特開2020-79544(P2020-79544A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-79544(P2020-79544A)
(43)【公開日】2020年5月28日
(54)【発明の名称】モニタリングシステム
(51)【国際特許分類】
   E01D 22/00 20060101AFI20200501BHJP
   E01D 1/00 20060101ALI20200501BHJP
   E01D 19/04 20060101ALI20200501BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20200501BHJP
   G01M 7/02 20060101ALI20200501BHJP
【FI】
   E01D22/00 A
   E01D1/00 Z
   E01D19/04
   G01M99/00 Z
   G01M7/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-181814(P2019-181814)
(22)【出願日】2019年10月2日
(62)【分割の表示】特願2015-214905(P2015-214905)の分割
【原出願日】2015年10月30日
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】505389695
【氏名又は名称】首都高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591216473
【氏名又は名称】一般財団法人首都高速道路技術センター
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593089046
【氏名又は名称】青木あすなろ建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000231855
【氏名又は名称】日本鋳造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔵治 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】右高 裕二
(72)【発明者】
【氏名】張 広鋒
(72)【発明者】
【氏名】大住 圭太
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 和男
(72)【発明者】
【氏名】西田 秀志
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 裕
(72)【発明者】
【氏名】赤井 亮太
(72)【発明者】
【氏名】牛島 栄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊男
(72)【発明者】
【氏名】原田 孝志
(72)【発明者】
【氏名】石山 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 康信
【テーマコード(参考)】
2D059
2G024
【Fターム(参考)】
2D059AA31
2D059GG13
2D059GG30
2D059GG39
2D059GG55
2G024AD34
2G024BA22
2G024BA27
2G024CA04
2G024EA11
2G024FA14
(57)【要約】
【課題】支承の水平力を支持するために取り付けた摩擦ダンパの状態が変化したかどうかの確認が簡単に行える技術を提供する。
【解決手段】センサノード1は、支承100を介して上部構造を下部構造に載置した橋梁において、支承100の水平力を支持する摩擦ダンパ200の内筒201に取り付けたひずみセンサ13aの出力によって、摩擦ダンパ200の状態が変化したかどうかを検知する。報知装置2は、センサノード1に対して検知結果の通知を要求し、センサノード1から通知された検知結果に基づき、摩擦ダンパ200の状態が変化したかどうかを視覚または聴覚で確認できる形態で出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支承を介して上部構造を下部構造に載置した橋梁において、伸縮する軸方向の一端を前記上部構造に取り付け、前記軸方向の他端を前記下部構造に取り付けた摩擦ダンパと、
前記摩擦ダンパに取り付けたひずみセンサ、および、前記ひずみセンサの出力によって、前記摩擦ダンパの状態が変化したかどうかを検知する検知部、を備えた状態検知装置と、
前記状態検知装置に対して前記検知部における検知結果の通知を要求し、前記状態検知装置から通知された検知結果を取得する検知結果取得部、および、前記検知結果取得部において取得した検知結果に基づき、前記摩擦ダンパの状態が変化したかどうかを視覚または聴覚で確認できる形態で出力する出力部、を備えた報知装置と、
を有するモニタリングシステムであって、
前記摩擦ダンパは、外筒および内筒を有し、前記外筒に対して前記内筒を前記軸方向に挿入した構成であり、
前記ひずみセンサは、前記内筒に取り付けられ、前記内筒のひずみに応じた電圧を出力する圧電センサである、
モニタリングシステム。
【請求項2】
前記摩擦ダンパは、
前記外筒の内部には、前記軸方向に延びるロッドが取り付けられ、
前記内筒の内部には、前記軸方向に貫通させた穴の内径が前記ロッドの外径よりも小さいダイスが取り付けられ、
前記ロッドが前記ダイスの前記穴に嵌挿させて、前記外筒に対して前記内筒を前記軸方向に挿入した構成である、
請求項1に記載のモニタリングシステム。
【請求項3】
前記検知部は、ひずみセンサの出力が予め定めた閾値を超えたかどうかにより、前記摩擦ダンパの状態が変化したかどうかを検知する、請求項1、または2に記載のモニタリングシステム。
【請求項4】
前記出力部は、予め定めたタイミングになると、前記摩擦ダンパの状態が変化したかどうかを視覚または聴覚で確認できる形態で出力する、請求項1〜3のいずれかに記載のモニタリングシステム。
【請求項5】
前記報知装置は、前記橋梁の周辺に設置されている、請求項1〜4のいずれかに記載のモニタリングシステム。
【請求項6】
前記報知装置は、携帯端末である、請求項1〜5のいずれかに記載のモニタリングシステム。
【請求項7】
