特開2020-76811(P2020-76811A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-76811(P2020-76811A)
(43)【公開日】2020年5月21日
(54)【発明の名称】空中結像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/60 20200101AFI20200424BHJP
【FI】
   G02B27/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-208447(P2018-208447)
(22)【出願日】2018年11月5日
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】水落 雅人
(72)【発明者】
【氏名】三浦 啓介
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199BA32
2H199BB17
2H199BB51
2H199BB52
(57)【要約】
【課題】光の結像の妨げとなることなく、画像光出射装置及び結像素子を外部から観察されにくくする。
【解決手段】空中結像装置1は、画像光出射装置10と、結像素子20と、加飾シート30と、を備える。結像素子20は、画像光出射装置10から出射した画像光が入射する位置に配置され、画像光を画像光出射装置10から離間した結像位置Pに結像させる。加飾シート30は、結像素子20と結像位置Pとの間に配置される。加飾シート30は、意匠を形成する意匠層32と、意匠層32の非形成部である複数の透過部35と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像光出射装置と、
前記画像光出射装置から出射した画像光が入射する位置に配置され、前記画像光を前記画像光出射装置から離間した結像位置に結像させる結像素子と、前記結像素子と前記結像位置との間に配置された加飾シートと、を備え、
前記加飾シートは、意匠を形成する意匠層と、前記意匠層の非形成部である複数の透過部と、を有する、空中結像装置。
【請求項2】
前記加飾シートの各位置における前記透過部は、当該透過部に最小の入射角度で入射する前記画像光が当該透過部を透過可能な大きさとなっており、
前記入射角度は、前記加飾シートの当該透過部におけるシート面の法線方向と、当該透過部と前記結像素子上の1点と前記結像位置上の1点とを通る直線と、がなす角度として規定される、請求項1に記載の空中結像装置。
【請求項3】
前記加飾シートの各位置における前記透過部は、当該透過部に最大の入射角度で入射する前記画像光が当該透過部を透過可能な大きさとなっている、請求項2に記載の空中結像装置。
【請求項4】
前記透過部は、円形である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の空中結像装置。
【請求項5】
前記加飾シートは、前記画像光出射装置が配置された側から前記意匠層を覆う遮光層をさらに備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の空中結像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空中結像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像光を出射する画像光出射装置からの画像光を空中に結像させて空中に画像を表示する装置として、例えば特許文献1に記載された空中結像装置が知られている。このような空中結像装置は、例えば、画像光出射装置からの画像光を空中で結像させるための結像素子を有している。特許文献1では、結像素子は、2つの反射部材に反射面を一定の間隔で並べ、各反射部材を反射面が直交するように積層することで形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/131128号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような空中結像装置では、画像光出射装置と結像素子との間、及び結像素子と結像位置の間に、他の部材が配置されていると、その部材によって画像光が妨げられるため、画像光が結像できなくなる。空中結像装置において、画像光の結像の妨げにならないよう、画像光出射装置と結像素子との間、及び結像素子と結像位置の間には、他の部材は配置されていない。しかしながら、画像光出射装置及び結像素子は、外部から観察されるようになっている。画像光出射装置及び結像素子が外部から観察されると、空中結像装置の意匠性は低くなってしまう。また、空中結像装置によって空中に結像された画像を観察する際に、画像光出射装置及び結像素子が観察されると、空中に結像された画像の視認性に悪影響を及ぼし得る。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、画像光の結像の妨げとなることなく、画像光出射装置及び結像素子を外部から観察されにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の空中結像装置は、
