【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の上記及びその他の面に対する更なる理解を得るため、以下では特に実施形態と実施例を挙げ、且つ添付図面と組み合わせて以下の通り詳細に説明する。
【0010】
本発明の実施例はフラン修飾の化合物を提供し、それは以下の化学式Iに記載の構造を有する:
[化学式I]
【化3】
【0011】
そのうち、xは1〜5の整数であり、Aはケトン基、アミド基、イミド基、イミン基、フェニルエーテル基又はエノールエーテル基を含み、Gは直接結合、−O−、−N−、−Ar−NH−(CH
2)
b−、−Ar−O−(CH
2)
b−、−Ar−O−(CH
2)
a−NH−(CH
2)
b−、−(CH
2)
a−NH−(CH
2)
b−、−(CH
2)
a−O−(CH
2)
b−又は−(CH
2)
a−CH(OH)−(CH
2)
b−NH−であり、Arは置換基を有する又は未置換のアリーレン基であり、aは1〜5の整数であり、bは0〜5の整数である。
【0012】
具体的には、Aは
【化4】
でよく、Rは水素、ハロゲン、C
1〜C
8のアルキル基、C
1〜C
8のハロゲン化アルキル基、C
5〜C
10のナフテン環、又はC
6〜C
12の芳香族であり、Aはアスタリスク(*)で表示される位置でGと結合する。更に具体的には、Rは水素、フッ素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビフェニル基、又はナフチル基であってもよい。
【0013】
例えば、Aは
【化5】
であってよく、Aはアスタリスク(*)で表示される位置でGと結合し、そのうちR
8はCH
3又はC
2H
5であって、tは1〜5の整数であって、eは1〜5の整数である。
【0014】
本発明の実施例に基づき、Arは置換基を有する又は未置換のフェニレン基(phenylene group)、ビフェニレン基(biphenylene group)、ナフチレン基(naphthylene group)、チエニレン基(thienylene group)、インドリレン基(indolylene)、フェナントレニレン基(phenanthrenylene)、インデニレン基(indenylene)、アントラセニレン基(anthracenylene)、又はフルオレニレン基(fluorenylene)であってよい。具体的には、Arは1〜4個のC
1〜C
6のアルキル基で置換されたフェニレン基(phenylene group)、ビフェニレン基(biphenylene group)、ナフチレン基(naphthylene group)、チエニレン基(thienylene group)、インドリレン基(indolylene)、フェナントレニレン基(phenanthrenylene)、インデニレン基(indenylene)、アントラセニレン基(anthracenylene)、又はフルオレニレン基(fluorenylene)であってよい。
【0015】
本発明の実施例はフラン修飾のオリゴマーを提供し、それは以下の化学式IIに記載の構造を有する:
[化学式II]
【化6】
【0016】
そのうち、yは1〜5の整数であり、Bはアミン、アミド、マレイミド、エステル基、フェニルエーテル又はエノールエーテルの反復性官能基を含み、Dは直接結合、−O−、−N−、−Ar
2−NH−(CH
2)
d−、−Ar
2−O−(CH
2)
d−、−Ar
2−O−(CH
2)
c−NH−(CH
2)
d−、−(CH
2)
c−NH−(CH
2)
d−、−(CH
2)
c−O−(CH
2)
d−又は−(CH
2)
c−CH(OH)−(CH
2)
d−NH−であり、Ar
2は置換基を有する又は未置換のアリーレン基であり、cは1〜5の整数であり、dは0〜5の整数である。該フラン修飾のオリゴマーの数平均分子量は1000〜12000である。
【0017】
例えば、Bは
【化7】
であってよく、そのうち、Bはアスタリスク(*)で表示される位置でDと結合し、mは7〜200の整数であり、nは7〜200の整数であり、p、r及びsは1〜5の整数であり、qは5〜50の整数であり、zは5〜20の整数であり、R
1、R
2、R
3、R
4はそれぞれ独立したC
1〜C
5のアルキル基であり、T
1は直接結合、C
1〜C
12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、−O−、−S−又は−NH−であり、Qは