前記報知装置は、前記検知結果取得部において取得した検知結果を上位装置に送信する通信部を備えている、請求項1〜6のいずれかに記載のモニタリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、支承を介して上部構造を下部構造に載置した橋梁に対して支承の水平力を支持するために取り付けた摩擦ダンパの状態の変化を確認する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、橋梁やビル等の様々な種類の構造物について、状態を検知するシステムがある(特許文献1、2等参照)。この種のシステムでは、温度センサ、湿度センサ、加速度センサ、変位センサ、赤外線イメージセンサ等、様々な種類のセンサを用いて、構造物にかかる計測対象物理量をセンシングすることによって、構造物の状態をモニタリングしている。
【0003】
また、上部構造が下部構造の上に支承を介して載置された構造物においては、上部構造と下部構造との間における振動の伝達が支承を介して行われる。上部構造が下部構造の上に支承を介して載置された構造物の耐震性を向上させるために、支承の水平力を支持する移動制限部材を構造物に取り付けることが行われている。
【0004】
例えば、特許文献3には、移動制限部材としてダンパを取り付けることが記載されている。ダンパは、軸方向(伸縮方向)の一方の端部が上部構造側に取り付けられ、他方の端部が下部構造側に取り付けられ、下部構造または上部構造の一方から他方に伝達される振動の大きさを抑制する。
【0005】
また、移動制限部材としてサイドブロックを支承に併設したものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008− 2986号公報
【特許文献2】特開2013− 40774号公報
【特許文献3】特開2005−299078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上部構造が下部構造の上に支承を介して載置された構造物に取り付けたダンパやサイドブロック等の移動制限部材は、振動時における上部構造と下部構造との相対的な変位を抑制するものである。そして、耐震性を向上させるために移動制限部材を取り付けた構造物であっても、地震発生時における下部構造の振動は支承を介して上部構造に伝達される。
【0008】
したがって、移動制限部材が取り付けられた構造物であっても、地震動にともなう下部構造の振動がある程度の大きさを超えると、移動制限部材の状態が変化することがある。移動制限部材の変化した状態によっては、振動時における上部構造と下部構造との相対的な変位を十分に抑制することができない場合もある。このため、状態が変化した移動制限部材を確認し、必要に応じて移動制限部材の調整等を行う必要がある。
【0009】
この発明の目的は、支承を介して上部構造を下部構造に載置した橋梁に対して支承の水平力を支持するために取り付けた摩擦ダンパの状態が変化したかどうかの確認が簡単に行える技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のモニタリングシステムは、上記目的を達するために以下のように構成している。
【0011】
このモニタリングシステムは、摩擦ダンパと、状態検知装置と、報知装置と、を有する。
【0012】
摩擦ダンパは、支承を介して上部構造を下部構造に載置した橋梁において、伸縮する軸方向の一端を上部構造に取り付け、軸方向の他端を下部構造に取り付けている。この摩擦ダンパは、外筒に対して内筒を軸方向に挿入した構成である。すなわち、摩擦ダンパは、軸方向に作用した応力により、外筒に対して内筒が軸方向に相対的に移動することによって伸縮する。例えば、摩擦ダンパは、軸方向に延びるロッドが外筒の内部に取り付けられ、軸方向に貫通させた穴の内径がロッドの外径よりも小さいダイスが内筒の内部に取り付けられ、ロッドをダイスの穴に嵌挿させて、外筒に対して内筒を軸方向に挿入した構成である。この構成の摩擦ダンパは、ロッドとダイスとの接触面における摩擦力を越える大きさの応力が軸方向に作用したときに、軸方向に伸縮する。
【0013】
状態検知装置は、摩擦ダンパに取り付けたひずみセンサ、および、ひずみセンサの出力によって、摩擦ダンパの状態が変化したかどうかを検知する検知部、を備えている。ひずみセンサは、内筒に取り付けられ、内筒のひずみに応じた電圧を出力する圧電センサである。
【0014】
検知部は、ひずみセンサの出力によって、摩擦ダンパの状態が変化したかどうかを検知する。例えば、検知部は、ひずみセンサの出力が予め定めた閾値を超えたかどうかにより、摩擦ダンパの状態が変化したかどうかを検知する。
【0015】
また、報知装置は、状態検知装置に対して検知部における検知結果の通知を要求し、状態検知装置から通知された検知結果を取得する検知結果取得部を備える。報知装置は、橋梁の周辺に設置してもよいし、保守員等が携帯する携帯端末としてもよい。検知結果取得部は、例えば状態検知装置との間で近距離無線通信を行う無線通信部である。また、報知装置は、検知結果取得部において取得した検知結果に基づき、摩擦ダンパの状態が変化したかどうかを視覚または聴覚で確認できる形態で出力する出力部を備える。出力部は、例えば、摩擦ダンパの状態が変化したことを、ランプの点灯によって出力する構成であってもよいし、メッセージを表示する構成であってもよいし、メッセージを音声で出力する構成であってもよいし、その他の構成であってもよい。また、出力部は、予め定めたタイミングで、摩擦ダンパの状態が変化したかどうかを出力する構成にすればよい。
【0016】
これにより、支承を介して上部構造を下部構造に載置した橋梁に取り付けた摩擦ダンパについて、その状態が変化したかどうかの確認が簡単に行える。
【0017】
また、報知装置は、検知結果取得部において取得した検知結果を上位装置に送信する通信部を備える構成としてもよい。これにより、上位装置においても、支承が損傷しているかどうかの管理が行える。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、支支承を介して上部構造を下部構造に載置した橋梁に対して支承の水平力を支持するために取り付けた摩擦ダンパの状態が変化したかどうかの確認が簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】モニタリングシステムの構成を示す図である。
図2】高架道路橋の橋軸方向の概略断面図である。
図3】高架道路橋の橋軸直角方向の概略断面図である。
図4】摩擦ダンパの取り付け状態を示す図である。