画像光出射装置と、
前記画像光出射装置から出射した画像光が入射する位置に配置され、前記画像光を前記画像光出射装置から離間した結像位置に結像させる結像素子と、前記結像素子と前記結像位置との間に配置された加飾シートと、を備え、
前記加飾シートは、意匠を形成する意匠層と、前記意匠層の非形成部である複数の透過部と、を有する。
【0007】
本発明の空中結像装置において、
前記加飾シートの各位置における前記透過部は、当該透過部に最小の入射角度で入射する前記画像光が当該透過部を透過可能な大きさとなっており、
前記入射角度は、前記加飾シートの当該透過部におけるシート面の法線方向と、当該透過部と前記結像素子上の1点と前記結像位置上の1点とを通る直線と、がなす角度として規定されてもよい。
【0008】
本発明の空中結像装置において、前記加飾シートの各位置における前記透過部は、当該透過部に最大の入射角度で入射する前記画像光が当該透過部を透過可能な大きさとなっていてもよい。
【0009】
本発明の空中結像装置において、前記透過部は、円形であってもよい。
【0010】
本発明の空中結像装置において、前記加飾シートは、前記画像光出射装置が配置された側から前記意匠層を覆う遮光層をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光の結像の妨げとなることなく、画像光出射装置及び結像素子を外部から観察されにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、空中結像装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1の空中結像装置のII−II線に沿った断面図である。
図3図3は、結像素子を示す斜視図である。
図4図4は、加飾シートの断面図である。
図5図5は、加飾シートの正面図である。
図6図6は、空中結像装置の作用を説明するための図である。
図7図7は、透過部に入射する光の入射角度について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0014】
なお、本明細書において、「層」、「シート」及び「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて互いから区別されるものではない。例えば「層」という用語は、シート或いはフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。
【0015】
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0016】
図1は、本発明による一実施の形態の空中結像装置1を示す斜視図であり、図2は、図1の空中結像装置1のII−II線に沿った断面図である。図1及び図2に示すように、空中結像装置1は、筐体5と、筐体5内に収容された画像光出射装置10及び結像素子20と、を有している。空中結像装置1は、スクリーン等の他の部材を設けることなしに、筐体5から離間した結像位置Pに画像を結像することができる。また、空中結像装置1は、結像素子20と結像位置Pとの間に配置された加飾シート30を有している。図1及び図2に示された例では、加飾シート30は、結像素子20上に積層されて配置されている。
【0017】
筐体5は、画像光出射装置10及び結像素子20を収容することができる十分な大きさを有している。図示された例では、筐体5は、各面の法線方向が第1方向d1、第2方向d2又は第3方向d3と平行な直方体状の箱である。ここで、第1方向d1、第2方向d2及び第3方向d3は互いに直交している。筐体5は、第1方向d1及び第2方向d2に広がる開口部5aを有している。画像光出射装置10から出射した画像光は、結像素子20を透過し、開口部5aを介して筐体5の外部へと出射する。開口部5aの寸法は、画像光が透過可能な大きさであり、例えば1辺の長さが30mm以上1200mm以下の長方形である。
【0018】
画像光出射装置10は、結像位置Pで結像する画像光を出射する装置である。画像光出射装置10は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の任意の表示装置を用いることができる。あるいは、画像光出射装置10は、光を印刷が施された透明なフィルム等を透過させて画像を表示するものや、光の一部を遮光物によって明暗を表示するものであってもよい。この場合、画像光出射装置10は、光を発する光源及び印刷が施された透明なフィルムや遮光物を含んでいる。
【0019】
結像素子20は、画像光出射装置10から出射した画像光に光学的な作用を及ぼすことで、画像光出射装置10から離間した結像位置Pに画像光を結像させる。具体的には、図2に示すように、結像素子20は、第3方向d3において画像光出射装置10と対称となる結像位置Pに画像光を結像させる。結像素子20は、画像光出射装置10から出射した画像光が適切に入射する位置に配置されている。図3には、結像素子20の一例の斜視図が示されている。図3に示す例では、結像素子20は、結像位置Pに画像光を結像させるために、光反射性を有する第1反射部材21及び第2反射部材22を有している。
