【課題】cGMP/PKG媒介経路(例えば、心臓組織における)の混乱または損傷によって特徴付けられる疾患または障害の処置に有用な新規ホスホジエステラーゼ1阻害剤の提供。
遊離形態または塩形態の、3−((4−フルオロフェニル)アミノ)−5,7,7−トリメチル−2−((2−メチルピリミジン−5−イル)メチル)−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン化合物である、請求項1記載の化合物。
遊離形態または塩形態の、3−((4−フルオロフェニル)アミノ)−5,7,7−トリメチル−2−(ピリジン−3−イルメチル)−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン化合物である、請求項1記載の化合物。
遊離形態または塩形態の、3−((4−フルオロフェニル)アミノ)−5,7,7−トリメチル−2−(ピリジン−4−イルメチル)−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン化合物である、請求項1記載の化合物。
遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、請求項1〜18いずれか1項記載の化合物と、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、心血管障害の処置に有用な他の治療剤(例えば、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素(ACE阻害剤)、中性エンドペプチダーゼ(NEPまたはネプリライシン)阻害剤および/またはホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害剤)の1つ以上を含む組合せ剤。
遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、請求項1〜18いずれか1項記載の化合物、または請求項19記載の組合せ剤を、薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせてまたは合わせて含む、医薬組成物。
cGMP/PKG依存性シグナル伝達経路(例えば、心臓組織における)の調節(例えば、増強)によって寛解できる疾患または障害の治療または予防方法であって、臥位処置または予防を必要とする患者に、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、請求項1〜18いずれか1項記載の化合物、請求項19記載の組合せ剤、または請求項20記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、方法。
疾患または障害が、肥大(例えば、心肥大)、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、鬱血性心不全、狭心症、 高血圧症、本態性高血圧症、肺高血圧症、肺動脈高血圧症、二次性肺高血圧症、孤立性収縮期高血圧症、糖尿病関連高血圧症、アテローム性動脈硬化症関連高血圧症、腎血管性高血圧症からなる群から選択される、請求項21記載の方法。
疾患および障害が、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィーおよびエメリー・ドレイフス型筋ジストロフィーからなる群から選択される筋ジストロフィーによって生じる心血管機能不全である、請求項28記載の方法。
疾患または障害が腎不全、線維症、炎症性疾患または障害、血管リモデリングおよび結合組織疾患または障害(例えば、マルファン症候群)である、請求項21記載の方法。
請求項21〜25いずれか1項記載の疾患または障害の処置または予防のための(医薬の製造における)、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、請求項1〜18いずれか1項記載の化合物、請求項19記載の組合せ剤、または請求項20記載の医薬組成物の使用。
請求項21〜30いずれか1項記載の処置または予防に用いるための、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、請求項1〜18いずれか1項記載の化合物、請求項19記載の組合せ剤、または請求項20記載の医薬組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
当該技術分野において現在直面している課題の1つは、PDE1特異的阻害剤がないことである。本発明は、PDE1特異的阻害剤を提供することによって、当該技術分野におけるこの課題および他の課題を克服しようとするものである。特許文献1および特許文献2はPDE1特異的阻害剤を提供しているが、これらは、本発明の化合物を開示していない。
【課題を解決するための手段】
【0024】
PDE1は、アテローム性動脈硬化症、心臓圧負荷ストレスおよび心不全のような慢性疾患状態において、ならびに硝酸薬への長期暴露に対する応答として、アップレギュレートされる。PDE1阻害剤は、安静時機能(resting function)に及ぼす影響は比較的少ないが、むしろ、血管作動薬によって刺激された細胞における急な収縮性緊張を強力に調節する能力を維持する。このようなアップレギュレーションは、血管および心臓の病態生理、ならびに硝酸薬療法に対する薬物耐性の一因となる。したがって、理論に縛られないが、PDE1阻害剤のようなcGMP/PKG媒介経路を調節する化合物は、特に心肥大を逆転するのに有用であると考えられる。本明細書に記載のPDE1阻害剤は、血液脳関門を貫通する限られた能力を有する選択的PDE1阻害剤であり、したがって、PDE1アイソフォームが優位に配置されている中枢神経系の外側の体の領域、例えば、心臓組織、血管組織および肺組織において顕著な調節活性(例えば、cGMPの増強)を有すると考えられる。
【0025】
したがって、第一の態様において、本発明は、遊離形態または塩形態の、式I:
【化1】
[式中、
(i) R
1は、C
1−4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)、または−NH(R
2)であり、ここで、R
2は、ハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニル、例えば4−フルオロフェニルであり;
(ii) X、YおよびZは、独立して、NまたはCであり;
(iii) R
3、R
4およびR
5は、独立して、HまたはC
1−4アルキル(例えば、メチル)であるか;またはR
3はHであり、R
4およびR
5は一緒にトリメチレン架橋を形成し(好ましくは、ここで、R
4およびR
5は一緒にシス配置を有し、例えば、ここで、R
4およびR
5を担持している炭素はそれぞれR配置およびS配置を有する)、
(iv) R
6、R
7およびR
8は、独立して、
H、
C
1−4アルキル(例えば、メチル)、
ヒドロキシで置換されているピリド−2−イル、または
−S(O)
2−NH
2
であり;
(v) ただし、X、Yおよび/またはZがNである場合、R
6、R
7および/またはR
8はそれぞれ存在せず;X、YおよびZが全てCである場合、R
6、R
7またはR
8の少なくとも1つは、−S(O)
2−NH
2、またはヒドロキシで置換されているピリド−2−イルである]
で示される化合物を提供する。
【0026】
特定の実施態様において、本発明は、以下のとおり、遊離形態または塩形態の、式Iの化合物(ただし、X、Yおよび/またはZがNである場合、R
6、R
7および/またはR
8がそれぞれ存在せず;X、YおよびZが全てCである場合、R
6、R
7またはR
8の少なくとも1つが−S(O)
2−NH
2、またはヒドロキシで置換されているピリド−2−イルである)を提供する:
1.1 R
1がC
1−4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)または−NH(R
2)であり、ここで、R
2がハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニル、例えば4−フルオロフェニルである、式Iの化合物;
1.2 R
1がC
1−4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)である、式Iの化合物;
1.3 R
1が−NH(R
2)であり、ここで、R
2がハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニルである、式Iの化合物;
1.4 R
1が−NH(R
2)であり、ここで、R
2がフェニルである、式Iの化合物;
1.5 R
1が−NH(R
2)であり、ここで、R
2がハロ(例えば、フルオロ)で置換されているフェニル、例えば4−フルオロフェニルである、式Iの化合物;
1.6 X、YおよびZが、独立して、NまたはCである、式Iまたは式1.1〜1.5のいずれかの化合物;
1.7 X、YおよびZが全てCである、式Iまたは式1.1〜1.5のいずれかの化合物;
1.8 X、Yおよび/またはZの少なくとも1つがNである、式Iまたは式1.1〜1.5のいずれかの化合物;
1.9 XがNである、式Iまたは式1.1〜1.5のいずれかの化合物;
1.10 ZがNである、式Iまたは式1.1〜1.5のいずれかの化合物;
1.11 YがNである、式Iまたは式1.1〜1.5のいずれかの化合物;
1.12 XおよびZがNであり、YがCである、式Iまたは式1.1〜1.5のいずれかの化合物;
1.13 R
6、R
7およびR
8が、独立して:
H、
C
1−4アルキル(例えば、メチル)、
ヒドロキシで置換されているピリド−2−イル、または
−S(O)
2−NH
2
である、式Iまたは式1.1〜1.12のいずれかの化合物;
1.14 R
6、R
7およびR
8の1つ以上が、独立して、Hである、式Iまたは式1.1〜1.12のいずれかの化合物;
1.15 R
6、R
7およびR
8が、独立して、C
1−4アルキル(例えば、メチル)である、式Iまたは式1.1〜1.12のいずれかの化合物;
1.16 R
6、R
7および/またはR
8が、独立して、C
1−4アルキル(例えば、メチル)である場合、X、Yおよび/またはZが、それぞれ、Cである(またはNではない)ことを条件とする、式1.15の化合物;
1.17 R
6、R
7およびR
8が、独立して、HまたはC
1−4アルキル(例えば、メチル)である、式Iまたは式1.1〜1.12のいずれかの化合物;
1.18 R
6、R
7およびR
8が、独立して、ヒドロキシで置換されているピリド−2−イルである、式Iまたは式1.1〜1.12のいずれかの化合物;
1.19 R
7が、ヒドロキシで置換されているピリド−2−イル(例えば、6−ヒドロキシピリド−2−イル)である、式Iまたは式1.1〜1.12のいずれかの化合物;
1.20 R
6、R
7および/またはR
8が、独立して、ヒドロキシで置換されているピリド−2−イルである場合、X、Yおよび/またはZが、それぞれ独立して、Cである(またはNではない)ことを条件とする、式1.18または1.19;
1.21 R
6、R
7およびR
8の1つ以上が、独立して、−S(O)
2−NH
2である、式Iまたは式1.1〜1.12のいずれかの化合物;
1.22 R
6、R
7およびR
8の少なくとも1つが、−S(O)
2−NH
2、またはヒドロキシで置換されているピリド−2−イルである、式Iまたは1.7の化合物;
1.23 R
6が存在せず、R
7およびR
8がHである、式Iまたは1.9の化合物;
1.24 R
8が存在せず、R
6およびR
7がHである、式Iまたは1.10の化合物;
1.25 R
7が存在せず、R
6およびR
8がHである、式Iまたは1.11の化合物;
1.26 R
6およびR
8が存在せず、R
7がC
1−4アルキル(例えば、メチル)である、式Iまたは1.12の化合物;
1.27 R
6およびR
8が存在せず、R
7がメチルである、式Iまたは1.12の化合物;
1.28 R
3、R
4およびR
5が、独立して、HまたはC
1−4アルキルであるか;またはR
3がHであり、R
4およびR
5が一緒にトリメチレン架橋を形成する(好ましくは、ここで、R
4およびR
5が一緒にシス配置を有し、例えば、ここで、R
4およびR
5を担持している炭素がそれぞれR配置およびS配置を有する)、式Iまたは式1.1−1.27のいずれかの化合物;
1.29 R
3、R
4およびR
5が、独立して、HまたはC
1−4アルキルである、式Iまたは式1.1−1.27のいずれかの化合物;
1.30 R
3およびR
4が、独立して、C
1−4アルキルであり、R
5がHである、式Iまたは式1.1−1.27のいずれかの化合物;
1.31 R
3およびR
4がどちらもメチルであり、R
5がHである、式Iまたは式1.1−1.27のいずれかの化合物;
1.32 R
3がHであり、R
4およびR
5が一緒にトリメチレン架橋を形成する(好ましくは、ここで、R
4およびR
5が一緒にシス配置を有し、例えば、ここで、R
4およびR
5を担持している炭素がそれぞれR配置およびS配置を有する)、式Iまたは式1.1−1.27のいずれかの化合物;
1.33 R
4およびR
5が一緒に一緒にシス配置を有し、例えば、ここで、R
4およびR
5を担持している炭素がそれぞれR配置およびS配置を有する)式1.32の化合物;
1.34 (i) R
1が−N(R
2)であり、ここで、R
2がハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニル、例えば4−フルオロフェニルであり;
(ii) X、YおよびZの少なくとも1つがNであり;
(iii) R
3、R
4およびR
5が、独立して、HまたはC
1−4アルキルであるか;またはR
3がHであり、R
4およびR
5が一緒にトリメチレン架橋を形成し(好ましくは、ここで、R
4およびR
5が一緒にシス配置を有し、例えば、ここで、R
4およびR
5を担持している炭素がそれぞれR配置およびS配置を有する)、
(iv) R
6、R
7およびR
8が、独立して、HまたはC
1−4アルキル(例えば、メチル)である、
式Iの化合物;
1.35 R
3、R
4およびR
5が、独立して、HまたはC
1−4アルキル(例えば、メチル)である、式Iまたは1.34の化合物;
1.36 R
3およびR
4が、独立して、C
1−4アルキルであり(例えば、R
3およびR
4がメチルであり)、R
5がHである、式Iまたは1.34または1.35の化合物;
1.37 R
1が−N(R
2)であり、ここで、R
2がハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニル、例えば4−フルオロフェニルであり;
XおよびZがNであり、YがCであり;
R
7がC
1−4アルキル(例えば、メチル)であり;
R
3およびR
4がC
