(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-7279(P2020-7279A)
(43)【公開日】2020年1月16日
(54)【発明の名称】水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20191213BHJP
A61K 8/11 20060101ALI20191213BHJP
A61K 8/898 20060101ALI20191213BHJP
A61K 8/27 20060101ALI20191213BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20191213BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/11
A61K8/898
A61K8/27
A61Q17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-131251(P2018-131251)
(22)【出願日】2018年7月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000147213
【氏名又は名称】株式会社成和化成
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 正人
(72)【発明者】
【氏名】富久 翔太
(72)【発明者】
【氏名】本間 悠太
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB211
4C083AB212
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC302
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC511
4C083AC532
4C083AC551
4C083AC552
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD022
4C083AD092
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD352
4C083BB23
4C083BB46
4C083CC19
4C083DD14
4C083DD23
4C083DD33
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】 紫外線A領域に対してもB領域に対しても紫外線防御能が高く、しかも紫外線吸収剤が直接肌に触れることがないため肌への刺激が少なく、衣服を汚染することもなく、皮膚に塗布する際の感触に優れ、また、金属酸化物顔料を含有するにも関わらず皮膚に塗布する際の感触に優れ、異臭がなく、油っぽさや塗布時の重い感触がない使用性に優れた水中油型乳化化粧料を提供する。
【解決手段】 シリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁膜とするUVA吸収剤とUVB吸収剤を内包するマイクロカプセルと、酸化亜鉛および二酸化チタンから選ばれる1種以上の金属酸化物顔料を含有させて水中油型乳化化粧料を構成する。水中油型乳化化粧料中でのUVA吸収剤の含有量は1〜20質量%、UVB吸収剤の含有量が5〜30質量%、金属酸化物顔料の含有量が1〜30質量%の範囲になるようにするのが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A領域の紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤を1種以上およびB領域の紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤を1種以上を内包するシリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁膜とするマイクロカプセルの1種以上と、紫外線散乱効果を有する金属酸化物顔料の1種以上とを含有することを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【請求項2】
A領域の紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤が4−tert−ブチル−4−メトキシジベンゾイルメタン、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルおよび2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンからなる群から選ばれる1種以上であり、B領域の紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤がパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルおよび2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸2−エチルヘキシルからなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