【0020】
図3に示すように、第1反射部材21は、透明な第1樹脂層21aと、少なくとも一方の面が第1反射面21cを形成する薄膜状の第1反射層21bと、を有している。同一平面上にない複数の第1反射面21cが形成されるよう、第1反射層21bは、第1反射部材21に、例えば0.1mm以上1mm以下の間隔で並べて配置されている。図3に示された例において、第1反射層21bは、第1方向d1に配列されて第2方向d2に延びている。同様に、第2反射部材22は、透明な第2樹脂層22aと、少なくとも一方の面が第2反射面22cを形成する薄膜状の第2反射層22bと、を有している。同一平面上にない複数の第2反射面22cが形成されるよう、第2反射層22bは、第2反射部材22に、例えば0.1mm以上1mm以下の間隔で並べて配置されている。図3に示された例において、第2反射層22bは、第2方向d2に配列されて第1方向d1に延びている。第1反射部材21及び第2反射部材22は、平板状の部材であり、その厚さは、例えば0.5mm以上10mm以下である。
【0021】
なお、透明とは、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される可視光透過率が、80%以上であることを意味する。
【0022】
第1反射部材21は、一方の端面から入射した光を第1反射面21cで反射して他方の端面から出射させる。第2反射部材22は、一方の端面から入射した光を第2反射面22cで反射して他方の端面から出射させる。第1反射部材21から出射した光が第2反射部材22に入射するよう、第1反射部材21と第2反射部材22は積層されて設けられている。
【0023】
第1樹脂層21a及び第2樹脂層22aは、例えば透明な熱可塑性樹脂、具体的にはポリエチレンやポリプロピレン等からなる。第1反射層21b及び第2反射層22bは、例えばアルミニウムや銀等の金属により形成されている。このような金属による反射層の表面により第1反射面21c及び第2反射面22cが形成されている。あるいは、第1反射層21b及び第2反射層22bは、第1樹脂層21a及び第2樹脂層22aとは屈折率の異なる透明な樹脂からなってもよい。この場合、第1樹脂層21aと第1反射層21bとの間の界面及び第2樹脂層22aと第2反射層22bとの間の界面が全反射面となることで、第1反射面21c及び第2反射面22cが形成される。また、図3に示すように、第1反射面21cと第2反射面22cとは、互いに非平行、好ましくは直交するように形成されている。図示された例では、第1反射面21cは、第1方向d1に配列されて第2方向d2に延びており、第2反射面22cは、第2方向d2に配列されて第1方向d1に延びている。
【0024】
加飾シート30は、結像素子20と結像位置Pとの間に配置されている。加飾シート30は、画像光出射装置10及び結像素子20が外部から観察されないよう、観察者が空中結像装置1を観察する位置から見て、少なくとも筐体5の開口部5aの全体を覆っている。図2に示された例では、加飾シート30が開口部5aに重なって配置されているため、加飾シート30は、開口部5aの全体を覆うことができるよう、開口部5aの寸法より大きな寸法を有している。好ましくは、加飾シート30は、開口部5aが設けられた側の筐体5の一面の全体を覆うことができる寸法を有している。図1及び図2に示す例では、加飾シート30は、全体として筐体5の開口部5aと同一の方向に広がる平板状の部材である。加飾シート30の厚さDは、例えば20μm以上550μm以下である。なお、加飾シート30は、図示された例においては平板状に示されているが、湾曲形状であってもよい。
【0025】
加飾シート30は、意匠を表示して、画像光出射装置10及び結像素子20が外部から観察されないようにするとともに、空中結像装置1に意匠性を付与する。図4には、加飾シート30の一例の断面図が示されている。加飾シート30は、基材層31と、基材層31に積層された意匠層32と、画像光出射装置10が配置された側から意匠層32を覆う遮光層33と、意匠層32及び遮光層33の非形成部である透過部35と、を有している。すなわち、図4に示されているように、加飾シート30において、基材層31、意匠層32、遮光層33がこの順に積層されている。加飾シート30は、画像光出射装置10の画像非表示状態において意匠層32によって形成される意匠を表示するとともに、画像光出射装置10の画像表示状態において画像光出射装置10からの画像光を透過部35において透過させる。
【0026】
基材層31は、基材層31上に積層された意匠層32及び遮光層33を適切に支持する。基材層31は、透明なフィルム状の部材である。基材層31としては、可視光を透過し、意匠層32及び遮光層33を適切に支持し得るものであればいかなる材料でもよいが、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ABS(アクリロニトリル ブタジエン スチレン共重合体)等を挙げることができる。また、基材層31は、可視光透過性や、意匠層32及び遮光層33の適切な支持性等を考慮すると、10μm以上500μm以下の厚みを有していることが好ましい。