1−4アルキル(例えば、メチル)であり;
R
5がHである、
式Iの化合物;
1.38 3−((4−フルオロフェニル)アミノ)−5,7,7−トリメチル−2−((2−メチルピリミジン−5−イル)メチル)−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン;
3−((4−フルオロフェニル)アミノ)−5,7,7−トリメチル−2−(ピリジン−3−イルメチル)−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン;
3−((4−フルオロフェニル)アミノ)−5,7,7−トリメチル−2−(ピリジン−4−イルメチル)−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン;
(6aR,9aS)−2−(4−(6−ヒドロキシピリジン−2−イル)ベンジル)−5−メチル−3−(フェニルアミノ)−5,6a,7,8,9,9a−ヘキサヒドロシクロペンタ[4,5]イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(2H)−オン;
4−(((6aR,9aS)−5−メチル−4−オキソ−3−(フェニルアミノ)−4,5,7,8,9,9a−ヘキサヒドロシクロペンタ[4,5]イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−2(6aH)−イル)メチル)ベンゼンスルホンアミド;
3−((4−フルオロフェニル)アミノ)−5,7,7−トリメチル−2−((6−メチルピリジン−3−イル)メチル)−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン;
4−((3−((4−フルオロフェニル)アミノ)−5,7,7−トリメチル−4−オキソ−4,5,7,8−テトラヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−2−イル)メチル)ベンゼンスルホンアミド;
3−((4−フルオロフェニル)アミノ)−2−(4−(6−ヒドロキシピリジン−2−イル)ベンジル)−5,7,7−トリメチル−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン;
2−(4−(6−ヒドロキシピリジン−2−イル)ベンジル)−3,5,7,7−テトラメチル−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン;
3−エチル−2−(4−(6−ヒドロキシピリジン−2−イル)ベンジル)−5,7,7−トリメチル−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン
からなる群から選択される、上記式のいずれかによる化合物;
1.39 化合物が、cGMPのホスホジエステラーゼ媒介(例えば、PDE1媒介)加水分解を、例えば実施例11に記載されるような固定化金属親和性粒子試薬PDEアッセイにおいて1μM未満、好ましくは75nM未満、好ましくは1nM未満のIC
50をもって阻害する、上記式のいずれか。
【0027】
第2の態様において、本発明は、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、本明細書に記載の式Iまたは1.1〜1.39のいずれかの化合物を、薬学的に許容される希釈剤または担体と混合して(in admixture)(または組み合わせてもしくは合わせて(in combination or association))含む医薬組成物を提供する。
【0028】
本明細書に記載の式Iまたは1.1〜1.39のいずれかの化合物は、選択的PDE1阻害剤であり、したがって、心肥大においてcGMP/PKGを調節するのに有用である。従前の研究によって、細胞内Ca
2+/CaM依存性シグナル伝達の増大が、プロテインホスファターゼカルシニューリン、Ca
2+/CaM依存性キナーゼII(CaMKII)のような種々のエフェクターを介して心筋細胞における不適応な肥大遺伝子発現を促進することが明らかになっている。理論に縛られないが、内在性cGMP/PKG依存性シグナル伝達の増大は、Gq/11活性化の抑制およびCa
2+シグナル伝達の正常化によって心肥大を減少させることができる。PDE1を活性化することによって、Ca
2+/CaMは、cGMPレベルおよびPKG活性を低下させ得る。次に、このプロセスは、心肥大を誘導し得る。加えて、心肥大の間の神経液性または生体力学ストレスによるPDE1発現のアップレギュレーションは、さらにPDE1活性を増強し、cGMP/PKGシグナル伝達を弱めることができる。したがって、理論に縛られないが、PDE1Aの阻害は、例えば、cGMP/PKGシグナル伝達の減弱を逆転または予防することができると考えられる。先に検討したように、PDE1Bは、心疾患の炎症要素に関係づけられる(例えば、PDE1B2は、心疾患進行の間に生じるように、マクロファージの分化の過程でアップレギュレートされる)。同様に、PDE1Cは、合成増殖表現型のヒト動脈平滑筋細胞において誘導される。したがって、本明細書に記載のPDE1阻害剤の投与は、心肥大を調節する有望な手段を提供することができ、延長線上で考えると、種々の心血管疾患および障害の処置を提供する。
【0029】
したがって、第3の態様において、本発明は、cGMP/PKG依存性シグナル伝達経路(例えば、心臓組織における)の調節(例えば、増強)によって寛解し得る疾患または障害(例えば、心血管疾患または障害)の処置方法または予防方法であって、該処置または予防を必要とする患者に、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、本明細書に記載の式Iまたは式1.1〜1.39のいずれかの化合物の有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0030】
心血管疾患または障害は、肥大(例えば、心肥大)、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、鬱血性心不全、狭心症、脳卒中、高血圧症、本態性高血圧症、肺高血圧症、肺動脈高血圧症、二次性肺高血圧症、孤立性収縮期高血圧症、糖尿病関連高血圧症、アテローム性動脈硬化症関連高血圧症、腎血管性高血圧症からなる群から選択され得る。ある種の実施態様において、処置されるべき心血管疾患または障害は、また、cGMP/PKG依存性シグナル伝達障害に関連している。特定の実施態様において、本発明は、脳卒中の処置方法または予防方法であって、PDE1阻害剤が脳毛細血管の内皮細胞に対するその作用を介して脳血流増加を促進することができる、方法を提供する。
【0031】
第3の態様のさらなる実施態様において、本発明は、また、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィーおよびエメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー)に関連する心血管疾患または障害の処置方法または予防方法であって、該承知または予防を必要とする患者に、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、本明細書に記載の式Iまたは式1.1〜1.39のいずれかの化合物の有効量を投与することを含む、方法を提供する。上記のように、DMDは、神経型一酸化窒素(NO)合成酵素のようなジストロフィン関連タンパク質の発現減少および誤局在化をもたらす機能的ジストロフィンタンパク質の不在によって引き起こされる。nNOSシグナル伝達の混乱の結果として、運動中の筋肉疲労および対立しない交感神経性血管収縮が起こり、それにより、ジストロフィン欠損筋肉の収縮誘発性損傷が増加する。理論に縛られないが、運動中の正常なnNOSシグナル伝達の喪失は、DMDにおける重要な発症メカニズムであると提唱されている血管機能不全の中心的な役割を果たし得る。ホスホジエステラーゼ(例えば、PDE1)の阻害によって、本明細書に記載の化合物は、ジストロフィーの骨格筋および/または心筋における不完全nNOSシグナル伝達を回避し得;それにより、DMD患者における心臓予後を改善する可能性があると考えられる。
【0032】
さらに別の実施態様において、本発明は、腎不全、線維症、炎症性疾患もしくは障害、血管リモデリングおよび結合組織疾患もしくは障害(例えば、マルファン症候群)の処置であって、該処置を必要とする患者に、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、本明細書に記載の式Iまたは式1.1〜1.39のいずれかの化合物の有効量を投与することを含む、処置を提供する。
【0033】
上記の方法による疾患の処置または予防に有用な本発明のPDE1化合物は、唯一の治療剤として使用され得るか、または、心血管障害の処置に有用な1種類以上の他の治療剤と組み合わせて使用され得る。このような他の薬剤としては、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、中性エンドペプチダーゼ(NEPまたはネプリライシン)阻害剤および/またはホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害剤が挙げられる。
【0034】
したがって、特定の実施態様において、本発明のPDE1阻害剤は、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、アジルサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、オルメサルタンメドキソミル、サララシン、テルミサルタンおよびバルサルタンから選択されるアンジオテンシンII受容体アンタゴニストと組み合わせて投与され得る。
【0035】
さらに別の実施態様において、本発明のPDE1阻害剤は、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、ベナゼプリル(benazepril)、ラミプリル、キナプリル、ペリンドプリル(perindopril)、イミダプリル、トランドラプリルおよびシラザプリルからなる群から選択されるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤と組み合わせて投与され得る。
【0036】
さらに別の特定の実施態様において、本発明のPDE1阻害剤は、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、アバナフィル、ロデナフィル、ミロデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ウデナフィルおよびザプリナストから選択されるPDE5阻害剤と組み合わせて投与され得る。
【0037】
さらに別の特定の実施態様において、本発明のPDE1阻害剤は、中性エンドペプチダーゼ(NEPまたはネプリライシン)阻害剤と組み合わせて投与され得る。ネプリライシンまたはNEP(EC3.4.24.11)としても知られている中性エンドペプチダーゼは、さまざまな短ペプチド基質を切断するII型膜内在性(integral membrane)亜鉛依存性メタロエンドプロテアーゼである。哺乳動物において、NEPは、腎臓、肺、内皮細胞、血管平滑筋細胞、心筋細胞、線維芽細胞、脂肪細胞および脳を含む広範囲で発現する。その天然基質には、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、アンジオテンシンI(Ang−I)、アンジオテンシンII(Ang−II)、ブラジキニン(BK)およびエンドセリン(ET)がある。これらのペプチドのNEPによる切断の結果として、該ペプチドの天然の生物学的作用を減衰させるそれらの不活化が生じる。
【0038】
ANP、BNPおよびCNPは、レニン・アンジオテンシン系とともに哺乳動物血圧恒常性の主要素である全てナトリウム利尿ペプチド(NP)系の一部である。レニン・アンジオテンシン系は血圧上昇(例えば、血管収縮および水毒(water retention)の促進による)の主な原因であるが、ナトリウム利尿ペプチド系は、血圧低下(例えば、血管拡張およびナトリウム利尿の促進による)の主な原因である。ANPおよびBNPは、強力な血管拡張薬と、カリウム保持性のナトリウムおよび水の腎再吸収低下の強力なプロモーターとの両方である。これらの二重の効果は強力な血圧低下効果を発揮する。BNPおよびCNPもまた、心臓の抗線維化効果と抗肥大効果を発揮する。CNPは、ANP/BNPの血管拡張効果を共有するが、腎効果を有しない。加えて、高血圧症および肥満症はどちらも、ANPおよびBNPレベルの低下に関連していることが示されており、ANPレベルを増加させるANP(rs5068)の特異的遺伝的変異体は、高血圧症およびメタボリックシンドロームから保護することが示されている。かくして、ANP、BNPおよびCNPは、血圧恒常性および心血管の健康において重要な役割を果たす。
【0039】
NEPの阻害の結果として、循環ANP、BNPおよびCNPの半減期が増大する。これは、それらの血圧低下および心臓の健康の改善効果を延長すると予想される。尿中cAMPレベルは、NEP阻害剤の全身投与後に有意に上昇する。
【0040】
また、NEPの阻害の結果として、ブラジキニン、アンジオテンシンI、アンジオテンシンIIおよびエンドセリンのレベルが高くなる。重要なことに、エンドセリンおよびアンジオテンシンIIは、強力な高血圧促進性ペプチド(pro−hypertensive peptide)である。かくして、NEP阻害単独の結果として、血管拡張効果(NPによる)および血管収縮効果(Ang−IIおよびETの増加による)のどちらも引き起こされる。これらの高血圧促進性ペプチド高血圧促進性ペプチドは全て、Gタンパク質共役受容体(GPCR)への結合を介して機能する。この血管収縮効果の主要要因は、Gタンパク質共役受容体AT1およびAT2への結合を介して機能するアンジオテンシン−IIである。これらの受容体は、ホスホリパーゼC(PLC)およびプロテインキナーゼC(PKC)シグナル伝達カスケードの活性化を介してそれらの生理学的効果を発揮する。ブラジキニンは、ACEによってかなりの程度まで不活化され、ACE阻害剤は、NEP阻害剤については見られない重大な副作用である鬱血を引き起こす。
【0041】
ANP、BNPおよびCNPは全て、セカンドメッセンジャーcGMPを介して機能する。ANPおよびBNPは膜結合型グアニリルシクラーゼAと結合するが、一方、CNPはグアニリルシクラーゼBと結合する。これらの酵素はどちらも、受容体結合に応答して細胞内cGMPを増加させる。高濃度のcGMPは、ナトリウム利尿ペプチドの下流生物学作用効果を発揮する原因となるプロテインキナーゼG(PKG)を活性化する。
【0042】