紫外線散乱効果を有する金属酸化物顔料が酸化亜鉛である請求項1または2に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項4】
さらに、シリコーン系ポリマーを金属酸化物顔料の分散性向上剤として含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項5】
化粧料中でのA領域の紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤の含有量が1〜20質量%であり、B領域の紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤の含有量が5〜30質量%であり、金属酸化物顔料の含有量が1〜30質量%である請求項1〜4のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、A領域の紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤(以下、UVA吸収剤という)を1種以上およびB領域の紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤(以下、UVB吸収剤という)を1種以上内包するシリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁膜とするマイクロカプセルと、紫外線散乱効果を有する金属酸化物顔料の1種以上とを含有する水中油型乳化化粧料に関し、さらに詳しくは、紫外線A領域に対してもB領域に対しても紫外線防御能が高く、しかも有機紫外線吸収剤がシリル化アミノ酸とシラン化合物との共重合体を壁膜とするマイクロカプセルに内包されているため、肌への刺激が少なく、金属酸化物顔料を含有するにもかかわらず、皮膚に塗布する際の感触に優れる、日焼け防止を目的とした水中油型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、日焼け防止を目的とした化粧料には、紫外線防御剤として、有機の紫外線吸収剤や酸化亜鉛などの金属酸化物顔料が用いられてきた(特許文献1、2など)。日焼けは、太陽光線中の波長が290〜315nmの紫外線B領域と言われる領域の紫外線(以下、UVBという)と、315〜400nmの紫外線A領域と言われる領域の紫外線(以下、UVAという)によって引き起こされ、UVBは皮膚に紅斑を引き起こして炎症後黒化をもたらし、UVAは皮膚を黒化し、さらに、皮膚の深部にまで達して皮膚の老化や皮膚癌を誘発する原因となると言われている。
【0003】
UVA防御能はPA(Protection Grade of UVA)、UVB防御能はSPF(Sun Protection Factor)で表され、日焼け止め化粧料の紫外線防御能の目安となっているが、UVAに関しては、UVBに比べてそのエネルギーが低く紅斑を起こしにくいことから、UVBに比べると、UVAに対する効果の高い紫外線防御力を有する化粧料の開発はやや遅れているのが現状である。また、有機のUVA吸収剤の多くは油溶性で常温では固体であり、溶解のために多量の油剤を必要とするため、化粧料も油性化粧料あるいは油中水型乳化化粧料の形態となり、皮膚に塗布すると油っぽさ、重さを感じるといった問題があった。
【0004】
有機紫外線吸収剤は、皮膚に対して刺激性のあるものが多く、販売を目的としたり、日常的な使用を目的とした化粧品では、厚生労働省告示の化粧品基準で、紫外線吸収剤ごとに化粧品中での配合上限が定められている。そのため、それらの紫外線吸収剤は吸収能が発揮できる量を配合しにくいという問題があり、さらに、紫外線吸収剤によっては二次付着によって衣服を汚染するという問題もあった。これらの問題を解決するために、紫外線吸収剤をカプセル中に封じて皮膚や衣服に直接紫外線吸収剤が接触するのを避ける試みもある(特許文献3、4など)。
【0005】
また、有機紫外線吸収剤と紫外線散乱効果を有する金属酸化物顔料を併用して高い紫外線防御能を得ようとする試みもあるが(特許文献5)、金属酸化物顔料は、化粧料に多量に配合すると皮膚に塗布した際に”白浮き現象”を起こす、塗布時にはざらつき感やきしみ感が生じるという問題があった。
【0006】
これらの問題を解決するため本発明者らは、紫外線吸収剤を内包するマイクロカプセルと紫外線散乱効果を有する金属酸化物顔料を併用した紫外線防止用の乳化化粧料を開発してきた(特許文献6)。しかしながら、特許文献6で使用しているマイクロカプセルは、シリル化ペプチドとシラン化合物の共重合体を壁膜とするもので、壁膜を構成するシリル化ペプチドが天然タンパク質を加水分解したものであるため、タンパク質の種類によっては化粧品中で併用される他の成分と会合して凝集しやすいものがあったり、原料由来のにおいやタンパク質を分解する際に生じたにおいが最終段階にまで残ったりする問題があった。そのため、マイクロカプセルの製造におけるタンパク質加水分解物の調製の際には、タンパク質の種類により分解度を変えたり、シリル化ペプチドとシラン化合物の共縮重合の際にはシリル化ペプチドとシラン化合物の反応割合を予め十分に検討しておく必要があり、製造が煩雑になる上に製造コストも高くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−32532号公報
