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特開2020-78927レーザーリソグラフィーによって3D構造を描く装置のためのディスペンサー付属品の使用、及びディスペンサー付属品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-78927(P2020-78927A)
(43)【公開日】2020年5月28日
(54)【発明の名称】レーザーリソグラフィーによって3D構造を描く装置のためのディスペンサー付属品の使用、及びディスペンサー付属品
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/209 20170101AFI20200501BHJP
   B29C 64/135 20170101ALI20200501BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20200501BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20200501BHJP
【FI】
   B29C64/209
   B29C64/135
   B33Y10/00
   B33Y30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-199611(P2019-199611)
(22)【出願日】2019年11月1日
(31)【優先権主張番号】10 2018 128 418.7
(32)【優先日】2018年11月13日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】511206401
【氏名又は名称】ナノスクライブ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Nanoscribe GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ヨルク ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス サウター
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ リンデン
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン シャッハ
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213WA25
4F213WB01
4F213WF24
4F213WL08
4F213WL12
4F213WL24
4F213WL32
4F213WL67
4F213WL74
4F213WL87
4F213WL95
(57)【要約】
【課題】レーザーリソグラフィーの分野における対物レンズのためのディスペンサー付属品の使用、対物レンズのためのディスペンサー付属品の提供。
【解決手段】本発明は、レーザー光の照射により凝固させることができるリソグラフィー流体(22)にレーザーリソグラフィーによって三次元構造を描くための装置(10)における、ディスペンサー付属品(38)、特に顕微鏡対物レンズ用のディスペンサー付属品(38)の使用に関する。本発明はまた、対物レンズ(18)上に配置されるように適合されたディスペンサー付属品(38)にも関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザーリソグラフィーによって、レーザー光の照射により凝固させることができるリソグラフィー流体(22)に三次元構造を描くための装置(10)における、ディスペンサー付属品(38)、特に顕微鏡対物レンズ用のディスペンサー付属品(38)の使用であって、前記装置(10)は、
描画ビーム(14)を放射するためのレーザービーム源(12)と、
前記リソグラフィー流体(22)を受け取るための基板(24)と、
前記リソグラフィー流体(22)に前記描画ビーム(14)の焦点領域(20)を形成するための対物レンズ(18)であって、対物レンズハウジング(30)、及び出口レンズ(36)を備える対物レンズ(18)とを備え、
前記ディスペンサー付属品(38)は、
前記対物レンズハウジング(30)とディスペンサーハウジング(40)との間に流体空間(42)が形成され、前記ディスペンサーハウジング(40)と前記出口レンズ(36)との間に出力ギャップ(44)が形成されるように前記対物レンズ(18)上に配置されるように設計されたディスペンサーハウジング(40)と、
前記流体空間(12)への流体入口(50)とを備え、
使用のために以下の工程、
凝固が前記焦点領域(20)でのみ、且つ多光子プロセスを利用することによってのみ起こるように前記レーザービーム源(12)と合わせて調整されるリソグラフィー流体(22)を準備することと、
前記流体入口(50)を通じて前記リソグラフィー流体(22)を前記流体空間(42)に供給することと、
前記出力ギャップ(44)を通じて特定の体積のリソグラフィー流体(22)を塗布することと、
前記描画ビーム(14)を前記対物レンズ(18)を通して前記リソグラフィー流体(22)の体積に導入し、三次元構造を描くために多光子プロセスによって前記焦点領域(20)において前記リソグラフィー流体(22)を局所的に凝固させることとが実行される、リソグラフィー流体(22)に三次元構造を描くための装置(10)におけるディスペンサー付属品(38)の使用。
【請求項2】