【化8】
であり、そのうち、R
9、R
10及びR
11はそれぞれ独立したCH
3又はC
2H
5であり、T
2はC
1〜C
12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、i、j及びkは1〜5の整数である。
【0018】
本発明の実施例に基づき、Ar
2は置換基を有する又は未置換のフェニレン基(phenylene group)、ビフェニレン基(biphenylene group)、ナフチレン基(naphthylene group)、チエニレン基(thienylene group)、インドリレン基(indolylene)、フェナントレニレン基(phenanthrenylene)、インデニレン基(indenylene)、アントラセニレン基(anthracenylene)、又はフルオレニレン基(fluorenylene)であってよい。具体的には、Ar
2は1〜4個のC
1〜C
6のアルキル基で置換されたフェニレン基(phenylene group)、ビフェニレン基(biphenylene group)、ナフチレン基(naphthylene group)、チエニレン基(thienylene group)、インドリレン基(indolylene)、フェナントレニレン基(phenanthrenylene)、インデニレン基(indenylene)、アントラセニレン基(anthracenylene)、又はフルオレニレン基(fluorenylene)であってよい。
【0019】
以下において具体的な実施例と比較例を提供し、それによって実施例に基づくフラン修飾の化合物及び/又はオリゴマー及びその使用に対し更に理解を得る。ここで、その可逆架橋反応における組成物且つさらに該可逆架橋反応組成物によって形成された複合材料の材料を例として提供する。
【0020】
[フラン修飾の化合物及び/又はオリゴマーの合成]
[化学式1−1に記載の構造を有するオリゴマー]
[化学式1−1]
【化9】
化学式1−1におけるmは7〜200であり、nは7〜200であり、且つそれにより表されるオリゴマーの数平均分子量は2000〜12000である。
【0021】
実施例1
60グラムのスチレン無水マレイン酸(styrene maleic anhydride、SMA、Polyscopeから購入、重量平均分子量(Mw):7500)を80グラムのジメチルアセトアミド(DMAc、景明化工より購入)溶媒中に入れ、プレ溶解を行う。再び29.6グラムのフルフリルアミン(furfurylamine、FA、ALDRICHより購入)を加え、100
oC〜160
oCまで昇温し、撹拌しながら反応させる。完全に反応させた後、温度が室温まで低下すると、式(1−1)に記載の構造のオリゴマーが得られる。続いて、オリゴマーの各物理的特性を測定し、結果は表1に示す通りである。
【0022】
実施例2
60グラムのスチレン無水マレイン酸(SMA、Polyscopeより購入、重量平均分子量(Mw):9000)を80グラムのジメチルアセトアミド(DMAc)溶媒中に入れ、プレ溶解を行う。再び22.33グラムのフルフリルアミン(FA、ALDRICHより購入)を加え、100
oC〜160
oCまで昇温し、撹拌しながら反応させる。完全に反応させた後、温度が室温まで低下すると、式(1−1)に記載の構造のオリゴマーが得られる。続いて、オリゴマーの各物理的特性を測定し、結果は表1に示す通りである。
【0023】
実施例3
83グラムのスチレン無水マレイン酸(SMA、Polyscopeより購入、重量平均分子量(Mw):10000)を115グラムのジメチルアセトアミド(DMAc)溶媒中に入れ、プレ溶解を行う。再び40グラムのフルフリルアミン(FA、ALDRICHより購入)を加え、100
oC〜160
oCまで昇温し、撹拌しながら反応させる。完全に反応させた後、温度が室温まで低下すると、式(1−1)に記載の構造のオリゴマーが得られる。続いて、オリゴマーの各物理的特性を測定し、結果は表1に示す通りである。
【0024】
[特性の分析と結果]
反射式赤外線スペクトラムアナライザ(Spectrum One−54415、PERLIN ELMER)を使用して実施例1〜3で調製して得られたオリゴマーに対しIRスペクトル分析を行う。得られたスペクトル情報は以下を含む:1701cm
