特開2020-77528(P2020-77528A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-77528(P2020-77528A)
(43)【公開日】2020年5月21日
(54)【発明の名称】固定具および蓄電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20200424BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20200424BHJP
【FI】
   H01M2/20 A
   H01M2/10 E
   H01M2/10 M
   H01M2/10 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-210246(P2018-210246)
(22)【出願日】2018年11月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 彰文
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 康宏
(72)【発明者】
【氏名】仲村 命
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AA22
5H040AT04
5H040AY06
5H040AY10
5H040CC25
5H040DD03
5H040DD21
5H040DD26
5H040JJ03
5H040JJ06
5H040NN01
5H040NN03
5H043AA19
5H043AA20
5H043BA11
5H043BA19
5H043CA08
5H043CA21
5H043CA23
5H043EA02
5H043FA02
5H043FA22
5H043FA23
5H043FA32
5H043GA23
5H043GA30
5H043HA06D
5H043HA06F
5H043HA07D
5H043HA07F
5H043HA21D
5H043HA21F
5H043HA22D
5H043HA22F
5H043HA25D
5H043HA25F
5H043JA09D
5H043JA09F
5H043JA21D
5H043JA21F
5H043KA22D
5H043KA22F
5H043KA29D
5H043KA29F
5H043KA30D
5H043KA30F
5H043KA45D
5H043KA45F
5H043LA02F
5H043LA21D
5H043LA21F
5H043LA22D
5H043LA22F
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単な構成で、隣接する蓄電池セルの端子タブ同士を電気的に接続可能であり、必要に応じて端子タブを離脱させ得る固定具、およびかかる固定具によって、積層された蓄電池セルの電極タブを固定してなる蓄電池モジュールの提供。
【解決手段】積層された複数の蓄電池セル1の正極タブ4および負極タブ5を固定し、挿入された少なくとも2つの正極タブ4および負極タブ5を圧接することにより互いに電気的に接続する圧接部91が、蓄電池セル1の積層方向に沿って複数併設されている、固定具9。また、固定具が複数の蓄電池セルの電極タブを固定している蓄電池モジュール。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の蓄電池セルの電極タブを固定する固定具であって、
挿入された少なくとも2つの前記電極タブを圧接することにより互いに電気的に接続する圧接部が、前記蓄電池セルの積層方向に沿って複数併設されていることを特徴とする固定具。
【請求項2】
当該固定具は、前記複数の蓄電池セルの電極タブを一括して固定する請求項1に記載の固定具。
【請求項3】
前記圧接部は、弾性を有する請求項1または2に記載の固定具。
【請求項4】
さらに、前記圧接部に連通し、前記電極タブを前記圧接部に案内する案内部を有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の固定具。
【請求項5】
前記案内部は、前記圧接部の併設方向において対向する一対の案内面を備え、
前記案内面の離間距離が前記圧接部から遠ざかるに従って大きくなっている請求項4に記載の固定具。
【請求項6】
前記案内面に前記電極タブに対する摺動性を向上させる処理が施されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の固定具。
【請求項7】
少なくとも前記電極タブと接触する面が絶縁材料で構成されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の固定具。
【請求項8】
少なくとも前記電極タブと接触する面に、前記電極タブに対する摺動性を向上させる処理が施されている請求項1ないし7のいずれか1項に記載の固定具。
【請求項9】