カンドキサトリル、カンドキサトリラト、オマパトリラト(omapatrilat)、ゲムパトリラト(gempatrilat)およびサムパトリラトを含むいくつかのNEP阻害剤が知られている。カンドキサトリルは、ANPおよびcGMP両血漿中レベルを用量依存的に増加させることが示されており、安全であるが、安定な血圧低下効果を発揮しない。これは、NEP阻害のBK、ETおよびAng−II分解に対する効果に起因すると考えられる。心不全患者におけるカンドキサトリル処置は、エンドセリンのレベルを有意に上昇させ、かくして、ANPの増加によって引き起こされる血圧効果を相殺することが示されている。
【0043】
カンドキサトリルおよびカンドキサトリラトとは対照的に、オマパトリラトは、NEP阻害剤およびACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害剤の両方として同程度に機能するので、バソペプチダーゼ阻害剤(VPI)であると考えられる。ACEは、Ang−Iから、レニン・アンジオテンシン系の主要な高血圧促進性ホルモンであるAng−IIへの変換の原因酵素である。NEPおよびACEの両方を阻害することによって、NEP阻害によって引き起こされたAng−IIの増加が打ち消され、その結果、非常に有効な降圧処置をもたらすと考えられた。しかしながら、臨床研究により、オマパトリラトは血管浮腫(ACE阻害剤の公知の副作用)の深刻な発生を伴うことが示された。後の研究によって、これは付随して起こるアミノペプチダーゼP(APP)阻害に起因し得ることが示された。ACE、APPおよびNEPは全て、別の降圧ペプチドであるブラジキニンの分解に関与し、その分解経路のうちの3つの経路の同時阻害により生じるブラジキニンの過剰蓄積は、血管浮腫を引き起こす強い要因であり得る。
【0044】
いずれもの特定の理論に縛られることを意図しないが、PDE1阻害剤と選択的NEP阻害剤(VPIではない)との組合せは、NEP阻害の十分な陽性効果(ANP、BNPおよびCNPの半減期の増大)を実現し、さらに、効率低下をもたらし得るNEP阻害の陰性効果を伴わずに、PDE1阻害によって引き起こされるNPシグナル伝達カスケード(cGMPによって媒介される)の相乗効果によって増強される。
【0045】
したがって、特定の実施態様において、本発明に有用な中性エンドペプチダーゼ(NEPまたはネプリライシン)阻害剤は、例えばACE阻害と比べて少なくとも300倍のNEP阻害選択性を有する選択的NEP阻害剤である。さらなる実施態様において、本発明に用いるためのNEP阻害剤は、ECE(エンドセリン変換酵素)阻害と比べて少なくとも100倍のNEP阻害選択性を有する阻害剤である。さらに別の実施態様において、本発明に用いるためのNEP阻害剤は、ACE阻害と比べて少なくとも300倍のNEP阻害選択性およびECE阻害と比べて少なくとも100倍のNEP阻害選択性を有する阻害剤である。
【0046】
別の実施態様において、本発明に用いるためのNEP阻害剤は、下記の刊行物に記載されているNEP阻害剤である:欧州特許第1097719号、欧州特許出願公開第509442号、米国特許第4929641号、欧州特許第599444号、米国特許第798684号、J. Med. Chem. (1993) 3821、欧州特許第136883号、米国特許第4722810号、Curr. Pharm. Design (1996) 443、J. Med. Chem. (1993) 87、欧州特許第830863号、欧州特許第733642号、国際公開第96/14293号、国際公開第94/15908号、国際公開第93/09101号、国際公開第91/09840号、欧州特許出願公開第519738号、欧州特許出願公開第690070号、Bioorg. Med. Chem. Lett. (1996) 65、欧州特許出願公開第0274234号、Biochem. Biophys. Res. Comm. (1989) 58、Perspect. Med. Chem. (1993) 45、または欧州特許第358398号。これらの特許および刊行物の記載内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する。
【0047】
さらに別の実施態様において、本発明に有用なNEP阻害剤は、NEP阻害剤ホスホラミドン、チオルファン、カンドキサトリラト、カンドキサトリル、またはChemical Abstract Service(CAS)番号115406−23−0の化合物である。
【0048】
さらに別の実施態様において、本発明に有用なNEP阻害剤は、米国特許出願公開第2006/0041014号(その記載内容は出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)に記載されているNEP阻害剤である。
【0049】
別の実施態様において、本発明に有用なNEP阻害剤は、米国特許第5,217,996号(その記載内容は出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)に記載されているNEP阻害剤である。
【0050】
別の実施態様において、本発明に有用なNEP阻害剤は、米国特許第8,513,244号(その記載内容は出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)に記載されているNEP阻害剤である。
【0051】
別の実施態様において、本発明に有用なNEP阻害剤は、米国特許第5,217,996号(その記載内容は出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)に記載されているNEP阻害剤である。
【0052】
別の実施態様において、本発明に有用なNEP阻害剤は、米国特許出願公開第2013/0330365号(その記載内容は出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)に記載されているNEP阻害剤である。
【0053】
別の実施態様において、本発明に有用なNEP阻害剤は、遊離形態またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグの形態の、その好ましい実施態様においてはナトリウム塩形態の、AHU−377としても知られている3−[{1S,3R}−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル]プロピオン酸:
【化2】
である。
【0054】
別の実施態様において、本発明に有用なNEP阻害剤は、遊離形態またはその薬学的に許容されるエステル、塩またはプロドラッグの形態の、LBQ−657としても知られている[{1S,3R}−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−カルボキシ−1−ブチルカルバモイル]プロピオン酸:
【化3】
である。
【0055】
別の実施態様において、本発明に有用なNEP阻害剤は、遊離形態もしくは薬学的に許容される塩形態またはそのプロドラッグ形態の、下記のものから選択される:サムパトリラト、ファシドトリル、Z13752A、MDL100240、BMS189921、LBQ657、AHU−377またはミキサンプリル。
【0056】
別の実施態様において、本発明に用いるためのNEP阻害剤は、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、下記のものから選択される:
SQ28,603;
N−[N−[(1S)−カルボキシ−3−フェニルプロピル]−(S)−フェニルアラニル]−(S)−イソセリン;
N−[N−[((1S)−カルボキシ−2−フェニル)エチル]−(S)−フェニルアラニル]−β−アラニン;
N−[(2S)−メルカプトメチル−3−(2−メチルフェニル)−プロピオニル]メチオニン;
(シス−4−[[[1−[2−カルボキシ−3−(2−メトキシエトキシ)プロピル]−シクロペンチル]カルボニル]アミノ]−シクロヘキサンカルボン酸);
チオルファン;レトロ−チオルファン;ホスホラミドン;SQ29072;
N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸エチルエステル;
(S)−シス−4−[1−[2−(5−インダニルオキシカルボニル)−3−(2−メトキシエトキシ)プロピル]−1−シクロペンタンカルボキサミド]−1−シクロヘキサンカルボン酸;
3−(1−[6−endo−ヒドロキシメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2−exo−カルバモイル]シクロペンチル)−2−(2−メトキシエチル)プロパン酸;
N−(1−(3−(N−t−ブトキシカルボニル−(S)−プロリルアミノ)−2(S)−t−ブトキシ−カルボニルプロピル)シクロペンタンカルボニル)−O−ベンジル−(S)−セリンメチルエステル;
4−[[2−(メルカプトメチル)−1−オキソ−3−フェニルプロピル]アミノ]安息香酸;
3−[1−(シス−4−カルボキシカルボニル−シス−3−ブチルシクロヘキシル−r−1−カルバモイル)シクロペンチル]−2S−(2−メトキシエトキシメチル)プロパン酸;
N−((2S)−2−(4−ビフェニルメチル)−4−カルボキシ−5−フェノキシバレリル)グリシン;
N−(1−(N−ヒドロキシカルバモイルメチル)−1−シクロペンタンカルボニル)−L−フェニルアラニン;
(S)−(2−ビフェニル−4−イル)−1−(1H−テトラゾール−5−イル)エチルアミノ)メチルホスホン酸;
(S)−5−(N−(2−(ホスホノメチルアミノ)−3−(4−ビフェニル)プロピオニル)−2−アミノエチル)テトラゾール;
β−アラニン;
3−[1,1'−ビフェニル]−4−イル−N−[ジフェノキシホスフィニル)メチル]−L−アラニル;
N−(2−カルボキシ−4−チエニル)−3−メルカプト−2−ベンジルプロパンアミド;
2−(2−メルカプトメチル−3−フェニルプロピオンアミド)チアゾール−4−イルカルボン酸;
(L)−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−メトキシ)カルボニル)−2−フェニルエチル)−L−フェニルアラニル)−β−アラニン;
N−[N−[(L)−[1−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−メトキシ]カルボニル]−2−フェニルエチル]−L−フェニルアラニル]−(R)−アラニン;
N−[N−[(L)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル]−L−フェニルアラニル]−(R)−アラニン;
N−[2−アセチルチオメチル−3−(2−メチル−フェニル)プロピオニル]−メチオニンエチルエステル;
N−[2−メルカプトメチル−3−(2−メチルフェニル)プロピオニル]−メチオニン;
N−[(2S)−メルカプトメチル−3−(2−メチルフェニル)プロパノイル]−(S)−イソセリン;
N−(S)−[3−メルカプト−2−(2−メチルフェニル)プロピオニル]−(S)−2−メトキシ−(R)−アラニン;
N−[1−[[(1S)−ベンジルオキシ−カルボニル−3−フェニルプロピル]アミノ]シクロペンチルカルボニル]−(S)−イソセリン;
N−[1−[[(1S)−カルボニル−3−フェニルプロピル]アミノ]−シクロペンチルカルボニル]−(S)−イソセリン;
1,1'−[ジチオビス−[(2S)−(2−メチルベンジル)−1−オキソ−3,1−プロパンジイル]]−ビス−(S)−イソセリン;
1,1'−[ジチオビス−[(2S)−(2−メチルベンジル)−1−オキソ−3,1−プロパンジイル]]−ビス−(S)−メチオニン;
N−(3−フェニル−2−(メルカプトメチル)−プロピオニル)−(S)−4−(メチルメルカプト)メチオニン;
N−[2−アセチルチオメチル−3−フェニル−プロピオニル]−3−アミノ安息香酸;
N−[2−メルカプトメチル−3−フェニル−プロピオニル]−3−アミノ安息香酸;
N−[1−(2−カルボキシ−4−フェニルブチル)−シクロペンタン−カルボニル]−(S)−イソセリン;
N−[1−(アセチルチオメチル)シクロペンタン−カルボニル]−(S)−メチオニンエチルエステル;
(3S)−[2−(アセチルチオメチル)−3−フェニル−プロピオニル]アミノ−ε−カプロラクタム;
N−(2−アセチルチオメチル−3−(2−メチルフェニル)プロピオニル)−メチオニンエチルエステル。
【0057】
別の態様において、本発明は、以下のものを提供する:
(i)上記の方法のいずれかまたは上記の疾患もしくは障害の処置または予防に用いるための、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、本明細書に記載の式Iまたは式1.1〜1.39のいずれかの化合物、
(ii)本発明のPDE1阻害剤、例えば、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、本明細書に記載の式Iまたは式1.1〜1.39のいずれかの化合物と、例えば、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、中性エンドペプチダーゼ(NEPまたはネプリライシン)阻害剤および/またはホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害剤から選択される心血管障害の処置に有用な第2の治療剤とを含む、上記の組合せ;
(iii)上記のような疾患または状態の処置または予防のための(医薬の製造における)本明細書に記載の遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、式Iまたは式1.1〜1.39のいずれかの化合物、または組合せの使用、
(iv)上記のような疾患または状態の処置または予防における使用のための、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、式Iまたは式1.1〜1.39のいずれかの化合物、本明細書に記載の組合せ、または上記の本発明の医薬組成物。
【0058】
発明の詳細な説明
他に特記しない限りまたは文脈から明らかではない限り、本明細書における以下の用語は以下の意味を有する。
(a)本明細書で用いる場合、「アルキル」とは、飽和または不飽和の、好ましくは飽和の、好ましくは1〜6個の炭素原子、実施態様によっては1〜4個の炭素原子を有し、直鎖または分枝鎖であり得、例えばハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)またはヒドロキシで、一、二または三置換されていてもよい、炭化水素基である。
【0059】
用語「で置換されていてもよい」とは、置換基で置換されているかまたは非置換であることを意図する。一の実施態様において、本発明は、置換されている。別の実施態様において、本発明は非置換である。
【0060】
