特開2020-7760(P2020-7760A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 朝日航洋株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社北海道朝日航洋の特許一覧

特開2020-7760ひび割れ検出装置、ひび割れ検出方法およびひび割れ検出プログラム
<>
  • 特開2020007760-ひび割れ検出装置、ひび割れ検出方法およびひび割れ検出プログラム 図000003
  • 特開2020007760-ひび割れ検出装置、ひび割れ検出方法およびひび割れ検出プログラム 図000004
  • 特開2020007760-ひび割れ検出装置、ひび割れ検出方法およびひび割れ検出プログラム 図000005
  • 特開2020007760-ひび割れ検出装置、ひび割れ検出方法およびひび割れ検出プログラム 図000006
  • 特開2020007760-ひび割れ検出装置、ひび割れ検出方法およびひび割れ検出プログラム 図000007
  • 特開2020007760-ひび割れ検出装置、ひび割れ検出方法およびひび割れ検出プログラム 図000008
  • 特開2020007760-ひび割れ検出装置、ひび割れ検出方法およびひび割れ検出プログラム 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-7760(P2020-7760A)
(43)【公開日】2020年1月16日
(54)【発明の名称】ひび割れ検出装置、ひび割れ検出方法およびひび割れ検出プログラム
(51)【国際特許分類】
   E01C 23/01 20060101AFI20191213BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20191213BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20191213BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20191213BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20191213BHJP
【FI】
   E01C23/01
   G08G1/00 J
   G06T1/00 330A
   G06T7/00 650A
   G01N21/88 J
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-128858(P2018-128858)
(22)【出願日】2018年7月6日
(11)【特許番号】特許第6473844号(P6473844)
(45)【特許公報発行日】2019年2月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000213909
【氏名又は名称】朝日航洋株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】518241861
【氏名又は名称】株式会社北海道朝日航洋
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 清
(72)【発明者】
【氏名】杉山 史典
(72)【発明者】
【氏名】山本 和朋
(72)【発明者】
【氏名】石井 将史
【テーマコード(参考)】
2D053
2G051
5B057
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
2D053AA32
2D053AA34
2D053AD01
2D053FA02
2G051AA90
2G051AB03
2G051CA04
2G051CB01
2G051EA11
2G051EA16
2G051EA17
2G051EA23
2G051EB09
2G051ED09
5B057AA16
5B057BA02
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CE11
5B057CE12
5B057DA03
5B057DA12
5B057DB02
5B057DB09
5B057DC04
5B057DC23
5B057DC40
5H181AA01
5H181CC04
5L096AA06
5L096BA04
5L096CA02
5L096EA43
5L096FA32
5L096FA33
5L096FA37
5L096FA59
5L096GA19
5L096GA51
5L096JA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】排水性舗装のひび割れを精度よく判定することが可能なひび割れ検出装置を提供する。
【解決手段】ひび割れ検出装置は、舗装路面の撮影画像に基づいて舗装路面が排水性舗装か否かを判定する判定部と、判定部の判定結果に基づいて画像処理を実行する画像処理部と、画像処理部の画像処理結果に基づいて、舗装路面のひび割れを検出する検出部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装路面の撮影画像に基づいて前記舗装路面が排水性舗装か否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて画像処理を実行する画像処理部と、
