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特開2020-79310フラン修飾の化合物及びオリゴマー(FURAN−MODIFIED COMPOUND AND OLIGOMER)
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-79310(P2020-79310A)
(43)【公開日】2020年5月28日
(54)【発明の名称】フラン修飾の化合物及びオリゴマー(FURAN−MODIFIED COMPOUND AND OLIGOMER)
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/52 20060101AFI20200501BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20200501BHJP
   C08F 8/30 20060101ALI20200501BHJP
   C08G 65/48 20060101ALI20200501BHJP
   C08G 61/10 20060101ALI20200501BHJP
   C08G 59/14 20060101ALI20200501BHJP
【FI】
   C07D307/52CSP
   C07D405/14
   C08F8/30
   C08G65/48
   C08G61/10
   C08G59/14
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-30500(P2020-30500)
(22)【出願日】2020年2月26日
(62)【分割の表示】特願2018-207798(P2018-207798)の分割
【原出願日】2018年11月2日
(31)【優先権主張番号】62/580,483
(32)【優先日】2017年11月2日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】莊 貴貽
(72)【発明者】
【氏名】邱 國展
(72)【発明者】
【氏名】曾 峰柏
【テーマコード(参考)】
4C037
4C063
4J005
4J032
4J036
4J100
【Fターム(参考)】
4C037HA23
4C063AA05
4C063BB09
4C063CC75
4C063DD43
4C063EE10
4J005AA23
4J005BC00
4J005BD05
4J032CA03
4J032CB01
4J032CF03
4J032CG07
4J036AA02
4J036AD01
4J036AD08
4J036CB04
4J036JA08
4J100AB02Q
4J100AM45P
4J100AS09P
4J100CA01
4J100CA04
4J100DA02
4J100HA33
4J100HC43
4J100HC47
4J100HC48
4J100HE05
4J100JA44
(57)【要約】
【課題】フラン修飾の化合物又はオリゴマーを提供する。
【解決手段】
該化合物は化学式IIに記載の構造を有する:
[化学式II]

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化学式IIに示されている構造を有するフラン修飾オリゴマーであって、
[化学式II]
【化1】
yは1〜5の整数であり、Bはアミン、アミド、マレイミド、エステル基、フェニルエーテル又はエノールエーテルの反復性官能基を含み、
Dは直接結合、−O−、−N−、−Ar−NH−(CH−、−Ar−O−(CH−、−Ar−O−(CH−NH−(CH−、−(CH−NH−(CH−、−(CH−O−(CH−、又は−(CH−CH(OH)−(CH−NH−であり、Arは置換基を有するか又は未置換のアリーレン基であり、cは1〜5の整数であり、dは0〜5の整数であり、
前記フラン修飾オリゴマーの数平均分子量が1000〜12000である、フラン修飾オリゴマー:
ここで、Bは、
【化2】
であり、
Bはアスタリスク(*)で表示される位置でDと結合し、mは7〜200の整数であり、nは7〜200の整数であり、p、r及びsは1〜5の整数であり、qは5〜50の整数であり、zは5〜20の整数であり、R、R、R、Rはそれぞれ独立したC〜Cのアルキル基であり、Tは直接結合、C〜C12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、−O−、−S−、又は−NH−であり、Qは、
【化3】
であり、R、R10及びR11はそれぞれ独立したCH又はCであり、TはC〜C12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、i、j及びkは1〜5の整数である。
【請求項2】
Arは置換基を有するか又は未置換のフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、チエニレン基、インドリレン基、フェナントレニレン基、インデニレン基、アントラセニレン基、又はフルオレニレン基である、請求項1に記載のフラン修飾オリゴマー。
【請求項3】
