【解決手段】診断検査のために、結腸または他の体腔の壁から糞便物質を除去するための方法であって、様々なサイズおよび構成の粒子からなる糞便物質の除去に適応された方法。方法は、診断検査前に、結腸内容物の粒子構造を減らすための、および/または修正するための限られた範囲の前処置を受けた患者、または前処置を全く受けていない患者に適用するようにさらに適応される。
前記排出するステップが排出ルーメンの少なくとも1つの取入開口を通して行われ、前記排出ルーメンから前記粒子を除外することにより前記所定のサイズは決定され、前記所定のサイズは前記少なくとも1つの取入開口のうちの最大のものよりも小さい、請求項2に記載の方法。
前記流体は、前記遠位部内に配置された流体出口から導入され、前記流体出口は、前記モニタリングされた、混ざった糞便物質内容物の前記減少に基づいて再配置される、請求項2に記載の方法。
前記チャネルは、前記ルーメン内で周囲圧力よりも少なくとも0.2Atm低い差圧を加えることにより潰れに抵抗するように構成された壁によって囲まれる、請求項17に記載の排泄物排出チャネル。
前記スロットの近位端まで延びるが、前記スロットの遠位端の少なくとも1cm手前で終端するフラップを、前記弁部材が含む、請求項19に記載の排泄物排出チャネル。
前記弁部材は、前記第1のローブからの圧力下で前記第2のローブ内への流体の通過に対し、同等の逆の圧力下で前記第2のローブから前記第1のローブへの流体の通過に抵抗するよりも大きく抵抗する、請求項19に記載の排泄物排出チャネル。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、その幾つかの実施形態において、診断検査のために、結腸または他の体腔の壁から糞便物質を除去するための方法に関し、より詳細には、限定されないが、診断検査の前に結腸内容物の粒子構造を減らす、および/または修正する前処置を、全く受けていない、または限られた前処置しか受けていない患者の、そのような糞便物質を除去する方法に関する。
【0031】
(概要)
本発明の幾つかの実施形態の広範囲の態様は、結腸の洗浄、特に、結腸鏡検査の前に全く結腸前処置を行わないか、または低介入の結腸前処置しか行わない、結腸鏡検査手順中の結腸の洗浄に関する。
【0032】
本発明の幾つかの実施形態の態様は、選択された壁領域から糞便物質を部分的に除去して、その壁領域の診断検査を可能にすることに関する。本発明の幾つかの実施形態において、前処置なしまたは低前処置の結腸鏡検査の間に、すべての糞便物質を除去することを意図的に避ける。幾つかの実施形態において、より大きい糞便物質粒子は残されたままであり、一方、より小さい粒子は除去される。このように区別すると、結腸からの排泄物量を完全に排出する必要をなくすことによって、結腸鏡検査手順をより迅速に進めることが可能になり得る。幾つかの実施形態において、任意選択により、十分にまとまった大きい排泄物粒子を、さらに分解および/または排出するために労力を費やすのではなく、これらを脇によけ、かつ/または無視する。これにより、糞便物質が完全に除かれていない結腸内でも検査を進めることが可能になり得る。
【0033】
本発明の幾つかの実施形態では、糞便物質の除去は部分ごとに行われる。幾つかの実施形態において、部分は、結腸の任意の都合のよい長さであり、例えば、10〜20cm、20〜40cm、40〜80cm、または腸全体の長さまでの、同じ、中間の、より大きい、および/またはより小さい境界を有する別の範囲の長さである。幾つかの実施形態において、部分は、例えば、臓器の生理的狭窄および/または屈曲により定義される、結腸の解剖学的に定義された部分である。結腸洗浄中に、現在の洗浄対称の単位が解剖学的に定義された部分であることは潜在的利点である。生理的屈曲および狭窄は、糞便物質および/または潅注流体の動きを案内、制限、および/または阻止することを助ける。そのような案内、制限および/または阻止は、結腸内に残る糞便物質を隔離して、現在の観察を妨げないようにする役割を果たし得る。
【0034】
本発明の幾つかの実施形態の態様は、結腸洗浄の進行を判定する際に排出結果をモニタリングすることに関する。幾つかの実施形態において、結腸の特定領域における結腸洗浄が完了に近づくにつれて、排出流体の色(または別の光学的、化学的、もしくは物理的特性)は変化する。最も容易に分解および/または排出された粒子が最初に排出されて、結腸を潅注および洗浄するために導入された流体に、高い粒子負荷および/または色の変化が生じる。排出流体が潅注流体の色および/または他の特性までほとんど戻ると、収穫逓減の状態が生じることがある。洗浄されている結腸部分には排泄物がまだあり得るが、これは、何らかの理由で(一般にサイズに関連して)、より排出されにくい排泄物である。幾つかの実施形態において、大きい排泄物粒子は排出以外の手段により処理される。例えば、大きい排泄物粒子を検査部位から逸らし、または(診断判定には明らかに重要でないものとして)単に無視する。幾つかの実施形態において、洗浄動作を停止すること、および/または集中的な洗浄動作を停止することの判定は、排出流体に排出された糞便排泄物が実質的にないこと、および/または明白に排泄物の少ない状態に向かっていることの判定に基づく。任意選択により、(元の排泄物量の最大1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、または別の中間の、より大きい、またはより小さい百分率の)実質的な糞便排泄物が結腸内に残っているときでも、この決定が行われる。それでも、幾つかの実施形態において、例えば、元の排泄物量の少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも別の、より大きい、より小さい、および/または中間の量等、糞便排泄物の少なくともいくらか大きい百分率が結腸から排出される。
【0035】
本発明の幾つかの実施形態において、洗浄後に結腸部分に残っている糞便粒子は所定のサイズより大きいままである。所定のサイズより大きい、残っている粒子の割合は、例えば、20%〜40%、30%〜50%、40%〜80%、50%〜90%、80%〜100%、または同じ、中間の、より大きい、および/またはより小さい境界を有する別の範囲である。幾つかの実施形態において、例えば、所定のサイズは、1つまたは複数の洗浄システムの排出ルーメンを通して効果的に排出できる粒子のサイズに基づく。幾つかの実施形態において、所定のサイズは、排出できる最大サイズの割合、例えば、50%、70%、90%、または別のより大きい、より小さい、または中間の割合のサイズである。幾つかの実施形態において、排出できるおよび/または効果的に排出できる最大サイズは、例えば排出ルーメンの取入開口の寸法、および/または排出ルーメンの内寸に対応する。
【0036】
本発明の幾つかの実施形態の態様は、排泄物を排出するための非対称のローブ付チャネルを提供することである。幾つかの実施形態において、一次ローブは、設けられたすべてのローブの最大のおよび/または最大数の粒子を処理可能な、排泄物誘導のための最大経路を含む。幾つかの実施形態において、二次ローブがスロットに沿って一次ローブに連結される。二次ローブは小さいが、一次ローブが閉塞されると、または閉塞され始めると動作する部分圧力シャントを提供する。これによって、吸引圧力を軽減することにより、一次ローブが衝撃を受ける程度を減らすことができる。幾つかの実施形態において、一方弁部材が、一次ローブおよび二次ローブの間に設けられる。一方弁部材は、吸引圧力が一次ローブから逸れることができるようにしながら、一次ローブを通してパージ圧力を案内するように構成される。潜在的に、これによって、閉塞に対するパージ力を、閉塞を生じさせる吸引力よりも強くすることができる。
【0037】
本発明の幾つかの実施形態の態様は、排出ルーメンにつながる可変にサイズ決め可能な開口を提供することである。排泄物粒子サイズは、排出ルーメンの閉塞の程度および/または頻度に影響し得る。糞便内容物の状態がルーメン内閉塞を生じさせやすいときは、より大きい粒子を排出取入口でフィルタリングし、(例えば、均一に小さい粒子サイズのため)状態があまり厳しくないときは、完全に開いたルーメンを維持することが潜在的利点である。洗浄の際に、例えば先端閉塞は、ルーメン内閉塞よりも容易に清掃され得る。ルーメン内閉塞が比較的まれな場合は、完全に開いた排出取入口によって、フィルタ付きの取入口よりも迅速に粒子を排出することができる可能性があり、またその逆も言える。
【0038】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明で述べられ、および/または図面に示される部品の構成および配置ならびに/または方法の詳細に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実行または実施可能である。
【0039】
(前処置なしおよび低前処置の粒子管理)
図1を参照すると、本発明の幾つかの例示的な実施形態による、様々な形の消化されたおよび/または部分的に消化された食物粒子の腸管からの除去を管理する二者択一のおよび/または並行の方法の概略を示すフローチャートが示される。
【0040】
診断観察(結腸鏡検査など)と並行して行われる手順において結腸の壁を覆い隠す糞便物質を除去する過程で、幾つかの糞便粒子の形に遭遇することがある。完全な診断観察を可能にするのに十分なレベルの壁清掃を達成しながら、結腸鏡ブローブが結腸を通って迅速かつ確実に進むことができるようにするために、異なる糞便粒子の形に適した、前処置なしの壁清掃法を使用できることが潜在的利点である。加えてまたは代替として、患者の食事および/または胃腸プロセシングを調節して、粒子を結腸壁から除去できる速度および/または信頼性に困難を示す粒子タイプの存在を減らす、衝撃の少ない結腸前処置法(低前処置)を使用することが潜在的利点である。
