【解決手段】ゴム栓により塞がれた開口を有する薬剤容器1を取り付け可能で、薬剤容器に収容された第1薬剤を流入させる薬剤容器であって、第2薬剤が収容され、開口部を有する容器本体と、開口部に取り付けられ、少なくとも一つの貫通孔が形成された中栓部材と、貫通孔を開閉自在に塞ぐ弁部材と、中栓部材の貫通孔の周囲に取り付けられ、容器本体の外側に延びる筒状のガイド部44と、ガイド部にガイドされつつ、弁部材5に対して進退可能に支持された中空の針部材73であって、軸方向の第1端部が貫通孔側を向き、弁部材を押圧可能に構成され、第1端部とは反対側の第2端部が鋭利に形成された、針部材と、薬剤容器のゴム栓が当接可能な当接面を有し、当接面から針部材の第2端部が突出している、受容部材7とを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記両頭針には、特許文献2、3に記載されているような一般的な問題があった。すなわち、上下容器の下側容器(特許文献2であれば、バイアル2)のゴム栓に両頭針が刺し込まれる前に、上側容器(特許文献2であれば、溶解液容器1)のゴム栓に両頭針が刺し込まれると、両頭針の下側容器側の端部から上側容器の薬剤が漏れるおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、バイアル瓶等の被溶解薬剤容器と薬剤容器とを連通させる際に、被溶解薬剤容器の薬剤の漏れを防止することができる混注具、及びこれを備えた薬剤容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被溶解薬剤容器と薬剤容器とを連通させ薬剤を移動させるための混注具であって、少なくとも一つの貫通孔、及び当該貫通孔を開閉自在に塞ぐ弁部材を有する中栓部材と、前記中栓部材の前記貫通孔の周囲に取り付けられ、前記薬剤容器の外側へ延びる筒状のガイド部と、前記ガイド部にガイドされつつ、前記弁部材に対して進退可能に支持された中空の針部材であって、軸方向の第1端部が前記貫通孔側を向き、前記弁部材を押圧可能に構成され、前記第1端部とは反対側の第2端部がゴム栓を穿刺可能に鋭利に形成された、針部材と、を備え、前記針部材の第1端部側は、初期状態において、前記ガイド部内に収容されており、前記針部材の第1端部により前記弁部材を押圧することで当該弁部材を開くように構成されている。
【0009】
この構成によれば、被溶解薬剤容器を混注具に取付ける際、針部材がゴム栓を貫通して被溶解薬剤容器の内部に刺し込まれたとき、針部材の第1端部はガイド部に収容されているため、第1薬剤が被溶解薬剤容器から針部材を通過して第1端部側に排出されても、ガイド部によって、第1薬剤が中栓部材上に漏れるのを防止することができる。そして、被溶解薬剤容器を混注具に刺し込むにしたがって、その反力で針部材の第1端部が弁部材を押圧するため、中栓部材の貫通孔を露出することができる。したがって、第1薬剤が針部材から漏れることなく、貫通孔を介して、被溶解薬剤容器から薬剤容器へ第1薬剤を供給することができる。
【0010】
上記混注具においては、前記弁部材を、弾性材料によって形成し、前記貫通孔を塞ぐ第1の態様と、前記針部材の第1端部によって押圧されることで、弾性変形し、前記貫通孔を開放する第2の態様と、を取り得るように構成することができる。
【0011】
この構成によれば、弁部材が弾性材料によって形成されているため、貫通孔を液密に塞ぐことができる。そして、針部材によって弁部材を押圧すれば、弾性変形により貫通孔を開くことができる。一方、針部材による押圧が解除されると、弾性変形した弁部材が第1の態様に復帰するため、貫通孔を再度塞ぐことができる。したがって、薬剤容器を取り外した後、他の薬剤容器を取り付けても、同様の効果を得ることができる。
【0012】
このように弁部材を弾性材料で形成する場合、弁部材は、種々の構成を取ることができるが、例えば、前記弁部材は、前記中栓部材に固定される固定部と、前記貫通孔を前記容器本体の内部側から塞ぐように配置される閉鎖部と、前記固定部と前記閉鎖部とを連結する連結部と、を備え、前記第2態様では、前記閉鎖部及び/又は前記連結部が弾性変形するように構成することができる。
