【実施例】
【0039】
〔実施例1〜3、比較例1〜4〕
表1に示す(B)成分および(C)成分を混合し、その混合物を60〜80℃に加熱して溶解し、次いで前記溶解した60〜80℃の範囲内の温度に加熱した(B)(C)成分以外の成分からなる水相に液状の前記混合物を投入し、攪拌機(東京理化器械社製:マゼラNZ−1100)を用いて回転数100〜500rpmで撹拌しながら冷却することで、平均粒子径が約0.8mmの油性スクラブ粒子を均一に分散させた化粧水を調製した。
得られた化粧水について、以下の評価方法で製造直後及び振動試験後の製品美観並びに使用感を判定した。
【0040】
〔評価方法〕(製品美観-製造直後)
製造直後の化粧水を透明容器(竹本容器社製:OPT−100)に充填して静置し、油滴の粒径や形、色などを目視にて観察した。
【0041】
[判定]
◎:大変優れた製品美観を有する。(油滴の粒径や形が適切かつ均一で、適切に分散している)
○:優れた製品美観を有する。(油滴の粒径や形にわずかにばらつきがある)
△:好ましくない製品美観を有する。(油滴の粒径や形が不適切であり、分散できていない油相が残存している)
×:大変好ましくない製品美観を有する。(油相が分散していない)
【0042】
〔評価方法〕(製品美観-振動試験後)
得られた化粧水を透明容器に充填し、油滴の粒径や形、色などを目視にて観察した後、容器を振動させ、振動後の油滴の粒径や形、色などを目視で比較観察した。容器の振動は、温度23〜27℃、湿度40〜60%環境下において、容器を180度転倒後に元に戻す操作を30回繰り返すことにより行なった。
【0043】
[判定]
◎:振動後も製品美観が全く損なわれない。(振動後も製品外観が変化しない)
○:振動後も製品美観がほとんど損なわれない。(振動により油滴が若干小さくなったり、水相が若干白濁する)
△:振動後は製品外観が損なわれる。(振動により油滴が非常に小さくなり、水相が白濁する)
×:振動後は製品外観を完全に損なわれる。(振動により油滴が見えなくなり、均一で白濁な外観となる)
【0044】
〔評価方法〕(使用感)
評価パネル20名(20歳代〜40歳代の成人男女各10名)により、皮膚に塗布した際の使用感(べたつき感など)を下記基準にて5段階評価し、さらにその平均点から判定した。
【0045】
[評価]
5点:非常に良い。
4点:良い。
3点:普通。
2点:悪い。
1点:非常に悪い。
【0046】
[判定]
◎:平均点4点以上
○:平均点3点以上4点未満
△:平均点2点以上3点未満
×:平均点2点未満
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示される結果からも明らかなように、実施例1、2では、液状油性物質(B)として炭化水素油を用いているため、優れた製品美観および使用感を有する化粧水が得られた。
【0049】
一方、比較例1、2では、液状油性物質(B’)としてエステル油や脂肪酸を用いており、そのために粒子が崩れやすくなり、撹拌工程により粒子が必要以上に微細化された化粧水が得られた。これらは、振動試験により、粒子がさらに微細化されたため、製品美観を保つことができなかった。
【0050】
また、比較例3は、液状油性物質(B’)としてシリコーン油を用いており、固形油性物質(C)との相溶性が悪かったため、製造工程中に液状油性物質(B’)と固形油性物質(C)が分離し、均一な球状の油性スクラブ粒子を形成することができなかった。また、得られた化粧水を透明容器に充填すると、シリコーン油は容器壁面に付着し、使用に際してシリコーン油を容器から取り出すことが困難であった。
【0051】
また、比較例4は、実施例1と比較例1の中間の組成により得られた化粧水であり、比較例1と同様に粒子が微細化されやすく、優れた製品美観を有していなかった。
比較例4から液状油性物質(B)中の炭化水素油比率をさらに高めた実施例3の化粧水は、粒子がある程度微細化され難くなり、振動試験で製品仕様が損なわれなかった。