Arは1〜4個のC〜Cアルキル基で置換されたフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、チエニレン基、インドリレン基、フェナントレニレン基、インデニレン基、アントラセニレン基、又はフルオレニレン基である、請求項1に記載のフラン修飾オリゴマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化合物及びオリゴマーに関し、特にフラン修飾の化合物及びオリゴマーに関する。
【背景技術】
【0002】
2015年末、EUはサーキュラー・エコノミー・パッケージ(Circular Economy Package、CEP)を発表し、将来の製品コンポーネントと部品は修理可能(repaired)で、耐久性があり(durable)、回収しやすい(recycled)等の要件に適合することで循環型経済を達成する必要があると発表した。また、2016年のパリ協定では、温室効果ガスの排出を削減すること及び世界の平均気温の上昇幅を産業革命以前のレベル以上の2Cより低く抑えることが提案された。
【0003】
現在、電子製品の部品において、二酸化炭素(CO)排出量の最大を占めるのはプリント回路基板(Printed Circuit Board、PCB)であり、その排出量は10万kgを上回るCO/10000m PCB以上である。従って、関連業者は廃棄されたプリント回路基板をどのように効果的に回収して二酸化炭素排出量を削減するかということと同時にエネルギー関連製品のエコデザイン指令(Ecodesign Directive)を遵守ことへの難題に直面している。現在、廃棄されたプリント回路基板の回収方法はまずそれを粉砕した後、金属とプラスチックに対し精製又は埋設処理を行うというものである。近年金属精製技術の成熟に伴い、既に1トンのプリント回路基板から130キログラムの銅、19キログラムの錫、及び約16オンスの金を抽出することができるようになった。しかしながら、プリント回路基板において、まだプラスチックが約54.5%を占めており、これが二酸化炭素の主な排出源である。プリント回路基板中のプラスチックは絶縁性樹脂とガラス繊維布を含み、現在プリント回路基板の樹脂系に用いられているのは全て熱硬化性ポリマーであり、性質が非常に安定しているため、回収の面において非常に困難である。分解性高分子を使用する方法も提案されているが、分解性高分子のガラス転移温度、熱分解温度、及び耐燃性を依然として更に改善する必要があり、そうすることによって初めて現在のプリント回路基板の絶縁樹脂に相当する特性に達することができる。例えば、特許文献1ではジエノフィル(dienophile)官能基で修飾された粒子とジエン(diene)官能基を含有する高分子を使用して架橋反応をさせ100C〜250Cで可逆反応を発生させる高分子を形成することを提案しているが、その主鎖は−Si−O−で構成され、回路板が必要とする硬度と支持力を提供することはできない。また、特許文献2ではケタール又はアセタールの官能基を有する硬化剤とエポキシ樹脂とを硬化反応させて、得られる高分子は酸性環境下で分解できるが、その主鎖は主に脂肪族で構成されており、耐熱性と耐燃性が劣る。
【0004】
プリント回路基板以外の、その他の製造工程又は使用において高温に耐える必要のある製品に使用される樹脂組成物も、回収廃棄物に対する需要が増加した時、類似の難題に直面する。従って、類似の樹脂組成物中に存在する成分を更に調整することによってその高温での使用を維持させつつも回収できるという目的を達する。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]米国特許出願公開2012/0261061号明細書
[特許文献2]米国特許出願公開2013/0245204号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
樹脂組成物中に存在する成分を変化させることによってその高温での使用を維持させつつも回収できるという目的を達することを期待する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例に基づき、本発明はフラン修飾の化合物を提供し、それは以下の化学式Iに記載の構造を有する:
[化学式I]
【化1】
そのうち、xは1〜5の整数であり、Aはケトン基、アミド基、イミド基、イミン基、フェニルエーテル基又はエノールエーテルの基を含み、Gは直接結合、−O−、−N−、−Ar−NH−(CH−、−Ar−O−(CH−、−Ar−O−(CH−NH−(CH−、−(CH−NH−(CH−、−(CH−O−(CH−又は−(CH−CH(OH)−(CH−NH−であり、Arは置換基を有する又は未置換のアリーレン基であり、aは1〜5の整数であり、bは0〜5の整数である。
【0007】
本発明の実施例に基づき、本発明はフラン修飾のオリゴマーを提供し、それは以下の化学式IIに記載の構造を有する:
[化学式II]
【化2】
