タイヤの製造方法は、押出機から供給される非導電性ストリップゴム11を導電性ケース本体の外周側に螺旋状に巻き付けて複数層のゴム層を形成するゴム層形成工程を含む。ゴム層形成工程は、非導電性ストリップゴム11を巻き付ける非導電性ストリップゴム巻き付け工程と、非導電性ストリップゴム11に導電性ゴム15を重ねて導電性ストリップゴム10として巻き付ける導電性ストリップゴム巻き付け工程とを含む。導電性ストリップゴム巻き付け工程で、導電性ゴム15がタイヤ径方向に重なり合わせられるように層状に巻き付け、空気入りタイヤの表面まで達する導通部42を形成する。
前記非導電性ストリップゴム巻き付け工程と前記導電性ストリップゴム巻き付け工程との間に、前記押出機からの前記非導電性ストリップゴムの供給を一時停止する工程を含む、請求項1に記載のタイヤの製造方法。
前記導通部は、前記タイヤ表面において、タイヤ幅方向の1箇所で前記タイヤをタイヤ周方向に一周するように形成される、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤの製造方法。
前記ゴム形成工程の前に、断面形状が矩形状である帯状の非導電性ゴムの表面全体を導電性ゴムで覆ってなる他の導電性ストリップゴムを前記ケースの外周側に螺旋状に巻き付ける基層形成工程を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のタイヤの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、導電部の露出面積が小さい外観に優れたものとすることができるタイヤの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、押出機から供給される非導電性ストリップゴムを導電性ケース本体の外周側に螺旋状に巻き付けて複数層のゴム層を形成するゴム層形成工程を含み、前記ゴム層形成工程は、前記非導電性ストリップゴムを巻き付ける非導電性ストリップゴム巻き付け工程と、前記非導電性ストリップゴムに導電性ゴムを重ねて導電性ストリップゴムとして巻き付ける導電性ストリップゴム巻き付け工程とを含み、前記導電性ストリップゴム巻き付け工程で、前記導電性ゴムがタイヤ径方向に重なり合わせられるように層状に巻き付け、タイヤ表面まで達する導通部を形成する、タイヤの製造方法を提供する。
【0007】
この方法によれば、非導電性ストリップゴムの表面に導電ゴムを有する導電性ストリップゴムを重ね合わせることにより、タイヤ径方向に導通する導通部を形成できる。導電ゴムがタイヤ径方向に重なり合わせた部分にのみ空気入りタイヤの表面に導電部が露出するので、導電部の露出面積を抑えてタイヤの外観に優れたものとすることができる。
【0008】
前記非導電性ストリップゴム巻き付け工程と前記導電性ストリップゴム巻き付け工程との間に、前記押出機からの前記非導電性ストリップゴムの供給を一時停止する工程を含んでもよい。
【0009】
前記導通部は、前記タイヤ表面において、タイヤ幅方向の1箇所で前記タイヤをタイヤ周方向に一周するように形成されるのが好ましい。
【0010】
この方法によれば、接地面での導電部の露出を必要最小限に抑えることができる。
【0011】
前記非導電性ストリップゴムの断面形状は三角形状であり、前記導電性ゴムは、前記非導電性ストリップゴムの断面における前記三角形状の底面と、前記底面に隣接した領域を覆い、前記導電性ストリップゴムは、前記複数のゴム層の各層で前記導電性ゴムのタイヤ幅方向の位置が交互にずれるように巻き付けられることが好ましい。
【0012】
この方法によれば、非導電性ストリップゴムを覆う導電ゴムの量を抑制しながらタイヤ径方向への導通状態を確実なものとすることができる。
【0013】
前記導通部はトレッド部に形成されるのが好ましい。
【0014】
この方法によれば、導通部は接地面を含むトレッド部で露出するので、静電気を確実にアースへと放電できる。
【0015】
前記ゴム形成工程の前に、断面形状が矩形状である帯状の非導電性ゴムの表面全体を導電性ゴムで覆ってなる他の導電性ストリップゴムを前記ケースの外周側に螺旋状に巻き付ける基層形成工程を含んでもよい。
【0016】
