【解決手段】(a)コンジュゲート、及び(b)該コンジュゲートに共有原子価によって直接的に又は間接的に連結された免疫調節抗体又はその断片を含む、イムノサイトカインであって、該コンジュゲートは、(i)インターロイキン15又はその誘導体のアミノ酸配列を含むポリペプチド、及び(ii)IL−15Rαのスシドメイン又はその誘導体のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、イムノサイトカイン。
前記免疫調節抗体が共刺激受容体を刺激し、CD40アゴニスト、CD137アゴニスト、CD134アゴニスト、及びTNFRSF18アゴニストを含む群から選択される、請求項1のイムノサイトカイン。
前記免疫調節抗体が免疫抑制受容体を阻害し、CTL−A4アンタゴニスト、抑制性KIRアンタゴニスト、BTLAアンタゴニスト、LAG3アンタゴニスト、HAVCR2アンタゴニスト、ADORA2Aアンタゴニスト、及びPD−1アンタゴニストを含む群から選択される、請求項1のイムノサイトカイン。
免疫抑制受容体を阻害する前記免疫調節抗体が、CTL−A4アンタゴニスト、好ましくはイピリムマブ又はチシリムマブから選択される、請求項3のイムノサイトカイン。
免疫抑制受容体を阻害する前記免疫調節抗体が、PD−1アンタゴニスト、好ましくはニボルマブ、Merck3745又はCT−011(hBATとしても知られる)から選択される、請求項3のイムノサイトカイン。
IL−15Rαのスシドメイン又はその誘導体のアミノ酸配列を含むポリペプチド(ii)が配列番号12のアミノ酸配列を有する、請求項1〜9のいずれか一項のイムノサイトカイン。
前記コンジュゲートが、IL−15Rαのスシドメイン又はその誘導体のアミノ酸配列に対してC末端位にインターロイキン15又はその誘導体のアミノ酸配列を含み、該コンジュゲートのアミノ酸配列が前記抗体又はその断片のアミノ酸配列に対してC末端位にある、請求項7のイムノサイトカイン。
請求項12の核酸又は請求項13のベクターを用いて遺伝子操作された宿主細胞であって、好ましくは、該宿主細胞は動物細胞、最も好ましくはCHO細胞である、該宿主細胞。
最終的には薬学的に許容される担体を伴う、請求項1〜11のいずれか一項に定義されたイムノサイトカイン、請求項12の核酸、又は請求項13のベクターを含む、医薬組成物。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、患者A(A)及び患者B(B)に由来するTILにおけるPD−1、Tim−3及びIL−15Rαの発現を示す。
【
図2】
図2は、抗PD1抗体(HBAT)によって、RLIによって、RLIとHBATの組合せ(RLI+HBAT)によって、又は本発明のモジュロカイン(HBAT−RLI)によって誘導された腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の再活性化を示す。
【0024】
詳細な説明
「イムノサイトカイン」という用語は、サイトカイン又はその誘導体に共有原子価によって直接的に又は間接的に連結された抗体又はその断片を含む分子を指す。該抗体と該サイトカインとはリンカーペプチドによって連結されていてもよい。
【0025】
本発明のイムノサイトカインのコンジュゲート
「インターロイキン15」という用語は当技術分野におけるその一般的な意味を有し、これはIL−2に類似した構造を有するサイトカインを指す(Grabsteinet al., Science, vol.264(5161), p:965-968, 1994)。このサイトカインはまたIL−15、IL15、又はMGC9721としても知られる。このサイトカインとIL−2は多くの生物学的活性を共有し、それらは共通のヘマトポエチン受容体サブユニットに結合することが判明した。したがって、それらは同じ受容体に対して競合し得、互いの活性を負に調節している。IL−15はT細胞及びナチュラル―キラー細胞の活性化及び増殖を調節し、CD8+メモリー細胞の数は、このサイトカインとIL−2との間の平衡によって制御されることが示されることが確立されている。IL−15の活性は、実施例に開示されているように、kit225細胞株に対するその増殖誘導を決定することによって測定され得る(HORI et al., Blood, vol.70(4), p:1069-72, 1987)。
【0026】
前記のIL−15又はその誘導体は、kit225細胞株の増殖誘導に対するヒトインターロイキン−15の活性の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%を有する。
【0027】
前記インターロイキン15は、哺乳動物インターロイキン15、好ましくは霊長類インターロイキン15、より好ましくはヒトインターロイキン15である。
【0028】
哺乳動物インターロイキン15は当業者によって簡単に同定され得る。一例として、イノシシ(Sus scrofa)(アクセッションナンバーABF82250)、ドブネズミ(Rattus norvegicus)(アクセッションナンバーNP_037261)、ハツカネズミ(Mus musculus)(アクセッションナンバーNP_032383)、ウシ(Bos Taurus)(アクセッションナンバーNP_776515)、カイウサギ(Oryctolagus cuniculus)(アクセッションナンバーNP_001075685)、ヒツジ(Ovies aries)(アクセッションナンバーNP_001009734)、イエネコ(Felis catus)(アクセッションナンバーNP_001009207)、カニクイザル(Macaca fascicularis)(アクセッションナンバーBAA19149)、ヒト(Homo sapiens)(アクセッションナンバーNP_000576)、アカゲザル(Macaca Mulatta)(アクセッションナンバーNP_001038196)、モルモット(Cavia porcellus)(アクセッションナンバーNP_001166300)、又はミドリザル(Chlorocebus sabaeus)(アクセッションナンバーACI289)由来のインターロイキン15を挙げることができる。
【0029】
本明細書において使用される「哺乳動物インターロイキン15」という用語は、配列番号1の共通配列を指す。
【0030】
霊長類インターロイキン15は当業者によって簡単に同定され得る。一例として、イノシシ(アクセッションナンバーABF82250)、カイウサギ(アクセッションナンバーNP_001075685)、カニクイザル(アクセッションナンバーBAA19149)、ヒト(アクセッションナンバーNP_000576)、アカゲザル(アクセッションナンバーNP_001038196)、又はミドリザル(アクセッションナンバーACI289)由来のインターロイキン15を挙げることができる。
【0031】
本明細書において使用される「霊長類インターロイキン15」という用語は、配列番号2の共通配列を指す。
【0032】
ヒトインターロイキン15は当業者によって簡単に同定され得、これは配列番号3のアミノ酸配列を指す。
【0033】
本明細書において使用される「インターロイキン15誘導体」という用語は、配列番号1、配列番号2及び配列番号3からなる群より選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも92.5%(すなわち約10個のアミノ酸の置換に相当する)、好ましくは少なくとも96%(すなわち約5個のアミノ酸の置換に相当する)、より好ましくは少なくとも98.5%(すなわち約2個のアミノ酸の置換に相当する)又は少なくとも99%(すなわち約1個のアミノ酸の置換に相当する)の同一率を有するアミノ酸配列を指す。このような誘導体は当業者によってその個人の知識及び本特許出願の教義の観点から簡単に同定され得る。このような誘導体の一例として、国際特許出願第PCT国際公開公報第2009/135031号に記載のものを挙げることができる。また、天然アミノ酸は化学的に修飾されたアミノ酸によって置換されていてもよいことが理解されるだろう。典型的には、このような化学的に修飾されたアミノ酸はポリペプチドの半減期を延長する。
【0034】
本明細書において使用される2つのアミノ酸配列間の「同一率」は、該配列の最善のアラインメントを用いて得られた、比較しようとする2つの配列間の同一のアミノ酸の比率を意味し、この比率は純粋に統計学的であり、これらの2つの配列間の差異はアミノ酸配列全体に無作為に広がる。本明細書において使用される「最善のアラインメント」又は「最適なアラインメント」は、決定された同一率(以下参照)が最も高いアラインメントを意味する。2つのアミノ酸配列間の配列比較は通常、最善のアラインメントに従って事前にアラインさせておいたこれらの配列を比較することによって実現され;この比較は比較セグメント上で実現され、これにより、類似性を有する局所領域を同定及び比較する。比較を行なうための最善の配列アラインメントは、手作業の方法の他に、Smith及びWaterman(Ad. App. Math., vol.2, p:482, 1981)によって開発された局所相同性アルゴリズムを使用することによって、Neddleman及びWunsch(J. Mol. Biol., vol.48, p:443, 1970)によって開発された全体的相同性アルゴリズムを使用することによって、Pearson及びLipman(Proc. Natl. Acd. Sci. USA, vol.85, p:2444, 1988)によって開発された類似性の方法を使用することによって、このようなアルゴリズム(GAP、BESTFIT、BLAST P、BLAST N、FASTA、TFASTA、Wisconsin Genetics software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr.、マジソン、WI、米国)を使用したコンピューターソフトウェアを使用することによって、MUSCLEマルチプルアラインメントアルゴリズム(Edgar, Robert C., NucleicAcids Research, vol. 32, p:1792, 2004)を使用することによって、又はCLUSTAL(Goujonet al., Nucleic acids research, vol.38, W695-9, 2010)を使用することによって実現することができる。最善の局所アラインメントを得るために、好ましくはBLASTソフトウェアとBLOSUM62マトリクスを使用することができる。2つのアミノ酸配列間の同一率は、最適にアラインさせたこれらの2つの配列を比較することによって決定され、該アミノ酸配列は、これらの2つの配列間の最適なアラインメントを得るために基準配列に対して付加又は欠失を包含することができる。同一率は、これらの2つの配列間の同一位置の数を決定し、この数を、比較した位置の総数で割り、得られた結果に100を乗じることによって計算され、これによりこれらの2つの配列間の同一率が得られる。
【0035】
好ましくは、インターロイキン15誘導体は、IL−15アゴニスト又はIL−15スーパーアゴニストである。当業者は、IL−15アゴニスト又はIL−15スーパーアゴニストを簡単に同定することができる。IL−15アゴニスト又はIL−15スーパーアゴニストの一例として、国際特許出願の国際公開公報第2005/085282号又はZHU et al.(J. Immunol., vol.183(6), p:3598-607, 2009)に開示されたものを挙げることができる。
【0036】
さらに好ましくは、前記IL−15アゴニスト又はIL−15スーパーアゴニストは、L45D、L45E、S51D、L52D、N72D、N72E、N72A、N72S、N72Y及びN72P(ヒトIL−15の配列、すなわち配列番号3に関して)を含む/からなる群より選択される。
【0037】