前記画像処理部の画像処理結果に基づいて、前記舗装路面のひび割れを検出する検出部とを備える、ひび割れ検出装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記撮影画像の陰領域とそれ以外の領域とを2値化処理する2値化処理部と、
前記陰領域の面積を集計する集計部と、
前記集計部により集計した面積値が所定値以上であるか否かを判定する面積判定部とを含む、請求項1記載のひび割れ検出装置。
【請求項3】
前記面積判定部は、前記集計部により集計した面積値が所定値以上であると判断した場合には、前記舗装路面は排水性舗装路面と判定する、請求項2記載のひび割れ検出装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記撮影画像の全体に対して色調補正処理する、請求項2記載のひび割れ検出装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、前記判定部の判定結果として前記舗装路面が排水性舗装路面であると判定した場合には、所定面積以下の前記撮影画像の陰領域に対して色調補正処理する、請求項3記載のひび割れ検出装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記画像処理部により補正された前記撮影画像の輝度の変化に基づいてひび割れを検出する、請求項5記載のひび割れ検出装置。
【請求項7】
前記検出部は、機械学習により前記舗装路面のひび割れを検出する、請求項1記載のひび割れ検出装置。
【請求項8】
前記撮影画像をパッチ単位に分割し、前記パッチ画像と、前記パッチ画像に含まれる変状箇所と非変状箇所とを示す2値画像とを関連付けた前記機械学習の教師データとして生成するデータ生成部をさらに備える、請求項7記載のひび割れ検出装置。
【請求項9】
舗装路面の撮影画像に基づいて前記舗装路面が排水性舗装か否かを判定するステップと、
判定結果に基づいて画像処理を実行するステップと、
画像処理結果に基づいて、前記舗装路面のひび割れを検出するステップとを備える、ひび割れ検出方法。
【請求項10】
コンピュータを、ひび割れ検出装置として機能させるためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータに、
舗装路面の撮影画像に基づいて前記舗装路面が排水性舗装か否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて画像処理を実行する画像処理部と、
前記画像処理部の画像処理結果に基づいて、前記舗装路面のひび割れを検出する検出部として、機能させる、ひび割れ検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、舗装路面に関し、舗装路面のひび割れの検出方式に関する。
【背景技術】
【0002】
事故を未然に防ぐため、舗装路面にひび割れなどが発生していないかを検査することが必要である。
【0003】
従来の検査方式としては、目視点検により行われていたが、このような検査は手間もコストもかかるという問題がある。
【0004】
近年ではレーザ測距儀やビデオカメラなどのセンサを搭載した計測車両を用いて検査することにより検査の効率化が進められている。
【0005】
特許文献1には、車載用の舗装路面巡視装置が提案されている。舗装路面巡視装置によれば、安全かつ簡易に路面の検査に必要な情報を収集することができる。
【0006】
具体的には、アスファルト舗装を撮影した像を解析することにより、路面のひび割れを自動で検出する。この手法によれば、ユーザの目視によるひび割れの検出と比較して、均一な基準で高精度にひび割れを検出することが可能になる。
【0007】
特許文献2には、画像解析に際して、例えば輝度の変化に基づいてひび割れの有無を判断する方式が開示されている。
【0008】
一方で、舗装路面には種々の材質が用いられており、近年では、密粒度の舗装路面ではなく、排水性の舗装路面(排水性舗装路面とも称する)が増加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許6294529号
【特許文献2】特開2018−87484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
排水性舗装路面は、排水性能を向上させるために骨材間に空隙が設けられた構造を有している。したがって、従来方式のように、画像解析による輝度の変化に基づいてひび割れの有無を判断する場合には、骨材間の空隙もひび割れとして判断する可能性がある。
【0011】
本開示は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、排水性舗装のひび割れを精度よく判定することが可能なひび割れ検出装置、ひび割れ検出方法およびひび割れ検出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ある局面に従うひび割れ検出装置は、舗装路面の撮影画像に基づいて舗装路面が排水性舗装か否かを判定する判定部と、判定部の判定結果に基づいて画像処理を実行する画像処理部と、画像処理部の画像処理結果に基づいて、舗装路面のひび割れを検出する検出部とを備える。