さらに、前記圧接部に露出し、各前記蓄電池セルの電圧を監視するために使用される端子を有する請求項1ないし8のいずれか1項に記載の固定具。
【請求項10】
当該固定具に対して前記電極タブが着脱自在である請求項1ないし9のいずれか1項に記載の固定具。
【請求項11】
積層された複数の蓄電池セルを含むセル積層体と、
該セル積層体に装着された請求項1ないし10のいずれか1項に記載の固定具とを有し、
該固定具は、前記複数の蓄電池セルの電極タブを固定していることを特徴とする蓄電池モジュール。
【請求項12】
さらに、前記セル積層体を収容する電池容器を有し、
前記固定具を装着した前記セル積層体を前記電池容器内に収容した状態で、前記固定具が前記電池容器に接触することにより、前記セル積層体の前記電池容器での移動が規制されている請求項11に記載の蓄電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定具および蓄電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
組電池(蓄電池モジュール)を製造する際には、複数の電池セル(蓄電池セル)を積層した後、正極端子(正極タブ)と負極端子(負極タブ)とを、例えばレーザ溶接により電気的に接続する(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、レーザ溶接により正極端子と負極端子とを接続してしまうと、仮に電池セルに異常が生じた場合でも、異常が生じた電池セルのみを交換することができず、組電池全体を破棄しなければならないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−338275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、簡単な構成で、隣接する蓄電池セルの端子タブ同士を電気的に接続可能であり、必要に応じて端子タブを離脱させ得る固定具、およびかかる固定具によって、積層された蓄電池セルの電極タブを固定してなる蓄電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記の(1)〜(11)の本発明により達成される。
(1) 積層された複数の蓄電池セルの電極タブを固定する固定具であって、
挿入された少なくとも2つの前記電極タブを圧接することにより互いに電気的に接続する圧接部が、前記蓄電池セルの積層方向に沿って複数併設されていることを特徴とする固定具。
【0006】
(2) 当該固定具は、前記複数の蓄電池セルの電極タブを一括して固定する上記(1)に記載の固定具。
【0007】
(3) 前記圧接部は、弾性を有する上記(1)または(2)に記載の固定具。
【0008】
(4) さらに、前記圧接部に連通し、前記電極タブを前記圧接部に案内する案内部を有する上記(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の固定具。
【0009】
(5) 前記案内部は、前記圧接部の併設方向において対向する一対の案内面を備え、
前記案内面の離間距離が前記圧接部から遠ざかるに従って大きくなっている上記(4)に記載の固定具。
【0010】
(6) 前記案内面に前記電極タブに対する摺動性を向上させる処理が施されている上記(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の固定具。
【0011】
(7) 少なくとも前記電極タブと接触する面が絶縁材料で構成されている上記(1))ないし(6)のいずれか1つに記載の固定具。
【0012】
(8) 少なくとも前記電極タブと接触する面に、前記電極タブに対する摺動性を向上させる処理が施されている上記(1)ないし(7)のいずれか1項に記載の固定具。
【0013】
(9) さらに、前記圧接部に露出し、各前記蓄電池セルの電圧を監視するために使用される端子を有する上記(1)ないし(8)のいずれか1項に記載の固定具。
【0014】
(10) 当該固定具に対して前記電極タブが着脱自在である上記(1)ないし(9)のいずれか1項に記載の固定具。
【0015】
(11) 積層された複数の蓄電池セルを含むセル積層体と、
該セル積層体に装着された上記(1)ないし(10)のいずれか1つに記載の固定具とを有し、
該固定具は、前記複数の蓄電池セルの電極タブを固定していることを特徴とする蓄電池モジュール。
【0016】
(12) さらに、前記セル積層体を収容する電池容器を有し、
前記固定具を装着した前記セル積層体を前記電池容器内に収容した状態で、前記固定具が前記電池容器に接触することにより、前記セル積層体の前記電池容器での移動が規制されている上記(11)に記載の蓄電池モジュール。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電極タブを簡単な作業で固定することができるので作業性に優れるとともに、電極タブを着脱自在に構成することにより、蓄電池セルの再利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】蓄電池モジュールの構成を示す部分断面平面図(a)および部分断面側面図(b)である。