本発明の化合物、例えば、本明細書に記載の式Iまたは式1.1〜1.39のいずれかの化合物は、遊離形態または塩形態で、例えば酸付加塩として、存在し得る。本明細書において、他に特記しない限り「本発明の化合物」という語句は、いずれかの形態、例えば遊離形態もしくは酸付加塩形態の化合物、または化合物が酸性置換基を含有する場合には塩基付加塩形態での化合物を包含すると解されるべきである。本発明の化合物は、医薬としての使用が意図されており、したがって、薬学的に許容される塩が好ましい。医薬的使用に適さない塩は、例えば、本発明の遊離化合物またはそれらの薬学的に許容される塩の単離または精製に有用であり得、したがって包含される。
【0061】
本発明の化合物は、プロドラッグ形態で存在する場合がある。プロドラッグ形態は、体内で本発明の化合物に変わる化合物である。例えば、本発明の化合物がヒドロキシまたはカルボキシ置換基を含有する場合、これらの置換基は、生理学的に加水分解可能かつ許容されるエステルを形成し得る。本明細書で用いる場合、「生理学的に加水分解可能かつ許容されるエステル」とは、生理学的条件下で加水分解可能であり、投与される投与量で自体が生理学的に耐容性である酸(ヒドロキシ置換基を有する本発明の化合物の場合)またはアルコール(カルボキシ置換基を有する本発明の化合物の場合)を生じる、本発明の化合物のエステルを意味する。したがって、本発明の化合物がヒドロキシ基を含有する場合、例えば化合物−OHの場合、該化合物のアシルエステルプロドラッグ、すなわち、化合物−O−C(O)−C
1−4アルキルは、体内で加水分解して、一方で生理学的に加水分解可能なアルコール(化合物−OH)を、他方で酸(例えば、HOC(O)−C
1−4アルキル)を形成することができる。あるいは、本発明の化合物がカルボン酸を含有する場合、例えば化合物−C(O)OHの場合、該化合物の酸エステルプロドラッグ、化合物−C(O)O−C
1−4アルキルは、加水分解して、化合物−C(O)OHまたはHO−C
1−4アルキルを形成することができる。当然のことではあるが、かくして、該用語は、慣用の医薬プロドラッグ形態を包含する。
【0062】
本発明の化合物は、それらのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびラセミ体、ならびにそれらの多形体、水和物、溶媒和物および複合体を含む。本発明の範囲内のいくつかの個々の化合物は二重結合を含有し得る。本発明における二重結合の表示は、二重結合のE異性体およびZ異性体の両方を含む。加えて、本発明の範囲内のいくつかの化合物は、1つ以上の不斉中心を含有し得る。本発明は、光学的に純粋な立体異性体のいずれか、および立体異性体のあらゆる組み合わせを含む。
【0063】
本発明の化合物がその安定な同位体および不安定な同位体を含むことも意図される。安定な同位体は、同じ種(すなわち、元素)の豊富な核種と比べてさらなる中性子1個を含む非放射性同位体である。このような同位体を含む化合物の活性は保持され、このような化合物はまた非同位体類似体の薬物動態の測定にも有用性があることが期待される。例えば、本発明の化合物のある位置の水素原子を重水素(非放射性の安定な同位体)と置き換え得る。既知の安定な同位体の例としては、重水素、
13C、
15N、
18Oが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、同じ種(すなわち、元素)の豊富な核種と比べてさらなる中性子を含む放射性同位体である不安定な同位体、例えば、
123I、
131I、
125I、
11C、
18Fを、I、CおよびFの対応する豊富な核種と置き換え得る。本発明の化合物の有用な同位体の他の例は、
11C同位体である。これらの放射性同位体は、本発明の化合物の放射性イメージングおよび/または薬物動態研究に有用である。
【0064】
融点は未補正であり、(dec)は分解を意味する。温度は摂氏度(℃)で示し、他に特記しない限り、操作は室温または環境温度、すなわち、18〜25℃の範囲の温度で行う。クロマトグラフィーはフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーを意味し、薄層クロマトグラフィー(TLC)はシリカゲルプレートで行う。NMRデータは、主構造決定的プロトンのデルタ値であり、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS)に対する百万分率(ppm)で示す。シグナルの形状について慣用の略語を使用する。結合定数(J)はHzで示す。マススペクトル(MS)について、同位体分裂により複数マススペクトルピークが生じる場合、最低質量主要イオンを、分子について記戴する。溶媒混合物組成は体積パーセンテージまたは体積比で示す。NMRスペクトルが複雑である場合には構造決定的シグナルのみ示す。
【0065】
本発明の化合物の使用方法
本発明の化合物は、例えば、ドパミンおよび一酸化窒素(NO)のような環状ヌクレオチド合成の阻害または誘導物質のレベル減少に起因するPDE1発現増加またはcGMP/PKG活性の発現減少の結果としての、cGMP/PKG媒介経路の混乱または損傷により特徴付けられる疾患の処置に有用である。PDE1AまたはPDE1Cの阻害により、例えば、この作用がcGMP/PKGシグナル伝達(例えばcGMP増強)の減弱を逆転または予防し、この作用が心肥大を調節すると考えられる。したがって、本明細書に記戴するPDE1阻害剤、例えば、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、本明細書に記戴の式1.1−1.39の化合物の投与または使用は、心肥大を制御する(例えば心肥大を予防するおよび/または逆転させる)可能性のある手段を提供し、ある実施態様において、種々の心血管疾患および障害の処置を提供する。
【0066】
本発明のPDE1阻害剤は、一般に、PDE1に対して選択的(一般に、非特異的な相互作用>10倍、より好ましくは>25倍、さらにより好ましくは>100倍のPDE1に対する親和性)であり、マウスにおいて血漿中にて優れた経口利用能を示し、脳浸透は極めて少ない。本発明のPDE1阻害剤を投与したマウスにおける血液/血漿比は、好ましくは、0.4未満、より好ましくは0.2未満、より好ましくは0.1以下である。
【0067】
本発明のPDE1阻害剤(すなわち、上記式I)は、PDE1阻害剤が別の活性薬剤と同時に、別々に、または逐次的に投与され得る併用療法で用いられ得る。したがって、この組合せは、自由組合せ(free combination)または固定組合せ(fixed combination)であり得る。
【0068】
治療的使用に言及している場合、用語「同時に」とは、2種類以上の活性成分を同じ投与経路で同じ時またはほぼ同じ時に投与することを意味する。
【0069】
治療的使用に言及している場合、用語「別々に」とは、2種類以上の活性成分を異なる投与経路で同じ時またはほぼ同じ頃に投与することを意味する。
【0070】
別の活性薬剤と組み合わせる本発明の化合物の用量は、該薬物の承認された用量、臨床的もしくは文献記載の試験用量、または単剤療法として該薬物に用いられる用量と同じであり得るか、またはより低い用量であり得る。
【0071】
例えば本明細書に記載の本発明の化合物を用いて、cGMP/PKGシグナル伝達の増強によって予防または寛解し得る疾患および障害(例えば、心血管疾患)としては、肥大(例えば、心肥大)、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、鬱血性心不全、狭心症、脳卒中、高血圧症、本態性高血圧症、肺高血圧症、肺動脈高血圧症、二次性肺高血圧症、孤立性収縮期高血圧症、糖尿病関連高血圧症、アテローム性動脈硬化症関連高血圧症、腎血管性高血圧症、腎不全、線維症、炎症性疾患または障害、血管リモデリング、および結合組織疾患または障害(例えば、マルファン症候群)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
一の実施態様において、本明細書に記載の本発明の化合物は、一過性脳虚血発作(TIA)の処置または予防により、脳卒中の処置または予防に有用である。いかなる理論にも縛られないが、本発明の化合物は、脳への血流の量および/または濃度を実際増加させることにより一過性脳虚血発作のリスクを予防または処置し得ると考えられる。本明細書に記戴の化合物は、血液脳関門の顕著な通過がなく、脳への血流を増加させ得ることが意図される。
【0073】
別の実施態様において、本発明は、さらに、以下の疾患または障害の処置または予防のための本発明の化合物の使用を提供する:デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー、およびエメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー。一の実施態様において、本発明の化合物は、上記の型の筋ジストロフィーに伴う心機能不全の処置に有用である。別の実施態様において、本発明の化合物は、潜在的に、これらの上記の型の筋ジストロフィーに伴う心肥大を軽減または逆転させ得る。
【0074】
本明細書で用いる場合、「PDE1阻害剤」とは、実施例1に記載されているかまたはそれと同様の固定化金属親和性粒子試薬PDEアッセイにおいて、例えば1μM未満、好ましくは75nM未満、好ましくは1nM未満のIC
50をもって、cGMPのホスホジエステラーゼ媒介(例えば、PDE1媒介、特にPDE1B媒介)加水分解を選択的に阻害する式Iまたは式1.1−1.39のいずれかの化合物をいう。
【0075】
用語「本発明の化合物」もしくは「本発明のPDE1阻害剤」または類似の用語は、本明細書に記載の化合物の全て、例えば、遊離形態または塩形態の、式Iまたは式1.1−1.39のいずれかの化合物を包含する。
【0076】
用語「処置」および「処置する」とは、それに合うように、疾患の症状の予防および処置または寛解および疾患原因の処置を含むと理解すべきである。
【0077】
処置方法について、用語「有効量」とは、特定の疾患または障害を処置することができる治療有効量を含むことを意図する。
【0078】
用語「患者」はヒトまたは非ヒト(すなわち、動物)患者を含む。特定の実施態様において、本発明は、ヒトおよび非ヒトの両者を含む。別の実施態様において、本発明は非ヒトを含む。他の実施態様において、本用語はヒトを含む。
【0079】
本明細書で用いる場合、用語「含む」は開放末端であることを意図し、記載されていないさらなる要素または方法工程を除外しない。
【0080】
本発明の化合物、例えば、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、本明細書に記載の式Iまたは式1.1−1.39のいずれかの化合物は、唯一の治療剤として使用し得るが、他の活性薬剤と組み合わせて、または共投与にも使用し得る。
【0081】
本発明の実施に際して使用する投与量は、当然、例えば処置する特定の疾患または状態、使用する特定の化合物、投与方法および望む治療に応じて変わる。当該化合物は、経口、非経口、経皮または吸入を含むあらゆる適切な経路で投与され得るが、好ましくは経口投与される。一般に、例えば上記疾患の処置のための、満足のいく結果は、約0.01〜2.0mg/kgの程度の投与量での経口投与により得られることが示唆される。したがって、大型哺乳動物、例えばヒトにおいて、指示される経口投与のための日用量は、約0.75〜300mgの範囲であり、好都合には1日1回または2〜4回の分割量で、または徐放性形態で投与する。かくして、経口投与のための単位投与形態は、例えば本明細書に記載の化合物約0.2〜75または150mgまたは300mg、例えば約0.2または2.0〜10、25、50、75、100、150、200または300mgを薬学的に許容される希釈剤または担体と一緒に含み得る。
【0082】
本発明の化合物を含む医薬組成物は、慣用の希釈剤または賦形剤および製剤分野で知られる技術を使用して製剤し得る。かくして、経口投与形態としては、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤および類似のものが挙げられる。
【0083】
本発明の化合物の製造方法
本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩は、本明細書に記載および例示される方法を使用して、および/またはそれらに類似する方法により、および/または化学分野で知られる方法により、製造され得る。このような方法は下記のものを含むが、これらに限定されない。これらの方法のための出発物質は、市販されていないならば、既知化合物の合成と同様または類似の技術を使用して、化学分野から選択される手順により製造され得る。
【0084】
種々のNEP阻害剤およびその出発物質は、米国特許出願公開第2006−0041014号、欧州特許出願公開第1097719号、米国特許第8,513,244号および米国特許出願公開第2013−0330365号に記載の方法を用いて製造され得る。ここに引用する全ての参考文献は出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する。
【0085】
種々の出発物質および/または本発明の化合物は、国際公開第2006/133261号および国際公開第2009/075784号に記載の方法を用いて製造され得る。ここに引用する全ての参考文献は出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する。
【0086】
用語および略語:
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド、
MeOH=メタノール、
THF=テトラヒドロフラン、
equiv.=当量、
h=時間、
HPLC=高速液体クロマトグラフィー、
LiHMDS=リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、
NMP=1−メチル−2−ピロリジノン、
Pd
2(dba)
3=トリス[ジベンジリデンアセトン]ジパラジウム(0)、
TFA=トリフルオロ酢酸、
TFMSA=トリフルオロメタンスルホン酸、
キサントホス=4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン
【実施例】
【0087】
実施例1: 3−((4−フルオロフェニル)アミノ)−5,7,7−トリメチル−2−(ピリジン−4−イルメチル)−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン
【化4】
【0088】
(a)2−(4−ブロモベンジル)−7−(4−メトキシベンジル)−5−メチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