【0027】
意匠層32は、加飾シート30が表示する意匠を形成する。意匠層32は、図形、パターン、デザイン、色彩、絵、写真、キャラクター、マーク、文字や数字などの絵柄を、意匠として形成することができる。特に、空中結像装置1が設けられる周辺環境と調和させることができる意匠として、木目調や大理石調の絵柄や幾何学模様を例示することができる。また、加飾シート30が筐体5の一部のみを覆う場合、意匠層32によって形成される意匠は、筐体5の意匠と調和していることが好ましい。
【0028】
遮光層33は、画像光が入射する側、すなわち画像光出射装置10が配置された側から意匠層32を覆うように設けられている。遮光層33は、画像光出射装置10からの可視光からなる画像光が意匠層32に入射しないよう、可視光からなる画像光を吸収する機能を有している。遮光層33は、例えば光吸収粒子をバインダー樹脂中に含み得る。光吸収粒子としては、カーボンブラックやチタンブラック等の黒色顔料を例示することができる。画像光出射装置10から出射された画像光が透過部35を透過することが遮光層33によって阻害されないよう、遮光層33は、意匠層32に対面する位置にのみ設けられていることが好ましい。また、十分な厚さの遮光層33が意匠層32を覆っていると、意匠層32によって形成される意匠を濃く明確に形成することができる。具体的な例として、遮光層33の厚さは、1μm以上20μm以下である。
【0029】
なお、図4に示すような加飾シート30のシート面に直交する方向の断面における意匠層32及び遮光層33の断面形状は、矩形となっているが、これに限らず、台形形状等であってもよい。
【0030】
透過部35は、画像光出射装置10からの画像光を透過させるために設けられている。図5は、加飾シート30を正面方向から観察した図である。透過部35は、図4及び図5に示すように、加飾シート30の正面からの観察において、意匠層32及び遮光層33の非形成部である。画像光出射装置10からの画像光を十分に透過させるために、加飾シート30において、透過部35が占める面積の割合は、10%以上となっていることが好ましい。
【0031】
図5に示された例では、複数の透過部35が互いに離間して配置されている。各透過部35の間には、意匠層32が形成されている。図示された例では、各透過部35は、正面視において円形となっている。透過部35が円形であると、面積が同一の他の形状と比較して、透過部35の周縁の長さを短くすることができる。透過部35と透過する光は、当該透過部35の周縁で拡散し得る。透過部35を円形として周縁の長さを短くすることで、このような拡散を抑制することができる。
【0032】
図4及び図5に示されているように、加飾シート30の第1方向d1における位置によって、透過部35の大きさが変化している。加飾シート30の第1方向d1での各位置における透過部35は、当該透過部35に最小の入射角度θで入射する画像光が当該透過部35を透過可能な大きさとなっている。また、好ましくは、加飾シート30の第1方向d1での各位置における透過部35は、当該透過部35に最大の入射角度θで入射する画像光が当該透過部35を透過可能な大きさとなっている。透過部35を透過する画像光の入射角度θについては、後述にて説明する。なお、透過部35の大きさが加飾シート30の第1方向d1における各位置で異なっているが、加飾シート30において透過部35が占める面積の割合は、加飾シート30全体において一定になっていることが好ましい。このため、第1方向d1における位置によって、透過部35の大きさが大きくなると、第2方向d2に隣り合う透過部35の間の間隔が長くなっていることが好ましい。透過部35の穴径Rは、例えば10μm以上200μm以下である。
【0033】
なお、透過部35は、図4に示された例のように、孔であってもよいが、例えば孔を透明な樹脂によって埋めることで形成されてもよい。さらに、透明な樹脂は、透過部35だけでなく、基材層31が設けられている側とは逆側から意匠層32及び遮光層33を覆うように形成されていてもよい。このような透明な樹脂は、透過部35を形成するとともに、意匠層32及び遮光層33を保護する透明な保護膜として機能することができる。
【0034】
次に、加飾シート30の製造方法の一例について説明する。
【0035】
まず、基材層31上に、意匠層32を形成するようになる意匠膜及び遮光層33を形成するようになる遮光膜を積層する。意匠膜及び遮光膜は、例えば印刷によって形成される。次に、基材層31上の意匠膜及び遮光膜に対して、透過部35を形成する位置にレーザー光を照射する。レーザー光として、例えば波長1064nmのNd:YAGレーザーのレーザー光を用いることができる。レーザー光を照射された位置における意匠膜及び遮光膜が除去され、貫通孔が形成される。この貫通孔が、透過部35となる。一方、レーザー光が照射されずに除去されなかった遮光膜及び意匠膜が、それぞれ意匠層32及び遮光層33となる。以上の工程によって、加飾シート30が製造される。
