【課題】感度の良い抗体ベースのアッセイを使用して、様々な細胞の表面に存在するタンパク質間のタンパク質−タンパク質相互作用を検出し、定量的に測定する方法を提供すること。
【解決手段】各々の標的タンパク質に特異的な抗体は、直接的に標識されている、または標識された二次抗体によって検出される。抗体は、標的タンパク質が互いに近接距離範囲内にある場合に放出可能である検出可能なタグで標識される。また、目的とする標的タンパク質間のタンパク質−タンパク質相互作用を検出するために、このアッセイを使用してがんの診断、予後および処置を容易にするための方法が提供される。タンパク質−タンパク質相互作用に影響を及ぼす試験薬剤をスクリーニングする方法もまた提供される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、試料中のタンパク質−タンパク質相互作用を定量化する方法が提供され、本方法は、(a)細胞表面上に第1のタンパク質を発現している第1の細胞、および細胞表面上に第2のタンパク質を発現している第2の細胞を含む試料を提供するステップ;(b)第1のタンパク質に特異的な第1の抗体結合組成物を提供するステップであって、第1の抗体結合組成物が、切断可能な連結を介してそれに付着した分子タグを有する、ステップ;(c)第2のタンパク質に特異的な第2の抗体結合組成物を提供するステップであって、第2の結合組成物が、それに付着した切断誘導部分を有する、ステップ;(d)試料を第1の抗体結合組成物および第2の抗体結合組成物と接触させるステップ;(e)第1の抗体結合組成物が第2の抗体結合組成物に付着した切断誘導部分の有効な近接距離範囲内にある場合に、第1の抗体結合組成物からの分子タグの切断を誘導し、それによって分子タグを放出させるステップ;ならびに(f)第1のタンパク質と第2のタンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用の量の尺度として、放出された分子タグの量を定量化するステップを含む。
【0004】
別の態様では、試料中のタンパク質−タンパク質相互作用を定量化する方法が提供され、本方法は、(a)細胞表面上に第1のタンパク質を発現している第1の細胞、および細胞表面上に第2のタンパク質を発現している第2の細胞を含む試料を提供するステップ;(b)第1のタンパク質に特異的な第1の抗体結合組成物を提供するステップであって、第1の抗体結合組成物が、切断可能な連結を介してそれに付着した分子タグを有する、ステップ;(c)第2のタンパク質に特異的な第2の抗体結合組成物を提供するステップ;(d)第2の抗体組成物に結合する第3の抗体組成物を提供するステップであって、第3の抗体組成物が、それに付着した切断誘導部分を有する、ステップ;(e)試料を第1の抗体結合組成物、第2の抗体結合組成物、および第3の抗体結合組成物と接触させるステップ;(f)第1の抗体結合組成物が第3の抗体結合組成物に付着した切断誘導部分の有効な近接距離範囲内にある場合に、第1の抗体結合組成物からの分子タグの切断を誘導し、それによって分子タグを放出させるステップ;ならびに(g)第1のタンパク質と第2のタンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用の量の尺度として、放出された分子タグの量を定量化するステップを含む。
【0005】
別の態様では、試料中のタンパク質−タンパク質相互作用を定量化する方法が提供され、本方法は、(a)細胞表面上に第1のタンパク質を発現している第1の細胞、および細胞表面上に第2のタンパク質を発現している第2の細胞を含む試料を提供するステップ;(b)第1のタンパク質に特異的な第1の抗体結合組成物を提供するステップであって、第1の抗体組成物が、それに付着した切断誘導部分を有する、ステップ;(c)第2のタンパク質に特異的な第2の抗体結合組成物を提供するステップ;(d)第2の抗体組成物に結合する第3の抗体組成物を提供するステップであって、第3の抗体結合組成物が、切断可能な連結を介してそれに付着した分子タグを有する、ステップ;(e)試料を第1の抗体結合組成物、第2の抗体結合組成物、および第3の抗体結合組成物と接触させるステップ;(f)第3の抗体結合組成物が第1の抗体結合組成物に付着した切断誘導部分の有効な近接距離範囲内にある場合に、第3の抗体結合組成物からの分子タグの切断を誘導し、それによって分子タグを放出させるステップ;ならびに(g)第1のタンパク質と第2のタンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用の量の尺度として、放出された分子タグの量を定量化するステップを含む。
【0006】
さらに別の態様では、試料中のタンパク質−タンパク質相互作用を定量化する方法が提供され、本方法は、(a)細胞表面上に第1のタンパク質を発現している第1の細胞、および細胞表面上に第2のタンパク質を発現している第2の細胞を含む試料を提供するステップ;(b)第1のタンパク質に特異的な第1の抗体結合組成物を提供するステップ;(c)第2のタンパク質に特異的な第2の抗体結合組成物を提供するステップ;(d)第1の抗体組成物に結合する第3の抗体組成物を提供するステップであって、第3の抗体組成物が、切断可能な連結を介してそれに付着した分子タグを有する、ステップ;(e)第2の抗体組成物に結合する第4の抗体組成物を提供するステップであって、第4の抗体組成物が、それに付着した切断誘導部分を有する、ステップ;(e)試料を第1の抗体結合組成物、第2の抗体結合組成物、第3の抗体結合組成物、および第4の抗体結合組成物と接触させるステップ;(f)第3の抗体結合組成物が第4の抗体結合組成物に付着した切断誘導部分の有効な近接距離範囲内にある場合に、第3の抗体結合組成物からの分子タグの切断を誘導し、それによって分子タグを放出させるステップ;ならびに(g)第1のタンパク質と第2のタンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用の量の尺度として、放出された分子タグの量を定量化するステップを含む。
【0007】
一部の場合では、第1の抗体結合組成物は、第1のタンパク質の細胞外ドメインエピトープまたは細胞内ドメインエピトープに結合し得る。他の場合では、第2の抗体結合組成物は、第2のタンパク質の細胞外ドメインエピトープまたは細胞内ドメインエピトープに結合し得る。一部の場合では、切断誘導部分による分子タグの切断は、光によって誘導される。
【0008】
一部の場合では、試料は、組織試料、培養細胞、または末梢血単核細胞(PMBC)であり得る。試料は、がん生検試料であり得る。試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料であり得る。試料は、血液試料であり得る。
【0009】
一部の場合では、第1の細胞はT細胞であり得、第2の細胞は腫瘍細胞であり得る。一部の場合では、第1のタンパク質はPD−1であり、第2のタンパク質はPD−L1である。
【0010】
別の態様では、PD−1作用剤またはPD−L1作用剤に対する、がんを有する被験体の応答性を予測するための方法が提供され、本方法は、(a)上記に記載される方法のいずれかを使用して、被験体のがん由来の生物学的試料中のPD−1−PD−L1複合体の量を測定するステップ;(b)被験体の試料中のPD−1−PD−L1複合体の量が閾値レベルを上回るかまたはそれを下回るかを決定するステップ;および(c)被験体の試料中のPD−1−PD−L1複合体の量が閾値レベルに等しいまたはそれを上回る場合は、PD−1−PD−L1複合体の量が閾値レベルを下回る場合よりも、被験体はPD−1作用剤またはPD−L1作用剤に応答する可能性が高いことを示すステップを含む。
【0011】
別の態様では、試料中の2つの細胞間のタンパク質−タンパク質相互作用の形成を妨害するまたは促進する能力について試験薬剤をスクリーニングする方法が提供され、本方法は、(a)試験細胞培養物を試験薬剤と接触させるステップであって、試験細胞培養物が、細胞表面上に第1のタンパク質を発現している第1の細胞、および細胞表面上に第2のタンパク質を発現している第2の細胞を含む、ステップ;(b)上記に記載される方法のいずれかを使用して、第1のタンパク質と第2のタンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用の量を測定するステップ;ならびに(c)ステップ(b)において測定されたタンパク質−タンパク質相互作用の量を、試験薬剤と接触していない対照細胞培養物中の第1タンパク質と第2タンパク質の間で測定されたタンパク質−タンパク質相互作用の量と比較するステップであって、対照細胞培養物が、細胞表面上に第1のタンパク質を発現している第1の細胞、および細胞表面上に第2のタンパク質を発現している第2の細胞を含む、ステップを含む。
【0012】
一部の場合では、タンパク質−タンパク質相互作用の量が、対照細胞培養物と比較して試験細胞培養物において減少している場合、試験薬剤は、第1タンパク質と第2タンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用の阻害剤であり得る。他の場合では、タンパク質−タンパク質相互作用の量が、対照細胞培養物と比較して試験細胞培養物において増加している場合、試験薬剤は、第1タンパク質と第2タンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用の促進剤であり得る。
【0013】
一部の場合では、第1の細胞および第2の細胞は異なる細胞タイプであり得る。一部の場合では、第1の細胞および第2の細胞は異なるがん細胞株であり得る。一部の場合では、第1の細胞および第2の細胞の一方は接着性細胞株であり、他方は非接着性細胞株である。一部の場合では、第1の細胞はJurkat細胞であり、第2の細胞は接着性がん細胞である。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
試料中の2つの細胞間のタンパク質−タンパク質相互作用を定量化する方法であって、
(a)細胞表面上に第1のタンパク質を発現している第1の細胞、および細胞表面上に第2のタンパク質を発現している第2の細胞を含む試料を提供するステップ;
(b)前記第1のタンパク質に特異的な第1の抗体結合組成物を提供するステップであって、前記第1の抗体結合組成物が、切断可能な連結を介して前記第1の抗体結合組成物に付着した分子タグを含む、ステップ;
(c)前記第2のタンパク質に特異的な第2の抗体結合組成物を提供するステップであって、前記第2の結合組成物が、前記第2の結合組成物に付着した切断誘導部分を含む、ステップ;
(d)前記試料を前記第1の抗体結合組成物および前記第2の抗体結合組成物と接触させるステップ;
(e)前記第1の抗体結合組成物が前記第2の抗体結合組成物に付着した前記切断誘導部分の有効な近接距離範囲内にある場合に、前記第1の抗体結合組成物からの前記分子タグの切断を誘導し、それによって前記分子タグを放出させるステップ;ならびに
(f)前記第1のタンパク質と前記第2のタンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用の量の尺度として、放出された分子タグの量を定量化するステップ
を含む、方法。
(項目2)
試料中の2つの細胞間のタンパク質−タンパク質相互作用を定量化する方法であって、
(a)細胞表面上に第1のタンパク質を発現している第1の細胞、および細胞表面上に第2のタンパク質を発現している第2の細胞を含む試料を提供するステップ;
(b)前記第1のタンパク質に特異的な第1の抗体結合組成物を提供するステップであって、前記第1の抗体結合組成物が、切断可能な連結を介して前記第1の抗体結合組成物に付着した分子タグを含む、ステップ;
(c)前記第2のタンパク質に特異的な第2の抗体結合組成物を提供するステップ;
(d)前記第2の抗体組成物に結合する第3の抗体組成物を提供するステップであって、前記第3の抗体組成物が、前記第3の抗体組成物に付着した切断誘導部分を含む、ステップ;
(e)前記試料を前記第1の抗体結合組成物、前記第2の抗体結合組成物、および前記第3の抗体結合組成物と接触させるステップ;
(f)前記第1の抗体結合組成物が前記第3の抗体結合組成物に付着した前記切断誘導部分の有効な近接距離範囲内にある場合に、前記第1の抗体結合組成物からの前記分子タグの切断を誘導し、それによって前記分子タグを放出させるステップ;ならびに
(g)前記第1のタンパク質と前記第2のタンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用の量の尺度として、放出された分子タグの量を定量化するステップ
を含む、方法。
(項目3)
試料中の2つの細胞間のタンパク質−タンパク質相互作用を定量化する方法であって、
(a)細胞表面上に第1のタンパク質を発現している第1の細胞、および細胞表面上に第2のタンパク質を発現している第2の細胞を含む試料を提供するステップ;
(b)前記第1のタンパク質に特異的な第1の抗体結合組成物を提供するステップであって、前記第1の抗体組成物が、前記第1の抗体組成物に付着した切断誘導部分を含む、ステップ;
(c)前記第2のタンパク質に特異的な第2の抗体結合組成物を提供するステップ;
(d)前記第2の抗体組成物に結合する第3の抗体組成物を提供するステップであって、前記第3の抗体結合組成物が、切断可能な連結を介して前記第3の抗体結合組成物に付着した分子タグを含む、ステップ;
(e)前記試料を前記第1の抗体結合組成物、前記第2の抗体結合組成物、および前記第3の抗体結合組成物と接触させるステップ;
(f)前記第3の抗体結合組成物が前記第1の抗体結合組成物に付着した前記切断誘導部分の有効な近接距離範囲内にある場合に、前記第3の抗体結合組成物からの前記分子タグの切断を誘導し、それによって前記分子タグを放出させるステップ;ならびに
(g)前記第1のタンパク質と前記第2のタンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用の量の尺度として、放出された分子タグの量を定量化するステップ
を含む、方法。
(項目4)
試料中の2つの細胞間のタンパク質−タンパク質相互作用を定量化する方法であって、
(a)細胞表面上に第1のタンパク質を発現している第1の細胞、および細胞表面上に第2のタンパク質を発現している第2の細胞を含む試料を提供するステップ;
(b)前記第1のタンパク質に特異的な第1の抗体結合組成物を提供するステップ;
(c)前記第2のタンパク質に特異的な第2の抗体結合組成物を提供するステップ;
(d)前記第1の抗体組成物に結合する第3の抗体組成物を提供するステップであって、前記第3の抗体組成物が、切断可能な連結を介して前記第3の抗体組成物に付着した分子タグを含む、ステップ;
(e)前記第2の抗体組成物に結合する第4の抗体組成物を提供するステップであって、前記第4の抗体組成物が、前記第4の抗体組成物に付着した切断誘導部分を含む、ステップ;
(f)前記試料を前記第1の抗体結合組成物、前記第2の抗体結合組成物、前記第3の抗体結合組成物、および前記第4の抗体結合組成物と接触させるステップ;
(g)前記第3の抗体結合組成物が前記第4の抗体結合組成物に付着した前記切断誘導部分の有効な近接距離範囲内にある場合に、前記第3の抗体結合組成物からの前記分子タグの切断を誘導し、それによって前記分子タグを放出させるステップ;ならびに
(h)前記第1のタンパク質と前記第2のタンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用の量の尺度として、放出された分子タグの量を定量化するステップ
を含む、方法。
(項目5)
前記試料が、組織試料、培養細胞、または末梢血単核細胞(PMBC)である、項目1〜4のいずれか1項に記載の方法。
(項目6)
前記試料ががん生検試料である、項目1〜5のいずれか1項に記載の方法。
(項目7)
前記試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料である、項目1〜6のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
前記試料が血液試料である、項目1〜5のいずれか1項に記載の方法。
(項目9)
前記第1の細胞がT細胞であり、前記第2の細胞が腫瘍細胞である、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記第1のタンパク質がPD−1であり、前記第2のタンパク質がPD−L1である、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記切断誘導部分による前記分子タグの切断が光によって誘導される、項目1に記載の方法。
(項目12)
PD−1作用剤またはPD−L1作用剤に対する、がんを有する被験体の応答性を予測するための方法であって、
(a)項目1〜11のいずれか一項に記載の方法を使用して、前記被験体のがん由来の生物学的試料中のPD−1−PD−L1複合体の量を測定するステップ;
(b)前記被験体の試料中の前記PD−1−PD−L1複合体の量が閾値レベルを上回るかまたはそれを下回るかを決定するステップ;および
