【課題】路面に対して幅方向に屈曲部を有する掘削溝を形成した場合であっても、路面覆工作業において作業者の負担を軽減した路面覆工作業を可能とする幅変更用路面覆工ユニットを提供する。
【解決手段】幅変更用路面覆工ユニット1は、路面に対して路面の幅方向に屈曲部を有する掘削溝を形成して行う工事の路面覆工作業に用いられる。路面覆工用ユニット1は、掘削溝の幅方向の両側部分において掘削溝の延出方向に沿って複数並ぶように配置される複数の山留め部材10を備えている。また、掘削溝の屈曲部の側方部分に配置され、掘削溝の幅方向に沿って延出し、屈曲部を間に挟む位置にある第1山留め部材10a及び第2山留め部材10bの双方の端部同士を連結する幅変更部材50を備えている。
前記幅変更部材は、前記第1山留め部材及び前記第2山留め部材の双方の端部に締結部材によって締結されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の幅変更用路面覆工ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、路面に対し掘削溝を形成するにあたって、路面の状況(例えば、路面の一部に電柱が予め埋められている状況や、マンホールが形成されている状況等)によっては、必ずしも路面に沿って直線的に、すなわち長方形状又は正方形状の掘削溝を形成することができない場合がある。
上記の場合には、特許文献1や特許文献2のような路面覆工方法をそのまま採用することができないため、例えば、路面に対して幅方向に屈曲部のある掘削溝(拡幅または減幅する掘削溝)を形成した後は、作業者が現場レベルでH型鋼やL型鋼を加工し適宜組み合わせて溶接する等して対応していた。
そのため、路面覆工作業において作業者の負担を軽減することが可能な路面覆工ユニットが求められていた。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、路面に対して路面の幅方向に屈曲部を有する掘削溝を形成した場合であっても、路面覆工作業において作業者の負担を軽減した路面覆工作業を可能とする幅変更用路面覆工ユニットを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、路面覆工作業において山留め効果を十分に発揮することが可能な幅変更用路面覆工ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、本発明の幅変更用路面覆工ユニットによれば、路面に対して該路面の幅方向において屈曲部を有する掘削溝を形成して行う工事の路面覆工作業に用いられる路面覆工ユニットであって、前記掘削溝の幅方向の側方部分において前記掘削溝の延出方向に沿ってそれぞれ配置され、前記掘削溝の屈曲部を間に挟む位置にある第1山留め部材及び第2山留め部材と、前記掘削溝の屈曲部の側方部分に設けられ、前記掘削溝の幅方向に沿って延出し、前記第1山留め部材及び前記第2山留め部材の双方の端部同士を連結する幅変更部材と、を備えていること、により解決される。
上記構成により、路面に対して路面の幅方向に屈曲部を有する掘削溝を形成した場合であっても、路面覆工作業において当該屈曲部分に対する山留め効果を発揮しながら、従来よりも作業者の負担を軽減した路面覆工ユニットを実現することができる。
【0009】
このとき、前記第1山留め部材及び前記第2山留め部材を含む複数の山留め部材を備え、該複数の山留部材は、前記掘削溝の幅方向の両側部分において前記掘削溝の延出方向に沿って複数並ぶように配置されていると良い。
上記構成により、路面に対して幅方向に屈曲部を有する掘削溝を形成した場合であっても、路面覆工作業において山留め効果を十分に発揮することが可能な路面覆工ユニットを実現できる。
【0010】
このとき、前記山留め部材は、前記掘削溝の延出方向に長尺な部材であって、前記掘削溝の側方部分に沿うように配置される縦壁と、該縦壁の下端部分から前記掘削溝の幅方向の中央側に向かって延出する底壁と、前記山留め部材の延出方向の端部分に設けられ、前記縦壁及び前記底壁の双方に当接した位置に配置される横壁と、を有し、前記幅変更部材は、前記第1山留め部材及び前記第2山留め部材の双方の前記横壁の外側面同士を連結していると良い。
上記構成により、シンプルな配置、形状で、掘削溝の屈曲部に対して山留め部材及び幅変更部材を設置可能な路面覆工ユニットとなる。
【0011】