【0041】
結腸鏡検査の各段階における目的が、結腸壁の近くの部分をしっかりと、異常が認められないことを確認するのに十分な時間だけ見ることのみである場合には、前処置なし法および低前処置法の両方は、結腸部分から糞便排泄物粒子を完全に除去するために(結腸鏡検査の開始前に施されるか、または結腸鏡検査中に)施される形態とは、投与および効果について異なる場合がある。
【0042】
図1は、異なる糞便粒子管理法が相互作用して、結腸鏡検査中に診断観察のために結腸壁を清掃する様子の全体的な概略を示す。
【0043】
図1では、任意選択の、および/または代替のブロックにつながる作業フローの矢印を破線で示す。サブブロックを含むブロックへの作業フローは、ブロック輪郭の外側に突出する半円により印付けられ、ブロック輪郭の内側に突出する半円は、サブブロックへの作業フローの継続点を示す。
【0044】
ブロック101で、幾つかの実施形態において、任意選択により、固形糞便粒子タイプの管理を目的とする食事調節の指示を患者に与え、患者がこれに従う。ブロック103で、幾つかの実施形態において、任意選択により、目標の糞便粒子外形を実現するのに適した緩下剤法を患者に提示し、患者がこれに従う。ブロック101およびブロック103の一方および両方は、幾つかの実施形態において、任意選択の「低前処置」法104の一部である。低前処置法は、すべての糞便塊を結腸から完全に洗浄することを目標とするのではなく、糞便塊を減少させる役割を果たすことができる。本発明の幾つかの実施形態において、低前処置法の別の目標は、糞便塊が減少してもしなくても、結腸の糞便内容物の構造、特に、糞便粒子の構造を修正することである。幾つかの実施形態において、結腸の前処置により糞便粒子を調節して、適切に設計された結腸洗浄デバイスにより、結腸鏡検査中に糞便粒子が結腸壁からより容易に除去されるようにする。
【0045】
ブロック105で、本発明の幾つかの実施形態において、結腸鏡検査(図示せず)などの結腸の診断検査の手順と同時に結腸洗浄が行われる。一般的な結腸鏡検査の目的は、異常、特に、がんおよび前がん性の異常を検出するために、結腸壁のすべての部分についての、遮られることのない、かつ/または明瞭な視界を得ることである。完全前処置の結腸鏡検査では、検査開始前にすべての障害物を集中的に除去することにより、確実に遮られることのない視界が得られる。しかしながら、結腸壁清掃洗浄デバイスを用いて行われる前処置なしまたは低前処置の結腸鏡検査では、糞便物質による壁の視界障害物を、それに遭遇したときに除去し、動かし、かつ/または単に無視することができる。一般に、糞便物質の視界障害物に遭遇すると(ブロック106)、ブロック107で糞便物質は分解され(減少し)、ブロック109で腸から完全に排出され(排出され)、ブロック111で糞便物質が遮る部位から離され(逸らされ)、かつ/またはブロック113で診断に無関係であるとして無視される(特定される)。視界障害物に遭遇すると、手順が完了するまで、任意選択により結腸鏡検査と並行して結腸洗浄が継続される(ブロック114)。
【0046】
(例示的な粒子タイプ)
本発明の幾つかの実施形態において、腸壁から糞便粒子を除去する方法は、粒子サイズおよび/または構造の態様に応じて異なる。
【0047】
(例示的な粒子サイズ)
本発明の幾つかの実施形態において、糞便粒子除去の管理は、一部には粒子サイズに基づく。幾つかの実施形態において、粒子サイズは、粗い・中程度・細かい、の3つの広いカテゴリーを含む。粒子サイズのカテゴリーは、例えば、1つまたは複数の排出ルーメンを通る排出に対する適合性に基づく。洗浄デバイスの排出ルーメンの直径は、例えば、約3〜6mmである。幾つかの実施形態において、排出ルーメンは、その遠位端をヒトの結腸の遠位端に挿入可能であり、その近位端が結腸の外側にとどまるように長手方向にサイズ決めされる。例示的なサイズ分類法では、
−粗い糞便粒子は、大きすぎて、そのままで(特に、サイズをさらに小さくすることなく)排出ルーメンに入ること、および/または排出ルーメンを通過することができない。しかしながら、粗い糞便粒子は、排出ルーメンにつながる開口を閉塞するおそれがある。
−中程度の糞便粒子は、そのままで排出ルーメンに入ってこれを通過するのに十分に小さいが、少なくとも部分的なルーメンの閉塞を生じさせるのに十分な大きさがあり得る。
−細かい糞便粒子は、ルーメンの閉塞を生じさせることなく、例えば流体に懸濁して排出ルーメンに入ってこれを通過するのに十分に小さい。しかしながら、既存の閉塞に巻き込まれる可能性がある。
【0048】
粗い/中程度/細かいという前述した定義は、結腸洗浄システムの特定の構成に関連することを理解されたい。加えてまたは代替として、結腸洗浄システムは、異なるルーメンに対して粒子のサイズ定義が異なるように、2つ以上の排出ルーメンの幾何形状を含むことがある。例えば、本発明の幾つかの実施形態において、洗浄システムは、異なる内径を有する、および/またはルーメンの横断面について異なる1つまたは複数の他の寸法特性を有する2つのルーメンを含む。加えてまたは代替として、ルーメンは、例えば、円形、長円形、矩形、台形、および/または円弧状の選択肢の中から独立して選択される異なる横断面形状であってよい。幾つかの実施形態において、単一のルーメンがローブ付であり(例えば、スロットに沿って連結された2つのルーメンとして構成され)、任意選択により、一方のローブが他方よりも大きい。
【0049】
(例示的な粒子構造)
以下で、本発明の幾つかの実施形態による、糞便粒子構造の広いカテゴリーを定義する表1を参照する。本発明の幾つかの実施形態において、糞便粒子除去の管理は、部分的に粒子構造に基づく。本発明の幾つかの実施形態において、糞便粒子構成の構造カテゴリーは、表1に挙げた複数のものを含む。表1のカテゴリーは表示的であるが限定するものではなく、画像診断用に糞便排泄物を結腸壁から除去するために使用する異なる方法および方法の組合せに対する理解の根拠を与える。
【0051】
本発明の幾つかの実施形態において、集塊粒子は、結腸壁清掃のプロセスで、より小さいおよび/またはより単純な粒子構造に変わることがある。一部の粒子構造は、(例えば、流体噴射による)積極的な壁清掃の間に比較的分解を受けない。特に、粒状、スポンジ状、および繊維状構造は、機械的分解を受けにくい可能性がある。定義によれば、凝結粒子は、例えば便秘中の吸水による乾燥により、集塊体が凝結に変わることによって生じ得るため、結腸壁清掃中に分解されにくい。ゲルおよび膜様粒子は、例えば流体および/もしくは流体ガスの噴射、または機械的粉砕の衝撃によって、より小さいゲルまたは膜粒子への機械的分解を比較的受けやすい。細かい粒子は、結腸壁清掃のためにさらなる分解が不要であるほど十分に小さい粒子を含む。
【0052】
(結腸壁清掃の方法)
表2を参照すると、本発明の幾つかの例示的な実施形態による、結腸鏡検査手順中および/または結腸鏡検査手順前に結腸壁から粒子を除去するために使用される一般的な前処置なしおよび/または低前処置法とともに、粒子構成の異なるサイズ構造の組合せが挙げられる。
【0054】
(粒子タイプおよび結腸壁清掃の前処置なし法)
表2に挙げた方法のうち、「減少」、「逸らし」、「特定」、および「排出」はすべて、「前処置不要の」(前処置なし)方法である。特に、本発明の幾つかの実施形態において、これらは、潜在的に患者の結腸の事前の前処置なしで、結腸鏡検査手順中に壁清掃動作として行われる。
【0055】
次に、結腸壁清掃中の糞便粒子の変化を示す
図2を参照する。糞便粒子の変化の厳密な分類法の断定は、
図2の分割により意図されるものではない。むしろ、診断観察のために結腸壁を清掃する過程において異なる清掃方法および修正方法がいかに糞便物質と相互作用するかを示すために、様々なタイプの粒子およびその特性について説明する。
【0056】
図2において、元の粒子から分解物に至る破線矢印により、粒子の変化が示される。機械的分解を比較的受けにくい粒子からの経路は、点線矢印で示され得る。サブブロックを含むブロック(「粗い粒子」および「中程度の粒子」)へのフローは、ブロック輪郭の外側に突出する半円により印付けられ、ブロック輪郭の内側に突出する半円は、サブブロックへの作業フローの継続点を示す。直接サブブロックに至る矢印は、そのようなサブブロックのみを示す。接続されない交差は、半円の迂回路により示される。
【0057】
ブロック201で、粗い集塊粒子が表される。粗い集塊粒子は、大きい糞便塊(ブリストルスケールの番号3または4などの「ソーセージ状」または「蛇状」)から、より小さい「ふにゃふにゃの」小片(ブリストルスケール6の粒子など)、構成が複合状態のままである糞便物質の分解片までにわたることがあり、結腸洗浄デバイスの排出ルーメンに入ってこれを通過するには大きすぎる。集塊粒子は複数のサブ粒子から構成され、集塊はこのサブ粒子に容易に分離される。一般に、粒子が、粗いまたは中程度の別のタイプの食物粒子が細かい糞便粒子で覆われた、または細かい糞便粒子が混ざった(impregnated with)「集塊」である場合、この説明の目的で、この粒子を粗い、または中程度の粒子のタイプとして特定することが好都合である。
【0058】