【0013】
好ましくは、判定部は、撮影画像の陰領域とそれ以外の領域とを2値化処理する2値化処理部と、陰領域の面積を集計する集計部と、集計部により集計した面積値が所定値以上であるか否かを判定する面積判定部とを含む。
【0014】
好ましくは、面積判定部は、集計部により集計した面積値が所定値以上であると判断した場合には、舗装路面は排水性舗装路面と判定する。
【0015】
好ましくは、画像処理部は、撮影画像の全体に対して色調補正処理する。
好ましくは、画像処理部は、判定部の判定結果として舗装路面が排水性舗装路面であると判定した場合には、所定面積以下の撮影画像の陰領域に対して色調補正処理する。
【0016】
好ましくは、検出部は、画像処理部により補正された撮影画像の輝度の変化に基づいてひび割れを検出する。
【0017】
好ましくは、検出部は、機械学習により舗装路面のひび割れを検出する。
好ましくは、撮影画像をパッチ単位に分割し、パッチ画像と、パッチ画像に含まれる変状箇所と非変状箇所とを示す2値画像とを関連付けた機械学習の教師データとして生成するデータ生成部をさらに備える。
【0018】
ある局面に従うひび割れ検出方法であって、舗装路面の撮影画像に基づいて舗装路面が排水性舗装か否かを判定するステップと、判定結果に基づいて画像処理を実行するステップと、画像処理結果に基づいて、舗装路面のひび割れを検出するステップとを備える。
【0019】
ある局面に従うコンピュータを、ひび割れ検出装置として機能させるためのプログラムであって、プログラムは、コンピュータに、舗装路面の撮影画像に基づいて舗装路面が排水性舗装か否かを判定する判定部と、判定部の判定結果に基づいて画像処理を実行する画像処理部と、画像処理部の画像処理結果に基づいて、舗装路面のひび割れを検出する検出部として、機能させる。
【発明の効果】
【0020】
本開示のひび割れ検出装置、ひび割れ検出方法およびひび割れ検出プログラムは、ひび割れを精度よく判定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態1に従うひび割れ検出装置10について説明する図である。
図2】実施形態1に基づく撮像画像に対する色調補正処理について説明する図である。
図3】実施形態1に基づく2値化処理について説明する図である。
図4】実施形態1に従う画像処理部23における排水性舗装路面の画像データに対する画像処理について説明する図である。
図5】実施形態1に従うひび割れ検出装置10の処理のフローを説明する図である。
図6】実施形態2に従うひび割れ検出装置11を説明する図である。
図7】実施形態2に従う教師データを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0023】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に従うひび割れ検出装置10について説明する図である。
【0024】
図1を参照して、ひび割れ検出装置10は、CPU(Central Processing Unit)20と、表示部14と、メモリ16と、操作部18とを含む。
【0025】
CPU20は、ひび割れ検出装置10全体を制御する。
CPU20は、メモリ16に格納されているプログラムを実行することにより種々の機能ブロックを実現する。
【0026】
具体的には、CPU20は、データ取得部21と、検出部22と、画像処理部23と、判定部25とを含む。
【0027】
メモリ16は、コンピュータに内蔵されるROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクなどの記憶装置である。メモリ16は、データ取得部21、検出部22、画像処理部23および判定部25の処理プログラムを含む各種プログラムや各種データを記憶し、CPU20との間でこれらの情報を入出力する。
【0028】
表示部14は、液晶モニタ等の画像表示装置である。操作部18は、キーボードやマウスなどで構成される。
【0029】
ひび割れ検出装置10は、取得した舗装路面の撮像画像に基づいてひび割れを検出する。
【0030】
本例においては、一例としてラインセンサカメラを車両に搭載して、舗装路面を撮像した撮像画像を用いる場合について説明する。なお、舗装路面は、一例として車両が走行する道路等のアスファルト舗装路面について説明するが、特に道路に限られず舗装された路面であればどのような用途の路面にも適用可能である。また、ラインセンサカメラに限られず、他のカメラ等を用いた撮影画像を用いることも可能である。
【0031】
データ取得部21は、ラインセンサカメラによる撮像画像である画像データを取得する。当該画像データは、メモリ16に予め格納されていても良いし、ネットワークを介して外部のサーバから取得するようにしても良い。
【0032】
検出部22は、撮像画像に含まれる舗装路面のひび割れを検出する。
画像処理部23は、舗装路面の画像データに対して所定の画像処理を実行する。具体的には、画像処理部23は、舗装路面の画像データに対して色調を補正する色調補正処理を実行する。
【0033】