このとき、前記幅変更部材は、前記掘削溝の屈曲部の側方部分に沿うように配置される本体プレート部を有し、該本体プレート部は、前記第1山留め部材及び前記第2山留め部材の双方の前記縦壁に対して上下方向に沿って当接するように配置されていると良い。
上記構成により、掘削溝の幅方向の両側部分、及び屈曲部の側方部分において、山留め部材及び幅変更部材が隙間なく配置されるため、掘削溝の幅方向の側方から土砂崩れや陥没が生じることを一層防止することができる(山留め効果を十分に発揮することができる)。
【0012】
このとき、前記幅変更部材は、前記本体プレート部から前記掘削溝の幅方向の中央側に向かって張り出すように延出する補助プレート部を有し、該補助プレート部は、前記本体プレート部に取り付けられる一端部と、前記第1山留め部材及び前記第2山留め部材のうちいずれか一方に取り付けられる他端部と、を有していると良い。
また、前記第1山留め部材が、前記第2山留め部材よりも前記掘削溝の幅方向において外側に位置するとき、前記本体プレート部は、前記第1山留め部材の前記横壁の外側面に当接するように取り付けられ、前記補助プレート部の前記他端部は、前記第2山留部材の前記横壁の外側面に当接するように取り付けられると良い。
上記構成により、作業者が、シンプルな構成で山留め部材及び幅変更部材を隙間なく配置することができる。また作業者が、第1山留部材、第2山留部材それぞれに対する幅変更部材(補助プレート部含む)の取り付け作業を掘削溝の中央側から実施し易くなる。そのため、作業者が取り付け位置を目視確認し易くなり、かつ、取り付け作業スペースを確保し易くなる。
【0013】
このとき、前記本体プレート部は、連結プレートであって、前記補助プレート部は、前記連結プレートとは別体で設けられた補助プレートであると良い。
上記構成により、幅変更部材の設計の自由度が広がり、よりシンプルな形状を実現することができる。
【0014】
このとき、前記幅変更部材は、前記第1山留め部材及び前記第2山留め部材の双方の端部に締結部材によって締結されていると良い。
上記構成により、作業者が、第1山留部材、第2山留部材それぞれに対する幅変更部材の取り付け作業をより効率良く実施することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、路面に対して路面の幅方向に屈曲部を有する掘削溝を形成した場合であっても、路面覆工作業において作業者の負担を軽減した路面覆工作業を可能とする幅変更用路面覆工ユニットを提供することができる。
また、路面覆工作業において山留め効果を十分に発揮することが可能な幅変更用路面覆工ユニットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る幅変更用路面覆工ユニット(以下、路面覆工ユニットという。)について
図1〜
図12A、Bを参照しながら説明する。
本実施形態は、路面に対して路面の幅方向に屈曲部を有する掘削溝を形成して行う工事の路面覆工作業に用いられる路面覆工ユニットであって、掘削溝の幅方向の両側部分において掘削溝の延出方向に沿って複数並ぶように配置される複数の山留め部材と、掘削溝の屈曲部の側方部分に配置され、掘削溝の幅方向に沿って延出し、屈曲部を間に挟む位置にある第1山留め部材及び第2山留め部材の双方の端部同士を連結する幅変更部材と、を備えていることを特徴とする路面覆工ユニットの発明に関するものである。
【0018】
本実施形態の路面覆工ユニット1は、
図1に示すように、路面に対して屈曲部を有する掘削溝Aを形成して行う工事、例えば、埋設管Bを地中に設置する工事(埋設工事)において路面覆工のために用いられる。
掘削溝Aとは、地面を構成する舗装層A1及び土層A2を掘削することで形成される平面視で略長方形状の溝である。
詳しく言うと、掘削溝Aは、底壁と、底壁から略垂直に立ち上がり、四方に位置する4つの側壁とを有している。4つの側壁のうち、掘削溝Aの幅方向の両側に位置する一対の側壁は、互いに対向し掘削溝Aの延出方向に沿って延びている。残りの側壁は、掘削溝Aの延出方向の一端及び他端に位置し、掘削溝Aの幅方向に沿って延びている。
また掘削溝Aは、屈曲部を有し当該屈曲部における側壁をさらに有している。
【0019】
路面覆工ユニット1は、
図1、
図3に示すように、掘削溝Aの幅方向の両側壁において互いに対向するように配置され、掘削溝Aの延出方向に沿って複数並ぶように設置される山留め部材10と、
図1、
図4に示すように、掘削溝Aの延出方向の両側壁に配置され、一対の山留め部材10上に設置される山留め端部部材20と、
図1、
図7に示すように、掘削溝Aの延出方向の中間部分に配置され、一対の山留め部材10上に設置される受桁30と、
