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特開2020-79435摩擦材、振動型アクチュエータおよび電子機器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-79435(P2020-79435A)
(43)【公開日】2020年5月28日
(54)【発明の名称】摩擦材、振動型アクチュエータおよび電子機器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 26/00 20060101AFI20200501BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20200501BHJP
   B22F 3/26 20060101ALI20200501BHJP
   B22F 3/24 20060101ALI20200501BHJP
   H02N 2/12 20060101ALI20200501BHJP
   H01L 41/09 20060101ALI20200501BHJP
【FI】
   C23C26/00 K
   C09K3/14 520C
   B22F3/26 F
   B22F3/26 H
   B22F3/24 102Z
   H02N2/12
   H01L41/09
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-213271(P2018-213271)
(22)【出願日】2018年11月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】荒木 康之
【テーマコード(参考)】
4K018
4K044
5H681
【Fターム(参考)】
4K018AA33
4K018FA06
4K018FA25
4K018FA47
4K018KA05
4K044AA03
4K044AB08
4K044BA11
4K044BA21
4K044BB10
4K044BB11
4K044BC01
4K044CA53
4K044CA62
4K044CA64
4K044CA67
5H681BB02
5H681BB14
5H681BB17
5H681BC01
5H681CC02
5H681DD02
5H681DD15
5H681DD23
5H681DD35
5H681DD55
(57)【要約】
【課題】 樹脂と硬質粒子の含浸率を良好にすることが可能な摩擦材、摩擦材の作製方法を実現する。
【解決手段】 上記の課題を解決するため、液状の主剤および液状の硬化剤の少なくとも一方に硬質粒子を混合する第一の混合工程と、前記硬質粒子を含む前記主剤および/または前記硬化剤の一方と他方を混合する第二の混合工程と、前記主剤と前記硬化剤と前記硬質粒子との混合物を表面に孔部を有する部材の表面に塗布する工程、を有する摩擦材の製造方法を提供する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状の主剤および液状の硬化剤の少なくとも一方に硬質粒子を混合する第一の混合工程と、
前記硬質粒子を含む前記主剤および/または前記硬化剤の一方と他方を混合する第二の混合工程と、
前記主剤と前記硬化剤と前記硬質粒子との混合物を表面に孔部を有する部材の表面に塗布する工程、
を有する摩擦材の製造方法。
【請求項2】
前記表面に孔部を有する部材は焼結体である請求項1に記載の摩擦材の製造方法。
【請求項3】
前記焼結体はステンレスである請求項2に記載の摩擦材の製造方法。
【請求項4】
前記第一の混合工程において、前記硬質粒子は前記主剤又は前記硬化剤のうち、粘度の高いほうと混合することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の摩擦材の製造方法。
【請求項5】
前記第二の混合工程は、スタティックミキサで行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の摩擦材の製造方法。
【請求項6】
前記硬質粒子はセラミック粒子である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の摩擦材の製造方法。
【請求項7】
液状の主剤および液状の硬化剤の少なくとも一方は蛍光染料を含有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の摩擦材の製造方法。
【請求項8】
前記第一の混合工程は脱泡工程を含む請求項1乃至7のいずれか一項に記載の摩擦材の製造方法。
【請求項9】
前記脱泡工程は減圧するとともに混合する工程である請求項1乃至8のいずれか一項に記載の摩擦材の製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の摩擦材の製造方法で得られた摩擦材を有する接触体と、振動体を設ける工程を有する振動型アクチュエータの製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の振動型アクチュエータの製造方法で得られた振動型アクチュエータと、