【0013】
この構成によれば、連結部により、固定部と閉鎖部とが連結されているため、針部材の第1端部で閉鎖部が押圧されたときには、連結部が伸ばされることで貫通孔を開くことができる。一方、針部材による押圧が解除されたときには、連結部が縮まるため、その弾性力によって閉鎖部で貫通孔を再び閉じることができる。
【0014】
上記薬剤容器においては、複数の前記貫通孔が形成されており、前記針部材の第1端部は、前記貫通孔の数よりも少ない数の突部を備え、前記各突部がいずれかの前記貫通孔に進入したとき、前記弁部材がすべての貫通孔を開くように構成することができる。
【0015】
この構成によれば、貫通孔の数を突部よりも多くすることで、突部が挿入されない貫通孔が多くなるため、薬剤の流量を多くすることができる。したがって、第1薬剤を、針部材から容器本体内へスムーズに流入させることができる。
【0016】
上記薬剤容器においては、前記弁部材を、アンブレラ弁によって構成することができる。
【0017】
アンブレラ弁は、構成が簡易であるため、本発明の貫通孔を開閉するように構成するに当たって、設計の自由度が高いという利点がある。
【0018】
上記薬剤容器においては、前記弁部材を、ダックビル弁又はフラップ弁によって構成することができる。
【0019】
上記薬剤容器においては、前記針部材の第1端部側の外周全体が、前記ガイド部の内壁面にスライド可能に接するように構成することができる。
【0020】
これにより、針部材の第1端部側とガイド部とが液密に接するため、第1薬剤の漏れを確実に防止することができる。
【0021】
本発明に係る薬剤容器は、ゴム栓により塞がれた開口を有する被溶解薬剤容器を取り付け可能で、当該被溶解薬剤容器に収容された第1薬剤を流入させる薬剤容器であって、第2薬剤が収容され、開口部を有する容器本体と、前記容器本体の開口部に取り付けられる、上述したいずれかの混注具と、前記被溶解薬剤容器が当接可能な当接面を有し、当該当接面から前記針部材の第2端部が突出している、受容部材と、を備えている。
【0022】
この構成によれば、次の効果を得ることができる。従来例における薬剤容器の容器本体は、ゴム栓により上部開口が閉じられており、このゴム栓に刺し込まれる針部材が設けられている。一方、本発明では、弁部材を有する中栓部材によって容器本体の上部開口が閉じられているためゴム栓がない。したがって、本発明では薬剤容器側のゴム栓に刺し込まれる針部材が設けられておらず、弁を押すための構造を有するのみであり、従来例に比べ、薬剤容器全体の高さを低くすることができ、保管スペースを小さくできるという利点がある。
【0023】
上記薬剤容器において、前記容器本体は、前記第1薬剤と第2薬剤とを混合した混合液を排出可能な排出部を備えることができる。
【0024】
これにより、混合された第1及び第2薬剤を、例えば、患者に容易に供給することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、バイアル瓶等の被溶解薬剤容器と薬剤容器とを連通させる際に、被溶解薬剤容器の薬剤の漏れを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る薬剤容器の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。この薬剤容器は、第1薬剤が収容された被溶解薬剤容器としてバイアル瓶が取り付けられ、第1薬剤を流入させるものである。そして、流入された第1薬剤は、薬剤容器内に収容された第2薬剤と混合され、患者に投与する混合液が調製される。以下では、バイアル瓶、薬剤容器の順に説明し、その後、これらの使用方法について説明する。
【0028】
<1.バイアル瓶の概要>
図1はバイアル瓶の正面図、
図2はバイアル瓶を
図1の上側から見た斜視図である。