この方法によれば、基層の表面では他の導電性ストリップゴムによって導電部を全面に形成でき、上層側では導電性ストリップゴムによってタイヤ幅方向の範囲を抑制しながらタイヤ径方向に導通部を形成できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、導電性ストリップゴムをタイヤ径方向に重ね合わせて導通部を形成できるので、タイヤ表面での導電部の露出面積を抑えて外観に優れたものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは相違している。
【0020】
図1は、グリーンタイヤのトレッド部を示す子午線部分断面図である。このグリーンタイヤは、導電性ケース本体1の外周側にトレッドリング2を有する。
【0021】
導電性ケース本体1は、タイヤ径方向内側からインナーライナー3、カーカスプライ4、ベルト層5、及び、ベルト補強層6を備える。ベルト層5は、タイヤ径方向内側に巻き付けた第1ベルト5aと、その外周面に巻き付けた第2ベルト5bとからなる。ベルト補強層6は、第2ベルト5bの外周面に巻き付けられ、ベルト層5の全体を覆う。
【0022】
トレッドリング2は、
図2に示すように、複数のトレッドゴム層7で構成されている。トレッドゴム層7は、ストリップゴム8を螺旋状に巻き付けることにより形成される。本実施形態では、ストリップゴム8は、第1導電性ストリップゴム9、第2導電性ストリップゴム10、及び非導電性ストリップゴム11の3種類からなる。後述するように、第1導電性ストリップゴム9は第1ゴム供給部20(
図4参照)から連続的に供給されるリボン状ないしはストリップ状の1本のゴムである。これに対して、第2導電性ストリップゴム10と非導電性ストリップゴム11とは、互いに別体のリボン状ないしはストリップ状のゴムではない。つまり、後述するように、非導電性ストリップゴム11は第2ゴム供給部20から連続的に供給されるリボン状ないしはストリップ状(帯状)の1本のゴムであり、この第2ゴム供給部20(
図3)から連続的に供給される非導電性ストリップゴム11は、第2ゴム供給部20が備える第2導電性ゴム供給器30から供給される導電性ゴム15によって適切なタイミングで部分的に覆われる。非導電性ストリップゴム11のうち導電性ゴム15によって部分的に覆われた部分が、第2導電性ストリップゴム10である。
【0023】
第1導電性ストリップゴム9は、
図5に示すように、断面矩形状で帯状の第1ゴム12(非導電性ゴム)の周囲を第1導電性ゴム13で覆った構成である。第1導電性ストリップゴム9は、トレッドゴム層7の基層41を形成するために使用される。
【0024】
第2導電性ストリップゴム10は、
図7に示すように、断面三角形状の帯状の第2ゴム14(非導電性ゴム)の底面と、この底面に隣接した領域とを第2導電性ゴム15で覆った構成である。第2導電性ゴム15は、第2ゴム14の底面全体を覆う第1被覆部15aと、この第1被覆部15aに連続し、底面の両縁から接近する方向へと斜め上方に延びる斜面の一部を覆う第2被覆部15bとからなる。第2被覆部15bは、斜面の下縁から斜面同士が交差する上縁までの全範囲のうち、下縁から半分以上の範囲に形成されている。第2導電性ストリップゴム10は、基層41を構成する第1導電性ストリップゴム9に対してタイヤ径方向に重なるように巻き付けられ、上層部分(トレッドゴム層7のうち第1導電性ストリップゴム9で構成された基層41を除く層)のうちの導通部42を形成する。
【0025】
非導電性ストリップゴム11は、
図6に示すように、第2ゴム14(非導電性ゴム)のみで構成される。非導電性ストリップゴム11は、基層41を構成する第1導電性ストリップゴム9に対してタイヤ径方向に重なるように螺旋状に巻き付けられ、上層部分のうちの導通部42以外の部分を形成する。
【0026】
前記グリーンタイヤでは、
図3に示すトレッド形成装置16によって導電性ケース本体1の外周部にトレッドゴム層7が形成される。トレッド形成装置16は、ゴム供給部材17、ドラム18、圧着部材19、等を備える。
【0027】
ゴム供給部材17は、第1導電性ストリップゴム9を供給する第1ゴム供給部20と、第2導電性ストリップゴム10及び非導電性ストリップゴム11を供給する第2ゴム供給部21とからなる。
【0028】
第1ゴム供給部20は、