前記塗布する工程は、前記リソグラフィー流体(22)が前記出口レンズ(36)と接触したままであり、前記リソグラフィー流体(22)が前記出口レンズ(36)と接触している間に前記描画ビーム(14)が前記リソグラフィー流体(22)に導入されるように実行される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記塗布する工程は、前記リソグラフィー流体(22)が前記基板(24)と前記出口レンズ(36)の両方と接触したままであるように実行される、請求項1又は請求項2に記載の使用。
【請求項4】
第1のリソグラフィー流体(22)が準備され、前記流体入口(50)を通じて前記流体空間(42)に供給され、前記第1のリソグラフィー流体(22)の第1の体積が前記出力ギャップ(44)を通じて塗布され、そして、その後、第2のリソグラフィー流体(22)が準備され、前記流体入口(50)を通じて前記流体空間(42)に供給され、前記第2のリソグラフィー流体(22)の第2の体積が前記出力ギャップ(44)を通じて塗布される、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記第1のリソグラフィー流体(22)及び前記第2のリソグラフィー流体(22)は、異なる材料特性を有する異なる材料である、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記第1のリソグラフィー流体(22)を塗布した後で前記第2のリソグラフィー流体(22)を塗布する前に、前記描画ビーム(14)を前記第1のリソグラフィー流体(22)の体積に導入し、前記第1のリソグラフィー流体(22)を局所的に凝固させる少なくとも1つの工程が実行される、請求項4又は請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記第1のリソグラフィー流体(22)が最初に塗布され、次に前記第2のリソグラフィー流体(22)が塗布され、その後前記第1のリソグラフィー流体と前記第2のリソグラフィー流体が混合される、請求項4又は請求項5に記載の使用。
【請求項8】
前記描画ビーム(14)を導入し、前記リソグラフィー流体(22)を局所的に凝固させる前記工程の後に、以下の工程、
前記描かれた三次元構造を露光させる、及び/又は硬化させるための現像液を準備することと、
前記流体入口(50)を通じて前記現像液を前記流体空間(42)に供給することと、
特定の体積の現像液を前記出力ギャップを通じて塗布することとが実行される、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
以下の工程、
加圧ガスを準備し、前記流体入口(50)を通じて、又は前記流体空間(42)への追加の入口(68)を通じて前記流体空間(42)に前記加圧ガスを供給することを含む、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
以下の工程、
凝固していないリソグラフィー流体(22)と凝固したリソグラフィー流体(22)を溶解させるように設計された洗浄液を準備することと、
前記流体入口(50)を通じて、又は前記流体空間(42)への追加の入口(68)を通じて前記流体空間(42)に前記洗浄液を供給することと、
前記出力ギャップ(44)から洗浄液を排出することとを含む、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
以下の工程、
特に前記流体空間(42)に通じる光導波路によって、前記流体空間(42)に光を導入することを含む、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記対物レンズ(18)として液浸レンズが使用される、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載の使用のために設計された対物レンズハウジング(30)、及び出口レンズ(36)を備える、対物レンズ(18)に取り付けるように適合されたディスペンサー付属品(38)であって、
前記対物レンズハウジング(30)とディスペンサーハウジング(40)との間に流体空間(42)が形成され、前記ディスペンサーハウジング(40)と前記出口レンズ(36)との間に出力ギャップ(44)が形成されるように前記対物レンズ(18)上に配置されるように設計されたディスペンサーハウジング(40)と、
前記流体空間(42)への流体入口(50)とを備えるディスペンサー付属品(38)において、
前記ディスペンサーハウジング(40)は、前記出力ギャップ(44)が前記出口レンズ(36)を取り囲む環状ギャップであるように設計されており、前記環状ギャップは、前記出口レンズ(36)が前記ディスペンサーハウジング(40)を超えて突出するように前記ディスペンサーハウジング(40)の周辺縁部(58)によって境界が定められていることを特徴とする、対物レンズ(18)に取り付けるように適合されたディスペンサー付属品(38)。
【請求項14】
請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載の使用のために設計された対物レンズハウジング(30)、及び出口レンズ(36)を備える、対物レンズ(18)に取り付けるように適合されたディスペンサー付属品(38)であって
前記対物レンズハウジング(30)と前記ディスペンサーハウジング(40)との間に流体空間(42)が形成され、前記ディスペンサーハウジング(40)と前記対物レンズ(18)の前記出口レンズ(38)との間に出力ギャップ(44)が形成されるように前記対物レンズ(18)上に配置されるように設計されたディスペンサーハウジング(40)と、
