【解決手段】水素ガス製造装置1は、液体アンモニアを加熱してアンモニアガスを生成する気化器5と、燃料ガスを燃焼させることによって気化器5で生成されたアンモニアガスを加熱して窒素ガスと水素ガスとに分解する主熱分解器6と、主熱分解器6で分解生成された窒素ガス及び水素ガスを含む分解生成ガスを冷却する冷却器7と、冷却された分解生成ガスから水素ガスを分離する分離器8と、を備える。
前記冷却器は、前記液体アンモニアと前記第1分解生成ガスとの間で熱交換することによって、当該第1分解生成ガスを冷却する、請求項1又は2に記載の水素ガス製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の水素ガスの製造方法にあっては、高価な金属水素化物を用いる必要があるため、水素ガスを安価に製造することができないという問題がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、水素ガスを安価に製造することができる水素ガス製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の水素ガス製造装置は、液体アンモニアを加熱してアンモニアガスを生成する気化器と、燃料ガスを燃焼させることによって、前記気化器で生成されたアンモニアガスを加熱して窒素ガスと水素ガスとに分解する主熱分解器と、前記主熱分解器で分解生成された窒素ガス及び水素ガスを含む第1分解生成ガスを冷却する冷却器と、冷却された前記第1分解生成ガスから水素ガスを分離する分離器と、を備える。
【0006】
この水素ガス製造装置によれば、気化器により液体アンモニアを加熱してアンモニアガスを生成し、主熱分解器において燃料ガスを燃焼させることによってアンモニアガスを加熱して窒素ガスと水素ガスとに分解する。そして、分解生成された窒素ガス及び水素ガスを含む第1分解生成ガスを冷却器で冷却した後、分離器によって第1分解生成ガスから水素ガスを分離する。これにより、液体アンモニアから水素ガスを製造することができるので、従来の金属水素化物を用いる場合に比べて、水素ガスを安価に製造することができる。
【0007】
前記水素ガス製造装置は、前記気化器で生成されたアンモニアガスの一部を加熱して窒素ガスと水素ガスとに分解する副熱分解器と、前記副熱分解器で分解生成された窒素ガス及び水素ガスを含む第2分解生成ガスと、前記気化器で生成されたアンモニアガスの他の一部とを混合して前記燃料ガスを生成する混合器と、をさらに備え、前記主熱分解器は、前記燃焼ガスを空気と共に燃焼させることによって、前記気化器で生成されたアンモニアガスの残りを加熱するのが好ましい。
この場合、水素ガスを製造するためのアンモニアガスの一部を、主熱分解器で燃焼させる燃料ガスとして利用することができるため、燃料ガスを別途用意する必要がない。
【0008】
前記冷却器は、前記液体アンモニアと前記第1分解生成ガスとの間で熱交換することによって、当該第1分解生成ガスを冷却するのが好ましい。
この場合、水素ガスを製造するための液体アンモニアを、冷却器で第1分解生成ガスを冷却する冷却媒体として利用することができるため、冷却媒体を別途用意する必要がない。
【0009】
前記気化器は、前記冷却器で熱交換された前記液体アンモニアを加熱してアンモニアガスを生成するのが好ましい。
この場合、冷却器において第1分解生成ガスの熱によって液体アンモニアを予備加熱することができるため、気化器において液体アンモニアからアンモニアガスを効率的に生成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水素ガス製造装置によれば、水素ガスを安価に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る水素ガス製造装置の構成を示す模式図である。
図1において、本実施形態の水素ガス製造装置1は、例えば、水素ガスと酸素ガスとを化学反応させて発電する車載の燃料電池システム(図示省略)に備えられており、燃料である前記水素ガスを製造するものである。
【0013】