図1に示すように、バイアル瓶1は、下部が底面によって閉じられた円筒状の本体部11と、本体部11の上端部から斜め上方に円錐状に延びる肩部12と、肩部12から上方に延び、本体部11よりも径の小さい円筒状の首部13と、首部13に連結され,上部に開口を有する円柱状の頭部とを備えており、これらはガラス、樹脂材料などで一体的に形成されている。
図2に示すように、頭部の上部開口には、ゴム栓14がはめ込まれており、さらにゴム栓14を覆うようなアルミ等のキャップ15が頭部に取り付けられている。また、これら本体部11、肩部12、首部13、及び頭部によって囲まれた内部空間に第1薬剤が収容されている。第1薬剤は、特には限定されないが、例えば、抗生剤、抗がん剤等の薬剤、及びビタミン剤などとすることができ、液体、固体のいずれであってもよい。但し、本実施形態では、固体の薬剤が収容されているとして説明を行う。そして、この第1薬剤は、後述するように、ゴム栓14に刺し込まれた薬剤容器100の針部材73を介して、薬剤容器100の容器本体2内に供給されるようになっている。
【0029】
<2.薬剤容器の概要>
次に、
図3及び
図4を参照しつつ、薬剤容器について説明する。
図3は薬剤容器の正面図、
図4は混注具の断面図である。なお、
図4に含む拡大図(a)は、円で囲まれた箇所の拡大図であり、拡大図(b)は、拡大図(a)から軸まわりに90度回転した位置での拡大図である。
【0030】
図3及び
図4に示すように、この薬剤容器100は、上部に開口を有する容器本体2と、この容器本体2の上部開口に取り付けられた混注具3と、を備えている。容器本体2は、下部が底面によって閉じられた水平断面が楕円状の本体部21と、本体部21の上端から上方に延び、上部に開口が形成された円筒状の首部22と、首部22の上端から径方向外方に延びるフランジ部23とを備えており、これらは樹脂材料などで一体的に形成されている。そして、
図3に示すように、首部22の上端には、後述する混注具3が取り付けられている。また、容器本体2の内部空間に第2薬剤が収容されている。第2薬剤は、特には限定されないが、例えば、生理食塩水、ブドウ糖液、リンゲル液等の輸液とすることができ、バイアル瓶1内の固体又は液体の薬剤を溶解する。一方、容器本体2の下部には、ゴム栓で塞がれた排出部26が形成されており、後述するように、混合液を排出することができる。
【0031】
<3.混注具の概要>
次に、混注具3について、
図5及び
図6も参照しつつ説明する。
図5は、中栓部材4を上方から見た平面図、
図6は受容部材7を下側から見た斜視図である。混注具3は、バイアル瓶1の第1薬剤を薬剤容器100の容器本体2内に供給するための機構である。
【0032】
図4に示すように、混注具3は、容器本体2の上部開口を塞ぐ円板状の中栓部材4と、この中栓部材4に取付けられる弁部材5と、中栓部材4の上方を囲むように取付けられる支持部材6と、この支持部材6の内部に取付けられる受容部材7と、を備えている。
【0033】
中栓部材4は、円板状の基部41と、この基部41の周縁から下方に延びる延在部42と、この延在部42の周縁から径方向外方に延びる円形のフランジ部43とを備えている。そして、このフランジ部43が容器本体2の上部のフランジ部23に溶着により固定されている。
【0034】
図5に示すように、基部41の中央には、5つの貫通孔411〜415が形成されている。すなわち、基部41の中心に形成される円形の中央貫通孔411と、この周囲を囲むように等間隔に配置された4つの楕円状の周縁貫通孔412〜415と、が形成されている。また、基部41の上面には、周縁貫通孔412〜415を囲むように円筒状のガイド部44が一体的に形成されている。
【0035】
次に、弁部材5について説明する。