図5図5(A)は支承の概略の平面図であり、図5(B)は、支承の概略の分解図である。
図6】摩擦ダンパの構造を説明する図である。
図7】センサノードの主要部の構成を示す図である。
図8図8(A)、(B)は、ダンパにおけるセンサの取り付け例を示す平面図である。
図9図9(A)、(B)は、支承のサイドブロックにおけるセンサの取り付け例を示す平面図である。
図10】報知装置の主要部の構成を示すブロック図である。
図11】上位装置の主要部の構成を示すブロック図である。
図12】センサノードの動作を示すフローチャートである。
図13】報知装置の動作を示すフローチャートである。
図14】上位装置の動作を示すフローチャートである。
図15図15(A)は、摩擦ダンパの断面図であり、図15(B)は、図15(A)におけるA方向の平面図である。
図16図16(A)、(B)、(C)は、鋼材ダンパを示す図であり、図16(D)は、ひずみセンサ13aの取り付け例を示す図である。
図17図17(A)は、鋼材ダンパの平面図であり、図17(B)は、図17(A)におけるA方向の平面図である。
図18図18(A)は、鋼材ダンパの平面図であり、図18(B)は、図18(A)におけるA方向の平面図である。
図19図19(A)は支承の概略の平面図であり、図19(B)は、支承の概略の分解図である。
図20図20(A)は支承の概略の平面図であり、図20(B)は、支承の概略の分解図である。
図21図21(A)は支承の概略の平面図であり、図21(B)は、支承の概略の分解図である。
図22図22(A)は支承の概略の平面図であり、図22(B)は、支承の概略の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0021】
図1は、モニタリングシステムの構成を示す図である。この例にかかるモニタリングシステムは、自動車が走行する高架道路橋(橋梁)の支承の水平力を支持する部材(移動制限部材)の状態が変化したかどうかを検知する。高架道路橋は、支承を介して上部構造(橋桁等)を下部構造(橋脚等)に載置している。この例にかかるモニタリングシステムは、後述する摩擦ダンパ、および支承のサイドブロックの状態が変化したかどうかを検知する。この例では、摩擦ダンパ、および支承のサイドブロックが、支承の水平力を支持する部材として機能する。この例のモニタリングシステムは、複数のセンサノード1と、複数の報知装置2と、上位装置3と、を備える。
【0022】
複数のセンサノード1は、グループP1〜Pnに分けている。各グループP1〜Pnに属するセンサノード1は、1つであってもよいし、複数であってもよい。また、各グループP1〜Pnに属するセンサノード1の数は、均一である必要はない。この例では、各摩擦ダンパに、センサノード1を1つずつ割り当てている(対応付けている)。また、支承の各サイドブロックに、センサノード1を1つずつ割り当てている(対応付けている)。1つの支承には、2つのサイドブロックが設けられている。すなわち、この例では、1つの支承に、2つのセンサノード1を割り当てている。摩擦ダンパに割り当てたセンサノード1は、摩擦ダンパの状態が変化したかどうかを検知する。支承のサイドブロックに割り当てたセンサノード1は、支承のサイドブロックの状態が変化したかどうかを検知する。センサノード1のグループ分けの詳細については、後述する。この例では、センサノード1が、この発明で言う状態検知装置に相当する。
【0023】
報知装置2は、センサノード1のグループP1〜Pn毎に設けている。報知装置2は、対応するグループP1〜Pnに属するセンサノード1との間で入出力にかかる通信を行う。
【0024】
上位装置3は、高架道路橋を含む交通網を管理する道路管制センタに設置している。上位装置3は、各報知装置2との間で入出力にかかる通信を行う。
【0025】
構造物である高架道路橋について説明する。図2は、高架道路橋の橋軸方向(この例では、車両の走行方向)の概略断面図である。図3は、高架道路橋の橋軸直角方向(この例では、車両の幅方向)の概略断面図である。図4は、図3において破線で囲んだ領域の拡大図である。高架道路橋の橋脚は、橋軸方向に適当な間隔で並んでいる。高架道路橋は、下部構造である橋脚と、上部構造である主桁との間に、支承100が位置する。支承100は、主桁を含む上部構造と、橋脚を含む下部構造との間に作用する荷重(振動)を伝達する部材である。自動車が走行する路面は、主桁の上面(橋脚側の反対面)側に設けた床版の上に形成されている。
【0026】
この例では、高架道路橋の下部構造である橋脚と、報知装置2とを1対1で対応付けている。報知装置2は、図2に示すように、上部構造の側壁に取り付けている。報知装置2は、橋軸方向において、対応する橋脚と略同じ位置に取り付けている。
【0027】
図5(A)は、支承の概略の平面図であり、図5(B)は、支承の概略の分解図である。図5に示す支承100は、一般にゴム支承と呼ばれるものである。支承100は、上沓101と、ゴム沓102と、ベースプレート103と、アンカボルト104と、サイドブロック105とにより構成される。ベースプレート103は、複数本(図5(B)では、2本示している。)のアンカボルト104によって、橋脚に固定される。ゴム沓102は、ベースプレート103の上面(橋脚との当接面に対向する面)と、上沓101の下面(ベースプレート103の上面に対向する面)との間に位置する。すなわち、支承100は、主桁側から順番に(上から順番に)、上沓101、ゴム沓102、ベースプレート103を重ねている。2つのサイドブロック105は、ベースプレート103に取り付けられる。2つのサイドブロック105は、ベースプレート103の幅方向(橋軸直角方向)の両側に対向させて取り付け、ベースプレート103に対する上沓101の相対的な位置の変化を制限する。2つのサイドブロック105が、支承の水平力を支持する。
【0028】
公知のように、支承100は、下部構造である橋脚側に位置するベースプレート103と、上部構造である主桁側に位置する上沓101とを備え、下沓と上沓とが相対的に変位する部材である。支承100は、ベースプレート103を橋脚の上面(上部構造に対向する面)に取り付け、上沓101を橋桁の底面(下部構造に対向する面)に取り付けている。すなわち、支承100は、図2、および図3に示すように、上部構造と、下部構造との間に位置する。言い換えれば、上部構造は、支承100を介して下部構造の上に載置されている。図3では、支承100を橋軸直角方向に3つ並べた場合を例示している。
【0029】