−1及び1776cm
−1の−(CO)
2NHの特性ピークは、フルフリルアミンにスチレン無水マレイン酸がグラフトされ、イミド官能基を形成することを示す、及び1006cm
−1、1068cm
−1のC−O−C特性ピークと、及び1491cm
−1のC=C特性ピークは、フルフリルアミン上のフラン官能基のシグナルである。示差走査熱量分析計(Q10、TAインスツルメント社)を使用してIPC−TM−650.2.4.24仕様に基づき実施例1〜3のオリゴマーのガラス転移温度(Tg)を測定し、表1に示す。ゲル浸透クロマトグラフィ(RI 830、JASCO)を使用し実施例1〜3のオリゴマーの重量平均分子量(Mw)を測定し、表1に示す。
【0026】
[化学式1−2に記載の構造を有するオリゴマー]
[化学式1−2]
【化10】
化学式1−2におけるxは5〜47であり、且つそれにより表されるオリゴマーの数平均分子量は1000〜6000である。
【0027】
実施例4
60グラムのポリフェニレンエーテル(polyphenylene ether、PPE、Sabicより購入、Mn:1600)を60グラムのジメチルアセトアミド(DMAc)溶媒中に入れ、プレ溶解を行う。再び6.9グラムのフルフリルアミン(FA、ALDRICHより購入)を加え、100
oC〜160
oCまで昇温し、撹拌しながら反応させる。完全に反応させた後、温度が室温まで低下すると、式(I−2)に記載の構造のオリゴマーが得られる。続いて、オリゴマーの各物理的特性を測定し、結果は表2に示す通りである。
【0028】
実施例5
60グラムのポリフェニレンエーテル(PPE、Sabicより購入、Mn:2350)を60グラムのジメチルアセトアミド(DMAc)溶媒中に入れ、プレ溶解を行う。再び8グラムのフルフリルアミン(FA、ALDRICHより購入)を加え、100
oC〜160
oCまで昇温し、撹拌しながら反応させる。完全に反応させた後、温度が室温まで低下すると、式(I−2)に記載の構造のオリゴマーが得られる。続いて、オリゴマーの各物理的特性を測定し、結果は表2に示す通りである。
【0029】
[特性の分析と結果]
反射式赤外線スペクトラムアナライザ(Spectrum One−54415、PERLIN ELMER)を使用して実施例4〜5で調製して得られたオリゴマーに対しIRスペクトル分析を行う。得られたスペクトル情報は以下を含む:3200〜3400cm
−1のNHの特性ピークは、フルフリルアミンにポリフェニレンエーテルがグラフトされたことを示す、また1006cm
−1、1068cm
−1のC−O−C特性ピーク、及び1491cm
−1のC=C特性ピークは、フルフリルアミン上のフラン基のシグナルである。示差走査熱量分析計(Q10、TAインスツルメント社)を使用してIPC−TM−650.2.4.24仕様に基づき実施例4〜5で調製して得られオリゴマーのガラス転移温度(Tg)を測定し、表2に示す。ゲル浸透クロマトグラフィ(RI 830、JASCO)を使用し実施例4〜5のオリゴマーの重量平均分子量(Mw)を測定し、表2に示す。
【0031】
式(1−3)に記載の構造を有するオリゴマー
[化学式1−3に記載の構造を有するオリゴマー]
[化学式1−3]
【化11】
【0032】
化学式1−3におけるzは5〜20であり、且つそれにより表されるオリゴマーの数平均分子量は900〜3000である。
【0033】
実施例6
50グラムのエポキシ樹脂アクリルオリゴマー(DOUNLEMER1730、Double Bond chemicalより購入)を60グラムのジメチルアセトアミド(DMAc)溶媒中に入れる。再び10グラムのフルフリルアミン(FA、ALDRICHより購入)を加え、100
oC〜140
oCまで昇温し、撹拌しながら反応させる。完全に反応させた後、温度が室温まで低下すると、式(1−3)に記載の構造のオリゴマーが得られる。続いて、オリゴマーの各物理的特性を測定し、結果は表3に示す通りである。
【0034】
[特性の分析と結果]
反射式赤外線スペクトラムアナライザ(Spectrum One−54415、PERLIN ELMER)を使用して実施例6で調製して得られたオリゴマーに対しIRスペクトル分析を行う。得られたスペクトル情報は以下を含む:3200〜3400cm
−1のNHの特性ピークは、フルフリルアミンにポリフェニレンエーテルがグラフトされたことを示す、また1006cm
−1、1068cm