(c)前記被験体の試料中の前記PD−1−PD−L1複合体の量が前記閾値レベルに等しいまたはそれを上回る場合は、前記PD−1−PD−L1複合体の量が前記閾値レベルを下回る場合よりも、前記被験体が前記PD−1作用剤または前記PD−L1作用剤に応答する可能性が高いことを示すステップ
を含む、方法。
(項目13)
試料中の2つの細胞間のタンパク質−タンパク質相互作用の形成を妨害するまたは促進する能力について試験薬剤をスクリーニングする方法であって、
(a)試験細胞培養物を試験薬剤と接触させるステップであって、前記試験細胞培養物が、細胞表面上に第1のタンパク質を発現している第1の細胞、および細胞表面上に第2のタンパク質を発現している第2の細胞を含む、ステップ;
(b)項目1〜4、9、10、または11のいずれか1項に記載の方法を使用して、前記第1のタンパク質と前記第2のタンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用の量を測定するステップ;ならびに
(c)ステップ(b)において測定されたタンパク質−タンパク質相互作用の量を、前記試験薬剤と接触していない対照細胞培養物中の前記第1タンパク質と前記第2タンパク質の間で測定されたタンパク質−タンパク質相互作用の量と比較するステップであって、前記対照細胞培養物が、細胞表面上に前記第1のタンパク質を発現している前記第1の細胞、および細胞表面上に前記第2のタンパク質を発現している前記第2の細胞を含む、ステップ
を含む、方法。
(項目14)
前記タンパク質−タンパク質相互作用の量が、前記対照細胞培養物と比較して前記試験細胞培養物において減少している場合、前記試験薬剤は、前記第1タンパク質と前記第2タンパク質の間の前記タンパク質−タンパク質相互作用の阻害剤である、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記タンパク質−タンパク質相互作用の量が、前記対照細胞培養物と比較して前記試験細胞培養物において増加している場合、前記試験薬剤は、前記第1タンパク質と前記第2タンパク質の間の前記タンパク質−タンパク質相互作用の促進剤である、項目13に記載の方法。
(項目16)
前記第1の細胞および前記第2の細胞が異なる細胞タイプである、項目13〜15のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記第1の細胞および前記第2の細胞が異なるがん細胞株である、項目13〜16のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
前記第1の細胞および前記第2の細胞の一方が接着性細胞株であり、他方が非接着性細胞株である、項目13〜18のいずれか1項に記載の方法。
(項目19)
前記第1の細胞がJurkat細胞であり、前記第2の細胞が接着性がん細胞である、項目13〜18のいずれか1項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1-1】
図1A〜1Eは、本開示の一部の態様による様々なVeraTag(登録商標)アッセイフォーマットの概略図を示す図である。
図1Aおよび
図1Bは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料の分析を示し、
図1Aは光放出アッセイフォーマットを示し、
図1Bは還元(例えば、DTT)アッセイフォーマットを示す。光放出フォーマットにおいて、反応性一重項酸素の拡散を使用して、光による切断誘導剤の光誘導(「hv」)に応答して、VeraTag(登録商標)レポーター分子(「Tag」)と標的特異的抗体(「1°Ab」)の間の共有結合リンカーを切断し得る。還元フォーマットにおいて、還元剤を使用して、VeraTag(登録商標)レポーター分子(「Tag」)と二次抗体(「2°Ab」)の間の共有結合リンカーの切断を誘導する。切断後、VeraTag(登録商標)レポーター分子のキャピラリー電気泳動(CE)分離を実施し、電気泳動図によって評価し得る。x軸は、切断されたVeraTag(登録商標)レポーター分子がキャピラリーから溶出される時間を示し、蛍光強度をy軸に示す。蛍光ピークMFおよびMLは、2つの異なる、内部のVeraTag(登録商標)レポーター分子の溶出を示す。
【0015】
【
図1-2】
図1A〜1Eは、本開示の一部の態様による様々なVeraTag(登録商標)アッセイフォーマットの概略図を示す図である。
図1Cは、レポーター分子(例えば、Pro11)および切断誘導部分が、異なるエピトープに結合する別個の標的特異的抗体に連結されている単一のタンパク質を検出するための光放出アッセイフォーマットの概略図を示す。切断誘導部分は、「分子はさみ」とも称され、第2の一次抗体に付着される。例示的な部分は、ストレプトアビジン(ほぼ四角の形状)がコンジュゲートしたメチレンブルー(MB)である。
図1Dは、レポーター分子に連結した第1の標的特異的抗体、第1の標的特異的抗体とは別のエピトープに結合する第2の標的特異的抗体、および第2の標的特異的抗体に結合し、切断誘導部分が連結している二次抗体を使用して、単一のタンパク質を検出するための別の光放出アッセイフォーマットの概略図を示す。
図1Eは、標的特異的抗体、および標的特異的抗体に結合し、レポーター分子が、還元剤(例えば、DTT)によって切断可能であるジスルフィド結合を含有するリンカーを介して連結している二次抗体を使用して、単一タンパク質を検出するための還元アッセイフォーマットの概略図を示す。
【0016】
【
図1-3】
図1Fおよび
図1Gは、第1の細胞の表面に発現された第1のタンパク質と第2の細胞の表面に発現された第2のタンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用を検出するための光放出アッセイフォーマットの概略図を示し、
図1Fは、第1および第2のタンパク質の細胞外ドメインにそれぞれ結合する2つの標的特異的抗体の使用を示し、
図1Gは、第1のタンパク質の細胞外ドメインに結合する第1の標的特異的抗体および第2のタンパク質の細胞内ドメインに結合する第2の標的特異的抗体の使用を示す。レポーター分子および切断誘導部分は、それぞれ標的特異的抗体の1つに連結される。
図1Hは、第1の細胞の表面に発現された第1のタンパク質と第2の細胞の表面に発現された第2のタンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用を検出するための別の光放出アッセイフォーマットの概略図を示し、このアッセイフォーマットは、第1のタンパク質に結合し、それに連結したレポーター分子を有する第1の標的特異的抗体、第2のタンパク質に結合する第2の標的特異的抗体、および第2の標的特異的抗体に結合し、それに連結された切断誘導部分を有する二次抗体を使用する。
図1Iは、第1の細胞の表面に発現された第1のタンパク質と第2の細胞の表面に発現された第2のタンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用を検出するための別の光放出アッセイフォーマットの概略図を示し、アッセイフォーマットは、第1のタンパク質に結合する第1の標的特異的抗体、第1の標的特異的抗体に結合し、レポーター分子に連結している第1の二次抗体、第2の標的特異的抗体、および第2の標的特異的抗体に結合し、切断誘導部分に連結されている第2の二次抗体を使用する。
【0017】
【
図1-4】
図1Jは、本開示の一部の態様による、抗体へのコンジュゲーション(NHS部分がコンジュゲーション時に失われる)前のVeraTag(登録商標)レポーター分子Pro11−NHSおよびPro125−NHSの化学構造を示す。
【0018】
【
図2A】
図2Aは、本開示の一部の態様による、Cancer Cell Line Encyclopedia(CCLE、http://www.broadinstitute.org/ccle/homeで入手可能なデータ)の1036種の細胞株からのPD−1およびPD−L1のmRNA発現レベル間の関係を説明する散布図の分布を示す。PD−L1のmRNAレベルは約250倍のダイナミックレンジを示し、一方、PD−1のmRNAレベルは非常に変化が少なく、ダイナミックレンジは約5倍である。上段のグラフにおいて、PD−1およびPD−L1のmRNA発現レベルをx軸に別々にプロットし、一方、下段のグラフはこのデータを互いに対して再プロットしたものを示す。本開示に記載されている実施例において使用される5つの細胞株は、星印によって示されている。それらは、細胞株の全CCLE集団を反映する、PD−L1のmRNA発現の広いダイナミックレンジを表すように選択された。
【0019】
【
図2B】
図2Bは、本開示の一部の態様による、VeraTag(登録商標)アッセイを使用して得られたタンパク質測定値、ならびにがんゲノムアトラス(TCGA)およびCCLEから得られたmRNA測定値に基づく、乳がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、および頭頸部の扁平上皮癌腫(SCCHN)の間のPD−L1発現レベルを比較する散布図を示す。VeraTag(登録商標)アッセイを使用して分析された試料は、Asterand Bioscienceから得られた(n=38;NSCLC、n=14;SCCHN、n=27)。TCGAは、以下の腫瘍試料由来のデータを含む:n=1,100;NSCLC、n=1,018;SCCHN、n=522。CCLEは、以下の細胞株由来のデータを含む:n=59;NSCLC、n=133;SCCHN、n=32。乳がんにおけるVeraTag(登録商標)アッセイで測定した場合、肺NSCまたはSCCHNよりも統計学的に異なる低レベルのPD−L1タンパク質が存在する(乳房対NSCLCまたはSCCHNについてp<0.0001)。これらの差異は、腫瘍由来のPD−L1のmRNAレベル(TCGA)(乳房対NSCLCまたはSCCHNについてp<0.0001)、および細胞株由来のPD−L1のmRNAレベル(CCLE)(乳房対SCCHNについてp<0.0001、乳房対NSCLCについてp<0.0002)と一致する。
【0020】
【
図3】
図3は、本開示の一部の態様による、VeraTag(登録商標)アッセイにおいて使用される場合、9つの異なる抗PD−1抗体がPD−1を検出する能力を評価する抗PD−1抗体評価実験の結果を示す。アッセイフォーマットは、
図1Eに示されるように、抗PD−1一次抗体およびDTTで放出可能なタグで標識された二次抗体を使用した。エピトープ賦活化(epitope retrieval)は、pH6.2またはpH9のいずれかの熱誘導エピトープ賦活化(HIER)緩衝液を用いて行われた。抗体は、フィトヘマグルチニン−L(PHA−L)で刺激された、500,000個または25,000個のJurkat細胞について試験された。抗体を使用して検出されたPD−1の量を相対ピーク面積(RPA)(「PD1 VeraTag RPA」)として決定した。
【0021】
【
図4】
図4は、本開示の一部の態様による、
図3に記載されている500,000個または25,000個のJurkat細胞実験間のVeraTag(登録商標)アッセイ(RPA)によって検出されたPD−1の倍数変化(fold−change)を示す。
【0022】
【
図5】
図5A〜5Cは、本開示の一部の態様による、フィトヘマグルチニン−L(PHA−L)で刺激された500,000個または25,000個のいずれかのJurkat細胞においてPD−1を検出するための、VeraTag(登録商標)アッセイにおける3つの異なる抗PD−1抗体を評価する抗体滴定実験の結果を示す。アッセイフォーマットは、
図1Eに示されるように、抗PD−1一次抗体およびDTTで放出可能なタグで標識された二次抗体を使用した。アッセイに使用される抗体の量が増加するにつれて、増加する量のVeraTag(登録商標)アッセイシグナルが検出された。x軸は抗体濃度であり、y軸はVeraTag(登録商標)アッセイシグナル(RPA;「PD−1 VeraTag RPA」)である。
【0023】
【
図6】
図6Aは、本開示の一部の態様による、
図5A〜5Cに記載されている500,000個または25,000個のJurkat細胞実験の間のVeraTag(登録商標)アッセイ(RPA)によって検出されたPD−1の倍数変化を示す。x軸は抗体濃度を示し、y軸は、VeraTag(登録商標)アッセイ(RPA)によって検出されたPD−1の量の倍数変化を示す。
図6Bは、本開示の一部の態様による、PHAで刺激されたJurkat細胞の数と、VeraTag(登録商標)アッセイによって検出可能なPD−1の量の間の関係を説明するグラフを示す。アッセイフォーマットは、
図1Dに模式的に示される、近接距離ベースの光放出アッセイにおいてマウス抗ヒトPD−1モノクローナル抗体NAT105、ヤギ抗マウスIgG1(ビオチンにコンジュゲートされた)、およびヤギ抗ヒトPD−1モノクローナル抗体AF1086(タグ標識された)を使用した。VeraTag(登録商標)アッセイによって検出された増加した量のPD−1(y軸)は、増加した量の、刺激されたJurkat細胞(x軸)で観察された。対照的に、マウス抗ヒトPD−1モノクローナル抗体NAT105のマウスIgG1アイソタイプ対照での置き換えは、増加した量の、刺激されたJurkat細胞によるシグナル変化をほとんどもたらさず、これは、検出されたシグナルがPD−1特異的であった(抗体バックグラウンド結合だけでは起因しない)ことを示した。
【0024】
【
図7】
図7は、本開示の一部の態様による、PD−1−PD−L1 VeraTag(登録商標)アッセイのための細胞株対照を作製するために使用されるJurkatおよび接着性細胞株を用いた共培養手順を示す概略図である。接着性細胞株を一晩培養し、洗浄し、PHAで刺激したJurkat細胞を、接着性細胞株に対して1倍または5倍過剰で培養物に添加する。共培養物を2日間増殖させ、次に、冷PBSで3回洗浄する。最後の洗浄ステップは、共培養皿から付着していないJurkat細胞を除去する。次に、細胞をNBFで一晩固定し、その後、80%エタノールに移し、4℃で保存する。
【0025】
【
図8】
図8A〜8Cは、本開示の一部の態様による、1×または5×量のJurkat細胞を用いて、
図7に記載される共培養された2つの異なる細胞株(MD−MBA−231およびRKO)においてVeraTag(登録商標)アッセイにより測定したPD−1、PD−L1およびPD−1−PD−L1複合体の量をプロットした棒グラフを示す。検出されたタンパク質またはタンパク質複合体の量(y軸)は、Jurkat細胞の各比率(x軸)で各細胞株についての相対ピーク面積(RPA)としてプロットされる。これらの実験に使用されたアッセイフォーマットを
図1E(PD−1およびPD−L1)ならびに
図1I(PD−1−PD−L1複合体)に模式的に示す。
図8Dは、本開示の一部の態様による、4つのがん細胞株とJurkat細胞との共培養後、VeraTag(登録商標)アッセイによって測定した場合の、PD−L1のmRNAとPD−1−PD−L1複合体の量の間の相関を実証していているプロットを示す。評価されたがん細胞株は、
図2A(下段)に示される、PD−L1のmRNA発現の増加しているレベルおよびPD−1のmRNA発現の比較的類似しているレベルを有するMDA−MB−435、BT20、MB−231、およびRKOであった。mRNA発現レベルは、CCLEデータベースから得られた。PD−1−PD−L1複合体の量は、ウサギ抗ヒトPD−L1抗体E1L3N、タグにコンジュゲートしたヤギ抗ヒトPD−1抗体、およびビオチンにコンジュゲートしたヤギ抗ウサギIgGを採用した
図1Hに示されるVeraTag(登録商標)アッセイを使用して測定された。PD−L1発現の量が増加するにつれて、VeraTag(登録商標)アッセイを使用して検出されたPD−1−PD−L1複合体の量も同様に増加した(偏差バーを有する黒丸)。ウサギ抗ヒトPDL1抗体E1L3NをウサギIgG(アイソタイプ対照)に置き換えて行った並行実験は、アッセイにおけるバックグラウンドシグナル(灰色の四角)を反映して、PD−L1発現量が増加してもシグナル変化はほとんど生じなかった。
【0026】
【
図9】
図9Aは、本開示の一部の態様による腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の存在について予め選択された12個のヒト乳がん腫瘍(Asterand Bioscience)におけるVeraTag(登録商標)アッセイによるPD−1タンパク質レベルの分析を示す。使用されるVeraTag(登録商標)アッセイフォーマットは、
図1Dに示される近接距離ベースの光放出アッセイであり、マウス抗ヒトPD−1モノクローナル抗体NAT105、ヤギ抗マウスIgG1(ビオチンにコンジュゲートされた)、およびタグにコンジュゲートしたヤギ抗ヒトPD−1モノクローナル抗体AF1086を採用した。X軸:腫瘍試料;y軸:VeraTag(登録商標)アッセイシグナル(RPA)。また、一部の試料をVeraTag(登録商標)アッセイ(