そのうち、yは1〜5の整数であり、Bはアミン、アミド、マレイミド、エステル基、フェニルエーテル又はエノールエーテルの反復性官能基を含み、Dは直接結合、−O−、−N−、−Ar−NH−(CH−、−Ar−O−(CH−、−Ar−O−(CH−NH−(CH−、−(CH−NH−(CH−、−(CH−O−(CH−又は−(CH−CH(OH)−(CH−NH−であり、Arは置換基を有する又は未置換のアリーレン基であり、cは1〜5の整数であり、dは0〜5の整数である。該フラン修飾のオリゴマーの数平均分子量は1000〜12000である。
【発明の効果】
【0008】
本発明が提供するフラン修飾の化合物及びオリゴマーは樹脂組成物に使用することができ、それによって形成された樹脂組成物及び更なる製品は同時に高温での適用可能性及び回収可能性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の上記及びその他の面に対する更なる理解を得るため、以下では特に実施形態と実施例を挙げ、且つ添付図面と組み合わせて以下の通り詳細に説明する。
【0010】
本発明の実施例はフラン修飾の化合物を提供し、それは以下の化学式Iに記載の構造を有する:
[化学式I]
【化3】
【0011】
そのうち、xは1〜5の整数であり、Aはケトン基、アミド基、イミド基、イミン基、フェニルエーテル基又はエノールエーテル基を含み、Gは直接結合、−O−、−N−、−Ar−NH−(CH−、−Ar−O−(CH−、−Ar−O−(CH−NH−(CH−、−(CH−NH−(CH−、−(CH−O−(CH−又は−(CH−CH(OH)−(CH−NH−であり、Arは置換基を有する又は未置換のアリーレン基であり、aは1〜5の整数であり、bは0〜5の整数である。
【0012】
具体的には、Aは
【化4】
でよく、Rは水素、ハロゲン、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロゲン化アルキル基、C〜C10のナフテン環、又はC〜C12の芳香族であり、Aはアスタリスク(*)で表示される位置でGと結合する。更に具体的には、Rは水素、フッ素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビフェニル基、又はナフチル基であってもよい。
【0013】
例えば、Aは
【化5】
であってよく、Aはアスタリスク(*)で表示される位置でGと結合し、そのうちRはCH又はCであって、tは1〜5の整数であって、eは1〜5の整数である。
【0014】
本発明の実施例に基づき、Arは置換基を有する又は未置換のフェニレン基(phenylene group)、ビフェニレン基(biphenylene group)、ナフチレン基(naphthylene group)、チエニレン基(thienylene group)、インドリレン基(indolylene)、フェナントレニレン基(phenanthrenylene)、インデニレン基(indenylene)、アントラセニレン基(anthracenylene)、又はフルオレニレン基(fluorenylene)であってよい。具体的には、Arは1〜4個のC〜Cのアルキル基で置換されたフェニレン基(phenylene group)、ビフェニレン基(biphenylene group)、ナフチレン基(naphthylene group)、チエニレン基(thienylene group)、インドリレン基(indolylene)、フェナントレニレン基(phenanthrenylene)、インデニレン基(indenylene)、アントラセニレン基(anthracenylene)、又はフルオレニレン基(fluorenylene)であってよい。
【0015】
本発明の実施例はフラン修飾のオリゴマーを提供し、それは以下の化学式IIに記載の構造を有する:
[化学式II]
【化6】
【0016】
そのうち、yは1〜5の整数であり、Bはアミン、アミド、マレイミド、エステル基、フェニルエーテル又はエノールエーテルの反復性官能基を含み、Dは直接結合、−O−、−N−、−Ar−NH−(CH−、−Ar−O−(CH−、−Ar−O−(CH−NH−(CH−、−(CH−NH−(CH−、−(CH−O−(CH−又は−(CH−CH(OH)−(CH−NH−であり、Arは置換基を有する又は未置換のアリーレン基であり、cは1〜5の整数であり、dは0〜5の整数である。該フラン修飾のオリゴマーの数平均分子量は1000〜12000である。
【0017】
例えば、Bは
【化7】
であってよく、そのうち、Bはアスタリスク(*)で表示される位置でDと結合し、mは7〜200の整数であり、nは7〜200の整数であり、p、r及びsは1〜5の整数であり、qは5〜50の整数であり、zは5〜20の整数であり、R、R、R、Rはそれぞれ独立したC〜Cのアルキル基であり、Tは直接結合、C〜C12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、−O−、−S−又は−NH−であり、Qは
【化8】
であり、そのうち、R、R10及びR11はそれぞれ独立したCH又はCであり、TはC〜C12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、i、j及びkは1〜5の整数である。
【0018】