判定部25は、撮像画像の舗装路面が排水性舗装路面か否かを判定する。
判定部25は、2値化処理部26と、集計部27と、面積判定部28とを含む。
【0034】
2値化処理部26は、舗装路面の撮影画像の画像データに基づいて2値化処理を実行する。
【0035】
集計部27は、2値化処理されたデータに基づいて陰領域の面積を集計する。
面積判定部28は、集計された陰領域の面積が所定の面積値以上か否かを判定し、所定の面積値以上であれば排水性舗装路面と判定する。
【0036】
図2は、実施形態1に基づく撮像画像に対する色調補正処理について説明する図である。
【0037】
図2を参照して、画像処理部23における色調補正処理について説明する。
図2(A)に示されるように色調補正処理部30は、色調補正処理の対象とする画像領域全体の輝度値のヒストグラムの平均値と標準偏差とを算出する。
【0038】
ここでは、一例として平均値Mwおよび標準偏差Swが算出された場合が示されている。
【0039】
次に、図2(B)に示されるように色調補正処理部30は、画像領域を複数の小領域に分割して、各領域毎の輝度値のヒストグラムの平均値と標準偏差とを算出する。
【0040】
ここでは、一例としてある小領域Pの輝度値のヒストグラムの平均値M1および標準偏差S1が算出された場合が示されている。また、小領域Qの輝度値のヒストグラムの平均値M2および標準偏差S2が算出された場合が示されている。
【0041】
そして、小領域毎の輝度値のヒストグラムの平均値と標準偏差とを画像領域全体の輝度値のヒストグラムの平均値と標準偏差とに合わせるように補正処理を実行する。
【0042】
具体的には、小領域Pに従う補正係数a1,b1と、小領域Qに従う補正係数a2,b2とを算出する。
【0043】
補正係数a1=Mw/M1
補正係数b1=Mw−a1×M1
補正係数a2=Mw/M2
補正係数b2=Mw−a2×M2
図2(C)には、小領域Pに従う補正係数a1,b1と、小領域Qに従う補正係数a2,b2と、小領域Rに従う補正係数a3,b3と、小領域Sに従う補正係数a4,b4とが示されている。
【0044】
図2(D)には、算出した補正係数を用いて任意の画素に対して共一次内挿法により色調補正処理を実行した場合が示されている。
【0045】
画像データの一部が暗い場合であっても当該色調補正処理により平滑化された画像データに補正することが可能である。
【0046】
図3は、実施形態1に基づく2値化処理について説明する図である。
図3を参照して、ここでは、排水性舗装路面に対する2値化処理と、密粒度舗装路面に対する2値化処理の結果とが示されている。
【0047】
図3(A)には、平滑化された排水性舗装路面の画像データの一部領域(点線領域)に対して2値化処理部26による2値化処理の結果が示されている。具体的には、2値化処理部26は、判別分析法を用いて画像データに対して2値化処理を実行する。ここでは、滑剤に対応する黒領域と、滑剤間の空隙に対応する白領域とに2値化した場合が示されている。そして、さらに反転表示されている。すなわち、空隙に対応する部分に色が付加されている。
【0048】
ここでは、滑剤間の空隙領域の面積が大きい領域が多数出現している。なお、本例においては2値化処理部26は、判別分析法を用いて2値化処理する方式について説明したが、特にこれに限られず、輝度値に従って2値化処理しても良く、最適な方式を採用することが可能である。
【0049】
図3(B)には、平滑化された密粒度舗装路面の画像データの一部領域(点線領域)に対して2値化処理部26による2値化処理の結果が示されている。具体的には、2値化処理部26は、判別分析法を用いて画像データに対して2値化処理を実行する。ここでは、滑剤に対応する黒領域と、滑剤間の空隙に対応する白領域とに2値化した場合が示されている。そして、さらに反転表示されている。すなわち、空隙に対応する部分に色が付加されている。
【0050】
ここでは、滑剤間の空隙領域の面積が小さい領域が多数出現している。
当該図に示されるように、空隙領域の面積を集計して所定値と比較することにより、舗装路面の種別を判別することが可能である。
【0051】
実施形態1においては、滑剤間の空隙領域の面積を集計して所定値と比較し、所定値以上であれば排水性舗装路面と判定する。所定値は、任意の値に設定することが可能である。
【0052】
図4は、実施形態1に従う画像処理部23における排水性舗装路面の画像データに対する画像処理について説明する図である。
【0053】
図4を参照して、画像処理部23は、上述した図2で説明した方式に従って画像領域全体に対して色調補正処理を実行する。これにより、平滑化した画像データに補正される。
【0054】
判定部25は、画像領域全体に対して色調補正処理した画像データに対して2値化処理を実行する。そして、2値化処理後、空隙領域の面積を集計する。集計された空隙領域の面積が所定の面積値以上か否かを判定する。本例においては、集計された空隙領域の面積が所定の面積値以上であるとして排水性舗装路面であると判定する。
【0055】
画像処理部23は、排水性路面であるとの判定結果に基づいて、空隙領域に対して色調補正処理を実行する。
【0056】
具体的には、画像処理部23は、排水性舗装路面の画像データに対して所定の面積以下の空隙領域(陰領域)を抽出する。所定の面積は、シミュレーション等を用いて空隙領域の中央値等の値に適宜設定することが可能である。