図2図1に示す蓄電池モジュールが備える蓄電池セルの斜視図である。
図3図2中のA−A線断面図である。
図4】固定具の構成を示す側面図である。
図5図4中のB−B線断面斜視図である。
図6】固定具の他の構成例を示す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の固定具および蓄電池モジュールついて、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態では、リチウムイオン二次電池を蓄電池セルに適用した場合について説明する。
図1は、蓄電池モジュールの構成を示す部分断面平面図(a)および部分断面側面図(b)、図2は、図1に示す蓄電池モジュールが備える蓄電池セルの斜視図、図3は、図2中のA−A線断面図、図4は、固定具の構成を示す側面図、図5は、図4中のB−B線断面斜視図である。
【0020】
各図では、その特徴を判り易くするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は、実際とは異なる場合がある。
以下に例示される材料、寸法等は一例であって、本発明は、それらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0021】
図1に示すように、蓄電池モジュール100は、積層された複数の蓄電池セル(リチウムイオン二次電池)1を含むセル積層体110と、セル積層体110に装着された固定具9と、固定具9が装着されたセル積層体110を収容する電池容器200とを備える。
電池容器200は、プレート210と、プレート210に装着されるカバー220とを有する。プレート210にカバー220を装着した状態で、電池容器200内に内部空間230が形成され、この内部空間230に固定具9が装着されたセル積層体110が収容されている。
【0022】
電池容器200の構成材料としては、例えば、ポリカーボネートのような硬質樹脂材料、ステンレス鋼のような金属材料等が挙げられる。
図2に示すように、蓄電池セル1は、シート状のセル本体11を有する。セル本体11は、図3に示すように、正極2と、負極3と、これの間に介挿されたセパレータ6とを備える電極積層体10と、電解液7と、内部に電極積層体10および電解液7を封入するシート状の外装体8とを備える。
【0023】
電極積層体10は、さらに、正極2に接合(電気的に接続)された正極タブ4と、負極3に接合(電気的に接続)された負極タブ5とを備えており、これらのタブ4、5は、電極積層体10を外装体8内に封入した状態で、セル本体11(外装体8)から突出(外部に露出)している。
本実施形態では、正極2に接合された正極タブ4と、負極3に接合された負極タブ5とは、セル本体11の長手方向の反対側に突出している。
【0024】
正極2は、図示しないが、平面視で略矩形状をなすアルミニウム箔で構成された正極集電体と、正極集電体の両面にそれぞれ設けられた正極活物質層とを有している。蓄電池セル1の充電時には、正極集電体が電気を集電して、正極活物質層に供給する。
正極集電体の一部は、正極活物質層から露出しており、この露出部に正極タブ4が接合されている。正極タブ4は、導電性を有していれば、特に限定されず、例えば、アルミニウム板、銅板、ニッケル板等で構成することができる。正極タブ4は、正極集電体と一体的に形成するようにしてもよい。
【0025】
正極活物質層は、例えば、正極活物質と、導電助剤と、結着剤とを含む正極用スラリーを、正極集電体に塗工することにより形成することができる。
正極活物質としては、特に限定されないが、例えば、一般式「LiM(式中、Mは金属原子であり、xおよびyは、金属原子Mと酸素原子Oとの組成比である。)」で表される金属酸リチウム化合物が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
かかる金属酸リチウム化合物の具体例としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)等が挙げられる。
前記一般式において、Mが複数種の金属原子で構成されてもよい。この場合、金属酸リチウム化合物は、例えば、一般式「LiM(式中、M、MおよびMは互いに異なる種類の金属原子であり、p、q、rおよびyは、金属原子M、MおよびMと酸素原子Oとの組成比である。)」で表される。p+q+r=xである。かかる金属酸リチウム化合物の具体例としては、LiNi0.33Mn0.33Co0.33等が挙げられる。
【0027】
正極活物質には、類似の組成であるオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO)を用いることもできる。