図1、
図8に示すように、山留め端部部材20及び受桁30上に設置される覆工板40と、を備えている。
また路面覆工ユニット1は、
図1、
図5〜
図6A、Bに示すように、掘削溝Aの屈曲部の側壁に設けられ、当該屈曲部を間に挟む位置に配置される第1山留め部材10(10a)及び第2山留め部材10(10b)の双方の端部同士を連結するための幅変更部材50を備えている。
なお、本実施形態は、覆工板縦置き工法における路面覆工ユニット1である。
【0020】
上記構成において、路面覆工ユニット1を用いた路面覆工構造では、
図1に示すように、覆工板40上面がその周囲に位置する路面と連続して設置される。
そのため、覆工板40によって掘削溝Aの開口が塞がれているときには、歩行者等は、覆工板40の上面と路面との間で躓くことなく良好に歩行することが可能である。
一方で、工事が行われるときには覆工板40が撤去され、掘削溝Aの開口が露出した状態で埋設管Bの埋設工事が行われる。具体的には、まず掘削溝Aの底壁を掘削して布掘り溝を形成する。続いて布掘り溝の両側壁に沿って矢板2を打ち込み、作業空間を確保する。対向する矢板2の間には不図示の切梁等を支保工として横架する。その後、布掘り溝の底に埋設管B設置用の基礎を打設し、当該基礎上に埋設管Bを設置する。
なお、工事中は、通行人等が掘削溝A内に転落しないように掘削溝Aの際位置に安全柵3が立設される。安全柵3は、山留め部材10に対して組み付けられる。
【0021】
山留め部材10は、
図3に示すように、掘削溝Aの幅方向の両側壁において山留め効果を発揮するための略L字型鋼材からなる部材であって、互いに隣り合う山留め部材10同士が、締結ボルト等の締結部材によって締結されている。
山留め部材10は、掘削溝Aの延出方向に長尺な部材であって、上下方向に延出し、掘削溝Aの幅方向の側壁に沿うように配置される縦壁11と、縦壁11の下端部分から掘削溝Aの幅方向の中央側に向かって延出する底壁12と、底壁12上において山留め部材10の延出方向の端部に設けられ、縦壁11及び底壁12の双方に当接した位置に配置される横壁13と、を有している。
【0022】
縦壁11は、山留め部材10の山留効果を発揮する略長方形状の壁部であって、掘削溝Aの幅方向の側壁に対して対向するように配置される。
底壁12は、山留め端部部材20及び受桁30を下方から支持する略長方形状の壁部であって、掘削溝Aの底壁上に載置される。
横壁13は、隣り合う山留め部材10同士を連結するための略台形形状の壁部であって、縦壁11及び底壁12を補強する壁部としても機能する。
横壁13の側面には複数の締結穴13aが形成されており、締結穴13aには締結ボルトが締結される。締結された締結ボルトにナットを螺合することで横壁13同士が連結され、山留め部材10同士が締結されるようになる。
山留め部材10には、その長手方向の両端部に横壁13を有するタイプと、その長手方向の一端部にのみ横壁13を有するタイプとがある。
詳しく言うと、掘削溝Aの延出方向の始端及び末端に配置される山留め部材10は、その長手方向の両端部のうち、他の山留め部材10と隣り合う側の端部にのみ横壁13を有している。一方で、掘削溝Aの延出方向の両端以外に配置される山留め部材10は、その長手方向の両端部にそれぞれ横壁13を有している。
【0023】
また山留め部材10は、
図3に示すように、山留め部材10の延出方向に所定の間隔を空けて底壁12上に設けられ、縦壁11及び底壁12の双方に当接した位置に配置される補強部14と、山留め部材10の延出方向に所定の間隔を空けて縦壁11の前面上に設けられ、縦壁11から掘削溝Aの幅方向の中央側に向かって張り出すように配置される柵固定部15と、をさらに有している。
補強部14は、山留め効果を発揮するための縦壁11と、山留め端部部材20及び受桁30を支持するための横壁13とを補強する略台形形状の壁部である。
柵固定部15は、安全柵3を設置するための断面略V字形状の金具部分であって、そのV字形状の末端部分を縦壁11の内側面に固着することで縦壁11に固定されている。
柵固定部15には筒状の開口が形成され、当該開口に対し安全柵3の支柱を挿通することで、安全柵3が山留め部材10に組み付けられる。
【0024】
山留め端部部材20は、
図4に示すように、掘削溝Aの延出方向の両側壁において山留め効果を発揮する鋼材であって、一対の山留め部材10の間に配置され、これら山留め部材10の底壁12上に載置されている。
