【解決手段】キャリアピン44がピンホルダ45を介して第1キャリア41および第2キャリア42に保持される。これにより、キャリアピン44を保持するために必要な機能をピンホルダ45に分担させることができ、第1キャリア41および第2キャリア42の材質の選択自由度を向上させることができる。
前記ピンホルダは、前記筒状部の外周面から突出するか又は前記筒状部の外径よりも大径に形成された規制部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のキャリアユニット。
請求項1〜3のいずれか1項に記載のキャリアユニットと、前記曲線板と、前記曲線板の歯形部と係合する内歯車部材と、を備えることを特徴とするサイクロイド減速機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サイクロイド減速機においては、ピン孔の周囲と、キャリアピンと、のうち少なくとも一方を回転可能とすることで駆動時の抵抗を低減することが望まれている。キャリアピンを回転可能とする構成として、特許文献1に記載されたように軸受を設ける構成以外にも、キャリアに円筒状の孔を形成し、円柱状のキャリアピンを挿通するとともに、キャリアピンの外径を孔の内径よりも若干小さくする構成が考えられる。即ち、このような構成では、キャリアによってキャリアピンが回転可能に保持される。
【0006】
このようにキャリアによってキャリアピンを保持する構成では、安定した保持構造を実現するために、強度や硬度が高い材質によってキャリアを構成することが望まれていた。従って、キャリアの材質の選択自由度が低く、例えばキャリアを軽量化したり、加工容易性を向上させたりするといった目的で材質を選択することが困難であった。
【0007】
本発明の目的は、キャリアの材質の選択自由度を向上させることができるキャリアユニット、及び、該キャリアユニットを備えたサイクロイド減速機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明のキャリアユニットは、サイクロイド減速機において曲線板の自転に伴い回転するキャリアユニットであって、出力軸に接続されるとともにホルダ孔が形成されたキャリアと、前記曲線板のピン孔に挿通されるキャリアピンと、前記キャリアピンを前記キャリアに保持させるためのピンホルダと、を備え、前記ピンホルダは、前記キャリアピンを保持するとともに前記ホルダ孔に圧入される筒状部を有することを特徴とする。
【0009】
また、本願発明のサイクロイド減速機は、前記キャリアユニットと、前記曲線板と、前記曲線板の歯形部と係合する内歯車部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このような本願発明のキャリアユニットによれば、キャリアピンがピンホルダを介してキャリアに保持されることで、キャリアピンを保持するために必要な機能をピンホルダに分担させることができ、キャリアの材質の選択自由度を向上させることができる。例えば、ピンホルダを、キャリアピンを安定して回転可能に保持可能な材質(強度や硬度が高い材質)によって構成するとともに、キャリアを、樹脂等の材質によって構成して軽量化することができる。
【0011】
尚、曲線板のピン孔およびキャリアのホルダ孔は、貫通孔であってもよいし、非貫通な穴(凹部)であってもよい。
【0012】
また、本願発明のサイクロイド減速機によれば、キャリアの材質の選択自由度が高いことで、減速機としての性能(例えば効率や耐久性)を向上させるやすくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態のサイクロイド減速機1は、
図1〜3に示すように、曲線板2と、内歯車部材3と、キャリアユニット4と、ハウジング5と、を備える。本実施形態では、サイクロイド減速機1の入出力の回転の軸方向をX方向とし、X方向との直交平面内において互いに直交する2方向をY方向およびZ方向とする。
【0015】
曲線板2は、例えば高炭素クロム軸受鋼等の金属部材によってYZ平面に沿った板状に形成され、
図4に示すように、外周面に形成された歯形部21と、中央部に形成された開口部22と、開口部22の周囲に形成された複数のピン孔23と、隣り合うピン孔23同士の間に形成された連結孔24と、を有する。