なお、橋軸直角方向に並んでいる支承100の数は、3つでなくてもよい。
【0030】
また、下部構造である橋脚の上面には、定着台が形成されている。この定着台は、橋脚に載置されている上部構造の橋桁のいずれかの側面に対向する面を有するブロックである。
【0031】
摩擦ダンパ200は、上部構造の橋桁と、下部構造の定着台との間に取り付けている。図4に示すようには、摩擦ダンパ200は、伸縮する軸方向の一方の端部を橋桁に取り付け、軸方向の他方の端部を定着台に取り付けている。すなわち、摩擦ダンパ200は、軸方向の一方の端部が上部構造側に取り付けられ、軸方向の他方の端部が下部構造側に取り付けられている。摩擦ダンパ200の軸方向は、この例では橋軸直角方向に合わせている。図3は、1つの橋脚に対して、2つの摩擦ダンパ200を取り付けた場合を例示している。
【0032】
なお、1つの橋脚に取り付ける摩擦ダンパ200の数は、2つでなくてもよい。また、定着台は、橋脚に取り付ける摩擦ダンパ200の個数に応じて形成すればよい。
【0033】
図6は、この例にかかる摩擦ダンパの断面図である。図6における左右方向が、摩擦ダンパ200の軸方向である。摩擦ダンパ200は、内筒201に取り付けたダイス202と、外筒203に取り付けたロッド204によって構成される。摩擦ダンパ200の軸方向は、外筒203に対する内筒201の挿入方向であり、図6においては左右方向である。外筒203の内部には、軸方向に延びるロッド204が取り付けられている。また、内筒201の内部には、軸方向に貫通させた穴を有するダイス202が取り付けられている。ダイス202の穴の内径は、ロッド204の外形よりも少し小さい。摩擦ダンパ200は、内筒201を外筒203に挿入したとき、ロッド204がダイス202の穴に嵌挿される構成である。すなわち、摩擦ダンパ200は、ダイス202と、ロッド204との接触面において生じている摩擦力(静摩擦、または動摩擦)を超える応力が軸方向に作用しているときに伸縮する。また、摩擦ダンパ200は、軸方向に作用している応力がダイス202と、ロッド204との接触面において生じている摩擦力未満になると、そのときの状態を保持する。
【0034】
摩擦ダンパ200は、支承100の水平力を支持する部材として機能する。摩擦ダンパ200は、上部構造と下部構造との間で伝達される振動の大きさに応じた応力が軸方向に作用する。摩擦ダンパ200の軸方向に作用する応力は、上部構造と下部構造との間で伝達された振動が大きくなるにつれて大きくなる。
【0035】
報知装置2と、センサノード1のグループP1〜Pnとは1対1で対応付けている。また、上述したように、報知装置2と、橋脚とは1対1で対応付けている。そして、センサノード1のグループP1〜Pnと、橋脚とは1対1で対応付けている。すなわち、報知装置2に対応づけたグループP1〜Pnに属するセンサノード1は、その報知装置2を対応付けた橋脚に取り付けられている摩擦ダンパ200、または支承100のサイドブロック105に対応付けたものである。
【0036】
図7は、センサノードの主要部の構成を示すブロック図である。センサノード1は、制御部11と、電源部12と、センサ部13と、近距離無線通信部14とを備えている。
【0037】
制御部11は、センサノード1本体の動作を制御する。また、センサノード1は、自機を識別するノードコードを制御部11に設けたメモリ(不図示)に記憶している。このノードコードは、例えばn桁のコードであり、先頭のm桁(n>m)が対応する橋脚を示すコードである。
【0038】
電源部12は、センサノード1本体各部に動作電源を供給する。電源部12は、センサノード1本体に内蔵している電池を電力源とし、センサノード1本体各部に動作電源を供給する。
【0039】
なお、電源部12は、外部接続しているバッテリや、内蔵、または外部接続している発電ユニット(太陽電池等)を電力源とし、センサノード1本体各部に動作電源を供給する構成であってもよい。
【0040】
センサ部13には、ひずみセンサ13aが接続されている。摩擦ダンパ200に割り当てたセンサノード1のひずみセンサ13aは、図8に示すように、摩擦ダンパ200の内筒201に取り付けている。図8(A)は、軸方向に直交する方向から見た摩擦ダンパの平面図であり、図8(B)は図8(A)に示したA方向から見た摩擦ダンパの平面図である。摩擦ダンパ200は、ある程度の大きさの応力(第1の大きさの応力)が軸方向に作用すると、内筒201にひずみが生じる。ひずみセンサ13aは、この内筒201のひずみに応じた電圧を出力する圧電センサである。
【0041】
なお、摩擦ダンパ200は、第1の大きさの応力よりも大きい第2の大きさの応力が軸方向に作用すると、内筒201が外筒203に対して軸方向にスライドする。
【0042】
摩擦ダンパ200に割り当てたセンサノード1のセンサ部13は、ひずみセンサ13aの出力によって、摩擦ダンパ200が軸方向に受けた応力の大きさが、予め定めた応力の大きさ(応力閾値)を超えたかどうかを検知することにより、摩擦ダンパ200の内筒201が外筒203に対して軸方向にスライドしたかどうかを検知する。この応力閾値は、摩擦ダンパ200の内筒201が外筒203に対して軸方向にスライドする応力の大きさよりも少し小さい値に定めている。センサ部13は、ひずみセンサ13aの出力電圧と、この応力閾値に応じた電圧とを比較することによって、摩擦ダンパ200の内筒201が外筒203に対して軸方向にスライドしたかどうか(摩擦ダンパ200の状態が変化したかどうか)を検知する。センサ部13が、この発明で言う検知部に相当する。
【0043】
また、支承100のサイドブロック105に割り当てたセンサノード1のひずみセンサ13aは、図9に示すように、サイドブロック105に取り付けている。図9(A)は、橋軸方向から見た支承の平面図であり、図9(B)は、図9(A)に示したA方向(橋軸直角方向)から見た支承の平面図である。ひずみセンサ13aは、支承100のサイドブロック105の変形に応じた電圧を出力する圧電センサである。
【0044】
また、支承100のサイドブロック105に割り当てたセンサノード1のセンサ部13は、ひずみセンサ13aの出力電圧と、予め定めた閾値電圧とを比較することによって、支承100のサイドブロック105が変形したかどうかを検知する。
【0045】
なお、上述したように、この例では、1つの支承100に対して2つのセンサノード1を割り当てている。但し、センサノード1は、複数のセンサ部13を備える構成とし、複数の支承100や、複数の摩擦ダンパ200に割り当てられる構成にしてもよい。すなわち、センサノード1が備えるセンサ部13(ひずみセンサ13aを含む。)は、1つに限らず、複数であってもよい。