前記流体空間(42)への流体入口(50)とを備えるディスペンサー付属品(38)において、
前記ディスペンサーハウジング(40)は、内壁(60)と、前記内壁(60)を取り囲む外壁(62)とを有することで、前記内壁(60)が前記対物レンズハウジング(30)に面することと、前記内壁(60)と前記外壁(62)との間に前記流体空間(42)が形成されることと、前記内壁(60)が、液密であり、光学的に透明な材料で作られ、前記出口レンズ(36)に面する透過窓(64)を有し、前記出力ギャップ(44)は、前記透過窓(64)と前記外壁(62)との間に形成されることとを特徴とする、対物レンズ(18)に取り付けるように適合されたディスペンサー付属品(38)。
【請求項15】
請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載の使用のために設計された対物レンズハウジング(30)、及び出口レンズ(36)を備える、対物レンズ(18)に取り付けるように適合されたディスペンサー付属品(38)であって、
前記対物レンズハウジング(30)とディスペンサーハウジング(40)との間に流体空間(42)が形成され、前記ディスペンサーハウジング(40)と前記対物レンズ(18)の前記出口レンズ(36)との間に出力ギャップ(44)が形成されるように前記対物レンズ(18)上に配置されるように設計されたディスペンサーハウジング(40)と、
前記流体空間(42)への流体入口(50)とを備えるディスペンサー付属品(38)において、
前記ディスペンサーハウジング(40)は、前記流体空間(42)への少なくとも1つの追加の入口(68)を備え、前記追加の入口(68)は、流体又は光を前記流体空間(42)に供給するように設計されていることを特徴とする、対物レンズ(18)に取り付けるように適合されたディスペンサー付属品(38)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザーリソグラフィーの分野における対物レンズのためのディスペンサー付属品の使用に関する。本発明はまた、対物レンズのためのディスペンサー付属品にも関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書でレーザーリソグラフィーと呼ばれる技術は、例えば、ステレオリソグラフィー又は直接レーザータイピングとも呼ばれる。このような技術では、描画ビームによって、通常は最初に液体の感光性物質に構造が描かれ、この物質は本明細書ではリソグラフィー流体と呼ばれる。このようなケースでは、描画ビームのレーザー放射により、リソグラフィー流体内で凝固作用が局所的に引き起こされる。凝固は、例えば、光子吸収により誘発されるリソグラフィー流体の局所的な重合によって起こる。光学リソグラフィーの分野では、リソグラフィー流体はフォトレジストとも呼ばれる。
【0003】
レーザーリソグラフィー又は直接レーザータイピングの技術は、高精度が望まれると同時に、成形の設計の自由度と柔軟性が維持されるべき微細構造又はナノ構造の製造に有利に使用される。例えば、マスクリソグラフィー法とは異なり、構造がマスクなどによって事前に決められることなく様々な構造を描くことができる。
【0004】
原則として、望ましい全体構造は、一連の下位構造を順番に描き、それらがその後互いに補完しあって所望される構造を形成することが知られている。通常、全体の構造は層又はスライスで描かれる。この目的のために、既知の技術では、描画ビームが、特定の体積のリソグラフィー流体の表面にぶつかり、この表面上に局所的な凝固をもたらす。三次元に拡張された構造を描くために、このような方法では、1つの塗布工程で1つの層を描いた後、リソグラフィー流体の追加の層が塗布される。これは、例えば、基板を、そこに描かれた構造と共に、リソグラフィー流体の浴中で徐々に降ろし、その都度表面に描画ビームによって構造を描くことによって達成することができる。
【0005】
別のアプローチは、二光子重合、又は一般に多光子重合の物理的原理を利用して、さらに特定の体積のリソグラフィー流体の範囲内での、すなわち表面下でのリソグラフィー流体の凝固を達成する。
【0006】
これは、非線形効果の助けを借りて凝固作用が生じるように、描画ビームとリソグラフィー流体が互いと合わせて調整されるという事実によって可能になる。例えば、描画ビームは、通常、リソグラフィー流体に凝固作用を誘発させることができないスペクトル範囲で選択される。例えば、リソグラフィー流体と描画ビームは、誘発された凝固が、実際に使用される描画ビームの波長の一部(特に整数部分)に対応する波長を有する放射によってのみ起こり得るように互いと合わせて調整することができる。結果として、凝固プロセスは、描画ビームの2つ以上の光子を同時に吸収する(二光子重合又は多光子重合)場合にのみ可能である。本文脈において、「多光子重合」という用語は、2つ又は3つ以上の光子の同時吸収によって誘発される重合を指す。この点において、本説明に関して、「多光子吸収」という用語には「二光子吸収」のプロセスも含まれている。多光子重合に必要な条件は通常、強度が増大した区域でのみ達成される。強度が増大したこのような区域は、描画ビームの焦点領域に設けられる。これに関して、焦点領域は、適切な光学系(例えば、ビーム誘導光学系、ビーム成形光学系及び/又は対物レンズ)によって生成される描画ビームのビームウエストである。拡張された3D構造のリソグラフィー作成の場合、焦点領域は、幾何学形状描画データに従って特定の体積のリソグラフィー流体の中を移動させることができ、それぞれの場合に凝固プロセスを局所的に誘発させることができる。
【0007】