導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック等が用いられ、結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、アクリル系樹脂等が用いられる。
【0028】
負極3は、図示しないが、平面視で略矩形状をなす銅箔で構成された負極集電体と、負極集電体の両面にそれぞれ設けられた負極活物質層とを有している。蓄電池セル1の放電時に、負極集電体は、負極活物質層で発生した電子を効率よく取り出し外部機器に供給する。
負極集電体の一部は、負極活物質層から露出しており、この露出部に負極タブ5が接合されている。負極タブ5は、導電性を有していれば、特に限定されず、例えば、銅板、ニッケル板、アルミニウム板、ニッケルめっきを施したアルミニウム板等で構成することができる。負極タブ5は、負極集電体と一体的に形成するようにしてもよい。
【0029】
負極活物質層は、例えば、負極活物質と、結着剤と、必要に応じて導電助剤とを含む負極用スラリーを、負極集電体に塗工することにより形成することができる。
負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、炭素粉末、黒鉛粉末のような炭素材料、チタン酸リチウムのような金属酸化物等を用いることができる。
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン等を用いることができ、導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ等を用いることができる。
【0030】
各集電体の平面形状は、図示の構成では、長方形状をなしているが、例えば、正方形状、円形状、楕円形状等であってもよい。
各集電体の平面視での面積(平面積)は、製造すべき蓄電池セル1のサイズに応じて適宜設定されるため、特に限定されないが、500〜2500mm程度であることが好ましく、750〜2000mm程度であることがより好ましい。
各集電体の厚さも、特に限定されないが、1〜75μm程度であることが好ましく、5〜50μm程度であることがより好ましい。
【0031】
各電極活物質は、粒子状であることが好ましい。この場合、電極活物質の平均粒径は、1〜30μm程度であることが好ましい。
各活物質層の厚さも、特に限定されないが、5〜100μm程度であることが好ましく、10〜75μm程度であることがより好ましい。
【0032】
正極2と負極3との間には、セパレータ6が介挿されている。このセパレータ6は、絶縁性を有し、正極2と負極3との短絡を防止する機能および電解液7を保持する機能を有する。セパレータ6に電解液7が保持されることで、電解質層が形成される。
セパレータ6は、電解液7を保持または通過させることが可能であれば、特に限定されず、多孔質膜や非多孔質膜で構成することができる。
多孔質膜としては、細孔を有するシート材、不織布等が挙げられる。細孔を有するシート材は、例えば、粒子とバインダーとを含む材料から形成することができる。非多孔質膜は、電解液を保持可能な樹脂材料で形成することができる。非多孔質膜は、スペーサ機能を有する粒子状物を含んでもよい。
【0033】
セパレータ6の構成材料(絶縁材料)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ガラス繊維等が挙げられる。
電解液を保持可能な樹脂樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂等の高分子が挙げられる。中でも、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体が特に好ましい。
セパレータ6の厚さは、1〜75μm程度であることが好ましく、1〜50μm程度であることがより好ましい。かかる厚さのセパレータ6であれば、絶縁性を十分に確保することができる。
【0034】
以上のような電極積層体10は、電解液7とともに外装体8内に封入されている。
電解液7は、電解質を溶媒に溶解してなる液体である。蓄電池セル1の充放電時には、この電解液7中をイオンが伝導する。
【0035】
溶媒には、水分を実質的に含まない(例えば、100ppm未満)非水系溶媒が好適に用いられる。非水系溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、酢酸メチル、蟻酸メチル、トルエン、ヘキサン等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
電解質としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウムのようなリチウム塩等を好適に使用することができる。
電解液7中の電解質の濃度は、特に限定されないが、0.01〜1M程度であることが好ましく、0.05〜0.75M程度であることがより好ましく、0.1〜0.5M程度であることがさらに好ましい。