【0046】
制御部11は、センサ部13が摩擦ダンパ200の状態が変化したこと、または支承100のサイドブロック105が変形したこと(サイドブロック105の状態が変化したこと)を検知すると、その旨をメモリに記憶する。
【0047】
近距離無線通信部14は、報知装置2との間における近距離無線通信を制御する。
【0048】
図10は、報知装置の主要部の構成を示すブロック図である。報知装置2は、制御部21と、電源部22と、操作部23と、表示部24と、近距離無線通信部25と、無線通信部26とを備えている。
【0049】
制御部21は、報知装置2本体の動作を制御する。また、報知装置2は、自機を識別する装置コードを制御部21に設けた不揮発性のメモリ(不図示)に記憶している。この装置コードは、例えばm桁のコードであり、対応する橋脚を示すコードである。
【0050】
電源部22は、報知装置2本体各部に動作電源を供給する。電源部22は、バッテリが接続されるバッテリ接続端子22aを備えている。電源部22は、バッテリ接続端子22aにバッテリが接続されている場合、バッテリ接続端子22aに接続されているバッテリを電力源とし、報知装置2本体各部に動作電源を供給する。言い換えれば、報知装置2は、バッテリ接続端子22aにバッテリが接続されていない場合、報知装置2本体各部に動作電源が供給されない。
【0051】
なお、この例では、報知装置2は、商用電源を電力源とし、報知装置2本体各部に動作電源を供給する構成でないので、報知装置2の設置時に、商用電源を供給するためのケーブルの敷設工事をともなわない。
【0052】
操作部23は、報知装置2本体に対応づけた橋脚に取り付けたいずれかの摩擦ダンパ200の状態が変化したことが検知されたかどうか、および報知装置2本体に対応づけた橋脚に取り付けたいずれかの支承100のサイドブロック105が変形したことが検知されたかどうかを出力させるときに操作する確認ボタン23aを有している。この確認ボタン23aは、報知装置2本体の表面に露出しており、簡単に操作できる。
【0053】
表示部24は、報知装置2本体に対応づけた橋脚に取り付けたいずれかの摩擦ダンパ200において、状態が変化したことが検知されていた場合に点灯させる第1の通知ランプ24aを有している。また、表示部24は、報知装置2本体に対応づけた橋脚に取り付けたいずれかの支承100のサイドブロック105が変形したことが検知されていた場合に点灯させる第2の通知ランプ24bを有している。表示部24は、報知装置2本体に対応づけた橋脚に取り付けられている全ての摩擦ダンパ200において、状態が変化したことが検知されていない場合、第1の通知ランプ24aを点灯させない。また、表示部24は、報知装置2本体に対応づけた橋脚に取り付けられている全ての支承100のサイドブロック105において、変形したことが検知されていない場合、第2の通知ランプ24bを点灯させない。第1の通知ランプ24a、および第2の通知ランプ24bの発光色は、同じ色であってもよいが、保守員等の誤認を防止する観点から異なる色にするのがよい。例えば、第1の通知ランプ24aの発光色を赤色、第2の通知ランプ24bの発光色を黄色にすればよい。
【0054】
近距離無線通信部25は、対応するグループP1〜Pnに属するセンサノード1との間における近距離無線通信を制御する。
【0055】
無線通信部26は、上位装置3との間における入出力にかかる無線通信を制御する。
【0056】
図11は、上位装置の主要部の構成を示すブロック図である。上位装置3は、制御部31と、操作部32と、表示部33と、記憶部34と、無線通信部35と、交通網データベース36(以下、交通網DB36と言う。)と、を備えている。
【0057】
制御部31は、上位装置3本体の動作を制御する。
【0058】
操作部32には、キーボードやマウス等の入力デバイスが接続されている。操作部32は、オペレータによる入力デバイスの操作に応じて、上位装置3本体に対する入力を受け付ける。
【0059】
表示部33には、液晶ディスプレイ等の表示デバイスが接続されている。表示部33は、接続されている表示デバイスにおける画面表示を制御する。
【0060】
記憶部34は、動作時に発生したデータ等を一時的に記憶するワーキングエリアとして使用するメモリを有する。
【0061】
無線通信部35は、報知装置2との間における入出力にかかる無線通信を制御する。また、上位装置3と、報知装置2との間における通信は、公衆回線を利用してもよいし、インタネット等のネットワークを利用してもよい。
【0062】
交通網DB36は、この例にかかるモニタリングシステムにおいて、状態をモニタリングする高架道路橋を含む交通網の地図データを記憶している。また、この例にかかるモニタリングシステムにおいて、状態をモニタリングする高架道路橋にかかる橋脚毎に、その橋脚の地図上の位置を示すデータを記憶している。具体的には、橋脚の識別コード(この例では、報知装置2の装置コードでもある。)と、橋脚の位置を示す緯度データ、および経度データと、を対応付けて記憶している。交通網DB36が記憶しているデータを総称して交通網データと言う。
【0063】
以下、この例にかかるモニタリングシステムの動作について説明する。
【0064】
図12は、センサノードの動作を示すフローチャートである。摩擦ダンパ200に割り当てたセンサノード1と、支承100のサイドブロック105に割り当てたセンサノード1とは、検知対象が異なるだけであって、図12に示す処理を行う。
【0065】
摩擦ダンパ200に割り当てたセンサノード1は、センサ部13で検知対象の摩擦ダンパ200の状態が変化したことを検知すると、その旨(摩擦ダンパ200の状態変化有)を検知結果として制御部11のメモリに記憶する(s1、s3)。また、摩擦ダンパ200に割り当てたセンサノード1は、近距離無線通信部14において、報知装置2からの検知結果の通知要求を受信すると、制御部11のメモリに記憶している摩擦ダンパ200の状態変化の有無を報知装置2に通知する(s2、s4)。
【0066】
一方、支承100のサイドブロック105に割り当てたセンサノード1は、センサ部13で検知対象のサイドブロック105が変形したことを検知すると、その旨(サイドブロック105の変形有)を検知結果として制御部11のメモリに記憶する(s1、s3)。また、支承100のサイドブロック105に割り当てたセンサノード1は、近距離無線通信部14において、報知装置2からの検知結果の通知要求を受信すると、制御部11のメモリに記憶している支承100のサイドブロック105の変形の有無を報知装置2に通知する(s2、s4)。