図2Bに示される)を使用してPD−L1タンパク質発現について分析した。
図9Bは、本開示の一部の態様による、
図9Aにおいて評価したのと同じ12個のヒト乳がん腫瘍における、VeraTag(登録商標)アッセイによるPD−1−PD−L1複合体レベルの分析を示す。使用されるVeraTag(登録商標)アッセイフォーマットは、
図1Hに示される近接距離ベースの光放出アッセイであり、ウサギ抗ヒトPD−L1抗体E1L3N、ビオチンにコンジュゲートしたヤギ抗ウサギIgG、およびタグにコンジュゲートしたヤギ抗ヒトPD−1抗体AF1086を採用した。x軸:腫瘍試料;y軸:VeraTag(登録商標)アッセイシグナル(RPA)。黒色のバーは、検出された複合体の量であり、一方、灰色のバーは、対照アイソタイプ抗体を使用する、並行VeraTag(登録商標)アッセイにおいて検出されたバックグラウンドの量を示す。
【0027】
【
図10】
図10A〜10Cは、本開示の一部の態様による、VeraTag(登録商標)アッセイにより測定した場合の、それぞれのPD1:PD−L1複合体レベル対PD−1発現、PD1:PD−L1複合体レベル対PD−L1発現、およびPD−L1発現対PD−1発現のペアワイズ比較を説明するグラフを示す。PD−1データおよびPD−1−PD−L1複合体データは、
図9Aおよび
図9Bに示される分析からのものである。各比較のピアソン相関係数およびp値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
提供される技術の実施形態の特徴および付随する利点は、添付の図面と併せて考慮すると、以下の詳細な説明を参照することによって明らかになり、さらには理解される。
【0029】
異なる細胞上で発現されるタンパク質間のタンパク質−タンパク質相互作用の量を検出および定量化する方法が提供される。特に、記載されている方法は、細胞外受容体−リガンド相互作用を検出および定量化するために有用である。患者の病状(がんの状態など)を分類すること、患者の予後を示すこと、または処置に対する患者の応答性を示すことのいずれかについて臨床的にこのような測定を使用する方法もまた提供される。
【0030】
一態様では、試料中のタンパク質−タンパク質相互作用を定量化する方法が提供され、本方法は、(a)細胞表面上に第1のタンパク質を発現している第1の細胞、および細胞表面上に第2のタンパク質を発現している第2の細胞を含む試料を提供するステップ;(b)第1のタンパク質に特異的な第1の抗体結合組成物を提供するステップであって、第1の抗体結合組成物が、切断可能な連結を介してそれに付着した分子タグを含む、ステップ;(c)第2のタンパク質に特異的な第2の抗体結合組成物を提供するステップであって、第2の結合組成物は、それに付着した切断誘導部分を含む、ステップ;(d)試料を第1の抗体結合組成物および第2の抗体結合組成物と接触させるステップ;(e)第1の抗体結合組成物が第2の抗体結合組成物に付着した切断誘導部分の有効な近接距離範囲内にある場合に、第1の抗体結合組成物からの分子タグの切断を誘導し、それによって分子タグを放出させるステップ;ならびに(f)第1のタンパク質と第2のタンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用の量の尺度として、放出された分子タグの量を定量化するステップを含む。このタイプのアッセイの例を
図1A、
図1F、および
図1Gに模式的に示す。試料は、組織試料、培養細胞、または末梢血単核細胞(PMBC)であり得る。第1の抗体結合組成物は、第1のタンパク質の細胞外ドメインエピトープまたは細胞内ドメインエピトープに結合し得る。第2の抗体結合組成物は、第2のタンパク質の細胞外ドメインエピトープまたは細胞内ドメインエピトープに結合し得る。
【0031】
別の態様では、試料中のタンパク質−タンパク質相互作用を定量化する方法が提供され、本方法は、(a)細胞表面上に第1のタンパク質を発現している第1の細胞、および細胞表面上に第2のタンパク質を発現している第2の細胞を含む試料を提供するステップ;(b)第1のタンパク質に特異的な第1の抗体結合組成物を提供するステップであって、第1の抗体結合組成物が、切断可能な連結を介してそれに付着した分子タグを含む、ステップ;(c)第2のタンパク質に特異的な第2の抗体結合組成物を提供するステップ;(d)第2の抗体組成物に結合する第3の抗体組成物を提供するステップであって、第3の抗体組成物が、それに付着した切断誘導部分を含む、ステップ;(e)試料を第1の抗体結合組成物、第2の抗体結合組成物、および第3の抗体結合組成物と接触させるステップ;(f)第1の抗体結合組成物が第3の抗体結合組成物に付着した切断誘導部分の有効な近接距離範囲内にある場合に、第1の抗体結合組成物からの分子タグの切断を誘導し、それによって分子タグを放出させるステップ;ならびに(g)第1のタンパク質と第2のタンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用の量の尺度として、放出された分子タグの量を定量化するステップを含む。このタイプのアッセイの例を
図1Hに模式的に示す。試料は、組織試料、培養細胞、または末梢血単核細胞(PMBC)であり得る。第1の抗体結合組成物は、第1のタンパク質の細胞外ドメインエピトープまたは細胞内ドメインエピトープに結合し得る。第2の抗体結合組成物は、第2のタンパク質の細胞外ドメインエピトープまたは細胞内ドメインエピトープに結合し得る。
【0032】
別の態様では、試料中のタンパク質−タンパク質相互作用を定量化する方法が提供され、本方法は、(a)細胞表面上に第1のタンパク質を発現している第1の細胞、および細胞表面上に第2のタンパク質を発現している第2の細胞を含む試料を提供するステップ;(b)第1のタンパク質に特異的な第1の抗体結合組成物を提供するステップであって、第1の抗体組成物が、それに付着した切断誘導部分を含む、ステップ;(c)第2のタンパク質に特異的な第2の抗体結合組成物を提供するステップ;(d)第2の抗体組成物に結合する第3の抗体組成物を提供するステップであって、第3の抗体結合組成物が、切断可能な連結を介してそれに付着した分子タグを含む、ステップ;(e)試料を第1の抗体結合組成物、第2の抗体結合組成物、および第3の抗体結合組成物と接触させるステップ;(f)第3の抗体結合組成物が第1の抗体結合組成物に付着した切断誘導部分の有効な近接距離範囲内にある場合に、第3の抗体結合組成物からの分子タグの切断を誘導し、それによって分子タグを放出させるステップ;ならびに(g)第1のタンパク質と第2のタンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用の量の尺度として、放出された分子タグの量を定量化するステップを含む。このタイプのアッセイの概略図を示していないが、
図1Hに示されるアッセイから容易に想像される。試料は、組織試料、培養細胞、または末梢血単核細胞(PMBC)であり得る。第1の抗体結合組成物は、第1のタンパク質の細胞外ドメインエピトープまたは細胞内ドメインエピトープに結合し得る。第2の抗体結合組成物は、第2のタンパク質の細胞外ドメインエピトープまたは細胞内ドメインエピトープに結合し得る。
【0033】
さらに別の態様では、試料中のタンパク質−タンパク質相互作用を定量化する方法が提供され、本方法は、(a)細胞表面上に第1のタンパク質を発現している第1の細胞、および細胞表面上に第2のタンパク質を発現している第2の細胞を含む試料を提供するステップ;(b)第1のタンパク質に特異的な第1の抗体結合組成物を提供するステップ;(c)第2のタンパク質に特異的な第2の抗体結合組成物を提供するステップ;(d)第1の抗体組成物に結合する第3の抗体組成物を提供するステップであって、第3の抗体組成物が、切断可能な連結を介してそれに付着した分子タグを含む、ステップ;(e)第2の抗体組成物に結合する第4の抗体組成物を提供するステップであって、第4の抗体組成物が、それに付着した切断誘導部分を含む、ステップ;(e)試料を第1の抗体結合組成物、第2の抗体結合組成物、第3の抗体結合組成物、および第4の抗体結合組成物と接触させるステップ;(f)第3の抗体結合組成物が第4の抗体結合組成物に付着した切断誘導部分の有効な近接距離範囲内にある場合に、第3の抗体結合組成物からの分子タグの切断を誘導し、それによって分子タグを放出させるステップ;ならびに(g)第1のタンパク質と第2のタンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用の量の尺度として、放出された分子タグの量を定量化するステップを含む。このタイプのアッセイの例を
図1Iに模式的に示す。試料は、組織試料、培養細胞、または末梢血単核細胞(PMBC)であり得る。第1の抗体結合組成物は、第1のタンパク質の細胞外ドメインエピトープまたは細胞内ドメインエピトープに結合し得る。第2の抗体結合組成物は、第2のタンパク質の細胞外ドメインエピトープまたは細胞内ドメインエピトープに結合し得る。
【0034】
一態様では、提供される方法は、免疫細胞(T細胞など)の表面に発現されるタンパク質とがん細胞の表面に発現されるタンパク質の間の相互作用を検出するのに有用である。T細胞と、抗原に対するT細胞応答を調節する抗原提示細胞(APC)の間には、様々なリガンド−受容体相互作用が存在する。免疫チェックポイント分子は、刺激性(シグナルを上げる)または阻害性(シグナルを下げる)であり得る。免疫細胞上の阻害性チェックポイント分子は、それらのリガンドによって係合される場合、阻害シグナルを伝達し、自己寛容を維持し、末梢組織の免疫応答の持続時間および大きさを調節して組織病理学を最小限に抑える。がん細胞は、これらの経路を使用して、T細胞シグナル伝達を阻害することによって免疫系からそれら自身を保護することができる。典型的な免疫チェックポイント分子を表1に列挙する。一般的に、チェックポイント分子はT細胞上で発現され、一方、リガンドはがん細胞などの抗原提示細胞上で発現される。これに対する例外は、CD40ががん細胞上で発現され、一方、CD40LはT細胞上で発現されることである(以下の表1では例外に
*印が付されている)。なお、他の例外があり得る。試料、特に腫瘍試料中のこのようなタンパク質−タンパク質相互作用の検出は、免疫細胞が試料中に存在する程度を反映し得る。試料が腫瘍試料である場合、タンパク質−タンパク質相互作用の量は、試料中の活性化された免疫チェックポイント複合体の量を表す。
【表1】
【0035】
一部の場合では、第1のタンパク質は受容体であり得、第2のタンパク質は受容体に対するリガンドであり得る。一部の場合では、第1の細胞はT細胞であり得、第2の細胞は抗原提示細胞であり得る。一例では、抗原提示細胞は腫瘍細胞であり得る。別の例では、第1のタンパク質はPD−1(本明細書においてPD1とも称する)であり得、第2のタンパク質はPD−L1(本明細書においてPDL1とも称する)であり得る。別の例では、第1のタンパク質はCD28またはCTLA4であり得、第2のタンパク質はCD80またはCD86であり得る。別の例では、第1のタンパク質はBTLA4であり得、第2のタンパク質はHVEMであり得る。別の例では、第1のタンパク質はTIM3であり得、第2のタンパク質はGAL9であり得る。別の例では、第1のタンパク質はCD27であり得、第2のタンパク質はCD70であり得る。別の例では、第1のタンパク質はCD40Lであり得、第2のタンパク質はCD40であり得る。別の例では、第1のタンパク質はCD137であり得、第2のタンパク質はCD137Lであり得る。別の例では、第1のタンパク質はOX40であり得、第2のタンパク質はOX40Lであり得る。別の例では、第1のタンパク質はICOSであり得、第2のタンパク質はB7RP1であり得る。別の例では、第1のタンパク質はGITRであり得、第2のタンパク質はCITRLであり得る。一部の場合では、第1の細胞はT細胞であり得、第1のタンパク質は、PD−1、CTLA4、BTLA4、TIM3、CD27、CD28、CD40L、CD137、OX40、ICOS、またはGITRであり得る。一部の場合では、第2の細胞は腫瘍細胞であり得、第2のタンパク質は、PD−L1、PD−L2、CD80、CD86、HVEM、GAL9、CD70、CD40、CD137L、OX40L、B7RP1、またはGITRLであり得る。
【0036】
一部の場合では、第1のタンパク質、第2のタンパク質、またはそれらの両方の量は、2つのタンパク質間の複合体の量の定量化に加えて、決定され得る。例えば、これは、第1のタンパク質および/または第2のタンパク質が試料中に存在するかどうかを決定するために取られた閾値測定値であり得る。一部の場合では、このステップは、タンパク質の一方が他方よりもより制限されているかどうか、一部の場合では、どの程度までであるかを決定するために実施され得る。一部の場合では、試料が腫瘍試料であり、第1の細胞がT細胞である場合、この方法は、腫瘍におけるT細胞浸潤の量を決定するために、第1のタンパク質の量を定量化することを伴う。大量の第1のタンパク質が存在する場合、それは、腫瘍に浸潤した活性化T細胞が多数存在することを示し得る。少量の第1のタンパク質が存在する場合、それは、腫瘍中に存在する活性化T細胞がほとんどないことを示し得る。一部の場合では、(例えば、患者がこのような療法にどれくらい迅速に応答するかに関して)第1のタンパク質または第2のタンパク質に指向された療法に対する患者の応答性は増加し得、その場合、大多数の活性化T細胞が腫瘍に存在する。
【0037】
VeraTag(登録商標)アッセイの特徴
ある特定の実施形態では、試料中のタンパク質複合体の量は、試料を、切断可能な連結を介して抗体結合組成物に付着した分子タグを有する抗体結合組成物、および抗体結合組成物に付着した切断誘導部分を有する抗体結合組成物と接触させ、放出される分子タグの量を検出することによって決定される。
図1A、1C、1F、1G、1H、および1Iは、例示的なVeraTag(登録商標)アッセイフォーマットの概略図を提供する。一例では、
図1Aに示されるように、試料(組織切片、培養細胞)を固定し、次に、切断誘導剤を有する第1の抗体結合組成物、および分子タグ(例えば、VeraTag(登録商標)レポーター分子)などの検出可能な部分に連結された第2の抗体結合組成物と結合させる。第1の抗体は、ビオチンにコンジュゲートされ得、次に、切断誘導部分、例えば、ストレプトアビジン官能化増感色素(メチレンブルー)と結合される。第2の抗体結合組成物は、VeraTag(登録商標)レポーター分子または他の適切な検出可能な部分にコンジュゲートされる。切断誘導剤の光誘導は、一重項酸素の放出を引き起こすように実施されてよく、切断可能な連結の切断およびVeraTag(登録商標)レポーター分子のアッセイ溶液への放出を誘導する。次に、溶液を回収し、キャピラリー電気泳動によって分析する。このアッセイフォーマットの例示的な模式図を
図1C、1F、1G、1H、および1Iに示す。
図1D、1G、および1Iは、異なる抗体結合組成物の対を有するが、
図1Aについて記載したのと同じ例示的なVeraTag(登録商標)アッセイ化学を用いて示される。
【0038】
一部の場合では、例えば
図1Fおよび
図1Gに示されるように、第1の抗体結合組成物は、第1のタンパク質に特異的に結合し得、第2の抗体結合組成物は、第2のタンパク質に特異的に結合し得る。このアッセイフォーマットは、第1の抗体結合組成物に付着した分子タグが、第2の抗体結合組成物に付着した切断誘導部分の有効な近接距離内にある場合、分子タグを切断し得るため、第1のタンパク質と第2のタンパク質の間に形成される複合体の検出を可能にする。一部の例では、例えば
図1Hに示されるように、分子タグは、第1の抗体に付着される代わりに、第1の抗体組成物に結合する第3の抗体組成物に付着され得る。他の場合では、切断誘導部分は、第2の抗体に付着される代わりに、第2の抗体組成物に結合する第3の抗体組成物に付着され得る。他の場合では、例えば
図1Iに示されるように、分子タグは、第1の抗体に付着される代わりに、第1の抗体組成物に結合する第3の抗体組成物に付着され得、分子タグは、第2の抗体に付着される代わりに、第2の抗体組成物に結合する第4の抗体組成物に付着され得る。
【0039】
ある特定の場合では、VeraTag(登録商標)アッセイは、試料中のタンパク質の総量を検出するために使用され得る。このようなアッセイにおいて、第1の抗体結合組成物および第2の抗体結合組成物は両方、同一のタンパク質標的に特異的に結合するが、異なるエピトープに結合し得る。ある特定の実施形態では、第1の抗体結合組成物に付着した分子タグを有する第1の抗体結合組成物、および第2の抗体結合組成物に付着した切断誘導部分を有する第2の抗体結合組成物は、同じ標的タンパク質に結合するが、標的タンパク質の同じエピトープに結合しない。このようなアッセイフォーマットは、例えば
図1Cに示されている。別のフォーマットでは、第1の抗体結合組成物に付着した分子タグを有する第1の抗体結合組成物は、第1のエピトープに結合し、第2の抗体結合組成物は、第1のエピトープとは異なる第2のエピトープに結合し、第3の抗体組成物に付着した切断誘導部分を有する第3の抗体組成物は、第2の抗体結合組成物に結合する。このようなアッセイフォーマットは、例えば
