、上記コア部41aとカバー部41bの境界が不連続な界面を形成することで区分されることができる。
【0034】
図3を参照すると、本発明の一実施形態による上記コア部41aは、D
50が3.5μm以下の磁性粒子54を含む。また、カバー部41bも、D
50が3.5μm以下の磁性粒子54を含むことができる。
【0035】
上記コア部41a及びカバー部41bに含まれる磁性粒子の種類は、純鉄からなるCIP(carbonyl iron powder)を含む。
【0036】
本発明の実施形態による上記コア部41a及びカバー部41bは、含まれる磁性粒子の粒度分布が互いに異なってもよい。
【0037】
D
50が大きい磁性粒子の場合には高透磁率を実現することができる。D
50が小さい磁性粒子の場合には、低透過率を示すものの、低損失材料であるため、高透磁率材料を用いることから増加するコアロス(core loss)を補完する役割を果たすことができ、表面粗さを改善させ、粒度が大きい粒子によるめっきにじみ現象を改善させることができる。
【0038】
一方、コア部41a及びカバー部41bに含まれる磁性粒子のD
50は、上述した例示に必ずしも制限されるものではなく、上記コア部41a及びカバー部41bは互いに異なるD
50の磁性粒子を含んでもよい。但し、コア部41a部は、D
50が3.5μm以下の磁性粒子を有する10μm〜80μmの磁性体シートが積層された形であることができる。
【0039】
上記コア部41a及びカバー部41bは上下に積層されて形成される。
【0040】
上記コア部41a及びカバー部41bは、磁性体シートを積層することで、それぞれ形成することができる。上記コア部41a及びカバー部41bは、含まれる磁性粒子のD
50が互いに異なる3種以上の磁性体シートを用いて形成することができる。
【0041】
したがって、上記コア部41a及びカバー部41bは、磁性体シートを積層して形成するため、互いに上下位置に配置されるようになる。
【0042】
図2に示すように、本発明の一実施形態による本体50は、第1及び2内部コイル部42、44が位置するコア層にコア部41aが形成され、上記コア部41aの上部及び下部にカバー部41bが形成されることができる。
【0043】
磁性体シートを積層、圧着、及び硬化してコア部41a及びカバー部41bを形成する過程でコア部41aの中心部が凹状に形成される可能性がある。
【0044】
このように、本発明の実施形態によるコイル電子部品100は、D
50が3.5μm以下の磁性粒子で構成され、厚さが互いに異なる磁性体シート51、52、53を積層することによって区分されるコア部41a及びカバー部41bを含む本体50を形成することで、積層設計の自由度及びDC−Bias特性を実現することができる。
【0045】
図4及び
図5は本発明の実施形態によるコイル電子部品のL−T方向の断面図である。
【0046】
図4を参照すると、本発明の一実施形態による本体50は、本体50の中心部にコア部41aが形成され、本体50の上部または下部にカバー部41bが形成されることができる。
【0047】
図4を参照すると、本発明の他の実施形態による本体50は、上記コア部41a及びカバー部41bが交互に積層されて形成されることができる。
【0048】
この場合、交互に積層されるコア部41a及びカバー部41bの厚さ比や、交互回数などは特に制限されず、実現しようとする特性に応じて多様に調節することが可能である。一方、上記コア部41aは、10μm〜80μmの厚さで第2及び3磁性体シート52、53が複数回積層される形とすることが、積層設計の自由度及び高いDC−bias特性を確保する観点で好ましい。本発明の一実施形態によると、コア部41aの最中心部には10μm、カバー部41bに近づくほど30μm、80μmという互いに異なる3種の磁性体シート51、52、53が順に積層されて形成されることができる。このように、コア部41aを比較的樹脂含有量の高い磁性体シートで満たすことにより、コイルの漏れ電流を防ぐとともに、コア部の接着強度を改善させることができる。また、200以上の高いMs(saturation magnetization)値を有するシートの適用によりDC−bias特性の実現が可能である。また、本発明で実現される比較的高い樹脂含有量を有する磁性体シートをコイル部に位置させることで、チップの平坦度を改善させ、めっきにじみを抑制してチップ強度を高めることができる。一方、コア部に順に形成される上記カバー部41bには10μmの厚さで第1磁性体シート51が積層される形とすることが積層設計の自由度を確保する観点において好ましい。
【0049】
このように、本発明の実施形態によるコイル電子部品200は、D
50が3.5μm以下の磁性粒子で構成され、厚さが互いに異なる磁性体シート51、52、53を積層することによって区分されるコア部41a及びカバー部41bを含む本体50を形成することで、積層設計の自由度及びDC−Bias特性を実現することができる。
【0050】
コイル電子部品の製造方法
本発明の一実施形態によるコイル電子部品の製造方法は、先ず、磁性粒子を含む第1、第2、第3磁性体シートを設ける。
【0051】
上記第1、第2、第3磁性体シートは、磁性粒子、バインダー、及び溶剤などの有機物を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法でキャリアフィルム(carrier film)上に数十μmの厚さで塗布してから乾燥することで、シート(sheet)状に製造することができる。
【0052】
この際、上記第1、第2、第3磁性体シートは、粒度分布D
50が3.5μm以下の磁性粒子で構成され、厚さが互いに異なる3種以上のものを製造することができる。
【0053】
図5は本発明の他の実施形態によるコイル電子部品の内部コイル部を形成する工程を説明する図である。
【0054】
図5を参照すると、上記内部コイル部42、44の上部及び下部に厚さが10μm〜80μmの範囲で互いに異なる3種以上の磁性体シートを積層することで本体50を形成することができる。厚さ10μmの上記第1磁性体シート51b、30μmの第2磁性体シート52a、52b、及び80μmの第3磁性体シート53c、53d、53b、53e、53a、53fがコイル部を含むコア部に積層され、カバー部には厚さ10μmの第1磁性体シート51a、51cがそれぞれ順に積層されることが好ましい。積層順序は上述したような実施形態に限定されるものではないが、積層設計の自由度を確保してDC磁気飽和を遅延させるという観点で、コア部の中心部にはD
50が3.5μm以下の磁性粒子からなる薄層シートを介在させること好ましい。また、10μmの薄層シート上に、これより厚い80μm、その後、30μmのシートを積層することが表面粗さの緩和及び信頼性の確保のために有利である。一方、カバー部41bは、積層設計の自由度を確保するために薄い10μmの薄層シートで構成することが好ましい。
【0055】
図5を参照すると、このように形成された本発明の他の実施形態による本体50は、上記コア部41a及びカバー部41bが交互に積層されて形成されることができる。
【0056】
但し、交互に積層されるコア部41a及びカバー部41bの厚さ比や、交互回数などは特に制限されず、実現しようとする特性に応じて多様に調節することができる。
【0057】
上記本体50は、上記第1及び第2磁性体シートを積層した後、ラミネート法や静水圧プレス法を介して圧着し、硬化して形成することができる。
【0058】
図5に示された第1、第2、第3磁性体シートは、磁性体シートが積層される実施形態を説明するためのものであって、磁性体シートの厚さ及び積層数はこれに限定されない。
【0059】
その他、上述した本発明の一実施形態によるコイル電子部品の特徴と同一の部分については省略する。
【0060】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。