【0067】
センサノード1は、s1〜s4の処理を繰り返す。センサノード1は、s4で検知結果を送信するとき、この検知結果に自機のノードコードを対応付けている。
【0068】
図13は、報知装置の動作を示すフローチャートである。報知装置2は、保守員等によって確認ボタン23aが操作されると(s11)、対応づけられているグループP1〜Pnに属する全てのセンサノード1に対して検知結果通知要求を送信する(s12)。
【0069】
なお、確認ボタン23aを操作する保守員等は、バッテリを報知装置2のバッテリ接続端子22aに接続している。
【0070】
報知装置2は、s12で検知結果通知要求を送信すると、予め定めた一定時間経過するのを待つ(s13)。この一定時間は、センサノード1が上述したs2、s4にかかる処理を行うのに必要な時間よりも、少し長い。すなわち、報知装置2は、s13において、対応づけられているグループP1〜Pnに属する各センサノード1から検知結果が送信されてくるのを待っている。報知装置2は、近距離無線通信部25で受信した検知結果に対応づけられているノードコードによって、受信した検知結果が対応づけられているグループP1〜Pnに属するいずれかのセンサノード1から送信されてきたものであるかどうかを判定することができる。また、検知結果を受信したセンサノード1が、摩擦ダンパ200に割り当てたものであるか、支承100のサイドブロック105に割り当てたものであるかも判定することができる。
【0071】
報知装置2は、s13で予め定めた一定時間経過したと判定すると、対応づけられている橋脚に取り付けたいずれかの摩擦ダンパ200について、状態が変化したことが検知されているかどうかを判定する判定処理を行う(s14)。報知装置2は、検知結果を受信したセンサノード1については、その検知結果によって、このセンサノード1に対応づけられている摩擦ダンパ200の状態が変化したかどうかを判断する。また、報知装置2は、s13で一定時間経過するのを待っている間に、検知結果が送信されてこなかったセンサノード1については、このセンサノード1が損傷している可能性が高いことから、このセンサノード1に対応づけられている摩擦ダンパ200の状態が変化したと判断する。
【0072】
また、報知装置2は、対応づけられている橋脚に取り付けたいずれかの支承100のサイドブロック105が変形したことが検知されているかどうかを判定する判定処理を行う(s15)。報知装置2は、検知結果を受信したセンサノード1については、その検知結果によって、このセンサノード1に対応する支承100のサイドブロック105が変形したかどうかを判断する。また、報知装置2は、s13で一定時間経過するのを待っている間に、検知結果が送信されてこなかったセンサノード1については、このセンサノード1が損傷している可能性が高いことから、このセンサノード1に対応づけられている支承100のサイドブロック105が変形したと判断する。s14と、s15にかかる処理の順番は、どちらを先に行ってもよい。
【0073】
報知装置2は、s14、およびs15にかかる判定処理が完了すると、今回の判定結果を表示部24において表示する(s16)。具体的には、報知装置2は、対応づけた橋脚に取り付けられているいずれかの摩擦ダンパ200について状態が変化したと判断した場合、第1の通知ランプ24aを点灯する。報知装置2は、対応づけた橋脚に取り付けられている全ての摩擦ダンパ200について状態が変化していないと判断した場合、第1の通知ランプ24aを点灯させない(消灯状態を保持する。)。また、報知装置2は、対応づけた橋脚に取り付けられているいずれかの支承100のサイドブロック105について変形したと判断した場合、第2の通知ランプ24bを点灯する。報知装置2は、対応づけた橋脚に取り付けられている全ての支承100のサイドブロック105について変形していないと判断した場合、第2の通知ランプ24bを点灯させない(消灯状態を保持する。)。
【0074】
したがって、保守員は、確認ボタン23aを操作した報知装置2に対応づけられている橋脚に取り付けられている摩擦ダンパ200の状態が変化したかどうかの確認、および支承100のサイドブロック105が変形したかどうかの確認が簡単に行える。
【0075】
また、報知装置2は、s16にかかる判定処理の判定結果を上位装置3に送信し(s17)、s11に戻る。
【0076】
また、報知装置2は、バッテリ接続端子22aにバッテリが接続されたときに、s12以降の処理を実行する構成にしてもよい。このようにすれば、保守員は、確認ボタン23aを操作することなく、報知装置2に対応づけられている橋脚に取り付けられている摩擦ダンパ200の状態が変化したかどうかの確認、および支承100のサイドブロック105が変形したかどうかの確認が行える。
【0077】
また、上記の例では、報知装置2は、s14、およびs15にかかる判定処理の判定結果を視覚により確認できる形態(第1の通知ランプ24a、および第2の通知ランプ24bの点灯状態)で出力する構成であるとしたが、判定結果を音声メッセージ(聴覚により確認できる形態)で出力する構成にしてもよいし、判定結果をメッセージで表示する構成にしてもよい。判定結果を出力する形態は、保守員が視覚、または聴覚で確認できる形態であれば、どのような形態であってもよい。
【0078】
図14は、上位装置の動作を示すフローチャートである。上位装置3は、無線通信部35において、いずれかの報知装置2から送信されてきた判定結果を受信すると(s21)、受信した判定結果を記憶部34に記憶し(s22)、s21に戻る。s22では、受信した判定結果を、この判定結果を送信してきた報知装置2の装置コードに対応づけて記憶する。
【0079】
また、上位装置3は、判定結果の集計開始要求があると(s23)、記憶部34に記憶している各報知装置2から通知された判定結果を集計する集計処理を行う(s24)。オペレータは、操作部32で所定の入力操作を行うことにより、上位装置3に対してs23にかかる集計開始要求の入力が行える。
【0080】
s24では、記憶部34に記憶している最新の判定結果に基づき、橋脚を以下の(1)〜(4)のいずれかに分類する。
(1)状態が変化した摩擦ダンパ200、および変形した支承100のサイドブロック105が検知されていない橋脚