本発明の幾つかの実施形態において、例えば、結腸洗浄システムの動作により、別のタイプの粗い、中程度の、または細かい粒子に分解することによって、粗い集塊粒子201を減少させることがある。逆に、より大きい(複合または同じタイプの)粒子からの積極的または偶発的な分解後に、結腸洗浄システムがその他の粒子に遭遇することがあり、および/またはその本来の形で遭遇することがある。中程度の集塊粒子202は、例えば、洗浄システムの噴射の圧力により、または単に洗浄システムにより供給される潅注流体中における部分的な溶解により、分解されることもある。中程度の集塊粒子202は、排出ルーメンに引き込まれてその内部を通過することがある。排出ルーメン内において、集塊粒子は、例えば積極的な粉砕機構により、および/または粒子がその中で輸送される周囲流体に固有の剪断力により、さらに分解され得る。あるいは、粒子はそのままで結腸外へ輸送され、または輸送中に破砕されることなく変形する。
【0059】
粗い凝結粒子203は、例えば、ブリストルスケールのタイプ1の便の「ナッツ状の硬質の塊」の堅さに対応する。定義によれば、硬すぎて結腸洗浄システムによりさらに分解することができないため、排出には大きすぎる終点の粒子である。本発明の幾つかの実施形態において、このような粒子を別の位置へ逸らす(例えば、以下で説明するように、流体噴射により横方向、前方、または後方へ「蹴る」)ことにより、粒子は視界から除去される。任意選択により、粗い凝結粒子は診断に無関係であり、結腸壁の視界を大きく遮らないように十分に小さいものとして特定することができる。中程度の凝結粒子205は排出され得るが、その堅さにより、排出ルーメンを閉塞させる特定のリスクをも導入する。排出ルーメン内の閉塞を生じさせ得る粒子の管理について、さらに以下で説明する。
【0060】
粗い粒状粒子207は、一般的に、限定されないが、大きい種または種部(豆類、弾けていないポップコーンの芯、生の米粒、または摂取した異物を含み得る摂取物質の別の硬質片など)に対応する。消化により粒子を軟化させて、噴射、剪断、および/または粉砕によりサイズが小さくなり得るようにしてもよいが、一般的に粒状粒の構造完全性は強固であり、結腸洗浄システムの繊細な動作環境に適した力を加えることによって分解することができない。本発明の幾つかの実施形態において、粒状粒子は、粗い凝結と同様に、それに遭遇したときに逸らす、かつ/または(無関係であるとして)特定することによって処理される。中程度のサイズの粒状粒子209は、排出するには十分に小さいが、比較的硬質で破砕および/または変形を受けにくいため、閉塞を生じさせる特定の危険を伴う。粗い凝結について説明したように、結腸洗浄システムの積極的な感知および/またはパージ機構により、閉塞の危険を管理することが潜在的利点である。
【0061】
(例えば、ナスのような)スポンジ状211、213および(豆の鞘または肉の軟骨部分の繊維などの「絡まった糸」)繊維状215、217の粒子は、同様に、結腸洗浄システムによるさらなる分解を受けにくい粒子構造の例である。中程度のこのような粒子構造は、比較的軟質であるため、粒状または凝結粒子よりも容易に排出ルーメンを通って引き出すことができる。しかしながら、粗い軟質粒子は、より硬質の粗い粒子よりも、吸引により変形して、排出ルーメンの取入開口に引き込まれて引っ掛かりやすいことがある。そのような端部の詰まりは、以下で説明するように、ルーメン内の詰まりよりも、排出ルーメンの洗浄および/または保護についてやや異なる状況を示す。
【0062】
一部の粗い膜様粒子219は、排出ルーメン内の水噴射、機械的粉砕、および/または流体剪断力による撹拌などの機械的動作によって、より小さい破片に分解(減少)可能であり得る。他の粗い膜様粒子、特に果物のとげ、または食物の包装材料片などの摂取した異物を含む粗い膜様粒子をさらに分解することはより困難である。粗い膜様粒子が排出ルーメンの取入開口に到達した場合、その形状は取入口の形状に一致するように容易に変化するので、閉塞の原因となり得る。中程度の膜様粒子221は、流れに対して非常に様々な横断面を示すことがあるため、排出チューブにおける、または排出チューブ内における閉塞の発生に対する寄与は、同様に可変であり得る。
【0063】
粗いまたは中程度のゲル粒子223、225は、分泌粘液、および/または水和可溶性または部分可溶性の食物繊維などのコロイド状物質を含む。(任意のサイズの)そのような物質の蓄積は、結腸洗浄システムにより、その外側または内側で容易に破砕される。排出ルーメンの閉塞の危険は主に、排出ルーメンを通過するときに吸い込まれる物質の粘性が原因である。粘膜物質は、特に、診断観察を行うために取り除く必要のない十分な透明性を有し、結腸壁の内側に沿って現れ得る。
【0064】
細かい粒子227は、細菌粒子、および/または消化の過程で折れた元の構造の食物の小さい破片を含み得る。糞便排泄物粒子排出の機構の観点から、任意の構造の細かい粒子はおおよそ同等である。本明細書で用いられる定義により、そのようなすべての粒子は、排出により結腸から除去されやすい。場合によって、細かい粒子は、互いにおよび/またはより大きい粒子(図示せず)に再び凝集する。
【0065】
(粒子を減少させる)
図3を参照すると、本発明の幾つかの例示的な実施形態による、結腸壁洗浄システムによる糞便粒子の減少について説明するフローチャートが示される。
【0066】
ブロック301で、幾つかの実施形態において、糞便粒子が、結腸洗浄システムの影響の間接範囲内に入る。影響の間接範囲とは、(粒子に到達する)潅注システムによる結腸への流体の導入、並びに/または、糞便塊の部分が結腸壁からおよび/もしくは互いに分離するように結腸壁を動かし得る結腸のガス注入などの非直接的動作(または直接的動作の副作用)により、糞便物質が影響される範囲と考えられる。
【0067】
ブロック303で、幾つかの実施形態において、糞便粒子、一般的に集塊粒子は、結腸容積の状態を変化させることによる糞便塊の破壊により、および/または少なくとも糞便粒子に到達する潅注流体のプール内での部分的な溶解により、サイズが減少する。
【0068】
ブロック305で、幾つかの実施形態において、糞便粒子は結腸洗浄システムの直接範囲に入る。本発明の幾つかの実施形態において、結腸洗浄システムは、流体および/またはガスの加圧流を腸に導入する潅注噴射を発生させて、遠くから糞便塊を標的とする浸食を可能にすることができる。加えてまたは代替として、噴射は、腸の領域の周りにおける、機械的にエネルギーの強い流体粒子および/またはガスポケットの全体的な(標的のないこともある)噴霧を含む。潜在的に、結腸内に蓄積された流体は、潅注および/または排出流により撹拌される。
【0069】
ブロック307で、幾つかの実施形態において、結腸洗浄システムの直接範囲内の糞便粒子のサイズが小さくなる。潅注噴射は糞便物質の塊に衝突して、この塊をより小さい部分に砕く。幾つかの実施形態において、流体噴射に加えられるガスは、乱流を導入することにより粒子を破砕するプロセスを助けることができる。この乱流は、噴射のエネルギーの向きを連続して変えて、構造的に弱い点にぶつかって塊を破砕するのを助ける可能性が高い。ガス自体を噴射の可変力により交互に圧縮および膨張させて、圧縮下でガスが粒子の裂け目に入り、次に内部から膨張することにより、粒子を部分的に破砕するように動作可能にする。循環する流体が糞便粒子に打ち寄せて、溶解を促進することがある。集塊粒子の破壊に加えて、噴射、循環、および他の積極的な機械的エネルギーは、膜様粒子、例えば、裂けやすいものを破砕するように動作し得る。
【0070】
ブロック309で、幾つかの実施形態において、糞便粒子は結腸洗浄システムおよび/または結腸鏡自体に直接接触する。幾つかの実施形態において、排出ルーメンからの吸引圧力によって接触を促す。幾つかの実施形態において、結腸洗浄システムは、格子または他の保護構造を含む。幾つかの実施形態において、ルーメン自体のへりに直接ぶつかる。幾つかの実施形態において、貫通ツールおよび/または粉砕ツール(例えば、結腸鏡のワーキングチャネルから押し出されたワイヤばねもしくはブラシ)を糞便塊内に案内可能であり、および/または糞便粒子がその範囲に引き込まれるように(例えば、排出ルーメンの近くに)配置される。幾つかの実施形態において、結腸鏡または洗浄システムチューブの側面が糞便物質に押し付けられ、かつ/または通過することによって糞便物質の「スープ」を撹拌する。
【0071】
ブロック311で、幾つかの実施形態において、糞便粒子は、洗浄システムの構造に直接接触することにより破砕されることがある。例えば、排出ルーメンに向かって吸引される粒子は、格子などのルーメン保護構造にぶつかるときに破砕されることがある。加えてまたは代替として、排出ルーメン自体につながる開口に到達した粒子は、そこで受ける差圧によって引き裂かれることがある。幾つかの実施形態において、(ワイヤまたはばね突起など)粒子減少ツールが、糞便塊にぶつかって、この糞便塊を破砕できるように配置される。幾つかの実施形態において、貫通ツールは、積極的に稼働されて、例えば振動し、回転し、往復運動し、動き回り(thrash)、または他の方法で動いて、糞便粒子がそれにぶつかったときに破砕されやすいようにする。幾つかの実施形態において、結腸洗浄システムおよび/または結腸鏡の側面は、糞便物質の破砕を助けるために使用可能である。例えば、結腸鏡および/または洗浄システムプローブの遠位端を糞便塊に通して、遠位/近位運動により、および/または回転運動により、糞便塊を破砕することができる。そのような破砕を、非円形横断面を有するプローブを設けることにより、および/またはプローブの長さに沿って設けられた糞便破砕凹凸により、助けることができる。潜在的に、その上をプローブが通る糞便物質は、プローブの通過自体の剪断力により破砕され、および/またはこすりつけられる。
【0072】