【0016】
開口部22には2つのベアリング61が設けられ、ベアリング61の内側には偏心軸7が設けられる。偏心軸7には、曲線板2の中心軸O1から偏心した位置に入力軸が接続される。偏心軸7と曲線板2との間にベアリング61が設けられていることで、曲線板2に対して偏心軸7が回転可能となっている。偏心軸7に対する入力軸の接続位置は、内歯車部材3の中心に位置する。
【0017】
内歯車部材3は、複数の外ピン(回転部材)31と、外ピン31を保持する保持部材32と、を有する。外ピン31の数は、曲線板2の歯形部21の凸部の数よりも多い。歯形部21の凸部が外ピン31の間に入り込むことにより、内歯車部材3は複数の外ピン31によって歯形部21と係合する。即ち、外ピン31は内歯として機能する。外ピン31は、例えば高炭素クロム軸受鋼等の金属部材によって構成され、円筒状の外周面311を有する。尚、外ピン31は、全体が円柱状(中実状)であってもよいし、円筒状(中空状)であってもよい。
【0018】
保持部材32は、例えば高炭素クロム軸受鋼等の金属部材によって円環状に構成され、ハウジング5の後述する第1ハウジング部51と第2ハウジング部52とによってX方向から挟み込まれることにより、サイクロイド減速機1の外郭の一部を構成する。保持部材32の内周面には、外ピン31と同数のピン保持部321が形成されている。
【0019】
ピン保持部321は、保持部材32の内周面側において開口した筒状に形成されており、X方向から見て円弧状となっている。外ピン31は、ピン保持部321によって、X方向に沿った回転軸を中心に回転可能に保持される。尚、本実施形態においては、ピン31が回転可能に保持されているものとするが、ピン31はピン保持部321内に固定されたものであってもよい。
【0020】
キャリアユニット4は、キャリアとして、X方向における両側から曲線板2を挟み込む第1キャリア41および第2キャリア42を有し、第2キャリア42が出力軸に接続される。さらに、キャリアユニット4は、第1キャリア41と第2キャリア42とを連結する複数の連結部材43と、開口部2の複数のピン孔23のそれぞれに挿通されるキャリアピン44と、を有する。また、後述するように第1キャリア41および第2キャリア42に保持されるキャリアピン44が、開口部2の複数のピン孔23のそれぞれに挿通される。
【0021】
第1キャリア41は、例えば鋼材によって円環状に構成され、中央の開口部にベアリング62が設けられている。ベアリング62の内側には、偏心軸7が設けられている。第1キャリア41には、中央の開口部の周囲に、後述するピンホルダ45が圧入される複数のホルダ孔411が形成されるとともに、隣り合うホルダ孔411同士の間に連結孔412が形成されている。
【0022】
第2キャリア42は、例えば鋼材によって円環状に構成され、中央の開口部にベアリング63が設けられている。ベアリング63の内側には、偏心軸7が設けられている。第2キャリア42には、中央の開口部の周囲に、後述するピンホルダ45が圧入される複数のホルダ孔421が形成されるとともに、隣り合うホルダ孔421同士の間に連結孔422が形成されている。
【0023】
ベアリング62は、外ピン31の一端に対し、YZ平面上において内側に配置され、ベアリング63は、外ピン31の他端に対し、YZ平面上において内側に配置されている。
【0024】
図5、6に拡大して示すように、第1キャリア41の外周面には、小径部414Aと大径部414Bとこれらの間の段差部414Cとが形成されている。小径部414Aは、円筒状に形成されて複数の外ピン31の全てと同時に当接することにより、当接面として機能する。即ち、X方向から見て、複数の外ピン31の最内部を仮想的に結ぶ円と、小径部414Aと、が略一致する。これにより、外ピン31によって第1キャリア41が案内されるようになっている。
【0025】
大径部414Bは、小径部414Aよりも大径な円筒状に形成されている。段差部414Cは、YZ平面に沿うとともに曲線板2側を向いた面であり、X方向において外ピン31の一端に当接可能となっている。即ち、段差部414Cによって外ピン31がX方向の一方側(図中右側)に移動することが規制されるようになっている。