【0052】
〔実施例4〜5、比較例5〜9〕
表2に示す組成の成分を用いること以外は、実施例1と全く同様にして化粧水を調製し、前記及び以下に記載する評価方法を用いて、製造直後及び振動試験後の製品美観、使用感並びに平均粒子径について判定した。また、製造直後の実施例4、実施例5、比較例6、及び比較例7の製品美観については、それぞれ化粧水を充填した透明容器の写真を
図1または
図2に示した。
【0053】
〔評価方法〕(平均粒子径)
得られた化粧料をマイクロスコープ(VHX-6000(株式会社キーエンス製))で観察し、得られた画像を内蔵システム(メイン計測システム)にて処理することにより平均粒子径を算出した。
【0054】
【表2】
【0055】
表2に示される結果からも明らかなように、実施例4の化粧水は、固形油性物質(C)として炭素数22のベヘニルアルコールを用いており、優れた製品美観及び使用感を有していた。すなわち、
図1の写真の左側に示される透明容器に充填された実施例4の化粧水は、油滴が適切な大きさで均一に分散し、外水相も透明で美しい美観を呈していた。
【0056】
一方、比較例5の化粧水は、固形油性物質(C’)としてロウ類を用いたものであり、粒子にロウ類特有の粘りが付与され、製造工程中や振動試験において粒子同士が接着して製品美観が損なわれ、また使用感においてもべたつきが非常に強く認められた。
【0057】
また、比較例6−8では、固形油性物質(C’)として、それぞれ脂肪酸、エステル油、親水性界面活性剤を単独で用いたところ、炭素数14以上の高級アルコールが所定量含まれていないため、粒子が崩れやすくなり、製造工程や振動試験において粒子が微細化されやすく、所期した粒径の油性スクラブ粒子が分散せず、製品美観の好ましい化粧水は得られなかった。
【0058】
図2の写真に示される透明容器に充填された比較例6(同写真左側)及び比較例7(同写真右側)の化粧水は、油性スクラブの粒子径が小さすぎ、また粒子径が小さくなり過ぎた影響で化粧水全体が白濁し、製品美観が損なわれていた。
また、比較例9は、実施例4と比較例6の中間の組成により得られた化粧水であるが、比較例6と同様に粒子が微細化されやすいものであり、透明性のある所期した製品美観を呈しなかった。
【0059】
また、実施例5は、比較例9から固形油性物質(C)の含有する炭素数14以上の高級アルコール比率を高めたものであり、粒子がある程度微細化され難く、振動試験でも製品美観の損なわれない化粧水であった。すなわち、
図1の写真の右側に示される透明容器に充填された実施例5の化粧水は、油滴が適切な大きさで均一に分散し、外水相も透明で美しい美観を呈していた。
【0060】
〔実施例6〜10、比較例10〜11〕
表3に示す組成の成分を用いること以外は、実施例1と全く同様にして化粧水を調製し、前記した評価方法を用いて、製造直後及び振動試験後の製品美観並びに使用感について判定した。
【0061】
【表3】
【0062】
表3に示される結果からも明らかなように、実施例7−9は、液状油性物質(B)と固形油性物質(C)の質量比が、1:(0.10〜5.0)の範囲内の混合物からなる油性スクラブ粒子が分散し、優れた製品美観及び使用感を有する化粧水が得られた。
【0063】
また、上記質量比が1:0.05となる実施例6の化粧水では、固形油の硬さが粒子に付与されにくいために振動試験により粒子が僅かに微細化されたが、使用感に問題はなかった。
また、実施例6からさらに固形油性物質比率を下げた比較例10では、振動試験での粒子微細化が顕著となり、製品美観を保つことができなくなった。
【0064】
上記質量比が1:10となる実施例10の化粧水は、油性スクラブ粒子の融点が高くなり、塗布時に溶解するまでに時間が長くなったが、使用に耐えるものであった。
実施例10からさらに固形油性物質(C)の比率を上げた比較例11は、使用時に粒子が溶解せず使用感が損なわれ、また通常の製造温度では撹拌分散工程中に油性スクラブ粒子が一部固化してしまい、好ましくない美観を呈する化粧水となった。