ブロック313で、幾つかの実施形態において、糞便粒子は洗浄装置自体に入る。幾つかの実施形態において、粒子をさらに破砕するための受動および/または能動構造が装置内にある。幾つかの実施形態において、粒子は、任意選択により自動制御下で、洗浄デバイスの排出ルーメンの圧力変化を受けやすい。幾つかの実施形態において、例えば、ガス/流体混合物を排出ルーメンに意図的に導入して、例えば乱流を強めるときに、排出ルーメンの内容物が変化する。
【0073】
ブロック315で、幾つかの実施形態において、洗浄装置自体の内部で糞便粒子のサイズを小さくする。本発明の幾つかの実施形態において、粒子の減少は、付勢された粉砕、粒状化、または他の構造、例えば回転ばね、往復ばね、もしくは振動ばね、オーガ、チューブ、または他の部材との破壊相互作用を含む。幾つかの実施形態において、粒子の減少は、排出ルーメン内の凹凸との破壊衝突、例えば、ルーメン壁の隆起、突出および/または収縮、および/または例えばワイヤまたは粗面開口などのルーメン内の別の構造、との衝突を含む。幾つかの実施形態において、粒子の減少は、そのような凹凸により生じる排出ルーメン内の乱流との破壊衝突を含む。
【0074】
本発明の幾つかの実施形態において、糞便粒子の減少は、排出ルーメンの流体流内の剪断力によって生じる。幾つかの実施形態において、排出圧力は変動し、この排出圧力の変動により、糞便粒子に作用する力が生じて、糞便粒子を破砕することができる。任意選択により、排出圧力の変動は、発現中および/または既存の閉塞状態に対応し得る、(例えば、圧力など)排出ルーメンの状態の検知された変化に応答して発生する。幾つかの実施形態において、加えられる圧力および/または圧力変化は、糞便粒子の構造を乱すように作用し得る空洞を作るのに十分なものである。幾つかの実施形態において、流体/空気混合比が変化することにより、例えば、上記の流体噴射に関して説明したものと同様の乱流および/または圧縮破壊効果を生み出すことができる。粒子の減少を生じさせ得るこれらの動作が、以下に説明するように、粒子を排出する動作と少なくとも部分的に重なり得ることに留意されたい。
【0075】
(粒子を逸らす)
図4を参照すると、本発明の幾つかの例示的な実施形態による、診断観察用に結腸壁を清掃するために糞便粒子を逸らすことについて概略的に説明するフローチャートが示される。
【0076】
フローチャートが開始し、ブロック401で、幾つかの実施形態において、結腸壁の領域は、ポリープなどの結腸壁の異常の存在についての明確な診断所見の作成を妨げ得る十分なサイズの糞便粒子によって、観察が少なくとも部分的に不明瞭になる。あるいは、粒子は、別の理由で、例えば、標的領域全体の明瞭な視界を妨げるものとして、その位置から除去される標的となる。潜在的に、糞便粒子は大きすぎて排出できず、かつ/または強力に構成されすぎて排出のために破砕できない。
【0077】
ブロック403では、幾つかの実施形態において、粒子に到達可能な流体噴射、流体/ガス噴射、または別の機械的外乱が実施され、任意選択により粒子に向けられる。加えてまたは代替として、(例えば、粒子サイズの減少に関して前述した手段の1つにより)実施される機械的エネルギーは、標的粒子の位置を含む全体的な領域に影響を与える。
【0078】
アクティビティの時点での状態に応じて、この時点における粒子に対する成果は可変である。ブロック405で、幾つかの実施形態において、粒子は、衝突力、例えば、噴霧噴射の力により結腸内に向かって遠位に「前方に蹴られる」。粒子の遠位への運動は、現在の視界の別の場所へ、同じ結腸部分内の遠位位置へ、および/または別の結腸部分に向かって遠位に行われ得る。コールアウトブロック405Aは、この場合の考えられる結果を説明する。結腸鏡を結腸から引き抜く間にブロック403が行われる場合、糞便粒子の遠位への変位は、粒子が結腸鏡検査手順の残りを妨げないようにするのに十分なものであり得る。結腸鏡を結腸に向かって遠位に前進させる段階の間にブロック403が行われると、さらなる前進中に再び粒子に遭遇することがあり得、粒子は再び動き回りやすくなり得る。前に遮られていた壁の領域を露出させた状態で、フローチャートはブロック411に進む。
【0079】
加えてまたは代替として、ブロック407で、幾つかの実施形態において、粒子は視界に残っているが、側部に打ち当てられ、そこで以前は見えていた位置を覆う。コールアウトブロック407Aは、この場合の考えられる結果を説明する。新たに遮られた粒子の位置がすでに明瞭に観察されている場合、結腸壁からこの粒子を洗浄するために動作を継続する必要は特にない。前に観察されていない場合、観察されていない領域を観察のために選択するときに、粒子を再標的化してもよい。
【0080】
ブロック409で、幾つかの実施形態において、粒子は観察領域の後方(近位)で終わる。これは、例えば、流体噴射からの潅注流体の排水が結腸壁の遠位部からはね返って、結腸の近位に位置する領域内に流れ、標的粒子をその領域に沿って運ぶ場合に生じ得る。コールアウトブロック409Aは、この場合の考えられる結果を説明する。結腸鏡の引き抜き中に再び粒子に遭遇することがあり、その場合、任意選択により、逸らす手順が再び行われる。しかしながら、この段階で、粒子は少なくとも一時的に問題なくなり、フローチャートはブロック411に進む。
【0081】
粒子が動いていない場合、フローチャートは403に戻って、選択された壁領域のために再度糞便の覆いを動かすように試みる。
【0082】
ブロック411で、清掃された壁の部分を観察して、例えば、ポリープの有無に関する診断判定を行い、フローチャートが終了する。
【0083】
本発明の幾つかの実施形態において、任意選択により、幾つかの大きい粒子を、二次排出ルーメンにより結腸から取り出す。結腸洗浄システムのルーメンの直径に関する1つの考えられる限定は、それを取り付ける結腸鏡プローブの誘導性についての影響である。しかしながら、比較的誘導性が低いが直径の大きい二次排出ルーメンは、直腸などの結腸内の比較的近位の位置に到達する大きい粒子排泄物をより迅速かつ/または確実に除去することができる場合がある。したがって、幾つかの実施形態において、任意選択により、直径のより大きい排出ルーメンを近位結腸部分の比較的短い距離まで挿入して、近位部分に到達する粗い物質が容易に流れ出るようにする。本発明の幾つかの実施形態において、ルーメンの直径は、例えば、5〜8mm、6〜10mm、8〜12mm、または同じ、中間の、より大きい、および/またはより小さい境界を有する別の直径範囲である。
【0084】
(粒子を排出する)
図5を参照すると、本発明の幾つかの例示的な実施形態による、排出により体腔(例えば、結腸)から糞便粒子を除去する動作を要約したフローチャートが示される。フローチャートは、特定の糞便粒子の概念的な視点から動作を説明するが、排出は検査中の連続したプロセスを含み、その説明される様々なブロックは繰り返される中間地点であり得ることを理解されたい。
【0085】
ブロック501で、幾つかの実施形態において、粒子が排出ルーメンの遠位開口まで引っ張られる。例示のために、以下の説明において、粒子を「中程度」のサイズの粒子、すなわち、排出ルーメンを通過できるが、ルーメンの閉塞を生じさせるおそれのある粒子として扱う。
【0086】
ブロック503で、幾つかの実施形態において、排出ルーメンの遠位開口の閉塞が発現しているか否か、および/または既に発生したか否かを判定する。閉塞の判定は、遠位開口の、または遠位開口近くの特定の点における圧力の変化、および/もしくは例えば、流量もしくはその変化、光学運動の検出またはその変化、センサに到達する光の(例えば、粒子により物理的に遮られることによる)低下の検出など、別の検知されたパラメータ、ならびに/または既存のおよび/もしくは発現中の閉塞状態を検出可能なその他の任意の方法を含み得る。
【0087】
このフローチャートにより説明される他の判定に関して、この判定は、遠位開口またはその他の特定の場所に粒子があってもなくても、繰り返され得ることを理解されたい。
【0088】
ブロック505で、幾つかの実施形態において、取入開口の閉塞に関連する状態を補正する動作が行われる。幾つかの実施形態において、動作は、例えば、排出圧力の低下、中止、および/または反転を含む。加えてまたは代替として、動作は、取入開口を清掃するように配置された噴射、取入開口を機械的に突き通すためのデバイス、または取入開口から物質を除去する別の方法などの、閉塞を破壊し、かつ/または取り除く別の手段の実施を含む。
【0089】
ブロック507で、幾つかの実施形態において、排出ルーメンを通る粒子の排出が継続される。
【0090】
ブロック509で、幾つかの実施形態において、粒子が排出ルーメンの近位側から出ると、フローチャートが終了する。
【0091】
そうでない場合、ブロック511で、幾つかの実施形態において、排出ルーメンのルーメン内閉塞が発現中であるか、かつ/または発生したか否かを判定する。幾つかの実施形態において、この判定は、遠位開口の閉塞の判定と一緒にまとめられる。幾つかの実施形態において、排出ルーメン内の状態についての検知手段を設ければ、開口閉塞とルーメン内閉塞との区別を可能にするのに十分である。幾つかの実施形態において、排出ルーメンの2つ以上の異なる部分が別個にモニタリングされて、より近位の閉塞をより遠位の閉塞から区別できるようにする。
【0092】
幾つかの実施形態において、閉塞状態が存在しないと判定されると、フローチャートはブロック507に戻る。そうでない場合には、閉塞および/または発現中の閉塞が存在することが判定され、ブロック513で、幾つかの実施形態において、状態を修正するための動作が行われる。幾つかの実施形態において、行われる動作は、例えば、(ブロック505と同様に)、排出圧力の低下、中止、および/または反転を含む。任意選択により、排出圧力の変化が生じる期間、強度および/またはサイクル数が、閉塞状態が存在すると判定された位置に基づいて判定される(例えば、開口閉塞状態の応答は、閉塞の「吹き飛ばし」に対する単一の強力な反転を含むことがあり、ルーメン内閉塞状態の応答は、閉塞を取り除き、かつ完全な排出が再開した時点で閉塞が再発する可能性を低下させようとして、閉塞を「たたく」負圧および正圧の幾つかの急速なサイクルを含むことがある)。フローチャートはブロック507に戻る。