図1Dに示されている。別のフォーマットでは、第1の抗体結合組成物は、第1のエピトープに結合し、第2の抗体結合組成物に付着した分子タグを有する第2の抗体結合組成物は、第1の抗体結合組成物に結合し、第3の抗体組成物に付着した切断誘導部分を有する第3の抗体組成物は、第1のエピトープとは異なる第2のエピトープに結合する。これらのフォーマットの各々では、分子タグが切断誘導部分の有効な近接距離内にある場合、切断誘導部分は切断可能なリンカーを切断し得、それにより分子タグが放出される。一部の場合では、このタイプのアッセイフォーマットは、試料中の標的タンパク質の総量を測定する。類似のアッセイフォーマットを使用する総HER2の検出の例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、共有の米国特許出願公開第2009/0191559号に記載されている。米国特許第7,648,828号および同第8,349,574号に記載されている、HER1、HER3、cMETなどのバイオマーカーの総量を測定することに関して記載されている同様のアッセイフォーマットもまた使用され得る。
【0040】
代替の実施形態では、タンパク質の総量は、
図1Eに示されている還元フォーマットアッセイを使用して検出され得、第1の抗体結合組成物は標的タンパク質に特異的に結合し、第2の抗体組成物は第1の抗体結合組成物に結合し、第2の抗体結合組成物は、DTTなどの還元剤を介して切断可能であるジスルフィド結合(−SS−)などの切断可能な連結を介して、第2の抗体結合組成物にコンジュゲートした検出可能部分を含む。
【0041】
「抗体結合組成物」とは、1つもしくは複数の抗体、または分子に結合する抗原結合断片を含み、その結合特異性がこのような抗体または抗体結合断片に由来する、分子または分子複合体を指すように本明細書で使用される。抗体結合組成物には、これらに限定されないが、(i)第1の抗体が標的分子に特異的に結合し、第2の抗体が第1の抗体の定常領域に特異的に結合する抗体対;標的分子およびストレプトアビジンタンパク質(このタンパク質は、ビオチン部分を介して、分子タグまたは光増感剤などの部分により誘導体化されている)に特異的に結合するビオチン化抗体;(ii)標的分子に特異的であり、デキストランなどのポリマー(これは、次に共有結合により直接的にまたはストレプトアビジン−ビオチン連結を介して間接的に、分子タグまたは光増感剤などの部分により誘導体化されている)にコンジュゲートした抗体;(iii)標的分子に特異的であり、ビーズ、もしくはマイクロビーズ、または他の固相支持体(これは、次に分子タグもしくは光増感剤、または後者を含有するポリマーなどの部分により直接的または間接的に誘導体化されている)にコンジュゲートした抗体が含まれる。
【0042】
「切断誘導部分」または「切断剤」は、本明細書において互換的に使用され、例えば、酸化により切断可能な連結を切断することが可能な活性種を生成する基を指す。好ましくは、活性種は、その切断誘導効果が、その発生部位の近接距離内にのみ存在するように、短命の活性を示す化学種である。
【0043】
「分子タグ」または「タグ」または「レポーター分子」または「検出可能な部分」とは、本明細書において使用される場合、これらに限定されないが、電気泳動移動度、分子量、形状、溶解度、pKa、疎水性、電荷、電荷/質量比、極性などを含む、分離される分子間における1つまたは複数の物理的、化学的または光学的差違に基づき、他の分子から区別することができる分子を指す。一態様では、複数の分子タグまたは分子タグのセットは、電気泳動移動度および光学的検出特性において相違し、電気泳動により分離することができる。別の態様では、複数の分子タグまたは分子タグのセットは、分子量、形状、溶解度、pKa、疎水性、電荷、極性において相違し得、順相もしくは逆相のHPLC、イオン交換HPLC、キャピラリー電気クロマトグラフィー、質量分析、気相クロマトグラフィーなどの技法により分離することができる。本明細書に記載されるように、VeraTag(登録商標)レポーター分子は、あるタイプの分子タグである。
【0044】
「光増感剤」とは、光により活性化されると、酸素分子を一重項酸素に転換する、光吸収分子を意味する。本明細書において使用される場合、「ジチオスレイトール」または「DTT」は、光増感剤の代わりに、還元によってVeraTag(登録商標)レポーター分子を切断するために使用され得る。
【0045】
用語「試料」、「組織試料」、「患者試料」、「患者の細胞試料もしくは組織試料」または「標本」は各々、被験体または患者の組織から得られる同様の細胞の収集物を指す。組織試料の供給源は、新鮮な、凍結した、および/もしくは保存した臓器もしくは組織試料または生検材料もしくは吸引物に由来する固体組織;血液または任意の血液構成成分;脳脊髄液、羊水、腹水または間質液などの体液;あるいは被験体の妊娠または発生の任意の時点に由来する細胞であり得る。組織試料は、防腐剤、抗凝固剤、緩衝液、固定剤、栄養物、抗生物質などの、天然の組織と天然では混合しない化合物を含有し得る。細胞は、従来の方法(例えば、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE))により固定され得る。
【0046】
「VeraTag(登録商標)」および「VeraTag(登録商標)アッセイ」は、本明細書において互換的に使用され、単一および多重標識フォーマットの両方の単一および多重化イムノアッセイ、ならびにこのようなアッセイを実施および利用するための材料、試薬および技法を指し、これらに限定されないが、それらのアッセイに関連する試薬、分析手順およびソフトウェアが含まれる。VeraTag(登録商標)アッセイの文脈における標識は、VeraTag(登録商標)レポーター分子と称される検出可能な部分である。このようなアッセイは、本出願、ならびにその全てが参照によりその全体として本明細書に組み込まれる米国特許第7,648,828号;同第8,470,542号;および同第8,349,574号;ならびに米国特許出願第2012−0295259号および同第2016−0041171号に開示されている。
【0047】
本明細書において使用される場合、「VeraTag(登録商標)レポーター分子」または「vTag」とは、VeraTag(登録商標)アッセイにおいて使用される抗体に付着されるあるタイプの分子タグ(上記で定義されている)を指す。例示的なVeraTag(登録商標)レポーター分子は、Pro11およびPro125であり、これらは
図1Jに示されている。他のVeraTag(登録商標)分子は、米国特許第6,627,400号;同第7,105,308号;同第7,255,999号;同第9,110,975号;同第7,402,397号;および同第8,357,277号に記載されており、これらの各々はすべての目的のためにその全体として本明細書に組み込まれる。
【0048】
多数の利点は、放出可能な分子タグを使用してタンパク質−タンパク質相互作用を測定することによって提供され、(1)アッセイ混合物から放出された分子タグの分離は、バックグラウンドを大幅に低減させ、感度が顕著に増加する;(2)分離および検出を容易にするために特別に設計された分子タグの使用は、複数の受容体複合体成分が同じアッセイにおいて同時に容易に測定され得るように、便利な多重化能力を提供する。このようなタグを採用するアッセイは、様々な形態を有することができ、以下の参考文献:各々が参照によりその全体として本明細書に組み込まれる、米国特許第7,105,308号および同第6,627,400号;公開された米国特許出願第2002/0013126号、同第2003/0170915号、同第2002/0146726号、同第2009/0191559号、同第2010/0143927号、同第2010/0233732号および同第2010/0210034号に開示されている。例えば、広範な分離技法が採用され得、分離される分子間における、電気泳動移動度、分子量、形状、溶解度、pKa、疎水性、電荷、電荷/質量比または極性を含む、1つまたは複数の物理的、化学的または光学的差違に基づいて、分子を区別することができる。一態様では、複数の分子タグまたは分子タグのセットは、電気泳動移動度および光学的検出特性において相違し、電気泳動により分離される。別の態様では、複数の分子タグまたは分子タグのセットは、分子量、形状、溶解度、pKa、疎水性、電荷、極性において相違し得、順相もしくは逆相のHPLC、イオン交換HPLC、キャピラリー電気クロマトグラフィー、質量分析、または気相クロマトグラフィーにより分離される。
【0049】
結合化合物から放出された後、分離技法により異なるバンドまたはピークに分離することができる分子タグのセットが提供される。このようなピークの同定および定量化は、タンパク質、タンパク質複合体および転写後の修飾されたタンパク質の存在および/または量の尺度またはプロファイルを提供する。セット内の分子タグは、化学的に多様であり得る;しかしながら、簡便のため、分子タグのセットは、通常、化学的に関連付けられる。例えば、それらはすべてペプチドであり得、またはそれらは同じ基本要素(basic building block)もしくは単量体の異なる組み合わせからなり得、あるいはそれらは、異なる分離特性を付与するために異なる置換基を有する同じ基本的足場を使用して合成され得る。複数の分子タグの数は、採用される分離方式、検出用の分子タグにおいて使用される標識、結合部分の感度、および切断可能な連結が切断される効率を含む、複数の因子に依存して変化し得る。
【0050】
組織試料に対して直接なされた測定は、試料中の総細胞数、および/または試料中の特定のサブタイプの細胞の数を表わす細胞標的または組織標的についての測定を含むことにより、正規化され得る。実質的な割合の正常細胞を含み得る患者試料、特に腫瘍試料において、細胞および組織が不均質であるため、さらなる測定が好ましい場合もあり、またはさらに必要な場合もある。
【0051】
一部の場合では、組織試料には、これらに限定されないが、乳房、前立腺、卵巣、結腸、肺、子宮内膜、胃、唾液腺、喉頭、咽頭、舌、または膵臓組織試料が含まれる。組織試料は、手術による切除、吸引または生検などの各種の手順により得ることができる。組織は、新鮮であってもよくまたは凍結されていてもよい。一実施形態では、本発明のアッセイは、固定され、パラフィンに包埋された組織試料について行われ、脱パラフィンステップが行われる。組織試料は、従来の方法により固定(すなわち、保存)され得る。例えば、Lee G. Luna、HT (ASCP)編、1960年、Manual of Histological Staining Method of the Armed Forces Institute of Pathology 第3版、The Blakston Division McGraw−Hill Book Company、New York; Ulreka V. Mikel編、1994年、The Armed Forces Institute of Pathology Advanced Laboratory Methods in Histology and Pathology、Armed Forces Institute of Pathology、American Registry of Pathology、Washington、D.C.を参照されたい。当業者は、組織を組織学的に染色するか、または他の方法で分析する目的によって、固定剤の選択が決定されることを認識する。当業者はまた、固定化の長さが、組織試料のサイズおよび使用される固定剤に依存することも認識する。
【0052】
一般的に、最初に組織試料を固定し、次に、濃度を上昇させた一連のアルコールにより脱水し、組織試料を切片化し得るように、パラフィンまたは他の切片化媒体を浸透させ、包埋する。代替的に、組織を切片化し、得られた切片を固定し得る。例として、組織試料は、上記に提供された参考文献に記載されている従来の技法に従って、従来の方法によりパラフィンに包埋され、加工され得る。使用され得るパラフィンの例には、これらに限定されないが、Paraplast、Broloid、およびTissuemayが含まれ得る。組織試料を包埋したら、従来の技法に従って、ミクロトームにより試料を切片化し得る。切片は、厚さが約3ミクロン〜約12ミクロンの範囲であり得、好ましくは約5ミクロン〜約10ミクロンの範囲の厚さであり得る。一態様では、切片は、面積が約10mm
2〜約1cm
2であり得る。切断したら、切片は、いくつかの標準的な方法によりスライドに付着させ得る。スライド接着剤の例には、これらに限定されないが、シラン、ゼラチン、およびポリ−L−リジンが含まれる。パラフィン包埋切片は、正に荷電したスライドおよび/またはポリ−L−リジンで被覆したスライドに付着され得る。
【0053】
パラフィンを包埋材料として使用した場合は、組織切片は、一般的に、バイオマーカーを検出する前に脱パラフィンおよび再湿潤化(rehydrate)される。組織切片は、いくつかの従来の標準的な方法により脱パラフィンされ得る。例えば、キシレンおよび段階的に濃度を低下させる一連のアルコールは、上記に提供された参考文献に記載されている従来の技法に従って使用され得る。代替的に、Hemo−De(登録商標)(CMS、Houston、Tex.)などの市販の脱パラフィン非有機剤を使用し得る。
【0054】
上記で言及した通り、複数の異なる結合化合物を含有する混合物を提供し得、ここで、異なる結合化合物の各々は切断可能な連結を介して付着した1つまたは複数の分子タグを有する。結合化合物、切断可能な連結および分子タグの性質は、大きく異なり得る。一態様では、抗体結合組成物を、以下の式:
B−(L−E)
k
[式中、Bは、結合部分(抗体)であり;Lは、切断可能な連結であり;Eは、分子タグである]
により表わすことができる。ホモジニアスアッセイにおいて、切断可能な連結Lは、酸化に不安定な連結であり得、より好ましくは、それは、例えば
図1Aに示されるように、一重項酸素によって切断され得る連結である。代替的に、それは、例えば
図1Bに示されるように、還元による切断、例えばDTTによる切断に感受性である連結であり得る。部分「−(L−E)k」は、単一の結合化合物が、切断可能な連結を介して付着された複数の分子タグを有し得ることを示す。一態様では、kは1を超えるまたは1に等しい整数であるが、他の実施形態では、kが数百より大きく、例えば100〜500であり得、またはkは数百より大きく、数千ほどにもなり、例えば500〜5000である。通常、複数の異なるタイプの結合化合物の各々は、異なる分子タグEを有する。切断可能な連結、例えば、酸化に不安定な連結、および分子タグEは、従来の化学によりBに付着される。
【0055】
好ましくは、Bは、標的に特異的に結合する抗体結合組成物である。抗体組成物は、モノクローナルまたはポリクローナルのいずれかの広範な市販の抗体から容易に形成される。ある特定の実施形態では、Bは、短い距離にわたって作用する切断プローブによって生じる切断剤によって切断される、切断可能な連結Lを有し、そのため、切断プローブのごく近接距離内の切断可能な連結のみが切断される。
【0056】
切断可能な連結Lは、放出された分子タグEの構造を分解せず、その検出特性に影響を与えることのない条件下で切断され得る、実際上、任意の化学連結基であることができる。典型的には、このような薬剤が、拡散して、切断可能な連結に至り、切断を実行する短命の活性種を生成するように、反応混合物に物理的または化学的な変化をもたらすことにより、薬剤を活性化する必要がある。ホモジニアスフォーマットでは、切断剤は、抗体などの結合部分に付着することが好ましく、この結合部分により、切断剤は、活性化する前に、放出可能な分子タグを伴う結合化合物の近接距離内にある特定の部位に標的化される。このような実施形態では、切断剤は、本明細書において「切断誘導部分」と称される。
【0057】
切断可能な連結には、過酸化水素、一重項酸素など、局所的に作用する反応種との反応に不安定である連結だけでなく、塩基に不安定な連結、光切断可能な連結、還元により切断可能な連結、酸化により切断される連結、酸に不安定な連結、および特定のプロテアーゼにより切断可能なペプチド連結など、反応混合物全体に作用する薬剤に対して不安定な連結もまた含まれる。多数のこのような連結について記載する参考文献には、GreeneおよびWuts、1991年、Protective Groups in Organic Synthesis、第2版、John Wiley & Sons、New York; Hermanson、1996年、Bioconjugate Techniques、Academic Press、New York;および米国特許第5,565,324号が含まれる。
【0058】