本発明の実施例に基づき、Arは置換基を有する又は未置換のフェニレン基(phenylene group)、ビフェニレン基(biphenylene group)、ナフチレン基(naphthylene group)、チエニレン基(thienylene group)、インドリレン基(indolylene)、フェナントレニレン基(phenanthrenylene)、インデニレン基(indenylene)、アントラセニレン基(anthracenylene)、又はフルオレニレン基(fluorenylene)であってよい。具体的には、Arは1〜4個のC〜Cのアルキル基で置換されたフェニレン基(phenylene group)、ビフェニレン基(biphenylene group)、ナフチレン基(naphthylene group)、チエニレン基(thienylene group)、インドリレン基(indolylene)、フェナントレニレン基(phenanthrenylene)、インデニレン基(indenylene)、アントラセニレン基(anthracenylene)、又はフルオレニレン基(fluorenylene)であってよい。
【0019】
以下において具体的な実施例と比較例を提供し、それによって実施例に基づくフラン修飾の化合物及び/又はオリゴマー及びその使用に対し更に理解を得る。ここで、その可逆架橋反応における組成物且つさらに該可逆架橋反応組成物によって形成された複合材料の材料を例として提供する。
【0020】
[フラン修飾の化合物及び/又はオリゴマーの合成]
[化学式1−1に記載の構造を有するオリゴマー]
[化学式1−1]
【化9】
化学式1−1におけるmは7〜200であり、nは7〜200であり、且つそれにより表されるオリゴマーの数平均分子量は2000〜12000である。
【0021】
実施例1
60グラムのスチレン無水マレイン酸(styrene maleic anhydride、SMA、Polyscopeから購入、重量平均分子量(Mw):7500)を80グラムのジメチルアセトアミド(DMAc、景明化工より購入)溶媒中に入れ、プレ溶解を行う。再び29.6グラムのフルフリルアミン(furfurylamine、FA、ALDRICHより購入)を加え、100C〜160Cまで昇温し、撹拌しながら反応させる。完全に反応させた後、温度が室温まで低下すると、式(1−1)に記載の構造のオリゴマーが得られる。続いて、オリゴマーの各物理的特性を測定し、結果は表1に示す通りである。
【0022】
実施例2
60グラムのスチレン無水マレイン酸(SMA、Polyscopeより購入、重量平均分子量(Mw):9000)を80グラムのジメチルアセトアミド(DMAc)溶媒中に入れ、プレ溶解を行う。再び22.33グラムのフルフリルアミン(FA、ALDRICHより購入)を加え、100C〜160Cまで昇温し、撹拌しながら反応させる。完全に反応させた後、温度が室温まで低下すると、式(1−1)に記載の構造のオリゴマーが得られる。続いて、オリゴマーの各物理的特性を測定し、結果は表1に示す通りである。
【0023】
実施例3
83グラムのスチレン無水マレイン酸(SMA、Polyscopeより購入、重量平均分子量(Mw):10000)を115グラムのジメチルアセトアミド(DMAc)溶媒中に入れ、プレ溶解を行う。再び40グラムのフルフリルアミン(FA、ALDRICHより購入)を加え、100C〜160Cまで昇温し、撹拌しながら反応させる。完全に反応させた後、温度が室温まで低下すると、式(1−1)に記載の構造のオリゴマーが得られる。続いて、オリゴマーの各物理的特性を測定し、結果は表1に示す通りである。
【0024】
[特性の分析と結果]
反射式赤外線スペクトラムアナライザ(Spectrum One−54415、PERLIN ELMER)を使用して実施例1〜3で調製して得られたオリゴマーに対しIRスペクトル分析を行う。得られたスペクトル情報は以下を含む:1701cm−1及び1776cm−1の−(CO)NHの特性ピークは、フルフリルアミンにスチレン無水マレイン酸がグラフトされ、イミド官能基を形成することを示す、及び1006cm−1、1068cm−1のC−O−C特性ピークと、及び1491cm−1のC=C特性ピークは、フルフリルアミン上のフラン官能基のシグナルである。示差走査熱量分析計(Q10、TAインスツルメント社)を使用してIPC−TM−650.2.4.24仕様に基づき実施例1〜3のオリゴマーのガラス転移温度(Tg)を測定し、表1に示す。ゲル浸透クロマトグラフィ(RI 830、JASCO)を使用し実施例1〜3のオリゴマーの重量平均分子量(Mw)を測定し、表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
[化学式1−2に記載の構造を有するオリゴマー]
[化学式1−2]
【化10】
化学式1−2におけるxは5〜47であり、且つそれにより表されるオリゴマーの数平均分子量は1000〜6000である。
【0027】
実施例4
60グラムのポリフェニレンエーテル(polyphenylene ether、PPE、Sabicより購入、Mn:1600)を60グラムのジメチルアセトアミド(DMAc)溶媒中に入れ、プレ溶解を行う。再び6.9グラムのフルフリルアミン(FA、ALDRICHより購入)を加え、100C〜160Cまで昇温し、撹拌しながら反応させる。完全に反応させた後、温度が室温まで低下すると、式(I−2)に記載の構造のオリゴマーが得られる。続いて、オリゴマーの各物理的特性を測定し、結果は表2に示す通りである。
