(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-74710(P2020-74710A)
(43)【公開日】2020年5月21日
(54)【発明の名称】土中害虫防除具。
(51)【国際特許分類】
A01M 29/34 20110101AFI20200424BHJP
【FI】
A01M29/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願2018-210105(P2018-210105)
(22)【出願日】2018年11月7日
(71)【出願人】
【識別番号】515216918
【氏名又は名称】鳥居 圭子
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 圭子
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA16
2B121BB30
2B121EA26
2B121FA12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】土中害虫であるヨトウムシ等の植物への食害被害を阻止可能である、植物の成長に対応し農薬剤を使用しない安全、簡単に使用可能な土中害虫防除具を提供する。
【解決手段】自由に成型可能な柔軟性と粘着性を有する材質から成り植物根本を覆い囲むことで、昼間は植物根本付近の土中を住処とし夜間に植物根本から茎を伝い葉、茎、実を食害する土中害虫であるヨトウムシ等の進行を阻止し植物12への食害被害を防除可能な農薬剤を使用しない土中害虫防除具11である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由に成型可能である柔軟性と粘着性を有する材質から成り、植物の一部に密着し植物の一部の密着状態と成型後の形を維持可能である土中害虫の進行を遮断することを特徴とする土中害虫防除具。
【請求項2】
追加補充し再成型可能な請求項1に記載の土中害虫防除具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明品は、土中害虫であるヨトウムシ等が植物根から茎を伝い地表に現れ植物の葉、茎、実を食害する害虫であり植物根と茎のつながりを遮断すれば土中害虫であるヨトウムシ等の進行を阻止できるという土中害虫であるヨトウムシ等の生態的特徴を利用した、自由に成型可能な柔軟性と粘着性を有する材質から成る農薬剤を使用しない土中害虫防除具に関する。
【背景技術】
【0002】
土中害虫は、植物の葉、茎、実に穴を開ける等、その食害被害は植物としての価値、生命を奪うほどの被害をもたらし蛾の幼虫であるヨトウムシ等が代表的土中害虫であり駆除、防除すべき生物であるが土中を住処とするため農薬剤使用時の効果が不確実であるのが現状である。また家庭菜園家にとって無農薬野菜栽培は一番大切に思うところである。害虫防除具として特許文献1や特許文献2がある。特許文献1に関しては、植物根本に密着させるため柔軟性のあるものの周りを硬質なもので囲む、という柔軟性のある材質のもので植物根本を囲むという点において本アイデア品と類似しているが、植物の成長に伴う幹等の太さは均一に太くなるということはなく凹凸部を伴って成長する。したがって柔軟な材質を硬質な材質なもので囲んでいる特許文献1は、植物成長は凹凸部を伴って成長し均一に太くなるということはない、ということへの配慮はなく、植物の成長に伴い植物幹等と特許文献1の植物一部を囲む柔軟性のある材質との間に隙間や緩みが発生する、という事態は免れない。結果として、隙間や緩みが害虫の進行通路となり害虫の進行阻止の効果は期待できない。本アイデア品自ら植物根本あるいは茎等に隙間なく密着でき自由に成型可能な柔軟性と粘着性を有する材質から成る本アイデア品は植物成長に伴う植物の太さ、凹凸部に対応し密着状態や成型後の形を維持し結果として効果が軽減されることはなく追加補充し再成型可能な土中害虫防除具である、という点において特許文献1とは異なるものである。特許文献2に関しては、樹木幹一部を取り巻き通路に薬剤を収納し害虫の進路を阻止する、という、樹木幹一部を取り巻き害虫の進路を阻止する、という点においては本アイデア品と類似しているが、軟質な材質なもので植物幹を取り巻く、という特許文献2は植物の成長は幹等凹凸部を伴って成長し均一に太くなることはない、ということへの配慮はなく植物の成長に伴い植物幹に巻いただけである特許文献2の植物取り巻き部と植物幹の間に隙間や緩みが発生する、という事態は免れず隙間と緩みが害虫の進行通路となってしまい植物の成長に伴い害虫の進行阻止は期待できない。また、年に1度の農薬剤の散布をした庭で野菜を育てると収穫まで害虫被害は見られない。すなわち害虫が存在しないことを意味し、同時に害虫を食するてんとう虫やカマキリ等益虫も存在しない。これは農薬剤1回の使用により庭の虫の生態系が大きく変化していることであり、果ては地球環境までも変化させてしまう地球規模の問題でもある。以上のことから農薬剤使用のない本アイデア品は、本アイデア品自ら植物一部に隙間なく密着維持し土中害虫であるヨトウムシ等の地表面上に出る進行手段が植物根から茎を伝うのみであるという生態的特徴を利用し進行路を塞ぐことで進行を阻止したもので、薬剤使用することなく植物の成長に伴う植物の太さ、凹凸部に隙間なく密着維持できる土中害虫であるヨトウムシ等を阻止可能な防除具である、という点において特許文献2とは全く異なるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−183003