【特許文献2】特公平7−23294号公報
【特許文献3】特開平2−2867号公報
【特許文献4】特開平11−221459号公報
【特許文献5】特開2010−222349号公報
【特許文献6】特開2015−054841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明は、UVAに対してもUVBに対しても紫外線防御能が高く、しかも紫外線吸収剤が、製造が容易でにおいや化粧品中での凝集などの問題がないシリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁膜とする微小カプセルに内包されているため、肌への刺激が少なく、かつ衣服を汚染することがなく、金属酸化物顔料を含有するにも係わらず皮膚に塗布する際の感触に優れ、油っぽさのない感触に優れた水中油型化粧料、特に、紫外線から肌を防御することを目的とした水中油型乳化化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ねた結果、A領域の紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤を1種以上およびB領域の紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤を1種以上内包するシリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁膜とするマイクロカプセルと、紫外線散乱効果を有する金属酸化物顔料の1種以上を含有する水中油型乳化化粧料では、UVAに対してもUVBに対しても紫外線防御能が高く、しかも紫外線吸収剤がシリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁膜とするマイクロカプセルに内包されているため、肌への刺激が少なく、かつ衣服を汚染することがなく、しかも紫外線吸収剤を内包するマイクロカプセルを用いることで紫外線散乱剤の配合量を抑えることができるため、皮膚に塗布した際に”白浮き現象”を起こすことなく、塗布する際の感触がなめらかであり、さらに、剤形が水中油型であるため油っぽさがない化粧料となることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】
すなわち本発明は、A領域の紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤を1種以上およびB領域の紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤を1種以上内包するシリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁膜とするマイクロカプセルと、紫外線散乱効果を有する金属酸化物顔料の1種以上を含有することを特徴とする水中油型乳化化粧料を基本発明とするもので、これを請求項1に関わる発明とする。
【0011】
そして、UVAの紫外線を吸収する紫外線吸収剤に4−tert−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルおよび2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンからなる群から選ばれる1種以上を用いるとUVAの吸収能が高く、UVBの紫外線を吸収する紫外線吸収剤としてパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルおよび2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸2−エチルヘキシルからなる群から選ばれる1種以上を用いるとUVBの吸収能が高いため、UVA吸収剤が4−tert−ブチル−4−メトキシジベンゾイルメタン、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルおよび2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンからなる群から選ばれる1種以上であり、UVB吸収剤がパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルおよび2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸2−エチルヘキシルからなる群から選ばれる1種以上であるシリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁膜とするマイクロカプセルを用いた請求項1に記載の水中油型乳化化粧料を請求項2に関わる発明とする。