−1のC−O−C特性ピーク、及び1491cm
−1のC=C特性ピークは、フルフリルアミン上のフラン官能基のシグナルである。また、示差走査熱量分析計(Q10、TAインスツルメント社)を使用してIPC−TM−650.2.4.24仕様に基づき実施例4〜5で調製して得られたオリゴマーのガラス転移温度(Tg)を測定し、表3に示す。且つゲル浸透クロマトグラフィ(RI 830、JASCO)を使用して実施例6のオリゴマーの重量平均分子量(Mw)を測定し、表3に示す。
【0036】
[化学式1−4に記載の構造を有するオリゴマー]
[化学式1−4]
【化12】
化学式1−4におけるTは−CH
2−CH(OH)−官能基又は−CH
2−CH
2−官能基である。
【0037】
実施例7
50グラムのトリアリルイソシアヌレート(triallyl isocyanurate、TAIC、ALDRICHより購入)を60グラムのジメチルアセトアミド(DMAc)溶媒中に入れる。更に19.48グラムのフルフリルアミン(FA、ALDRICHより購入)を加え、100
oC〜160
oCまで昇温し、撹拌しながら完全に反応させた後、温度が室温まで低下すると、式(1−4)に記載の構造を有する化合物が得られる。
【0038】
実施例8
50グラムのトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(tris(2,3−epoxy propyl)isocyanurate、TEPIC、Nissan Chemicalより購入)を60グラムのジメチルアセトアミド(DMAc)溶媒中に入れる。更に23グラムのフルフリルアミン(FA、ALDRICHより購入)を加え、100
oC〜160
oCまで昇温し、撹拌しながら完全に反応させた後、温度が室温まで低下すると、式(1−4)に記載の構造を有する化合物が得られる。
【0039】
特性の分析と結果
反射式赤外線スペクトラムアナライザ(Spectrum One−54415、PERLIN ELMER)を使用して実施例7〜8で調製して得られた化合物に対しIRスペクトル分析を行う。得られたスペクトル情報は以下を含む:3200〜3400cm
−1のNHの特性ピークは、フルフリルアミンにトリアリルイソシアヌレート又はトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートがグラフトされたことを示す;また1006cm
−1、1068cm
−1のC−O−C特性ピーク、及び1491cm
−1のC=C特性ピークは、フルフリルアミン上のフラン基のシグナルである。また、示差走査熱量分析計(Q10、TAインスツルメント社)を使用してIPC−TM−650.2.4.24仕様に基づき実施例7〜8で調製して得られた化合物のガラス転移温度(Tg)を測定し、表4に示す。
【0041】
[回収可能な樹脂組成物の合成と分析]
[単一種類のフラン修飾のオリゴマーを有する回収可能な樹脂組成物]
【0042】
実施例9
100.47グラムの実施例1で合成した式(1−1)に記載の構造を有するオリゴマーと50グラムのジイミド化合物BMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入、分子量:358.35)を取り、50
oC〜60
oCで30分間反応させ、液体接着剤(可逆架橋反応組成物)を形成させる。液体接着剤を乾燥器の中に入れ且つ170
oC〜190
oCで反応させ、それにより架橋組成物Iを得る。
【0043】
実施例10
271.2グラムの実施例4で合成した式(1−2)に記載の構造を有するオリゴマーと50グラムのBMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入)を取り、50
oC〜60
oCで30分間反応させ、液体接着剤(可逆架橋反応組成物)を形成させる。液体接着剤を乾燥器の中に入れ且つ170
oC〜190
oCで反応させ、それにより架橋組成物IIを得る。
【0044】
実施例11
40.18グラムの実施例1で合成した式(1−1)に記載の構造を有するオリゴマーと10グラムのBMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入)を取り、50
oC〜60
oCで30分間反応させ、液体接着剤(可逆架橋反応組成物)を形成させる。液体接着剤を乾燥器の中に入れ且つ170