水素ガス製造装置1は、複数のタンク2,3,4を備えている。タンク2及び3は、液体アンモニアを貯留しており、一端が切換弁21に接続された第1流路L1及び第2流路L2の他端にそれぞれ接続されている。切換弁21には、第3流路L3がさらに接続されており、第3流路L3を第1流路L1に接続する第1切換位置と、第3流路L3を第2流路L2に接続する第2切換位置との間で切り換わるようになっている。例えば、切換弁21は、タンク2内の液体アンモニアが残り僅かとなったときに、第1切換位置から第2切換位置に切り換わり、タンク3内の液体アンモニアが残り僅かとなったときに、第2切換位置から第1切換位置に切り換わるようになっている。
【0014】
タンク4は、例えば近隣で火災等が生じた場合に、危険温度(例えば40℃)まで上昇したタンク2,3内の液体アンモニアを冷却するための冷却液を貯留している。冷却液としては例えば希塩酸水が用いられる。
タンク4には噴霧ノズル22が接続されており、この噴霧ノズル22は、後述する空気供給源11から供給される加圧空気によって、冷却液をタンク2,3に向けて噴霧するようになっている。
【0015】
水素ガス製造装置1は、気化器5、副熱分解器9、及び混合器10をさらに備えている。
気化器5は、タンク2,3から供給された液体アンモニアを加熱してアンモニアガスを生成するものである。気化器5は、内管51と、内管51の外周に設けられたヒータ52と、ヒータ52の温度を検出する温度検出センサ53とを備えている。
【0016】
内管51の一端は、液体アンモニアを内部に導入する導入口51aとされ、内管51の他端は、内管51の内部において液体アンモニアから生成されたアンモニアガスを外部に排出する排出口51bとされている。
【0017】
導入口51aには、第4流路L4の一端が接続されている。第4流路L4の他端は、後述する冷却器7を介して第3流路L3の端部に接続されている。これにより、タンク2,3内の液体アンモニアは、第3流路L3、冷却器7、及び第4流路L4を介して気化器5の内管51に導入される。なお、第4流路L4の途中には、気化器5への液体アンモニアの導入量を調整する調整弁24が設けられている。
【0018】
ヒータ52は、通電により発熱するニクロム線等の電熱線からなり、内管51の外周に沿って螺旋状に巻き付けられている。これにより、ヒータ52は、内管51内に導入された液体アンモニアを加熱する。なお、ヒータ52は、電熱線以外に、熱光線、プラズマ熱、熱風、赤外線、電磁波等のその他の熱源を利用してもよい。
【0019】
温度検出センサ53は、例えば熱電対素線からなり、ヒータ52の一部に巻き付けて取り付けられている。この温度検出センサ53によりヒータ52の温度を測定することで、ヒータ52への通電が制御されるようになっている。本実施形態では、ヒータ52の温度が100℃前後となるようにヒータ52への通電が制御される。なお、ヒータ52への通電は、燃料電池システムの稼働初期では図示しない車載バッテリを利用し、燃料電池システムの稼働初期以降では燃料電池システムの発電電力を利用する。
【0020】
気化器5の内管51の排出口51bには第5流路L5が接続されており、第5流路L5の途中から分岐する第6流路L6の端部には副熱分解器9が接続されている。これにより、気化器5から排出されたアンモニアガスの一部は、第5流路L5の途中から第6流路L6を介して副熱分解器9の内管91に導入される。
【0021】
副熱分解器9は、気化器5で生成されたアンモニアガスの一部を加熱して、下記式(1)に示すように、窒素ガス(N
2)と水素ガス(H
2)とに吸熱分解反応するものである。
2NH
3→N
2+3H
2 ・・・(1)
【0022】
副熱分解器9は、内管91と、内管91の外周に設けられたヒータ92と、ヒータ92の温度を検出する温度検出センサ93とを備えている。内管91の一端は、アンモニアガスを内部に導入する導入口91aとされ、内管91の他端は、アンモニアガスから分解生成された窒素ガス及び水素ガスを含む分解生成ガス(第2分解生成ガス)を外部に排出する排出口91bとされている。
【0023】
ヒータ92は、気化器5のヒータ52と同様に、通電により発熱するニクロム線等の電熱線からなり、内管91の外周に沿って螺旋状に巻き付けられている。これにより、ヒータ92は、内管91内に導入されたアンモニアガスを加熱する。なお、ヒータ92は、電熱線以外に、熱光線、プラズマ熱、熱風、赤外線、電磁波等のその他の熱源を利用してもよい。
【0024】