図4に示すように、3台の第1押出機22と、1つの第1ダイ23とを備える。3台の第1押出機22のうち、1台はゴムを帯状にして供給する第1ゴム供給機24である。残る2台はゴム供給機の上下にそれぞれ配置され、導電性ゴムを帯状にして供給する第1導電材料供給機25である。
【0029】
第1ダイ23には、第1ゴム供給機24から供給されたゴムを案内する第1通路23aと、各第1導電性ゴム供給機25から供給された導電性ゴムを案内する第2通路23b及び第3通路23cとが形成されている。各通路は断面矩形状である。第1通路23aに対し、第2通路23bは上方側から合流し、第3通路23cは下方側から合流する。第1通路23aと、第2通路23b及び第3通路23cとが合流した先には第1口金26が設けられている。
【0030】
第1ゴム供給機24から連続的に供給される第1ゴム12は第1通路23aを通過する際、断面矩形状となる。そして、各第1導電性ゴム供給機25からそれぞれ連続的に供給される導電性ゴムは、第2通路23b及び第3通路23cを通過して、第1通路23aに供給されて断面矩形状となった第1ゴム12を上下から挟み込んで合体する。そして、第1口金26から、内側の第1ゴム12と、周囲4面を全て覆う第1導電性ゴム13とからなる2層構造となった1本の第1導電性ストリップゴム9(
図5参照)として連続的に流出する。
【0031】
第2ゴム供給部21は、
図3に示すように、2台の第2押出機27と、1つの第2ダイ28とを備える。一方の第2押出機27は、ゴムを帯状にして連続的に供給する第2ゴム供給機29である。他方の第2押出機27は、ゴム供給機の上方側に配置され、導電性ゴムを帯状にして連続的に供給可能な第2導電性ゴム供給機30である。
【0032】
第2ダイ28には、第2ゴム供給機29から供給された第2ゴム14を案内する第1通路28aと、第2導電性ゴム供給機30から供給された導電性ゴムを案内する第2通路28bとが形成されている。第1通路28aは断面三角形状に形成されている。第2ゴム供給機29から供給された第2ゴム14は第1通路を通過する際、断面三角形状となる。第2通路28bは、第1通路28aに対して上方側から合流する。第1通路28aと第2通路28bとが合流した先には第2口金31が設けられている。
【0033】
第2ゴム供給機29から供給された第2ゴム14は、ダイの第1通路28aを通過する際断面三角形状となる。そして、第2導電性ゴム供給機30から導電性ゴムを供給しない場合、そのまま第2口金31を介して非導電性ストリップゴム11として流出する。一方、第2導電性ゴム供給機30から導電性ゴムを供給する場合、供給された導電性ゴムは第2通路28bを通過して第1通路28aに合流することにより、第2ゴム14の底面及びその隣接領域を覆う。そして、第2口金31から、第2ゴム14と、第2ゴム14の底面及びその隣接領域を覆う第2導電性ゴム15とからなる2層構造となった第2導電性ストリップゴム10として流出する。
【0034】
このように、第2ゴム供給部21では、第2導電性ゴム供給機30から導電性ゴムを供給するか否かによって、非導電性ストリップゴム11と第2導電性ストリップゴム10のいずれにも切り替えて提供することができる。つまり、第2ゴム供給部21では、第2ゴム供給器29からは第2ゴム14が連続的に供給されるが、第2導電性ゴム供給30からは適切なタイミングで導電性ゴムが供給される。第2ゴム供給器29からは第2ゴム14が供給されているが、第2導電性ゴム供給30から導電性ゴムが供給されていないときは、第2ゴム供給部21から流出するのは、非導電性ストリップゴム11である。これに対して、第2ゴム供給器29から第2ゴム14を供給中に、第2導電性ゴム供給30から導電性ゴムが供給された場合、当該第2導電材料供給30からの導電材料が供給中に対応するタイミングで、第2ゴム供給部21から第2導電性ストリップゴム10が流出する。
【0035】
なおここでは、前記ゴム供給部材17によって供給するゴムには、体積抵抗率が10
8Ω以上のゴム材料、例えば、原料ゴムに補強材として高比率でシリカを配合したものを使用している。また、導電性ゴムには、体積抵抗率が10
8Ω未満であるゴム材料、例えば、原料ゴムに補強材として高比率でカーボンブラックを配合したものを使用している。
【0036】