【0012】
なお、以下、UVA吸収剤の4−tert−ブチル−4−メトキシジベンゾイルメタンはt−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルはジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンはビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンと記し、UVB吸収剤の2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸2−エチルヘキシルは別名のオクトクリレンと記す。
【0013】
そして、紫外線散乱効果を有する金属酸化物顔料として酸化亜鉛を用いると、紫外線散乱効果に特に優れるため、本発明の目的を達成するためには好ましい。そのため、紫外線散乱効果を有する金属酸化物顔料が酸化亜鉛である請求項1または2に記載の水中油型乳化化粧料を請求項3に関わる発明とする。
【0014】
本発明の乳化化粧料は水中油型であるので、金属酸化物顔料は配合量や併用する他の成分によっては分散性が下がり、保存中に凝集したり、塗布時にきしみ感を与えるおそれがある。そのため、金属酸化物顔料の分散性向上剤として、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、(加水分解シルク/PGプロピルメチルシランジオール)クロスポリマーなどのシリコーン系ポリマーを併用すると、金属酸化物顔料がより安定に保たれる水中油型乳化化粧料となる。よって、シリコーン系ポリマーを金属酸化物顔料の分散性向上剤として含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料を請求項4に関わる発明とする。
【0015】
請求項5に関わる発明は、化粧料中でのUVA吸収剤の含有量が1〜20質量%であり、UVB吸収剤の含有量が5〜30質量%であり、紫外線散乱効果を有する金属酸化物顔料の含有量が1〜30質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料である。本発明の水中油型乳化化粧料中での紫外線吸収剤の含有量や金属酸化物顔料の含有量の好適な範囲は、化粧料の剤形、紫外線吸収剤量と金属酸化物顔料の配合割合、併用される他の成分の種類や量によって多少変動するが、通常は化粧料全質量に対して、UVA吸収剤の合計含有量が1〜20質量%であり、かつUVB吸収剤の合計含有量が5〜30質量%で、紫外線散乱効果を有する金属酸化物顔料の含有量が1〜30質量%であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の水中油型乳化化粧料は、UVAに対してもUVBに対しても優れた紫外線防御能を発揮するため日焼け防止効果が高く、しかも紫外線吸収剤が、製造が容易でにおいが少ないシリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁膜とするマイクロカプセルに内包されているため、肌への刺激が少なく、かつ衣服を汚染することがなく、また、金属酸化物顔料を含有するにも係わらず皮膚に塗布する際の感触に優れ、さらに、水中油型の乳化化粧料のため油っぽさや塗布時の重い感触がない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の水中油型乳化化粧料は、UVA吸収剤とUVB吸収剤をそれぞれ1種以上内包するシリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁膜とするマイクロカプセルを含有するが、UVA吸収剤とUVB吸収剤の組み合わせが異なる紫外線吸収剤内包マイクロカプセルを2種以上含有させてもよい。
【0018】
マイクロカプセルの壁膜を構成する成分の一つであるシリル化アミノ酸は、αアミノ酸のアミノ基に下記一般式(I):
【化1】
〔式中、R
1は水酸基または炭素数1〜3のアルキル基を表し、Aは結合手で、−CH
2−、−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2−、*−(CH
2)
3OCH
2CH(OH)CH
2−、および*−(CH
2)
3OCOCH
2CH
2−(*はSiと結合する側を表す)からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を表す〕で表されるシリル基が結合したもので、αアミノ酸と、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどのシランカップリング剤といわれるシラン化合物を反応させて得られるものである。
【0019】
αアミノ酸としては、化粧品として用いられるものなら特に制限はなく、酸性アミノ酸、中性アミノ酸、塩基性アミノ酸のいずれも使用可能であるが、紫外線吸収剤内包のマイクロカプセルの製造では、後述の分散相への取り込みがよく、安定性に優れたより強固なカプセルが得られることから、電荷を有していない親水性アミノ酸が好ましく、セリン、グリシン、アラニン、プロリンなどが好適に使用できる。