本明細書において使用される「IL−15Rαのスシドメイン」という用語は当技術分野におけるその一般的な意味を有し、これは、IL−15Rαのシグナルペプチドの後の最初のシステイン残基(C1)で始まり、該シグナルペプチド後の第四のシステイン残基(C4)で終わるドメインを指す。IL−15Rαの細胞外領域の部分に対応する該スシドメインは、IL−15へのその結合のために必要である(WEI et al., J. Immunol., vol.167(1), p:277-282, 2001)。
【0038】
前記のIL−15Rαのスシドメイン又はその誘導体は、ヒトインターロイキン−15に対するIL−15Rαのスシドメインの結合活性の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%を有する。該結合活性は、WEI et al.(前記、2001)に開示された方法によって簡単に決定され得る。
【0039】
前記のIL−15Rαのスシドメインは、哺乳動物IL−15Rαのスシドメイン、好ましくは霊長類IL−15Rαのスシドメイン、より好ましくはヒトIL−15Rαのスシドメインである。
【0040】
哺乳動物IL−15Rαのスシドメインは、当業者によって簡単に同定され得る。一例として、ドブネズミ(アクセッションナンバーXP_002728555)、ハツカネズミ(アクセッションナンバーEDL08026)、ウシ(アクセッションナンバーXP_002692113)、カイウサギ(アクセッションナンバーXP_002723298)、カニクイザル(アクセッションナンバーACI42785)、ブタオザル(Macaca nemestrina)(アクセッションナンバーACI42783)、ヒト(アクセッションナンバーQ13261.1)、アカゲザル(アクセッションナンバーNP_001166315)、スマトラオランウータン(Pongo abelii)(アクセッションナンバーXP_002820541)、シロユリマンガベイ(Cercocebus torquatus)(アクセッションナンバーACI42784)、コモンマーモセット(Callithrix jacchus)(アクセッションナンバーXP_002750073)、又はモルモット(アクセッションナンバーNP_001166314)由来のIL−15Rαのスシドメインを挙げることができる。
【0041】
本明細書において使用される「哺乳動物IL−15Rαのスシドメイン」という用語は配列番号4の共通配列を指す。
【0042】
好ましくは、哺乳動物IL−15Rαのスシドメインのアミノ酸配列を含むポリペプチドは配列番号5の共通配列を指す。
【0043】
霊長類IL−15Rαのスシドメインは当業者によって簡単に同定され得る。一例として、カイウサギ、カニクイザル、ブタオザル、ヒト、アカゲザル、スマトラオランウータン、シロユリマンガベイ、又はコモンマーモセット由来のIL−15Rαのスシドメインを挙げることができる。
【0044】
本明細書において使用される「霊長類IL−15Rαのスシドメイン」という用語は配列番号6の共通配列を指す。
【0045】
好ましくは、霊長類IL−15Rαのスシドメインのアミノ酸配列を含むポリペプチドは配列番号7の共通配列を指す。
【0046】
ヒトIL−15Rαのスシドメインは当業者によって簡単に同定され得、これは配列番号8のアミノ酸配列を指す。
【0047】
好ましくは、ヒトIL−15Rαのスシドメインのアミノ酸配列を含むポリペプチドは配列番号9を指す。
【0048】
本明細書において使用される「IL−15Rαのスシドメインの誘導体」という用語は、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び配列番号9からなる群より選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも92%(すなわち約5個のアミノ酸の置換に相当する)、好ましくは少なくとも96%(すなわち約2個のアミノ酸の置換に相当する)、より好ましくは少なくとも98%(すなわち約1個のアミノ酸の置換に相当する)の同一率を有するアミノ酸配列を指す。このような誘導体は、IL−15Rαのスシドメインの4つのシステイン残基を含み、これは当業者によって当業者の一般的な知識及び本特許出願の教義の観点から簡単に同定され得る。また、天然アミノ酸は、化学的に修飾されたアミノ酸によって置換されていてもよいことが理解されるだろう。典型的には、このような化学的に修飾されたアミノ酸は、ポリペプチドの半減期を延長させることができる。
【0049】
好ましい実施態様によれば、コンジュゲートは(ii)IL−15Rαのスシドメイン及びヒンジドメイン又はその誘導体のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0050】
IL−15Rαヒンジドメインは、スシドメインの後の最初のアミノ残基に始まり、最初もグリコシル化可能な部位の前の最後のアミノ酸残基で終わる、アミノ酸配列として定義される。ヒトIL−15Rαでは、ヒンジ領域のアミノ酸配列は、このIL−15Rαのスシドメインの後で、該スシドメインに対してC末端に位置する14個のアミノ酸からなり、すなわち、該IL−15Rαヒンジ領域は、該(C4)システイン残基の後の最初のアミノ酸で始まり、(標準的な「N末端からC末端への」方向で数えて)14番目のアミノ酸で終わる。
【0051】
IL−15Rαの前記のスシドメイン及びヒンジドメインは、哺乳動物IL−15Rαのスシドメイン及びヒンジドメイン、好ましくは霊長類IL−15Rαのスシドメイン及びヒンジドメイン、より好ましくはヒトIL−15Rαのスシドメイン及びヒンジドメインである。
【0052】
哺乳動物IL−15Rαのスシドメイン及びヒンジドメインのアミノ酸配列は当業者によって簡単に同定され得る。本明細書において使用される「哺乳動物IL−15Rαのスシドメイン及びヒンジドメイン」という用語は配列番号10の共通配列を指す。
【0053】
霊長類IL−15Rαのスシドメイン及びヒンジドメインのアミノ酸配列は当業者によって簡単に同定され得る。本明細書において使用される「霊長類IL−15Rαのスシドメイン及びヒンジドメイン」という用語は配列番号11の共通配列を指す。
【0054】
ヒトIL−15Rαのスシドメイン及びヒンジドメインのアミノ酸配列は当業者によって簡単に同定され得る。本明細書において使用される「ヒトIL−15Rαのスシドメイン及びヒンジドメイン」という用語は配列番号12の共通配列を指す。
【0055】
本明細書において使用される「IL−15Rαのスシドメイン及びヒンジドメインの誘導体」は、配列番号10、配列番号11及び配列番号12からなる群より選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも93%(すなわち約5個のアミノ酸の置換に相当する)、好ましくは少なくとも97%(すなわち約2個のアミノ酸の置換に相当する)、より好ましくは少なくとも98%(すなわち約1個のアミノ酸の置換に相当する)の同一率を有するアミノ酸配列を指す。このような誘導体はIL−15Rαのスシドメインの4つのシステイン残基を含み、これは当業者によって当業者の一般的な知識及び本特許出願の教義の観点から簡単に同定され得る。また、天然アミノ酸は、化学的に修飾されたアミノ酸によって置換されていてもよいことが理解されるだろう。典型的には、このような化学的に修飾されたアミノ酸は、ポリペプチドの半減期を延長させることができる。
【0056】
コンジュゲートの両方のポリペプチドi)とii)は、米国特許第8,124,084 B2号に開示された複合体におけるように非共有結合的に連結されていてもよい。該コンジュゲート又は複合体は、適切な量のポリペプチドi)を準備し、適切な量のポリペプチドii)を準備し、両方のポリペプチドを適切なpH及びイオン条件下で複合体(すなわちコンジュゲート)の形成を可能とするに十分な時間をかけて混合し、場合により該複合体を濃縮又は精製することによって簡単に得ることができる。複合体(すなわちコンジュゲート)のポリペプチドは、例えば、標準的な方法に従ってペプチド合成装置を使用して;細胞又は細胞抽出物中で各ポリペプチドを別々に発現させ、その後、該ポリペプチドを単離及び精製することによって形成され得る。場合により、本発明の治療用ポリペプチド複合体は、同じ細胞又は細胞抽出物中で両方のポリペプチドi)及びii)を発現させ、その後、例えばリンホカイン部分、リンホカイン受容体部分、又は複合体に対する抗体を用いたアフィニティクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー技術を使用して該複合体を単離及び精製することによって形成され得る。
【0057】
コンジュゲートの両方のポリペプチドi)とii)はまた、二官能基タンパク質カップリング剤を使用して又は融合タンパク質において共有結合されていてもよい。
【0058】
二官能基タンパク質カップリング剤、例えばそれらを使用する方法は当業者には周知であり、これには、例えば、N−スクシンイミジル(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能基誘導体(例えばアジプイミド酸ジメチルHCL)、活性エステル(例えばスベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、ビス−アジド化合物(例えばビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えばビスー(p−ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアナート(例えばトリレン−2,6−ジイソシアナート)、及びビスフッ素活性化合物(例えば1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)が挙げられる。
【0059】
「融合タンパク質」という用語は、別々のタンパク質を元来コードしていた2つ以上の遺伝子の接続を通して作られたタンパク質を指す。それはまたキメラタンパク質としても知られる。この融合遺伝子の翻訳により、元来の各々のタンパク質に由来する機能的特性を有する単一のポリペプチドが得られる。組換え融合タンパク質は、生物学的研究又は治療薬に使用するための組換えDNA技術によって人工的に作られる。組換え融合タンパク質は、融合遺伝子の遺伝子操作を通して作られたタンパク質である。これは典型的には、第一タンパク質をコードするcDNA配列から終止コドンを除去し、その後、ライゲーション又はオーバーラップエクステンションPCRを通して第二タンパク質のcDNA配列をインフレームで付加することを含む。そのDNA配列は、その後、細胞によって単一のタンパク質として発現されるだろう。該タンパク質は、両方の元来のタンパク質の完全な配列、又はそのいずれかの一部のみを含むように操作されていてもよい。
【0060】
好ましい実施態様では、コンジュゲートは融合タンパク質である。
【0061】
インターロイキン15又はその誘導体のアミノ酸配列は、IL−15Rαのスシドメイン又はその誘導体のアミノ酸配列に対してC末端にあってもN末端にあってもよい。好ましくは、インターロイキン15又はその誘導体のアミノ酸配列は、IL−15Rαのスシドメイン又はその誘導体のアミノ酸配列に対してC末端の位置にある。
【0062】
インターロイキン15又はその誘導体のアミノ酸配列とIL−15Rαのスシドメイン又はその誘導体のアミノ酸配列とは、第一「リンカー」アミノ酸配列によって隔てられていてもよい。前記の第一「リンカー」アミノ酸配列は、融合タンパク質が適切な二次構造及び三次構造を確実に形成するに十分な長さであり得る。
【0063】
第一リンカーアミノ酸配列の長さは、融合タンパク質の生物学的活性に有意に影響を及ぼすことなく変更され得る。典型的には、第一リンカーアミノ酸配列は、少なくとも1つであるがしかし30個未満のアミノ酸、例えば2〜30アミノ酸のリンカー、好ましくは10〜30アミノ酸、より好ましくは15〜30アミノ酸、さらにより好ましくは15〜25アミノ酸、最も好ましくは18〜22アミノ酸を含む。
【0064】
好ましいリンカーアミノ酸配列は、コンジュゲートが適切なコンフォメーション(すなわち、IL−15Rβ/γシグナル伝達経路を通して適切なシグナル伝達活性を可能とするコンフォメーション)をとることを可能とするものである。