(2)状態が変化した摩擦ダンパ200が検知され、変形した支承100のサイドブロック105が検知されていない橋脚
(3)状態が変化した摩擦ダンパ200が検知されず、変形した支承100のサイドブロック105が検知された橋脚
(4)状態が変化した摩擦ダンパ200が検知され、かつ変形した支承100のサイドブロック105が検知された橋脚
上位装置3は、s24にかかる集計処理の集計結果を出力し(s25)、s21に戻る。s25では、例えば、橋脚の分類を一覧表で出力する。また、橋脚の分類を地図上に示して出力する構成であってもよい。この集計結果は、表示部33に接続されている液晶ディスプレイ等の表示デバイスに表示してもよいし、プリンタに対して印字データとして出力してもよい。
【0081】
これにより、オペレータは、状態が変化した摩擦ダンパ200が取り付けられている橋脚や、支承100のサイドブロック105が変形した橋脚の確認が簡単に行える。
【0082】
また、上記の例では、報知装置2に対応付ける橋脚を1つとしたが、隣接する複数の橋脚を対応付けてもよい。このようにすれば、必要な報知装置2の台数が抑えられる。また、上記の例では、報知装置2は、側壁に取り付けるとしたが、対応する橋脚の周辺であれば、側壁に限らず、他の場所に取り付けてもよい。さらに、報知装置2は、保守員が携帯する携帯型の端末で構成してもよい(報知装置2を、対応する橋脚周辺に設置しない構成としてもよい。)。この場合、報知装置2は、特定のセンサノード1のグループP1〜Pnに対応づけない。
【0083】
また、センサノード1は、複数のひずみセンサ13aをセンサ部13に接続した構成であってもよい。このようにすれば、1つのセンサノード1で、複数の摩擦ダンパ200について、その状態が変化したかどうかを検知することができる。また、1つのセンサノード1で、複数のサイドブロック105について、変形したかどうかを検知することができる。例えば、1つの橋脚に対して、その橋脚に取り付けられている全ての摩擦ダンパ200について、その状態が変化したかどうかを1つのセンサノード1で検知する構成にしてもよいし、1つの橋脚に対して、その橋脚に取り付けられている全ての支承100のサイドブロック105について、変形したかどうかを1つのセンサノード1で検知する構成にしてもよい。また、1つの橋脚に対して、1つのセンサノード1で、その橋脚に取り付けられている全ての摩擦ダンパ200、およびその橋脚に取り付けられている全ての支承100のサイドブロック105に対する検知を行う構成にしてもよい。
【0084】
また、上記の例では、摩擦ダンパ200は、軸方向を橋軸直角方向に合わせているとしたが、軸方向を橋軸方向にしてもよいし、橋軸直角方向と平行の角度から橋軸方向の角度までの範囲に合わせてもよいし、構造物の鉛直方向に合わせてもよい。
【0085】
また、摩擦ダンパには、図15に示す構成のものもある。図15(A)は、摩擦ダンパの断面図であり、図15(B)は、図15(A)におけるA方向の平面図である。
【0086】
図15に示す摩擦ダンパ210は、中板211を2枚の外板212、213で挟んだ構成である。中板211と、外板212、213との当接面には、摩擦係数が比較的大きいブレーキ材を設けている。摩擦ダンパ210は、中板211、外板212、213を、皿バネおよび座金を介してボルトで締め付けることにより、ブレーキ材により生じる摩擦力を生じさせている。中板211には、長径が軸方向(図15における左右方向)である長穴を形成している。
【0087】
したがって、この摩擦ダンパ210は、ある程度の大きさの応力(第1の大きさの応力)が軸方向に作用すると、中板211にひずみが生じる。ひずみセンサ13aは、この中板211に取り付けており、中板211のひずみを検出する。
【0088】
なお、摩擦ダンパ210は、第1の大きさの応力よりも大きい第2の大きさの応力が軸方向に作用すると、中板211が外板212、213に対して軸方向にスライドする。
【0089】
また、上述した摩擦ダンパ200、210に換えて、図16図18に示す鋼材ダンパを用いてもよい。図16(C)に示す鋼材ダンパ220は、軸降伏型の履歴ダンパである。この鋼材ダンパ220は、図16(A)に示す中心鋼材を、図16(B)に示す座屈拘束材に嵌挿した構成である。中心鋼材は、アンボンド材の両端に鋼板を設けた部材である。アンボンド材は、緩衝材である。座屈拘束材は、鋼管とコンクリートによって、嵌挿された中心鋼材を座屈拘束する。
【0090】
鋼材ダンパ220は、座屈拘束材に対する中心鋼材の嵌挿方向が軸方向である。
【0091】
図16(D)は、図16(C)において破線で囲んだ領域の拡大図である。図16(D)に示すように、ひずみセンサ13aは、中心鋼材の鋼板に取り付けている。
【0092】
この鋼材ダンパ220は、ある程度の大きさの応力(第1の大きさの応力)が軸方向に作用すると、中心鋼材が座屈し、ひずみが生じる。ひずみセンサ13aは、この中心鋼材のひずみを検出する。
【0093】
また、図17(A)は、鋼材ダンパの平面図であり、図17(B)は、図17(A)におけるA方向の平面図である。図17に示す鋼材ダンパ230は、壁型のものである。この鋼材ダンパ230は、2枚の拘束材で波形芯材を挟んだ構成である。この鋼材ダンパ230の軸方向は、図17における左右方向である。
【0094】
また、図18(A)は、鋼材ダンパの平面図であり、図18(B)は、図18(A)におけるA方向の平面図である。図18に示す鋼材ダンパ240は、パネル型のものである。この鋼材ダンパ240は、低降伏点鋼等の制振パネルを補剛スチフナで座屈補剛した制振部材である。この鋼材ダンパ240の軸方向は、制振パネルの対角線方向である。
【0095】
この鋼材ダンパ240は、ある程度の大きさの応力(第1の大きさの応力)が軸方向に作用すると、制振パネルが座屈し、制振パネルにひずみが生じる。ひずみセンサ13aは、この制振パネルのひずみを検出する。
【0096】
また、支承100も上述したものに限らず、図19図22に示す支承を用いてもよい。図19図22に示す支承は公知であるので、ここで簡単に説明する。
【0097】
図19に示す支承110は、一般に線支承と呼ばれるものである。図19(A)は支承の概略の平面図であり、図19(B)は、支承の概略の分解図である。図19に示す支承110は、上沓111を下沓112と、ピンチプレート113とで挟んで保持する構造である。アンカボルト114は、支承110を高架道路橋の下部構造に固定するボルトである。アンカボルト114は、ピンチプレート113、上沓111、下沓112を通して、高架道路橋の下部構造に打ち込む等して固定する。