図4に示すように、弁部材5は、アンブレラ弁により構成され、円板状の固定部51と、この固定部51の下面から下方に延びる棒状の連結部52と、この連結部52の下面に連結された円板状の閉鎖部53と、を備えており、これらは合成ゴム、熱可塑性エラストマーなどの弾性材料によって一体的に形成されている。固定部51は、基部41の上面側から中央貫通孔411を塞ぐように取付けられ、連結部52は、中央貫通孔411に挿通されて基部41の下面側に延びている。そして、閉鎖部53は、基部41の下面側から4つの周縁貫通孔412〜415を塞ぐように取付けられている。ここで、固定部51及び閉鎖部53は中央貫通孔411よりも大径に形成されているため、これらが抜け止めになり、弁部材5が基部41から外れるのが防止されている。また、固定部51は、中央貫通孔411よりは大きいが、4つの周縁貫通孔412〜415は塞がない大きさに形成されている。
【0036】
さらに、初期状態において、固定部51及び閉鎖部53は、それぞれ基部41の上面及び下面に密着している。すなわち、固定部51が中央貫通孔411を液密に閉じ、閉鎖部53は4つの周縁貫通孔412〜415を液密に閉じている。
【0037】
続いて、支持部材6について説明する。支持部材6は、中栓部材4の周縁に固定され、ここから上方に延びる円筒状の基台部61と、この基台部61の上端から径方向外方へ延びる円形の延在部62と、延在部62の周縁から上方に延びる円筒状の収容部63と、を備えており、これらは一体的に形成されている。収容部63は、バイアル瓶1の本体部11の外径と概ね同じ大きさの内径を有しており、本体部11の一部が収容されるようになっている。また、基台部61には、後述するように、受容部材7が収容されるようになっている。
【0038】
次に、受容部材7について説明する。受容部材7は、円筒状の本体部71と、この本体部71の軸方向の中央付近で本体部71の内部を上下に仕切る円板状の仕切り部72と、この仕切り部72に取付けられた円筒状の針部材73と、を備え、これらが一体的に形成されている。そして、本体部71は、仕切り部72によって上部空間701と下部空間702とに仕切られている。以下では、針部材73において、下部空間702側に突出する部分を第1部位731、上部空間701側に突出する部分を第2部位732と称することとする。
【0039】
本体部71は、支持部材6の基台部61に収容され、基台部内61で上下動可能に支持されている。そのため、本体部71の外径は、基台部61の内径と概ね同じである。また、本体部71の内径は、バイアル瓶1のキャップ15の外径と概ね同じであり、上部空間701にはバイアル瓶1の頭部が収容されるようになっている。また、本体部71において、仕切り部72よりも上方には、軸方向に延びるスリット711が複数形成されており、これによって、本体部71の上部は径方向に開くようになっている。この本体部71の上部は、バイアル瓶1を挿入するときのガイドになるとともに、針部材73の先端よりも高く形成されることで針部材73に指が触れるのを防止している。また、図示を省略するが、後述する
図7に示すように、バイアル瓶1が挿入されたときには、本体部71の上部はバイアル瓶1の肩部12に沿うように開くようになっている。また、本体部71の上部空間701側の内壁面には径方向内方にやや突出する係合部712が形成されており、この係合部712がバイアル瓶1のキャップ15(
図7参照)に係合することで、上部空間701に固定されたバイアル瓶1が離脱するのを防止することができる。
【0040】
また、本体部71は、図示を省略するストッパにより、基台部61内での上方への移動が規制されている。すなわち、本体部71は、基台部61内での初期位置から下方への移動は可能となっているが、ストッパにより初期位置よりも上方へは移動できないようになっている。
【0041】
針部材73は、棒状に形成され、仕切り部72を貫通して上下方向に延びており、内部には、軸方向に針部材73を貫通する1個以上の流路(
図4では2個の流路)が形成されている。これら流路は、一方が薬剤の流路となり、他方が空気の流路となる。針部材73の第2部位732の上端は、鋭利に形成されており、バイアル瓶1のゴム栓14に刺し込まれるようになっている。一方、針部材73の第1部位731は、円筒状に形成されるとともに、初期状態において、ガイド部44に収容されている。より詳細には、針部材73の第1部位731の外径は、ガイド部44の内径と概ね同じになっており、第1部位731はガイド部44内を液密にスライド可能となっている。また、