前記振動型アクチュエータによって駆動する部材を配置する工程を有する電子機器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦材の作製方法に関する。特に振動型アクチュエータに用いるのに好適な摩擦材の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気−機械エネルギー変換素子を用いる振動体と接触体を加圧接触させ、振動体に所定の振動を励起させて振動体から接触体へ摩擦駆動力を与えることにより、振動体と接触体を相対的に移動させる振動型アクチュエータが知られている。このような振動型アクチュエータは、加圧接触に起因して生じる摩擦力を利用するため保持トルクや保持力が大きいという特徴がある。そのため、無通電の状態で外力が作用しても振動体と接触体の位置関係を維持することができる。
【0003】
特許文献1では、このような接触体の摩擦材として硬質粒子を混合した樹脂を含浸させたステンレス焼結体を用いることが記載されている。この摩擦材は含浸しているエポキシ樹脂が摺動材として耐摩耗性を向上させるのに寄与しているとともに、硬質粒子がスパイク効果を発揮し、高温高湿後の状態でも高摩擦係数を維持し、極めて良好な結果が期待できる。
【0004】
特許文献1に記載の摩擦材の場合、保持力を維持するために樹脂が摩擦面上の気孔部に適度な割合で含浸されていること、および、硬質粒子が適度な割合で混合され、樹脂の中に分散していることが安定した摩擦力を維持する上で重要となっている。例えば、硬質粒子の割合が多すぎると摩耗量が多くなり、硬質粒子の割合が少なすぎると保持トルクが低くなる。
【0005】
含浸前の工程として、主剤である液状のエポキシ樹脂と、液状の硬化剤と、硬質粒子を所定の割合で計量し、カップに入れ混合していた。この場合、時間が経つにつれて硬化過程の進行により粘度が高くなっていくため、後に塗ったものの含浸度が低くなり、結果として保持トルクのばらつきが生じ、安定した摩擦材を提供することが困難であった。また保持トルクのばらつきを緩和させようとすると、混合後に塗布が可能な時間(ポットライフ)が短くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017−225333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、樹脂と硬質粒子の含浸率を良好にすることが可能な摩擦材、振動型アクチュエータおよび電子機器の作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段は、
液状の主剤および液状の硬化剤の少なくとも一方に硬質粒子を混合する第一の混合工程と、
前記硬質粒子を含む前記主剤および/または前記硬化剤の一方と他方を混合する第二の混合工程と、
前記主剤と前記硬化剤と前記硬質粒子との混合物を表面に孔部を有する部材の表面に塗布する工程、
を有する摩擦材の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
以上述べたように本発明によれば、樹脂と硬質粒子の含浸率を良好にすることが可能な摩擦材の作製方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の摩擦材の製造法を表す図
図2】本発明の振動型アクチュエータAを表す図
図3】振動型アクチュエータAの振動体を表す図
図4】振動型アクチュエータAの接触体の断面図
図5】撹拌容器の形状を示す図
図6】本発明の振動型アクチュエータを備えるカメラ等の撮像装置の構成を示す図
図7】本発明の振動型アクチュエータを搭載したロボットの概略構造を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施例1]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図2は、振動型アクチュエータ1の概略構成を説明する図である。振動型アクチュエータ1は、振動体2と、振動体2と接触する接触体6を有する。振動体2は、平板状の弾性体3と、弾性体3の一方の面に接着された電気−機械エネルギー変換素子である圧電素子4と、弾性体3の他方の面に設けられた2つの突起部5を有する。
【0013】
「接触体」とは、振動体と接触し、振動体に発生した振動によって、振動体に対して相対移動する部材のことをいう。接触体と振動体の接触は、接触体と振動体の間に他の部材が介在しない直接接触に限られない。接触体と振動体の接触は、振動体に発生した振動によって、接触体が振動体に対して相対移動するならば、接触体と振動体の間に他の部材が介在する間接接触であってもよい。「他の部材」は、接触体及び振動体とは独立した部材(例えば焼結体よりなる高摩擦材)に限られない。「他の部材」は、接触体又は振動体に、メッキや窒化処理などによって形成された表面処理部分であってもよい。
【0014】