温度検出センサ93は、気化器5の温度検出センサ53と同様に、例えば熱電対素線からなり、ヒータ92の一部に巻き付けて取り付けられている。この温度検出センサ93によりヒータ92の温度を測定することで、ヒータ92への通電が制御されるようになっている。本実施形態では、ヒータ92の温度が500℃〜700℃となるようにヒータ52への通電が制御される。なお、ヒータ92への通電は、燃料電池システムの稼働初期では車載バッテリを利用し、燃料電池システムの稼働初期以降では燃料電池システムの発電電力を利用する。
【0025】
副熱分解器9の排出口91bには第7流路L7が接続されており、第7流路L7の端部には混合器10が接続されている。これにより、副熱分解器9から排出された分解生成ガスは、第7流路L7を介して混合器10に導入される。
また、気化器5から延びる第5流路L5の端部も混合器10が接続されている。これにより、気化器5の排出口51bから排出されたアンモニアガスの他の一部も、第5流路L5を介して混合器10に導入される。
【0026】
混合器10は、副熱分解器9で分解生成された分解生成ガスと、気化器5で生成されたアンモニアガスの他の一部とを混合して燃料ガスを生成するものである。
混合器10は、副熱分解器9で分解生成された分解生成ガスを導入する第1導入口10aと、気化器5で生成されたアンモニアガスを導入するための第2導入口10bと、内部で混合して生成された混合ガスを排出する排出口10cとを有している。
【0027】
第1導入口10aには第7流路L7の端部が接続され、第2導入口10bには第5流路L5の端部が接続されている。これにより、第1導入口10aから導入された分解生成ガスは、第2導入口10bから導入されたアンモニアガスと混合される。
【0028】
水素ガス製造装置1は、主熱分解器6、及び空気供給源11をさらに備えている。
主熱分解器6は、燃料ガスを燃焼させることによって、気化器5で生成されたアンモニアガスの残り(副熱分解器9及び混合器10に導入されずに残ったアンモニアガス)を加熱して、上記式(1)に示すように、窒素ガスと水素ガスとに吸熱分解反応するものである。
【0029】
主熱分解器6は、内部に燃焼室61aが形成された筒状のケース61と、ケース61内に設けられた螺旋状の内管62と、燃焼室61a内に供給された燃料ガスを点火させる点火プラグ63と、燃焼室61aの温度を検出する温度検出センサ64とを備えている。
【0030】
ケース61の長手方向の一端部には、燃料ガスを導入する第1導入口61bが形成されている。第1導入口61bには、混合器10の排出口10cから延びる第8流路L8の端部が接続されている。これにより、混合器10から排出された燃焼ガスは、第8流路L8を介してケース61の燃焼室61aに導入される。
【0031】
また、ケース61の長手方向の一端部には、空気を導入する第2導入口61cが形成されている。第2導入口61cには、空気供給源11から延びる第9流路L9の端部が接続されている。空気供給源11は、例えばエアコンプレッサからなり、第9流路L9を介してケース61の燃焼室61aに加圧空気(例えば0.2MPa〜0.3MPaに加圧された空気)を供給するようになっている。この加圧空気により、燃焼室61aにおいて燃焼ガスが燃焼し易くなる。ケース61の長手方向の他端は、燃焼ガスの燃焼後の排気ガスが排出される排出口61dとされている。
【0032】
内管62の一端は、気化器5で生成されたアンモニアガスを内部に導入する導入口62aとされており、この導入口62aは、ケース61の排出口61d側の外周において開口している。そして、導入口62aには、第5流路L5の途中部から分岐する第10流路L10の端部が接続されている。これにより、気化器5で生成されたアンモニアガスの前記残りは、第10流路L10を介して主熱分解器6の内管62に導入される。
【0033】
内管91の他端は、アンモニアガスから分解生成された窒素ガス及び水素ガスを含む分解生成ガス(第1分解生成ガス)をケース61の外部に排出する排出口62bとされている。この排出口62bは、ケース61の長手方向の中間部の外周において開口している。
【0034】
点火プラグ63は、ケース61の外周において、内管91の排出口62bと、空気を導入する第2導入口61cとの間に設けられている。点火プラグ63は、燃焼室61aで火花を発生させることにより、燃焼室61aで燃焼ガスを燃焼させることができる。