ドラム18は、軸心Oを中心とする円筒状に形成されている。ドラム18の外周面は径方向に拡縮可能な金属セグメントやブラダー等で構成されている。またドラム18は、図示しないモータ等の駆動手段によって軸心Oを中心として、
図3中、反時計回り方向に回転する。さらにドラム18は、図示しないモータ等の駆動手段によって軸心Oに沿った方向に往復移動する。
【0037】
圧着部材19は、シリンダ32によって進退可能なピストンロッド33の先端に回転軸34aを中心として、円筒状の圧着ローラ34を回転可能に取り付けたものである。圧着ローラ34は、その回転軸34aの軸心方向がドラム18の軸心方向と平行となるように配置される。シリンダ32を駆動してピストンロッド33を前進させることにより、圧着ローラ34の外周面で、ゴム供給部から供給されたストリップゴム8を導電性ケース本体1の外周面に押し付けて貼り付けることができるようになっている。
【0038】
次に、前記構成からなるトレッド形成装置16によって導電性ケース本体1の外周面にトレッドゴム層7を形成する方法について説明する。
【0039】
図10を参照すると、この方法は、基層形成工程と、ゴム層形成工程とを備える。基層形成工程では、第1ゴム供給部20によって第1導電性ストリップゴム9が導電性ケース本体1の外周側に螺旋条に巻き付けられ、基層41が形成される。基層形成工程が終了すると、いったん機械を停止、ストリップゴムの供給を第1ゴム供給部20から第2ゴム供給部21に切り替える。ゴム層形成工程では、第2ゴム供給機25から供給される非導電性ストリップ11が基層41の外側に巻き付けられるが、適切なタイミングで第2導電性ゴム供給機30から第2導電性ゴム15が供給され、非導電性ストリップゴム11に重ね合わせられる。つまり、ゴム層形成工程では、非導電性ストリップゴム11を被覆することなくそのまま巻き付ける非導電性ストリップゴム巻き付け工程と、非導電性ストリップゴム11に導電性ゴム15を重ねて第2導電性ストリップゴム10として巻き付ける導電性ストリップゴム巻き付け工程とを含む。以下、基層形成工程とゴム層形成工程をより具体的に説明する。
【0040】
(基層形成工程)
別工程で形成した導電性ケース本体1をドラム18の外周に配置する。ドラム18を拡径して導電性ケース本体1を保持し、図示しないモータを駆動することによりドラム18の回転を開始する。
【0041】
第1ゴム供給部20を駆動し、回転中のドラム18に対して第1導電性ストリップゴム9を供給する。供給した第1導電性ストリップゴム9は、圧着部材19によって導電性ケース本体1の外周面に押し付ける。ドラム18は回転させたまま軸心方向に移動させる。このときのドラム18の送り量は、第1導電性ストリップゴム9が互いに重ならずに隙間無く配置されるように設定する。これにより、第1導電性ストリップゴム9が均一高さで一様に螺旋条に巻き付けられ、ベルト補強層6を覆う基層41が形成される。
【0042】
形成された基層41は、周囲を第1導電性ゴム13で形成された第1導電性ストリップゴム9を巻き付けたものである。したがって、表裏面は導通状態となっている。また、基層41で覆われたベルト補強層6、ベルト層5、カーカスプライ4には金属製のコードが使用されている。図示しないが、カーカスプライ4は金属製のコードの束で構成されたビードコア(図示せず)へと繋がっている。したがって、製品タイヤとなった状態でリム組みされると、リムからビードコア、カーカスプライ4、ベルト層5、ベルト補強層6を介して基層41の表面までが導通することになる。
【0043】
(ゴム層形成工程)
続いて、第1ゴム供給部20の駆動を停止し、第2ゴム供給部21の駆動を開始する。第2ゴム供給部21では、第2ゴム供給機29から第2ゴム14を供給する。但し、第2導電性ゴム供給機30からの導電性ゴムの供給は開始しないでおく。これにより、回転中のドラム18に対して非導電性ストリップゴム11が供給される。供給された非導電性ストリップゴム11は、圧着部材19によって基層41の一端側で外周面に押し付ける。ドラム18は回転させたまま軸心方向に移動させ、非導電性ストリップゴム11を基層41の他端側に向かって螺旋状に巻き付ける(非導電性ストリップゴム巻き付け工程)。このとき、ドラム18の送り量は、非導電性ストリップゴム11が互いに半分重なり合うように設定する。
【0044】
