特開2020-79552(P2020-79552A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2020079552-鉄筋継手用スリーブ 図000003
  • 特開2020079552-鉄筋継手用スリーブ 図000004
  • 特開2020079552-鉄筋継手用スリーブ 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-79552(P2020-79552A)
(43)【公開日】2020年5月28日
(54)【発明の名称】鉄筋継手用スリーブ
(51)【国際特許分類】
   E04C 5/18 20060101AFI20200501BHJP
【FI】
   E04C5/18 102
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2020-23892(P2020-23892)
(22)【出願日】2020年2月15日
(62)【分割の表示】特願2015-89931(P2015-89931)の分割
【原出願日】2015年4月27日
(71)【出願人】
【識別番号】390005186
【氏名又は名称】日本スプライススリーブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113321
【弁理士】
【氏名又は名称】熊田 武司
(74)【代理人】
【識別番号】100108327
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】虻川 真大
(72)【発明者】
【氏名】濱田 洋徳
【テーマコード(参考)】
2E164
【Fターム(参考)】
2E164AA02
2E164BA02
2E164BA25
(57)【要約】
【課題】鉄筋継手用スリーブ1の注入口9と排出口10の両者の充填材導管の挿入口となる注入筒体11及び排出筒体15に充填材導管を差し込むだけで十分な密着固定度が得られ、コンクリート打設時に注入筒体11、排出筒体15より充填材導管が外れないようにする。
【解決手段】筒状体の両端に鉄筋挿入口の開口部が設けてあり、排出口10と注入口9は同一寸法の筒状立壁で包囲されており、この筒状立壁の内面の対向位置に長手方向の係止突起14が設けてある鉄筋継手用スリーブ1であり、筒状立壁の長手方向に設けた係止突起14が山形の鉄筋継手用スリーブである。筒状立壁の長手方向に設けた係止突起14は、先端側を鋭角としてある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状体の両端に鉄筋挿入口の開口部が設けてあり、筒状体の側壁の一端部に充填材の注入口、他端に排出口が設けてあり、両端の開口部から挿入された鉄筋が筒状体内部において注入口から充填された充填材の硬化によって接合固定される鉄筋継手用スリーブであって、排出口と注入口は同一寸法の筒状立壁で包囲されており、注入口の筒状立壁の内壁の対向位置に長手方向の係止突起が設けてあり、排出口の筒状立壁の内壁の対向位置に長手方向の抜け止め突起が設けてある鉄筋継手用スリーブ。
【請求項2】
請求項1において、筒状立壁の内壁の長手方向に設けた係止突起と抜け止め突起が山形であることを特徴とする鉄筋継手用スリーブ。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかにおいて、筒状立壁内壁の長手方向に設けた係止突起と抜け止め突起は、先端側を鋭角としてあることを特徴とする鉄筋継手用スリーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋を筒体内で連結する鉄筋継手用スリーブにおいて、充填材を筒体内に充填する際に使用する充填材導管及びその抜け止め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋継手用スリーブは、筒体の内部に2本の鉄筋端部を対向する位置より挿入し、両者を筒体の内部に注入した充填材により固定するものであるが、下記特許文献1に示されるように、充填材の注入作業は筒体の一端部に設けた注入口より行う。この注入作業を効率よくおこなうため、注入口の口径を大きくし、他方、筒体の他端部に設けた排出口は充填材により押し込まれた空気の排出と同時に、注入した充填材を筒体内の隅々まで十分に行き渡らせて稠密度を向上させるためにその排出口の口径を小さなものとしている。
【0003】
従来、注入筒体の筒状立壁の内壁と充填材導管との固定状態を高めるために注入筒体の開口径を大きめに製造しておき、挿入する側の充填材導管の挿入端部にテープを巻き付けて太さを調整し、且つ、接着剤を併用して注入筒体へ押し込むようにして嵌合固定していた。
【0004】
この施工は、充填材導管へのテープの巻き付けによる管の太さを調整しながらの巻き付け作業及び接着剤を使用する作業等を伴うものであり、充填材導管の嵌合作業に精度と時間を必要とするものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−63729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、鉄筋継手用スリーブの注入口と排出口の両者の充填材導管の挿入口となる注入筒体及び排出筒体に充填材導管を差し込むだけで十分に密着固され、コンクリート打設時のコンクリートの注入圧力によって注入筒体、及び排出筒体から充填材導管が外れないようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