【0035】
温度検出センサ64は、気化器5の温度検出センサ53と同様に、例えば熱電対素線からなり、内管62の一部に巻き付けて取り付けられている。この温度検出センサ64により燃焼室61aの温度を測定することで、燃焼室61aの温度が500℃〜900℃となるように、燃焼ガスや加圧空気の導入量などが制御されるようになっている。
【0036】
第5流路L5の途中、及び第10流路L10の途中には、混合器10及び主熱分解器6へのアンモニアガスの導入量を調整する調整弁25,26がそれぞれ設けられている。また、第6流路L6の途中には、副熱分解器9へのアンモニアガスの導入量を調整する調整弁27が設けられている。本実施形態では、混合器10及び副熱分解器9それぞれには少量のアンモニアガスが導入されるとともに、主熱分解器6には多量のアンモニアガスが導入されるように、調整弁25〜27がそれぞれ制御される。
【0037】
以上より、主熱分解器6では、混合器10から燃焼室61aに導入された燃料ガスが、空気供給源11から燃焼室61aに導入された空気と共に燃焼することで、内管91の導入口62aからその内部に導入された多量のアンモニアガスが効率的に加熱され、多量の窒素ガスと水素ガスとに吸熱分解する。そして、このように分解生成された多量の窒素ガス及び水素ガスを含む分解生成ガスは、内管62の排出口62bから外部に排出される。
【0038】
水素ガス製造装置1は、冷却器7、及び分離器8をさらに備えている。
冷却器7は、主熱分解器6の内管91の排出口62bから延びる第11流路L11の端部に接続されており、主熱分解器6で分解生成された分解生成ガスを冷却するものである。本実施形態の冷却器7は、気化器5に導入される前の液体アンモニアと、主熱分解器6で分解生成された分解生成ガスとの間で熱交換することによって、当該分解生成ガスを冷却するようになっている。
【0039】
冷却器7は、筒状のケース71と、ケース71内に設けられた螺旋状の内管72とを備えている。
内管72の一端は、気化器5に導入される前の液体アンモニアを内部に導入する導入口72aとされており、この導入口72aは、ケース71の長手方向の一端側の外周において開口している。そして、導入口72aには、切換弁21から延びる第3流路L3の端部が接続されている。これにより、冷却器7の内管72には、タンク2,3から切換弁21及び第3流路L3を介して、低温(例えば−50℃)の液体アンモニアが導入される。なお、第3流路L3の途中部には、内管72へのアンモニアガスの導入量を調整する調整弁23が設けられている。
【0040】
内管72の他端は、その内部で熱交換された液体アンモニアを外部に排出する排出口72bとされており、この排出口72bは、ケース71の長手方向の他端側の外周において開口している。そして、排出口72bには、気化器5から延びる第4流路L4の端部が接続されている。これにより、冷却器7の内管72において熱交換された液体アンモニアは、排出口72bから第4流路L4を介して気化器5の内管51に導入される。従って、本実施形態の気化器5は、冷却器7で熱交換された液体アンモニアを加熱してアンモニアガスを生成する。
【0041】
ケース71の前記他端側の端面には、主熱分解器6で分解生成された高温(500℃〜900℃)の分解生成ガスをケース71内に導入する導入口71aが形成されている。ケース71の前記一端側の端面には、ケース71内において熱交換された分解生成ガスを外部に排出する排出口71bが形成されている。
【0042】
以上の構成により、冷却器7のケース71内において、導入口71aから排出口71bに向かって高温の分解生成ガスが通過するときに、その高温の分解生成ガスと内管51に導入された低温の液体アンモニアとの間で熱交換が行われる。すなわち、高温の分解生成ガスは、低温の液体アンモニアによって冷却され、低温のアンモニアガスは、高温の分解生成ガスによって所定温度まで予備加熱される。本実施形態では、高温の分解生成ガスは、低温の液体アンモニアによって約50℃まで冷却される。
【0043】
分離器8は、冷却器7で冷却された分解生成ガスから水素ガスを分離するものである。本実施形態の分離器8は、その内部に設けられた中空糸ガス分離膜(図示省略)によって、窒素ガス及び水素ガスを含む分解生成ガスから、水素ガスのみを分離する。