【0098】
この支承110は、図19に示す、下沓112に一体的に形成した突起部112aによって、上沓111が下沓112に対して相対的に移動するのを制限する。ひずみセンサ13aは、この突起部112aに取り付けられ、この突起部112aの変形に応じた電圧を出力する。すなわち、この支承110においては、突起部112aが、支承の水平力を支持する。
【0099】
また、図20に示す支承120は、一般に密閉ゴム支承板支承(BP−B支承)と呼ばれるものである。図20(A)は支承の概略の平面図であり、図20(B)は、支承の概略の分解図である。図20に示す支承120は、上沓121と下沓122との間に、テフロン板124、中間プレート125、圧縮リング126、ゴムプレート127、シールリング128を配置した構造であり、上沓121が下沓122に対して相対的に移動する。アンカボルト129は、支承120を高架道路橋の下部構造に固定するボルトである。アンカボルト129は、下沓112を通して、高架道路橋の下部構造に打ち込む等して固定する。
【0100】
また、この支承120には、下沓122にサイドブロック123が取り付けられる。このサイドブロック123が、上沓121が下沓122に対して相対的に移動するのを制限する。ひずみセンサ13aは、このサイドブロック123に取り付けられ、このサイドブロック123の変形に応じた電圧を出力する。すなわち、この支承120においては、サイドブロック123が、支承の水平力を支持する。
【0101】
また、図21に示す支承130は、一般にゴム支承(せん断型可動・固定タイプ)と呼ばれるものである。図21(A)は支承の概略の平面図であり、図21(B)は、支承の概略の分解図である。図21に示す支承130は、上沓131と下沓133との間に、上沓131側から第1のせん断キー137、ゴム沓132、第2のせん断キー138を配置した構造である。また、下沓133は、アンカボルト136を取り付けたベースプレート135に取り付けられる。アンカボルト136は、高架道路橋の下部構造に打ち込む等して固定する。ゴム沓132は、上沓131に対向する面側において、上沓131を通したボルトによって取り付けられ、下沓133に対向する面側において、下沓133を通したボルトによって取り付けられている。
【0102】
また、この支承130には、下沓133にサイドブロック134が取り付けられる。このサイドブロック134が、上沓131が下沓133に対して相対的に移動するのを制限する。ひずみセンサ13aは、このサイドブロック134に取り付けられ、このサイドブロック134の変形に応じた電圧を出力する。すなわち、この支承130においては、サイドブロック134が、支承の水平力を支持する。
【0103】
また、図22に示す支承140は、一般に水平反力分散・免震支承と呼ばれるものである。図22(A)は支承の概略の平面図であり、図22(B)は、支承の概略の分解図である。図22に示す支承140は、上沓141と下沓143との間に、上沓141側から第1のせん断キー146、ゴム沓142、第2のせん断キー147を配置した構造である。また、下沓143は、アンカボルト148を取り付けたベースプレート145に取り付けられる。アンカボルト148は、高架道路橋の下部構造に打ち込む等して固定する。ゴム沓142は、第1のせん断キー146によって上沓141に取り付けられ、第2のせん断キー147によって下沓143に取り付けられている。
【0104】
また、この支承140には、ベースプレート145にサイドブロック144が取り付けられる。このサイドブロック144が、上沓141が下沓143に対して相対的に移動するのを制限する。ひずみセンサ13aは、このサイドブロック144に取り付けられ、このサイドブロック134の変形に応じた電圧を出力する。すなわち、この支承140においては、サイドブロック144が、支承の水平力を支持する。
【0105】
また、上記の例では、センサノード1は、ひずみセンサ13aを用いて、支承100の水平力を支持する部材の状態変化を検出するとしたが、変位センサや、加速度センサ等を用いてもよい。変位センサや、加速度センサ等のセンサは、支承100の水平力を支持する部材に取り付ける。
【0106】
センサノード1のセンサ部13は、変位センサや、加速度センサ等で支承100等の計測対象物理量をセンシング(計測)する構成にしてもよい。例えば、センサノード1は、支承100の振動の周期、振動の加速度、振動の速度、振動の振幅を計測する構成にしてもよい。センサ部13が有するセンサの種類は、センシングする支承にかかる計測対象物理量に応じて定めればよい。また、センサ部13が有するセンサは、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0107】
センサノード1は、近接センサ、変位センサ、加速度センサ等で支承100等の計測対象物理量をセンシング(計測)することで、支承100の水平力を支持する部材(例えば、上述した例における摩擦ダンパやサイドブロック等)の状態変化として、伸縮や変形だけでなく、損傷や異常等も検出できるようになる。この場合、センサノード1が報知装置2に送信する計測対象物理量は、計測した加速度や変位量等の絶対値の最大値を示す信号であってもよいし、計測した加速度や変位量等の最大値と最小値との差分値(すなわち、振幅の大きさ)を示す信号であってもよいし、計測した加速度や変位量等の平均値を示す信号であってもよいし、これら以外の信号であってもよい。近接センサ、変位センサ、加速度センサ等のセンサは、支承100の水平力を支持する部材に取り付ける。
【符号の説明】
【0108】
1…センサノード
2…報知装置
3…上位装置
11…制御部
12…電源部
13…センサ部
13a…ひずみセンサ
14…近距離無線通信部
21…制御部
22…電源部
22a…バッテリ接続端子
23…操作部
23a…確認ボタン
24…表示部
24a…第1の通知ランプ
24b…第2の通知ランプ
25…近距離無線通信部
26…無線通信部
31…制御部
32…操作部
33…表示部
34…記憶部
35…無線通信部
36…交通網データベース(交通網DB)
100、110、120、140…支承
105、123、134、144…サイドブロック
112a…突起部
200、210…摩擦ダンパ
220、230、240…鋼材ダンパ
図1
図2
図3
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