7−(4−メトキシベンジル)−5−メチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン(161g、562mmol)、1−ブロモ−4−(ブロモメチル)ベンゼン(157g、628mmol)およびK
2CO
3(93.2g、674mmol)のDMF(800mL)中懸濁液を、反応が完了するまで室温で撹拌する。該反応混合物を水(5L)中に注ぐ。濾過後、濾過ケーキを水およびエタノールで連続的に洗浄し、次に、真空乾燥させて、生成物226g(収率:88%)を得る。MS (ESI) m/z 455.1 [M+H]
+。
【0089】
(b)2−(4−ブロモベンジル)−5−メチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
2−(4−ブロモベンジル)−7−(4−メトキシベンジル)−5−メチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン(226g、496mmol)の塩化メチレン(320mL)中懸濁液にTFA(500mL)をゆっくりと添加し、次に、TFMSA(160mL)をゆっくりと添加する。該反応混合物を室温で一夜撹拌する。溶媒を減圧除去する。得られた残留物を水(4L)および酢酸エチル(2L)で処理し、室温で30分間撹拌し、次に、濾過する。濾過ケーキを水で完全に洗浄して残留酸を除去した後、酢酸エチルで洗浄する。得られた白色固体を加熱オーブンで乾燥させて生成物159g(収率:96%)を得る。MS (ESI) m/z 335.0 [M+H]
+。
【0090】
(c)6−クロロ−5−メチル−2−(4−ブロモベンジル)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4(5H)−オン
2−(4−ブロモベンジル)−5−メチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン(159g、475mmol)をPOCl
3(300mL)に懸濁し、次に、ゆっくりと加熱還流させる。該混合物を60時間還流して後、POCl
3を減圧除去する。得られた残留物を塩化メチレン(5L)に溶解し、0℃に冷却し、次に、飽和重炭酸ナトリウムでpH8〜9に調整する。濾過後、得られた固体を水で2回洗浄し、次に、真空乾燥させて、生成物157g(収率:94%)を得る。MS (ESI) m/z 353.0 [M+H]
+。
【0091】
(d)6−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イルアミノ)−5−メチル−2−(4−ブロモベンジル)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4(5H)−オン
6−クロロ−5−メチル−2−(4−ブロモベンジル)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4(5H)−オン(157g、444mmol)および2−アミノ−2−メチルプロパン−1−オール(236g、2.65mol)のNMP(1.3L)中混合物を120〜125℃で2時間加熱し、次に、冷水中に注ぐ。濾過後、濾過ケーキを水で2回洗浄し、次に、真空乾燥させて、生成物134g(収率:74%)を得る。MS (ESI) m/z 406.1 [M+H]
+。
【0092】
(e)2−(4−ブロモベンジル)−7,8−ジヒドロ−5,7,7−トリメチル−[2H]−イミダゾ−[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン
6−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イルアミノ)−5−メチル−2−(4−ブロモベンジル)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4(5H)−オン(134g、330mmol)のDMF(800mL)中溶液に塩化チオニル(67mL、922mmol)を滴下する。該反応混合物を、反応が完了するまで室温で撹拌する。該混合物を冷水中に注ぎ、次に、水酸化アンモニウム水溶液でpH8〜9に調整する。濾過後、得られた固体を水で洗浄し、次に、真空乾燥させて、生成物118g(収率:92%)を得る。MS (ESI) 388.1 [M+H]
+。
【0093】
(f)2−(4−フェノキシベンジル)−7,8−ジヒドロ−5,7,7−トリメチル−[2H]−イミダゾ−[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン
フェノール(57g、606mmol)および炭酸セシウム(200g、614mmol)のNMP(900mL)中懸濁液に2−(4−ブロモベンジル)−7,8−ジヒドロ−5,7,7−トリメチル−[2H]−イミダゾ−[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン(118g、304mmol)を添加した後、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオン(7mL、33.5mmol)およびCuCl(15g、152mmol)を添加する。該反応混合物をアルゴン雰囲気下にて120℃で10時間加熱する。反応完了後、該混合物を水(4L)で希釈し、次に、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を蒸発乾固する。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、生成物103g(収率:84%)を得る。MS (ESI) m/z 402.2 [M+H]
+。
【0094】
(g)7,8−ジヒドロ−5,7,7−トリメチル−[2H]−イミダゾ−[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン
2−(4−フェノキシベンジル)−7,8−ジヒドロ−5,7,7−トリメチル−[2H]−イミダゾ−[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン(103g、257mmol)の塩化メチレン(210mL)中懸濁液にTFA(600mL)を添加して褐色(tan)の溶液を得、次に、TFMSA(168mL)を添加する。該反応混合物を、出発物質が消失するまで室温で撹拌する。該混合物を冷水(3L)中に注ぐ。濾過後、濾過ケーキを水で2回洗浄し、次に、水酸化アンモニウム水溶液で塩基性化した後、撹拌しながら酢酸エチルを添加する。沈殿した固体を濾過し、水で3回、酢酸エチルで2回、そしてメタノールで1回、連続洗浄し、次に、真空乾燥させて、生成物45g(収率:80%)を得る。MS (ESI) m/z 220.2 [M+H]
+。
【0095】
(h)7,8−ジヒドロ−2−(4−メトキシフェニル)−5,7,7−トリメチル−[2H]−イミダゾ−[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン
7,8−ジヒドロ−5,7,7−トリメチル−[2H]−イミダゾ−[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン(3g、13.68mmol)、1−(クロロメチル)−4−メトキシベンゼン(1.99mL、14.37mmol)およびK
2CO
3(3.78g、27.37mmol)のDMF(50mL)中懸濁液を、反応が完了するまで室温で撹拌する。溶媒を除去し、残留物を水で3回(3×70mL)洗浄し、次に、真空乾燥させて、粗生成物4.3g(収率:93%)得、さらなる精製を行わずに次工程に用いる。MS (ESI) m/z 340.2 [M+H]
+。
【0096】
(i)7,8−ジヒドロ−2−(4−メトキシフェニル)−3−クロロ−5,7,7−トリメチル−[2H]−イミダゾ−[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン
25℃にて7,8−ジヒドロ−2−(4−メトキシフェニル)−5,7,7−トリメチル−[2H]−イミダゾ−[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン(4.3g、12.67mmol)およびヘキサクロロエタン(3.33g、13.94mmol)の塩化メチレン(100mL)中溶液にTHF中1.0M LiHMDS(20mL、20mmol)を滴下する。該反応混合物を25℃で30分間撹拌し、次に、水(150mL)でクエンチする。塩化メチレン相を分取し、水相を塩化メチレンで2回(2×60mL)抽出する。合わせた塩化メチレン相をブラインで3回(3×70mL)洗浄し、塩化メチレンを蒸発乾固して粗生成物4.6g(収率:97%)を得、さらなる精製を行わずに次工程に用いる。MS (ESI) m/z 374.1 [M+H]
+。
【0097】
(j)7,8−ジヒドロ−3−クロロ−5,7,7−トリメチル−[2H]−イミダゾ−[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン
7,8−ジヒドロ−2−(4−メトキシフェニル)−3−クロロ−5,7,7−トリメチル−[2H]−イミダゾ−[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン(4.6g、12.31mmol)のTFA(23mL)中懸濁液にTFMSA(1.7mL)をゆっくりと添加する。該反応混合物を室温で一夜撹拌する。溶媒を減圧除去する。得られた残留物を水(100mL)で処理し、次に、0℃にて28%水酸化アンモニウム(10mL)でpH8〜9に調整する。濾過後、濾液を約15mLに濃縮し、次に、塩化メチレン中10%メタノール(5×60mL)で抽出する。合わせた有機相を蒸発乾固して、粗生成物1.94g(収率:62%)を得、さらなる精製を行わずに次工程に用いる。MS (ESI) m/z 254.1 [M+H]
+。
【0098】
(k)7,8−ジヒドロ−2−(ピリジン−4−イル−メチル)−3−クロロ−5,7,7−トリメチル−[2H]−イミダゾ−[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン
7,8−ジヒドロ−3−クロロ−5,7,7−トリメチル−[2H]−イミダゾ−[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン(200mg、0.788mmol)、4−クロロメチルピリジン(151mg、0.946mmol)およびK
2CO
3(545mg、3.94mmol)のDMF(7mL)中懸濁液を、反応が完了するまで(約2時間)95℃で撹拌する。溶媒を除去し、得られた粗生成物を24g中性酸化アルミニウムカートリッジで精製し、ヘキサン中0〜100%酢酸エチル勾配液で15分間にわたって溶離し、次に、酢酸エチルで流速25ml/分にて30分間溶離して、生成物128mg(収率:47%)を得る。MS (ESI) m/z 345.1 [M+H]
+。
【0099】
(l)7,8−ジヒドロ−2−(ピリジン−4−イル−メチル)−3−(4−フルオロフェニルアミノ)−5,7,7−トリメチル−[2H]−イミダゾ−[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン
7,8−ジヒドロ−2−(ピリジン−4−イル−メチル)−3−クロロ−5,7,7−トリメチル−[2H]−イミダゾ−[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン(120mg、0.348mmol)、4−フルオロ−ベンゼンアミン(36μL、0.383mmol)および炭酸カリウム(96mg、0.696mmol)のtert−アミルアルコール(2.3mL)中懸濁液をアルゴンで脱気し、次に、キサントホス(8.1mg、0.0139mmol)およびPd
2(dba)
3(6.4mg、0.00696mmol)を添加する。該懸濁液を再度脱気し、次に、110℃に加熱する。該反応混合物をアルゴン下にて110℃で8時間撹拌する。室温まで冷却した後、該混合物を濾過する。濾液を減圧下にて蒸発乾固する。得られた残留物をDMFで処理し、次に、マイクロフィルターで濾過する。濾液を、0.1%ギ酸を含有する水中0〜20%アセトニトリル勾配液を用いてセミ分取HPLCシステムで16分間にわたって精製して、ギ酸塩として最終生成物84mgを得る(HPLC純度:98%;収率:52%)。1H NMR (500 MHz, Chloroform-d) δ 8.50 (d, J = 5.0 Hz, 2H), 8.18 (s, 1H), 7.26 (s, 1H), 6.97 - 6.93 (m, 2H), 6.90 - 6.76 (m, 4H), 4.84 (s, 2H), 3.72 (s, 2H), 3.37 (s, 3H), 1.45 (s, 6H). MS (ESI) m/z 420.2 [M+H]
+。
【0100】
実施例2: 3−((4−フルオロフェニル)アミノ)−5,7,7−トリメチル−2−((2−メチルピリミジン−5−イル)メチル)−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン
【化5】
【0101】
(a)7,8−ジヒドロ−2−(2−メチル−ピリミジン−5−イル−メチル)−5,7,7−トリメチル−[2H]−イミダゾ−[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン
7,8−ジヒドロ−5,7,7−トリメチル−[2H]−イミダゾ−[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン(200mg、0.92mmol)、5−(クロロメチル)−2−メチルピリミジン(136mg、0.84mmol)およびK
2CO
3(350mg、2.56mmol)のDMF(6mL)中懸濁液を、反応が完了するまで室温で撹拌する。該反応混合物を濾過し、濾過ケーキをDMFですすぐ。回収した濾液を蒸発乾固して、粗生成物242mg(粗収率:78%)を得、さらなる精製を行わずに次工程に用いる。MS (ESI) m/z 326.2 [M+H]
+。
【0102】
(b)7,8−ジヒドロ−2−(2−メチル−ピリミジン−5−イル−メチル)−3−クロロ−5,7,7−トリメチル[2H]−イミダゾ−[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン
25℃で7,8−ジヒドロ−2−(2−メチル−ピリミジン−5−イル−メチル)−5,7,7−トリメチル−[2H]−イミダゾ−[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン(370mg、1.14mmol)およびヘキサクロロエタン(807mg、3.42mmol)の塩化メチレン(4mL)中溶液にTHF中1.0M LiHMDS(1.14mL、1.14mmol)を滴下する。該反応混合物を室温で30分間撹拌し、次に、塩化メチレン(100mL)で希釈する。該混合物をNaHCO