一態様では、市販の切断可能な試薬システムを本発明とともに採用し得る。例えば、ジスルフィド連結は、Pierce Chemical Company (Rockford、IL)などの販売元から入手可能である、N−スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−α−(2−ピリジルジチオ)トルエン(SMPT)などのヘテロ官能性薬剤を用いて、抗体結合組成物と分子タグの間に導入され得る。このような連結により導入されたジスルフィド結合は、ジチオトレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、2−メルカプトエタノールまたは水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤で処理することにより破壊することができる。ジスルフィド結合の切断を実行するための還元剤の典型的な濃度は、約1mM〜100mMの範囲にある。酸化に不安定な連結は、ホモ二官能性NHSエステル架橋試薬、過ヨウ素酸ナトリウム(例えば、生理学的pHにおいて4時間にわたる15mM過ヨウ素酸塩)による切断に感受性であるcis−ジオールを中央部に含有する酒石酸ジスクシンイミジル(DST)(Pierceから入手可能)を使用して、抗体結合組成物と分子タグの間に導入され得る。エステル化されたスペーサー成分を含有する連結は、ヒドロキシルアミン、例えば、37℃で3〜6時間にわたる、pH8.5の0.1Nヒドロキシルアミンなどの、強力な求核剤により切断され得る。このようなスペーサーは、Pierce(Rockford、IL)から入手可能なエチレングリコールビス(スクシンイミジルスクシネート)(EGS)などのホモ二官能性の架橋剤により導入することができる。塩基に不安定な連結は、スルホン基により導入することができる。切断可能な連結にスルホン基を導入するために使用することができるホモ二官能性の架橋剤には、ビス[2−(スクシンイミジルオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(BSOCOES)、および4,4−ジフルオロ−3,3−ジニトロフェニルスルホン(DFDNPS)が含まれる。切断のための例示的な塩基性条件には、37℃で2時間のインキュベーションを伴う、6M尿素、0.1%SDS、および2mM DTTを含有するTris塩基を添加することによりpH11.6に調整された0.1Mリン酸ナトリウムが含まれる。光切断可能な連結にはまた、米国特許第5,986,076号において開示される連結も含まれる。
【0059】
Lが酸化に不安定である場合、Lは、チオエーテルまたはそのセレン類似体;またはオキソ基に対する二重結合が切断され、分子タグEを放出する、炭素−炭素の二重結合を含有するオレフィンであり得る。例示的な酸化に不安定な連結は、それらの各々が、参照によりその全体として本明細書に組み込まれる、米国特許第6,627,400号および同第5,622,929号;ならびに公開された米国特許出願第2002/0013126号および同第2003/0170915号に開示されている。
【0060】
ガスクロマトグラフィーまたは質量分析により複数の分子タグの分離が行われる場合、本発明における分子タグEは、以下の参考文献に記載されている電気泳動タグ(electrophoric tag)を含み得る;例えば、それらの各々が参照によりその全体として本明細書に組み込まれる、Zhangら、2002年、Bioconjugate Chem. 13巻:1002〜1012頁;Giese、1983年、Anal. Chem. 2巻:165〜168頁;ならびに米国特許第4,650,750号;同第5,360,819号;同第5,516,931号;および同第5,602,273号を参照されたい
【0061】
分子タグEは、好ましくは、活性種、とりわけ、一重項酸素に対して安定であり、検出基またはレポーター基を含む、水溶性の有機化合物である。他の点では、Eは、サイズおよび構造が大きく異なり得る。一態様では、Eは、約50〜約2500ダルトン、より好ましくは、約50〜約1500ダルトンの範囲にある分子量を有する。Eは、電気化学シグナル、蛍光シグナルまたは発色シグナルを発生させるための検出基を含み得る。質量による検出を採用する実施形態では、Eは、検出の目的で別個の部分を有し得ない。好ましくは、検出基は、蛍光シグナルを発生させる。例示的な分子タグPro11およびPro125を
図1Cおよび
図1Jに示す。
【0062】
一態様では、分子タグEは(M、D)であり、ここで、Mは、移動度修飾部分であり、Dは検出部分である。「(M、D)」という表記を使用して、そのいずれの部分も切断可能な連結Lに隣接し得るように、M部分およびD部分の順序づけがなされ得ることを示す。すなわち、「B−L−(M、D)」とは、結合化合物が、2つの形態:「B−L−M−D」または「B−L−D−M」のうちのいずれかであることを示す。
【0063】
検出部分Dは、蛍光標識または蛍光色素であり得、発色標識もしくは発色色素また電気化学標識であり得る。好ましくは、Dは、蛍光色素である。本発明とともに使用するための例示的な蛍光色素には、以下の参考文献:Handbook of Molecular Probes and Research Reagents、第8版(2002年)、Molecular Probes、Eugene、 OR;米国特許第6,191,278号;同第6,372,907号;同第6,096,723号;同第5,945,526号;同第4,997,928号;および同第4,318,846号;ならびにLeeら、1997年、Nucleic Acids Research 25巻:2816〜2822頁において開示されている、水溶性ローダミン色素、フルオレセイン、4,7−ジクロロフルオレセイン、ベンゾキサンテン色素およびエネルギー移動色素が含まれる。好ましくは、Dは、フルオレセインまたはフルオレセイン誘導体である。
【0064】
切断誘導部分または切断剤は、好ましくは酸化により、切断可能な連結を切断することが可能な活性種を生成する基である。好ましくは、活性種は、その切断誘導効果が、その発生部位の近接距離内にのみ存在するように、短命の活性を示す化学種である。活性種が創出される近接距離を越えて顕著なバックグラウンドを創出しないように、活性種を固有に短命とするか、またはその発生部位からの短距離を越えて、切断可能な連結と反応することが可能でないように、活性種を効果的に除去するスカベンジャーを採用する。例示的な活性種には、一重項酸素、過酸化水素、NADHおよびヒドロキシルラジカル、フェノキシラジカル、スーパーオキシドなどが含まれる。酸化を引き起こす活性種に対する例示的なクエンチャーには、ポリエン、カロテノイド、ビタミンE、ビタミンC、チロシン、ヒスチジンおよびグルタチオンのアミノ酸−ピロールN−コンジュゲートが含まれる。例えば、Beutnerら、2000年、Meth. Enzymol. 319巻:226〜241頁を参照されたい。
【0065】
切断誘導部分および切断可能な連結を採用するアッセイを設計する際の1つの考慮点は、タンパク質−タンパク質複合体と結合したとき、切断誘導部分により発生される活性種が切断可能な連結を効果的に切断することが不可能となる程度に遠く、切断誘導部分および切断可能な連結が互いから引き離されないようにすることである。一態様では、切断可能な連結は、好ましくは、結合した切断誘導部分の約1000nm以内にあり、好ましくは約20〜200nm以内にある。より好ましくは、一重項酸素を発生させる、光増感剤の切断誘導部分について、切断可能な連結は、受容体複合体において光増感剤の約20〜100nm以内にある。切断誘導部分が切断可能な連結を有効に切断し得る(すなわち、検出可能なシグナルを発生させるのに十分な分子タグを切断する)範囲は、本明細書において、その「有効な近接距離」と称する。当業者は、特定の光増感剤の有効な近接距離が、特定のアッセイ設計の詳細に依存する場合があり、日常的な実験により決定または修飾され得ることを認識する。
【0066】
増感剤は、反応中間体、または種、通常一重項酸素を発生させるように誘導することができる化合物である。好ましくは、本発明により使用される増感剤は、光増感剤である。本発明の範囲内に含まれる他の増感剤は、熱、光、電離放射線または化学的活性化により励起されると、一重項酸素分子を放出する化合物である。このクラスの化合物のうちで最も公知のメンバーには、1,4−ビスカルボキシエチル−1,4−ナフタレンエンドペルオキシド、9,10−ジフェニルアントラセン−9,10−エンドペルオキシドおよび5,6,11,12−テトラフェニルナフタレン 5,12−エンドペルオキシドなどのエンドペルオキシドが含まれる。これらの化合物を加熱しまたはこれらの化合物が直接的に光を吸収すると、一重項酸素が放出される。さらなる増感剤は、Di Mascioら、1994年、FEBS Lett. 355巻:287頁;およびKanofsky、1983年、J.Biol. Chem. 258巻:5991〜5993頁;Pierlotら、2000年、Meth. Enzymol. 319巻:3〜20頁により開示されている。
【0067】
光増感剤は、共有結合性連結または非共有結合性連結により、直接的または間接的にクラス特異的な試薬による結合剤と付着し得る。このような組成物を構築するための指針、特に、結合剤としての抗体についての指針は、例えば、光線力学療法、免疫診断学などの分野の文献において利用可能である。例示的な指針は、Ullmanら、1994年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91巻、5426〜5430頁;Strongら、1994年、Ann. New York Acad. Sci. 745巻:297〜320頁;Yarmushら、1993年、Crit. Rev. Therapeutic Drug Carrier Syst. 10巻:197〜252頁;ならびに米国特許第5,340,716号;同第5,516,636号;同第5,709,994号;および同第6,251,581号において見出すことができる。
【0068】
一部の場合では、切断誘導部分による分子タグの切断は、光誘導によって誘導される。光増感剤を光活性化して一重項酸素を発生させるには、多種多様な光源が利用できる。光源が、実用的な時間内で十分な一重項酸素を生成させるのに十分な強度である限りにおいて、多色光源と単色光源の両方を用いることができる。照射の距離は、光増感剤の性質、切断可能な連結の性質、照射光源の出力、および試料からの距離に依存する。一般的に、照射時間は、約1マイクロ秒間超から約10分間もの長さであり得、通常、約1ミリ秒間〜約60秒間の範囲内である。照射の強度および距離は、光増感剤分子のうちの少なくとも約0.1%、通常、光増感剤分子のうちの少なくとも約30%、ならびに、好ましくは、光増感剤分子のうちの実質的にすべてを励起するのに十分であるものとする。例示的な光源には、レーザー、例えば、ヘリウム−ネオンレーザー、アルゴンレーザー、YAGレーザー、He/Cdレーザーおよびルビーレーザー;光ダイオード;水銀灯、ナトリウム灯およびキセノン蒸気灯;ならびに、例えば、タングステン灯およびタングステン/ハロゲン灯および閃光灯などの白熱灯が含まれる。本発明の方法において使用するのに適した例示的な光活性化デバイスは、国際特許公開第WO03/051669号において開示されている。このような実施形態では、光活性化デバイスは、96ウェルプレートのすべてのウェルを同時に照射することが可能な、ハウジング内に設置された発光ダイオード(LED)のアレイである。
【0069】
本発明において利用され得る光増感剤の例は、上記の特性を有する増感剤、ならびに、米国特許第5,536,834号;同第5,763,602号;同第5,565,552号;同第5,709,994号;同第5,340,716号;同第5,516,636号;同第6,251,581号;および同第6,001,673号;公開された欧州特許出願第0484027号;Martinら、1990年、Methods Enzymol. 186巻:635〜645頁;およびYarmushら、1993年、Crit. Rev. Therapeutic Drug Carrier Syst. 10巻:197〜252頁により開示される増感剤である。増感剤の場合と同様、ある特定の実施形態では、光増感剤は、固相支持体の表面に共有結合もしくは非共有結合により付着させるか、または固相支持体の本体に組み込むことにより固相支持体と会合され得る。一般的に、光増感剤は、必要量の一重項酸素を達成するのに必要な量で支持体と会合させる。一般的に、光増感剤の量は、日常的な方法に従って、経験的に決定される。
【0070】
記載されている方法を行う際に、試験される試料および抗体結合化合物を含む、アッセイ成分の組み合わせを作製する。一般的に、アッセイ成分は、任意の順序で組み合わせ得る。しかしながら、ある特定の適用において、添加の順序が重要となり得る。例えば、競合的結合を定量的にモニタリングしたい場合がある。または、組み立てた複合体の安定性をモニタリングしたい場合もある。このような適用において、反応物を段階的に組み立て得る。
【0071】
各々の試薬の量は、一般的には、経験的に決定することができる。アッセイに使用される試料の量は、存在する標的複合体の予測される数、ならびにアッセイのシグナルをモニタリングするために使用される分離および検出の手段によって決定される。一般的に、結合化合物および切断プローブの量は、試料中の標的分子の期待される量と比べてモル過剰で、一般的には、少なくとも約1.5倍過剰、より望ましくは約10倍過剰、またはそれを超えるモル過剰で提供することができる。特定の適用において、使用される濃度は、結合剤の親和性、および単一の細胞において存在する標的分子の期待される数に応じて高くまたは低くてもよい。細胞表面のタンパク質複合体の形成に対する化学化合物の効果を決定しようとする場合、モニタリングされる効果に応じて、プローブを添加する前に、これと同時に、またはこの後において、化合物を細胞に添加し得る。
【0072】
アッセイ混合物は、通常、約10〜200mMの範囲の濃度の緩衝液により維持される、一般的には、生理学的pH(細胞が培養物であるpHと同等のpH)にある水性媒体において、細胞表面分子へのプローブの結合を提供する条件下で合わせられ、インキュベートされ得る。従来の緩衝液は、必要に応じて、塩、成長培地、安定化剤など、他の従来の添加剤と同様に使用され得る。生理学的な一定温度が、普通、採用される。インキュベーション温度は、普通、約4℃〜70℃、通常、約15℃〜45℃の範囲であり、より通常には約25℃〜37℃の範囲である。
【0073】
アッセイ混合物を組み立て、インキュベートして、プローブを細胞表面分子に結合させた後、混合物を処理して、切断剤を活性化させ、切断剤の有効な近接距離内にある結合化合物からタグを切断し、細胞表面から対応するタグを溶液に放出させることができる。この処理の性質は、切断剤の作用機構に依存する。例えば、光増感剤を切断剤として採用する場合、切断の活性化は、使用される特定の増感剤に適切な光の波長で、混合物を照射することを含み得る。
【0074】
次に、切断後、試料を分析して、放出されたタグの正体を決定することができる。複数の結合化合物を採用するアッセイを用いる場合、放出されたタグの分離が、一般的には、それらの検出に先行する。分離と検出の両方のための方法は、アッセイのためにタグを設計する過程で決定される。好ましい分離方式は電気泳動を採用し、様々なタグが、それらの電気泳動移動度における公知の差違に基づき分離される。
【0075】
上記で言及した通り、一部の実施形態では、アッセイ反応条件が、採用される分離技法に干渉し得る場合、分子タグを切断および分離する前に、アッセイ反応緩衝液を除去または交換することが必要であり得る。例えば、アッセイ条件には、電気泳動移動度に基づいて、分子タグを分離する場合、分離性能を劣化させる塩濃度(例えば、特異的な結合に必要とされる)が含まれ得る。したがって、このような高塩緩衝液は、例えば、分子タグを切断する前に除去され、濾過、吸引、希釈または他の手段により、電気泳動による分離に適した別の緩衝液で置き換えられてもよい。
【0076】
PD−1−PD−L1相互作用の測定
本明細書において提供される方法を使用して検出され得る例示的なタンパク質−タンパク質相互作用は、プログラム死1(「PD−1」)を発現しているT細胞とPDリガンド1(「PD−L1」)を発現しているがん細胞の間の相互作用である。上記されるように、T細胞とがん細胞などの抗原提示細胞の間に生じる他の同様のタンパク質−タンパク質複合体がいくつか存在する。このセクションにおける検討は、例としてPD−1−PD−L1の相互作用に重点を置く。他のこのような複合体は、同様に検出および測定され、同様の目的で使用され得ることが理解される。
【0077】