【0065】
最も適切な第一リンカーアミノ酸配列は、(1)可動性の伸展したコンフォメーションをとり、(2)融合タンパク質の機能的ドメインと相互作用する可能性のある規則正しい二次構造を発生する傾向を示さず、(3)機能的タンパク質ドメインとの相互作用を促進する可能性のある疎水性特徴又は荷電特徴を最小限有するだろう。
【0066】
好ましくは、第一リンカーアミノ酸配列は、Gly(G)、Asn(N)、Ser(S)、Thr(T)、Ala(A)、Leu(L)及びGln(Q)を含む群より選択された、最も好ましくはGly(G)、Asn(N)及びSer(S)を含む群から選択された中性に近いアミノ酸を含む。
【0067】
リンカー配列の例は、米国特許第5,073,627号及び第5,108,910号に記載されている。
【0068】
本発明にとってより特に適している例示的な可動性リンカーとしては、配列番号13(SGGSGGGGSGGGSGGGGSLQ)、配列番号14(SGGSGGGGSGGGSGGGGSGG)、又は配列番号15(SGGGSGGGGSGGGGSGGGSLQ)の配列によってコードされるものが挙げられる。
【0069】
好ましくは、該コンジュゲートは配列番号18又は配列番号19の配列を有する。
【0070】
本発明のイムノサイトカインの抗体
「抗体」という用語は、ジスルフィド結合によって相互接続された、2本の同一な重鎖(H)(完全長の場合には約50〜70kDa)と2本の同一な軽鎖(L)(完全長の場合には約25kDa)という4本のポリペプチド鎖を含む四量体に相当する免疫グロブリン分子を指す。軽鎖は、κ(カッパ)及びλ(ラムダ)として分類される。重鎖は、γ(ガンマ)、μ(ミュー)、α(アルファ)、δ(デルタ)、又はε(イプシロン)として分類され、それぞれIgG、IgM、IgA、IgD及びIgEとして抗体のアイソタイプを規定する。各々の重鎖は、N末端の重鎖可変領域(本明細書においてHCVRと略称される)及び重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、IgG、IgD及びIgAについては3つのドメイン(CH1、CH2及びCH3)から構成され;IgM及びIgEについては4つのドメイン(CH1、CH2、CH3及びCH4)から構成される。各々の軽鎖は、N末端の軽鎖可変領域(本明細書においてLCVRと略称される)及び軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、すなわちCLから構成される。HCVR及びLCVR領域はさらに、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域の介在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性領域にさらに細分され得る。各々のHCVR及びLCVRは、アミノ末端からカルボキシ末端まで以下の順序に並んだ、3つのCDR及び4つのFRから構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、周知の慣習による。特定の抗原に対する抗体の機能的結合能力は、軽鎖/重鎖の各対の可変領域に依存し、これは主にCDRによって決定される。
【0071】
本明細書において使用される「抗体」という用語は、モノクローナル抗体それ自体を指す。モノクローナル抗体は、ヒト抗体、キメラ抗体、及び/又はヒト化抗体であり得る。
【0072】
有利には、抗体という用語は、IgG、例えばIgG1、IgG2(IgG2a又はIgG2b)、IgG3及びIgG4を指す。好ましくは、抗体という用語は、IgG1又はIgG2、より好ましくはIgG2aを指す。
【0073】
「キメラ抗体」は、マウス免疫グロブリンの可変領域とヒト免疫グロブリンの定常領域から構成される抗体を意味する。この改変は、ヒト抗体の定常領域を、マウス定常領域で単に置換することからなり、その結果、医薬用途に許容可能なほど十分に低い免疫原性を有し得るヒト/マウスキメラが得られる。このようなキメラ抗体を産生するための多くの方法がすでに報告されており、したがって当業者の一般的な知識の一部を形成する(例えば、米国特許第5,225,539号参照)。
【0074】
「ヒト化抗体」は、非ヒト相補性決定領域(CDR)を有する抗体の配列を改変することによって、ヒト抗体生殖系列に由来するアミノ酸で一部又は完全に構成される抗体を意味する。抗体の可変領域及び最終的にはCDRのこのヒト化は、当技術分野において現在までに周知である技術によって行なわれる。一例として、英国特許出願第GB2188638A号及び米国特許第5,585,089号は、置換された抗体の唯一の部分が相補性決定領域、すなわち「CDR」である、組換え抗体を産生するプロセスを開示する。CDR移植技術を使用して、マウスCDRとヒト可変領域フレームワーク領域及び定常領域からなる抗体を作製した(例えば、Riechmann et al., Nature , vol.332, p: 323-327, 1988参照)。これらの抗体は、Fc依存的エフェクター機能に必要であるヒト定常領域を保持するが、抗体に対する免疫応答を誘起する可能性ははるかに低いようである。一例として、非ヒトCDRを実質的にインタクトとしたまま、又はCDRをヒトゲノム由来の配列と置換さえする一方で、可変領域のフレームワーク領域を対応するヒトフレームワーク領域によって置換する。免疫系がヒト免疫系に相当するように改変された遺伝子的に改変されたマウスにおいて完全なヒト抗体が産生される。上記のように、一本鎖形態を示す断片などの抗体の免疫学的に特異的な断片を使用することは、本発明の方法に使用するのに十分である。
【0075】
ヒト化抗体はここでも、ヒトフレームワーク、非ヒト抗体由来の少なくとも1つのCDRを含む抗体を指し、存在する全ての定常領域は、ヒト免疫グロブリン定常領域に対して実質的に同一であり、すなわち少なくとも85又は90%、好ましくは少なくとも95%同一である。したがって、おそらくCDRを除くヒト化抗体の全ての部分が、1つ以上の天然ヒト免疫グロブリン配列の対応する部分に対して実質的に同一である。例えば、ヒト化免疫グロブリンは典型的には、キメラマウス可変領域/ヒト定常領域の抗体を包含しない。一例として、ヒト化免疫グロブリンの設計は、以下のように行なわれ得る:アミノ酸が以下の範疇に該当する場合、使用しようとするヒト免疫グロブリン(アクセプター免疫グロブリン)のフレームワークアミノ酸を、CDRを与える非ヒト免疫グロブリン(ドナー免疫グロブリン)由来のフレームワークアミノ酸によって置換する:(a)アクセプター免疫グロブリンのヒトフレームワーク領域中のアミノ酸が、その位置においてヒト免疫グロブリンにとって異常であり、ドナー免疫グロブリン中の対応するアミノ酸がその位置においてヒト免疫グロブリンにとって典型的なものである場合;(b)アミノ酸の位置がCDRの1つのすぐ近くである場合;又は(c)フレームワークアミノ酸の任意の側鎖の原子が、3次元免疫グロブリンモデルにおけるCDRアミノ酸の任意の原子から約5〜6Å(中心間)以内にある場合(Queen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol.88, p:2869, 1991)。アクセプター免疫グロブリンのヒトフレームワーク領域中の各アミノ酸及びドナー免疫グロブリン中の対応するアミノ酸が、その位置においてヒト免疫グロブリンにとって異常である場合、このようなアミノ酸を、その位置においてヒト免疫グロブリンにとって典型的であるアミノ酸によって置換する。
【0076】
本明細書において使用される「抗体断片」という用語は、その抗体対応物と同じ抗原と反応することのできる抗体断片を指す。このような断片は当業者によって簡単に同定され得、これは一例として、本発明によって包含される、F
ab断片(例えばパパインによる消化による)、F
ab’断片(例えばペプシンによる消化及び部分的な還元による)、F(
ab’)
2断片(例えばペプシンによる消化による)、F
acb断片(例えばプラスミンによる消化による)、F
d断片(例えばペプシンによる消化、部分的還元、及び再凝集による)、及びまたscF
v断片(一本鎖Fv;例えば分子生物学的技術による)を含む。
【0077】
このような断片は、当技術分野において公知及び/又は本明細書に記載のような、酵素的切断、合成技術、又は組換え技術によって作製され得る。また、1つ以上の終止コドンが天然の終止部位の上流に導入された抗体遺伝子を使用して、様々な切断短縮形の抗体が作製され得る。例えば、重鎖のCH
1ドメイン及び/又はヒンジ領域をコードするDNA配列を含むような、F(
ab’)
2重鎖部分をコードする組合せ遺伝子を設計することができる。抗体の様々な部分を従来の技術によって化学的に互いに接続させても、又は、遺伝子操作技術を使用して連続タンパク質として調製してもよい。
【0078】
好ましくは、該抗体断片はscFv断片である。
【0079】
本明細書において使用される「免疫調節抗体」という用語は、
1)CTL−A4、PD−1、BTLA、LAG3、HAVCR2、ADORA2A又は抑制性KIRなどの免疫抑制受容体又はそのリガンドに結合することによってこの受容体を阻害し、よって、ダウンレギュレーションシグナルを防ぐことによって免疫活性化を促進することによって;又は
2)CD40、CD137、CD134又はTNFRSF18(GITR)などの共刺激受容体を刺激し、よってT細胞及び/又はNK細胞の活性化を促進することによって
のいずれかによって作用する抗体を指す。
【0080】
第一の好ましい実施態様では、免疫調節抗体は、免疫抑制受容体を阻害する。免疫抑制受容体を阻害する免疫調節抗体の一例として、CTL−A4、抑制性KIR、BTLA、LAG3、HAVCR2、ADORA2A、及びPD−1のアンタゴニスト、さらに好ましくは抗PD1抗体及び抗PD−L1抗体から選択されたPD−1アンタゴニストを挙げることができる。
【0081】
CTL−A4(細胞障害性リンパ球関連抗原、CD152とも称される)が1987年に発見された(Brunet et al., Nature, vol.328, p:267-270, 1987)。CTL−A4の役割は主にT細胞活性化を阻害することであり、これは、大量のリンパ球増殖に苦しむCTL−A4欠損マウスにおいて示された(Chambers et al., Immunity, vol.7, p:8855-8959, 1997)。現在、CTL−A4の遮断は、インビトロ(Walunas et al., Immunity, vol.1, p:405-413, 1994)及びインビボ(Kearney, J. Immunol, vol.155, p:1032-1036, 1995)においてT細胞応答を増強し、また抗腫瘍免疫を高める(Leach, Science, vol.271, p:1734-1736, 1996)ことが示された。CTL−A4アンタゴニストに対応する抗体の一例として、国際公開公報第01/14424号に開示されたイピリムマブ(MDX−010及び10D1とも呼ばれる、メダレックス社から入手可能であり、そしてブリストールマイヤーズスクイブ社によってヤーボイ(商標)として市販されている)、国際公開公報第00/37504号に開示されたチシリムマブ(11.2.1及びCP−675,206としても知られる)、及びまた国際特許出願の国際公開公報第98/42752号、国際公開公報第01/14424号、国際公開公報第2004/035607号、及び国際公開公報第2012/120125号、欧州特許第1212422号及び欧州特許第1262193号、米国特許第5,811,097号、米国特許第5,855,887号、米国特許第5,977,318号、米国特許第6,051,227号、米国特許第6,207,156号、米国特許第6,682,736号、米国特許第6,984,720号、米国特許第7,109,003号及び米国特許第7,132,281号に開示されたCTL−A4抗体を挙げることができ、これらの出願は参照により本明細書に組み入れられる。