【0065】
〔実施例1、11〜14、比較例12〜13〕
表4に示す組成の成分を用いること以外は、実施例1と全く同様にして化粧水を調製し、前記した評価方法を用いて、製造直後及び振動試験後の製品美観並びに使用感について判定した。なお、参考のために実施例1も同表中に併記した。
【0066】
【表4】
【0067】
表4に示される結果からも明らかなように、油性スクラブ粒子の含有量として[(B)+(C)]が化粧料100質量%中に0.5〜1.0質量%配合された実施例12、13、実施例1の化粧水は、優れた製品美観及び使用感を有していた。
【0068】
油性スクラブ粒子の配合割合を0.3質量%とした実施例11の化粧水は、油性物質によるべたつき感が僅かに弱い使用感であった。
油性スクラブ粒子の配合割合が実施例11より少ない比較例12は、油性物質によるべたつき感がほとんど感じられず、あまり好ましくない使用感であった。
【0069】
油性スクラブ粒子の配合割合が5.0質量%の実施例14は、油性物質によるべたつき感が適度にある使用感であり、また化粧水中の油滴の密度が高くなり、製品美観も良い化粧水であった。
油性スクラブ粒子の配合割合を実施例14より増加させた比較例13は、油性物質によるべたつき感が強くなり過ぎて使用感が損なわれ、また適切に油滴を分散させることができなかった。
【0070】
〔実施例15〜16〕
実施例15は、表5に示す成分を用いたこと以外は実施例1と全く同様にして化粧水を調製し、実施例16は、表5に示す成分を用いたこと及び高速攪拌機として薄膜旋回型高速ミキサー(プライミクス社製:フィルミックス)を用いて周速0.5〜1.0m/s、攪拌機内の滞留時間20〜30秒の製造条件としたこと以外は実施例1と全く同様にして、各実施例についてサンプル数9個(ロット単位3個の3ロット)の化粧水を調製した。
【0071】
そして、前記および以下に記載する評価方法を用いて、製造直後及び振動試験後の製品美観、使用感を調べ、実施例4と同様にして平均粒子径、並びに以下の評価方法で粒子径のばらつきを評価し判定した。また、実施例15、16の化粧水中の油性スクラブ粒子の形態を示す顕微鏡写真を
図3、
図4に示した。
【0072】
〔評価方法〕(粒子径のばらつき)
同一組成で3ロット製造して得られたた化粧水をマイクロスコープ(キーエンス社製:VHX-6000)で観察し、得られた画像を内蔵システム(メイン計測システム)にて処理することにより平均粒子径およびそのばらつきとして標準偏差を算出した。さらに、評価パネル20名(20歳代〜40歳代の成人男女各10名)により、皮膚に塗布した際の使用感(べたつき感など)を評価することで、ロット間のばらつきを判定した。
【0073】
[判定]
◎:ロット間で粒子径および使用感のばらつきがほとんどない。
○:ロット間で粒子径のばらつきがわずかにあるが、使用感への影響はほとんどない。
△:ロット間で粒子径のばらつきが大きく、使用感にも影響する。
×:ロット間で粒子径のばらつきが非常に大きく、使用感も異なる。
【0074】
【表5】
【0075】
表5に示される結果からも明らかなように、攪拌工程で、薄膜旋回型高速ミキサーを使用しない実施例15の化粧水は、平均粒子径は0.46mm、粒子径のばらつき(標準偏差は約0.18mm)はわずかであった。また実施例15の化粧水は、
図3の顕微鏡写真からも明らかなように、粒子径のばらつきが大きく、また小さくいびつな形状の粒子が形成されていた。
【0076】
薄膜旋回型高速ミキサーを使用した実施例16の化粧水は、平均粒子径が0.47mm、粒子径のばらつき(標準偏差は約0.13mm)は殆どなかった。また実施例16の化粧水は、
図4の顕微鏡写真からも明らかなように、粒子径のばらつきが比較的小さく、いびつな形状の粒子の形成は見られなかった。
この発明の実施形態と同様に製造可能な各種化粧料の処方例(組成)を以下の表6にまとめて示した。
【0077】
【表6】