図3(a)は、振動体2を簡略化して示す斜視図である。圧電素子4は、例えば、弾性体3側の面には不図示の共通電極(全面電極)が形成され、弾性体3側の面の反対側の面には長さ方向で2等分され不図示の駆動電極が形成された構造を有している。
【0015】
図3(b)は、振動体2に励起される2つの屈曲振動モードのうちの第1振動モード(以下「Aモード」という)を説明する図である。Aモードは、振動体2の長手方向(X方向)における二次の屈曲振動であり、振動体2の短手方向(Y方向(幅方向))と略平行な3本の節線を有している。圧電素子4の駆動電極に所定の周波数で位相が180°ずれた交番電圧を印加することにより、振動体2にAモードの振動を励起することができる。突起部5は、Aモードの振動で節となる位置の近傍に配置されており、振動体2にAモードの振動が励起されることによりX方向で往復運動を行う。
【0016】
図3(c)は、振動体2に励起される2つの屈曲振動モードのうちの第2振動モード(以下「Bモード」という)を説明する図である。Bモードは、振動体2の短手方向(Y方向)における一次の屈曲振動であり、長手方向(X方向)と略平行な2本の節線を有している。圧電素子4の駆動電極に所定の周波数で同位相の交番電圧を印加することにより、振動体2にBモードの振動を励起することができる。突起部5は、Bモードの振動で腹となる位置の近傍に配置されており、振動体2にBモードの振動が励起されることにより突起部5の軸方向(Z方向)で往復運動を行う。
【0017】
振動体2は、Aモードでの節線とBモードでの節線がXY平面内において略直交するように構成されている。また、圧電素子4には不図示のフレキシブル基板が接着されており、フレキシブル基板を通じて圧電素子4に交流電流を供給することにより、振動体2にAモードとBモードの振動を同時に励起することができる。よって、AモードとBモードの振動を所定の位相差で励起することにより、突起部5の先端にZX面内で楕円運動を発生させることができる。
【0018】
振動型アクチュエータ1では、3つの振動体2はそれぞれ、2つの突起部5を結ぶ直線が環状の接触体6の接線となるように配置されて接触体6と接触している。よって、接触体6を図2に矢印で示す回転方向に回転可能に支持し、振動体2にAモードとBモードの振動を同時に励起すると、接触体6は、突起部5によって摩擦駆動されてその周方向に回転する。なお、図2では、接触体6を回転可能に支持する支持部材や、振動体2を保持する保持部材、振動体2と接触体6とを接触させるための加圧手段等の図示を省略している。本実施例では、振動体2が固定されて接触体6が回転可能であるとしたが、逆に、接触体6が固定され、3つの振動体2を保持部材と共に回転させる構成とすることも可能である。
【0019】
本願発明は以下説明するように摩擦材の製造方法を提供する。具体的には液状の主剤および液状の硬化剤の少なくとも一方に硬質粒子を混合する第一の混合工程と、硬質粒子を含む主剤および/または硬化剤の一方と他方を混合する第二の混合工程と、を有する。また主剤と硬化剤と硬質粒子との混合物を表面に孔部を有する部材(たとえば焼結体)の表面に塗布する工程、を有する。
【0020】
図4は、図2の接触体6の構造と製造方法を接触体6の径方向の断面で説明する図であり、左側が内径側、右側が外径側となっている。本実施形態では、接触体6に、SUS420J2相当のマルテンサイト系ステンレスからなる焼結体6a(図4(a))を使用している。焼結体6aは、SUS410L粉末と炭素粉末を混合した原料粉末の成形体を融点以下の所定の温度に保持して粉末同士を結合させる処理(焼結工程)により製造される。
【0021】
焼結体6aのビッカース硬さは200g(=0.2kg)の試験力で測定した。焼結体6aを接触体6として用いたときの摩擦摺動面の耐摩耗性を高めるため、焼結体6aのビッカース硬さは550HV0.2以上とした。
【0022】
次に、焼結体6aの気孔部に樹脂を含浸させるため、2液硬化型の液状の接着剤を用意する。本実施例では、主剤の主成分は液状のエポキシ樹脂、硬化剤の主成分はアミンを使用した。
【0023】
図5に撹拌容器の概略図を示す。図5(a)は、蓋を外した状態の撹拌容器の真上図であり、図5(b)は図5(a)のA−A断面図である。撹拌前に硬質粒子が凝集している場合があるので、撹拌中に硬質粒子がせん断力を受け分散させやすいように、撹拌容器26は、被撹拌物が接する内壁の距離が中心軸に対して一定でない箇所を有している。
【0024】
撹拌用容器26に主剤または硬化剤の一方を所定の量入れ、次に硬質粒子として#8000サイズ等のGC等のセラミック粒子と樹脂含浸度判別用の蛍光染料を含有するように所定の量入れ、撹拌脱泡機で混合する。容器を約45度傾けてセットし、容器を公転かつ自転させることで、容器内の材料が遠心方向に移動する力による脱泡と材料の流れ(回転とせん断)による撹拌が行われる。その際、容器を傾けることで、3次元(渦+上下)の流れになる。その結果、プロペラを使用せずに撹拌できる。なお、通常の軸対象の撹拌容器を使用する場合は、硬質粒子よりも径の大きな硬質のボールやビーズを混合して硬質粒子を分散させてもよい。ただし、撹拌後、樹脂含浸に不要なボールやビーズは取り除く必要がある。また、撹拌の際に真空状態(減圧状態)にすることでより脱泡の効果を得ることができる。