【0057】
画像処理部23は、抽出された空隙領域に対して、再度、色調補正処理を実行する。
具体的には、図2で説明したのと同様の色調補正処理を実行する。
【0058】
空隙領域の輝度値のヒストグラムの平均値と標準偏差を算出し、画像領域全体の輝度値のヒストグラムの平均値と標準偏差とに合わせるように補正処理を実行する。
【0059】
当該色調補正処理により、骨材間の空隙領域がさらに平滑化された画像データに補正することが可能である。すなわち、骨材間の空隙領域以外のひび割れ領域が顕在化した画像データに補正される。
【0060】
そして、当該色調補正処理した画像データに対してひび割れ検出を実行する。
具体的には、検出部22は、舗装路面の画像データに含まれる舗装路面のひび割れを検出する。検出部22は、一例として輝度の変化に基づいてひび割れの有無を判断することが可能である。
【0061】
図5は、実施形態1に従うひび割れ検出装置10の処理のフローを説明する図である。
図5を参照して、CPU20は、舗装路面の画像データに対して色調補正処理を実行する(ステップS0)。具体的には、色調補正処理部30は、図2で説明したように舗装路面の画像データ全体に対して共一次内挿法を用いた色調補正処理を実行する。
【0062】
次に、CPUY20は、舗装路面の画像データに対して2値化処理を実行する。具体的には、2値化処理部26は、図3で説明したように、色調補正処理された画像データに対して判別分析法を用いた2値化処理を実行する。
【0063】
次に、CPU20は、空隙領域(陰領域)の面積を集計する(ステップS4)。
具体的には、集計部27は、2値化処理により分別された滑剤間の空隙領域の面積を集計する。
【0064】
次に、CPU20は、空隙領域(陰領域)の面積が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS6)。面積判定部28は、集計部27により集計された滑剤間の空隙領域が所定値以上であるか否かを判定する。
【0065】
ステップS6において、CPU20は、空隙領域(陰領域)の面積が所定値以上であると判断した場合(ステップS6においてYES)には、排水性舗装路面と判定する(ステップS8)。面積判定部28は、集計部27により集計された滑剤間の空隙領域が所定値以上であると判断した場合に排水性舗装路面と判定する。
【0066】
次に、CPU20は、空隙領域(陰領域)を抽出する(ステップS10)。
具体的には、画像処理部23は、図4で説明したように、排水性舗装路面と判定された画像データに対して空隙領域(陰領域)を抽出する。
【0067】
次に、CPU20は、空隙領域(陰領域)の画像データに対して色調補正処理を実行する(ステップS12)。具体的には、画像処理部23は、排水性舗装路面と判定された空隙領域の画像データに対して共一次内挿法を用いた色調補正処理を実行する。すなわち、空隙領域の輝度値のヒストグラムの平均値と標準偏差を算出し、画像領域全体の輝度値のヒストグラムの平均値と標準偏差とに合わせるように補正処理を実行する。
【0068】
次に、CPU20は、ひび割れ検出を実行する(ステップS14)。具体的には、検出部22は、色調補正処理された画像データに基づいて舗装路面のひび割れを検出する。具体的には、一例として輝度の変化に基づいてひび割れの有無を判断して、当該領域を抽出することが可能である。
【0069】
そして、処理を終了する(エンド)。
一方で、ステップS6において、CPU20は、空隙領域(陰領域)の面積が所定値未満であると判断した場合(ステップS6においてNO)には、ステップS8以降の処理をスキップして、ステップS14に進む。以降の処理は同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
【0070】
実施形態1に従う方式は、2値化処理により空隙領域を特定して、当該空隙領域の面積を集計することにより排水性舗装路面か否かを判定する。そして、排水性舗装路面であると判定した場合には、当該空隙領域を抽出し、当該抽出した空隙領域に対して色調補正処理を実行する。当該処理により、骨材間の空隙領域が平滑化された画像データ、すなわち、骨材間の空隙領域以外のひび割れ領域が顕在化した画像データに補正される。
【0071】
これにより、空隙領域(陰領域)がひび割れと判断されることを抑制することが可能であり、排水性舗装のひび割れを精度よく判定することが可能である。
【0072】
(実施形態2)
実施形態2においては、機械学習によりひび割れ検出を効率的に実行する方式について説明する。
【0073】
図6は、実施形態2に従うひび割れ検出装置11を説明する図である。
図6を参照して、ひび割れ検出装置11は、CPU20をCPU20#に置換した点が異なる。その他の構成については同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
【0074】
CPU20#は、CPU20と比較してデータ生成部40をさらに含む。
データ生成部40は、機械学習で用いる教師データを作成する。
【0075】
図7は、実施形態2に従う教師データを説明する図である。