【0082】
プログラム化細胞死1受容体はPD−1(PDCD1又はCD279とも称される)としても知られるが、これは約55kDのI型膜糖タンパク質である。PD−1は、ナイーブT細胞、B細胞及びNK細胞上で中程度に発現され、かつリンパ球、単球及び骨髄球系細胞上でT/B細胞受容体シグナル伝達によってアップレギュレートされる、CD28共刺激遺伝子ファミリーの受容体である。PD−1は、広く発現されている、すなわち、ナイーブリンパ球上、活性化B細胞上及びT細胞上、単球上及び樹状細胞上に発現されているPD−L1(B7−H1)と、その発現が限定されている、すなわち、活性化樹状細胞上、マクロファージ上及び単球上、及び血管内皮細胞上に限定されているPD−L2(B7−DC)という、明確に異なる発現プロファイルを有する2つの公知のリガンドを有する。いくつかのマウス同系腫瘍モデルにおいて、PD−1又はPD−L1のいずれかの遮断が腫瘍増殖を有意に阻害したか又は完全な退縮を誘導した。したがって、PD−1は、免疫調節及び末梢性免疫寛容の維持において重要な役割を果たすと認識されている。PD−1アンタゴニストに対応する抗体の一例として、国際公開公報第2006/121168号に開示されたニボルマブ(BMS−936558又はMDX1106としても知られる;抗PD−1抗体、ブリストールマイヤーズスクイブ)、国際公開公報第2009/114335号に開示されたMerck3745(MK−3475又はSCH−900475としても知られる、抗PD−1抗体である)、国際公開公報第2009/101611号に開示されたCT−011(hBAT又はhBAT−1としても知られる、抗PD−1抗体)、国際公開公報第2008/156712号に開示されたランブロリズマブ、国際公開公報第2010/027423号、国際公開公報第2010/027827号、国際公開公報第2010/027828号、及び国際公開公報第2010/098788号に開示されたAMP514、並びにまた国際特許出願の国際公開公報第2004/056875号、国際公開公報第2006/056875、国際公開公報第2008/083174号、国際公開公報第2010/029434号、国際公開公報第2010/029435号、国際公開公報第2010/036959号、国際公開公報第2010/089411号、国際公開公報第2011/110604号、国際公開公報第2012/135408号及び国際公開公報第2012/145493号に開示された抗体を挙げることができる。該PD−1アンタゴニストは、国際公開公報第2007/005874号に開示されたMDX−1105(BMS−936559としても知られる、抗PD−L1抗体)、又は国際公開公報第2010/077634号に開示されたYW243.55.S70(MPDL3280A又はRG7446としても知られる;抗PD−L1抗体)などの抗PD−L1抗体に対応し得、これらの出願は参照により本明細書に組み入れられる。
【0083】
キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)は、ナチュラルキラー(NK)細胞と呼ばれる免疫系の重要な細胞上に見られる細胞表面タンパク質のファミリーである。それらは、全ての細胞型に発現されるMHCクラスI分子と相互作用することによってこれらの細胞の殺滅機能を調節する。この相互作用により、それらは、その表面上に特徴的な低いレベルのクラスI MHCを有するウイルス感染細胞又は腫瘍細胞を検出することが可能となる。大半のKIRは抑制性であり、このことは、該KIRによるMHCの認識は、そのNK細胞の細胞障害活性を抑制することを意味する。ほんの僅かな数のKIRのみが細胞を活性化する能力を有する。
【0084】
抑制性KIRは、そのMHCクラスIリガンドとの結合時にNK細胞に抑制性シグナルを伝達する、免疫受容体抑制性チロシンモチーフ(ITIM)を含有する長い細胞質尾部を有する。公知の抑制性KIRとしては、KIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR2DL4、KIR2DL5A、KIR2DL5B、KIR3DL1、KIR3DL2及びKIR3DL3を含む、KIR2DL及びKIR3DLサブファミリーのメンバーが挙げられる。抑制性KIRアンタゴニストに対応する抗体の一例として、国際公開公報第2006/003179号に開示された抗体1−7F9を挙げることができ、この出願は参照により本明細書に組み入れられる。
【0085】
BTLA(Bリンパ球及びTリンパ球のアテニュエーター)はCD272としても知られるが、これはT細胞の活性化の最中に誘導され、Th2細胞上ではなくTh1細胞上に発現され続ける。BTLAは、ヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)、TR2;ATAR;HVEA;CD270;LIGHTRとしても知られる、腫瘍壊死因子(受容体)メンバー14(TNFRSF14)との相互作用を介してT細胞の抑制を示す。TNFRSF14は、単純ヘルペスウイルス(HSV)の侵入の細胞性メディエーターとして同定された。この受容体の細胞質側領域は、免疫応答を活性化するシグナル伝達経路を媒介し得るいくつかのTRAFファミリーメンバーと結合することが判明した。最後に、BTLA/HVEM複合体はT細胞免疫応答を負に調節する。BTLA/HVEMアンタゴニストの一例として、国際公開公報第2008/076560号、国際公開公報第2010/106051号及び国際公開公報第2011/014438号に開示された抗体を挙げることができる。
【0086】
LAG3(リンパ球活性化遺伝子3、CD223としても知られる)は免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーに属し、4つの細胞外Ig様ドメインを含有する。LAG3アンタゴニストの一例として、国際公開公報第2010/019570号に開示された抗体を挙げることができる。
【0087】
HAVCR2(A型肝炎ウイルス細胞受容体2、Tim−3、KIM−3;TIMD3;Tim−3;及びTIMD−3としても知られる)は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属するTh1特異的細胞表面タンパク質である。HAVCR2はマクロファージ活性化を調節し、Th1媒介性自己及び同種免疫応答を抑制し、よって免疫寛容を促進する。HAVCR2アンタゴニストの一例として、国際公開公報第2013/006490A号に開示された抗体を挙げることができる。
【0088】
ADORA2A(アデノシンA
2A受容体、A2aR、RDC8;又はADORA2としても知られる)はグアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)共役受容体(GPCR)スーパーファミリーに属し、これはクラス及びサブタイプに細分される。このタンパク質は、心律動及び心循環、脳及び腎の血流、免疫機能、疼痛の調節、及び睡眠などの多くの生物学的機能において重要な役割を果たす。それは、炎症疾患及び神経変性疾患などの病態生理学的容態に関与している。
【0089】
第二の好ましい実施態様では、免疫調節抗体は共刺激受容体を刺激する。
【0090】
共刺激受容体を刺激する免疫調節抗体の一例として、CD40、CD137、CD134及びTNFRSF18のアゴニストを挙げることができる。
【0091】
CD40は、APCの活性化に必要とされる、APC上に見られるTNF受容体スーパーファミリーの一員である。この受容体は、T細胞依存性免疫グロブリンクラススイッチ及びメモリーB細胞の発達をはじめとする、様々な免疫応答及び炎症応答を媒介する上で必須であることが判明した。
【0092】
CD40アゴニストに対応する抗体の一例として、国際公開公報第03/040170号、国際公開公報第2005/063981号、国際公開公報第2005/063289号及び国際公開公報第2012/041635号に開示された抗体を挙げることができ、これらの出願は参照により本明細書に組み入れられる。
【0093】
CD137は、腫瘍壊死因子(TNF)受容体ファミリーの一員である。その代替名称は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー9(TNFRSF9)、4−1BB、及びinduced by lymphocyte activation(ILA)である。CD137は、活性化T細胞によって発現され得るが、CD4T細胞よりもCD8T細胞の方が程度が大きい。さらに、CD137の発現は樹状細胞、濾胞樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、顆粒球、及び炎症部位の血管壁の細胞上に見られる。最も良く特徴付けられたCD137の活動は、活性化T細胞に対するその共刺激活性である。CD137との架橋は、T細胞の増殖、IL−2の分泌、生存期間、及び細胞障害活性を増強する。さらに、それは免疫活性を増強させてマウスにおける腫瘍を根絶することができる。
【0094】
CD137アゴニストに対応する抗体の一例として、ウレルマブ(BMS−663513としても知られる)、及び国際公開公報第03/040170号、国際公開公報第2004/010947号、国際公開公報第2005/035584号、国際公開公報第2006/126835号及び国際公開公報第2012/145183号に開示された抗体を挙げることができ、これらの出願は参照により本明細書に組み入れられる。
【0095】
CD134はOX40としても知られるが、これはTNFR受容体スーパーファミリーの一員である。OX40は共刺激分子であり、OX40のその発現はT細胞の完全な活性化に依存する。OX40はT細胞上の受容体に結合し、T細胞が死滅するのを防ぎ、続いてサイトカインの産生を増加させる。OX40は、生存期間を増強するその能力に因り、最初の数日間を超える免疫応答の維持及びそれ以降の記憶応答の維持に重要な役割を果たす。
【0096】
CD134アゴニストに対応する抗体の一例として、国際公開公報第2009/079335号、国際公開公報第2012/027328号、国際公開公報第2013/038191号、及び国際公開公報第2013/028231号に開示された抗体を挙げることができ、これらの出願は参照により本明細書に組み入れられる。
【0097】
腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー18(TNFRSF18)は活性化誘導性TNFRファミリー受容体(AITR)又はグルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質(GITR)としても知られるが、これは腫瘍壊死因子受容体(TNF−R)スーパーファミリーの一員である。このタンパク質は、制御性T細胞の抑制活性の阻害、及エフェクターT細胞の生存期間の延長に関与することが示された、表面受容体分子である。
【0098】
TNFRSF18アゴニストに対応する抗体の一例として、国際公開公報第2006/105021号及び国際公開公報第2011/028683号に開示された抗体を挙げることができる。
【0099】
コンジュゲートと抗体又はその断片との両方は、二官能基タンパク質カップリング剤を使用して又は融合タンパク質において共有結合されていてもよい。
【0100】
二官能基タンパク質カップリング剤の方法は当業者には周知であり、以前に開示されている。一例として、当業者は、TILL et al.(Proc. Natl. Acad. U.S.A., vol.86(6), p:1987-91, 1989)に開示された方法を使用することができる。
【0101】
好ましい実施態様では、イムノサイトカインは融合タンパク質である。
【0102】
別の好ましい実施態様では、イムノサイトカインは複合体、好ましくはポリペプチドi)とii)との間のコンジュゲートを含む複合体であり、ポリペプチドi)又はii)は抗体又はその断片に融合している。
【0103】