【0020】
壁膜を構成するもう一つの成分であるシラン化合物は、下記一般式(II):
R
2 m Si(OH)
n Y
(4−n−m) (II)
〔式中、R
2は炭素数1〜20のアルキル基またはフェニル基を表し、mは0から3の整数で、m個のR
2は全て同じでもよく、異なっていてもよい。nは0から4の整数で、m+n≦4であり、(4−n−m)個のYは炭素数1〜6のアルコキシ基、水素原子またはハロゲン原子を表す〕で表され、例えば、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシランなどが挙げられる。また、カプセル製造最終段階で、カプセルの凝集防止のために用いるトリメチルクロロシランも壁膜を構成するシラン化合物成分の一つである。
【0021】
紫外線吸収剤を内包するマイクロカプセルは、水性媒体の連続相中に内包物となる紫外線吸収剤、必要な場合はその溶解剤からなる油性物質の分散相が分散している分散液中で、前記のシリル化アミノ酸と前記のシラン化合物を共縮重合させて、紫外線吸収剤を内包するマイクロカプセルを製造するが、シリル化アミノ酸やマイクロカプセルの製造方法は特開2017−218392号公報に詳しく記載されている。
【0022】
カプセル中に含有させるUVA吸収剤としては、例えば、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、これらの中でもt−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルおよびビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンがUVAの吸収能が高い点から好ましい。
【0023】
また、UVB吸収剤としては、例えば、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、パラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、ジメチルジエチルベンザルマロネート、2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン、オクトクリレンなどが化粧品に用いられているが、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、オクトクリレンがUVBの吸収能が高く入手しやすいことから好ましい。なお、UVAにもUVBにも吸収効果のある、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤やビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンをUVA吸収剤、UVB吸収剤の一方の吸収剤として用いてもよい。
【0024】
マイクロカプセルに内包させる紫外線吸収剤の量は、特に限定はないが、内包量が少ないと多量のマイクロカプセルを化粧料に配合する必要がある上に、マイクロカプセル壁膜が厚くなって紫外線吸収効果が低くなる。そのため、マイクロカプセル全量に占める内包物質の質量の割合を示す内包率が40%以上であるのが好ましい。内包率は高くなるほど紫外線に対する防御能は高くなるが、壁膜が薄くなってマイクロカプセルが壊れやすくなるため、内包率の上限は92%程度が望ましい。また、マイクロカプセルの粒径は、皮膚に塗布した時の感触の面から0.1〜15μmの範囲が好ましく、0.1〜10μmであるのがより好ましい。
【0025】
本発明の水中油型乳化化粧料に用いる紫外線吸収剤を内包するマイクロカプセルは、UVA吸収剤とUVB吸収剤を同時に含有することが必須であり、UVA吸収剤、UVB吸収剤の一方が極端に少ない場合は、それぞれの紫外線領域の紫外線に対する防御力が不足することになる。そのため、UVA吸収剤とUVB吸収剤の存在割合は、使用する紫外線吸収剤の組み合わせによって異なるが、概ね質量比で1:20〜4:1の範囲に保つ必要がある。
【0026】
本発明の水中油型乳化化粧料に用いる紫外線散乱効果を有する金属酸化物顔料としては、酸化亜鉛、二酸化チタンが挙げられるが、塗布時の感触や隠蔽力、紫外線の散乱効果の点から微粒子のものが好ましい。また、その表面がシリカ、アルミナ等の無機化合物、脂肪酸金属石鹸、シリコーン等の有機化合物で被覆されていてもよく、水中油型乳化化粧料にシリコーン系の溶剤を用いる場合は、シリコーン系物質で表面処理されているものが好ましい。そして、紫外線散乱効果を有する金属酸化物顔料の中でも、酸化亜鉛は紫外線散乱効果に特に優れるため、金属酸化物顔料として酸化亜鉛を用いるのが好ましい。
【0027】
金属酸化物顔料が水中油型乳化化粧料中により均一かつ安定に分散するように、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、(加水分解シルク/PGプロピルメチルシランジオール)クロスポリマーなどのシリコーン系ポリマーを分散性向上剤として併用するのが好ましい。これらのシリコーン系ポリマー中でも、ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキサンエチルジメチコン、(ハイドロゲンジメチコン/オクチルシルセスキオキサン)コポリマー、(加水分解シルク/PGプロピルメチルシランジオール)クロスポリマーは、金属酸化物顔料を安定に分散させる効果がより優れるため好ましい。