【0093】
図6A〜
図6Cを参照すると、排出チューブ600の横断面
図600A、600Bおよび部分透過斜視図が示され、チューブのルーメンが、排泄物および流体がそれを通して排出される複数のローブ609、610を有する。
【0094】
幾つかの実施形態において、ルーメン内閉塞状態は、第1のローブ609と1つまたは複数の補助ローブ610とを含むローブ付排出ルーメン幾何形状により限定される。幾つかの実施形態において、ローブは異なるサイズであり、より大きい一次ローブ609と1つまたは複数のより小さい補助ローブ610となるように定義される。本発明の幾つかの実施形態において、補助ローブ610は、スロット状の連結領域608に沿って第1のローブ609と流体連通する。幾つかの実施形態において、補助ローブへの流体のアクセスは、スロット608を通してのみ行われる(すなわち、第2のローブには、ローブ609の外部開口601に対応する外部に露出した取入開口がない)。第2のローブへのスロット状の入口は、その伸長性のため、完全に塞ぐが比較的難しく、第1のローブ609から入口内への、かつ入口を通る自由な流体の流入は、第2のローブ610自体が詰まっていない限り維持され得る。さらに、幾つかの実施形態において、第2のローブに入ることのできる粒子サイズは、ローブのルーメン寸法に対する少なくとも1つの寸法において特に小さいサイズであり、さらに詰まりの危険を低下させるように、スロットが構成される。
【0095】
幾つかの実施形態において、弁部材、例えば、可撓性フラップ630が、一次ルーメンローブと補助ルーメンローブとの間に通じるスロットにわたって、かつスロットに沿って延びる。幾つかの実施形態において、弁フラップ630は、ルーメンの遠位端に到達する前に、例えば、1cm、2cm、5cm、10cm、または別のより長い、より短い、または中間の距離で終端する。一次ローブに作用する圧力が補助ローブに作用する圧力よりも大きい場合、フラップ630は(自由端が実質的に一次ルーメンローブ内にある状態で位置するときに)閉じて、一次ローブ内への流れを強制しやすい。圧力が一次ローブ内とおおよそ等しいか、それよりも小さい場合、フラップ630は開きやすい。これにより、近位に位置する圧力源から力を遠位方向に発生させて、一次ローブの既存のおよび/または発現中の閉塞に対して、弁フラップ630の遠位末端まで圧力および/または流れを集中させることができる。一方、吸引の場合には、弁の開放端により、一次ローブおよび補助ローブの圧力をいくらか均等化する入口を提供する。したがって、補助ローブは、パージ圧力よりも効果的な吸引圧力の逸らしをもたらすことができる。これは、ブロックを除去するために使用可能な遠位に作用する力が、ブロックに元々影響を与えていた吸引力よりも高いままであることを保証するのに役立ち得る。
【0096】
図6Cは、排出ルーメン610の一部が排泄物粒子の詰め物620によってほぼ閉塞された例示的な状態を示す。図示された補助チャネル610は、(チャネル軸を横切る面600Cにおける)最も遠位の横断面610Aから、横断面600Bにおけるより近位の横断面610Bまで延びる。本発明の幾つかの実施形態では、チャネルはその長さに沿って横断面内で可変である。例えば、図示したように、チャネル609は、遠位開口601では排出チューブ600の本体の中心にあるが、排出チャネルに沿ってずれることにより、補助チャネル610が排出チューブ壁内でより大きい直径を呈することができる。
【0097】
幾つかの実施形態において、図示したように、(スロット608から離れた)補助チャネル610の横断面は円形である。幾つかの実施形態において、補助チャネル610は溝を含み、長さの全部または一部に沿って、スロット608を越える広がりはない。幾つかの実施形態において、補助チャネル610はスロット608を越えて単調に狭くなる。これによって、入ってくる粒子に、それがひっかかり得るアンカーネック(anchoring neck)を与えないことにより、詰まりを低減させる。幾つかの実施形態において、補助チャネルは、比較的大きく、より少ない、例えば、1、2、3、4またはそれ以上の別個のチャネルであり、各々が、最大ローブの5%、10%、15%、25%、または別のより大きい、より小さい、または中間の相対面積の横断面積を有する。そのようなより大きいチャネルにより、閉塞を通り越して細かい粒子を連続して排出することが可能になり得る。幾つかの実施形態において、より多数のより小さいチャネル、例えば、10、20、50、100、または別のより多くの、より大きい、または中間の任意の数の溝が、主チャネルの周囲に沿って設けられる。そのようなより小さいチャネルは、主チャネルが閉塞されても圧力を解放するための十分な横断面をもたらす。一方で、このようなより小さいチャネルは、数が多く、および/または粒子のアクセスが制限されるので、完全には閉塞されない。
【0098】
補助ローブ610の潜在的利点は、第1のローブ609の圧力解放としてのものである。例示的な状況では、第1のローブ609に沿って通る大きい粒子620が、ルーメンの部分的なねじれまたは収縮などの何らかの点で詰まる。例示的な状況では、これにより、排出ルーメンの主ローブを通る流体および他の粒子の通過が大きく阻止される。潜在的に、詰まった部分の後ろに他の粒子が蓄積して、ルーメンをさらに塞ぐ。その結果、差圧が生じて、閉塞粒子620の運動を停止させるあらゆる凹凸内に閉塞粒子620をさらに引き込む傾向があり、詰まりがひどくなり改善されにくくなり得る。しかしながら、補助ローブ610が、幾つかの実施形態において、圧力解放および流れの代替経路617、615として作用することにより、連続する吸引によって閉塞粒子がますます詰まる傾向を軽減するのに役立つ。それにもかかわらず、(例えば、閉塞の位置でそれを通る流れが生じ得る横断面の減少により)圧力状態がいくらか変化し得る。本発明の幾つかの実施形態では、この圧力状態の変化が検知され、積極的なパージ機構(排出流の反転など)が、閉塞を取り除くのに使用される。この状況における補助ルーメンの潜在的利点は、発現中の閉塞が詰め込まれた閉塞にならないようにして、補正動作が成功する可能性を高めることができることである。補助チャネルの別の潜在的利点は、普通なら排出ルーメンの壁により保護されるはずの、主な閉塞の側部に沿った流れによる進行中の浸食を可能にすることである。
【0099】
排出ルーメンが端部からの吸引を加えることにより動作する幾つかの実施形態において、排出ルーメンは、少なくとも排出圧力と外部圧力との差に、潰れることなく耐えるように設計されることに留意されたい。耐えられる差は、例えば、0.1〜0.2Atm、0.15〜0.4Atm、0.2〜0.5Atm、または同じ、中間の、より大きい、および/またはより小さい範囲限界を有する別の範囲の圧力である。
【0100】
(粒子を特定する)
本発明の幾つかの実施形態において、糞便排泄物粒子を処理する別の「前処置なし」法は、「情報に基づく無視」として特徴付けられる。例えば、粒子のサイズ、形状、または色により、潅注動作中に動いたことに気付いたという事実により、または熟練した操作者にとって明らかな別のサインにより、糞便排泄物粒子として明白に特定される粒子は、壁から除去される必要がないこともあり得る。これは、一般に、粒子がポリープまたは他の対象となる異常を隠すほど大きくないこと、かつ/または前に異常がないと判定された位置に粒子が見つかったことが想定される。
【0101】
残留糞便物質を処理するための方法としての、情報に基づく無視の実際の有用性は、一部には、検査中に結腸鏡操作者に十分な壁清掃能力を与えて、必要に応じて他の壁清掃法の1つまたは複数によって不確実性を解決する確信を持てるようにすることから得られることに留意されたい。この確信がなければ、相当の注意の問題として、「非常にきれいな」結腸壁から初めて、診断手順中に重要でない状況が生じる機会を減らすことが必要であると操作者が思う可能性が高い。
【0102】
別の観点から、幾つかの実施形態において、結腸壁洗浄デバイスを、結腸鏡操作者に診断される臓器と相互作用する追加の手段を提供するものと見ることができる。結腸内で物質を動かす(限定されないが、排出を含み得る)ための選択肢を増やすことにより、洗浄デバイスは、結腸鏡プローブが遭遇するものの評価を操作者がより確信して行うことのできる追加の自由度を生み出す。
【0103】
(結腸壁清掃の低前処置法)
本発明の幾つかの実施形態において、(サイズ別におよび構造別に)各タイプの粒子を処理するための一般的な前処置なしまたは低前処置法の組合せを適用して、患者が行う結腸鏡検査前の決まった手順の煩わしさおよび/または不便さを少なくすることと、結腸鏡検査手順自体の成功、速度、および/または便利さとのバランスを実現する。参考基準として、完全前処置を行う結腸鏡検査前洗浄は、一般的に、患者の食事を集中的に低残渣食(低繊維および/または透明な液体)に変えること、および/または手順よりも十分に前もって、結腸から固形物質を空にするのに十分な強度で緩下剤を投与することなどの要素を含む。完全前処置法の予想される結果は、結腸鏡検査手順の開始前に結腸から固形糞便物質をほぼ完全に除去することである。
【0104】