ポリペプチドi)、ポリペプチドii)又はコンジュゲートは、抗体又はその断片のアミノ酸配列に対してC末端にあってもN末端にあってもよい。
【0104】
好ましくは、コンジュゲートは融合タンパク質であり、コンジュゲートのアミノ酸配列は、抗体又はその断片のアミノ酸配列に対してC末端にあり、最も好ましくは抗体又はその断片の重鎖定常領域の少なくとも1つのアミノ酸配列に対してC末端の位置にある。
【0105】
コンジュゲートのアミノ酸配列と抗体又はその断片のアミノ酸配列とは、第二の「リンカー」アミノ酸配列によって隔離されていても隔離されていなくてもよい。
【0106】
特定の実施態様では、本発明のイムノサイトカインは融合タンパク質であり、コンジュゲートと抗体又はその断片はいずれのリンカーによっても隔離されていない。
【0107】
第一リンカーアミノ酸配列に関して、前記の第二「リンカー」アミノ酸配列は、融合タンパク質が適切な二次構造及び三次構造を確実に形成するに十分な長さであり得る。
【0108】
第一リンカーアミノ酸配列の長さは、融合タンパク質の生物学的活性に有意に影響を及ぼすことなく変更され得る。典型的には、第一リンカーアミノ酸配列は、少なくとも1つであるがしかし30個未満のアミノ酸、例えば2〜30アミノ酸のリンカー、好ましくは10〜30アミノ酸、より好ましくは15〜30アミノ酸、最も好ましくは15〜25アミノ酸を含む。
【0109】
第一リンカーアミノ酸配列に関して、最も適した第二リンカーアミノ酸配列は、(1)可動性の伸展したコンフォメーションをとり、(2)融合タンパク質の機能的ドメインと相互作用する可能性のある規則正しい二次構造を発生する傾向を示さず、(3)機能的タンパク質ドメインとの相互作用を促進する可能性のある疎水性特徴又は荷電特徴を最小限有するだろう。
【0110】
好ましくは、第二リンカーアミノ酸配列は、Gly(G)、Asn(N)、Ser(S)、Thr(T)、Ala(A)、Leu(L)及びGln(Q)を含む群より選択された、最も好ましくはGly(G)、Asn(N)及びSer(S)を含む群から選択された中性に近いアミノ酸を含む。
【0111】
本発明に適した第二リンカーアミノ酸配列の一例として、配列番号16(SGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSG)又は配列番号17(AAGGGSGGGSGGGGSGGGGSAA)を挙げることができる。
【0112】
核酸、ベクター、及び組換え宿主細胞
第二の態様では、本発明は、上記のイムノサイトカイン、好ましくは融合タンパク質に対応するイムノサイトカインをコードする核酸に関する。
【0113】
前記の核酸は、RNA又はDNA、好ましくはDNAに相当する。
【0114】
好ましい実施態様によると、本発明のイムノサイトカインをコードする核酸は、原核細胞又は真核細胞内で、好ましくは真核細胞内で核酸の発現を指令する遺伝子発現配列に作動可能に連結されている。「遺伝子発現配列」は、それが作動可能に連結されているイムノサイトカイン核酸の効率的な転写及び翻訳を促進する、任意の調節ヌクレオチド配列、例えばプロモーター配列又はプロモーター−エンハンサー配列の組合せである。遺伝子発現配列は、例えば、哺乳動物又はウイルス性のプロモーター、例えば構成性又は誘導性プロモーターであり得る。
【0115】
構成性哺乳動物プロモーターとしては、以下の遺伝子のためのプロモーターが挙げられるがこれらに限定されない:ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPTR)、アデノシンデアミナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、β−アクチンプロモーター、筋クレアチンキナーゼプロモーター、ヒト伸張因子プロモーター、及び他の構成性プロモーター。真核細胞において構成的に機能する例示的なウイルスプロモーターとしては、例えば、サルウイルス(例えばSV40)、パピローマウイルス、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、モロニー白血病ウイルス及び他のレトロウイルスの末端反復配列(LTR)、並びに単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモーターが挙げられる。他の構成性プロモーターも当業者に公知である。
【0116】
本発明の遺伝子発現配列として有用であるプロモーターとしては誘導性プロモーターが挙げられる。誘導性プロモーターは、誘導剤の存在下で発現される。例えば、プロモーター中のメタロチオネインは、特定の金属イオンの存在下で誘導されて転写及び翻訳を促進する。他の誘導性プロモーターも当業者には公知である。
【0117】
一般的に、遺伝子発現配列は、必要に応じて、それぞれ転写及び翻訳の開始に関与する5’非転写配列及び5’非翻訳配列、例えばTATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列などを含む。特に、このような5’非転写配列は、作動可能なように接続された核酸の転写制御のためのプロモーター配列を含む、プロモーター領域を含むであろう。遺伝子発現配列は場合により、要望通りのエンハンサー配列又は上流活性化配列を含む。本明細書において使用される、本発明のイムノサイトカインをコードする核酸配列と遺伝子発現配列は、それらが、本発明のイムノサイトカインコード配列の発現又は転写及び/又は翻訳が遺伝子発現配列の影響下又は制御下に置かれるように共有結合されている場合に「作動可能に連結されている」と言われる。
【0118】
5’遺伝子発現配列中のプロモーターの誘導により本発明のイムノサイトカインの転写が起こる場合、及び2つのDNA配列間の連結の性質により(1)フレームシフト突然変異が導入されないか、(2)プロモーター領域が本発明のイムノサイトカインの転写を指令する能力が妨害されないか、(3)対応するRNA転写物がタンパク質へと翻訳される能力が妨害されない場合、2つのDNA配列は作動可能に連結されていると言われる。したがって、遺伝子発現配列は、核酸配列の転写を起こすことができ、よって生じた転写物が所望のポリペプチドへと翻訳されるならば、遺伝子発現配列は、本発明のイムノサイトカインをコードする核酸配列に作動可能に連結されているだろう。
【0119】
有利には、前記核酸配列はイントロンを含む。なぜならプレmRNA分子はしばしば、組換え分子の産生収率を向上させることが実証されたからである。どのようなイントロン配列も主張され得るが、一例として、ZAGO et al.(Biotechnol. Appl. Biochem., vol.52(Pt 3), p:191-8, 2009)及びCAMPOS-DA-PAZ et al.(Mol. Biotechnol., vol.39(2), p:155-8, 2008)に開示されたものを挙げることができる。
【0120】
本発明のイムノサイトカインをコードする核酸は、インビボで単独で又はベクターを伴い送達され得る。
【0121】
第三の態様では、本発明は、上記の核酸を含むベクターに関する。
【0122】
その最も広い意味において、「ベクター」は本発明のイムノサイトカインをコードする核酸の細胞への導入を促進することのできる任意のビヒクルである。好ましくは、ベクターは、ベクターの非存在下で起こるであろう分解の程度と比較して、低減された分解度で核酸を細胞に輸送する。一般的には、本発明において有用なベクターとしては、イムノサイトカイン核酸配列の挿入又は組込みによって操作された、プラスミド、コスミド、ファージミド、エピソーム、人工染色体、ウイルス、ウイルス源又は細菌源から得られた他のビヒクルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0123】
プラスミドベクターが好ましい種類のベクターであり、当技術分野において十分に記載され、当業者には周知である。例えば、Sanbrook et al., 「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」、Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989を参照されたい。プラスミドの非制限的な例としては、pBR322、pUC18、pUCl9、pRC/CMV、SV40及びpBlueScriptが挙げられ、他のプラスミドも当業者には周知である。さらに、プラスミドは制限酵素及びライゲーション反応を使用してDNAの特定の断片を除去及び付加することによりカスタム設計され得る。
【0124】
好ましくは、核酸ベクターは、細菌及び哺乳動物細胞の両方において活性である選択マーカーを含むことができる。
【0125】
第四の態様では、本発明は、前記の核酸又はベクターを用いて遺伝子操作された宿主細胞に関する。
【0126】
本明細書において使用される「遺伝子操作された宿主細胞」という用語は、前記の核酸又はベクターを用いて形質導入された、形質転換された又はトランスフェクトされた宿主細胞に関する。
【0127】
適切な宿主細胞の代表例として、細菌細胞、例えばE.coli、真菌細胞、例えば酵母、昆虫細胞、例えばSf9細胞、動物細胞、例えばCHO細胞又はCOS細胞、植物細胞などを挙げることができる。適切な宿主の選択は、本明細書の教義から当業者の範囲内であると考えられる。
【0128】
好ましくは、遺伝子操作された宿主細胞は、動物細胞、最も好ましくはCHO−S細胞(INVITROGEN、製造番号11619-012)である。
【0129】
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、組換えタンパク質、抗体、ペプチボディ(peptibody)、及び受容体リガンドなどの生物製剤の製造のためにバイオ医薬品産業において頻繁に使用されている。CHO細胞がしばしば使用される理由の1つは、これらの細胞が、生物製剤の生産のための十分な安全性追跡記録を有するためである。これは、十分に特徴付けられた細胞株であると考えられ、結果として、必要とされる安全性試験は、他の細胞型に必要とされるよりも、いくつかの点で(例えばレトロウイルスの安全性)あまり厳密ではないだろう。それにも関わらず、インターロイキン15の産生は、特にこの細胞においても特に困難である。
【0130】
宿主細胞への前記の核酸又はベクターの導入は、カルシウムリン酸トランスフェクション;DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、又は電気穿孔法などの当業者には周知の方法によって行なうことができる。
【0131】
本発明はまた、本発明に記載のイムノサイトカインを発現する遺伝子操作された宿主細胞を産生する方法に関し、該方法は、(i)インビトロ又はエクスビボで上記の核酸又はベクターを宿主細胞に導入する工程、(ii)インビトロ又はエクスビボで得られた遺伝子操作された組換え宿主細胞を培養する工程、及び(iii)場合により、該イムノサイトカインを発現及び/又は分泌する細胞を選択する工程を含む。このような組換え宿主細胞を、本発明のイムノサイトカインの産生のために使用することができる。
【0132】
本発明のイムノサイトカインを含む医薬組成物
本発明のさらなる目的は、最終的に薬学的に許容される担体を伴う、上記のイムノサイトカイン、それをコードする核酸、又は該核酸を含むベクターを含む、医薬組成物に関する。
【0133】
「薬学的に許容される」という表現は、ヒトに投与された場合に、生理学的に耐容性であり、かつ典型的にはアレルギー反応又は類似の望ましくない反応、例えば胃の不調、眩暈などを生じない、分子実体及び組成物を指す。好ましくは、本明細書において使用される「薬学的に許容される」という表現は、動物、より特定するとヒトにおける使用について、連邦若しくは州政府の規制機関によって承認見込みであるか、又は、米国薬局方若しくは他の一般的に認められた薬局方に列挙されていることを意味する。
【0134】