PD−1−PD−L1相互作用は、PD−1を発現しているT細胞とPD−L1を発現している腫瘍細胞の間で生じる。PD−L1を発現している腫瘍とPD−1を発現しているT細胞の間の相互作用は、腫瘍に対する免疫応答を低減する。(一般的には、Chen、D.S.およびMellman、I.、Oncology meets immunology: the cancer−immunity cycle. Immunity 39巻:1〜10頁(2013年);Keir、M.E.ら、PD−1 and its ligands in tolerance and immunity. Ann. Rev. Immunol. 26巻:677〜704頁(2008年);Teng、MWLら、Classifying cancers based on T−cell infiltration and PD−L1. Cancer Res. 75巻:2139〜2145頁(2015年)を参照されたい。)PD−1とPD−L1の間の相互作用の阻害は、T細胞の抗腫瘍活性を回復し得る。PD−1またはPD−L1のいずれかと結合し、それらの相互作用を阻害する治療用抗体などのチェックポイント阻害剤は臨床開発中である。免疫組織化学(IHC)は、PD−1またはPD−L1のバイオマーカーアッセイとして使用されている。しかしながら、これまで、IHC状況は、応答性を明確に示すものではない。例えば、すべてのIHC陽性患者が抗PD−1療法または抗PD−L1療法に応答するわけではないが、一方、一部のIHC陰性患者が確かに応答する。
【0078】
PD−1およびPD−L1のバイオマーカーアッセイとしてIHCを使用することにはいくつかの欠点がある。標準化されていない複数のIHC方法および試薬があり、これらのタンパク質の発現に「陽性である」ものとして同定される標準発現レベルは存在しない。さらに、IHCによる定量化は、視覚的スコア化システムのために主観的である。標準的なIHCアッセイの欠如は、IHC陰性患者における観察された臨床応答に対して少なくとも部分的に関与している可能性がある。
【0079】
本開示の一態様では、PD−1とPD−L1の間のタンパク質−タンパク質複合体相互作用の正確な定量化は、抗PD−1療法または抗PD−L1療法に応答する可能性がある患者に対して、PD−1またはPD−L1のいずれか単独またはその両方よりも良好な予測因子であり得る。このようにして、PD−1とPD−L1の間の相互作用を検出し、患者が抗PD−1療法または抗PD−L1療法に応答し得るかどうかを決定する方法が提供される。
【0080】
本明細書において記載されるように、異なる細胞上で発現されるPD−1およびPD−L1の相互作用は、本開示に記載されているフォーマットを有するVeraTag(登録商標)アッセイを使用して検出され得る。特に、複合体は、細胞間(異なる細胞上のタンパク質間)で生じるVeraTag(登録商標)レポーター分子の近接依存性放出に基づいて検出される。このタイプのアッセイを使用するシグナルの検出は、2つの細胞であるT細胞および腫瘍細胞の近い近接距離に依存する。本開示に記載されているPD−1−PD−L1 VeraTag(登録商標)アッセイ法は、広いダイナミックレンジにわたってPD−1−PD−L1複合体の量を直接定量的におよび連続的に測定することをもたらす。
【0081】
例えば、PD−1−PD−L1複合体形成は、近接距離依存性の光放出VeraTag(登録商標)アッセイフォーマットを使用して検出することができ、VeraTag(登録商標)レポーター分子は、抗PD−1抗体に付着され、ビオチン化された抗PD−L1抗体と対になる。別の例では、PD−1−PD−L1複合体形成は、近接距離依存性の光放出VeraTag(登録商標)アッセイフォーマットを使用して検出することができ、VeraTag(登録商標)レポーター分子は、抗PD−L1抗体に付着され、ビオチン化された抗PD−1抗体と対になる。
図1Fおよび
図1Gに示される概略図は、これらのアッセイフォーマットの両方を代表するものである。別の例では、PD−1−PD−L1複合体形成は、近接距離依存性の光放出VeraTag(登録商標)アッセイフォーマットを使用して検出することができ、VeraTag(登録商標)レポーター分子は、抗PD−L1抗体に結合する二次抗体に付着され、ビオチン化された抗PD−1抗体と対になる。別の例では、PD−1−PD−L1複合体形成は、近接距離依存性の光放出VeraTag(登録商標)アッセイフォーマットを使用して検出することができ、VeraTag(登録商標)レポーター分子は、抗PD−1抗体に結合する二次抗体に付着され、ビオチン化された抗PD−L1抗体と対になる。
図1Hに示される概略図は、これらのアッセイフォーマットの両方を代表するものである。別の例では、PD−1−PD−L1複合体形成は、近接距離依存性の光放出VeraTag(登録商標)アッセイフォーマットを使用して検出することができ、VeraTag(登録商標)レポーター分子は、抗PD−L1抗体に結合する第1の二次抗体に付着され、抗PD−1抗体に結合するビオチン化された二次抗体と対になる。別の例では、PD−1−PD−L1複合体形成は、近接距離依存性の光放出VeraTag(登録商標)アッセイフォーマットを使用して検出することができ、VeraTag(登録商標)レポーター分子は、抗PD−1抗体に結合する第1の二次抗体に付着され、抗PD−L1抗体に結合するビオチン化された二次抗体と対になる。
図1Iに示される概略図は、これらのアッセイフォーマットの両方を代表するものである。
【0082】
一部の場合では、本明細書に記載されている方法において使用されるPD−L1抗体は、ウサギ抗ヒトPD−L1モノクローナル抗体E1L3N(Cell Signaling)またはウサギ抗ヒトPD−L1モノクローナル抗体28−8(Abcam、カタログ番号ab205921)であり得る。一部の場合では、本明細書に記載されている方法において使用されるPD−1抗体は、表2に列挙された抗体のいずれかであり得る。本明細書に記載されているアッセイにおいて採用される分子タグは、米国特許第6,627,400号、同第7,105,308号;同第7,255,999号;同第9,110,975号;同第7,402,397号;および同第8,357,277号に記載されているタグのいずれかであり得る。
【0083】
一部の場合では、PD−1とPD−L1の間のタンパク質−タンパク質相互作用は、細胞培養系において検出され得、接着性がん細胞は、
図7に関して記載されるように、Jurkat細胞などのTリンパ球細胞の不死化株と共培養される。接着性細胞株は一晩培養され、洗浄され得、次に、PHAで刺激されたJurkat細胞は、接着性細胞株と1:1またはそれよりも過剰(例えば2×、5×、10×)で培養物に添加され得る。共培養物を1、2、3、4または5日間増殖させ、次に、洗浄して未結合細胞(主にリンパ球細胞であることが予想される)を除去し得る。その後、共培養した細胞を分析前に固定し得る。類似のアッセイフォーマットは、がん細胞上に発現される他のチェックポイント阻害タンパク質のタンパク質相互作用を評価するために容易に採用され得る。一部の場合では、このアッセイフォーマットは、2つの標的タンパク質間の相互作用を変化させる試験化合物、例えば、化学化合物、ペプチド、または抗体もしくは抗体断片の能力を評価し、それにより治療用分子の同定を促進するために使用され得る。このようなアッセイは、異なる試験分子を試験するためのスクリーニングアッセイとして使用され得る。一部の場合では、試験分子は、標的タンパク質間の相互作用を低減する、タンパク質−タンパク質相互作用の阻害剤であり得る。例えば、標的分子は、他の標的タンパク質が相互作用するのと同じ領域内の標的タンパク質の1つの一部に結合し得る。一部の場合では、試験分子は、標的タンパク質のタンパク質−タンパク質相互作用を促進する刺激分子であり得る。
【0084】
別の態様では、試料中の2つの細胞間のタンパク質−タンパク質相互作用の形成を妨害するまたは促進する能力について試験薬剤をスクリーニングする方法が提供され、(a)試験細胞培養物を試験薬剤と接触させるステップであって、試験細胞培養物が、細胞表面上に第1のタンパク質を発現している第1の細胞、および細胞表面上に第2のタンパク質を発現している第2の細胞を含む、ステップ;(b)上述される方法のいずれかを使用して、第1のタンパク質と第2のタンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用の量を測定するステップ;ならびに(c)ステップ(b)において測定されたタンパク質−タンパク質相互作用の量を、試験薬剤と接触していない対照細胞培養物中の第1タンパク質と第2タンパク質の間で測定されたタンパク質−タンパク質相互作用の量と比較するステップであって、対照細胞培養物が、細胞表面上に第1のタンパク質を発現している第1の細胞、および細胞表面上に第2のタンパク質を発現している第2の細胞を含む、ステップを有する。
【0085】
一部の場合では、タンパク質−タンパク質相互作用の量が、対照細胞培養物と比較して試験細胞培養物において減少している場合、試験薬剤は、第1のタンパク質と第2のタンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用の阻害剤であり得る。他の場合では、タンパク質−タンパク質相互作用の量が、対照細胞培養物と比較して試験細胞培養物において増加している場合、試験薬剤は、第1のタンパク質と第2のタンパク質の間のタンパク質−タンパク質相互作用の促進剤であり得る。
【0086】
一部の場合では、第1の細胞および第2の細胞は異なる細胞タイプであり得る。いくつか場合において、第1の細胞および第2の細胞は異なるがん細胞株であり得る。一部の場合では、第1の細胞および第2の細胞の一方が接着性細胞株であり、他方が非接着性細胞株である。一部の場合では、第1の細胞はJurkat細胞であり、第2の細胞は接着性がん細胞である。
【0087】
一部の場合では、本明細書に記載されている方法を使用して検出可能なPD−L1タンパク質およびPD−1タンパク質の量は、例えば
図2Bに記載されているように、これらのタンパク質のmRNA発現の量に比例する。一部の場合では、本明細書に記載されている方法を使用して検出可能なPD−1−PD−L1複合体の量は、例えば
図8Dに示されているように、試料中のPD−L1のmRNAの量が増加するにつれて増加する。他の場合では、検出される複合体の量は、試料中のPD−1のmRNAの量が増加するにつれて増加し得る。これらの実施形態は、
図8A〜8Cにおいて説明され、提供された方法によって検出された試料中のPD−1タンパク質の量は、接着性がん細胞株が共培養されるJurkat細胞の量として増加する。また、
図10A〜10Cに示されるように、提供された方法によって検出された複合体の量は、試料中のPD−1タンパク質の量と統計学的に有意な様式で相関される。
【0088】
腫瘍試料において、記載された方法を使用するPD−1−PD−L1複合体の検出は、T細胞による腫瘍の浸潤を明らかにし得る。一部の場合では、患者由来の腫瘍試料における、記載されたアッセイにより検出されたPD−1−PD−L1複合体の量は、抗PD−1療法または抗PD−L1療法に応答する患者の可能性を予測し得る。一部の場合では、患者由来の腫瘍試料における、記載されたアッセイにより検出されたPD−1−PD−L1複合体の量は、抗PD−1療法または抗PD−L1療法に応答する患者の可能性と相関し得る。
【0089】
一態様では、免疫チェックポイント標的化療法に対する、がんを有する被験体の応答性を予測するための方法が提供され、(a)本開示に記載されるタンパク質−タンパク質相互作用を定量化する方法を使用して、被験体のがん由来の生物学的試料中のチェックポイント分子−リガンド複合体の量を測定するステップ;(b)被験体の試料中の複合体の量が閾値レベルを上回るかまたはそれを下回るかを決定するステップ;および(c)被験体の試料中の複合体の量が閾値レベルに等しいまたはそれを上回る場合は、複合体の量が閾値レベルを下回る場合よりも、被験体がチェックポイント標的化療法に応答する可能性が高いことを示すステップを含む。
【0090】
一態様では、PD−1作用剤またはPD−L1作用剤に対する、がんを有する被験体の応答性を予測するための方法が提供され、(a)本開示に記載されるタンパク質−タンパク質相互作用を定量化する方法を使用して、被験体のがん由来の生物学的試料中のPD−1−PD−L1複合体の量を測定するステップ;(b)被験体の試料中のPD−1−PD−L1複合体の量が閾値レベルを上回るかまたはそれを下回るかを決定するステップ;および(c)被験体の試料中のPD−1−PD−L1複合体の量が閾値レベルに等しいまたはそれを上回る場合は、PD−1−PD−L1複合体の量が閾値レベルを下回る場合よりも、被験体がPD−1作用剤またはPD−L1作用剤に応答する可能性が高いことを示すステップを含む。
【0091】
一部の場合では、第1のタンパク質、第2のタンパク質、またはその両方の量は、2つのタンパク質間の複合体の量の定量化に加えて、決定され得る。一部の場合では、この方法は、腫瘍におけるT細胞浸潤の量を決定するために、第1のタンパク質の量を定量化することを伴う。例えば、第1のタンパク質が多量に存在する場合、腫瘍に浸潤する活性化T細胞が多数存在することを示し得る。別の例では、少量の第1のタンパク質が存在する場合、腫瘍中に存在する活性化T細胞がほとんどないことを示し得る。一部の場合では、(例えば、患者がこのような療法にどれくらい迅速に応答するかに関して)第1のタンパク質または第2のタンパク質に指向された療法に対する患者の応答性は増加し得、その場合、大多数の活性化T細胞が腫瘍に存在する。
【0092】
本明細書において使用される場合、用語「被験体」および「患者」は互換的に使用される。本明細書において使用される場合、用語「被験体」および「複数の被験体」とは、動物、好ましくは非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ロバ、ヤギ、ラクダ、ネコ、イヌ、モルモット、ラット、マウス、ヒツジ)および霊長類(例えば、サル、例えばカニクイザル、ゴリラ、チンパンジーおよびヒト)を含む哺乳動物を指す。
【0093】
いくつかの例では、閾値レベルは、被験体と同じ種類のがんを有する患者の参照集団において決定されたPD−1−PD−L1複合体のメジアン量である。別の場合では、閾値レベルは、被験体と同じ種類のがんを有する患者の参照集団において決定されたPD−1−PD−L1複合体の最適量である。本明細書で使用される「最適なカットオフ」は、属性の2つのカテゴリー間の最良の識別を可能にするある特定の属性を示す被験体に関する所定の尺度の値を指す。例えば、全生存を決定するために患者の2つのカテゴリー(サブグループ)間を最も良く識別できる最適なカットオフの値を見出すこと。最適なカットオフを使用して、予測モデルを最適化する、例えば、限定されないが、モデルの特異性を最大にし、モデルの感度を最大にし、転帰(outcome)の差を最大にし、またはハザード比もしくは応答の差からのp値を最小にする、最適なカットオフよりも低いまたはそれよりも高い値を有する被験体を分離する。
【0094】
処置への「応答性」、処置に「応答する」、およびこの動詞の他の形態は、本明細書において使用される場合、Her−2作用剤による処置に対する被験体の反応を指す。例として、被験体における腫瘍の増殖が約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれらを超えて遅延される場合、被験体は、PD−1作用剤またはPD−L1作用剤による処置に応答する。別の例では、被験体の腫瘍が、任意の適切な尺度によって決定されるとき、例えば質量または体積で、約5%、10%、20%、30%、40%、50%またはそれらを超えて収縮する場合、被験体は、Her−2作用剤による処置に応答する。別の例では、被験体が、処置を施さない場合に予測される平均余命を約5%、10%、20%、30%、40%、50%またはそれらを超えて延長された平均余命を経験する場合、被験体はPD−1作用剤またはPD−L1作用剤による処置に応答する。別の例では、被験体が、無病生存期間(disease−free survival)の増加、全生存または無増悪期間(time to progression)の増加を有する場合、被験体は、PD−1作用剤またはPD−L1作用剤による処置に応答する。患者が全生存率、無増悪期間、無進行生存、および/またはRECIST基準もしくは他の医学的に許容される応答基準の使用を含む処置に応答するかどうかを決定するためのいくつかの方法が使用され得る。RECIST基準は、「固形腫瘍の応答評価基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumours)」を表し、がん患者が、処置中に改善し(「応答」)、同じ状態であり(「安定」)または悪化(「進行」)する場合を定義する一連の公表された規則である。RECIST基準によって定義される応答は、例えば、Journal of the National Cancer Institute、92巻、3号、2000年2月2日に公開されている。これらのガイドラインは定期的に更新され、いずれものこのような更新は本開示の範囲内で企図される。また、RECIST基準以外の基準、規則、またはガイドラインが、将来、臨床腫瘍応答を特徴付けるために開発され得ることが企図され、あらゆるこのような基準、規則、またはガイドラインが、本開示の範囲内にあることが企図される。当業者は、部分奏効(「PR」)、完全奏効(「CR」)、安定病態(「SD」)および進行性疾患(「PD」)を含むRECIST基準に調和する定義を理解する。
【実施例】
【0095】
本発明は、以下の非制限的な実施例を参照することによってより良く理解され得る。