しかしながら、表2で用いられるように、「食事」法は、本来、固形排泄物を結腸から完全に除去することを目的とするものではない。代わりに、「食事」法は、複数の異なる、対象となる食物の変更の少なくとも1つを含む。そのような方法は、患者の食物摂取に対する低前処置調節と考えることができる。一般に、低前処置食事法は、患者の食事から特定の粒子構造の食物源を除去すること、および/または特定の粒子構造を有する食物を、摂取前および/または消化中により小さい粒子のサイズに確実に減少させることの一方または両方を含む。
【0105】
同様に、表2の「緩下剤」法は、結腸鏡検査中の壁洗浄動作の性能を向上させることを主な目的とした、緩下剤投与を含む。これは、すべての、またはほぼすべての固形排泄物をそれ自体結腸から事前に除去することを目的とする、緩下剤の完全前処置投与とは対照的である。幾つかの実施形態において、低前処置状況における緩下剤の投与は、結腸から固形排泄物を完全に洗浄することではなく、粒子を柔らかくし、サイズを小さくし、かつ/または、例えば、完全な腸の状態から粒子の量を部分的にのみ減らすことを目的とする。
【0106】
(食事調節)
表3を参照すると、本発明の幾つかの例示的な実施形態による、異なる食物タイプの低前処置食事調節が挙げられる。
【0108】
表3は、本発明の幾つかの実施形態における、細い排出ルーメンを通る結腸からの積極的な除去を受けにくい粒子を生じさせ得る食物の幾つかのタイプおよび例を、そのような粒子を摂取する可能性を減らすように食物を処理する方法と共に挙げる。挙げられた食物を単に避けてもよいが、記載した食物の幾つかは、1つまたは複数の基本的な食物前処置技法、すなわち、多くの場合、通常の調理で特定の食物タイプに一般的に施される技法により無害にすることができる。その結果、通常に近い食事である検査前の食事が利用できる。
【0109】
表3の一覧にはないが、検査前の食事として利用できるものは、炎症性腸疾患の患者に推奨されるもののような、いわゆる低残渣食である。そのような食物は、例えば、精製された、または天然の純粋な穀物でんぷん(白米、白い小麦粉)、常に皮または種なしで食べられる軟質の果物および野菜(バナナ、アボカド)、乳製品、肉(赤身肉、かみやすい肉、柔らかい肉であれば)、卵、および多くのタイプの調味料、デザート、および飲物を含む。
【0110】
一部の粒子、特に「ゲル」粒子として本明細書で示されるコロイド状糞便塊は、消化プロセス中に、例えば、食物繊維のコロイド状懸濁液によって、より小さい摂取粒子から再構成され得る。コロイド状の糞便塊は結腸洗浄システムにより与えられる力によって破砕されやすいことがあるが、結腸鏡検査前の期間に食事中の食物繊維を減らすことにより、食物繊維を含む総糞便量を減らすことが、本発明の幾つかの実施形態の潜在的利点である。低残渣食に関連して上に挙げた項目の幾つか、特に果物または野菜ではないものは、食物繊維が少ない。
【0111】
それにもかかわらず、低繊維食は、便の硬化につながり、糞便量の減少による利得を相殺し、および場合によりなくす。繊維状食物と低残渣食との適切なバランスを有する検査前の食事をとって、患者が検査台に着くときに、軟質の糞便物質(洗浄が容易)と糞便量とのバランスを有して、適度な(すなわち、一般的に結腸洗浄システムを使用して実現可能な)糞便物質排出率が、検査手順に過度の遅れを加えることなく、結腸壁を観察のために清掃するのに十分なものであるようにすることが、本発明の幾つかの実施形態の潜在的利点である。本発明の幾つかの実施形態において、任意選択により、患者の消化管の初期状態に応じて、食物繊維の消費の増加をさらに促す。
【0112】
小さい粒子サイズをさらに確保するために、低前処置食についての指示は、完全にすり潰されて、または混ぜられている(例えばジャガイモのピューレ、果物のシェイク、またはトマトソースなど)とはいえないものは何も食べないことを含んでもよい。幾つかの実施形態において、検査の前日または2日前に特に噛むことに注意するという簡単なことでも、手順についての利点をもたらすことができる。
【0113】
完全前処置の結腸鏡検査のための前処置で使用する瀉下法とは対照的に、低前処置の食事法は、糞便物質の堅さおよび/またはその量の管理を重視する。過剰な糞便量を単に避けて、検査中の遅れを避けることが好ましい。粒子サイズの管理は、場合により量の減少よりも高い優先度であり、洗浄システムの閉塞が検査の完了を困難にする危険を減らすことが好ましい。結腸から排出するには固く粗すぎる粒子でも、結腸鏡検査の時間に使用可能な方法(例えば、粒子の逸らし)により処理して、幾つかの実施形態において任意選択である食事により全体的な粒子管理を行うことができる。本発明の幾つかの実施形態において、排出できない粒子の発生を、食事によって、内視鏡による撮像作業を成功させるために確実に管理可能な数まで減らす。結腸の前進10cm当たりにおける粗く・減少できない粒子の管理可能な平均数は、例えば、0.5〜1、1〜2、2〜4、4〜10、8〜20、または同じ、中間の、より大きい、またはより小さい境界を有する別の範囲である。幾つかの実施形態において、任意選択により、すべての糞便量を除去することなく、糞便量を減少させることなく、および/または糞便量の増加が予想される状態で、結腸鏡検査中に結腸内にある粗い粒子の数を食事によりゼロまで減らす。幾つかの実施形態では、結腸長さの10cm当たりの結腸内に残る平均糞便量は、例えば、1〜5cm
3、3〜10cm
3、5〜15cm
3、または同じ、中間の、より大きい、またはより小さい境界を有する結腸長さ10cm当たりの糞便量の別の範囲である。
【0114】
(緩下剤)
本発明の幾つかの実施形態において、緩下剤の投与を用いて、観察のために結腸を前処置する。しかしながら、緩下剤の用量を、最初からきれいな結腸から始める検査に必要なものに合わせるのではなく、洗浄システムを備えた結腸鏡検査作業中の効果的な排出および/または壁洗浄に必要なものに合わせることが、潜在的利点である。
【0115】
例えば、本発明の幾つかの実施形態において、計画された手順の1日または2日前に、患者のブリストル便スコアを判定する。加えてまたは代替として、患者の毎日の排便率を判定し、および/または腸管を通る標的食物の通過率を判定する。幾つかの実施形態において、患者の消化管の現在の機能状態の評価に基づいて、任意選択により緩下剤を処方し、特定の便状態を検査自体の時間によって決めることができるようにしてもよい。例えば、ブリストルタイプ1または2の便を有する患者に対する緩下剤用量を計算して、検査時間に便状態スコアが確実に3または4より低くならないようにしてもよい。現在の便スコア状態と目標便スコア状態との適切な関係を選択してもよいことを理解されたい。あるいは、本発明の幾つかの実施形態において、5、6、またはさらには7の最小目標便スコアが選択される。本発明の幾つかの実施形態における完全結腸前処置法との差は、結腸を完全に洗浄するためではなく、結腸内容物を、結腸洗浄デバイスが結腸内にある排泄物の量および/または堅さを処理できる点まで持っていくために、投与される緩下剤用量を選択することである。
【0116】
(例示的な結腸壁清掃状況)
例えば結腸鏡検査中に診断観察のために結腸壁を清掃するための例示的な動作、前処置、および/または状態を説明する。
【0117】
(例示的な前処置なし壁清掃)
本発明の幾つかの実施形態において、患者は、検査を見越した結腸の事前の前処置なしで結腸鏡検査台に着く。これは、例えば、結腸鏡検査の緊急な必要(例えば、出血が見られる場合)によって、または単に(おそらく事前の問診により得られた情報により)患者の正常な腸の状態が結腸洗浄デバイスを用いて良好な結腸鏡検査結果を得るのに適しているという確信によって生じる。
【0118】
本発明の幾つかの実施形態において、患者は、例えば、直近の2〜4時間、3〜6時間、4〜8時間、6〜12時間、10〜20時間以内、または同じ、中間の、より大きい、および/またはより小さい境界を有する別の最近の期間の範囲内に食事をしている。このような期間の範囲は前処置手順を低減するために同様に適用可能であり、食事のいくらかの変更、緩下剤の投与、および/または他の前処置手順もしくは指示が行われ、または施される。
【0119】
前述した粒子タイプのいずれかが前処置されない結腸にあり得るというという理解の下で、本発明の幾つかの実施形態において、結腸壁洗浄は、結腸の良好な診断視界を得るのに必要な順序で、前述した前処置なし法の組合せを含む。任意選択により、前述した結腸壁洗浄法のいずれかを、結腸鏡検査の任意の部分の間で使用可能である。それにもかかわらず、洗浄戦略が最も効果的に用いられるプローブの挿入および引抜きの段階は、潜在的に異なる。
【0120】
本発明の幾つかの実施形態において、減少および排出の方法は、結腸鏡プローブを結腸の遠位端に向けて挿入する間に主に使用される。遭遇した糞便塊は、例えば、解離により処理されるまで遠位への進行を妨げることがある。加えてまたは代替として、例えば、排泄物排出チャネルを通して物質を排出できる速度には限度があり得るので、結腸鏡プローブの遠位への挿入に要する時間を積極的な排泄物排出時間としても使用することが潜在的利点である。一方、特に、診断観察および評価の主な段階が結腸鏡プローブの引抜き中である本発明の実施形態の場合、挿入中に腸壁を完全に洗浄することは任意選択である。
【0121】
本発明の幾つかの実施形態において、逸らしおよび/または特定の方法は、結腸からの結腸鏡の引抜き中に最も多く使用され、これは、一般的に、結腸壁観察が診断評価に最も焦点を置くときである。これが診断評価により大きい焦点を置く結腸鏡検査の段階であれば、それに対応して、通過するときに結腸壁の部分の明瞭な視界を得ることがより重要である。さらに、結腸内へ遠位に逸らされた粒子は、結腸鏡が引き抜かれている場合に観察に対するさらなる障害物となりにくいため、手順のこの段階中に逸らし法を最も積極的に使用することが、潜在的利点である。