【0037】
電解液7は、ゲル化剤の添加によりゲル状をなしていてもよい。ゲル化剤としては、例えば、電解質を保持可能な材料であればよく、高分子化合物が挙げられる。高分子化合物としては、アセトニトリルのようなニトリル系化合物、テトラヒドロフランのようなエーテル系化合物、ジメチルホルムアミドのようなアミド系化合物等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
外装体8は、図3に示すように、2枚の可撓性を有するシート材80を重ね合わせ、その外周部を融着(例えば、熱融着、超音波融着、高周波融着)することによりシールしてなる。したがって、外装体8の外周部には、シール部Sが形成されている。
シール部Sの幅は、特に限定されないが、0.3〜45mm程度であることが好ましく、0.5〜30mm程度であることがより好ましい。
本実施形態のシート材80は、図3に示すように、基材層81と、基材層81の一方の面に設けられた樹脂層82と、基材層81の他方の面(樹脂層82と反対側の面)に設けられた保護層83とを備える積層シートで構成されている。
【0039】
基材層81は、シート材80に強度を付与する機能および電解液7やガスの透過を阻止する機能を有する。基材層81の構成材料としては、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金、ステンレス鋼等が挙げられる。
基材層81の厚さは、特に限定されないが、9〜100μm程度であることが好ましく、20〜80μm程度であることがより好ましい。
【0040】
樹脂層82は、融着されることにより外装体8を封止する機能を有する。樹脂層82の構成材料(融着可能な材料)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリメチルペンテン等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
樹脂層82は、前記材料で形成された無延伸のフィルム(特に、無延伸のポリプロピレンフィルム)で構成されていることが好ましい。これにより、樹脂層82が電解液7により溶解または膨潤することを好適に防止することができる。
樹脂層82の厚さは、特に限定されないが、3〜200μm程度であることが好ましく、20〜100μm程度であることがより好ましい。
【0042】
保護層83は、外装体8の最外層を構成し、基材層81を保護する機能および蓄電池セル1の機械的構造特性を確保する機能を有する。保護層83の構成材料には、比較的硬質な樹脂材料が用いられる。かかる硬質な樹脂材料としては、例えば、ポリアミド(ナイロン)、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
保護層83の厚さは、特に限定されないが、5〜50μm程度であることが好ましく、10〜30μm程度であることがより好ましい。
【0043】
固定具9は、その高さ方向(蓄電池セル1の積層方向)に沿って併設された複数の圧接部91と、各圧接部91に連通する案内部92とを有している。本実施形態では、これらの圧接部91と案内部92とが枠状の基部93と一体的に(1つの部材で)形成されている。
案内部92は、圧接部91の併設方向において対向する一対の案内面92a、92bを備え、案内面92a、92bの離間距離が圧接部91から遠ざかるに従って大きくなっている。本実施形態では、1つの正極タブ4と1つの負極タブ5とを、1つの案内部92に挿入するように構成されている。挿入された正極タブ4と負極タブ5とは、案内面92a、92bに摺接し、互いに接近しつつ圧接部91に向かって案内される。
【0044】
その後、正極タブ4と負極タブ5とは、圧接部91に挿入され、圧接部91で圧接されることで互いに電気的に接続される。
かかる構成によれば、簡単な構成でありながら、正極タブ4と負極タブ5との良好な電気的接続を得ることができる。また、正極タブ4と負極タブ5とは、圧接部91で圧接されているだけなので、固定具9に対して着脱自在である。このため、仮に蓄電池セル1に異常が発生した場合、異常が発生した蓄電池セル1を新たな蓄電池セル1と交換することにより、残りの異常のない蓄電池セル1を再利用することができる。
特に、案内面92a、92bは、正極タブ4および負極タブ5の挿入側において離間距離が大きくなるように傾斜しているため、正極タブ4と負極タブ5とを圧接部91に向けて円滑に案内することができる。
【0045】
圧接部91および案内部92(固定具9の少なくとも正極タブ4および負極タブ5と接触する面)が絶縁材料で構成されていることが好ましい。これにより、導通すべきでない正極タブ4と負極タブ5との電気的接続を防止することができる。
特に、圧接部91は、弾性を有することが好ましい。これにより、圧接部91による正極タブ4および負極タブ5への押圧力をより高め、正極タブ4と負極タブ5とのより確実な電気的接続を可能とする。