対応する技術は、例えば、ドイツ特許公開第10111422号明細書に記載されており、これは、容器内のリソグラフィー材料の浴内での多光子重合を利用する3Dレーザーリソグラフィーを開示している。この目的のために記載された装置は、容器内の焦点領域にレーザービームの焦点を合わせるための出力光学系を備える。
【0008】
顕微鏡の分野では、顕微鏡の対物レンズをその出口レンズと一緒に液浸油に浸すことが知られている。この目的のために、液浸油ディスペンサーが、顕微鏡対物レンズの付属品として知られている。例えば、米国特許出願公開第2010/0027109号明細書及び米国特許第3,837,731号明細書は、顕微鏡対物レンズ上に配置するための浸漬油ディスペンサーを開示している。これらのディスペンサーは、対物レンズ上に配置されたとき、出力ギャップに通じる流体チャンバを画定するハウジングを備え、この出力ギャップは、対物レンズの出口レンズを概ね環状に取り囲んでいる。その後液浸油が流体空間に供給され、出力ギャップから排出することができる。液浸油への浸漬は、イメージングの品質及び解像度を向上させる目的で顕微鏡の分野で行われる。
【0009】
微細構造化又はナノ構造化技術では、一般に、スループット率を上げ、大量生産に使用できるようにすることが望ましい。特に、構造を描いた後、基板を迅速に交換できることが望ましい。個々の構造ごとに、大きな構造の深さを生成できること、及び/又は拡張された方法で大きな領域にわたって構造を生成することができることも可能であるべきである。拡張された構造を生成するためには、上記の技術では、リソグラフィー流体が十分に大量に供給され、必要に応じて補充される必要がある。リソグラフィー流体は時間の経過と共に一部が劣化する、又は生成される構造の品質に影響を与える可能性のある望ましくない変化を受ける可能性があるため、このことは問題をはらんでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
対処される問題は、レーザーリソグラフィー又は直接レーザータイピングにおいて適切な方法でリソグラフィー流体を放出し、必要に応じて補充することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この問題は、請求項1に記載の使用工程に従って、ディスペンサー又はディスペンサー付属品を使用することで解決される。
【0012】
ディスペンサー付属品は、レーザーリソグラフィーによってリソグラフィー流体に三次元構造を描くための装置において使用される。このタイプの装置は、描画ビームを放射するためのレーザービーム源と、通常、特定の体積のリソグラフィー流体を吸収し提供することができる基板とを含む。リソグラフィー流体は、描画ビームによって局所的に凝固して構造を生成することができる。装置はまた、様々な光学部品、例えば、ビームガイド及び形成装置、ならびに描画ビームを案内し、リソグラフィー流体内に描画ビームの焦点領域を形成するための対物レンズも備える。本文脈において、対物レンズは特に重要である。対物レンズは、描画ビームが対物レンズから現れる出口レンズを有する対物レンズハウジングを備える。本文脈において、「出口レンズ」という用語は一般に、対物レンズから環境への移行部を形成する光学素子を指す。出口レンズは、適切な意味でのレンズ手段(例えば、収束レンズ)であってよい。ただし、出口レンズは必ずしも光学レンズ効果を持つ必要はなく、例えば出口窓として設計することもできる。
【0013】
使用されるディスペンサー付属品は、特にキャップ状のディスペンサーハウジングを備え、これは対物レンズ又は対物レンズハウジングに配置されるように設計されている。この場合、ディスペンサーハウジングは、配置されたときに、対物レンズハウジングとディスペンサーハウジングとの間に流体空間が形成されるように設計されている。流体空間は、ディスペンサーハウジングと対物レンズの出口レンズとの間に形成される出力ギャップに通じている。流体は、流体空間から出力ギャップを通じて出口レンズの前方の空間に逃げることができる。特に、ディスペンサーハウジングは、出口レンズの領域に開口部を有しており、開口部の縁部と出口レンズとの間に環状ギャップが形成される。ディスペンサー付属品はまた、流体が出力ギャップを通じて継続的に逃げることができるように、流体を流体空間に供給するための流体空間への流体入口を備える。
【0014】
クレーム請求される使用のために、様々な工程が実行される。まず、凝固が焦点領域でのみ、及び二光子プロセス、又はより一般的には多光子プロセスを利用することによってのみ起こり得るように、レーザービーム源と調整されるリソグラフィー流体が準備される。次いで、リソグラフィー流体が、流体入口を通じて流体空間に供給される。その場合、使用は、出力ギャップを通じて特定の体積のリソグラフィー流体を塗布する工程を含む。このような場合、塗布は、出力ギャップを通じて外部空間にリソグラフィー流体を分配することであると理解されるべきである。特に、リソグラフィー流体の体積は、基板に塗布される、又はリソグラフィー流体の既存の体積に加えられる。最後に、描画ビーム、又はより具体的には描画ビームの焦点領域が、対物レンズを通してリソグラフィー流体の体積に導入される。これにより、二光子プロセス、又はより一般的には多光子プロセス(2つ以上の光子が同時に関与する)によって、焦点領域におけるリソグラフィー流体の局所的な凝固をもたらす。このようにして、三次元構造をリソグラフィー流体に描くことができる。
【0015】