【0122】
(部分的な糞便物質の解離およびモニタリング)
本発明の幾つかの実施形態において、結腸壁洗浄は、解離された破片を必要に応じて新しい位置へ逸らすことを伴う糞便塊の解離を含む。任意選択により、糞便物質の排出自体がこの糞便塊の破壊に対する補助機能を果たす。幾つかの実施形態において、例えば流体潅注(任意選択により、流体噴射を含む)による機械的破壊によって、糞便塊をより小さい破片に破砕し、この破片が観察対象の結腸壁の領域から離れる。それに続く、および/または同時に行われる潅注流体の排出により、結腸内の量および/または圧力のバランスを取る。任意選択により、流体に懸濁したより小さい排泄物粒子は、流体とともに排出される。より大きい粒子は、任意選択により、そのまま残され、結腸の別の部分へ「蹴られ」、および/または、例えば、その位置および/またはさらなる観察動作を妨げやすい程度に応じてさらに分解される。
【0123】
本発明の幾つかの実施形態において、結腸壁清掃を目的とする動作は、壁清掃自体以外のパラメータへの影響を通じてモニタリングされる。本発明の幾つかの実施形態において、結腸洗浄は、現在の排出流体内容物に基づいて、完了基準まで行われる。
【0124】
間接的な腸清掃の基準により、結腸洗浄中の観察の制限を克服するのを助けることができる。例えば、結腸鏡検査手順中の所与の時間には、腸内容物の比較的制限された視界しか使用できない。しかしながら、除去のためにアクセス可能な腸内容物は、この制限された視界の外側にあり得る。このことは、結腸鏡プローブの視界を積極的に不明瞭にするように流体が循環する潅注自体の間に、特に注目される。1つまたは複数の間接的な基準を使用して洗浄の継続の必要性を判定することにより、このような問題を軽減することができる。
【0125】
結腸壁の標的部分が糞便塊の破砕により比較的迅速に明確に除去されたときでも、さらに多くの残留糞便塊が結腸から除去されるまで潅注および/または排出を継続することに潜在的利点がある。流体に懸濁された粒子は特に、患者が動くと手順中に運動の自由度を受け、流体が結腸の異なる部分へ流れ出ることになる。そのため、糞便物質は、逸らしではなく除去によって制御され得ることが好ましい。
【0126】
それにもかかわらず、糞便内容物の排出にかかる時間が長すぎると、診断観察時間が短くなり、手順時間が長くなり、および/または手順の成功が少なくなり得る。また、粒子が結腸から排出されるのに十分に小さくなる時点まで糞便物質を解離するために必要な時間および/または労力は、収穫逓減を受けやすい。例えば、初期の解離は、大きい粒子が互いから切り離されることで、および/または小さい粒子が付着している糞便塊から解き放たれることで迅速に進み得る。しかし、初期に解離した破片が含み得る糞便粒子は、下位の破砕をより受けにくく、および/または単に効果的に標的にするには数が多すぎる。これが手順に影響する程度は、腸の初期状態および腸の内容物に応じて、それ自体可変となりやすい。
【0127】
本発明の幾つかの実施形態において、潅注および/または排出を継続するという判定は、現在および/または最近排出された潅注流体の排泄物内容物のモニタリングに基づく。任意選択により、色、濁度、光学密度、粒子数、粒子の相対量、質的な外観(例えば「透明」、「透明で塊がある」、「茶色」、「黄色」および/もしくは「混濁」)、ならびに/または排出された潅注流体の別の特性を使用して粒子内容物をモニタリングする。
【0128】
幾つかの実施形態において、排出された流体からの糞便内容物の除去および/または相対除去は、糞便除去が洗浄システムの現在の位置で減少値(diminishing value)の点に到達していることの標示を含む。
【0129】
任意選択により、排出された流体が透明であるか透明になりつつあること、色が変化しつつあることを、糞便内容物の減少の別の標示に基づいて判定したときに、潅注および/または排出を停止または減少させる。潅注および/または排出率の変化につながる糞便内容物の減少は、例えば、基準となる糞便内容物に対して50%、80%、90%、95%、および/または100%の減少を含む。基準となる糞便内容物は、例えば、1つまたは複数のモニタリングされたパラメータにより測定された、ピークの糞便内容物、および/または最近の平均糞便内容物である。
【0130】
任意選択により、液体(水、等張食塩水、または別の流体など)による潅注は、排出によって残っている液体を流し続ける間に減少する。減少は、例えば、80%、60%、40%、20%、または別のより大きい、より小さい、または中間の割合である。任意選択により、全体的なガス注入量を維持するためにガス(空気、CO
2、または別のガス)を供給することにより、排出された液体量のバランスを取る。
【0131】
加えてまたは代替として、本発明の幾つかの実施形態において、排出された流体中の粒子内容物の減少の観察に基づいて、結腸洗浄装置の再配置が行われる。任意選択により、排出は再配置中に継続し、かつ/または再配置後に再開する。
【0132】
本発明の幾つかの実施形態において、排出された流体粒子内容物の評価は、光学検知、例えば、デジタル粒子計数または光透過特性に基づく自動測定値を含む。幾つかの実施形態において、排出された潅注流体特性の別の自動測定値、例えば、導電率、粘性、および/または圧力が使用される。幾つかの実施形態において、測定点は、例えば、排出ルーメン内、または排出ルーメンの入口または出口にある。加えてまたは代替として、排出ルーメンに沿って、かつ/または排出された流体の収容タンク内に位置する広がりを含む、一時蓄積チャンバ(「組込みチャンバ))の内容物に対して、モニタリングが行われる。
【0133】
幾つかの実施形態において、モニタリングは、結腸内の排出ルーメンの外部の1つまたは複数の点で行われる。本発明の幾つかの実施形態において、局所の糞便内容物を評価する非撮像手段が使用される。例えば、光学センサおよび/または照明/光学検知対が、排出ルーメンの遠位端近くの1つまたは複数の点に、および/または排出ルーメンの長さに沿って設けられ、各対が、結腸壁の局所的なスペクトル特性の統合ビューをもたらす。センサに戻る光のスペクトル分布は、結腸内の糞便物質分布の標示をもたらす。加えてまたは代替として、コンダクタンス、浸透圧、または別の物理的または化学的パラメータのためのセンサが、流体内容物分布の判定のために設けられる。
【0134】
本発明の幾つかの実施形態において、潅注および/または排出の起動および/または停止は、排泄物の存在の自動で検知される状態に応じて、少なくとも部分的な自動動作を含む。例えば、潅注および/または排出の二重速度、多速度、または連続可変速度は、排出取入開口の領域における排出に適した排泄物粒子の存在の判定に基づいて、ユーザが与える指令に付加される。
【0135】
(調節可能な取入開口サイズ)
幾つかの実施形態において、例えば、排出ルーメンに関して上で定義した、および、例えば、排出ルーメンへの入口寸法により決定される粗い粒子の効果的な最小サイズは、どの粒子が排出から除外されるかを決める。幾つかの実施形態において、この決定は、わずかな糞便物質が、中程度およびより小さい粒子がすべて除去された後に概ねそのまま残るようになされる。元々存在するすべての糞便物質のうちの粗い粒子の部分は、例えば、5%〜10%、8〜15%、10〜20%、または同じ、中間の、より大きい、および/またはより小さい境界を有する別の範囲である。幾つかの実施形態において、排出ルーメン自体の横断面が、粗い粒子の最小サイズを決める。幾つかの実施形態において、排出ルーメンを通る排出は、排出ルーメンの横断面よりも小さくサイズ決めされたスクリーニング開口を通過することを含む。幾つかの実施形態において、スクリーニング開口は、排出ルーメン自体の開口である。幾つかの実施形態において、1つまたは複数のスクリーニング開口は、排出ルーメン内へのアクセスを保護するスクリーニング構造に含まれ、および/またはスクリーニング構造により定義される。幾つかの実施形態において、スクリーニング構造は、開口のメッシュおよび/または格子である。幾つかの実施形態において、スクリーニング構造は、取入開口の前を部分的または完全に横切る柱、セプタム(septum)、フラップ、または他の構造などの部分バリアを含む。本発明の幾つかの実施形態において、排出ルーメンの取入側におけるサイズの除外は、粗い粒子と中程度の粒子(上で定義した)との境界が生じるサイズを小さくするようにするものである。これにより、例えば、中程度の粒子の最大サイズの減少により、排出ルーメンがその範囲内で、その範囲に沿って詰まる可能性および/または頻度を低下させ得る。
【0136】
本発明の幾つかの実施形態において、スクリーニング開口サイズは調節可能である。これにより、ルーメン内閉塞率とルーメン取入口閉塞率との好ましい妥協を設定することができる。調節の範囲は分解、例えば、10〜100%、50〜100%、80〜100%、または最大サイズの同じ、中間の、および/またはより小さい境界を有する別の範囲である。最大サイズは、例えば、3〜5mm、3〜5mm、4〜7mm、または同じ、中間の、より小さい、および/またはより大きい境界を有する別の範囲の直径である。
【0137】
幾つかの実施形態において、スクリーニング開口は、結腸内容物の状態、例えば、小さい、中程度、および粗い粒子、および/または予想されるこれらの構成の相対的な組合せに基づいて、手順開始前に設定される。任意選択により、粒子が概ね、大きすぎて排出開口に全く入らないか、または小さすぎ、かつ/もしくはもろすぎて排出中に閉塞を作らないことが予想されるときには、比較的大きい開口が選択される。任意選択により、中程度の/粗い境界に近い粒子が、数多くあり、かつ/またはルーメン内閉塞を形成しやすいと予想されるときには、比較的小さい開口が選択される。幾つかの実施形態において、スクリーニング開口調節は、シャッター、セプタム、もしくは柱などの要素の配置、バルーンなどの要素の膨張、切断、屈曲、もしくは他の変更によるスクリーニング構造の変更、および/または例えば開口サイズに基づくスクリーニング構造の選択によって行われる。