筒状体の両端に鉄筋挿入口の開口部が設けてあり、筒状体の側壁の一端部に充填材の注入口、他端に排出口が設けてあり、挿入された鉄筋が筒状体内部において注入口から充填された充填材の硬化によって接合固定される鉄筋継手用スリーブであって、排出口と注入口は有効内径寸法を同一とした筒状立壁で包囲されており、この筒状立壁の内面の対向位置に長手方向の係止突起が設けてある鉄筋継手用スリーブである。
また、筒状立壁の長手方向に設けた係止突起が山形であることを特徴とする鉄筋継手用スリーブである。
また、筒状立壁の長手方向に設けた係止突起は、先端側を鋭角としてあることを特徴とする鉄筋継手用スリーブである。
【発明の効果】
【0008】
山形状の突起、筒状立壁の長手方向に沿った突起、或いはそれらの突起によって充填材導管が鉄筋継手用スリーブに強固に保持されて抜け出すことが無い。
また、係止突起の先端側を鋭角状にすることによって充填材導管に喰いこむので摩擦力が増加しており、コンクリート打設等の振動等に対しての充填材導管が抜け出すことがなく、作業効率が改善される。
また、充填材導管の筒状筒体に対する密着度が高められ、コンクリート打設時に注入筒体より充填材導管が外れることがなくない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の鉄筋継手用スリーブの長手方向中央の略断面図。
図2】(a)本発明の鉄筋継手用スリーブの注入口側の短手方向断面図、(b)注入筒体の正面図、(c)注入筒体の断面図。
図3】(a)本発明の鉄筋継手用スリーブの排出口側の短手方向略断面図、(b)排出筒体の正面図、(c)排出筒体の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例1
図1は、本発明の鉄筋継手用スリーブ1の長手方向中央の略断面図を示すものである。鉄筋継手用スリーブ1は、筒状の本体、周側壁2、該周側壁2の両端部の鉄筋挿入口3、4で構成される。筒体の内部の空間5は鉄筋挿入口3、4から挿入された鉄筋が配置され、充填材が充填固化される。空間5の周側壁2の内壁には複数個の補強用突起6が形成されており、その内壁の略中央部には鉄筋が反対側へ抜け出るのを防止する鉄筋先端停止部7が設けてある。更に、挿入した鉄筋を鉄筋継手用スリーブの中心方向に誘導する鉄筋誘導突起8が設けてあり、周側壁2の一端部には充填材の注入口9、周側壁2の他端部には充填材の排出口10が設けてある。
【0011】
図2に示すように、注入口9は、周側壁2の一端部より直交方向外方へ注入筒体11が突出させてあり、その突出側開口部12の開口径は排出口10の開口より大きく、周側壁側開口部13の開口径はそれより小さく形成している。
【0012】
注入筒体11は、筒状立壁の内壁を突出側開口部12の開口径とし、図2(b)、(c)の二点鎖線で示すように、筒状立壁の内壁に沿って、塩ビパイプ等の合成樹脂管よりなる弾力性を有する充填材導管Aを挿入固定することになる。
【0013】
注入筒体11の筒状立壁の内壁と充填材導管Aとの固定状態を確実なものとするために、筒状立壁の内壁より注入筒体11の中芯に向けて係止突起14が突出形成されている。
【0014】
筒状立壁の係止突起14は、図2(b)に示すように、筒状立壁の内周壁の対向位置に数箇所設けてある。
山形の突起、筒状立壁の長手方向に沿った突起、或いはそれらの併用突起等の様々な態様とすることが可能である。また、突起先端側を鋭角状にして充填材導管Aに喰い込むようにして充填材導管Aが抜け出るのを防止している。
【0015】
図3に示すように、排出筒体15の排出口10は、筒状立壁の内壁を突出側開口部16の開口径とし、図3(b)、(c)の二点鎖線で示すように、筒状立壁の内壁に沿って弾力性を有する塩ビパイプ等の筒状合成樹脂管よりなる充填材導管Bを挿入固定する。周側壁側開口部17の位置で充填材導管Bの先端部が周壁に当たって停止するようにしている。
【0016】
排出筒体15の内壁と充填材導管Bとの固定状態を強固なものとするために、注入開口と同様に筒状立壁の内壁より排出筒体15の中芯に向けて抜け止め突起18が突出形成されている。
【0017】
特に、鉄筋継手用スリーブ1の内部の空間5内に充填される充填材が排出筒体15から外方に排出される際、充填材導管Bを排出筒体15から抜き出す方向の力が作用するので、抜け止め突起18はその力に対抗する力を与えて排出筒体15が筒状立壁から抜け出すのを防止する。
【符号の説明】
【0018】
1 鉄筋継手用スリーブ
2 周側壁
3、4 鉄筋挿入口
5 空間
6 突起
7 鉄筋先端停止部
8 鉄筋誘導突起
9 注入口
10 排出口
11 注入筒体
12、16 突出側開口部
13、17 周側壁側開口部
14 係止突起
15 排出筒体
18 抜け止め突起
A 充填材導管
図1
図2
図3