【0028】
金属酸化物顔料の分散性向上剤としてのシリコーン系ポリマーの配合量は、金属酸化物顔料の量や併用する他の配合品、化粧料の剤形によって大きく変動するため明確な数値を示すことはできないが、概ね、金属酸化物顔料の0.1〜10質量%である。分散性向上剤の配合量が少ない場合には金属酸化物顔料を均一に分散させる効果が見られないおそれがあり、配合量が上記範囲より多くなっても配合量に見合う分散性の向上効果がみられないおそれがある。ただ、シリコーン系ポリマーは、金属酸化物顔料を含む化粧料の塗布時のきしみ感を軽減し、なめらかな感触を付与する効果を有するため、上記範囲以上に使用される場合もある。
【0029】
金属酸化物顔料は、粉体そのものを本発明の水中油型乳化化粧料に配合してもよいが、他成分と混合してあるものを利用してもよい。そのようなものとしては、例えば、信越化学工業(株)から販売されている、酸化亜鉛、シクロペンタシロキサン、ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコンの混合物のSPD−Z5(商品名)、酸化亜鉛、シクロペンタシロキサン、ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、(ハイドロゲンジメチコン/オクチルシルセスキオサン)の混合物のSPD−Z6(商品名)、酸化チタン、シクロペンタシロキサン、ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、水酸化アルミニウム、ステアリン酸の混合物のSPD−T5(商品名)、酸化チタン、シクロペンタシロキサン、シリカ、(ハイドロゲンジメチコン/オクチルシルセスキオサン)、水酸化アルミニウムの混合物のSPD−T6(商品名)などが挙げられる。
【0030】
本発明の水中油型乳化化粧料は、上記のようにUVA吸収剤とUVB吸収剤をそれぞれ1種以上内包するシリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁膜とするマイクロカプセルと、紫外線散乱効果を有する金属酸化物顔料、そして場合によっては、さらに金属酸化物顔料の分散性向上剤のシリコーン系ポリマーを加えて構成され、特に紫外線から肌を防御することを目的とした水中油型乳化化粧料に適するが、毛髪用化粧品としてもよい。そして、化粧料の剤形としては、クリーム、ジェル、乳液などが使用の上からは好ましい。
【0031】
水中油型乳化化粧料中での紫外線吸収剤および金属酸化物顔料の含有量は、紫外線吸収剤と金属酸化物顔料の配合割合によって変動するため明確な数値範囲を規定することはできないが、概ね、UVA吸収剤の含有量は1〜20質量%、好ましくは2〜10質量%であり、かつUVB吸収剤の含有量が5〜30質量%、好ましくは7〜20質量%であり、金属酸化物顔料の含有量が1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%である。紫外線吸収剤と金属酸化物顔料の配合比率は、使用する紫外線吸収剤や金属酸化物の種類や併用する他の成分の影響を受けるため明確な配合比率を明示することはできないが、概ね50:1〜1:20である。なお、UVA吸収剤およびUVB吸収剤を内包するマイクロカプセルを2種以上含有する場合は、UVA吸収剤量、UVB吸収剤量とも化粧料中での合計量を意味する。また、金属酸化物顔料を2種以上用いる場合も化粧料中での合計量を意味する。
【0032】
UVA吸収剤、UVB吸収剤および金属酸化物顔料の濃度が上記範囲以下では、UVA領域およびUVB領域に紫外線に対して充分な防御効果が得られない恐れがあり、含有量が上記範囲以上になっても配合量に見合う効果の増加が期待できないだけでなく、金属酸化物顔料の含有量が多くなると、皮膚に塗布した際ののびが悪くなる上に塗布後の肌が白っぽくなる恐れもある。
【0033】
また、有機紫外線吸収剤の含有量については、厚生労働省告示の化粧品基準別表第4号で紫外線吸収剤ごとに配合上限が定められているため、販売を目的としたり、日常的な使用を目的とした化粧料には、その基準以上に含有させることはできない。例えば、化粧料100g中の最大配合量は、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタンやオクトクリレンはすべての化粧品に対し10g、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンでは3.0g、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルやパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルは、粘膜に使用されることがない化粧品に対しそれぞれ10g、20gである。そのため、販売を目的としたり、日常的な使用を目的とした水中油型乳化化粧料中に含有させることができる紫外線吸収剤の合計量の最大値は、各紫外線吸収剤の最大配合量を超えない値の合計値である。