【0036】
次に、本実施の形態の空中結像装置1の作用について説明する。
【0037】
まず、画像光出射装置10が画像光を出射していない状態について説明する。画像光出射装置10が画像光を出射していない状態では、結像位置Pに画像が結像されず、空中結像装置1の外観として、筐体5及び加飾シート30が観察される。加飾シート30は、筐体5の開口部5aを覆うように設けられており、意匠層32によって形成される意匠を表示する。このため、画像光出射装置10及び結像素子20が外部から観察されなくなり、意匠性において空中結像装置1を周辺環境と調和させることができる。特に、遮光層33が意匠層32に対面する位置にのみ設けられている場合、遮光層33が観察者に観察されず、遮光層33によって加飾シート30の意匠性が害されることを防止することができる。
【0038】
次に、画像光出射装置10が画像光を出射している状態について説明する。図6は、画像光出射装置10が出射した画像光Lの光路を示す図である。画像光出射装置10が画像光を出射した状態では、図6に示すように、画像光は、結像素子20に入射する。結像素子20に入射した画像光Lは、図3に示すように、まず第1反射部材21に入射する。第1反射部材21において、画像光Lは、第1樹脂層21aを透過し、第1反射面21cで反射された後、第1反射部材21から出射する。第1反射部材21から出射した画像光Lは、第1反射部材21に積層された第2反射部材22に入射する。第2反射部材22において、画像光Lは、第2樹脂層22aを透過し、第2反射面22cで反射された後、第2反射部材22から出射する。
【0039】
結像素子20において、第1反射面21cと第2反射面22cとが、互いに交差した向きに配置されている。したがって、結像素子20への入射する光と出射する光とは、結像素子20の正面視において平行となる。このため、画像光出射装置10から出射して第1反射面21c及び第2反射面22cで反射した画像光は、図6に示すように、結像素子20に対して画像光出射装置10と対称な結像位置Pで集束し、結像位置Pに画像が結像される。
【0040】
ところで、本実施の形態では、結像素子20と結像位置Pとの間に、加飾シート30が配置されている。加飾シート30は、図2に示すように結像素子20に積層されて配置されていてもよいが、図6に示すように、結像素子20と結像位置Pとの間の任意の位置に配置されてもよい。以下、図6及び図7を参照しながら、画像光出射装置10が画像光Lを出射している状態における、結像素子20と結像位置Pとの間の任意の位置に配置されている場合の加飾シート30の作用について説明する。
【0041】
加飾シート30に入射した画像光Lは、加飾シート30を透過部35において透過する。加飾シート30を透過した画像光Lは、図6に示すように、結像位置Pにおいて画像を結像する。観察者は、画像光出射装置10から離間した結像位置Pに結像された画像を観察することができる。すなわち、空中結像装置1は、画像光出射装置10から出射した画像光によって形成される画像を結像位置Pに結像することができる。また、加飾シート30は、意匠層32によって形成される意匠を表示している。加飾シート30は、観察者が空中結像装置1を観察する位置から見て、画像光出射装置10及び結像素子20を収容した筐体5の開口部5aを覆っている。したがって、結像位置Pに結像された画像を観察する際に、画像光出射装置10及び結像素子20が加飾シート30によって外部から観察されにくくなる。すなわち、結像位置Pに結像された画像を視認性よく観察することができる。
【0042】
また、結像位置Pに結像される画像を観察する際に、結像位置Pの背面側(観察する観察者の側とは反対側)に加飾シート30によって意匠が表示されていると、加飾シート30が配置された位置と画像が結像した結像位置Pとの間の空間が認識されるため、観察される画像の浮遊感を向上させることができる。すなわち、結像位置Pに結像される画像を視認性よく観察することができる。
【0043】
画像光が加飾シート30の各位置において透過部35を透過できるよう、透過部35は、十分な大きさとなっている。図6に示すように、結像素子20で反射した画像光は、加飾シート30の第1方向d1における各位置において、画像光の入射する入射角度が異なっている。したがって、画像光を十分に透過させるための透過部35の大きさは、加飾シート30の第1方向d1における位置によって異なっている。具体的には、加飾シート30の各位置における透過部35は、当該透過部35に最小の入射角度θで入射する画像光が当該透過部35を透過可能な大きさとなっている。好ましくは、加飾シート30の各位置における透過部35は、当該透過部35に最大の入射角度θで入射する画像光が当該透過部35を透過可能な大きさとなっている。
【0044】