図4(b)及び
図6に示すように、第1部位731の下端部には、下方に延びる棒状の突部734が2個形成されている。これら突部734は針部材73の軸心を挟むように取付けられており、上述した周縁貫通孔412〜415のうち、対向する2つの周縁貫通孔412、414に挿入されるようになっている。但し、初期状態では、
図4(b)に示すように、突部734は周縁貫通孔412〜415を完全に貫通しておらず、弁部材5を押圧しない程度に挿入されている。さらに、両突部734の間において、両突部734の上端部付近には、板状の仕切り部材737が設けられており、針部材73の2個の流路の下部開口付近を仕切っている。
【0042】
<4.薬剤容器の使用方法>
次に、薬剤容器100の使用方法について、
図7〜
図10を参照しつつ説明する。
図7は薬剤容器を薬剤容器に差し込んだ状態を示す断面図、
図8〜
図10は混注具の断面図である。但し、
図9は
図8及び
図10から軸周りに90度回転した断面図である。但し、
図8〜
図10では容器本体2の首部22及びフランジ部23を省略している。まず、バイアル瓶1のキャップ15を、薬剤容器100の受容部材7に取付ける。すなわち、
図7に示すように、キャップ15を上部空間701に挿入し、ゴム栓14に針部材73の第2部位732が刺し込まれるように、バイアル瓶1を受容部材7に押し込む。このとき、バイアル瓶1のキャップ15は、受容部材7の本体部71に支持される。また、バイアル瓶1の本体部11の外周面が、支持部材6の収容部63に支持される。
【0043】
そして、
図8に示すように、バイアル瓶1のキャップ15が受容部材の仕切り部72に当接するように押し込み、ここからさらにバイアル瓶1を押し込むと、受容部材7は中栓部材4側に押圧され、支持部材6内を容器本体2側へスライドする。このとき、針部材73の第1部位731は、ガイド部44内をスライドし、
図9に示すように、突部734が周縁貫通孔412,414に進入する。これにより、周縁貫通孔412,414を下側から塞ぐ閉鎖部53が突部734によって押圧され、閉鎖部53が基部41から離れる。その結果、
図10に示すように、周縁貫通孔413,415が開き、針部材73と容器本体2とが連通する。このとき、突部734による閉鎖部53への押圧によって、弁部材5の連結部52及び閉鎖部53が弾性変形して伸び、閉鎖部53が基部41の下面から離れるようになっている。また、仕切り部材737が弁部材5の上端に接することで、針部材73の2個の流路から周縁貫通孔412,414に至る空間が2つに分けられる。これにより、針部材の2つの流路の一方は薬剤の通路となり、他方は空気の通路になるため、薬剤がスムーズに流通する。
【0044】
こうして、針部材73を介して、バイアル瓶1と薬剤容器100とが連通する。続いて、バイアル瓶1と薬剤容器100とを一体化させた状態で、上下の反転を繰り返す。すなわち、容器本体2の第2薬剤をバイアル瓶1に移動して第1薬剤を溶解させた後、溶解した薬剤を容器本体2に移動する。この操作を繰り返すことで、混合液が調製される。そして、他の薬剤を混合する場合には、バイアル瓶1を薬剤容器100から引き抜く。これにより、針部材73及び受容部材7は、バイアル瓶1とともに上方に移動する。そして、ストッパにより受容部材7の移動が停止する。このとき、針部材73は薬剤容器100から離れる方向に移動しているため、突部734による弁部材5の押圧が解除される。これにより、連結部52が縮み、閉鎖部53によって周縁貫通孔412〜415が再び液密に閉じられる。その後、バイアル瓶1をさらに引っ張ると、針部材73がゴム栓14から引き抜かれる。
【0045】