3飽和溶液(15mL)およびブライン(15mL)で連続洗浄し、次に、蒸発乾固する。得られた粗生成物を24g塩基性酸化アルミニウムカートリッジで精製し、酢酸エチルで流速25mL/分にて溶離して、生成物402mg(収率:95%)を得る。MS (ESI) m/z 360.1 [M+H]
+。
【0103】
(c)7,8−ジヒドロ−2−(2−メチル−ピリミジン−5−イル−メチル)−3−(4−フルオロフェニルアミノ)−5,7,7−トリメチル−[2H]−イミダゾ−[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン
7,8−ジヒドロ−2−(2−メチル−ピリミジン−5−イル−メチル)−3−クロロ−5,7,7−トリメチル−[2H]−イミダゾ−[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン(350mg、0.973mmol)、4−フルオロベンゼンアミン(110μL、1.167mmol)および炭酸カリウム(269mg、1.946mmol)のtert−アミルアルコール(3.0mL)中懸濁液をアルゴンで脱気し、次に、キサントホス(45mg、0.0778mmol)およびPd
2(dba)
3(36mg、0.039mmol)を添加する。該懸濁液を再度脱気し、次に、110℃に加熱する。該反応混合物をアルゴン下で110℃にて24時間撹拌する。室温に冷却した後、該混合物を濾過する。濾液を減圧下にて蒸発乾固する。得られた残留物をDMFで処理し、次に、マイクロフィルターで濾過する。濾液を、0.1%ギ酸を含有する水中0〜20%アセトニトリル勾配液を用いてセミ分取HPLCシステムで16分間にわたって精製して、ギ酸塩として、最終生成物356mg(HPLC純度:97%;収率:74%)を得る。1H NMR (500 MHz, Chloroform-d) δ 8.34 (s, 2H), 7.17 (s, 1H), 7.05 - 7.01 (m, 2H), 6.97 - 6.94 (m, 2H), 4.84 (s, 2H), 3.75 (s, 2H), 3.37 (s, 3H), 2.70 (s, 3H), 1.48 (s, 6H). MS (ESI) m/z 435.2 [M+H]
+。
【0104】
実施例3: 3−((4−フルオロフェニル)アミノ)−5,7,7−トリメチル−2−(ピリジン−3−イルメチル)−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン
【化6】
合成方法は実施例2と類似しており、工程(a)において5−(クロロメチル)−2−メチルピリミジンの代わりに3−クロロメチルピリジンを添加する。ギ酸塩として最終生成物(HPLC純度:96%;収率:43%)を得る。1H NMR (500 MHz, Chloroform-d) δ 8.52 - 8.5 (m, 2H), 8.23 (s, 1H), 7.35 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 7.22 - 7.19 (m, 1H), 7.01 - 6.936.98 (m, 2H), 6.94 - 6.91 (m, 2H), 4.89 (s, 2H), 3.78 (s, 2H), 3.42 (s, 3H), 1.50 (s, 6H). MS (ESI) m/z 420.2 [M+H]
+。
【0105】
実施例4: (6aR,9aS)−2−(4−(6−ヒドロキシピリジン−2−イル)ベンジル)−5−メチル−3−(フェニルアミノ)−5,6a,7,8,9,9a−ヘキサヒドロシクロペンタ[4,5]イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(2H)−オン
【化7】
(6aR,9aS)−2−(4−(6−フルオロピリジン−2−イル)ベンジル)−5−メチル−3−(フェニルアミノ)−5,6a,7,8,9,9a−ヘキサヒドロシクロペンタ[4,5]イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4−(2H)−オン(20mg、0.039mmol)をガラス融点管(glass melting point tube)に入れ、次に、240℃で90分間加熱する。室温に冷却した後、該物質をDMFに溶解し、次に、0.1%ギ酸を含有する水中0〜24%アセトニトリル勾配液を用いてセミ分取HPLCシステムで16分間にわたって精製して、白色固体として標記化合物12mg(HPLC純度:99%;収率:60%)を得る。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 10.47 (s, 1H), 7.49 - 7.35 (m, 3H), 7.28 - 7.16 (m, 2H), 7.09 - 6.97 (m, 3H), 6.95 (s, 1H), 6.87 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 6.46 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 6.35 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 4.89 (s, 2H), 4.78 - 4.61 (m, 2H), 3.32 (s, 3H), 2.21 (dd, J = 12.8, 6.1 Hz, 1H), 2.07 - 1.90 (m, 1H), 1.86 - 1.43 (m, 4H). MS (ESI) m/z 506.2 [M+H]
+。
【0106】
実施例5: 4−(((6aR,9aS)−5−メチル−4−オキソ−3−(フェニルアミノ)−4,5,7,8,9,9a−ヘキサヒドロシクロペンタ[4,5]イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−2(6aH)−イル)メチル)ベンゼンスルホンアミド
【化8】
(6aR,9aS)−5−メチル−3−(フェニルアミノ)−5,6a,7,8,9,9a−ヘキサヒドロシクロペンタ[4,5]イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4−(2H)−オン(100mg、0.31mmol)、4−(ブロモメチル)ベンゼンスルホンアミド(93mg、0.37mmol)およびK
2CO
3(52mg、0.37mmol)のDMF(3mL)中懸濁液を、反応が完了するまで室温で撹拌する。該反応混合物を濾過し、回収した濾液を、0.1%ギ酸を含有する水中0〜35%アセトニトリル勾配液を用いてセミ分取HPLCシステムで16分間にわたって精製して、オフホワイト色の固体として標記化合物(33mg;HPLC純度:97%;収率:22%)を得る。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.80 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.32 - 7.26 (m, 2H), 7.16 - 7.11 (m, 1H), 7.08 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.02 (s, 1H), 6.93 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 5.01 - 4.89 (m, 2H), 4.84 (br, 2H), 4.83 - 4.76 (m, 2H), 3.37 (s, 3H), 2.28 (dd, J = 12.5, 6.1 Hz, 1H), 2.18 - 1.72 (m, 4H), 1.68 - 1.55 (m, 1H). MS (ESI) m/z 492.2 [M+H]
+。
【0107】
実施例6: 3−((4−フルオロフェニル)アミノ)−5,7,7−トリメチル−2−((6−メチルピリジン−3−イル)メチル)−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン
【化9】
(a)7−(4−メトキシベンジル)−5−メチル−2−((6−メチルピリジン−3−イル)メチル)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
7−(4−メトキシベンジル)−5−メチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン(6.28g、22mmol)、5−(クロロメチル)−2−メチルピリジン(3.1g、22mmol)およびK
2CO
3(15g、110mmol)のDMF(30mL)およびCH
2Cl
2(30mL)中懸濁液を、反応が完了するまで室温で撹拌する。該反応混合物を水(300mL)で希釈し、次に、CH
2Cl
2(60mL×3)で抽出する。合わせた有機相を5%クエン酸(40mL×3)およびブライン(40mL×2)で洗浄し、次に、減圧下にて蒸発乾固して、薄黄色の固体として生成物9.5gを得る。MS (ESI) m/z 392.2 [M+H]
+。
【0108】
(b)3−クロロ−7−(4−メトキシベンジル)−5−メチル−2−((6−メチルピリジン−3−イル)メチル)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
室温で7−(4−メトキシベンジル)−5−メチル−2−((6−メチルピリジン−3−イル)メチル)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン(783mg、2.0mmol)およびヘキサクロロエタン(495mg、2.1mmol)の塩化メチレン(5mL)中溶液にTHF中1.0M LiHMDS(8mL、8mmol)を滴下する。該反応混合物を室温で1時間撹拌し、次に、水(100mL)でクエンチする。塩化メチレン相を分取し、水相を塩化メチレン(20mL×3)で抽出する。合わせた塩化メチレン相を蒸発乾固する。残留物を、酢酸エチル中0%〜20%メタノール勾配液を用いてシリカカラムで精製して、生成物(370mg、収率43%)を得る。MS (ESI) m/z 426.1 [M+H]
+。
【0109】
(c)3−(4−フルオロフェニルアミノ)−7−(4−メトキシベンジル)−5−メチル−2−((6−メチルピリジン−3−イル)メチル)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
3−クロロ−7−(4−メトキシベンジル)−5−メチル−2−((6−メチルピリジン−3−イル)メチル)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン(210mg、0.49mmol)、4−フルオロ−ベンゼンアミン(108mg、0.97mmol)および炭酸カリウム(202mg、1.46mmol)のtert−アミルアルコール(2.5mL)中懸濁液をアルゴンで脱気し、次に、キサントホス(14mg、0.024mmol)およびPd
2(dba)
3(12mg、0.013mmol)を添加する。該懸濁液を再度脱気し、次に、110℃に加熱する。該反応混合物をアルゴン下にて110℃で24時間撹拌する。室温に冷却した後、該混合物を水(100mL)で希釈し、次に、CH
2Cl
2(30mL×3)で抽出する。合わせた有機相を減圧下にて蒸発乾固して、粗生成物250mgを得、さらなる精製を行わずに次工程に用いる。MS (ESI) m/z 501.3 [M+H]
+。
【0110】
(d)3−(4−フルオロフェニルアミノ)−5−メチル−2−((6−メチルピリジン−3−イル)メチル)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
粗3−(4−フルオロフェニルアミノ)−7−(4−メトキシベンジル)−5−メチル−2−((6−メチルピリジン−3−イル)メチル)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン(250mg)の塩化メチレン(6mL)中懸濁液にTFA(1mL)をゆっくりと添加し、次に、TFMSA(0.5mL)をゆっくりと添加する。該反応混合物を室温で1時間撹拌する。溶媒を減圧除去する。残留物をCH
2Cl
2(10mL)に溶解し、次に、冷NaHCO
3飽和水溶液(30mL)中にゆっくりと添加した後、CH
2Cl
2(15mL×3)で抽出する。合わせた有機相を減圧下にて蒸発乾固し、さらに、真空ポンプで乾燥させて、粗生成物300mgを得、さらなる精製を行わずに次工程に用いる。MS (ESI) m/z 381.1 [M+H]
+。
【0111】
(e)6−クロロ−3−(4−フルオロフェニルアミノ)−5−メチル−2−((6−メチルピリジン−3−イル)メチル)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4(5H)−オン
粗3−(4−フルオロフェニルアミノ)−5−メチル−2−((6−メチルピリジン−3−イル)メチル)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン(180mg)をPOCl
3(10mL)に懸濁させ、次に、マイクロ波反応器にて180℃で1時間加熱する。該混合物を室温まで冷却した後、POCl
3を減圧除去する。得られた残留物をヘキサンで洗浄し、次に、CH
2Cl
2:MeOH(10:1)に溶解する。該溶液をNaHCO
3飽和水溶液で洗浄し、次に、CH
2Cl
2:MeOH(10:1)で3回抽出する。合わせた有機相を減圧下にて蒸発乾固し、次に、さらに真空乾燥させて、灰色の固体として粗生成物120mgを得、さらなる精製を行わずに次工程に用いる。MS (ESI) m/z 399.1 [M+H]
+。
【0112】
(f)3−(4−フルオロフェニルアミノ)−6−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イルアミノ)−5−メチル−2−((6−メチルピリジン−3−イル)メチル)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4(5H)−オン
密閉バイアル中の粗6−クロロ−3−(4−フルオロフェニルアミノ)−5−メチル−2−((6−メチルピリジン−3−イル)メチル)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4(5H)−オン(120mg)、DIPEA(0.6mL)および2−アミノ−2−メチルプロパン−1−オール(300mg、3.4mmol)のDMA(10mL)中混合物を105℃で20時間加熱する。室温まで冷却した後、該混合物をNaHCO
3飽和水溶液(100mL)で希釈し、次に、CH
2Cl