【0028】
実施例5
60グラムのポリフェニレンエーテル(PPE、Sabicより購入、Mn:2350)を60グラムのジメチルアセトアミド(DMAc)溶媒中に入れ、プレ溶解を行う。再び8グラムのフルフリルアミン(FA、ALDRICHより購入)を加え、100C〜160Cまで昇温し、撹拌しながら反応させる。完全に反応させた後、温度が室温まで低下すると、式(I−2)に記載の構造のオリゴマーが得られる。続いて、オリゴマーの各物理的特性を測定し、結果は表2に示す通りである。
【0029】
[特性の分析と結果]
反射式赤外線スペクトラムアナライザ(Spectrum One−54415、PERLIN ELMER)を使用して実施例4〜5で調製して得られたオリゴマーに対しIRスペクトル分析を行う。得られたスペクトル情報は以下を含む:3200〜3400cm−1のNHの特性ピークは、フルフリルアミンにポリフェニレンエーテルがグラフトされたことを示す、また1006cm−1、1068cm−1のC−O−C特性ピーク、及び1491cm−1のC=C特性ピークは、フルフリルアミン上のフラン基のシグナルである。示差走査熱量分析計(Q10、TAインスツルメント社)を使用してIPC−TM−650.2.4.24仕様に基づき実施例4〜5で調製して得られオリゴマーのガラス転移温度(Tg)を測定し、表2に示す。ゲル浸透クロマトグラフィ(RI 830、JASCO)を使用し実施例4〜5のオリゴマーの重量平均分子量(Mw)を測定し、表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】
式(1−3)に記載の構造を有するオリゴマー
[化学式1−3に記載の構造を有するオリゴマー]
[化学式1−3]
【化11】
【0032】
化学式1−3におけるzは5〜20であり、且つそれにより表されるオリゴマーの数平均分子量は900〜3000である。
【0033】
実施例6
50グラムのエポキシ樹脂アクリルオリゴマー(DOUNLEMER1730、Double Bond chemicalより購入)を60グラムのジメチルアセトアミド(DMAc)溶媒中に入れる。再び10グラムのフルフリルアミン(FA、ALDRICHより購入)を加え、100C〜140Cまで昇温し、撹拌しながら反応させる。完全に反応させた後、温度が室温まで低下すると、式(1−3)に記載の構造のオリゴマーが得られる。続いて、オリゴマーの各物理的特性を測定し、結果は表3に示す通りである。
【0034】
[特性の分析と結果]
反射式赤外線スペクトラムアナライザ(Spectrum One−54415、PERLIN ELMER)を使用して実施例6で調製して得られたオリゴマーに対しIRスペクトル分析を行う。得られたスペクトル情報は以下を含む:3200〜3400cm−1のNHの特性ピークは、フルフリルアミンにポリフェニレンエーテルがグラフトされたことを示す、また1006cm−1、1068cm−1のC−O−C特性ピーク、及び1491cm−1のC=C特性ピークは、フルフリルアミン上のフラン官能基のシグナルである。また、示差走査熱量分析計(Q10、TAインスツルメント社)を使用してIPC−TM−650.2.4.24仕様に基づき実施例4〜5で調製して得られたオリゴマーのガラス転移温度(Tg)を測定し、表3に示す。且つゲル浸透クロマトグラフィ(RI 830、JASCO)を使用して実施例6のオリゴマーの重量平均分子量(Mw)を測定し、表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】
[化学式1−4に記載の構造を有するオリゴマー]
[化学式1−4]
【化12】
化学式1−4におけるTは−CH−CH(OH)−官能基又は−CH−CH−官能基である。
【0037】
実施例7
50グラムのトリアリルイソシアヌレート(triallyl isocyanurate、TAIC、ALDRICHより購入)を60グラムのジメチルアセトアミド(DMAc)溶媒中に入れる。更に19.48グラムのフルフリルアミン(FA、ALDRICHより購入)を加え、100C〜160Cまで昇温し、撹拌しながら完全に反応させた後、温度が室温まで低下すると、式(1−4)に記載の構造を有する化合物が得られる。
【0038】
実施例8
50グラムのトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(tris(2,3−epoxy propyl)isocyanurate、TEPIC、Nissan Chemicalより購入)を60グラムのジメチルアセトアミド(DMAc)溶媒中に入れる。更に23グラムのフルフリルアミン(FA、ALDRICHより購入)を加え、100C〜160Cまで昇温し、撹拌しながら完全に反応させた後、温度が室温まで低下すると、式(1−4)に記載の構造を有する化合物が得られる。
【0039】
特性の分析と結果