これに続いて、上述したのと同様の方法で、新たなバイアル瓶を薬剤容器100に取付け、それに収容されている薬剤を薬剤容器100内に供給する。こうして、全ての薬剤が薬剤容器100内に供給されると、混合液が調製される。その後、薬剤容器100を点滴スタンドなどに吊り下げ、排出部26のゴム栓にカテーテルの針部材を刺し込み、混合液を患者に投与することもできる。また、上記のように調製した混合液を直接患者に投与せず、他の輸液製剤に更に混合して患者に投与することも有り得る。この場合、混合液を他の輸液製剤が収容された容器に混注したり、他の輸液製剤容器につながったカテーテルラインに三方活栓を設け、当該三方活栓にカテーテル(側管)を介して混合液が収容された容器本体を接続して投与すること(所謂、ピギーバッグ法)等が採用される。
【0046】
<5.特徴>
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)従来例では、薬剤容器のゴム栓に針部材が刺し込まれる前に、バイアル瓶のゴム栓に針部材が刺し込まれると薬剤が漏れるおそれがあった。したがって、従来例では、薬剤容器のゴム栓に針部材が刺し込まれた後に、バイアル瓶のゴム栓に針部材が刺し込まれるように、動作の順序を制御する必要があった。
【0047】
一方、本実施形態では、バイアル瓶1を薬剤容器100に取付ける際、針部材73の第1部位731が、ガイド部44に密着したままスライドするため、第1薬剤が針部材73から中栓部材4上に漏れるのを防止することができる。そして、針部材73がゴム栓14に刺し込まれるのにしたがって、その反力で針部材73の第1部位731が弁部材5を押圧するため、中栓部材4の周縁貫通孔412〜415を容易に開くことができる。したがって、第1薬剤が針部材73から漏れることなく、周縁貫通孔412〜415を介して、バイアル瓶1から薬剤容器100へ供給されることができる。
【0048】
また、針部材73がバイアル瓶1のゴム栓14に刺し込まれる前に、突部734が弁部材5を押圧したとしても、弁部材5が移動して周縁貫通孔412〜415が開くため、弁部材5が移動することと、ゴム栓14へ針部材73を刺し込むこと、の順序を特に規制しなくてもよく、設計が簡易である。
【0049】
(2)従来例では、薬剤容器のゴム栓に針部材を刺し込んで薬剤を供給していたため、針部材がゴム栓に確実に刺し込まれる必要があった。また、刺し込まれた針部材を引き抜いたときには、針部材によって引き裂かれた部分が閉じなければならないため、ゴム栓の体積、厚み、締め付け具合等を調整する必要があった。これに対して、本実施形態では、突部734によって弁部材5を単に押圧することで、周縁貫通孔412〜415を開くようにしているため、主として弁部材5の伸縮性を考慮すればよく、ゴム栓を用いる場合に比べ、小型の弁部材で開閉を行うことができる。
【0050】
また、従来例では、針部材を何度も刺し込むと、薬剤容器のゴム栓が損傷し、針部材を抜いたときにゴム栓が閉じない可能性があった。これに対して、本実施形態では、針部材73の突部734によって弁部材5を押圧し、主として弁部材5の連結部52及び閉鎖部53を伸縮させているだけで、周縁貫通孔412〜415を開閉しているため、従来例に比べ、周縁貫通孔412〜415の開閉の劣化を低減することができる。したがって、例えば、複数の薬剤容器を複数回に亘って混注具3に取付けても、薬剤の漏れを防止することができる。
【0051】
(3)4つの周縁貫通孔412〜415のうち、針部材73の突部734が進入するのは2つだけであるため、残りの2つの周縁貫通孔412,414により薬剤及び空気を流通させることができる。したがって、第1薬剤が薬剤容器100の容器本体2内に供給されるにしたがって、容器本体2からは空気孔を介して空気が排出されるため、第1薬剤をスムーズに容器本体2内に供給することができる。なお、突部734の水平断面の大きさは貫通孔412〜415よりも小さい場合は、突部734が進入した貫通孔413,415を介しても薬剤や空気を流通させることができる。
【0052】
(4)従来例と異なり、針部材73には、薬剤容器100側に刺し込まれる鋭利な部位が形成されておらず、また、この鋭利な部分が刺し込まれるゴム栓も設けられていない。したがって、混注具3をコンパクトに形成することができ、薬剤容器100全体の上下方向の高さを低くすることができる。
【0053】