「担体」という用語は、化合物と一緒に投与される、溶媒、補助剤、賦形剤、又はビヒクルを指す。このような薬学的担体は、無菌液体、例えば水及び油、例えば石油、動物、植物、又は合成起源の油、例えばピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などであり得る。
【0135】
医薬組成物は、「有効量」の本発明のイムノサイトカインを含み、有効量は癌細胞の増殖を阻害するのに十分な、好ましくは腫瘍の増殖の退縮を誘導するのに十分なものである。投与のために使用される用量は、様々なパラメーターの関数として、特に使用される投与形態、関連のある病態、又は代替的には所望の処置期間の関数として適応させることができる。必然的に、医薬組成物の剤形、投与経路、用量、及び処方計画は必然的に、処置しようとする容態、病気の重度、被験者の年齢、体重及び性別などに依存する。以下に提供される有効量の範囲は本発明を制限するものではなく、好ましい用量範囲を示すものである。しかし、好ましい用量は個々の被験者に応じて調整され得、過度の実験を行なうことなく、当業者によって理解されかつ決定可能である。
【0136】
本発明のイムノサイトカインの顕著な効力の観点から、当業者は、被験者の処置のために非常に少量を使用することを計画することができる。非制限的な例として、本発明のイムノサイトカインを、50mg/kgから5μg/kg(被験者)の用量で、好ましくは10mg/kgから100μg/kgの用量で、最も好ましくは2.5mg/kgから500μg/kgの用量で注射によって投与することができる。
【0137】
一例として、本発明の医薬組成物は、局所、経口、鼻腔内、眼内、静脈内、筋肉内、腫瘍内、又は皮下投与などのために製剤化され得る。好ましくは、医薬組成物は、注射しようとする製剤にとって薬学的に許容されるビヒクルを含有する。これらは、特に、等張で無菌の食塩水溶液(リン酸一ナトリウム又はリン酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、若しくは塩化マグネシウムなど、又はこのような塩の混合物)、あるいは、場合に応じて滅菌水又は生理的食塩水の添加により注射液の復元が可能となる乾燥させた、特に凍結乾燥させた組成物であり得る。適切な薬学的担体は、E.W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。
【0138】
本発明のイムノサイトカイン、それをコードする核酸、又は核酸ベクターは、緩衝液又は水中に可溶化され得るか、あるいは、エマルション、マイクロエマルション、ヒドロゲル(例えばPLGA−PEG−PLGAトリブロックコポリマーに基づくヒドロゲル)、マイクロスフィア、ナノスフィア、マイクロ粒子、ナノ粒子(例えば乳酸・グリコール酸共重合体マイクロ粒子(例えばポリ乳酸(PLA);乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA));ポリグルタミン酸マイクロスフィア、ナノスフィア、マイクロ粒子又はナノ粒子)、リポソーム、又は他のガレヌス製剤に取り込まれ得る。全ての場合において、該製剤は無菌でなければならず、かつシリンジの扱い易さが許容可能な程度となるように流動性でなければならない。それは製造及び保存の条件下で安定でなければならず、また細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から防腐されていなければならない。
【0139】
遊離塩基又は薬理学的に許容される塩としての活性化合物の溶液を、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合された水中において調製することができる。
【0140】
分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びその混合物中、並びに油中において調製することもできる。通常の保存及び使用の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐための保存剤を含有する。
【0141】
本発明に記載のイムノサイトカインは、中性又は塩の形態の組成物へと製剤化され得る。薬学的に許容される塩は、例えば塩酸又はリン酸などの無機酸、あるいは酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸と共に形成された酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基と形成される)を含む。遊離カルボキシル基と共に形成された塩はまた、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、又は水酸化鉄などの無機塩基、及びイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から導かれ得る。
【0142】
担体はまた、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、その適切な混合物、及び植物油を含有する、溶媒又は分散媒体であり得る。本発明のイムノサイトカインはまた、その生物学的利用能を高めるために、一例としてPEG化によって修飾されていてもよい。本発明のイムノサイトカインが核酸の形態を有する場合、担体は、ベクター、例えばウイルス(例えばMVA、rAAV、レンチウイルスなど)であってもよい。
【0143】
適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用によって、分散液の場合には必要とされる粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用の防御は、様々な抗細菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば糖又は塩化ナトリウムを含めることが好ましいだろう。
【0144】
注射用組成物の延長吸収は、該組成物に、吸収遅延剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム、ゼラチン、ポリオール、並びに半減期を延長する共有結合及び非共有結合製剤を使用することによってもたらされ得る。
【0145】
ペプチドの不安定性又は分解の原因には、加水分解及び変性をはじめとして数多くある。疎水性相互作用は、分子の集塊(すなわち凝集)を引き起こす場合がある。このような問題を低減又は防ぐために安定化剤を添加してもよい。
【0146】
安定化剤としては、シクロデキストリン及びその誘導体が挙げられる(米国特許第5,730,969号参照)。最終製剤を安定化させるために、適切な保存剤、例えばスクロース、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、デキストラン、及びゼラチンも加えることができる。イオン性及び非イオン性界面活性剤、D−グルコース、D−ガラクトース、D−キシロース、D−ガラクツロン酸、トレハロース、デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン、及びその混合物から選択された安定化剤を製剤に添加してもよい。アルキル金属塩又は塩化マグネシウムの添加は、ペプチドを安定化させ得る。該ペプチドを、デキストラン、コンドロイチン硫酸、デンプン、グリコーゲン、デキストリン、及びアルギン酸塩からなる群より選択されたサッカリドと接触させることによって、該ペプチドを安定化させ得る。添加することのできる他の糖としては、単糖類、二糖類、糖アルコール、及びその混合物(例えばグルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、マンニトール、キシリトール)が挙げられる。ポリオールはペプチドを安定化させ得、かつ水混和性又は水溶性である。適切なポリオールは、ポリヒドロキシアルコール、単糖類、及び二糖類、例えばマンニトール、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチルグリコール、ビニルピロリドン、グルコース、フルクトース、アラビノ―ス、マンノース、マルトース、スクロース、及びそのポリマーであり得る。血清アルブミン、アミノ酸、ヘパリン、脂肪酸、及びリン脂質、界面活性剤、金属、ポリオール、還元剤、金属キレート剤、ポリビニルピロリドン、加水分解されたゼラチン、及び硫酸アンモニウムをはじめとする様々な賦形剤もペプチドを安定化させ得る。
【0147】
サイトカイン療法の有望さは実際にこれらの新規サイトカインの同定からもたらされているが、さらにより根本的には、この分野は、補完的な免疫刺激能を有するいくつかのサイトカイン組合せの使用を通して達成され得る相乗的及び/又は新規な生物学的作用を確証的に実証する、絶え間なく増え続ける前臨床データから大いなる恩恵を受けている。RLIに基づくイムノサイトカインと可能性のある治療活性剤との組合せは、例えば、化学療法剤、血管新生抑制剤、又は免疫調節剤を含む。
【0148】
好ましい実施態様では、本発明の組成物は、さらに他の治療活性剤、例えば化学療法剤、血管新生抑制剤、又は免疫調節剤を含み得る。
【0149】
化学療法剤について、その治療効果は、一部には、免疫原性細胞死を誘導し、免疫抑制環境の平衡を保ち、原発性の大きな腫瘍を減量させその後に免疫攻撃を促進することによって、又は一過性のリンパ球減少症を誘導し続いて恒常的なリンパ球増殖を誘導することによってのいずれかによる、免疫応答に対する間接的な作用によって媒介され得ることが実証された。それらの多くは当業者には周知であり、本発明のイムノサイトカインと組み合わせ得る化学療法剤の一例として、フルダラビン、ゲムシタビン、カペシタビン、メトトレキサート、タキソール、タキソテア、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシ尿素、シタラビン、シクロホスファミド、イフォスファミド、ニトロソ尿素、白金複合体、例えばシスプラチン、カルボプラチン、及びオキサリプラチン、マイトマイシン、ダカルバジン、プロカルバジン、エトポシド、テニポシド、カンプトテシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、L−アスパラギナーゼ、ドキソルビシン、エピルビシン、5−フルオロウラシル、タキサン、例えばドセタキセル及びパクリタキセル、ロイコボリン、レバミソール、イリノテカン、エストラムスチン、エトポシド、ナイトロジェンマスタード、BCNU、ニトロソ尿素、例えばカルムスチン及びロムスチン、ビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、ビンクリスチン及びビノレルビン、イマチニブメシル酸塩、ヘキサメチルメラミン、トポテカン、キナーゼ阻害剤、ホスファターゼ阻害剤、ATPアーゼ阻害剤、チロホスチン、プロテアーゼ阻害剤、阻害剤ハービマイシンA、ゲニステイン、エルブスタチン、及びラベンダスチンAを挙げることができる。
【0150】
血管新生抑制剤については、それらは免疫系に対してオフターゲット効果を有し、その後、腫瘍免疫応答を促進し得ることが実証された。本発明のイムノサイトカインと組み合わせ得る血管新生抑制剤の一例として、そのチロシンキナーゼを介して血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)を標的化する薬物、例えばソラフェニブ、スニチニブ、及びパゾパニブ、又は哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)、例えばテムシロリムス及びエベロリムスを挙げることができる。
【0151】
本発明のイムノサイトカインと組み合わせ得る免疫調節剤については、サイトカイン(IL−2、IL−7、IL−15、IL−12、IL18、IL−21、GM−CSF、G−CSF、IFNαなど)、ケモカイン/血管新生抑制性サイトカイン(IP10、Mig、SDF−1、RANTESなど)、TLRアゴニスト、及び免疫調節抗体(抗CTLA4抗体、抗PD1抗体、抗TGFβ抗体、アゴニスト抗CD40抗体など)を挙げることができる。