ディスペンサー付属品を使用するこの方法により、レーザーリソグラフィー装置は拡張され、構造が連続して生成されるように改善される。特に、描画ビームの導入方向に対して高さのある構造及び/又は大きな輪郭の深さを有する構造を生成することが可能である。これは、対物レンズ又は対物レンズを備えるリソグラフィー装置のプリントヘッドを基板表面から離して移動させ、出力ギャップを通じてリソグラフィー流体を継続的に補充することにより実行することができる。
【0016】
記載される使用は、例えば基板に構造を描いた後、これを取り除くことができ、新しい基板を提供することができるという利点を提供する。特に、構造を描く前に、リソグラフィー流体の層又は特定の体積のリソグラフィー流体を基板に塗布する必要がない。この点において、前処理工程を削減し、簡素化することができる。結果として、言及されたタイプのレーザーリソグラフィー装置によって高いスループット率を有する製造プロセスが可能になる。
【0017】
説明される手順では、リソグラフィー流体は、流体ラインによって流体空間に接続されている別個のリザーバに保存することができる。所望により、リザーバから流体空間に流体を圧送する流体ポンプが設けられてもよい。結果として、リソグラフィー流体の周囲大気への暴露はほとんど回避される。これにより、リソグラフィー流体の汚染及びリソグラフィー流体の望ましくない劣化を低減させることができる。これは、描かれる構造の品質に有利である。
【0018】
クレーム請求される使用では、顕微鏡の標準的な部品として入手可能な顕微鏡対物レンズを使用することもとりわけ可能である。特に、ディスペンサー付属品をこのとき、光学特性を改善する目的で液浸油を塗布するための顕微鏡の分野で使用されるように使用することができる。この点において、本発明は、リソグラフィー流体を塗布する目的で言及されたタイプのディスペンサーの使用に関する。
【0019】
基本的な態様によれば、焦点領域は、特に、基板の表面と対物レンズの出口レンズとの間の領域に配置される。
【0020】
有利な実施形態によれば、リソグラフィー流体を塗布する工程は、リソグラフィー流体が出口レンズと接触したままであり、リソグラフィー流体が出口レンズとまだ接触している間に描画ビームがリソグラフィー流体に導入されるように実行される。この点において、焦点領域は、出口レンズと接触している特定の体積のリソグラフィー流体に導入される。焦点領域でのリソグラフィー流体の局所的凝固は、二光子プロセス、又はより一般的には多光子プロセスを使用することによってのみ起こるため、凝固は出口レンズから離間された焦点領域で起こり、出口レンズに付着するリソグラフィー流体の体積の領域内では直接は起こらない。これにより、凝固したリソグラフィー流体が出口レンズに付着するのを阻止する。リソグラフィー流体は出口レンズに直接付着するため、出口レンズと焦点領域との間のビーム経路における光学的界面(空気とリソグラフィー流体との間、又はレンズと空気との間の移行部に生じるような)が回避される。その結果、描かれる構造の品質低下や、不正確さを招く可能性がある収差を低下させることができる。説明された手順により、リソグラフィー流体がその場で利用可能になる。塗布工程及び構造を描く工程を、中断せずに連続して実行することができる。拡張された構造を描くために、例えば、最初にリソグラフィー流体の液滴を加え、次に構造が液滴に描かれてもよく、その後リソグラフィー流体を補充して、さらなる構造部分のためにより多くの空間を提供する。
【0021】
塗布工程が、リソグラフィー流体が基板及び出口レンズの両方と接触したままであり、且つリソグラフィー流体が出口レンズ及び基板と接触している間に描画ビームがリソグラフィー流体に導入されるように実行された場合に有利であり得る。この点において、特にリソグラフィー流体は、出口レンズと基板との間の空間を満たしている。この点において、出口レンズと基板との間に粘着性の液滴が形成され、流体の体積及びそこに描かれた構造を安定させる。ここでもまた、対物レンズを基板から継続して離し、リソグラフィー流体を継続的に補充することにより、大きな構造の連続した描画が可能になる。特に、リソグラフィー流体の液滴が対物レンズから離されるのを防ぐことが可能である。
【0022】
使用の有利な発展は、第1のリソグラフィー流体が準備され、流体空間及び出力ギャップを通じて塗布され、その後、任意に別の工程を介在させ、第2のリソグラフィー流体が準備され、流体空間及び出力ギャップを通じて塗布されることで構成される。この場合、第1のリソグラフィー流体及び第2のリソグラフィー流体は、異なる材料特性をとりわけ有する異なる材料であることがとりわけ考えられる。特には、第1のリソグラフィー流体を塗布した後、第2のリソグラフィー流体を塗布する前に、描画ビームによって最初に第1の構造をリソグラフィー流体に描くことができる。その後、第2のリソグラフィー流体を塗布し、第2の下部構造を描くことができる。この点において、この手順で複数材料の構造を作成することができる。
【0023】
しかしながら、2つの異なるリソグラフィー流体を連続して塗布し、一緒に混合することが有利である場合もある。その後描画ビームが、混合された第1のリソグラフィー流体と第2のリソグラフィー流体の特定の体積に導入されることが好ましい。したがって、説明された手順は、例えば異なる混合比によって目標とする方法で材料の特性を適合させることを可能にする。2つのリソグラフィー流体は、例えば固有の拡散プロセスにより、又は混合助剤(例えば圧縮空気ジェット)を使用するなど、様々な方法で混合させることができる。
【0024】