【0138】
幾つかの実施形態において、スクリーニング開口は、例えば遮蔽部材の位置および/またはサイズを遠隔調節することにより、手順中に調節可能である。幾つかの実施形態において、遮蔽部材はシャッターを含む。任意選択により、シャッターは、圧電デバイスなどの原動力に結合される。任意選択により、シャッターは、ケーブルまたは圧力線により原動力に結合される。幾つかの実施形態において、遮蔽部材は、膨張式要素を含む。任意選択により、膨張式要素のサイズは、例えば、排出および/または潅注のために使用される圧力源から伝えられる圧力により、または独立した圧力源により調節される。任意選択により、弁部材は、弁部材が圧力源に結合される「圧力設定」モードと、弁部材が圧力源から切り離される「固定圧力モード」との間で切り替わるように作動可能である。
【0139】
(例示的な低前処置(食事および手順中)の壁清掃)
本発明の幾つかの実施形態において、結腸鏡検査を受ける予定の患者は、手順自体の前に食事の変更についての指示を受け、これに従う。これらの指示に従うことにより、結腸内容物の量および/または性質を変更し、かつ/またはこれを確保するのを助けて、より効果的な結腸壁洗浄を行い、かつ/または順調な結腸鏡検査手順をより確実に行うことができる。
【0140】
幾つかの実施形態において、食事の変更は、例えば、予定された結腸鏡検査手順より前の4時間、8時間、12時間、24時間、36時間、48時間、60時間、または別のより長い、より短い、または中間の期間に開始する。時間が短いと、患者の通常の日課を乱すことが少なくなり得る。時間が長いと、少なくとも患者の消化管を通る食物の通過時間の限度まで、食事の変更の有効性が高まる。
【0141】
幾つかの実施形態において、食事の変更は、食事の変更期間中に摂取されるすべての果物および野菜物質に粗い種および/もしくは外皮または皮の破片がなく、ならびに/あるいは便から粗いスポンジ状および/もしくは繊維状粒子を除去するように構造的に分解されるものであることを確実にすることを含む。これは、例えば、種物質を避けること、皮を除去すること、(例えば、煮ることにより)食物を完全に調理すること、および/または(例えば、混ぜることにより)分量を小さい摂取粒子サイズにすることの1つまたは複数によって達成される。幾つかの実施形態において、そのような食物についての注意は、肉などの他の摂取される食物にも必要である。任意選択により、腸管を普通に通過することにより十分に分解される食物のタイプ(限定されないが、例えば、卵、パン、および乳製品を含む)は、特別な変更なしで摂取することができる。任意選択により、摂取される食物の量および/または相対量を、指標基準内にとどまるように調整して、例えば、(食物摂取を減らすことにより)糞便物質の全体量を減らす、かつ/または(例えば、最小レベルの食物繊維を必要とすることにより)ある糞便堅さの設定を助ける。
【0142】
本発明の幾つかの実施形態において、結腸鏡検査手順中に硬質便粒子が結腸内に行き渡ることを減らすために、食事の変更期間中には、最小分量の果物および/または野菜(または別の食物繊維源)が勧められ、かつ/または摂取される。
【0143】
幾つかの実施形態において、時間で変化する食事が推奨され、かつ/またはこれに従う。例えば、幾つかの実施形態において、検査時間に存在する古い糞便粒子(最も乾燥している、かつ/または最も硬質であるおそれがある)が、確実に比較的軟質なままであるようにするために、特に食物繊維の多いものについては早く食事をすることが重視される。幾つかの実施形態において、任意選択により、食物繊維の多い食物を対応して減らした低残渣食の摂取については、遅く食事をすることがより重視される。これにより、結腸の遠位に到達する糞便量を減らしながらも、そのような糞便物質の水の再吸収のための時間の経過を短くすることにより、糞便の硬化が対応して増えることはない。
【0144】
本発明の幾つかの実施形態において、食事の指示を与えるときに患者の現在の結腸状態を考慮する。幾つかの実施形態において、例えば、便秘で、低いブリストル便スコア(1または2)の便通があり、かつ/または排泄率が低い(例えば、1日1回未満)の患者は、食物繊維を増やした食事(より多くの果物および/または野菜)をとる。あるいは、任意選択により、すでに緩い、軟質の、および/または頻繁な便通のある患者には、食物タイプの変更なしで、小さい粒子サイズを確保する食事の指示が与えられる。
【0145】
(例示的な低前処置(食事、適度な緩下剤)壁清掃)
本発明の幾つかの実施形態において、適度な緩下剤の投与を使用して糞便量を減らし、粗い粒子(凝結粒子など)の蓄積を防止し、かつ/または結腸に最初に存在し得る粗い粒子を結腸から除去する。
【0146】
幾つかの実施形態において、適度な緩下剤は、食物繊維のような効果を有し、それ自体食物繊維を含み得る。食物繊維の量を意図的に増やすことの考えられる使用および利点については前述した。
【0147】
幾つかの実施形態において、適度な緩下剤が投与されて、糞便量の蓄積を防ぎ、結腸を通る食物の通過を促進するが、投与は結腸を洗浄するレベルには到達しない。幾つかの実施形態において、適度な緩下剤投与により、予定された検査までの期間に、便が確実に軟質になる、かつ/または軟質なままとなる。
【0148】
本発明の幾つかの実施形態において、緩下剤投与は、結腸鏡検査までの時間にわたって可変である。例えば、緩下剤の過程は、任意選択により、低前処置の食事(例えば、前述したもの)が開始される時間頃に始まるが、その後すぐに終了する。この潜在的利点は、予め存在し得る粗い物質を結腸から除去することである。しかしながら、任意選択により、新しい食物摂取が良好な結腸壁洗浄の要件に適合することが理解されるため、緩下剤の過程は検査まで継続されない。任意選択により、硬質の便、低頻度の便通などの予め存在する状態が判定される場合のみ、緩下剤が投与される。本発明の幾つかの実施形態において、緩下剤の過程は、4時間、8時間、12時間、または別のより大きい、より小さい、または中間の時間長さだけ続く。幾つかの実施形態において、緩下剤投与の過程は、検査前の60時間、48時間、36時間、24時間、12時間、またはより長い、より短い、または中間の長さの別の期間に開始される。
【0149】
本明細書で使用されるように、「約」という用語は±10%以内を指す。
【0150】
「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、「包含する(includes)」、「包含すること(including)」、「有すること(having)」という用語およびそれらの活用形は、「含むが限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。
【0151】
「から成る」という用語は、「含みかつ限定される(including and limited to)」ことを意味する。
【0152】
「から本質的に成る」という用語は、組成物、方法または構造が、さらなる成分、ステップ、および/または部分を含んでもよいが、そのさらなる成分、ステップ、および/または部分が、特許請求される組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変更しない場合にのみ含むことを意味する。
【0153】
本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の言及を含む。例えば、「化合物」または「少なくとも1つの化合物」という用語は、それらの混合物を含む複数の化合物を含み得る。
【0154】
本出願の全体にわたって、本発明の様々な実施形態は範囲の形式で示される場合がある。範囲の形式での記述は単に便宜性および簡潔性のためのものと理解されるべきであり、本発明の範囲の柔軟性を限定するものとして解釈されるべきではない。したがって、範囲の記述は、考えられるすべての下位範囲ならびに範囲内の個々の数値が具体的に開示されると考えるべきである。例えば、1〜6などの範囲の記述は、詳細に開示される下位範囲、例えば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6など、ならびにその範囲内の個々の数字、例えば、1、2、3、4、5、および6を含むものと考えるべきである。このことは範囲の広さにかかわらずに適用される。
【0155】
本明細書に示される数値範囲は常に、示される範囲内の任意の引用された数値(小数または整数)を含むものとする。第1の示された数字と第2の示された数字との「間の範囲」という語句、および第1の示された数字「から」第2の示された数字「までの範囲」という語句は、本明細書において相互に交換可能に使用され、第1に示された数字と第2の示された数字とその間のすべての小数および整数の数字を含むものとする。
【0156】
本発明のある特徴は、明確性のために、別個の実施形態の文脈で記載されるが、単一の実施形態と組み合わせて提供され得るとして認識される。反対に、本発明の様々な特徴が、簡潔性のために、単一の実施形態の文脈で記載されるが、別々に、または任意の適切な下位の組合せで、または本発明の任意の他に記載の実施形態において適切なものとしても提供され得る。様々な実施形態の文脈に記載されるある特徴は、実施形態がそれらの要素なしに実行できないものでない限り、それらの実施形態の本質的な特徴であると考えるべきではない。