分離器8は、冷却器7で冷却された分解生成ガスを導入する導入口8aと、分解生成ガスから分離した水素ガスを排出する第1排出口8bと、水素ガス以外の分解生成ガス(窒素ガス)を排出する第2排出口8cとを有している。
【0044】
以上、本実施形態の水素ガス製造装置1によれば、気化器5により液体アンモニアを加熱してアンモニアガスを生成し、主熱分解器6において燃料ガスを燃焼させることによってアンモニアガスを加熱して窒素ガスと水素ガスとに分解する。そして、分解生成された窒素ガス及び水素ガスを含む分解生成ガスを冷却器7で冷却した後、分離器8によって分解生成ガスから水素ガスを分離する。これにより、液体アンモニアから水素ガスを製造することができるので、従来の金属水素化物を用いる場合に比べて、水素ガスを安価に製造することができる。
【0045】
また、気化器5で生成されたアンモニアガスの一部を副熱分解器9で加熱して窒素ガスと水素ガスとに分解し、その窒素ガス及び水素ガスを含む分解生成ガスと、気化器5で生成されたアンモニアガスの他の一部とを混合器10で混合して燃焼ガスを生成する。これにより、水素ガスを製造するためのアンモニアガスの一部を、主熱分解器6で燃焼させる燃料ガスとして利用することができるため、燃料ガスを別途用意する必要がない。
【0046】
また、冷却器7は、気化器5に導入する前の低温の液体アンモニアと、主熱分解器6で分解生成された高温の分解生成ガスとの間で熱交換することによって、当該解生成ガスを冷却する。これにより、水素ガスを製造するための液体アンモニアを、冷却器7で分解生成ガスを冷却する冷却媒体として利用することができるため、冷却媒体を別途用意する必要がない。
【0047】
また、気化器5は、冷却器7で熱交換された液体アンモニアを加熱してアンモニアガスを生成するので、冷却器7において高温の分解生成ガスの熱によって液体アンモニアを予備加熱することができるため、気化器5において液体アンモニアからアンモニアガスを効率的に生成することができる。
【0048】
上記実施形態では、水素ガスを製造するためのアンモニアガスの一部を、主熱分解器6で燃焼させる燃料ガスとして利用しているが、別途、アンモニアガス等の燃焼ガスを用意してもよい。また、上記実施形態の気化器5は、冷却器7で熱交換された液体アンモニアを加熱してアンモニアガスを生成しているが、タンク2,3から気化器5に直接、液体アンモニアを導入・加熱してアンモニアガスを生成してもよい。また、上記実施形態では、水素ガスを製造するための液体アンモニアを、冷却器7で分解生成ガスを冷却する冷却媒体として利用しているが、冷却器7の冷却媒体を別途用意してもよい。
【0049】
本発明の水素ガス製造装置は、燃料電池システムの燃料となる水素ガスの製造以外に、水素エンジンの燃料となる水素ガスの製造など、他の用途に用いられる水素ガスの製造にも適用することができる。
なお、本発明の水素ガス製造装置で製造した水素ガスを、純水素ガス(市販の水素ガス及び水素リッチガスを含む)と共に、レシプロエンジン(デイーゼルエンジンを含む)からなる水素エンジンの燃料として使用する際には、ごく希にバックファイアが発生することがある。このため、水素エンジン(レシプロエンジン)を点火する場合には、始動時や終了時においてエンジンの回転数が0〜400rpmの間は、燃料を供給せずにセルモータにて始動及び終了作動すればバックファイアを防ぐことができる。
【0050】
また、燃料供給を停止させずにバックファイアを防ぐには、エンジンの危険回転数において、点火位置を上死点よりも5〜20度程度低くなるように調整することで、バックファイアを防ぐことができる。
さらに、回転数を0〜400rpm以上の高速稼働(通常稼働)に移行して、燃費向上を図るときには、点火位置を上死点よりもやや高めに5〜10度程度高くすれば良い。但し、エンジン停止に向かう時には燃料バルブを閉止し、エンジンが危険回転数になったときに再度、点火位置を低くすれば良い。
【0051】
上述の実施形態はすべて例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は特許請求の範囲によって規定され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更は本発明の技術的範囲に含まれる。