【0025】
焼結体6aに樹脂を塗布する装置の概略図を図1に示す。撹拌脱泡機で混合後、混合したものをシリンジ21aに入れ替える。この時、気泡が混入するおそれがあるので、撹拌脱泡機で脱泡をすることが望ましい。公転の遠心力で気泡を上昇させ、液面に運ばれた気泡を撹拌時と比べて僅かな回転数の自転のせん断によって破泡することで脱泡を行う。その際、減圧させると粘度の高い材料も脱泡される。
【0026】
そして、主剤または硬化剤の他方を別のシリンジ21bに入れる。前述したシリンジ21a、21bの2本をポンプユニット(ディスペンサ装置)22a、22bに取付ける。エアーによる圧力でシリンジ内の液体に圧力をかけ、ポンプユニット(ディスペンサ装置)22a、22b内に液体を充填させ、塗布時の液ダレ等の原因となる気体を除去した後、不図示の卓上型ロボットに取りつける。ポンプユニット(ディスペンサ装置)22a、22bはメカニカルディスペンサでありメカ機構により直接液体を加圧、吐出させる方式を採用している。それぞれのシリンジ21a、21bからポンプユニット(ディスペンサ装置)22a、22bを介して押し出された液体は、継手23を通り、2液を混合するための使い捨てのスタティックミキサ24内で混合される。スタティックミキサ24は、駆動部のない静止型混合器であり、配管内部に設けた特殊なエレメントに流体を通すことで撹拌・混合させることができる。スタティックミキサ24は卓上型ロボットによりX方向とZ方向に稼働することができ、更に、ステージ25に載せられた焼結体11aはステージ25を稼働することでY方向に移動することができるため、所望のパターン形状に塗布することができる。本実施例では、スタティックミキサ24の吐出口と焼結体6aの摩擦部面との距離が、焼結体6aの平面度以上となる所定の距離になるように調整後、円形に塗布した。スタティックミキサ24の吐出口の径は塗布幅に合わせて決める。なお、本実施例で使用した主剤の粘度は20,000mPa・s以上、硬化剤の粘度は3,000mPa・s以上と粘度が高く、液だれを起こしにくくなっている。また、本実施例では、より粘度の高い主剤側に硬質粒子を混ぜた。これにより、比重の大きい硬質粒子でも、混合後に沈殿する速度が遅くなり、硬質粒子の割合が経過時間によって変わることを緩和することができる。更に、スタティックミキサ内で2液が混合し硬化を始めるので、連続的に使用する場合は、粘度を所定の範囲に維持したまま、長時間、塗布を続けることができる。樹脂の硬化時間は、80℃で30分程度であり、本発明を適用することにより混合後の短いポットライフでも安定した樹脂含浸をすることができる。
【0027】
図4(b)に示すように焼結体6aの摩擦部面に液状のエポキシ樹脂6cをディスペンサ装置で塗布し、その後焼結体6aをオーブン等で80℃に保持し、エポキシ樹脂6cの粘度を低下させて、気孔部への含浸を促進させた。摩擦部面から一定の距離までエポキシ樹脂6cが含浸する。エポキシ樹脂6cが含浸している焼結部を樹脂含浸焼結体6bと定義する。エポキシ樹脂6cを硬化させた後、硬化した樹脂部分をGC#320のエメリー紙にて樹脂含浸焼結体6bの面が出るまで除去した。なお、エメリー紙の代わりにダイヤ又はGCの砥石や遊離砥粒、切削等で除去してもよい。
【0028】
次に、銅定盤にダイヤの遊離砥粒(3μm)を塗布してポリッシュ加工による平滑化加工を施すことで、樹脂含浸焼結体6bに図4(c)に示す摩擦部6dを形成した。焼結体6aの気孔部の一部または全部にはエポキシ樹脂6cが含浸されている。なお、加工工程の合間や加工完了後にアルカリ洗浄を行い、防錆化処理を施し、振動型アクチュエータの摩擦材として供した。この摩擦部6dの一部が摺動されることになる。本実施例においては、焼結体6aの気孔部の大きさは場所により異なるが数μmから100μm程度の最大長さを有している。また、ポリッシュ加工後の表面の気孔率は、5%から20%程度になるように調整した。なお、本実施例では、焼結体に樹脂の充填を行ったが、レーザ等で孔部を設けたステンレスの溶製材に樹脂の充填を行ってもよい。
【0029】
<振動型アクチュエータの応用例>
上述した実施例に係る振動型アクチュエータ用摩擦材を接触体として用いた振動型アクチュエータの考えられる応用例について、以下に、撮像装置、及び産業用ロボットを例に取り上げて説明する。
【0030】
本発明は上述の振動型アクチュエータの製造方法で得られた振動型アクチュエータと、
前記振動型アクチュエータによって駆動する部材を配置する工程を有する電子機器の製造方法を提供する。
【0031】
図6(a)は撮像装置700の概略構成を示す上面図である。撮像装置700は、撮像素子710及び電源ボタン720を搭載したカメラ本体730を備える。また、撮像装置700は、不図示のレンズ群、振動型アクチュエータを備えるレンズ鏡筒740を備える。レンズ群の駆動は振動型アクチュエータによって行われる。レンズ鏡筒740は、交換レンズとして取り換え可能であり、撮影対象に合わせて適したレンズ鏡筒740をカメラ本体730に取り付けることができる。振動型アクチュエータとしては、図1を参照して説明した、振動型アクチュエータを用いることができる。