山留め端部部材20は、掘削溝Aの幅方向に長尺な部材であって、上下方向に延出し、掘削溝Aの延出方向の側壁に沿うように配置される縦壁21と、縦壁21の下端部分から掘削溝Aの延出方向の中央側に向かって延出する底壁22と、山留め端部部材20の延出方向に所定の間隔を空けて底壁22上に設けられ、縦壁21及び底壁22の双方に当接した位置に配置される補強部23と、補強部23上に形成され、山留め端部部材20の延出方向に沿って延びる台座部24と、を有している。
【0025】
縦壁21は、山留め端部部材20の山留効果を発揮する略長方形状の壁部であって、掘削溝Aの延出方向の側壁に対して対向するように配置されている。
縦壁21の長尺方向の両端部分は、底壁22、補強部23及び台座部24よりも長尺方向の外側に一部張り出すように形成されており、それぞれ張り出した部分が、一対の山留め部材10の延出方向の外側面にそれぞれ当接するように配置されている。
底壁22及び補強部23は、それぞれ台座部24を下方から支持する壁部である。底壁22の長尺方向の両端部分が一対の山留め部材10における底壁12上に載置される。
底壁22の延出方向における両端の外側面がそれぞれ山留め部材10の縦壁11に当接するように配置されている。また、複数の補強部23のうち、山留め端部部材20の両端に設けられた一対の補強部23の外側面もまた、縦壁11に当接するように配置される。
台座部24は、覆工板40の長尺方向の端部分を下方から支持する台座部分であって、台座部24の延出方向における両端の外側面がそれぞれ山留め部材10の縦壁11に当接するように配置されている。
【0026】
受桁30は、
図7、
図8に示すように、覆工板40の長尺方向の端部分を下方から支持するH型鋼からなる部材であって、掘削溝Aの幅方向に沿って延出し、その両端部分がそれぞれ山留め部材10の底壁12上に載置されている。
また受桁30は、掘削溝Aの延出方向において、対向する山留め部材10の横壁13によって間に挟まれる位置に配置されており、かつ、受桁30の長尺方向における両端の外側面が、対向する山留め部材10の縦壁11にそれぞれ当接するように配置されている。
受桁30の上面に覆工板40の端部分を載置するときには、掘削溝Aの延出方向において隣り合う覆工板40の端部分同士がそれぞれ受桁30の上面に上半分ずつ載置される。
【0027】
覆工板40は、
図8に示すように、矩形板状の鋼材であって、その上面が平坦面となって周囲に位置する路面と連続するように設置される。
覆工板40は、覆工板縦置き工法の場合には道路の進行方向に沿って並べられ、覆工板横置き工法の場合には道路の進行方向とは直交方向に並べられる。
本実施形態は、覆工板縦置き工法における路面覆工ユニット1を説明しているが、特に限定されることなく、覆工板横置き工法の場合であっても本路面覆工ユニット1を用いることができる。
【0028】
幅変更部材50は、
図5、
図6A、Bに示すように、掘削溝Aの屈曲部を間に挟む位置にある山留め部材10の端部同士を連結する略矩形板状の鋼材プレートであって、掘削溝Aの幅方向に長尺となるように延びている。
幅変更部材50は、掘削溝Aの屈曲部の側壁に沿うように配置される本体プレート部51と、本体プレート部51から掘削溝Aの幅方向の中央側に向かって一部張り出すように延出する補助プレート部52と、を有している。
【0029】
本体プレート部51は、矩形板状の連結プレートであって、
図6A、Bに示すように、掘削溝Aの幅方向に沿って延出しており、その延出方向における両端部分が、第1山留め部材10a及び第2山留め部材10bの双方の縦壁11に対して上下方向に沿って当接するように配置されている。
また、本体プレート部51の延出方向の両端部分には、それぞれ複数の締結穴51aが形成されている。
詳しく言うと、
図6A、Bに示すように、第1山留め部材10aが第2山留め部材10bよりも掘削溝Aの幅方向において外側に位置するとき、本体プレート部51の前面が第1山留め部材10aの縦壁11外側面に当接し、本体プレート部51の延出方向における外側面が第2山留め部材10bの縦壁11背面に当接するように構成されている。
また、本体プレート部51の前面が第1山留め部材10aの横壁13外側面に対して当接し、当該当接した部分(締結穴51aが形成された部分)が締結部材53によって連結されている。
【0030】
補助プレート部52は、本体プレート部51とは別体で設けられた矩形板状の補助プレートであって、本体プレート部51の前面に取り付けられる一端部52aと、山留め部材10の横壁13外側面に取り付けられる他端部52bと、を有している。