【0026】
第2キャリア42の外周面には、小径部424Aと大径部424Bとこれらの間の段差部424Cとが形成されている。小径部424Aは、円筒状に形成されて複数の外ピン31の全てと同時に当接することにより、当接面として機能する。即ち、X方向から見て、複数の外ピン31の最内部を仮想的に結ぶ円と、小径部424Aと、が略一致する。これにより、外ピン31によって第2キャリア42が案内されるようになっている。
【0027】
大径部424Bは、小径部424Aよりも大径な円筒状に形成されている。段差部424Cは、YZ平面に沿うとともに曲線板2側を向いた面であり、X方向において外ピン31の他端に当接可能となっている。即ち、段差部424Cによって外ピン31がX方向の他方側(図中左側)に移動することが規制されるようになっている。
【0028】
このように、キャリアユニット4は、当接面としての小径部414A、424Aを有することにより、外ピン31によって案内されてX方向を軸方向として回転するようになっている。また、段差部414C、424Cが、X方向の両側から外ピン31を挟み込む一対の挟持部として機能する。
【0029】
連結孔412、422に連結部材43が圧入されることにより、第1キャリア41と第2キャリア42とが連結される。第1キャリア41と第2キャリア42との間において、連結部材43の外周にはスリーブ状のスペーサ431が設けられており、X方向における第1キャリア41と第2キャリア42との間隔が所定値に保たれるようになっている。また、連結部材43は曲線板2の連結孔24に挿通されており、曲線板2が公転した際にスペーサ431が連結孔24の内周面に接触しないようになっている。周方向に隣り合う連結部材43は、連結孔24に対する挿通の向きが互いに反対となっている。
【0030】
キャリアピン44の両端は、ピンホルダ45を介して第1キャリア41および第2キャリア42に保持されるとともに、曲線板2のピン孔23に挿通される。ピンホルダ45は、筒状部451と底板部452とを有して有底筒状に形成され、底板部452が延長されて鍔部453が形成されている。第1キャリア41および第2キャリア42のホルダ孔411、421に対し、曲線板2と反対側からピンホルダ45が圧入され、鍔部453によって過挿入が規制される。即ち、鍔部453は、筒状部451の外径よりも大径に形成された規制部として機能する。
【0031】
筒状部451の内径は、キャリアピン44の外径よりも若干大きく形成されており、筒状部451によってキャリアピン44が回転可能に保持される。また、キャリアピン44は、X方向において、2つのピンホルダ45の底板部452の間に位置している。
【0032】
ハウジング5は、第1ハウジング部51と第2ハウジング部52とを有し、サイクロイド減速機1の外郭を構成する。第1ハウジング部51と第1キャリア41との間には、Oリング81が設けられ、第2ハウジング部52と第2キャリア42との間には、Oリング82が設けられている。また、第1ハウジング部51と外ピン31の一端との間には、Oリング83が設けられ、第2ハウジング部52と外ピン31の他端との間には、Oリング84が設けられている。尚、これらのOリング81〜84は、要求される性能(例えば気密性や摺動性、緩衝性等)に応じて適宜に省略されてもよい。
【0033】
ここで、サイクロイド減速機1の動作について説明する。偏心軸7に対して中心軸O1から偏心した位置に入力軸が接続されていることで、入力軸が回転した際、曲線板2は入力軸を中心として公転する(即ち、円周軌道に沿って移動する)。公転する曲線板2は、歯形部21が接近した外ピン31と係合することにより、中心軸O1を中心に、入力軸の回転方向とは逆方向に自転する。このとき、曲線板2のピン孔23の内周面とキャリアピン44とが当接することにより、曲線板2の自転がキャリアユニット4に伝達されるようになっている。
【0034】
このとき、曲線板2の公転が許容されるようにキャリアピン44の外径とピン孔23の内径とが設定される。即ち、曲線板2を基準として見たときに、キャリアピン44がピン孔23内で公転するようになっている。具体的には、