oC〜190
oCで反応させ、それにより架橋組成物IIIを得る。
【0045】
実施例12
108.4グラムの実施例4で合成した式(1−2)に記載の構造を有するオリゴマーと10グラムのBMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入)を取り、50
oC〜60
oCで30分間反応させ、液体接着剤(可逆架橋反応組成物)を形成させる。液体接着剤を乾燥器の中に入れ且つ170
oC〜190
oCで反応させ、それにより架橋組成物IVを得る。
【0046】
実施例13
50.24グラムの実施例1で合成した式(1−1)に記載の構造を有するオリゴマーと50グラムのBMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入)を取り、50
oC〜60
oCで30分間反応させ、液体接着剤(可逆架橋反応組成物)を形成させる。液体接着剤を乾燥器の中に入れ且つ170
oC〜190
oCで反応させ、それにより架橋組成物Vを得る。
【0047】
実施例14
135.6グラムの実施例4で合成した式(1−2)に記載の構造を有するオリゴマーと50グラムのBMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入)を取り、50
oC〜60
oCで30分間反応させ、液体接着剤(可逆架橋反応組成物)を形成させる。液体接着剤を乾燥器の中に入れ且つ170
oC〜190
oCで反応させ、それにより架橋組成物VIを得る。
【0048】
特性の分析と結果
反射式赤外線スペクトラムアナライザ(Spectrum One−54415、PERLIN ELMER)を使用して実施例9〜14で調製して得られた架橋組成物I−VIに対しIRスペクトル分析を行う。得られたスペクトル情報は以下を含む:元の822cm
−1のBMI−1000における特性ピークは反応後に消失し、且つ1068cm
−1のフラン官能基のC−O−Cにおける特性ピークのシグナル強度は明らかに低下し、架橋生成物が形成されたことを示した。示差走査熱量分析計(Q10、TAインスツルメント社)を使用してIPC−TM−650.2.4.24仕様に基づき実施例9〜14で調製して得られた組成物のガラス転移温度(Tg)を測定し、表5に示す。示差走査熱量分析計(Q10、組成スツルメント社)を使用して、少なくとも5mgのサンプルを取り、5
oC/minの速度で350
oCまで昇温し、実施例9〜17の組成物の可逆温度(Tr)を測定し、表5に示す。表5に示す可逆温度(Tr)から、実施例の架橋組成物は160
oC以上の高温で安定し、さらに260
oCの温度でも安定性が維持できることが分かった。
【0050】
[複数種類のフラン修飾の化合物及び/又はオリゴマーを有する組成物]
実施例15
54.24グラムの実施例1で合成した式(1−1)に記載の構造を有するオリゴマー、135.6グラムの実施例4で合成した式(1−2)に記載の構造を有するオリゴマー、及び50グラムのBMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入)を取り、50
oC〜60
oCで30分間反応させ、液体接着剤(可逆架橋反応組成物)を形成させる。液体接着剤を乾燥器の中に入れ且つ170
oC〜190
oCで反応させ、それにより架橋組成物VIIを得る。
【0051】
実施例16
54.24グラムの実施例1で合成した式(1−1)に記載の構造を有するオリゴマー、42.38グラムの実施例7で合成した式(1−4)に記載の構造を有する化合物、及び50グラムのBMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入)を取り、50
oC〜60
oCで30分間反応させ、液体接着剤(可逆架橋反応組成物)を形成させる。液体接着剤を乾燥器の中に入れ且つ170
oC〜190
oCで反応させ、それにより架橋組成物VIIIを得る。
【0052】
実施例17
135.6グラムの実施例4で合成した式(1−2)に記載の構造を有するオリゴマー、42.38グラムの実施例7で合成した式(1−4)に記載の構造を有する化合物、及び50グラムのBMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入)を取り、50
oC〜60