【0152】
治療法及び使用
さらなる態様では、本発明は、被験者における癌の処置のための前記のような医薬組成物、好ましくは、前記のイムノサイトカインを含む医薬組成物に関する。
【0153】
本明細書において使用される「被験者」という用語は、哺乳動物、例えばげっ歯類、ネコ、イヌ、又は霊長類、最も好ましくはヒトを示す。
【0154】
別の態様では、本発明は、被験者における癌を処置するために同時に、別々に、又は順次使用するための組合せ調製物としての、
(i)上記のイムノサイトカイン、それをコードする核酸配列、又はこのような核酸配列を含むベクター、及び
(ii)治療剤、好ましくは抗癌剤
を含有する製品に関する。
【0155】
さらに別の態様では、本発明は、前記の医薬組成物を被験者に投与する工程を含む、該被験者における癌を処置するための方法に関する。
【0156】
最終の態様では、本発明は、それを必要とする被験者に
(i)上記のイムノサイトカイン、それをコードする核酸配列、又はこのような核酸配列を含むベクター、及び
(ii)治療剤、好ましくは抗癌剤
の治療有効量を同時に、別々に、又は順次投与する工程を含む、癌を処置するための方法に関する。
【0157】
本発明の状況において、本明細書において使用される「処置する」又は「処置」という用語は、このような用語を適用する疾患若しくは容態、又はこのような疾患若しくは容態の1つ以上の症状の進行を、元に戻す、軽減する、阻止する、又は該疾患若しくは容態を予防することを意味する。本明細書において使用される「癌を処置する」という表現は、癌細胞の増殖の抑制を意味する。好ましくは、このような処置により、腫瘍増殖の退縮、すなわち、測定可能な腫瘍のサイズの減少ももたらされる。最も好ましくは、このような処置により完全な腫瘍の退縮がもたらされる。
【0158】
好ましくは、前記の癌は癌腫又は肺癌である。
【0159】
最も好ましくは、「癌を処置する」という表現は、「腫瘍浸潤性リンパ球を活性化することによって癌を処置する」ことを意味する。
【0160】
したがって、癌は、好ましくは血管付きの癌に相当する。
【0161】
さらに好ましくは、前記癌は、アネルギー性のTIL集団を有する癌であり、前記癌は、進行癌、例えば腎細胞癌(RCC)に相当する。
【0162】
以下において、本発明は、アミノ酸配列、核酸配列、及び実施例を参照してより詳細に記載される。しかし、実施例の詳細によって本発明が制限されるものではない。むしろ、本発明は、本明細書の実施例に明確に記載されていないが当業者が過度な努力を行なうことなく発見した詳細を含む、あらゆる実施態様に関する。
【0163】
実施例
1)RLIに基づくモジュロカイン
抗PD−1抗体(hBAT)RLIイムノサイトカインの構築
CT−011(hBAT又はhBAT−1)の1つに対応する抗PD−1抗体軽鎖をコードする発現プラスミド。該抗体のキメラIgG重鎖配列が、22アミノ酸のリンカー(配列番号16)を用いて又は用いずに、3’末端においてIL15(配列番号3、93位のアミノ酸はKである)に融合されるように設計した。これらのヌクレオチド配列を合成し、pcDNA3.1プラスミドにGENEARTによってクローニングした。抗PD−1抗体の軽鎖及び重鎖の完全配列は、国際特許出願の国際公開公報第2009/101611号に開示されている。
【0164】
プラスミドDNAの調製及びトランスフェクション試薬
40kDaの鎖状PEIをPolyscienceから入手した。PEIを加熱しながら水中に溶解し、NaOHによって中和し、0.22μmのフィルターを通した濾過によって滅菌することによって1mg/mLのストック溶液を調製した。ストック溶液を分注し、−20℃で保存した。
【0165】
トランスフェクション用のプラスミドDNAを、製造業者のプロトコール(Macherey-Nagel)に従ってプラスミド精製キットを使用して、0.22μmのフィルターを通した過により滅菌して精製した。
【0166】
イムノサイトカインの産生及び精製
1−懸濁液中での一過性トランスフェクション
慣用的に維持されたCHO−S(Invitrogen)細胞を1×10
6個の細胞/mLの密度でPowerCHO2培地(Lonza)中に播種し、5%CO
2を含む振盪インキュベーター(100rpm)中37℃で一晩培養した。トランスフェクションのために、その後、細胞をCD−CHO培地(Invitrogen)で2×10
6個の細胞/mLまで希釈した。150mM NaClを使用して培養容量の10%中にトランスフェクション複合体を調製した。発現構築物DNA(2.5mg/Lの培養容量、重鎖をコードするプラスミドと軽鎖をコードするプラスミドを1:2の比で使用して)をNaCl中に希釈されたPEI(10mg/Lの最終培養容量)と混合し、室温で10分間インキュベートし、その後、培養液に加えた。細胞を振盪インキュベーター(130rpm)中37℃で5時間培養し、その後、PowerCHO2培地を用いて培養容量を倍加させた。上清をトランスフェクションから5日後に回収した。
【0167】
2−接着細胞上での安定なトランスフェクション
CHO−K1細胞(ATCC番号CCL−61)を、1−グルタミン、10%FCS及びペニシリン(100単位/ml)/ストレプトマイシン(100μg/ml)の補充されたDMEM中で増殖させ、製造業者によって推奨されるように、リポフェクタミン2000試薬(Invitrogen)を使用して各ベクターを用いてトランスフェクトした。クローンを、それぞれ抗CD20抗体アセチル化ICK及び抗CD20 ICKについて、ジェネテシンとハイグロマイシン(0.5mg/ml)又はブラストサイジンとハイグロマイシン(5μg/mL及び100μg/mL)を含有する培地を用いた限界希釈によって選択した。各クローンの培養上清を、ELISAによって二官能基タンパク質の産生についてアッセイした。ICKの産生について、選択されたクローンを、25%DMEM培地及び75%AIM培地(Invitrogen)中で増殖させた。その後、細胞を100%のAIM中に維持し、上清を回収し、2日間毎に10日間交換した。
【0168】
3−上清の精製:
回収した上清を3000rpmで4℃で20分間遠心分離にかけ、NaOHを用いてpH7.8に平衡を保ち、0.22μmのフィルターを通して濾過した。馴化培地を、製造業者の説明書に従ってプロテインAカラム(GE)を使用してアフィニティクロマトグラフィーによって精製した。精製されたタンパク質を50kDaのアミコンユニット(ミリポア)を用いて濃縮した。この工程の最中に、溶出緩衝液をPBSと交換した。精製されたタンパク質を最後にELISA及び280nmでの吸光度測定によってアッセイした。純度は電気泳動によって評価された。
【0169】
4−ELISAによる免疫グロブリン部分の検出
Maxisorp平底マイクロタイタープレート(NUNC)を、PBS中で1.5μg/mLに希釈されたヤギ抗ヒト抗体 100μL(UP892370, Interchim)を用いて4℃でコーティングした。その後、プレートを遮断緩衝液 200μL(PBS中1%BSA+0.1%TWEEN20)を用いて37℃で1時間かけて遮断した。その後、プレートを洗浄緩衝液(PBS中0.1%TWEEN20)を用いて3回洗浄し、遮断緩衝液で希釈された試料を加え、37℃で30分間インキュベートした(100μL)。3回洗浄した後、1:10000に希釈されたペルオキシダーゼにコンジュゲートさせたヤギ抗ヒトIgG1抗体(109-036-003, Jackson)を加え、37℃で30分間インキュベートした。TMB基質(Interchim)を使用してタンパク質レベルを決定し、450nmでプレートを解読した。精製リツキシマブ(ロシュ)を使用してプレート上で標準曲線を作成した。
【0170】
5−ELISAによるサイトカイン部分の検出
Maxisorp平底マイクロタイタープレート(NUNC)を、炭酸緩衝液中で2μg/mLに希釈された抗IL15抗体B−E29 100μL(Diaclone)を用いて4℃で16時間かけてコーティングした。その後、プレートを遮断緩衝液 200μL(PBS中1%BSA)を用いて37℃で1時間かけて遮断した。その後、プレートを洗浄緩衝液(PBS中0.05%TWEEN20)を用いて3回洗浄した。TBS+0.05%BSA中で希釈された試料を加え、37℃で1時間30分かけてインキュベートした(100μL)。3回洗浄した後、200ng/mLに希釈されたビオチニル化抗IL15抗体BAM247(R&D system)を加え、37℃で1時間30分インキュベートした。プレートを3回洗浄し、1:1000に希釈されたペルオキシダーゼにコンジュゲートさせたストレプトアビジンを加えた。TMB基質(Interchim)を使用してタンパク質レベルを決定し、450nmでプレートを解読した。IL−15(Peprotech)を使用してプレート上で標準曲線を作成した。
【0171】
TILの表現型
腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)が、2人の腎細胞癌患者から得られた生検材料又は腎摘出組織から、DNAアーゼ及びコラゲナーゼによる消化後に得られた。これらのTILは殆ど、腫瘍進行を可能とするアネルギー性であった。
【0172】
PD−1、Tim−3及びIL−15Rαに関するこれらのTILの表現型を、免疫蛍光法によって決定した。
【0173】
図1は、患者A(
図1A)及び患者B(
図1B)について得られた表現型を示す。
【0174】
イムノサイトカインの結合活性
抗PD−1抗体 RLIモジュロカインの特異的結合をフローサイトメトリーによって評価した。モジュロカインがエフェクター細胞上のIL−15受容体に結合する能力を、Kit225で試験した。標的化細胞上にコーティングされたモジュロカインを、PEにコンジュゲートさせたヤギ抗ヒトIgGmAb(PN IM0550, Beckman Coulter)を用いて、又はPE−ストレプトアビジン(Sigma-Aldrich)に結合させたビオチニル化マウス抗IL15抗体(BAM247, R&D system)を用いて顕現させた。標的化細胞(1×10
5個)を各ICKと共に4℃で1時間インキュベートし、洗浄し、その後、PE−コンジュゲートと共に4℃で1時間インキュベートした。洗浄した細胞を最後にFACScalibur(Becton Dickinson)で分析した。
【0175】
結果は、モジュロカインがIL−15受容体に結合し、またPD−1にも結合することを示した。
【0176】
イムノサイトカインの増殖活性
得られたモジュロカインのインターロイキン−15媒介性の増殖活性を試験し、RLIと比較した。ICKに対するKit225細胞及び32Dβ細胞の増殖応答を、[
3H]チミジンの取り込みによって測定した。細胞を培養培地中に3日間維持し、2回洗浄し、それぞれKit225及び32Dβについてサイトカインを含まない培地中で24時間又は4時間かけて枯渇させた。その後、それらをマルチウェルプレートに10
4個の細胞/ウェルで100μl中に播種し、漸増濃度の試料の補充された培地中で48時間培養した。ヒトrIL−15及びRLIを検量用試料として使用した。細胞に0.5μCi/ウェルの[
3H]チミジンを16時間かけてパルス投与し、ガラス繊維フィルター上に収集し、細胞に関連した放射能を測定した。結果は、モジュロカインの増殖活性がRLIの増殖活性と同等であったことを確認した。
【0177】
RLIモジュロカインによる強力なTILの再活性化
腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)は、25人の腎細胞癌患者から得られた生検材料又は腎摘出組織から、DNAアーゼ及びコラゲナーゼによる消化後に得られた。これらのTILは殆ど、腫瘍進行を可能とするアネルギー性であった。
【0178】
25人の患者のTILを、各患者について同じモル濃度のRLI、HBAT(CT011=抗PD1抗体)、HBAT−RLI(モジュロカイン)、又はHBATとRLIの組合せの非存在下又は存在下でインキュベートすることによって、該TILの再活性化を試験した。RLIは患者1〜8については1μg/mlで使用され、患者9〜25については300ng/mlで使用された。