さらなる実施形態では、描画ビームを導入する、特には焦点領域を導入する工程の後、及びリソグラフィー流体の局所的凝固の後、現像剤流体が準備され、現像剤流体が流体入口を通じて流体空間に供給される。現像液は、特に、描かれた三次元構造を露光させる、及び/又は硬化させるように設計されている。例えば、現像液は、凝固していないリソグラフィー流体のみが溶解し、凝固したリソグラフィー流体が残るようにリソグラフィー流体と調整される溶媒であってもよい。出力ギャップを通じて特定の体積の現像液を塗布することによって、描かれた構造をその場で露光させることができる。
【0025】
記述された手順は、圧縮ガスを流体空間に供給することによってさらに発展させることができる。特には、圧縮されたガスが出力ギャップを通って出て行く工程をその後設けることができる。この工程は、例えば、リソグラフィー流体の最初の塗布の前など、別の時間に設けられてもよい。この場合、例えば基板から汚染物質を取り除くことができる。しかしながら、基板上にリソグラフィー流体を分配する、又は基板上で移動させるために、特定の体積のリソグラフィー流体を塗布した後、圧縮ガスが出力ギャップを通って逃げることも考えられる。また、2種類のリソグラフィー流体(上記を参照)を塗布した後、圧縮ガスを逃がすことによって2種類のリソグラフィー流体を混合することも考えられる。例えば、圧縮空気又は不活性ガスを圧縮ガスとして使用することができる。
【0026】
さらなる実施形態では、洗浄流体が準備され、流体空間に供給され、任意で出力ギャップを通じて排出される場合もある。洗浄流体は、凝固していない(液体の)リソグラフィー流体と、凝固したリソグラフィー流体の両方が溶解するように特に設計されている。特に出口レンズが洗浄液で濡らされるように、洗浄液は出力ギャップを通じて吐き出される。この手順により、特に自動化された洗浄手順の意味においてその場での洗浄が可能になる。これは、構造を描いた後、及び/又は基板を変える前に行われることが好ましい。これにより、洗浄手順が簡素化され、短縮されるため、処理時間が短縮される。
【0027】
流体空間を使用して、追加の機能を生成することができる。例えば、流体空間に通じている光導波路によって流体空間に光を取り込むことができる。構成に応じて、光は出力ギャップから出て行き、基板及び/又はすでに塗布された体積のリソグラフィー流体及び/又はすでに描かれた三次元構造を照明するのに使用することができる。直接レーザータイピングプロセスでは、描かれた構造のその場での画像のモニタリングが通常望ましいため、これは有利である。さらに、照明された構造及び/又は基板の画像が、描画に使用される対物レンズによって記録されることも考えられる。例えば、リソグラフィー流体が流体入口を通じて流体空間に供給された後に光が取り込まれる場合もある。この場合、リソグラフィー流体は、出力ギャップを通る流体空間からの光の誘導に寄与することができる。例えば、光は、流体入口を通じて、又は別の入口を通じて流体空間に侵入することができる。
【0028】
液浸レンズを原則として対物レンズとして使用することができる。そのような液浸レンズは、例えば、顕微鏡検査の付属品として知られており、この分野における画像品質の改善を達成するのに役立つ。特に、使用されるリソグラフィー流体の屈折率に適合する構成を有する液浸レンズが使用される。
【0029】
最初に述べた問題は、上記の使用に特に有利なディスペンサー付属品によっても解決される。とりわけこの問題を解決するために、対物レンズと、それに適合したディスペンサー付属品とで構成されるシステムも同様に使用される。
【0030】
有利なディスペンサー付属品、又はディスペンサー付属品と対物レンズからなる有利なシステムは特に、流体空間が形成され、ディスペンサーハウジングと対物レンズの出口レンズとの間に出力ギャップが形成されるように対物レンズ又は対物レンズハウジング上に配置されるように設計されたキャップ状のハウジングを備える。さらに、ディスペンサー付属品は、流体を流体空間に供給するための流体入口を有する。とりわけ適切なディスペンサー付属品は、出力ギャップが出口レンズを取り囲む環状ギャップであるように、ディスペンサーハウジングが対物レンズに適合されており、環状ギャップは、出口レンズがディスペンサーハウジングを超えて突出するようにディスペンサーハウジングの周辺縁部によって境界が定められているという事実によって生じている。特に、出口レンズは、描画ビームのビーム方向にディスペンサーハウジングを超えて突出する。その結果、上記の説明に従って使用された場合、すでに描かれている構造が、対物レンズの移動中にディスペンサーハウジングに接触し、それによって損なわれることが防止される。
【0031】
ディスペンサーハウジングが内壁と、内壁を取り囲む外壁とを有することで、内壁が対物レンズハウジングに面する点と、内壁と外壁との間に流体空間が形成される点においても、記載された使用に特に適したディスペンサー付属品、又はディスペンサー付属品と対物レンズから構成されるとりわけ適切なシステムが獲得される。好ましくは、内壁は、液密で光学的に透明な材料で作成され、出口レンズに面する透過窓を有する。特には、出口レンズの透過窓は、ビーム方向に反対の位置になるように配置される。出力ギャップは、出口窓と外壁との間に形成されることが好ましい。この点において、そのようなディスペンサー付属品は二重壁のディスペンサーハウジングを備え、内壁と外壁の間に流体が誘導される。透過窓により、出口レンズがリソグラフィー流体と直接接触することを阻止される。内壁はまた、対物レンズハウジング及び/又は対物レンズの光学部品がリソグラフィー流体と接触するのも阻止する。これにより汚染が防止される。さらに、前記実施形態は、標準的な空気対物レンズの使用を可能にする。内壁及び外壁は、好ましくは、実質的に円筒形の壁として形成される。好ましくは、外壁は内壁を同軸で取り囲む。対物レンズ及びディスペンサー付属品を通過するビーム経路は、これらの壁を通り抜ける同心であることが好ましい。