(実施例1 抗体、VeraTag(登録商標)−抗体、ビオチン、および分子はさみ)
ヒトPD−L1の細胞内ドメインを認識するモノクローナル抗体は、Cell Signaling Technologiesから購入した(ウサギ抗ヒトPD−L1モノクローナル抗体E1L3N)。市販のウサギ抗ヒトPD−L1モノクローナル抗体28−8(Abcam、カタログ番号ab205921)などの他の抗ヒトPD−L1抗体は、FFPE試料を用いた使用に適合する場合、本明細書に記載されるアッセイに適している。以下の表2は、研究された10種の抗ヒトPD−1抗体、ならびにそれらのアイソタイプおよび免疫原を示す(rhPD−1は組換えヒトPD−1を指す)。
【表2】
【0096】
VeraTag(登録商標)レポーター分子であるPro11およびPro125(
図1J)およびストレプトアビジンをコンジュゲートしたメチレンブルー(「分子はさみ」)は、参照により本明細書に組み込まれ、いずれの図面も含む、米国特許第7,105,308号に以前に記載されているプロトコールに従って合成および精製された。抗体−ビオチンコンジュゲートは、製造業者のプロトコールに従って、リンカーとしてスルホ−NHS−LC−LC−ビオチン(Pierce)を使用して作製され、抗体−ビオチンおよび抗体−タグコンジュゲーション生成物は、HPLC(Agilent)、またはAKTA FPLC(GE Healthcare Life Sciences)上の1cm×10cmのSephadex G−50サイズ排除カラムによって精製された。ある特定の実験において、VeraTag(登録商標)レポーター分子またはビオチンは、
図1C、1F、1G、および1Hに示されているものなどの一次抗体にコンジュゲートされた。他の実験において、VeraTag(登録商標)タグまたはビオチンは、
図1D、1E、1H、および1Iに示されているものなどの、一次抗体に結合する二次抗体にコンジュゲートさせた。
【0097】
(実施例2 細胞培養)
すべての細胞株は、10%ウシ胎仔血清(FBS)およびペニシリン(100U/mL)およびストレプトマイシン(100μg/mL)を補充したL−グルタミン成長培地を含むGibcoのRPMI 1640中で37℃、5%CO
2にて維持された。すべての細胞株をAmerican Type Culture Collection(ATCC)から購入した。
【0098】
(実施例3 Jurkat細胞株の培養および刺激)
Jurkat細胞を、T−175細胞培養フラスコ(Corning)の100mLの培地中で1〜2×10
6細胞/mLで培養した。刺激のために、フィトヘマグルチニン−L(PHA−L、Roche)を最終濃度3μg/mLで添加し、37℃、5%CO
2で2日間インキュベートした。細胞を4℃にて300×gで10分間遠心分離して回収し、冷PBSで2回洗浄した。細胞を固定するために、細胞ペレットを20mLの10%中性緩衝ホルマリン(10%NBF、Richard−Allen Scientific)に再懸濁し、4℃で一晩(>16時間)ロティサリー(rotisserie)上に置いた。細胞を300×gで10分間遠心分離し、固定溶液を除去し、細胞ペレットを最小量の80%エタノール(3〜4mL)に再溶解し、4℃にて保存した。
【0099】
(実施例4 接着性細胞株およびJurkat細胞株の共培養)
接着性細胞株MDA−MB453、BT−20、MDA−MB231、およびRKOの各々を懸濁Jurkat T細胞と共培養した。この共培養実験の概要を
図7に示す。接着性細胞株を150mm培養皿中の20mL培地で10×10
6細胞で播種し(およそ50%コンフルエント)、一晩接着させた。翌日、培地を除去し、細胞を冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS、Gibco)で1回洗浄した。Jurkat細胞は、20mLの培地中の5×10
5細胞/mLまたは2.5×10
6細胞/mLのいずれか、全体で10×10
6または50×10
6のJurkat細胞(接着性細胞の量よりも1倍または5倍多い量に等しい;それぞれ培養条件1および培養条件2)のいずれかで、3μg/mLのフィトヘマグルチニン−L(PHA−L、Roche)とともに接着性細胞株に添加され、共培養物を48時間増殖させた。培地を除去した後、培養皿を冷PBSで3回洗浄して、全ての非接着性細胞を除去し、20mLの10%中性緩衝ホルマリン(10%NBF、Richard−Allen Scientific)を1時間、4℃にて培養皿に添加して、細胞を固定し、接着性細胞株と相互作用するあらゆるJurkat細胞を固定化した。次に、細胞を50mL遠心管(Corning)に擦過して入れ、10%NBFを35mLに添加し、4℃で一晩(>16時間)、ロティサリー上に置いた。細胞を300×gで10分間遠心分離し、固定溶液を除去し、細胞ペレットを最小量の80%エタノール(1〜2mL)に再溶解し、4℃で保存した。
【0100】
(実施例5 VeraTag(登録商標)アッセイ用のスライドの調製)
固定組織:ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)乳房、NSCLC、およびSCCHN組織試料ブロックをAsterand Biosciencesから購入した。5ミクロンの組織切片を正に荷電したガラススライド(Fisherbrand(商標)Superfrost(商標)プラス顕微鏡スライド、カタログ番号12−550−15)上に置き、次に70℃に設定した加熱オーブン中で20分間焼成した。すべての試料スライドを将来のアッセイのために4℃で保存した。
【0101】
培養細胞:固定された細胞を、40%エタノール中で12,500細胞/mLまたは625細胞/mLに希釈し、40μL(合計500,000または25,000細胞)を正に荷電したガラススライド(Fisherbrand(商標)Superfrost(商標)プラス顕微鏡スライド、カタログ番号12−550−15)上に置き、次に70℃に設定した加熱オーブン中で20分間焼成する。すべての試料スライドを将来のアッセイのために4℃で保存した。
【0102】
(実施例6 VeraTag(登録商標)アッセイプロトコール)
1.DTT放出アッセイ
スライド(FFPE組織試料または培養細胞のいずれか)は、Decloaking Chamber(商標)Pro(Biocare Medical)中、95℃で40分間および90℃で10秒間、250mlのDiva Decloaker、pH6.2(Biocare Medical#DV2004MM)を用いて熱誘導エピトープ賦活化(HIER)に供された。スライドをDecloaking Chamberから取り出し、1時間、室温で冷却した。スライドを脱イオン水で6回すすぎ、ゆっくりと回転するように変更させた遠心分離機(Tomy PMC−082)で部分的に乾燥させた。試料上に試薬を保持するために、ミニPAPペン(Invitrogenカタログ番号00−8877)を使用して疎水性の円を試料の周りに描いた。次に、試料をPBS中の10%ヤギ血清(Sigma#G9023)および1.5%ウシ血清アルブミンを含有するブロッキング緩衝液で1時間覆った。吸引によりブロッキング緩衝液を除去した後、ブロッキング緩衝液に一次抗体を含有する溶液をスライドに添加し、穏やかに振とうしながら加湿チャンバー内で4℃にて一晩放置した。抗体溶液を吸引し、試料を0.25%Triton X−100を含有するPBSで5分間洗浄し、その後、PBSで5分間洗浄した。吸引後、ブロッキング緩衝液中の二次抗体を添加した。二次抗体を加湿チャンバー内で室温にて1時間インキュベートさせた。次に、スライドを脱イオン水中のスライドラックに移し、その後、0.25%Triton X−100を含有するPBSで5分間すすぎ、続いて、それぞれ1分間、脱イオン水で6回洗浄した。スライドを遠心分離機(Tomy PMC−082)中で部分的に乾燥させ、次に0.01×PBS中の1.0mMジチオスレイトール(DTT)、3pMのフルオレセインおよび2つのCE内部マーカー(MFおよびML)を含有する放出緩衝液を試料切片に添加した。スライドを加湿チャンバー内で3時間インキュベートして、VeraTagの放出を可能にした。各々のスライドからの放出緩衝液を96ウェルプレートに移し、次にDTTを含有しない放出緩衝液中で適切に(一般的には10倍に)希釈した。放出緩衝液に放出されたVeraTag(登録商標)レポーター分子を分離し、6kVおよび50秒のCE注入条件下、650秒間、30℃で作動させたABI3130 CE機器(22cmキャピラリーアレイ、Applied Biosystems)で検出した。VeraTag(登録商標)の同定および定量化は、VeraTag(登録商標)Informerソフトウェアを使用して行われた(例えば、参照により本明細書に組み込まれ、いずれの図面も含む、米国公開番号0203408−A1を参照されたい)。生のCE電気泳動図中のVeraTag(登録商標)レポーター分子シグナルを分析するために、2つのCE内部マーカーであるMF(最初のマーカー)およびML(最後のマーカー)を使用して、以下の式:[t(VeraTag)−t(MF)]/[t(ML)−t(MF)]に従い、2つのマーカーと比較したそれらの電気泳動移動度または移動時間(t)に応じてVeraTag(登録商標)ピークを同定した。次に、同定されたVeraTag(登録商標)ピークを各々のVeraTagについてピーク面積計算によって定量化した。組織切片からのVeraTag(登録商標)回復の変動性、ならびにキャピラリーアレイにわたるCE注入効率および/または検出感度の試行変動性を補正するために、フルオレセイン(3pM)をVeraTag(登録商標)Capture Buffer(CB)中に含め、各々の試料試行において内部参照対照として同時に電気泳動した。次に、各々のVeraTag(登録商標)レポーター分子ピークの面積を、内部フルオレセインピーク(フルオレセインピーク面積)に対するVeraTag(登録商標)ピーク(VeraTag(登録商標)ピーク面積)の面積正規化によって、相対ピーク面積(RPA)として報告した。
【0103】
スライドをヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)を用いて標準的な技法により染色した。簡単に説明すると、スライドを染色ラックに入れ、最初に水道水ですすいだ。スライドをヘマトキシリン、清澄剤(clarifier)および青色染色剤(bluing agent)にそれぞれ45秒間、連続して浸漬し、続いて、各々のステップの後に水道水ですすいだ。次に、スライドをアルコール中の5%水(2つの新鮮な溶液)、その後、100%アルコール(3つの新鮮な溶液)、その後、キシレン(3つの新鮮な溶液、それぞれ5分間)で処理した。最後に、切片を保護するためにカバースリップを適用した。
【0104】
VeraTag(登録商標)アッセイによって検出された標的タンパク質の最終的な定量化条件は、同一の捕捉緩衝液体積を使用する同様の試料(細胞培養試料)のRPAとして、またはスライド上の異なる量の腫瘍を説明するためのRPA
*CB体積/腫瘍面積(mm
2)のいずれかとして計算される。
【0105】
図3および
図4に記載されている実験について、同様のプロトコールが、熱誘導エピトープ賦活化(HIER)緩衝液としてDiva Decloaker、pH6.2(Biocare Medical、#DV2004MM)と並行して、標的賦活化溶液、pH9.0(Dako Corp.、#S2368)を使用して実施され、様々なPD1抗体を試験するときに2つの緩衝液を比較するようにした。
【0106】
2.光放出アッセイ
光放出VeraTag(登録商標)アッセイフォーマットは、Diva Decloaker、pH6.2(Biocare Medical、#DV2004MM)が熱誘導エピトープ賦活化(HIER)緩衝液として使用されることを除いて、二次抗体の添加およびインキュベーションを含み、そこまでのDTT放出アッセイフォーマットに関して上述した手順に従う。二次抗体とのインキュベーション後、次に、試料は、0.25%Triton X−100を含有するPBSで5分間、その後、PBSで5分間洗浄され、吸引された。吸引後、1×PBS中の2.5μg/mL濃度のストレプトアビジンをコンジュゲートしたメチレンブルーを添加し、加湿チャンバー内で室温にて1時間インキュベートした。次に、スライドを脱イオン水中のスライドラックに移し、その後、0.25%Triton X−100を含有するPBSで5分間すすぎ、続いて、それぞれ1分間、脱イオン水で6回洗浄した。スライドを遠心分離機(Tomy PMC−082)中で部分的に乾燥させ、0.002×PBS中の3pMフルオレセインおよび2つのCE内部マーカー(MFおよびML)を含有する照明緩衝液を試料切片に添加した。結合したVeraTag(登録商標)は、電子アイスキューブ(Torrey Pine Scientific)を装備した社内の高出力LEDアレイイルミネーターを使用して、光活性化切断によって約4℃で放出された。照明後、VeraTag(登録商標)中間体は、水素化ホウ素ナトリウムの添加によって定量化可能な形態に還元された。CE試料に放出されたVeraTag(登録商標)レポーター分子を分離し、6kVおよび65秒のCE注入条件下、650秒間、30℃で作動させたABI3130 CE機器(22cmキャピラリーアレイ、Applied Biosystems)で検出した。放出されたVeraTag(登録商標)タグの同定および定量化は、DTT放出アッセイについて上述したように実施された。
【0107】
(実施例7 VeraTag(登録商標)アッセイフォーマット−抗体の組み合わせ)
1.DTT放出アッセイ
図2A−2Bおよび
図8Aに示される実験について、PD−L1 VeraTag(登録商標)アッセイは、(1)0.6μg/mLのウサギ抗ヒトPD−L1モノクローナル抗体E1L3N、および(2)0.4μg/mLのVeraTag(登録商標)レポーター分子Pro125にコンジュゲートしたヤギ抗ウサギ二次抗体を使用して行われた。分子タグは、DTTを用いた還元により放出された。このアッセイフォーマットの例示的な模式図を
図1Eに示す。
【0108】
図5A、5B、5C、6A、および8Bに示されている実験について、PD1 VeraTag(登録商標)アッセイは、(1)図に示された濃度のマウス抗ヒトモノクローナル抗体NAT105(Cell Marque)またはEH33(Cell Signaling Technologies)またはJ121(eBioscience)、および(2)Pro125 VeraTag(登録商標)レポーターにコンジュゲートした、1μg/mLのヤギ抗マウスIgG(Jackson ImmunoResearch Laboratories Inc.、カタログ番号115−005−146)を使用して行われた。分子タグは、DTTを使用した還元により放出された。このアッセイフォーマットの例示的な模式図を
図1Eに示す。
【0109】
2.光放出アッセイ
図6Bおよび
図9Aに示されている実験について、PD−1抗体VeraTag(登録商標)アッセイは、(1)1μg/mLのマウス抗ヒトPD−1モノクローナル抗体NAT105(Cell Marque)、(2)ビオチンにコンジュゲートした、1μg/mLのヤギ抗マウスIgG1二次抗体(Rockland Immunochemicals Inc.)、および(3)VeraTag(登録商標)レポーター分子Pro11にコンジュゲートした、1μg/mLのヤギ抗ヒトPD−1 AF1086(R&D Systems)を使用して行われた。分子タグは、光により放出された。このアッセイフォーマットの例示的な模式図を
図1Dに示す。
【0110】
図8Cに示されている実験について、PD−1−PD−L1複合体VeraTag(登録商標)アッセイは、(1)1μg/mLのマウス抗ヒトPD−1モノクローナル抗体NAT105(Cell Marque)、(2)0.5μg/mLのウサギ抗ヒトPD−L1モノクローナル抗体E1L3N(Cell Signaling Technologies)、(3)VeraTag(登録商標)レポーター分子Pro11にコンジュゲートした、1μg/mLのヤギ抗マウス二次抗体(Jackson ImmunoResearch Labs)、および(4)ビオチンにコンジュゲートした、0.6μg/mLのヤギ抗ウサギ二次抗体(Southern Biotech)を使用して行われた。分子タグは、光により放出された。このアッセイフォーマットの例示的な模式図を
図1Iに示す。
【0111】
図8Dおよび
図9Bに示されている実験について、PD−1−PD−L1複合体VeraTag(登録商標)アッセイは、(1)VeraTag(登録商標)レポーター分子Pro11にコンジュゲートした、1μg/mLのヤギ抗ヒトPD−1ポリクローナル抗体AF1086(R&D Systems)、(2)0.6μg/mLのウサギ抗ヒトPD−L1モノクローナル抗体E1L3N(Cell Signaling Technologies)、(3)ビオチンにコンジュゲートした、1μg/mLのヤギ抗ウサギIgG二次抗体(Rockland Immunochemicals Inc.)を使用して行われた。分子タグは、光により放出された。このアッセイフォーマットの例示的な模式図を