<6.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能であるが、以下の変形例は、適宜組み合わせることができる。
【0054】
<6−1>
上記実施形態では、中栓部材4に4つの周縁貫通孔412〜415を形成しているが、その数は特には限定されない。突部734の数も同様である。また、突部734は、その水平断面が貫通孔412〜415よりも小さく形成されていれば、その形状は特には限定されない。したがって、
図11(a)に示すように、2個の周縁貫通孔416,417を形成したり、あるいは、
図11(b)に示すように、1個の周縁貫通孔418を形成することもできる。1個の周縁貫通孔418は、
図11(b)に示すように、例えば、C字状に形成することができるが、この場合には、閉鎖部53を押圧しやすくするため、1個の周縁貫通孔418に対し、離れた位置にある複数の突部734を進入させることができる。なお、弁部材5の第1部位731の構成は、特には限定されず、突部734以外であっても、弁部材5を押圧できる形状であれば、特には限定されない。
【0055】
<6−2>
弁部材5の構成も特には限定されず、貫通孔が弁により閉じられており、針部材73により弁を押圧することによって貫通孔を開くことができるように構成されていればよい。例えば、
図12(a)に示すように、中栓部材4に形成された一の貫通孔410を、スリット55が形成された公知のダックビル弁5によって塞ぐことができる。そして、
図12(b)に示すように、針部材73に形成された突部738がダックビル弁5のスリット55に進入することで、ダックビル弁5を開き、薬剤が通過するように構成することができる。
【0056】
あるいは、
図13(a)に示すようなフラップ弁5により、中栓部材4に形成された一の貫通孔410を塞ぐことができる。このフラップ弁5は、貫通孔410を塞ぐように円形または矩形状に形成され、他の弁と同様に、合成ゴム、熱可塑性エラストマー等の弾性材料により板状に形成することができる。そして、このフラップ弁5は、その一端部が貫通孔410の外側で中栓部材4に固定される。これにより、
図13(a)に状態では、フラップ弁5は、弾性力により、貫通孔410を下側から塞ぐ位置に保持される。一方、
図13(b)に示すように、貫通孔410に挿入される針部材73によって上側から押圧されると、フラップ弁5は、一端部を中心に揺動し、貫通孔410を開放するように構成されている。これにより、薬剤が貫通孔を通過可能となる。
【0057】
<6−3>
上記実施形態では、受容部材7をスライド可能に支持する支持部材6を設けているが、受容部材7は針部材73とともに、移動可能に支持されていれば、その支持機構は特には限定されない。
【0058】
<6−4>
混注具3の形状は一例であり、円形以外の形状であってもよく、適宜変更することができる。
【0059】
<6−5>
薬剤容器100の容器本体2の形状は特には限定されない。また、排出部26は必ずしも設けなくてもよい。また、薬剤容器100には、輸液以外の第1薬剤を収容することもでき、薬剤の種類は特には限定されない。
【0060】
<6−6>
上記実施形態では、本発明の被溶解薬剤容器としてバイアル瓶の説明を行ったが、バイアル瓶以外の、例えば被溶解薬剤である第1薬剤を収容した樹脂製の容器なども被溶解薬剤容器として利用することができる。
【0061】
<6−7>
受容部材7の構成は特には限定されず、本体部71の内径は、必ずしもバイアル瓶1のキャップ15の外径と同じでなくてもよく、キャップ15をはめ込めるのであれば、多少大きかったり、あるいは小さくてもよい。また、バイアル瓶1を保持するために、係合部712以外の構成を有していてもよい。
【0062】
<6−8>
本発明に係る混注具は、上記実施形態で説明した態様以外でも用いることができ、種々の薬剤容器(容器本体)に取り付けることができる。また、受容部材7及び支持部材6は、必ずしも必要ではなく、被溶解薬剤容器を針部材73に刺し込んだときに、針部材73を移動して弁部材5を押圧できるように構成されていれば、その構成は特には限定されない。