【0032】
有利に使用可能なディスペンサー付属品、又はディスペンサー付属品及び対物レンズで構成されるシステムは、ディスペンサーハウジングが流体空間への少なくとも1つの追加の入口を有するという事実からも生じている。追加の入口は、特に流体入口とは別に形成される。この入口を通じて、追加の機能を流体空間に導入することができる。例えば、流体(例えば、加圧流体又は異なるリソグラフィー流体)の供給のため、又は流体空間への光の供給のための入口が設けられてよい。この場合、入口は、好ましくは外部光源からの光を流体空間に取り込むことができる光導波路を備えてもよい。
【0033】
本発明を図面を参照して以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】レーザーリソグラフィーによってリソグラフィー流体に構造を描くための装置の概略図である。
図2図1による装置で使用するためのディスペンサー付属品の略図である。
図3図1による装置で使用するためのディスペンサー付属品の別の可能な実施形態を説明する略図である。
図4図1による装置で使用するためのディスペンサー付属品のさらに可能な実施形態を説明する略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の説明及び図面では、同一の又は対応する特徴に対して各ケースにおいて同じ参照符号が使用される。
【0036】
図1は、略してレーザーリソグラフィー装置10と呼ばれる、レーザーリソグラフィーによってリソグラフィー流体に三次元構造を描くための装置10の略図である。装置10は、レーザー光の描画ビーム14を放射するためのレーザービーム源12を備える。実施形態に応じて、描画ビーム14は、ビーム誘導形成装置16を通過し、この装置は、レーザービーム源12によって放射される光からレーザーリソグラフィーの目的に適した描画ビームを形成し、例えば、所望の構造の幾何学形状描画データに従って描画ビームを偏向する、又は移動させる。この目的のために、ビーム誘導形成装置16は、制御装置(図示せず)と相互に作用することができる。
【0037】
描画ビーム14は、対物レンズ18によって焦点領域20を有する出力ビームに変換される。焦点領域20は、とりわけ描画ビーム14のビームウエストの様式で形成される。
【0038】
三次元構造を描くために、特定の体積のリソグラフィー流体22に焦点領域20が導入され、必要に応じて、所望の構造の幾何学形状描画データに従ってこの体積の中を移動させられる。焦点領域20において、描画ビーム14は、リソグラフィー流体22の凝固反応を開始する。凝固反応はまたリソグラフィー流体22の体積の範囲内で、すなわちリソグラフィー流体22の表面下で起こり得るように、本発明の目的のために、リソグラフィー流体22は、凝固が焦点領域20でのみ、且つ多光子吸収プロセスを利用することによってのみ起こるように描画ビーム14に合わせて調整される。
【0039】
示される例では、リソグラフィー流体22の体積は液滴で基板24に塗布される。しかしながら、これは必須ではない。リソグラフィー流体22の体積は、容器内で提供される場合もあり、又は以下で説明するように、対物レンズ18と接触する液滴の形で提供される場合もある。基板24は、例えば描画面内で移動できるように設計された基板ホルダ26に取り付けられてもよい。
【0040】
対物レンズ18は、例えば、装置10の上部プレート28に取り付けられてもよい。上部プレート28も、対応するアクチュエータを使用してわずかに移動できるように設計することが考えられる。
【0041】
全体として、装置12の構造により、リソグラフィー流体22の体積の範囲内で焦点領域20を3つの空間方向に移動させることができる。
【0042】
対物レンズ18は、対物レンズ18の入射開口部32が上部プレート28の対応する開口部34に対応するように上部プレート28に取り付けることが好ましい対物レンズハウジング30を備える。描画ビーム14は、開口部34及び入射開口部32を通ってビーム方向に照射される。対物レンズ18は、描画ビーム14が出て行き、焦点領域20を形成する出口レンズ36も備えている。
【0043】
図1の方法での装置内でのディスペンサー付属品38の使用が、図2から図4を参照して一例として説明される。これらの図はそれぞれ、上部プレート28及び対物レンズ18の領域の詳細の図として、図1に示されるタイプの装置10の詳細の一例を示している。
【0044】
図2は、ディスペンサーハウジング40が対物レンズ18を少なくとも複数の領域で取り囲むように対物レンズ18上に配置することができるディスペンサーハウジング40を備えるディスペンサー付属品38を示す。その結果、流体空間42は、ディスペンサーハウジング40によって、又は対物レンズハウジング30の壁領域と合わせたディスペンサーハウジングによって境界が定められる。ディスペンサーハウジング40は、対物レンズ18と共に、出力ギャップ44が形成されるように、下向きの(すなわち、上部プレート28から離れて面する)開口部を有する。出力ギャップ44は、とりわけ出口レンズ36を環状に取り囲むように設計されることが好ましい。好ましくは、出力ギャップ44は、出口レンズ36の縁部に直接隣接する。この点において、流体空間42は、出力ギャップ44を通して環境に通じている。
【0045】
好ましくは、ディスペンサーハウジング40の内部の流体空間42の体積は、ディスペンサーハウジング40が対物レンズ18上に配置されたときに、封止突起46が対物レンズハウジング30に当接し、それにより流体空間42を密閉するように、ディスペンサーハウジング40の壁の封止突起46が半径方向内側を向いているという点において境界が定められ密閉されている。例えば、液密性を改善するために、対応する環状シール48が封止突起46の中に配置されてもよい。