2(30mL×3)で抽出する。合わせた有機相を減圧下にて蒸発乾固する。残留物を、0.1%ギ酸を含有する水中0〜20%アセトニトリル勾配液を用いてセミ分取HPLCシステムで16分間にわたって精製して、生成物26mgを得る。MS (ESI) m/z 452.2 [M+H]
+。
【0113】
(g)3−((4−フルオロフェニル)アミノ)−5,7,7−トリメチル−2−((6−メチルピリジン−3−イル)メチル)−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン
3−(4−フルオロフェニルアミノ)−6−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イルアミノ)−5−メチル−2−((6−メチルピリジン−3−イル)メチル)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4(5H)−オン(26mg、0.058mmol)のDMF(0.5mL)およびCH
2Cl
2(1mL)中溶液に塩化チオニル(2滴)を滴下する。該反応混合物を室温で30分間撹拌する。溶媒を減圧除去した後、残留物を、0.1%ギ酸を含有する水中0〜20%アセトニトリル勾配液を用いてセミ分取HPLCシステムで16分間にわたって精製して、オフホワイト色の固体として生成物13.9mg(収率56%;HPLC純度:95%)を得る。
1H NMR (500 MHz, Chloroform-d) δ 8.12 (s, 1H), 7.29 - 7.25 (m, 1H), 7.06 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.00 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 6.97 - 6.89 (m, 2H), 4.83 (s, 2H), 3.74 (s, 2H), 3.37 (s, 3H), 2.52 (s, 3H), 1.47 (s, 6H). MS (ESI) m/z 434.2 [M+H]
+。
【0114】
実施例7: 4−((3−((4−フルオロフェニル)アミノ)−5,7,7−トリメチル−4−オキソ−4,5,7,8−テトラヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−2−イル)メチル)ベンゼンスルホンアミド
【化10】
3−((4−フルオロフェニル)アミノ)−5,7,7−トリメチル−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン(132mg、0.50mmol)、4−(ブロモメチル)ベンゼンスルホンアミド(101mg、0.40mmol)およびNa
2CO
3(43mg、0.41mmol)のDMF(4mL)中懸濁液を室温で一夜撹拌する。該反応混合物を濾過し、回収した濾液を、0.1%ギ酸を含有する水中0〜20%アセトニトリル勾配液を用いてセミ分取HPLCシステムで16分間にわたって精製して、オフホワイト色の固体として標記化合物(8.8mg;HPLC純度:97%)を得る。
1H NMR (500 MHz, Chloroform-d) δ 7.81 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.09 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 6.97 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 6.93 - 6.86 (m, 3H), 4.88 (s, 2H), 4.79 (br, 2H), 3.71 (s, 2H), 3.36 (s, 3H), 1.43 (s, 6H). MS (ESI) m/z 498.1 [M+H]
+。
【0115】
実施例8: 3−((4−フルオロフェニル)アミノ)−2−(4−(6−ヒドロキシピリジン−2−イル)ベンジル)−5,7,7−トリメチル−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン
【化11】
3−((4−フルオロフェニル)アミノ)−2−(4−(6−フルオロピリジン−2−イル)ベンジル)−5,7,7−トリメチル−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン(350mg、0.68mmol)を水(3mL)に懸濁させた後、濃HCl(3mL)およびジオキサン(6mL)を添加する。該混合物を24時間還流させながら加熱する。溶媒を減圧除去した後、残留物を、1%ギ酸を含有する水中0〜22%アセトニトリル勾配液を用いてセミ分取HPLCシステムで16分間精製してオフホワイト色の固体として標記化合物240mg(HPLC純度:95%;収率:69%)を得る。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.59 - 7.46 (m, 3H), 7.10 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.02 - 6.85 (m, 4H), 6.55 (dd, J = 9.1, 1.0 Hz, 1H), 6.47 (dd, J = 7.0, 1.0 Hz, 1H), 4.96 (s, 2H), 3.79 (s, 2H), 3.37 (s, 3H), 1.50 (s, 6H). MS (ESI) m/z 512.2 [M+H]
+。
【0116】
実施例9: 2−(4−(6−ヒドロキシピリジン−2−イル)ベンジル)−3,5,7,7−テトラメチル−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン
【化12】
合成方法は実施例8と類似しており、出発物質として3−((4−フルオロフェニル)アミノ)−2−(4−(6−フルオロピリジン−2−イル)ベンジル)−5,7,7−トリメチル−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オンの代わりに2−(4−(6−フルオロピリジン−2−イル)ベンジル)−3,5,7,7−テトラメチル−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オンを使用する。最終生成物を白色固体として得る(HPLC純度:98%;収率:65%)。
1H NMR (500 MHz, Chloroform-d) δ 8.13 (s, 1H), 7.65 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.57 (dd, J = 9.1, 7.0 Hz, 1H), 7.29 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 6.61 (dd, J = 9.2, 1.0 Hz, 1H), 6.56 (dd, J = 7.1, 1.0 Hz, 1H), 5.28 (s, 2H), 3.82 (s, 2H), 3.50 (s, 3H), 2.57 (s, 3H), 1.51 (s, 6H). MS (ESI) m/z 417 [M+H]
+。
【0117】
実施例10: 3−エチル−2−(4−(6−ヒドロキシピリジン−2−イル)ベンジル)−5,7,7−トリメチル−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン
【化13】
密閉マイクロ波バイアル中の3−エチル−2−(4−(6−フルオロピリジン−2−イル)ベンジル)−5,7,7−トリメチル−7,8−ジヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(5H)−オン(865mg、2.0mmol)の1N HCl(3mL)中溶液をマイクロ波反応器中にて100℃で1時間加熱する。室温まで冷却した後、該混合物を1N NaOHでpH5〜6に中和し、DMF 9mLで希釈し、次に、濾過する。濾液を、1%ギ酸を含有する水中0〜19%アセトニトリル勾配液を用いてセミ分取HPLCシステムで16分間にわたって精製して、オフホワイト色の固体として標記化合物150mg(HPLC純度:99%;収率:17%)を得る。MS (ESI) m/z 431 [M+H]
+。
【0118】
実施例11: IMAPホスホジエステラーゼアッセイキットを使用するインビトロPDEIB阻害の測定
ホスホジエステラーゼ1(PDE1A、PDE1BおよびPDE1Cを含む)は、環状グアノシン一リン酸(cGMP)を5'−グアノシン一リン酸(5'−GMP)に変換するカルシウム/カルモジュリン依存性ホスホジエステラーゼ酵素である。PDEIBはまた、蛍光分子cGMP−フルオレセインのような修飾cGMP基質を、対応するGMP−フルオレセインに変換できる。cGMP−フルオレセインからのGMP−フルオレセインの産生は、例えば、IMAP(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)固定化金属親和性粒子試薬を使用して定量できる。
【0119】
簡単にいうと、IMAP試薬は、GMP−フルオレセインに見られ、cGMP−フルオレセインに見られない、遊離5'−ホスフェートに高親和性で結合する。得られたGMP−フルオレセイン−IMAP複合体は、cGMP−フルオレセインに比して大きい。大きく、ゆっくり回転している大きな複合体と密接な関係がある小さなフルオロフォアは、それらが蛍光を発して放出される光子が、蛍光を励起させるのに使用する光子と同じ極性を維持するため、未結合フルオロフォアと区別できる。
【0120】
該ホスホジエステラーゼアッセイにおいて、IMAPと結合できず、それゆえにわずかな蛍光極性化を維持するcGMP−フルオレセインを、IMAPと結合したとき、蛍光極性化(Δmp)を大きく増加させるGMP−フルオレセインに変換させる。したがって、ホスホジエステラーゼの阻害は、Δmpの減少として測定される。
【0121】
酵素アッセイ
材料::Molecular Devices(Sunnyvale, CA)から入手可能なIMAP試薬(反応緩衝液、結合緩衝液、FL−GMPおよびIMAPビーズ)以外の全ての化学物質はSigma-Aldrich(St. Louis, MO)から入手可能である。
【0122】
アッセイ:次のホスホジエステラーゼ酵素を使用し得る。3’,5'−環状−ヌクレオチド−特異的ウシ脳ホスホジエステラーゼ(Sigma, St. Louis, MO)(主にPDEIBであるがPDE1AおよびPDE1Cも含有する)、および当業者が例えばHEKまたはSF9細胞において製造し得る組換え全長ヒトPDElA、PDE1BおよびPDE1C。PDEl酵素を、50%グリセロールで2.5U/mlに再構成する。酵素1単位は、pH7.5、30℃で1分あたり1.0μmolの3’,5'−cAMPを5'−AMPに加水分解する。1部の酵素を1999部の反応緩衝液(30μM CaCl
2、10U/mlのカルモジュリン(Sigma P2277)、10mM Tris−HCl pH7.2、10mM MgCl
2、0.1%BSA、0.05%NaN
3)に添加して、最終濃度1.25mU/mlとする。希釈酵素溶液99μlを平底96ウェルポリスチレンプレートの各ウェルに添加し、そこに100%DMSOに溶解した試験化合物1μlを添加する。化合物を酵素と混合し、室温で10分間プレインキュベートする。4部の酵素および阻害剤混合物と1部の基質溶液(0.225μM)を384ウェルマイクロタイタープレート中で併せることにより、FL−GMP変換反応を開始させる。反応物を、暗所にて室温で15分間インキュベートする。結合試薬(1:1800希釈の消泡剤を添加した結合緩衝液中の1:400希釈のIMAPビーズ)60μlを384ウェルプレートの各ウェルに添加して反応停止させる。該プレートを室温で1時間インキュベートして、IMAP結合を完了するまで進行させ、次に、Envisionマルチモードマイクロプレートリーダー(PerkinElmer, Shelton, CT)に入れて、蛍光極性化(Δmp)を測定する。
【0123】
Δmpの減少により測定したGMP濃度減少は、PDE活性阻害の指標である。IC
50値を、0.0037nM〜80,000nMの範囲の8〜16種類の濃度の化合物の存在下で酵素活性を測定し、薬物濃度対Δmpをプロットし、これにより、IC
50値を非線形回帰ソフトウェア(XLFit;IDBS, Cambridge, MA)を使用して概算することが可能となる。
【0124】
本発明の化合物をPDE1阻害活性について本明細書に記載されているかまたはそれと同様のアッセイで試験し、該化合物は、一般に、75nM未満のウシPDE1に対するIC
50および/または10nM未満のPDE1B(HEK/Sf9)に対するIC
50ならびに/または1nM未満のPDE1A(HEK)および/もしくはPDE1C(HEK)に対するIC
50を有する。
【0125】
実施例12: 本発明の化合物の薬物動態分析
動物:雄性、C57BL/6マウス(JacksonLabs、体重25〜30g)がJackson Laboratoriesから提供される。1つのケージに5匹までのマウスを収容し、食餌および水を自由に摂取可能にして12時間明/暗サイクル下に維持する。動物の取り扱いおよび使用の手順はすべて、NIHガイドラインに従って、コロンビア大学の動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)(IACUC)のガイドラインに従う。8週齢のマウス(N=3/投与レベルまたは処置グループ)を実験に用いる。
【0126】
実験的処置:化合物:選択した本発明の化合物を本研究において評価する。製剤化/ビヒクル:1N HCl 3%、ラブラゾル(Labrasol)5%および0.05Mクエン酸緩衝液(CB、pH4.0)中5%TPGS 92%。試験化合物をビヒクル中溶液として調製し、8ml/kgの量で投与する。
【0127】
化合物調製:試験化合物の粉末貯蔵物を計量し、1N HCl 3%、ラブラゾル5%および0.05Mクエン酸緩衝液(CB、pH4.0)中5%TPGS 92%に溶解する。混合を促進するために10mlガラス管の底に3mmガラスビーズを2層または3層に加える。該管をベンチトップボルテックスミキサー(benchtop vortex mixer)を用いて混合し、次に、VWRソニケーター(モデル750)を使用して、薬物の粉末がビヒクル溶液に完全に溶解するまで約5分間超音波処理する。
【0128】