【0179】
刺激から48時間後に上清を回収し、ELISAによって上清中のIFNγ濃度を測定することによって再活性化を決定した。
【0180】
20pg/ml未満のIFNγを常に分泌していた刺激されなかったTILを除く、腎細胞癌患者から得られた25個のTILの生データを表1に提示する。
【0181】
組合せ
【表1】
【0182】
図2は、RLI、HBAT、HBAT−RLI及びHBAT+RLIを用いて活性化されたTLIから産生されたIFNγの平均値及び中央値を示す(
*p<0.05)。
【0183】
結果は、抗PD−1抗体のみを用いるとTILの活性化は殆ど全く得られなかったことを示す。RLI単独又は抗PD1抗体と組み合わせたRLIを用いると幾分かのTILの活性化が得られた。今回、驚くべきことに、RLI及びまたRLI+HBATと比較して強力かつ全体的な活性化が、本発明のイムノサイトカインを用いて得られた(表1及び
図2)。
【0184】
これらの結果は新規な療法を構想することを可能とする。
【0185】
CT26細胞癌の実験腫瘍モデルにおけるモジュロカインの効力の評価
CT26は、n−ニトロソ―n−メチルウレタン−(nnmu)により誘発されたマウス未分化大腸癌細胞株である。
【0186】
BALB/Cマウスは右側腹部に、CT26腫瘍細胞(2×10
5個/マウス)の皮下注射を受けるだろう。
【0187】
9日目に、腫瘍が20〜30mm
2に達した時、様々な群のマウスを、16又は32μg/マウスのモジュロカイン抗PD1抗体−RLIのみを用いて処置し、等モル濃度の抗PD1抗体のみ、RLIのみ(1004−14p)、抗PD1抗体とRLIの組合せ、又は対照群のPBSと比較した。
【0188】
モジュロカイン又はRLIのみを9日目から1週間に2回4週間注射する。抗PD1抗体のみを9日目から注射し、その後、1週間に1回4週間注射する。組合せ群では、抗PD1抗体を9日目から注射し、その後、1週間に1回4週間注射し、RLIを15日目から注射し、その後1週間に2回3週間注射する。腫瘍を1週間に3回キャリパーを用いて測定し、腫瘍面積を以下のように計算した:長さ×幅。腫瘍サイズが300mm
2に達した場合又は潰瘍化した場合にマウスを屠殺する。原発性腫瘍の増殖、生存期間、及び最終的には退縮を評価する。対照群は、対応する用量の抗体アイソタイプ又は関連性のないRLI−抗体コンジュゲート(抗HER2抗体−RLI)を受けた。
【0189】
BALB/Cマウスは右側腹部に、CT26腫瘍細胞(2×10
5個/マウス)の皮下注射を受けた。9日目に腫瘍が20〜30mm
2に達した時、マウスを、16又は32μg/マウスのモジュロカイン抗PD−L1抗体−RLIのみを用いて処置し、等モル濃度の抗PD−L1抗体のみ(クローン10 F.9G2、Bio-XCell)、RLIのみ(1004−14p)、抗PD−LI抗体(クローン10 F.9G2、Bio-XCell)とRLIの組合せ、又は対照群のPBSと比較した。
【0190】
モジュロカイン又はRLIのみを、9日目から1週間に2回4週間注射する。抗PD1抗体のみを9日目から注射し、その後、1週間に1回4週間注射する。組合せ群では、抗PD1抗体を9日目から注射し、その後、1週間に1回4週間注射し、RLIを15日目から注射し、その後、1週間に2回3週間注射する。腫瘍を1週間に3回キャリパーを用いて測定し、腫瘍面積を以下のように計算した:長さ×幅。腫瘍サイズが300mm
2に達した場合又は潰瘍化した場合にマウスを屠殺する。原発性腫瘍の増殖、生存期間、及び最終的には退縮を評価する。対照群は、対応する用量の抗体アイソタイプ又は関連性のないRLI−抗体コンジュゲート(抗HER2抗体−RLI)を受けた。
【0191】
肺tc−1実験腫瘍モデルにおけるモジュロカインの効力の評価
腫瘍細胞株TC−1を、C57Bl/6マウスの原発性肺上皮細胞から得た。細胞を両種指向性レトロウイルスベクターlxsn16e6e7を用いて不死化させ、続いて、活性化ヒトc−ha−ras発癌遺伝子を発現しているpvejbプラスミドを用いて形質転換した。細胞はHPV−16E7の発現について陽性である。
【0192】
C57Bl/6マウスは右側腹部に、TC−1腫瘍細胞(1×10
5個/マウス)の皮下注射を受けるだろう。9日目に腫瘍が20〜50mm
2に達した時、様々な群のマウスを、16又は32μg/マウスのモジュロカイン抗PD1抗体−RLIのみを用いて処置し、等モル濃度の抗PD1抗体のみ、RLIのみ(1004−14p)、抗PD1抗体とRLIの組合せ、又は対照群のPBSと比較する。モジュロカイン又はRLIのみを9日目から1週間に2回4週間注射する。抗PD1抗体のみを9日目から注射し、その後、1週間に1回4週間注射する。組合せ群では、抗PD1抗体を9日目から注射し、その後、1週間に1回4週間注射し、RLIを15日目から注射し、その後1週間に2回3週間注射する。腫瘍を1週間に3回キャリパーを用いて測定し、腫瘍面積を以下のように計算した:長さ×幅。腫瘍サイズが300mm
2に達した場合又は潰瘍化する場合にマウスを屠殺する。原発性腫瘍の増殖、生存期間、及び最終的には退縮を評価する。
【0193】
転移性黒色腫B16F10実験腫瘍モデルにおけるモジュロカインの効力の評価
3×10
4個のB16F10細胞をC57BL/6マウスの腹側部に0日目に皮内注射することによってB16F10腫瘍を移植する。腫瘍細胞を生着させた後、4日目に療法を開始する。抗PD−L1抗体−RLIモジュロカインを16又は32μg/マウスで腹腔内注射し、等モル濃度の抗PD−L1抗体のみ(クローン10 F.9G2、Bio-XCell)、RLIのみ(1004−14p)、抗PD−LI抗体(クローン10 F.9G2、Bio-XCell)とRLIの組合せ、又は対照群のPBSと比較する。
【0194】
モジュロカイン、抗PD−L1mAb、RLI、又は抗PD−L1mAb+RLIの組合せを、4日目から1週間に2回4週間注射する。腫瘍を1週間に3回キャリパーを用いて測定し、腫瘍面積を以下のように計算した:長さ×幅。腫瘍サイズが300mm
2に達した場合又は潰瘍化した場合にマウスを屠殺する。原発性腫瘍の増殖、生存期間、及び最終的には退縮を評価する。対照群は、対応する用量の抗体アイソタイプ又は関連性のないRLI−抗体コンジュゲート(抗HER2抗体−RLI)を受けた。
【0195】
進行膀胱癌MB49実験腫瘍モデルにおけるモジュロカインの効力の評価
MB49腫瘍細胞株は、C57BL/6雄マウスの膀胱上皮を起源とする発癌物質により誘発された腫瘍から派生する。10
6個のMB49膀胱癌細胞を、C57BL/6マウスの背中の真皮上層に皮下注射した。腫瘍が約15mm
2のサイズで明瞭に見えるようになりかつ触診可能となる時に相当する腫瘍接種後の6日目に処置を開始する。抗PD−1抗体−RLI及び抗PD−L1抗体モジュロカインを16又は32μg/マウスで腹腔内注射し、等モル濃度の抗PD1抗体のみ、抗PD−L1抗体のみ(クローン10 F.9G2、Bio-XCell)、RLIのみ(1004−14p)、抗PDI抗体又は抗PD−L1抗体(クローン10 F.9G2、Bio-XCell)とRLIの組合せ、又は対照群のPBSと比較する。
【0196】
モジュロカイン、抗PD−1mAb、抗PD−L1mAb(クローン10 F.9G2、Bio-XCell)、RLI、及び抗PD−1mAb又は抗PD−L1抗体(クローン10 F.9G2、Bio-XCell)+RLIの組合せを、6日目から1週間に2回4週間注射する。腫瘍を1週間に3回キャリパーを用いて測定し、腫瘍面積を以下のように計算した:長さ×幅。腫瘍サイズが300mm
2に達した場合又は潰瘍化した場合にマウスを屠殺する。原発性腫瘍の増殖、生存期間、及び最終的には退縮を評価する。対照群は、対応する用量の抗体アイソタイプ又は関連性のないRLI−抗体コンジュゲート(抗HER2抗体−RLI)を受けた。
【0197】
乳癌4T1実験腫瘍モデルにおけるモジュロカインの効力の評価
BALB/cマウスの乳腺に、0日目に5×10
4個の4T1乳癌細胞を接種した。腫瘍が約15mm〜20mm
2のサイズで明瞭に見えるようになりかつ触診可能となる時に相当する腫瘍接種後の10日目に処置を開始する。抗PD−1抗体−RLI及び抗PD−L1抗体モジュロカインを16又は32μg/マウスで腹腔内注射し、等モル濃度の抗PD1抗体のみ、抗PD−L1抗体のみ(クローン10 F.9G2、Bio-XCell)、RLIのみ(1004−14p)、抗PDI抗体又は抗PD−L1抗体(クローン10 F.9G2、Bio-XCell)とRLIの組合せ、又は対照群のPBSと比較する。
【0198】
モジュロカイン、抗PD−1mAb、抗PD−L1mAb(クローン10 F.9G2、Bio-XCell)、RLI、及び抗PD−1mAb又は抗PD−L1抗体(クローン10 F.9G2、Bio-XCell)+RLIの組合せを、10日目から1週間に2回4週間注射する。対照群は、対応する用量の抗体アイソタイプ又は関連性のないRLI−抗体コンジュゲート(抗HER2抗体−RLI)を受けた。腫瘍を1週間に3回キャリパーを用いて測定し、腫瘍面積を以下のように計算した:長さ×幅。マウスを27日目に屠殺した。転移性肺結節を両眼顕微鏡下で計数する。
【0199】
卵巣癌ID8実験腫瘍モデルにおけるモジュロカインの効力の評価
ID8−VEGF卵巣癌細胞株を、マウス卵巣上皮乳頭状漿液性腺癌細胞株から事前に発達させた。C57BL/6マウスの右腹側部に、5×10
6個のID8腫瘍細胞を皮下移植した。腫瘍が約15〜20mm
2のサイズで明瞭に見えるようになりかつ触診可能となる時に相当する腫瘍接種後の10日目に処置を開始する。抗PD−1抗体−RLI及び抗PD−L1抗体モジュロカインを16又は32μg/マウスで腹腔内注射し、等モル濃度の抗PD1抗体のみ、抗PD−L1抗体のみ(クローン10 F.9G2、Bio-XCell)、RLIのみ(1004−14p)、抗PDI抗体又は抗PD−L1抗体(クローン10 F.9G2、Bio-XCell)とRLIの組合せ、又は対照群のPBSと比較する。
【0200】
モジュロカイン、抗PD−1mAb、抗PD−L1mAb(クローン10 F.9G2、Bio-XCell)、RLI、及び抗PD−1mAb又は抗PD−L1抗体(クローン10 F.9G2、Bio-XCell)+RLIの組合せを、10日目から1週間に2回4週間注射する。対照群は、対応する用量の抗体アイソタイプ又は関連性のないRLI−抗体コンジュゲート(抗HER2抗体−RLI)を受けた。腫瘍を1週間に3回キャリパーを用いて測定し、腫瘍面積を以下のように計算した:長さ×幅。腫瘍サイズが300mm
2に達した場合又は潰瘍化した場合にマウスを屠殺した。
【0201】
前立腺癌RM−1実験腫瘍モデルにおけるモジュロカインの効力の評価
C57BL/6雌マウスに、2×10
5個のRM−1マウス前立腺癌細胞を皮下接種した。腫瘍が約15〜20mm
2のサイズで明瞭に見えるようになりかつ触診可能となる時に相当する腫瘍接種後の3日目に処置を開始する。抗PD−1抗体−RLI及び抗PD−L1抗体モジュロカインを16又は32μg/マウスで腹腔内注射し、等モル濃度の抗PD1抗体のみ、抗PD−L1抗体のみ(クローン10 F.9G2、Bio-XCell)、RLIのみ(1004−14p)、抗PDI抗体又は抗PD−L1抗体(クローン10 F.9G2、Bio-XCell)とRLIの組合せ、又は対照群のPBSと比較する。
【0202】
モジュロカイン、抗PD−1mAb、抗PD−L1mAb(クローン10 F.9G2、Bio-XCell)、RLI、及び抗PD−1mAb又は抗PD−L1抗体(クローン10 F.9G2、Bio-XCell)+RLIの組合せを、3日目から1週間に2回4週間注射する。対照群は、対応する用量の抗体アイソタイプ又は関連性のないRLI−抗体コンジュゲート(抗HER2抗体−RLI)を受けた。腫瘍を1週間に3回キャリパーを用いて測定し、腫瘍面積を以下のように計算した:長さ×幅。腫瘍サイズが300mm
2に達した場合又は潰瘍化した場合にマウスを屠殺した。