【特許文献2】特開平8−23864
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
土中害虫であるヨトウムシ等は、昼間は植物根本付近の土中を住処とし夜間に植物根から茎を伝い植物の葉や実を食害する害虫である。土中害虫であるヨトウムシ等の食害被害を農薬剤を使用することなく防除する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
土中害虫であるヨトウムシ等は、昼間は植物根本付近を住処とし夜間は植物根から茎を伝い植物の葉、茎、実の柔らかい新芽等を好み食害する。本アイデア品は、手で形を自由に成型可能な柔軟性と粘着性を有する材質から成り、植物根本に巻き付け覆い囲むことで土中害虫であるヨトウムシ等の進行を阻止できる土中害虫防除具であり、土中害虫であるヨトウムシ等の進行を阻止するため植物根本周りに隙間なく密着し成型後の形を維持し、かつ、植物の成長に伴う植物幹等の凹凸部に対応し隙間なく密着維持する土中害虫防除具である。植物1株全部分を考慮すると植物根本部分を覆い囲むことがより長期的に安定して本アイデア品を維持可能と考えるが、茎の固くなった果樹類等は根本周りとは限らず茎の一部を取り囲む形の使用も可能と考える。本アイデア品は、植物根本周りに設置した場合植物の成長とともに太くなる植物根本を覆い囲む本アイデア品が途切れてしまう、ということも考えられるが、土中害虫であるヨトウムシ等の進行阻止の効力がなくなった場合には本アイデア品が土中害虫であるヨトウムシ等の進行を阻止可能なまで植物根本を覆い囲める、追加補充し再成型可能な土中害虫防除具である。また土中害虫であるヨトウムシ等が本アイデア品の中を通過できない材質が必須要件であることを考慮すると、隙間が微小である,あるいは隙間なく密接な素材から成る自由に成型可能な柔軟性と粘着性のある樹脂等、ゴム等が材質として適当であり、本アイデア品を長期間使用継続中に植物根本に隙間なく密着し続けられる材質であることが好ましく、耐候性を持つ材質であることは必須である。環境への配慮として、野菜等、短期間で収穫できる植物に本アイデア品を使用する場合は土に還る材質等も考慮すべきと考える。
【発明の効果】
【0006】
本アイデア品で植物根本を覆い囲まれると、覆い囲まれた植物根本周りの地表面が本アイデア品に密閉され植物根から茎を伝い植物の葉や茎や実を食害する土中害虫であるヨトウムシ等は本アイデア品に進路を塞がれた状態になり地表上に出る手段がなくなり、その結果として植物への食害被害を阻止するのに有効である。
【実施例】
【0008】
しっかり成長したピーマン苗2苗、ともに数個のピーマンがなっているがいずれもピーマンに穴が開いている。これはヨトウムシ特有の食害跡である。本発明品である植物根本を覆い囲むものとして縦3.5センチメートル、横2センチメートル、厚さ2センチメートルの合成ゴムを用意した。1本のピーマン苗には、厚さ0.5センチメートル、幅3センチメートルに前記合成ゴムを形成しピーマン苗根本周りと地表面に隙間なく密着させた。2本目のピーマン苗には、厚さ2センチメートル、幅2センチメートルに前記合成ゴムを形成しピーマン苗根本周りと地表面に隙間なく密着させた。観察開始から3週間後、1本目のピーマン苗は13個のピーマンが成り、2本目のピーマン苗は8個のピーマンが成りいずれのピーマンも食害跡は見られなかった。観察結果から合成ゴムがヨトウムシの進行阻止に有効であった。
【0009】
ピーマン苗根本茎にスポンジを隙間なくきっちり巻き付けU型の洗濯ばさみで巻き付けたスポンジを挟み囲んだ。設置当初は食害跡のないピーマンが収穫できたが、3週間後にはピーマン苗の根本に巻き付けたスポンジは一見しっかり巻き付いて見えるものの、成っている7個のピーマンにはすべて食害跡が見られた。ピーマン苗根本周りとスポンジとの間に視覚では確認できない程度でも緩みがあれば、土中害虫の進行を阻止することはできなくなる。植物幹等に柔軟性のある材質を巻き付け外側から圧力をかけても植物の成長に対応し植物幹等と植物に巻き付けるものとの間に隙間なく密着を維持し続け害虫の進行を阻止続けることは期待できない。
【0010】
野菜等栽培に関しては収穫時期まで通常半年程度である。本アイデア品が、土中害虫であるヨトウムシ等の食害被害を防除するためには、少なくとも半年〜1年程度、又は1年以上の、長期的に自由に成型可能な柔軟性を維持可能な材質であることが好ましい。
【符号の説明】
【0011】
土中害虫防除具
【0012】
植物
【0013】
地表面