図4に示すように曲線板2が公転軌道上において最もZ方向一方側(図中上側)に位置している場合には、キャリアピン44は、ピン孔23の内周面のうち最もZ方向他方側(図中下側)の部分に当接する。このような状態から、曲線板2が図中時計回りに回転した場合、ピン孔23の内周面に対するキャリアピン44の当接位置は、図中左側に移動していく。このように、キャリアピン44がピン孔23の内周面に対して当接しつつ、当接位置が変化する。
【0035】
尚、ピン孔23には、
図5、7に示すようにOリング85が設けられていてもよい。図示の例では、ピン孔23の内周面に、X方向に並んだ2つの溝部231が形成されており、溝部231内にOリング85が配置されている。これにより、上記のようにピン孔23の内周面に対するキャリアピン44の当接位置が変化する際、キャリアピン44がまずOリング85に接触し、Oリング85が圧縮されることにより、キャリアピン44がピン孔23の内周面に当接する。このように、ピン孔23の内周面に緩衝部材としてのOリング85を設けることにより、キャリアピン44とピン孔23の内周面とが接触する際に生じる騒音を抑制することができる。
【0036】
このとき、Oリング85の外径が溝部231の内径よりも若干小さく形成され、Oリング85が溝部231内で回転可能であることが好ましい。このような構成においては、上記のようにキャリアピン44がOリング85に当接することにより、Oリング85がキャリアピン44に従動して回転する。従って、溝部231内において、グリス等の潤滑剤がOリング85によって移動し、潤滑剤の偏在を抑制することができる。
【0037】
ここで、サイクロイド減速機1を構成する各部材の材質について具体的に例示する。曲線板2は、例えば高炭素クロム軸受鋼鋼材によって構成されており、第1キャリア41および第2キャリア42は、例えばアルミニウム合金によって構成されており、キャリアピン44は、例えば高炭素クロム軸受鋼鋼材によって構成されており、ピンホルダ45は、例えば高炭素クロム軸受鋼鋼材によって構成されている。
【0038】
このとき、ピンホルダ45は、キャリアピン44と同等かそれよりも硬質であることが好ましく、第1キャリア41および第2キャリア42よりも硬質であることが好ましい。
【0039】
このような第1キャリア41および第2キャリア42に対しては、例えばドリル等を用いた加工によってホルダ孔411、421を形成すればよい。また、このようなピンホルダ45に対しては、例えば旋盤加工によって筒状部451を形成すればよい。
【0040】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。即ち、キャリアピン44がピンホルダ45を介して第1キャリア41および第2キャリア42に保持されることで、キャリアピン44を保持するために必要な機能をピンホルダ45に分担させることができ、第1キャリア41および第2キャリア42の材質の選択自由度を向上させることができる。尚、第1キャリアや第2キャリアの材質は金属に限られず、例えば、ピンホルダ45の材質として高炭素クロム軸受鋼を用いながら、第1キャリアや第2キャリアの材質として樹脂を用いることも可能である。このように、ピンホルダ45の材質と比較して比重の低い材料を用いて第1キャリアや第2キャリアを構成すれば、キャリア全体を比重の高い材料によって構成する必要がなく、軽量化が可能となる。
【0041】
さらに、キャリアピン44がピンホルダ45を介して第1キャリア41および第2キャリア42に保持されることで、第1キャリア41および第2キャリア42についてはホルダ孔411、421の形成位置の精度を確保し、ピンホルダ45については筒状部451の孔の精度を確保することができる。即ち、ホルダ孔411、421は、ピンホルダ45の筒状部451が圧入可能な程度の精度を有していればよく、キャリアピン44を保持するための孔と比較して、求められる精度が低い。一方、ピンホルダ45は、筒状部451の形成位置について精度を確保する必要がない。
【0042】