oCで30分間反応させ、液体接着剤(可逆架橋反応組成物)を形成させる。液体接着剤を乾燥器の中に入れ且つ170
oC〜190
oCで反応させ、それにより架橋組成物IXを得る。
【0053】
実施例18
33.5グラムの実施例1で合成した式(1−1)に記載の構造を有するオリゴマー、90.4グラムの実施例4で合成した式(1−2)に記載の構造を有するオリゴマー、28.3グラムの実施例7で合成した式(1−4)に記載の構造を有する化合物、及び50グラムのBMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入)を取り、50
oC〜60
oCで30分間反応させ、液体接着剤(可逆架橋反応組成物)を形成させる。液体接着剤を乾燥器の中に入れ且つ170
oC〜190
oCで反応させ、それにより架橋組成物Xを得る。
【0054】
[特性の分析と結果]
反射式赤外線スペクトラムアナライザ(Spectrum One−54415、PERLIN ELMER)を使用して実施例15〜18で調製して得られた架橋組成物VII−Xに対しIRスペクトル分析を行う。得られたスペクトル情報は以下を含む:元の822cm
−1のBMI−1000における特性ピークは反応後に消失し、且つ1068cm
−1のフラン官能基上のC−O−Cにおける特性ピークのシグナル強度は明らかに低下し、架橋生成物が形成されたことを示した。示差走査熱量分析計(Q10、TAインスツルメント社)を使用してIPC−TM−650.2.4.24仕様に基づき実施例15〜18の組成物のガラス転移温度(Tg)を測定し、表6に示す。示差走査熱量分析計(Q10、組成スツルメント社)を使用して、少なくとも5mgのサンプルを取り、5
oC/minの速度で350
oCまで昇温し、実施例18〜21の架橋組成物の可逆温度(Tr)を測定し、表6にも示す。表6に記載の可逆温度(Tr)から、実施例の組成物は160
oC以上の高温で安定し、さらに300
oCの温度でも安定性が維持できることが分かった。
【0056】
[可逆反応試験と結果]
実施例9〜18で調製して得られた架橋組成物を粉砕した。その後、温度を約250〜300
oCまで上昇させてその鎖を切断させて液体接着剤の状態に戻した。温度を60
oC〜70
oCまで戻し、それを再び硬化させてブロック材の形状に変化させた。反射式赤外線スペクトラムアナライザ(Spectrum One−54415、PERLIN ELMER)を使用して該材料に対しIRスペクトル分析を行った。得られたスペクトル情報は以下を含む:822cm
−1のBMI−1000上のC=Cにおける特性ピークが再び現れ、且つ1068cm
−1のフラン官能基上のC−O−Cにおける特性ピークのシグナル強度は明らかに向上し、架橋生成物において鎖の切断反応が発生し、元のフリル基含有オリゴマー及び/又は化合物、及びBMI−1000の組成物に戻ったことが示された。
【0057】
[分析結果の考察]
実施例に基づく可逆架橋反応組成物について言えば、ジイミド化合物の二つのイミド官能基がそれぞれ二つのフリル基含有オリゴマー又は化合物のフラン官能基と1,2付加反応を発生させ、この立体構造が特定の温度に達した時、1,2付加反応により形成された結合は切断され、フリル基含有オリゴマー/化合物とジイミド化合物との架橋が切断され、元の反応物に戻り、それにより回収と再利用に有利である。また、実施例の結果によれば、本開示の可逆架橋反応組成物の構造は安定しており、耐熱性が高く、且つ高い可逆温度は高温製造工程における使用に有利であり、例を挙げると、プリント回路基板で絶縁材料として使用する時、リフロー工程では完全な状態を維持する必要があるため、可逆温度は250
oC以上であることが好ましい。
【0058】
[複合材料の合成と分析]
実施例19
33.5グラムの実施例1で合成した式(1−1)に記載の構造を有するオリゴマー、90.4グラムの実施例4で合成した式(1−2)に記載の構造を有するオリゴマー、28.3グラムの実施例7で合成した式(1−4)に記載の構造を有する化合物、及び50グラムのBMI−1000(K.I.Chemical Industryより購入)を取り、再び75グラムのジメチルアセトアミド(DMAc)を加え、50
oC〜60
oCで30分間反応させ、液体接着剤を形成させる。液体接着剤をガラス繊維布に含浸させ、140
oC〜170
oCで乾燥させてプリプレグ(prepreg)を生成させ、再び銅箔と圧接して銅箔基板材を生成させた。