反射式赤外線スペクトラムアナライザ(Spectrum One−54415、PERLIN ELMER)を使用して実施例7〜8で調製して得られた化合物に対しIRスペクトル分析を行う。得られたスペクトル情報は以下を含む:3200〜3400cm−1のNHの特性ピークは、フルフリルアミンにトリアリルイソシアヌレート又はトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートがグラフトされたことを示す;また1006cm−1、1068cm−1のC−O−C特性ピーク、及び1491cm−1のC=C特性ピークは、フルフリルアミン上のフラン基のシグナルである。また、示差走査熱量分析計(Q10、TAインスツルメント社)を使用してIPC−TM−650.2.4.24仕様に基づき実施例7〜8で調製して得られた化合物のガラス転移温度(Tg)を測定し、表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】
[回収可能な樹脂組成物の合成と分析]
[単一種類のフラン修飾のオリゴマーを有する回収可能な樹脂組成物]
【0042】
実施例9
100.47グラムの実施例1で合成した式(1−1)に記載の構造を有するオリゴマーと50グラムのジイミド化合物BMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入、分子量:358.35)を取り、50C〜60Cで30分間反応させ、液体接着剤(可逆架橋反応組成物)を形成させる。液体接着剤を乾燥器の中に入れ且つ170C〜190Cで反応させ、それにより架橋組成物Iを得る。
【0043】
実施例10
271.2グラムの実施例4で合成した式(1−2)に記載の構造を有するオリゴマーと50グラムのBMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入)を取り、50C〜60Cで30分間反応させ、液体接着剤(可逆架橋反応組成物)を形成させる。液体接着剤を乾燥器の中に入れ且つ170C〜190Cで反応させ、それにより架橋組成物IIを得る。
【0044】
実施例11
40.18グラムの実施例1で合成した式(1−1)に記載の構造を有するオリゴマーと10グラムのBMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入)を取り、50C〜60Cで30分間反応させ、液体接着剤(可逆架橋反応組成物)を形成させる。液体接着剤を乾燥器の中に入れ且つ170C〜190Cで反応させ、それにより架橋組成物IIIを得る。
【0045】
実施例12
108.4グラムの実施例4で合成した式(1−2)に記載の構造を有するオリゴマーと10グラムのBMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入)を取り、50C〜60Cで30分間反応させ、液体接着剤(可逆架橋反応組成物)を形成させる。液体接着剤を乾燥器の中に入れ且つ170C〜190Cで反応させ、それにより架橋組成物IVを得る。
【0046】
実施例13
50.24グラムの実施例1で合成した式(1−1)に記載の構造を有するオリゴマーと50グラムのBMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入)を取り、50C〜60Cで30分間反応させ、液体接着剤(可逆架橋反応組成物)を形成させる。液体接着剤を乾燥器の中に入れ且つ170C〜190Cで反応させ、それにより架橋組成物Vを得る。
【0047】
実施例14
135.6グラムの実施例4で合成した式(1−2)に記載の構造を有するオリゴマーと50グラムのBMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入)を取り、50C〜60Cで30分間反応させ、液体接着剤(可逆架橋反応組成物)を形成させる。液体接着剤を乾燥器の中に入れ且つ170C〜190Cで反応させ、それにより架橋組成物VIを得る。
【0048】
特性の分析と結果
反射式赤外線スペクトラムアナライザ(Spectrum One−54415、PERLIN ELMER)を使用して実施例9〜14で調製して得られた架橋組成物I−VIに対しIRスペクトル分析を行う。得られたスペクトル情報は以下を含む:元の822cm−1のBMI−1000における特性ピークは反応後に消失し、且つ1068cm−1のフラン官能基のC−O−Cにおける特性ピークのシグナル強度は明らかに低下し、架橋生成物が形成されたことを示した。示差走査熱量分析計(Q10、TAインスツルメント社)を使用してIPC−TM−650.2.4.24仕様に基づき実施例9〜14で調製して得られた組成物のガラス転移温度(Tg)を測定し、表5に示す。示差走査熱量分析計(Q10、組成スツルメント社)を使用して、少なくとも5mgのサンプルを取り、5C/minの速度で350Cまで昇温し、実施例9〜17の組成物の可逆温度(Tr)を測定し、表5に示す。表5に示す可逆温度(Tr)から、実施例の架橋組成物は160C以上の高温で安定し、さらに260Cの温度でも安定性が維持できることが分かった。
【0049】
【表5】
【0050】
[複数種類のフラン修飾の化合物及び/又はオリゴマーを有する組成物]