【0046】
ディスペンサー付属品38はまた、流体空間42に流体を供給するための流体入口50も備える。この目的のために、例えば、流体ライン52は、ディスペンサーハウジング40上の対応する密閉部分54の中を通ることができ、流体空間42に通じることができる。
【0047】
対物レンズ18とディスペンサー付属品38は、協調するように調整されたシステムを形成することが好ましい。とりわけ、対物レンズ18及びディスペンサー付属品38は、調整された取り付け手段を使用して装置10のプリントヘッドに取り付けられている。図2に概説するように、上部プレート28は、例えば、二重ねじリング56を備え、対物レンズハウジング30は、二重ねじリング56の内側のねじ山にねじ込まれ、ディスペンサーハウジング40は、二重ねじリング56の反対側の外側のねじ山にねじ込まれる。
【0048】
有利な態様によれば、対物レンズ18とディスペンサー付属品38は、対物レンズ18の出口レンズ36が周辺縁部58の領域内で描画ビーム14の伝播方向にディスペンサーハウジング40を越えて突出するように互いと合わせて調整される(図2参照)。
【0049】
まずリソグラフィー流体22を準備し、前記流体を流体入口50を通じて流体空間42に供給することによって、対物レンズ18と一緒にディスペンサー付属品がその後装置10において使用される。一般的な態様によれば、リソグラフィー流体が流体空間42に可能な限り均一に分配され、流体空間42から出力ギャップ44の方向に押し出されるように、リソグラフィー流体は、対応する圧力で流体入口50を通じて供給されることが行われてよい。これにより、例えば液滴様式などで、出力ギャップ44を通じて基板24に対して特定の体積のリソグラフィー流体を塗布することが可能になる(図1を参照)。リソグラフィー流体22が出力ギャップ44を通って出て行った後、特定の体積のリソグラフィー流体22が対物レンズ18の出口レンズ36に付着することも考えられる。また、十分なリソグラフィー流体22が塗布される場合、そのためには出口レンズ36と基板24との間の空間を満たすことが有利な場合もある。この点において、対物レンズ18の適切な実施形態では、出口レンズ38を、塗布されたリソグラフィー流体22の体積に浸漬させることができる(液浸レンズの方法で)。
【0050】
その後、図1を参照して説明した方法で焦点領域20を有する描画ビームを生成することにより、所望の構造を描くことができる。所望の場合、さらなるリソグラフィー流体22が補充されてよい、言い換えれば流体入口50を通じて流体空間42に、及び出力ギャップ44を通じてリソグラフィー流体22を供給することによって補充されてよい。
【0051】
図3に示す実施形態では、ディスペンサー付属品38の別の有利な使用が可能である。前記実施形態によれば、ディスペンサー付属品38は二重壁であってもよく、この点において、内壁60と、それと同心円状に延びる外壁62とを有してよい。その結果、内壁60と外壁62との間に流体空間42が形成される。好ましくは、内壁60及び外壁62は共に、対物レンズハウジング30を囲むように、例えば円筒形の側面のように同軸に延びている。
【0052】
さらなる実施形態では、対物レンズ18に面する内壁60は、ディスペンサー付属品38の組み立てられた状態で出口レンズ36に面する透過窓64を有してもよく、これにより出口レンズ36を通って出て行く描画ビーム14はこの透過窓64を通って出て行く。特には、閉鎖されたエアスペース66が対物レンズハウジング30及び出口レンズ36を囲むように形成され、このエアスペースは内壁60及び/又は透過窓64によって流体空間42から隔てられるように、内壁60及び透過窓64は形成される。
【0053】
このディスペンサーキャップ38を使用して、リソグラフィー流体22が、流体入口50を通じて流体空間42に供給され、対物レンズ18の出口レンズ36とは接触しなくなる。好ましくは、出力ギャップ44はこのとき、透過窓64とディスペンサー付属品38の外壁62との間に形成される。
【0054】
ディスペンサー付属品38の使用により、様々な追加機能が可能になる(図4を参照)。この目的のために、ディスペンサーハウジング40は、追加の入口68が流体空間42に設けられるように設計されてもよい。例えば、追加の入口68を通して光導波路(より詳細には図示せず)を誘導することが可能であり、これを利用して、例えば、出口レンズ36の前方の空間を照らすために光導波路の光を流体空間42に導入することができる。上述のように、圧縮ガス又は他の流体が追加の入口68を通して流体空間42に導入されることも考えられる。
【0055】
ディスペンサー付属品38の有利な使用は、特に異なる材料特性を有する異なるリソグラフィー流体が、流体入口50を通して流体空間42に連続的に供給されるという事実から生じている(図4を参照)。この目的のために、異なるリソグラフィー流体22を別個の流体リザーバ70a、70bで準備することができる。所望により、リザーバ70a又は70bからの流体は、対応する切り替えバルブ72を介して(例えば、流体ポンプ74を利用して)流体ライン52を通って流体空間42に運ぶことができる。別の実施形態では、切り替えバルブ72を介して、及び必要に応じて流体ポンプ74を介して流体空間42に任意に供給することができる現像液又は洗浄液が、少なくとも1つの追加のリザーバ76に準備されることも考えられる。
【0056】
図2図4に概説されているディスペンサー付属品は、冒頭で説明した使用手順に従って基本的に使用される。
図1
図2
図3
図4