【0032】
振動型アクチュエータによるレンズの駆動は、オートフォーカス用のレンズの駆動に好適であると考えられるが、これに限られず、ズーム用のレンズについても、同様の構成による駆動が可能と考えられる。また、振動型アクチュエータは、撮像素子の駆動や、手ぶれ補正時のレンズ或いは撮像素子の駆動にも用いることができる。
【0033】
図6(b)に本実施例の振動型アクチュエータをカメラのレンズ鏡筒に実装した例を示す。図6(b)はレンズ鏡筒の断面図である。接触体11は摺動部が耐摩耗性を有しており、振動体12の突起部と対向し接触するように配置されている。この接触体11の摺動部側と反対側の面にはロータゴム(防振ゴム)8を挟んで出力伝達部材9が設置されている。
【0034】
一方、振動を阻害しないように振動体を保持する保持基台43において接触体11側と反対側には、振動体12と接触体11に対して加圧するための加圧手段として板バネ10が設けられている。また、この板バネ10を圧縮し加圧力を生じさせるために、この板バネ10のたわみ量を規制する加圧リング18が設けられており、加圧リング18と保持基台43とで、板バネ10を挟持している。これらにより、振動体12と接触体11の間に適切な加圧力が付与される。
【0035】
鏡筒ユニット本体16には、光軸Lの方向に対し垂直に張り出したフランジ16−1が形成されており、このフランジの一方の面にマニュアルフォーカスする為に手で回されるマニュアルリング15が設置されている。また、マニュアルリング15や振動型アクチュエータの力の伝達により回転可能なコロリング19がマニュアルリング15と振動型アクチュエータの間に設置され、コロリング19に設置された出力キー17を介してカム環等を回転させる機能を有している。コロリング19には半径方向に複数延出して形成されたコロ軸13とこれに係合しコロ軸回りに回転自在に取り付けられたコロ14とが設置されている。このコロ14を挟んで前記出力伝達部材9とマニュアルリング15が光軸L方向に積層されて構成されている。加圧リング18は内周側が鏡筒本体16とネジまたはバイヨネット構造で係合している。加圧リングを回転させ光軸L方向に移動することで加圧バネ10を圧縮し、振動子保持基台43からマニュアルリング15を経て本体フランジ16−1までを加圧挟持する構造になっている。
【0036】
振動体12の突起部に楕円運動が形成されると、この突起部と接触している接触体11には摩擦駆動力が発生するため、接触体11、ロータゴム8、出力伝達部材9とが光軸L周りに回転する。出力伝達部材9と接触しているコロ14はマニュアルリング15の面上を転動しながらコロリング19と共に光軸L回りに回転し、コロリング19に設置された出力キー17により不図示のカム環等を回転させ、オートフォーカス動作などを行う。
【0037】
振動型アクチュエータを搭載したロボット100について図7を用いて説明する。
【0038】
ロボットのアーム関節部の曲げやハンド部の把持動作に用いられるモータには、低回転数で高トルクのTN特性(負荷トルク−回転数の関係を示す垂下特性)を有するものが求められるため、振動型アクチュエータが好適であると考えられる。そこで、振動型アクチュエータを備える装置(機械)の一例としての産業用ロボットの構成について図7を参照して説明する。
【0039】
図7は、振動型アクチュエータを搭載したロボット100の概略構造を示す斜視図であり、ここでは、産業用ロボットの一種である水平多関節ロボットを例示している。振動型アクチュエータは、図7において、アーム関節部111やハンド部112に内蔵される。アーム関節部111は2本のアーム120が交差する角度を変えることができるように2本のアームを接続する。ハンド部112は、アーム120と、アーム120の一端に取り付けられる把持部121と、アーム120と把持部121とを接続するハンド関節部122とを有する。振動型アクチュエータは、アーム120同士の角度を変化させるアーム関節部111や、把持部121を、所定角度、回転させるハンド関節部122に用いられる。
【0040】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。接触体における振動体との摩擦摺動面、又は、振動体における接触体との摩擦摺動面の少なくとも一方を本発明に係るステンレス摩擦材の表面とすることで、高湿度下に放置した後でも大きい摩擦力を発揮する振動型アクチュエータを得ることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 振動型アクチュエータ
2 振動体
3 弾性体
4 圧電素子
6 接触体
6a 焼結体
21 シリンジ
24 スタティックミキサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7