実施例15
54.24グラムの実施例1で合成した式(1−1)に記載の構造を有するオリゴマー、135.6グラムの実施例4で合成した式(1−2)に記載の構造を有するオリゴマー、及び50グラムのBMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入)を取り、50C〜60Cで30分間反応させ、液体接着剤(可逆架橋反応組成物)を形成させる。液体接着剤を乾燥器の中に入れ且つ170C〜190Cで反応させ、それにより架橋組成物VIIを得る。
【0051】
実施例16
54.24グラムの実施例1で合成した式(1−1)に記載の構造を有するオリゴマー、42.38グラムの実施例7で合成した式(1−4)に記載の構造を有する化合物、及び50グラムのBMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入)を取り、50C〜60Cで30分間反応させ、液体接着剤(可逆架橋反応組成物)を形成させる。液体接着剤を乾燥器の中に入れ且つ170C〜190Cで反応させ、それにより架橋組成物VIIIを得る。
【0052】
実施例17
135.6グラムの実施例4で合成した式(1−2)に記載の構造を有するオリゴマー、42.38グラムの実施例7で合成した式(1−4)に記載の構造を有する化合物、及び50グラムのBMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入)を取り、50C〜60Cで30分間反応させ、液体接着剤(可逆架橋反応組成物)を形成させる。液体接着剤を乾燥器の中に入れ且つ170C〜190Cで反応させ、それにより架橋組成物IXを得る。
【0053】
実施例18
33.5グラムの実施例1で合成した式(1−1)に記載の構造を有するオリゴマー、90.4グラムの実施例4で合成した式(1−2)に記載の構造を有するオリゴマー、28.3グラムの実施例7で合成した式(1−4)に記載の構造を有する化合物、及び50グラムのBMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入)を取り、50C〜60Cで30分間反応させ、液体接着剤(可逆架橋反応組成物)を形成させる。液体接着剤を乾燥器の中に入れ且つ170C〜190Cで反応させ、それにより架橋組成物Xを得る。
【0054】
[特性の分析と結果]
反射式赤外線スペクトラムアナライザ(Spectrum One−54415、PERLIN ELMER)を使用して実施例15〜18で調製して得られた架橋組成物VII−Xに対しIRスペクトル分析を行う。得られたスペクトル情報は以下を含む:元の822cm−1のBMI−1000における特性ピークは反応後に消失し、且つ1068cm−1のフラン官能基上のC−O−Cにおける特性ピークのシグナル強度は明らかに低下し、架橋生成物が形成されたことを示した。示差走査熱量分析計(Q10、TAインスツルメント社)を使用してIPC−TM−650.2.4.24仕様に基づき実施例15〜18の組成物のガラス転移温度(Tg)を測定し、表6に示す。示差走査熱量分析計(Q10、組成スツルメント社)を使用して、少なくとも5mgのサンプルを取り、5C/minの速度で350Cまで昇温し、実施例18〜21の架橋組成物の可逆温度(Tr)を測定し、表6にも示す。表6に記載の可逆温度(Tr)から、実施例の組成物は160C以上の高温で安定し、さらに300Cの温度でも安定性が維持できることが分かった。
【0055】
【表6】
【0056】
[可逆反応試験と結果]
実施例9〜18で調製して得られた架橋組成物を粉砕した。その後、温度を約250〜300Cまで上昇させてその鎖を切断させて液体接着剤の状態に戻した。温度を60C〜70Cまで戻し、それを再び硬化させてブロック材の形状に変化させた。反射式赤外線スペクトラムアナライザ(Spectrum One−54415、PERLIN ELMER)を使用して該材料に対しIRスペクトル分析を行った。得られたスペクトル情報は以下を含む:822cm−1のBMI−1000上のC=Cにおける特性ピークが再び現れ、且つ1068cm−1のフラン官能基上のC−O−Cにおける特性ピークのシグナル強度は明らかに向上し、架橋生成物において鎖の切断反応が発生し、元のフリル基含有オリゴマー及び/又は化合物、及びBMI−1000の組成物に戻ったことが示された。
【0057】
[分析結果の考察]
実施例に基づく可逆架橋反応組成物について言えば、ジイミド化合物の二つのイミド官能基がそれぞれ二つのフリル基含有オリゴマー又は化合物のフラン官能基と1,2付加反応を発生させ、この立体構造が特定の温度に達した時、1,2付加反応により形成された結合は切断され、フリル基含有オリゴマー/化合物とジイミド化合物との架橋が切断され、元の反応物に戻り、それにより回収と再利用に有利である。また、実施例の結果によれば、本開示の可逆架橋反応組成物の構造は安定しており、耐熱性が高く、且つ高い可逆温度は高温製造工程における使用に有利であり、例を挙げると、プリント回路基板で絶縁材料として使用する時、リフロー工程では完全な状態を維持する必要があるため、可逆温度は250C以上であることが好ましい。