非導電性ストリップゴム11が基層41の中央部分まで巻き付けられれば、第2導電性ゴム供給機30から導電性ゴムの供給を開始する。具体的には、まず第2ゴム供給機29からの第2ゴム14の供給を一時停止し、その後、第2ゴム供給機29から第2ゴム14を供給しつつ、第2導電性ゴム供給機30から導電性ゴムを供給する。第2導電性ゴム供給機30から導電性ゴムを供給することで、基層41に巻き付けられるストリップゴム8が第2導電性ストリップゴム10となる(導電性ストリップゴム巻き付け工程)。そして、第2導電性ストリップゴム10が1周巻き付けられれば、第2ゴム供給機29からの第2ゴム14の供給を一時停止すると共に、第2導電性ゴム供給機30からの導電性ゴムの供給を停止し、その後、第2ゴム供給機29からの第2ゴム14の供給を再開し、供給するストリップゴム8を非導電性ストリップゴム11に切り替える。その後、非導電性ストリップゴム11が基層41の他端まで巻き付けられれば、ドラム18の移動方向を逆方向に変換し、基層41の他端から一端側に向かって巻き付ける。そして、非導電性ストリップゴム11が中央部分まで巻き付けられれば、前記同様にして、非導電性ストリップゴム11を第2導電性ストリップゴム10に切り替えて1周巻き付ける。このとき、先に巻き付けた第2導電性ストリップゴム10と次に巻き付ける第2導電性ストリップゴム10とが互いに重なり合い、第2導電性ゴム15同士が接触して導通するようにする。
【0045】
以下同様にして、非導電性ストリップゴム11と第2導電性ストリップゴム10とを巻き付け、複数のトレッドゴム層7からなるトレッドリング2を完成する。
【0046】
このようにして得られたトレッドゴム層7では、幅方向の中央部でのみ第2導電性ストリップゴム10がタイヤ径方向に重なり合った導通部42が形成される。第2導電性ストリップゴム10は、帯状の第2ゴム14の底面及びその隣接領域のみに第2導電性ゴム15を有する構成である。したがって、トレッドゴム層7の表面に露出する導電部42(
図2中、露出部Eで示す)は、タイヤ幅方向の中央部分の1箇所にのみ表出する、第2導電性ゴム15のうちの一方の第2被覆部15bのみとなり、露出面積を抑えて外観に優れたものとなる。なお、露出部Eはタイヤ周方向についてはトレッドゴム層7の表面を一周するように設けられている。
【0047】
また、単一の第2ゴム供給部21によって、第2ゴム14を非導電性ストリップゴム11としてそのまま巻き付ける場合と、導電性ゴムを合体させて第2導電性ストリップゴム10として巻き付ける場合のいずれにも対応できる。したがって、設備を簡素化して安価に導通部42を形成可能となる。
【0048】
なお、導電性ケース本体1の外周面にトレッドゴム層7を形成された後は、サイド部35にサイドウォールゴムを巻き付けることによりグリーンタイヤを完成する。完成したグリーンタイヤは、加硫成型機で加硫することにより
図8の子午線半断面図で示す製品タイヤとなる。
【0049】
(他の実施形態)
本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0050】
前記実施形態では、第2導電性ストリップゴム10をタイヤ径方向に1列で重なるように巻き付けることにより導通部42を形成したが、
図9に示すようにすることもできる。先に巻き付けた第2導電性ストリップゴム10(第1巻付部)に対し、次に巻き付ける第2導電性ストリップゴム10(第2巻付部)をタイヤ幅方向に半ピッチ位置をずらせて巻き付ける。さらに次に巻き付ける第2導電性ストリップゴム10(第3巻付部)を第2巻付部とは反対側に半ピッチ位置をずらせて巻き付ける。つまり、第2導電性ストリップゴム10をジグザグ状の2列となるように巻き付ける。
【0051】
これにより、先に巻き付けた第2導電性ストリップゴム10の隣接領域の第2導電性ゴム15に対して、次に巻き付ける第2導電性ストリップゴム10の底面を密着させやすくなる。つまり、基層41側の第2導電性ストリップゴム10と表層側の第2導電性ストリップゴム10との導通状態を良好なものとすることができる。
【0052】
前記実施形態では、第2導電性ストリップゴム10をタイヤ幅方向の中央部分でタイヤ径方向に重なり合うように巻き付けることにより導通部42を形成するようにしたが、この導通部は、タイヤ幅方向のいずれの位置であっても任意に形成することができる。