詳しく言うと、
図6A、Bに示すように、第1山留め部材10aが第2山留め部材10bよりも掘削溝Aの幅方向において外側に位置するとき、一端部52aが本体プレート部51のうち第2山留め部材10b側にある端部分に対して締結部材53で締結されており、他端部52bが第2山留め部材10bの横壁13外側面に対して締結部材53で締結されている。
【0031】
上記構成により、路面に対して幅方向に屈曲部を有する掘削溝を形成した場合であっても、路面覆工作業において山留め効果を十分に発揮することが可能な、シンプルな構成からなる路面覆工ユニット1を提供することができる。
【0032】
<路面覆工方法の手順>
次に、路面覆工ユニット1を用いた路面覆工方法について、
図2〜
図10に基づいて説明する。
本実施形態は、
図2に示すように、縦置き工法によって覆工板40を路面の進行方向に沿って2列、計5枚並べたときの路面覆工ユニット1の施工イメージを示す図である。
なお、路面覆工ユニット1を設置する際には、予め路面に対して掘削溝を形成する工程が必要である。具体的には、路面の表層に対しカット線を形成し、当該カット線に沿って舗装層A1及びその下の土層A2を掘削し、所望の掘削溝を形成することとなる。
【0033】
まず、
図3に示すように、掘削溝の延出方向の始端部において、その幅方向の両端部分に対し山留め部材10を互いに対向するようにそれぞれ設置する。
このとき、掘削溝の幅方向の両端部における側壁に対して縦壁11を対向させるように、一対の山留め部材10をそれぞれ設置する。
また、一対の山留め部材10それぞれの延出方向の一端部を掘削溝の延出方向の始端部に合わせるようにして、山留め部材10をそれぞれ設置する。
また、掘削溝の屈曲部がある側の山留め部材10の全長が他方の山留め部材10の全長よりも短くなるように、異なる全長からなる山留め部材10をそれぞれ設置する。
【0034】
次に、
図4に示すように、設置した一対の山留め部材10の間において、山留め部材10それぞれの底壁12上に山留め端部部材20を設置する。
このとき、掘削溝の延出方向の始端部における側壁に対して縦壁21を対向させるように、山留め端部部材20を設置する。
また、一対の山留め部材10の縦壁11の外側面に対し、山留め端部部材20の縦壁21前面を当接させるようにして山留め端部部材20を設置する。
【0035】
次に、
図5に示すように、一方の山留め部材10の背面に対し、幅変更部材50の外側面を当接させるようにして幅変更部材50を設置する。
このとき、掘削溝の屈曲部における側壁に対し本体プレート部51を対向させるように、幅変更部材50を設置する。
また、本体プレート部51と、山留め部材10の横壁13とを補助プレート部52によって連結させる。補助プレート部52を組み付ける際には、掘削溝の延出方向の内側から外側に向かう向きで締結部材53を締結する。
【0036】
次に、
図6に示すように、掘削溝の延出方向に沿って並ぶように一対の山留め部材10をそれぞれ設置する。
このとき、一方の山留め部材10を幅変更部材50に対して連結させ、また、他方の山留め部材10を、隣接した山留め部材10に対して連結させるように構成する。
詳しく言うと、一方の山留め部材10の横壁13と、本体プレート部51の前面とを当接させた状態で締結部材53を締結する。また、他方の山留め部材10の横壁13と、隣接した山留め部材10の横壁13とを当接させた状態で締結部材53を締結する。
【0037】
次に、
図7に示すように、1列目の全長の長い山留め部材10の底壁12上と、2列目の全長の長い山留め部材10の底壁12上とに受桁30を載置する。
このとき、掘削溝の延出方向において1列目の全長の長い山留め部材10の横壁13と、2列目の全長の長い山留め部材10の横壁13との間に挟まれるように、受桁30を載置する。
【0038】
次に、
図8に示すように、山留め端部部材20及び受桁30それぞれの上面に対して覆工板40を掘削溝の幅方向に並ぶように2枚載置する。
このとき、覆工板40の一端部を山留め端部部材20の台座部24上に載置し、かつ、覆工板40の他端部を受桁30上に載置する。特に、覆工板40を受桁30上に載置する際には、覆工板40の他端部を受桁30の短手方向における中央ラインよりも張り出さないように構成する。
【0039】
次に、
図9に示すように、掘削溝の延出方向の終端部において、一対の山留め部材10それぞれの底壁12上に山留め端部部材20を設置する。
このとき、掘削溝の延出方向の終端部における側壁に対して縦壁21を対向させるように、山留め端部部材20を設置する。