図1Hに示す。アイソタイプ対照アッセイは、ウサギモノクローナル抗体E1L3Nを等量のウサギIgGで置き換えることにより実施された。
【0112】
(実施例8 CCLEデータベースからのPD1およびPDL1のmRNAの発現)
図2A上段は、プロットされたCCLEから入手可能な1,036個のがん細胞株由来のPD1およびPDL1のmRNA発現レベルを示す。データは、Cancer Cell Line Encyclopedia(CCLE、http://www.broadinstitute.org/ccle/homeで利用可能なデータ)から入手可能である。PD−L1のmRNAレベルは約250倍のダイナミックレンジを示し、一方、PD−1 mRNAレベルは、はるかに変動性が小さく、約5倍のダイナミックレンジを有する。
【0113】
図2A下段は、互いに対してプロットされた、
図2A上段と同じCCLEデータセットからのPD1とPDL1のmRNA発現レベル間の関係を示し、4つの接着性細胞株(MB453、BT20、MB231およびRKO)およびJurkat懸濁細胞株が同様にプロットされている(星印を付して特定した)。これらの接着性細胞株は、細胞株の全CCLE集団を反映する、PD−L1のmRNA発現の広いダイナミックレンジを表すように選択された。
【0114】
また、VeraTag(登録商標)アッセイによって決定されたPDL1タンパク質の発現は、公開データベースTCGAおよびCCLEから得られた乳がん、NSCLCおよびSCCHNにおけるPDL1のmRNA発現レベルと比較された。PD−L1 VeraTag(登録商標)アッセイは、上述されるようにAsterand Biosciencesから得られたFFPE乳房、NSCLCおよびSCCHNブロックについて実施され、腫瘍面積で正規化されたPD−L1 VeraTag(登録商標)シグナル(RF/mm
2)を各がんタイプの各試料についてプロットした。有意なマン−ホイットニーp値(p<0.001、GraphPad Prism 6)は、NSCLCまたはSCCHNのいずれかと比較して乳房からのPD−L1タンパク質レベルの差異を示唆した(
図2B、左パネル)。VeraTag(登録商標)からのPD−L1タンパク質レベルは、同じがんタイプのTCGA(
図2B、中央パネル)またはCCLE(
図2B、右パネル)のいずれかから利用可能なmRNAレベルと比較される。がんタイプ間のPDL1タンパク質レベルにおいて観察された差異と一致して、mRNAレベルはまた同様の差異を実証した。
【0115】
(実施例9 VeraTag(登録商標)アッセイを用いた細胞株におけるPD−1タンパク質レベルの評価)
試験したヒトPD−1を認識するモノクローナル抗体は、表2において上記される。ヤギ抗マウス二次抗体は、Jackson ImmunoResearch Labsから購入した。
【0116】
pH6.2およびpH9.0のHIER緩衝液と、500,000個または25,000個の刺激されたJurkat細胞に関する抗ヒトPD−1抗体の選択との比較は
図3に示され、対照(二次抗体のみ)と比較される。抗PD−1抗体12A7D7は、試験したすべての条件において非常に強いシグナルを生成し、固定された試料に対する有意な量の非特異的結合を示唆し、抗PD−1抗体の残りは、2つの細胞の量とHIER緩衝液の間のシグナルにおける様々な量の差を実証した。
図4は、
図3の結果を、各々のHIER緩衝液について500,000細胞/25,000細胞の比としてRPAの倍数変化に変形する。HIER pH6.2緩衝液中の抗PD−1抗体NAT105、J121およびEH33は、最大の倍数変化を実証した。これは、HIER pH6.2緩衝液とともに使用した場合、これらの抗体がPD−1に対して最も高い感度を有することを示唆した。
【0117】
VeraTag(登録商標)アッセイにおいて抗PD−1抗体NAT105(
図5A)、EH33(
図5B)およびJ121(
図5C)を滴定して、このようにして
図3に示される結果を拡大した別の実験を行った。実験は、NAT105(
図5A)、EH33(
図5B)およびJ121(
図5C)抗PD−1抗体の滴定を含んでいるため、
図5A〜5Cに示される実験結果は、
図3に示される実験結果を拡大する。倍数変化の比較を
図6Aに示す。上述されるように、HIER pH6.2緩衝液を500,000個および25,000個の固定され、刺激されたJurkat細胞/スライドに使用し、VeraTag(登録商標)アッセイをヤギ抗マウス−Pro125抗体を使用して実施した。抗PD−1抗体NAT105およびEH33は、500,000個の細胞試料からの抗体滴定を通して同様のRPAを示し、一方、抗体NAT105およびJ121は25,000個の細胞試料から類似したRPAを有した。これはまた、倍数変化を反映し(
図6A)、NAT105が抗体滴定を通して最大の倍数変化を有し、これは、この抗体がPD−1に対する最良の感度を有することを示唆する。
【0118】
追加実験を行い、上述した方法を使用して、異なるVeraTag(登録商標)アッセイフォーマットを使用して、増加した数の刺激されたJurkat細胞におけるPD−1タンパク質レベルを測定した。この実験において、アッセイフォーマットは、マウス抗ヒトPD−1抗体NAT105(Cell Marque)およびビオチンにコンジュゲートしたヤギ抗マウス二次抗体(Rockland Immunochemicals Inc.)と対になったヤギ抗ヒトPD−1抗体AF1086(R&D Systems)にコンジュゲートしたVeraTag(登録商標)レポーター分子Pro11の近接距離依存性の光放出を伴った。このアッセイフォーマットの例示的な模式図を
図1Dに示す。
【0119】
図6Bは、PHAで刺激され、固定された漸増量のJurkat細胞について、PD1 VeraTag(登録商標)アッセイを使用してアッセイしたことを示す。Jurkat細胞の量の増加に伴って、PD1 VeraTag(登録商標)シグナルが直線的に増加した。対照的に、マウス抗ヒトPD1モノクローナル抗体NAT105をマウスIgG1アイソタイプ対照で置き換えると、刺激されたJurkat細胞の量が増加しても、シグナル変化はほとんどなくなり、検出されたシグナルはPD1特異的であり、抗体バックグラウンド結合によるものでは全くないことを示した。
【0120】
(実施例10 VeraTag(登録商標)アッセイを使用するPD1、PDL1およびPD1−PDL1複合体の共培養物のアッセイ)
Jurkat懸濁細胞株とのMD−MB231接着性細胞株またはRKO接着性細胞株の共培養から生成された固定試料を、PD−L1(
図8A)、PD−1(
図8B)、およびPD−1−PD−L1複合体(
図8C)を検出するためにVeraTag(登録商標)を用いて分析した。PD−L1 VeraTag(登録商標)アッセイを、上述されるウサギ抗ヒトPD−L1モノクローナル抗体E1L3N(Cell Signaling Technologies)およびヤギ抗ウサギ二次抗体−Pro125 VeraTag(登録商標)コンジュゲートを用いて実施した(DTT放出PDL−1 VeraTag(登録商標)アッセイ、
図1Eの模式図を参照されたい)。MDA−MB231−JurkatとRKO−Jurkatの固定された共培養物において、VeraTag(登録商標)PD−L1シグナルは、培養物中のいずれの細胞株から潜在的に由来する可能性がある。MDA−MB231−Jurkat共培養物とRKO−Jurkat共培養物の間のPD−L1 VeraTag(登録商標)シグナルはおよそ16倍の差異があり、以下の表3に示されるように、個々のMDA−MB231細胞株およびRKO細胞株とは異なるmRNA発現レベルと一致した。さらに、同様のPD−L1 VeraTag(登録商標)シグナルがJurkat細胞の量の増加とともに見られ(共培養条件1×対5×)、追加されたJurkatが、PD−L1 VeraTag(登録商標)シグナル全体に対して最小限にしか寄与せず、それらの低mRNA発現レベルと一致していることを示唆した(表3参照)。まとめると、これらの共培養物からのPD−L1 VeraTag(登録商標)シグナルの大部分は、MDA−MB231接着性細胞株またはRKO接着性細胞株に由来する可能性がある。
【表3】
【0121】
図8Bは、共培養実験のPD−1 VeraTag(登録商標)アッセイの結果を示す。MDA−MB231−Jurkat共培養よりも大きなPD−1 VeraTag(登録商標)シグナルが、RKO−Jurkat共培養条件の両方において観察された。接着性細胞株とJurkat細胞株の両方が、非常に少ない量のPD−1 mRNAを発現し(表3参照)、以前の研究は、PD−1タンパク質発現がPHAを用いた刺激によってJurkat細胞に誘導され得ることを示している(Vibhakar. R.ら、Activation−induced expression of human programmed death−1 gene in T−lymphocytes、Exp. Cell Res.232巻(1号):25〜28頁(1997年))。RKO−Jukat共培養物中のより大きいPD−1 VeraTag(登録商標)シグナルは、共培養後に固定されたPD−1発現Jurkat細胞の量が、接着性細胞株のPD−L1発現レベルに比例するという考えと一致する。
図8Bはまた、MDA−MB231−Jurkat共培養物とRKO−Jurkat共培養物の両方における漸増量のJurkat T細胞(共培養条件1×および5×Jurkat)とともにPD−1 VeraTag(登録商標)シグナルの増加を示す。これは、共培養後に固定されたPD−1発現Jurkat細胞の量がまた、PD−1の量を反映することを示唆する。
【0122】
図8Cは、共培養実験のPD−1−PD−L1複合体VeraTag(登録商標)アッセイの結果を示す。PD−1−PD−L1複合体VeraTag(登録商標)アッセイは、
図1Iに模式的に示されように、VeraTag(登録商標)レポーター分子Pro11の近接距離依存性の光放出を採用する。
図8CにおけるJurkat細胞と共培養したMDA−MB−231およびRKO細胞株のPD−1−PD−L1複合体VeraTag(登録商標)アッセイ結果は、
図8BにおけるPD−1 VeraTag(登録商標)アッセイ結果に追随している。VeraTag(登録商標)アッセイによって測定されたPD−1−PD−L1タンパク質複合体の量は、PD−L1発現(RKO−Jurkat共培養)の増加とともに増加し、PD−1−PD−L1複合体の量は、PD−1発現(条件1×対5×)の増加とともに増加した。この固定された共培養モデル系の可能性のある限界は、Jurkat細胞が接着性細胞と相互作用して、それらが最終的な固定調製物中に存在するための要件である。FFPE乳房、NSCLCおよびSCCHN腫瘍試料の調査は、これらの3つのVeraTag(登録商標)アッセイ(PD−L1、PD−1およびPD−1−PD−L1複合体)間の関係のより完全な理解を提供することが予測される。
【0123】
異なるVeraTag(登録商標)アッセイフォーマット(
図1Hに模式的に示す)を用いて、PD1−PD−L1複合体を測定するために追加の実験を行った。
図8Dに示すように、Jurkat細胞と共培養したMDA−MB−453、BT20、MDA−MB−231およびRKO細胞株におけるPD1−PD−L1複合体の量は、CCLE由来のPD−L1 mRNAに追随している。VeraTag(登録商標)アッセイによって測定されたPD−1−PD−L1タンパク質複合体の量は、PD−L1 mRNA発現が増加するにつれて増加した。対照的に、ウサギ抗ヒトPD−L1モノクローナル抗体E1L3NをウサギIgGアイソタイプ対照抗体で置き換えることにより、PD−L1 mRNAの量が増加しても、最小のPD1−PD−L1複合体VeraTag(登録商標)シグナル変化しかもたらさなかった(灰色の四角、アイソタイプ対照)。上記したように、この固定された共培養モデル系の可能性のある限界は、Jurkat細胞が最終的な固定調製物中に存在するために、それらが接着性細胞と相互作用するための要件である。この研究に使用される接着性細胞株はPD−L1発現の量が増加しているため、本発明者らは、PD1−PD−L1複合体の量が増加するものと予想した。
【0124】
(実施例11 ヒト乳がん腫瘍におけるPD−1、PD−L1およびPD−1/PD−L1複合体の検出および定量化)
PD1およびPD1−PDL1複合体の量は、12種のヒト乳がん腫瘍(Asterand Bioscience)におけるVeraTag(登録商標)アッセイによって測定された。試料は、隣接するH&E染色スライドの病理学的検査によるVeraTag(登録商標)アッセイの前に、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の存在について予め選択された。さらに、選択されたセットの試料は、マウス抗ヒトPD1モノクローナル抗体NAT105およびウサギ抗ヒトPDL1モノクローナル抗体E1L3Nを使用して、PD1について免疫組織化学染色に供された。これにより、それぞれPD1およびPDL1のTIL上の腫瘍細胞膜発現が確認された(データを示せず)。使用されたPD1 VeraTag(登録商標)アッセイフォーマットは、
図1Dに示され、
図6Bに関しては上述されるように、近接距離ベースの光放出アッセイであった。使用されたPD1−PDL1複合体VeraTag(登録商標)アッセイフォーマットは、
図1Hに模式的に示され、
図8Dに関しては上述されるように、近接距離ベースの光放出アッセイであった。PD1−PDL1複合体VeraTag(登録商標)アッセイについて、バックグラウンドシグナルは、
図8Dに関して上述されるように、アイソタイプ対照アッセイフォーマットを用いて、並行して評価された。
【0125】
PD−1タンパク質発現量を
図9Aに示す。検出されたPD1−PDL1複合体の量を
図9Bに示す(黒色のバー)。アイソタイプ対照アッセイ結果(灰色のバー)については、2の最小アッセイシグナル対バックグラウンド比が許容可能であると考えられ、すべての試料が合格した。アッセイシグナルが増加するにつれて、アッセイシグナル対バックグラウンド比が増加するという一般的傾向があった。
【0126】
図10A〜10Cは、乳がん試料からの、VeraTag(登録商標)アッセイを使用して検出されたPD1、PDL1およびPD1−PDL1複合体の量の間のすべてのペアワイズ比較を示す。各比較のピアソン相関係数(R
2)およびp値は、グラフの右側に示されている。プロットされたデータは、
図9A(PD−1)、
図9B(PD1−PDL1複合体)、および
図2Bの左パネル(PD−L1;12個の乳がん試料のうち8個)からのものであった。PD1とPD1:PD−L1複合体の間に最も強い相関(ピアソンR
2=0.7638)が観察され、これは、PD−L1ではなくPD1が複合体形成の主要な駆動因子であり得ることを示唆した。
【0127】
本開示において検討した全ての特許、特許公開公報、特許出願、雑誌論文、書籍、技術的参考文献などは、すべての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0128】
本発明の明確な理解に関連する要素を説明するために、本発明の図面および説明は簡略化されていることを理解されたい。図は説明の目的で提示されており、構成図面として提示されていないことを認識されたい。省略された詳細および変更または代替の実施形態は、当業者の知識の範囲内である。
【0129】
本発明のある特定の態様では、要素もしくは構造を提供し、または所定の機能もしくは複数の機能を実施するために、単一の基本要素を複数の基本要素に置き換えることができ、複数の基本要素を単一の基本要素に置き換えることができることを認識し得る。このような置換が本発明のある特定の実施形態を行うために有効でない場合を除いて、このような置換は本発明の範囲内にあると考えられる。
【0130】
本明細書に提示されている実施例は、本発明の潜在的および具体的な実施を説明することを意図している。実施例は、主に、当業者に対して本発明の説明を目的として意図されることを認識し得る。本発明の精神から逸脱することなく、これらの略図または本明細書に記載されている操作に変更があってもよい。例えば、ある特定の場合において、方法のステップまたは操作を異なる順序で実行もしくは遂行してもよく、または操作を追加、削除または修飾してもよい。
【0131】
図面に記述されているまたは上述されている基本要素の様々な配置、ならびに示されておらずまたは記載されていない基本要素およびステップが可能である。同様に、いくつかの特徴およびサブコンビネーションは有用であり、他の特徴およびサブコンビネーションを参照することなく採用され得る。本発明の実施形態は、例示的であって限定的な目的で記載されておらず、代替の実施形態は、本特許の読者に明らかになる。したがって、本発明は、上述されているまたは図面に記述されている実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態および修正を行うことができる。