【0034】
本発明の水中油型乳化化粧料は、UVA吸収剤とUVB吸収剤をそれぞれ1種以上内包するシリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁膜としたマイクロカプセルと、紫外線散乱効果を有する金属酸化物顔料の1種以上を必須成分として構成されるが、これら以外に併用して配合できる成分としては、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー、両性ポリマー、アニオン性ポリマーなどの合成ポリマー、半合成ポリマー類、動植物油、炭化水素類、エステル油、高級アルコール類、アミノ酸類、増粘剤、動植物抽出物、シリコーン類、防腐剤、香料、動植物由来及び微生物由来のタンパク質を加水分解したタンパク質加水分解物及びそれらタンパク質加水分解物のエステル化誘導体、第4級アンモニウム誘導体、シリル化誘導体、アシル化誘導体とその塩などが挙げられる。これら以外にも本発明の水中油型乳化化粧料の特性を損なわない範囲で適宜他の成分を添加することができる。
【実施例】
【0035】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例中などで表記されている%はいずれも質量%である。また、化粧品の処方を含む実施例では、配合量はいずれも質量部によるものであり、配合量が固形分量でないものについては、成分名のあとに括弧書きで固形分濃度を示す。また、処方を示す以下の表や説明では、紫外線吸収剤の名称が長くなるため、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタンはBMDBM、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルはOMC、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルをDHHB、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンはBEMTと略記号で記すことがある。
【0036】
実施例1および比較例1
表1に示す組成のサンスクリーンクリームを調製し、UVB領域の波長290〜315nmの領域とUVA領域の波長315〜400nmの領域での透過率を測定した。実施例1では、UVA吸収剤とUVB吸収剤を含むマイクロカプセルに、t−ブチルメトキシベンゾイルメタン(BMDBM)とパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(OMC)を質量比1:4で内包する内包率90%のシリル化セリンとシラン化合物の共重合体を壁膜とするマイクロカプセルの水分散液と、金属酸化物顔料として酸化亜鉛を用いている。比較例1では、実施例1で用いているBMDBMとOMCを質量比1:4で内包する内包率90%のシリル化セリンとシラン化合物の共重合体を壁膜とするマイクロカプセルの水分散液のみを用い、金属酸化物顔料は用いていない。また、比較参考例1として、実施例1と同じUVA吸収剤とUVB吸収剤を実施例1のマイクロカプセルと同じ割合で内包するシリル化加水分解シルクとシラン化合物の重合物を壁膜とするマイクロカプセルを用いたサンスクリーンクリームの紫外線透過率も測定した。
【0037】
【表1】
【0038】
表1中、*1はテイカ(株)製のMZY−303S(商品名)、*2は花王(株)製のレオドールMS−165V(商品名)、*3はセタノールのポリエチレングリコールエーテルで日光ケミカルズ(株)製のBC−10(商品名)である。*4はジメチコン(ジメチルポリシロキサン)のメチル基の一部をポリエチレングリコールで置換したもの(ポリエチレングリコールの平均重合度は10)で、信越化学工業(株)製のKF−6017(商品名)、*5はSEPPIC社製の乳化増粘剤のSIMULGEL EG(商品名)であり、*6は(株)成和化成製のセイセプト−H(商品名)である。
【0039】
上記のサンスクリーンクリームの紫外線の透過率は米国Labsphere社製のUV−2000S SPFアナライザーを用いて測定した。測定方法は、下記の通りである。
【0040】
〔SPFアナライザーでの測定方法〕
1.縦2.5cm×横3.5cmの測定枠にTranspore Surfical Tape(スリーエムジャパン(株)販売)をたるみなく、引っ張りすぎないように貼り、測定装置にセットし、測定波長領域(290nm〜400nm)の透過度を測定する(この測定値がブランク値となる)。
2.このテープを貼った測定枠に測定試料を14mg精密天秤で秤りとり、指サックをはめて1分間塗り伸ばし、その後15分間室温で乾燥させる。
3.乾燥後、SPFアナライザーにセットし、測定波長領域の透過率を測定する。測定(スキャン)は18回繰り返し、その平均値を測定結果とする。
【0041】
UVA領域及びUVB領域での透過率は、測定チャートに現れるそれぞれの領域での透過曲線が示す透過部分の面積を領域全体が100とした時の割合として計算して求めた。その結果を表2に示すが、数値が小さい程、透過率が低い、すなわち、紫外線吸収能が高いことを表す。