【0040】
最後に、
図10に示すように、山留め端部部材20の台座部24及び直前に設置した受桁30それぞれの上面に覆工板40を3枚載置する。
覆工板40を載置した後には、覆工板40と幅変更部材50の間に隙間が形成されているため、当該隙間については土砂等によって埋められることとなる。
【0041】
なお、最後の覆工板40の設置が完了した後には、掘削溝の側壁と山留め部材10との間の隙間、及び、掘削溝の側壁と山留め端部部材20の間の隙間に土砂等を充填して、それぞれの隙間を埋める。
以上までの工程が完了した時点で路面覆工作業の全工程が完了することとなる。
すなわち、掘削溝の延出方向の始端から終端にわたって山留め部材10が構築され、かつ、掘削溝の開口が覆工板40によって塞がれるようになる。
【0042】
<縦置き工法における路面覆工ユニットの実施形態>
本実施形態の路面覆工ユニット1を用いることで、例えば
図11A、Bのように、複雑な屈曲部を有する掘削溝に対しても路面覆工構造を構築することができる。
具体的には、
図11Aに示すように、掘削溝の幅方向の両側壁において掘削溝の延出方向に沿って並ぶように山留め部材10を3枚ずつ計6枚設置し、掘削溝の延出方向の始端及び終端の側壁に対し山留め端部部材20をそれぞれ1枚ずつ計2枚設置する。
また、掘削溝の延出方向の中間位置に受桁30を計2枚設置し、掘削溝の屈曲部においては幅変更部材50をそれぞれ計2枚設置することで、覆工板40を路面の進行方向に沿って3列、計8枚並べた縦置き工法による路面覆工構造を構築することができる。
同様にして、
図11Bに示すような縦置き工法による路面覆工構造を構築することもできる。
【0043】
<横置き工法における路面覆工ユニットの実施形態>
第2実施形態の路面覆工ユニット100を用いることで、例えば
図12A、Bのように、横置き工法による路面覆工構造を構築することができる。
横置き工法の場合には、路面覆工ユニット100は、
図12A、Bに示すように、掘削溝の幅方向の両側壁において掘削溝の延出方向に沿って並ぶように配置される山留め部材110と、掘削溝の延出方向の始端及び終端の側壁に対し配置される山留め端部プレート120と、山留め部材110に設けられた張り出し部111上に載置される覆工板40と、を備えている(より詳しくは、特開2016−14297号公報参照)。
また路面覆工ユニット100は、掘削溝の屈曲部の側壁に設けられ、当該屈曲部を間に挟む位置に配置される山留め部材110の端部同士を連結するための幅変更部材50を備えている。
【0044】
上記構成において、
図12Aに示すように、掘削溝の幅方向の両側壁において掘削溝の延出方向に沿って並ぶように山留め部材110を3枚ずつ計6枚設置し、掘削溝の延出方向の始端及び終端の側壁に対し山留め端部プレート120をそれぞれ1枚ずつ計2枚設置する。
また、掘削溝の屈曲部において幅変更部材50をそれぞれ計2枚設置することで、覆工板40を路面の進行方向とは直交する向きに沿って9列、計9枚並べた横置き工法による路面覆工構造を構築することができる。
同様にして、
図12Bに示すような横置き工法による路面覆工構造を構築することもできる。
【0045】
<その他の実施形態>
上記実施形態において、
図1、
図2に示すように、幅変更部材50は、覆工板縦置き工法による路面覆工構造において用いられているが、特に限定されることなく、
図12A、Bに示すように覆工板横置き工法による路面覆工構造においても共通に用いることが可能である。
【0046】
また上記実施形態において、
図5に示すように、幅変更部材50は、本体プレート部51と補助プレート部52とをそれぞれ別体で有しているが、特に限定されることなく、本体プレート部51及び補助プレート部52が一体化した部材であっても良い。
【0047】
また上記実施形態において、
図5に示すように、幅変更部材50は、山留め部材10に対し締結部材で締結されて固定されているが、特に限定されることなく、例えば締結部材の代わりに溶接する等、公知な固定手段で固定させても良い。
【0048】
本実施形態では、主として本発明に係る路面覆工ユニット及び路面覆工ユニットを用いた路面覆工方法に関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
特に、幅変更部材50の形状、配置、及び構成について、上記の実施形態にて説明したものは、あくまで一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。