図7に示されるように、データ生成部40は、画像データを小領域(パッチ単位)に分割し、各パッチに含まれる変状(ひび割れ)箇所と非変状箇所とを示す2値画像と、対応する画像とを関連付けた教師データを生成する。ここでは、一例として20個の教師データを生成した場合が示されている。
【0076】
変状箇所と非変状箇所とを示す2値画像は、検出部22の検出結果に基づいて生成しても良いし、管理者が操作部18を用いて当該箇所をマーキングすることにより生成しても良い。
【0077】
また、データ生成部40は、教師データを機械学習により追加する。
検出部22は、機械学習により生成された教師データを用いて、例えばパターンマッチング等を利用してひび割れを検出することが可能である。
【0078】
当該構成により、ひび割れ検出を効率的に実行することが可能である。
また、本実施形態におけるプログラムとして、パーソナルコンピュータで実行可能なアプリケーションを提供してもよい。このとき、本実施の形態に係るプログラムは、パーソナルコンピュータ上で実行される各種アプリケーションの一部の機能として組み込まれてもよい。
【0079】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0080】
10,11 ひび割れ検出装置、14 表示部、16 メモリ、18 操作部、21 データ取得部、22 検出部、23 画像処理部、25 判定部、26 2値化処理部、27 集計部、28 面積判定部、40 データ生成部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2018年11月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装路面の撮影画像に基づいて前記舗装路面が排水性舗装か否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて画像処理を実行する画像処理部と、
前記画像処理部の画像処理結果に基づいて、前記舗装路面のひび割れを検出する検出部とを備え
前記画像処理部は、
前記判定部の判定結果として前記舗装路面が排水性舗装路面である場合には、前記撮影画像の所定面積以下の陰領域に対して色調補正処理し、
前記判定部の判定結果として前記舗装路面が排水性舗装路面でない場合には、前記撮影画像の所定面積以下の陰領域に対して色調補正処理しない、ひび割れ検出装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記撮影画像の陰領域とそれ以外の領域とを2値化処理する2値化処理部と、
前記陰領域の面積を集計する集計部と、
前記集計部により集計した面積値が所定値以上であるか否かを判定する面積判定部とを含む、請求項1記載のひび割れ検出装置。
【請求項3】
前記面積判定部は、前記集計部により集計した面積値が所定値以上であると判断した場合には、前記舗装路面は排水性舗装路面と判定する、請求項2記載のひび割れ検出装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記撮影画像の全体に対して共一次内挿法を用いた色調補正処理する、請求項2記載のひび割れ検出装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記画像処理部により補正された前記撮影画像の輝度の変化に基づいてひび割れを検出する、請求項記載のひび割れ検出装置。
【請求項6】
前記検出部は、機械学習により前記舗装路面のひび割れを検出する、請求項記載のひび割れ検出装置。
【請求項7】
前記撮影画像をパッチ単位に分割し、前記パッチ画像と、前記パッチ画像に含まれる変状箇所と非変状箇所とを示す2値画像とを関連付けた前記機械学習の教師データとして生成するデータ生成部をさらに備える、請求項記載のひび割れ検出装置。
【請求項8】
舗装路面の撮影画像に基づいて前記舗装路面が排水性舗装か否かを判定するステップと、
判定結果に基づいて画像処理を実行するステップと、
画像処理結果に基づいて、前記舗装路面のひび割れを検出するステップとを備え、
前記画像処理を実行するステップは、
前記判定結果として前記舗装路面が排水性舗装路面である場合には、前記撮影画像の所定面積以下の陰領域に対して色調補正処理するステップと、
前記判定結果として前記舗装路面が排水性舗装路面でない場合には、前記撮影画像の所定面積以下の陰領域に対して色調補正処理しないステップを含む、ひび割れ検出方法
【請求項9】
コンピュータを、ひび割れ検出装置として機能させるためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータに、
舗装路面の撮影画像に基づいて前記舗装路面が排水性舗装か否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて画像処理を実行する画像処理部と、
前記画像処理部の画像処理結果に基づいて、前記舗装路面のひび割れを検出する検出部として、機能させ、
前記画像処理部は、
前記判定部の判定結果として前記舗装路面が排水性舗装路面である場合には、前記撮影画像の所定面積以下の陰領域に対して色調補正処理し、
前記判定部の判定結果として前記舗装路面が排水性舗装路面でない場合には、前記撮影画像の所定面積以下の陰領域に対して色調補正処理しない、ひび割れ検出プログラム