【0058】
[複合材料の合成と分析]
実施例19
33.5グラムの実施例1で合成した式(1−1)に記載の構造を有するオリゴマー、90.4グラムの実施例4で合成した式(1−2)に記載の構造を有するオリゴマー、28.3グラムの実施例7で合成した式(1−4)に記載の構造を有する化合物、及び50グラムのBMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入)を取り、再び75グラムのジメチルアセトアミド(DMAc)を加え、50C〜60Cで30分間反応させ、液体接着剤を形成させる。液体接着剤をガラス繊維布に含浸させ、140C〜170Cで乾燥させてプリプレグ(prepreg)を生成させ、再び銅箔と圧接して銅箔基板材を生成させた。
【0059】
[比較例]
エポキシ樹脂828(BE−188、長春化工より購入)を100wt%、ジシアンジアミド(dicyandiamide、景明化学より購入)5phr、及び2−メチルイミダゾール(2−MI、景明化学より購入)500ppmを取り、再びメチルエチルケトン(MEK、景明化学より購入)溶媒を加えて、固形分含有量が70%の液体接着剤を調製する。液体接着剤をガラス繊維布に含浸させ、170Cで乾燥させてプリプレグを生成させ、再び銅箔と圧接して銅箔基板材を生成させる。圧接条件は温度が170C〜190Cであり、反応時間が1時間〜2時間であり、圧力が350psi〜450psiである。これにより生成された銅箔基板材は一般的にプリント回路基板のFR−4板材に用いられる。
【0060】
[特性の分析と結果]
示差走査熱量分析計(Q10、TAインスツルメント社)を使用してIPC−TM−650.2.4.24仕様に基づき実施例19と比較例の銅箔基板材のガラス転移温度(Tg)を測定し、表7に示す。熱機械分析装置(Q400、TAインスツルメント社)を使用してIPC−TMC−650.2.4.24仕様に基づき実施例19と比較例の銅箔基板材の熱膨張係数(CTE)を測定し、表7に示す。熱重量分析測定(Q500、TAインスツルメント社)を使用してIPC−TM−650 2.3.40仕様に基づき実施例19と比較例の銅箔基板材の分解温度(Td)を測定し、表7に示す。示差走査熱量分析計(Q10、組成スツルメント社)を使用して、少なくとも5mgのサンプルを取り、5C/minの速度で350Cまで昇温し、実施例19と比較例の銅箔基板材の可逆温度(Tr)を測定し、表7に示す。且つ共鳴空洞型マイクロ波分光計(Resonant Cavity Type Microwave Dielectrometer、日本AET社)を使用してJIS−compliant 1641仕様に基づき実施例21と比較例の銅箔基板材の10GHzでの誘電率(Dk)と誘電損失係数(Df)を測定し、表7にも示す。表7から、実施例19の銅箔基板材と比較例の銅箔基板材(即ち一般的にプリント回路基板に用いられるFR−4板材)は近似する誘電率及び誘電損失係数を有することが分かる。しかしながら比較例の銅箔基板材と比較すると、実施例19の銅箔基板材は300Cの可逆温度を有し、温度を約300Cまで上昇させることによってその中の樹脂を逆反応させてフラン修飾の化合物及び/又はオリゴマー、及びジレイミド化合物となり、それにより回収することができる。
【0061】
【表7】
【0062】
[可逆反応試験と結果]
実施例19の銅箔基板材に対しエッチングを行い、銅箔を除去した。再び板材を約300Cの温度の溶液中に入れ、組成物の溶解と回収を行った。回収した樹脂組成物を収集し、反射式赤外線スペクトラムアナライザ(Spectrum One−54415、PERLIN ELMER)を使用してそのIRスペクトル分析を行った。得られたスペクトル情報は以下を含む:822 cm−1のBMI−1000上のC=Cにおける特性ピークが再び現れ、且つ1068 cm−1のフラン官能基上のC−O−Cにおける特性ピークのシグナル強度は明らかに向上し、樹脂組成物において鎖の切断反応が発生し、元のフリル基含有オリゴマー又は化合物及びBMI−1000に戻ったことが示された。また、回収した樹脂組成物を硬化させた後に測定されたガラス転移温度は元の樹脂組成物と同一であり(実施例18)、更に実施例19の複合材料が回収と再利用が可能であることが証明された。
【0063】
[分析結果の考察]
実施例に基づく製造方法基づき製造した複合材料は可逆架橋反応組成物を含み、これにより複合材料の回収率を向上させることができる。例を挙げると、可逆温度が250C以上の組成物を使用する時、プリント回路基板の回収率を改善でき、更には二酸化炭素の排出量を削減することができる。また、回収した組成物は再利用することができ、プリント回路基板製造工程における絶縁樹脂として、又は二級原材料として、循環型経済を達成する。
【0064】
要約すると、本発明は既に上記のように実施形態及び実施例を開示しているが、これは決して本発明を限定するものではない。本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができる。このため、本発明の保護範囲は後に添付する特許請求の範囲が定義するものを基準とする。
【外国語明細書】
2020079310000001.pdf