【0059】
[比較例]
エポキシ樹脂828(BE−188、長春化工より購入)を100wt%、ジシアンジアミド(dicyandiamide、景明化学より購入)5phr、及び2−メチルイミダゾール(2−MI、景明化学より購入)500ppmを取り、再びメチルエチルケトン(MEK、景明化学より購入)溶媒を加えて、固形分含有量が70%の液体接着剤を調製する。液体接着剤をガラス繊維布に含浸させ、170
oCで乾燥させてプリプレグを生成させ、再び銅箔と圧接して銅箔基板材を生成させる。圧接条件は温度が170
oC〜190
oCであり、反応時間が1時間〜2時間であり、圧力が350psi〜450psiである。これにより生成された銅箔基板材は一般的にプリント回路基板のFR−4板材に用いられる。
【0060】
[特性の分析と結果]
示差走査熱量分析計(Q10、TAインスツルメント社)を使用してIPC−TM−650.2.4.24仕様に基づき実施例19と比較例の銅箔基板材のガラス転移温度(Tg)を測定し、表7に示す。熱機械分析装置(Q400、TAインスツルメント社)を使用してIPC−TMC−650.2.4.24仕様に基づき実施例19と比較例の銅箔基板材の熱膨張係数(CTE)を測定し、表7に示す。熱重量分析測定(Q500、TAインスツルメント社)を使用してIPC−TM−650 2.3.40仕様に基づき実施例19と比較例の銅箔基板材の分解温度(Td)を測定し、表7に示す。示差走査熱量分析計(Q10、組成スツルメント社)を使用して、少なくとも5mgのサンプルを取り、5
oC/minの速度で350
oCまで昇温し、実施例19と比較例の銅箔基板材の可逆温度(Tr)を測定し、表7に示す。且つ共鳴空洞型マイクロ波分光計(Resonant Cavity Type Microwave Dielectrometer、日本AET社)を使用してJIS−compliant 1641仕様に基づき実施例21と比較例の銅箔基板材の10GHzでの誘電率(Dk)と誘電損失係数(Df)を測定し、表7にも示す。表7から、実施例19の銅箔基板材と比較例の銅箔基板材(即ち一般的にプリント回路基板に用いられるFR−4板材)は近似する誘電率及び誘電損失係数を有することが分かる。しかしながら比較例の銅箔基板材と比較すると、実施例19の銅箔基板材は300
oCの可逆温度を有し、温度を約300
oCまで上昇させることによってその中の樹脂を逆反応させてフラン修飾の化合物及び/又はオリゴマー、及びジレイミド化合物となり、それにより回収することができる。
【0062】
[可逆反応試験と結果]
実施例19の銅箔基板材に対しエッチングを行い、銅箔を除去した。再び板材を約300
oCの温度の溶液中に入れ、組成物の溶解と回収を行った。回収した樹脂組成物を収集し、反射式赤外線スペクトラムアナライザ(Spectrum One−54415、PERLIN ELMER)を使用してそのIRスペクトル分析を行った。得られたスペクトル情報は以下を含む:822 cm
−1のBMI−1000上のC=Cにおける特性ピークが再び現れ、且つ1068 cm
−1のフラン官能基上のC−O−Cにおける特性ピークのシグナル強度は明らかに向上し、樹脂組成物において鎖の切断反応が発生し、元のフリル基含有オリゴマー又は化合物及びBMI−1000に戻ったことが示された。また、回収した樹脂組成物を硬化させた後に測定されたガラス転移温度は元の樹脂組成物と同一であり(実施例18)、更に実施例19の複合材料が回収と再利用が可能であることが証明された。
【0063】
[分析結果の考察]
実施例に基づく製造方法基づき製造した複合材料は可逆架橋反応組成物を含み、これにより複合材料の回収率を向上させることができる。例を挙げると、可逆温度が250
oC以上の組成物を使用する時、プリント回路基板の回収率を改善でき、更には二酸化炭素の排出量を削減することができる。また、回収した組成物は再利用することができ、プリント回路基板製造工程における絶縁樹脂として、又は二級原材料として、循環型経済を達成する。
【0064】
要約すると、本発明は既に上記のように実施形態及び実施例を開示しているが、これは決して本発明を限定するものではない。本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができる。このため、本発明の保護範囲は後に添付する特許請求の範囲が定義するものを基準とする。