ここで、透過部35を透過する画像光及び透過部35への画像光の入射角度θについて、図7を参照しながら説明する。透過部35を透過する画像光は、画像光出射装置10から出射して結像素子20で反射して、結像位置Pで結像する。したがって、透過部35を透過する画像光は、当該透過部35と、結像素子20上の1点と、結像位置P上の1点と、を通る直線の光路を通っている。この直線と、当該透過部35における加飾シート30の法線方向ndとがなす角度、より厳密には当該透過部35における加飾シート30の法線方向ndとがなす角度のうち鈍角とならない方の角度が、当該透過部35における入射角度θとなる。1つの透過部35について、当該透過部35と結像素子20上の1点と結像位置P上の1点とを通る様々な直線が存在するため、入射角度θは様々な値をとり得る。
【0045】
ところで、加飾シート30には厚みがあるため、画像光の透過部35における入射角度θが大きいと、画像光は、透過部35を透過できない場合がある。具体的には、透過部35の穴径R、当該透過部35における加飾シート30の厚さD及び当該透過部35に入射する画像光の入射角度θが、次の関係(i)を満たさない場合、当該画像光は透過部35を透過できない。
R>Dtanθ ・・・(i)
【0046】
加飾シート30の各位置における透過部35において、当該透過部35に入射する画像光のうち、少なくとも最小の入射角度θで入射する前記画像光が当該透過部を透過することができれば、画像光は加飾シート30の透過部35を透過することができる。したがって、画像光は加飾シート30を透過して結像位置Pに画像を結像することができる。言い換えると、加飾シート30の各位置における透過部35に入射する画像光の最小の入射角度θが、関係(i)を満たすことで、結像位置Pに画像を結像することができる。
【0047】
また、好ましくは、加飾シート30の各位置における透過部35において、当該透過部35に入射する画像光のうち、最大の入射角度θで入射する前記画像光が当該透過部を透過することができる。この場合、透過部35に入射した全ての画像光が透過部35を透過することができる。したがって、結像位置Pに結像される画像が明るく観察されることができる。言い換えると、加飾シート30の各位置における透過部35に入射する画像光の最大の入射角度θが、関係(i)を満たすことで、結像位置Pに結像される画像を明るくすることができる。
【0048】
なお、透過部35は、図5に示したように、円形であることが好ましい。透過部35が円形であると、透過部35の加飾シート30のシート面に沿った面積を大きくしながら、透過部35の周縁の長さを短くすることができる。したがって、透過部35を画像光が透過する際に、透過部35の周縁で起こり得る画像光の拡散を少なくすることができる。画像光の拡散を抑制することで、結像位置Pに結像される画像がぼやけることを抑制し、画像の視認性を向上させることができる。
【0049】
また、図4に示したように、意匠層32は、遮光層33によって、加飾シート30の画像光が入射する側である画像光出射装置10の側から覆われている。したがって、遮光層33によって、画像光が意匠層32へ入射することが妨げられる。このため、意匠層32を画像光が透過して、意匠層32によって表される意匠と画像光とが混合して観察されることを防止することができる。すなわち、意匠層32で特定波長域の可視光が吸収されることに起因して画像光の色再現性が劣化することを効果的に防止することができる。さらに、遮光層33が意匠層32に対面する領域にのみ設けられている場合、遮光層33によって透過部35を透過する画像光が妨げられることが防止される。すなわち、画像光を効率的に利用して、画像を明るく表示することができる。
【0050】
以上のように、本実施の形態の空中結像装置1は、画像光出射装置10と、画像光出射装置10から出射した画像光が入射する位置に配置され、画像光を画像光出射装置10から離間した結像位置Pに結像させる結像素子20と、結像素子20と結像位置Pとの間に配置された加飾シート30と、を備え、加飾シート30は、意匠を形成する意匠層32と、意匠層32の非形成部である複数の透過部35と、を有する。このような空中結像装置1によれば、加飾シート30が意匠層32によって形成される意匠を表示することで、画像光出射装置10及び結像素子20を外部から観察されにくくすることができる。また、加飾シート30に透過部35が形成されていることで、画像光が加飾シート30を透過することができる。加飾シート30を透過した画像光は、結像位置Pに画像を結像する。したがって、加飾シート30によって、画像光の結像の妨げとなることなく、画像光出射装置10及び結像素子20を外部から観察されにくくすることができる。
【0051】
本発明の態様は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 空中結像装置
5 筐体
10 画像光出射装置
20 結像素子
21 第1反射部材
21a 第1樹脂層
21b 第1反射層
21c 第1反射面
22 第2反射部材
22a 第2樹脂層
22b 第2反射層
22c 第2反射面
30 加飾シート
31 基材層
32 意匠層
33 遮光層
35 透過部
P 結像位置
θ 入射角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7