【0042】
【表2】
【0043】
表2に示したように、UVA吸収剤とUVB吸収剤を含有するマイクロカプセルと酸化亜鉛を含有する実施例1のサンスクリーンクリームは、UVA領域、UVB領域とも高い紫外線吸収能を有していた。これに対し、実施例1から酸化亜鉛を除いた比較例1のサンスクリーンクリームでは、両領域とも実施例1のジェルサンスクリーンより紫外線吸収能が低かった。このことから、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンとパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを質量比1:4で内包する内包率90%のシリル化セリンとシラン化合物の共重合体を壁膜とするマイクロカプセルは、酸化亜鉛を併用することでより高い紫外線防御能が得られることが明らかであった。
【0044】
また、比較参考例1の、実施例1で用いたマイクロカプセルと同じ紫外線吸収剤を同量内包するシリル化加水分解シルクとシラン化合物の重合物を壁膜とするマイクロカプセルを使用したサンスクリーンクリームと比べると、UVA領域、UVB領域とも透過率はやや高い値であったが、極度に紫外線防御能が劣っているという値ではなく、シリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁膜とする紫外線吸収剤内包マイクロカプセルは、従来のシリル化加水分解タンパクとシラン化合物の重合物を壁膜とするマイクロカプセルと十分に置き換え可能と言える値であった。
【0045】
実施例2および比較例2
表3に示す組成のジェルサンスクリーンを調製し、UVB領域の波長290〜315nmの領域とUVA領域の波長315〜400nmの領域での透過率を測定した。実施例2では、UVA吸収剤としてジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(DHHB)、UVB吸収剤としてパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(OMC)、及びUVA及びUVB吸収剤としてビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT)を質量比44:37:19で内包する内包率90%のシリル化プロリンとシラン化合物の共重合体をを壁膜とするマイクロカプセルの水分散液と、金属酸化物顔料として酸化亜鉛のシクロペンタシロキサン分散物を用いている。比較例2では、実施例2で用いているマイクロカプセルの水分散液のみを用い、金属酸化物顔料のシクロペンタシロキサン分散物は用いていないが、マイクロカプセルの配合量を1.25倍に増量している。また、比較参考例2として、実施例2と同じUVA吸収剤とUVB吸収剤を実施例2のマイクロカプセルと同じ割合で内包するシリル化加水分解シルクとシラン化合物の重合物を壁膜とするマイクロカプセルを用いたジェルサンスクリーンの透過率も測定した。
【0046】
【表3】
【0047】
表3中、*7は信越化学工業(株)製のSPD−Z6(商品名)で、酸化亜鉛の分散助剤としてポリグリセリル−3−ポリジメチルシロキシエチルジメチコンおよび(ハイドロゲンジメチコン/オクチルシルセスキオサン)コポリマーを含んでいる。また、*8は松本油脂製薬(株)製のマツモトマイクロスフィアー S−100(商品名)である。
【0048】
上記のジェルサンスクリーンの紫外線の透過率は実施例1と同様の方法で測定した。その結果を表4に示す。
【0049】
【表4】
【0050】
表4に示したように、UVA吸収剤とUVB吸収剤を含有するマイクロカプセルと酸化亜鉛のシクロペンタシロキサン分散物を配合した実施例2のジェルサンスクリーンは、UVA領域、UVB領域とも比較例2のジェルサンスクリーンに比べ、より高い紫外線防御能を有していた。比較例2では、吸収剤量は実施例2に比べて高配合であるが、紫外線防御能は実施例より低く、この結果からも、UVA吸収剤とUVB吸収剤を含有するシリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁膜とするマイクロカプセルは、酸化亜鉛を併用することでより高い紫外線防御能が得られることが明らかであった。
【0051】
また、比較参考例2の加水分解シルクとシラン化合物の重合物を壁膜とするマイクロカプセルを使用したジェルサンスクリーンと比べると、実施例2のジェルサンスクリーンは、UVA領域では紫外線防御能に優れるとの結果であったが、UVB領域ではやや紫外線防御能に劣る結果であった。ただ、その値の差は大きいものではなく、シリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁膜とする紫外線吸収剤内包マイクロカプセルは、従来のシリル化加水分解タンパクとシラン化合物の重合物を壁膜とするマイクロカプセルと十分に置き換え可能であるのが明らかであった。
【産業上の利用可能性】
【0052】
日焼け止めを目的とする化粧品として使用できる。