弾性を有する絶縁材料としては、フッ素系熱可塑性エラストマー、シリコン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
このような材料で圧接部91および案内部92のみを作製し、別途作製した基部93に固定するようにしてもよい。この場合、圧接部91、案内部92および基部93の構成材料は、互いに異なっていてもよい。
また、案内面92a、92bには、正極タブ4および負極タブ5に対する摺動性を向上させる処理を施すようにしてもよい。これにより、正極タブ4および負極タブ5を案内面92a、92bに沿って圧接部91に円滑に案内することができる。かかる処理としては、例えば、粗面化処理、フッ素系樹脂による被膜の形成等が挙げられる。
【0047】
以上のような固定具9は、セル積層体110に対して、その両側から接近させると、正極タブ4および負極タブ5が案内部92に挿入される。さらに固定具9をセル積層体110に接近させると、正極タブ4および負極タブ5が案内部92に案内され、圧接部91に挿入される。圧接部91に挿入された正極タブ4および負極タブ5は、圧接されて電気的に接続される。この状態で、固定具9がセル積層体110の長手方向の両側に装着される。
かかる構成によれば、複数の正極タブ4と複数の負極タブ5とを一括して固定することができる。また、固定具9のセル積層体110の装着操作は、極めて簡単である。
【0048】
図1に示すように、固定具9が装着されたセル積層体110の全長(長手方向の長さ)L1は、内部空間230の長手方向の長さL2とほぼ等しく設定されている。これにより、電池容器200に対するセル積層体110の位置決めを行うことができる。かかる構成によれば、蓄電池モジュール100に不要な外力が作用した場合でも、電池容器200内でセル積層体110が移動することを阻止して、蓄電池セル1の損傷を好適に防止することができる。
また、固定具9(基部93)の幅W1は、負極タブ5(正極タブ4)の幅W2より大きく設定されている。これにより、負極タブ5(正極タブ4)が不要な部材に接触して、変形や損傷等することを防止することができる。
【0049】
固定具9には、図6に示すように、圧接部91に露出するように端子94を設けるようにしてもよい。この端子94には、各蓄電池セル1の電圧を監視するための監視ユニットが電気的に接続される。これにより、簡便な構成でありながら、各蓄電池セル1の電圧の変化を監視(モニター)することができる。このため、各蓄電池セル1に生じた異常を初期段階で検出することができ、安全性が高い。
【0050】
以上説明した蓄電池モジュール100では、複数の蓄電池セル1は、直列に接続されているが、並列に接続されてもよい。この場合、1つの圧接部91に複数の正極タブ4または複数の負極タブ5が挿入されることになる。
また、1つの圧接部91には、3つ以上の電極タブを挿入するように構成してもよい。
【0051】
以上、本発明の固定具および蓄電池モジュールについて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。本発明の固定具および蓄電池モジュールは、他の任意の構成を有していてもよいし、同様の機能を発揮する任意の構成と置換されていてもよい。
蓄電池セルは、リチウムイオン二次電池の他、例えば、銀イオン二次電池等の二次電池で構成することもできる。
また、外装体8は、1枚のシート材80を折り曲げ、その外周部をシールすることで作製してもよい。
【0052】
また、例えば、圧接部91と案内部92とを1つの挟持部材として構成してもよい。この場合、図4中上下方向の一対の挟持部材を、基部93の凹部内にスライドさせて挿入可能とすることが好ましい。かかる構成によれば、接続すべき正極タブ4と負極タブ5とを一対の挟持部材で挟持した状態とし、この状態で基部93の凹部内に挿入(圧入)すれば、挟持部材を介して正極タブ4と負極タブ5とが押圧され、これらを確実に電気的に接続することができる。
かかる操作は、接続すべき正極タブ4と負極タブ5との一組毎に行ってもよく、複数組を同時に(一括して)行ってもよい。前者の場合、前記操作を正極タブ4と負極タブ5との状態を確認しつつ行えば、正極タブ4および負極タブ5の折れ曲がり防止効果が高まる。
本構成例の場合、案内部92を省略して、圧接部91のみで挟持部材を構成してもよい。また、一対の挟持部材は、それらの一端部を連結して、他端部側を開閉可能に構成してもよい。
【符号の説明】
【0053】
100 蓄電池モジュール
110 セル積層体
200 電池容器
210 プレート
220 カバー
230 内部空間
1 蓄電池セル
11 セル本体
10 電極積層体
2 正極
3 負極
4 正極タブ
5 負極タブ
6 セパレータ
7 電解液
8 外装体
80 シート材
81 基材層
82 樹脂層
83 保護層
9 固定具
91 圧接部
92 案内部
92a 上面
92b 下面
93 基部
94 端子
S シール部

図1
図2
図3
図4
図5
図6