動物の処置:マウス(N=3匹のマウス/投与/時点)に、0時点に試験化合物10mg/kgを経口投与(PO)させる。薬物投与の0.25時間後、0.5時間後、1時間後、または2時間後の特定の時点でグループのマウスを屠殺する。脳組織を回収し、分析するまで−80℃で冷凍する。パスツールピペット(VWR、カタログ番号53283−911)を使用して後眼窩静脈の穿刺によって該マウスから血液を回収し、次に、0.105Mクエン酸ナトリウム溶液を含有するシリコン被覆採血管(BD Vacutainer、#366392、FranklinLakes、NJ)に入れる。血液試料を4℃にて8000gの速度で40分間遠心分離し(TOMY、冷凍したベンチトップマイクロセントリフュージ、Fremont、CA 94583)、血漿をEppendorf管にデカントし、分析するまで−80℃で冷凍する。血漿および脳組織試料を処理し、以下に記載するLC−MS/MS法を用いて分析グループによって分析する。
【0129】
試料調製:以下のとおり、分析のために血漿の試料を調製する:以下のとおり、血漿試料50μLを500μlポリプロピレンマイクロチューブ(Eppendorf Cat# 022363611)に移す:
【表1】
【0130】
各管を渦巻混合し、次に、15000rpmで20分間遠心分離する。上清を回収し、次に、質量分光分析のために各100μLを96ウェルポリプロピレンElisaプレートに移す。
【0131】
以下のとおり分析のために脳ホモジネートの試料を調製した:脳組織約0.5gを計量し、Milli−Q水1mLと一緒にホモジナイズする。次に、得られたホモジネート60μLをきれいな500μLポリプロピレンマイクロチューブ(Eppendorf Cat# 022363611)に移し、以下に示すとおり処理する:
【表2】
【0132】
各管を渦巻撹拌し、次に、4℃にてTomyベンチトップセントリフュージを用いて15000rpmで20分間遠心分離する。標準は、LC−MS/MS定量化のために用いられる内部標準である。次に、質量分光分析のために各上清150μLを96ウェルプレートに移す。必要な反復分析まで残りの血漿またはホモジネートを約−20℃で貯蔵する。各試験試料について、0.5〜500ng/mLの範囲をカバーする較正曲線を作成する。
【0133】
HPLCおよび質量分光分析:以下のパラメータを用いて、逆相HPLCの後に質量分光検出を使用して、血漿および脳ホモジネート中の各化合物の濃度を定量化する分析を行う:
【表3】
各化合物を検出し、Waters QuattroMicro
TM質量分光分析システムを有する陽性エレクトロスプレーモードのMultiple Reaction Monitoring(MRM)を用いて定量化する。
【0134】
結果:血漿および脳分析:試験した試験化合物はすべて、対照血漿に添加した場合に検出され、分析することができた。標準曲線が試料の分析前に確立され、血漿において0.5〜1500ng/mLの範囲および脳において0.5〜500ng/mLの範囲にわたって線形をもたらす。各化合物の血漿内レベルおよび脳内レベルが測定され、各時点での各化合物について平均+標準偏差として表される。データの目視検査によって、各化合物の脳および血漿C
max値およびT
max値を推定する。脳/血漿濃度比(B/P)は、また、脳AUC(0〜2時間)/血漿AUC(0〜2時間)または脳C
max/血漿C
maxを割ることによって各化合物について算出される。
【0135】
結果:記載されているかまたはそれと同様の手順を使用して、実施例2〜6および8〜10の化合物が試験され、相応して低い脳暴露をもって血漿に対して優れた経口バイオアベイラビリティを示す(0.02〜0.33の範囲のB/P比)。特に、実施例4〜5および7〜10の化合物は、B/P比が約0.05未満である。実施例1〜3の化合物は、B/P比が約0.1以下である。実施例6の化合物は、B/P比が約0.3である。対照的に、(6aR,9aS)−3−(フェニルアミノ)−5,6a,7,8,9,9a−ヘキサヒドロ−5−メチル−2−(4−(トリフルオロメチル)−ベンジル)−シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(2H)−オンのB/P比は約4.5〜4.8である。
【0136】
実施例13: PDE1阻害のイソプロテレノール誘発心肥大に対する効果:
マウスがイソプロテレノールで処理されているマウスモデルにおいて、実施例2の化合物を試験する。かかるモデルは、心臓または心臓組織の拡張が関与する疾患または障害、例えば、鬱血性心疾患を推定するのに有用であり得る。
【0137】
動物:129S1/SvlmJマウス、20〜40g、Jackson Laboratories(Bar Harbor、ME)。
数および性:雄40匹。
収容および強化(housing and enrichment):研究の間、動物は、環境が制御された部屋で靴箱スタイルのケージに個別に収容される。
食餌:動物は自由に標準的な食餌が提供される。
水:動物は自由に水道水が提供される。
汚染物質:本研究を妨害する食餌または水における公知の汚染物質はない。
環境条件:動物室の温度は、18〜24℃を維持するように設定される。研究手順によって中断されない限り、12時間暗サイクルは実行される。
動物選別:動物は、健康状態、体重、または必要に応じて他の関連するデータに基づいて当該研究のために選択される。
【0138】
実施例2の試験化合物:実施例2の試験化合物は粉末で供給される。試験物質投与溶液は、当日に、2.0mg/mL貯蔵/投与溶液の濃度でビヒクル(注射用0.9%塩化ナトリウム、U.S.P.)に試験化合物を溶解することによって調製される。該化合物を、ボルテックスミキサーを用いて撹拌し、超音波処理して化合物を確実に溶液にする。該2.0mg/mL溶液をビヒクルで希釈して0.2mg/mLおよび0.6mg/mLの投与溶液を得る。投与溶液を毎日の投与の間に冷蔵庫内に貯蔵し、夕方の投与前に室温に戻す。
【0139】
イソプロテレノール試験化合物:イソプロテレノール試験化合物は、Sigma(St.Louis、MO)によって粉末として供給される。試験物質投与溶液は、該試験化合物を2.0mg/mLの濃度でビヒクル(注射用0.9%塩化ナトリウム、U.S.P.)に溶解することによって、投与の当日に調製される。該化合物をボルテックスミキサーで撹拌し、超音波処理して化合物を確実に溶液にする。
【表4】
【0140】
グループ1および2のマウスには、毎日皮下投与により投与する。
【0141】
7、10および14日目に、グループ1および2からの動物2匹を計量し、次に、CO2窒息により安楽死させる。心臓を回収し、氷冷生理食塩水を穏やかに注いできれいにする。心臓全体を計量する。心房を取り出し、左心室(隔壁と一緒に)を右心室から分離する。両心室を別々に計量する。左脛骨を取り出し、軟部組織がら分離する。デジタル式マイクロメータで縦方向の測定値を得る。
【0142】
グループ3〜6のマウスには、4〜9日目からイソプロテレノールを1日1回経皮投与し、1〜9日目から腹腔内投与によりビヒクルまたは試験化合物を1日2回投与する。
【0143】
グループ3〜6の最終手順
10日目(グループ1および2から得た結果に基づく)、各グループからの動物を計量し、次に、CO2窒息により安楽死させる。心臓を回収し、氷冷クレブス−ヘンゼライト緩衝液(Sigma 3753)を穏やかに注いできれいにする。心臓全体を計量する。心房を取り出し、左心室(隔壁と一緒に)を右心室から分離する。両心室を別々に計量する。両心室を氷冷クレブス−ヘンゼライト緩衝液中にて約15分間貯蔵し、次に、将来可能な分析のために可能な輸送(ship)まで、室温で10%緩衝ホルマリンに移す。
【0144】
左頸骨を取り出し、軟部組織から分離する。デジタル式マイクロメータで縦方向の測定値を得る。
【0145】
解体した心房および頸骨を残りの屠殺体と一緒に処分する。噴門切除術の前に、血液試料0.5mLを、K2−EDTA抗凝固剤を入れた採血管に吸引する。該試料を、冷却遠心器でスピンするまで氷上で貯蔵する。血漿を分離し、ドライアイスで冷凍し、次に、フリーザーセットで貯蔵して、将来可能な分析のためのドライアイスによる輸送まで、約−20℃に維持する。
【0146】
上記で記載されているかまたはそれと同様の手順を用いて、本発明の実施例2の化合物を評価し、以下の結果が得られる:
【表5】
【0147】
マウスにおけるイソプロテレノール処理は、実施例2の化合物で処理されていないマウスにおける心臓のサイズを増大させる(サイズは、心臓の重量(g)/頸骨の長さ(mm)によって示される)。10mg/kgまでの経口投与の結果、イソプロテレノール誘発性心肥大の発生に対して統計学的に有意な効果をもたらす。特に、1mg/kgでは、ビヒクルと比べて、心臓の重量/頸骨の長さ(HW/TL)比が約8%減少するが、一方、3mg/kgおよび10mg/kgでは共に、ビヒクルと比べてHW/TL比が約12.5%減少する。実施例2の化合物は、また、3mg/kgおよび10mg/kgのどちらの用量でも心肥大を有意に予防する。イソプロテレノール誘発性心拡大は、(LV+RV)/TL比(左心室+右心室の重量/頸骨の長さ)によって測定した場合、3mg/kgおよび10mg/kgのどちらの用量についてもビヒクルと比べて10%減少する。
【0148】
実施例14: 大動脈縮窄術(TAC)マウスモデルにおけるPDE1阻害の心肥大に対する効果:
動物:C59Bl/6マウス、20〜40g、Charles River(Portage、MI)。
数および性:雄性35匹。
収容および強化:研究の間、動物は、環境が制御された部屋で靴箱スタイルのケージに個別に収容される。
【0149】
食餌:動物は自由に標準的な食餌が提供される。
水:動物は自由に水道水が提供される。
環境条件:動物室の温度は、18〜24℃を維持するように設定される。研究手順によって中断されない限り、12時間暗サイクルは実行される。
動物選別:動物は、健康状態、体重、または必要に応じて他の関連するデータに基づいて当該研究のために選択される。
【0150】
実施例2の試験化合物:実施例2の試験化合物は製剤化される。試験物質投与溶液は、遊離塩基を1モル/モルの希(0.02N)HClと一緒にトリチュレートし、溶解した試験化合物をビヒクル(蒸留水中0.5%メチルセルロース)で、投与溶液1mLあたり0.45mgおよび1.5mgの最終濃度に希釈することによって調製される。投与の30日間の製剤の供給が調製される(第1の手術コホートについては1〜6日目)。
【0151】
参照試験化合物 − ロサルタンカリウム:ロサルタンは、CorDynamicsから入手され、投与の当日に、投与溶液1mLあたり4.5mgの濃度でビヒクル(蒸留水中0.5%メチルセルロース)に溶解することによって調製される。該化合物を、ボルテックスミキサーで撹拌し、超音波処理して化合物を確実に溶液にする。
【表6】
【0152】
大動脈縮窄術:100%酸素によって駆動される1〜2%イソフルランを送達する気化器に連結したノーズコーンを用いて、動物をイソフルランで麻酔する。イソフルランによる最初の麻酔後、マウスに1mg/kg Buprenex SR(1mg/mL、皮下)および10mg/kgのエトミデート(2mg/mL、腹腔内)を投与する。人工呼吸器のために動物に挿管する。1〜2%イソフルラン剰余酸素(remainder oxygen)による陽圧換気を提供し、一回呼吸量約200μLで呼吸約120回/分を維持するように設定した人工呼吸器に気管内チューブを連結する。
【0153】
胸腔内の大動脈を暴露するために、胸骨柄から第2または第3肋骨を通って胸骨切開術を行う。該大動脈から周辺組織を取り除き、横行大動脈を27Gニードルと同様の直径のチタン製マイクロクリップでクランプする。グループ1のマウスからの横行大動脈から周辺組織を取り除くが、クランプしない。切開を閉じ、気管内チューブを取り外し、動物を回復させる。
【0154】
外科手術手技の完了直後に、マウスを回復室の回復ケージに入れる。機敏になり、歩行可能になったら、該動物を一般的なハウジングに戻す。
【0155】
手術前の正常な機能に戻ることによって手術後の処置の長さを決定する。これは、態度、活動レベルおよび食欲によって判断される。毎日の手術後モニターリングを手術後4日間行う。手術後約10〜14日目に手術部位が十分に治った時に激痛が除かれる。
【0156】
マウスに、手術後1日目から始めて各投与間を約6時間あけてビヒクルまたは実施例2の化合物を1日2回経口投与する。マウスにロサルタンを1日1回経口投与する。用量算出の目的で、体重を、到着後、手術前、投与初日および2日おきに投与の投与前に計量する。
【0157】
28日目に、全ての実験グループに心エコー測定を行う。100%酸素によって駆動される1〜2%イソフルランを送達する気化器に連結したノーズコーンを用いて、動物をイソフルランで麻酔する。マウスを暖かいプラットフォーム上に仰臥位でおいて、体温を37±0.5℃に維持する。実験の全体を通して心拍数をモニターリングする。30−MHzメカニカルトランスデューサーを装着した高解像度心エコーシステム(VeVo 770、Visual Sonics, Toronto, ON, Canada)によって、経胸壁二次元、Bモード、Mモードおよびパルスドプラ画像を得る。
【0158】
心エコー測定後、動物をCO2窒息によって安楽死させる。心臓および肺を回収し、氷冷クレブス−ヘンゼライト緩衝液(Sigma 3753)を穏やかに注いできれいにする。肺を計量し、右肺と左肺を分離する。右肺および左肺を液体窒素ですぐに冷凍し、別々の管に入れる。心臓全体を計量する。心房を取り出し、左心室(隔壁と一緒に)を右心室から分離する。両心室を別々に計量した後、2片に分ける。これらの心室片を液体窒素で冷凍し別々の管に入れる。液体窒素試料をフリーザーセットで貯蔵して、将来可能な分析のためにスポンサーへのドライアイスによる輸送まで約−80℃に維持する。
【0159】
左頸骨を取り出し、軟部組織から分離する。デジタル式マイクロメータで縦方向の測定値を得る。解体した頸骨を残りの屠殺体と一緒に処分する。
【0160】
噴門切除術前に、血液試料0.5mLを、クエン酸ナトリウム抗凝固剤を入れた採血管に吸引する。該試料を、冷却遠心器でスピンするまで氷上で貯蔵する。血漿を分離し、ドライアイスで冷凍し、次に、フリーザーセットで貯蔵して、将来可能な分析のためのドライアイスによる輸送まで、約−20℃に維持する。
【0161】
上記で記載されているかまたはそれと同様の手順を用いて、以下の結果が得られる:
【表7】
【0162】
3mg/kgおよび10mg/kgの実施例2の化合物は、TAC収縮によって誘発される心肥大を逆転する傾向を示す。肥大は、「TAC比」と定義される動物のサイズ(頸骨の長さ(mm))に対して基準化された心臓のサイズ(左心室+隔壁の重量(mg))に基づいて判断される。シャム手術を受けたマウスは、TAC比4.6(mg/mm)を示すが、一方、3mg/kgまたは10mg/kgの実施例2の化合物を受けたマウスは、TAC比5.8を示す。対照的に、ビヒクルを受けたマウスは、TAC比6.6を示し、ロサルタンを受けたマウスは、TAC比6.2を示す。シャムおよびビヒクルTACグループ間の差異は、統計学的に有意であるが、一方、シャムおよび実施例2の化合物グループ間の差異は、統計学的に有意ではない。ビヒクルグループとロサルタングループの差異は、統計学的に有意ではない。かくして、実施例2の化合物は、TAC誘発性肥大を減少させる傾向を示す。