このように、ピンホルダ45を設けることにより、キャリアピン44の保持位置の精度については第1キャリア41および第2キャリア42に分担させ、キャリアピン44をスムーズに回転させるための孔の精度についてはピンホルダ45に分担させることができる。従って、キャリアピン44の保持位置の精度を確保しつつ、キャリアピン44をスムーズに回転させることができる。
【0043】
また、ピンホルダ45が底板部452を有して有底筒状に形成されていることで、ピンホルダ45からキャリアピン44が脱落してしまうことを抑制することができる。さらに、キャリアピン44がX方向において2枚の底板部452の間に配置されていることで、キャリアピン44の脱落をさらに抑制することができる。
【0044】
また、ピンホルダ45が規制部としての鍔部453を有することで、第1キャリア41および第2キャリア42に対するピンホルダ45の過挿入を抑制することができる。
【0045】
また、キャリアピン44の両端が、ピンホルダ45を介して第1キャリア41および第2キャリア42に保持されることで、キャリアピン44が回転する際のガタツキを抑制することができる。
【0046】
また、サイクロイド減速機1が、材質の選択自由度が高い第1キャリア41および第2キャリア42を備えることで、減速機としての性能(例えば効率や耐久性)を向上させやすくすることができる。
【0047】
また、サイクロイド減速機1が、キャリアピン44の保持位置の精度を確保しつつ、キャリアピン44をスムーズに回転させることができるキャリアユニット4を備えることで、曲線板2との間において損失が生じにくい。従って、減速機としての効率の低下を抑制することができる。
【0048】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0049】
例えば、前記実施形態では、外ピン31によって第1キャリア41および第2キャリア42が案内されるものとしたが、第1キャリア41および第2キャリア42を案内するための軸受を別途設けてもよい。
【0050】
即ち、
図8に示すように、第1キャリア41および第2キャリア42の外側且つハウジング5Bの内側にベアリング64を配置した構成としてもよい。
図8に示す構成では、ベアリング64によって第1キャリア41および第2キャリア42が案内されるようになっている。このとき、曲線板2の歯形部21は、前記実施形態と同様に回転可能な外ピン31と係合してもよいし、回転不能な外ピンと係合してもよい。
【0051】
また、前記実施形態では、ピンホルダ45が有底筒状に形成されているものとしたが、ピンホルダは、両端が開口した筒状に形成されていてもよい。このとき、キャリアピンの脱落抑制機構が設けられていることが好ましい。例えば、キャリアピンの外周面に溝部を形成するとともに、ピンホルダの内周面に、この溝部に係合する突起部を形成することにより、キャリアピンの脱落を抑制してもよい。
【0052】
また、前記実施形態では、キャリアピン44の両端が第1キャリア41および第2キャリア42に保持されるものとしたが、キャリアピンの一端側のみがキャリアに保持される構成としてもよい。このとき、上記のようなキャリアピンの脱落抑制機構が設けることが好ましい。さらに、筒状部を長く形成し、キャリアピンのガタツキを抑制することが好ましい。
【0053】
また、前記実施形態では、ピンホルダ45によってキャリアピン44が回転可能に保持されるものとしたが、キャリアピン44がピンホルダ45に固定されて回転不能な構成としてもよい。このとき、例えば、ピン孔23に軸受を設けたり、キャリアピン44の外周面とピン孔23の内周面との間の摺動抵抗を低減したりすることにより、サイクロイド減速機の効率が低下しないようにすればよい。
【0054】
また、前記実施形態では、サイクロイド減速機1を構成する各部材の材質について例示したが、目的に応じて適宜な材質が用いられれば良い。例えば、サイクロイド減速機の軽量化を目的として曲線板を樹脂によって構成してもよいし、騒音の低減を目的としてキャリアやピンホルダを樹脂によって構成してもよい。また、効率の向上を目的としてピンホルダやキャリアピンを摩擦の小さい部材(摺動部材)によって構成したり、これらの表面に摺動部材のコーティングを施したりしてもよい。
【0055】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。