特開2020-81077(P2020-81077A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミツボシプロダクトプラニング株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2020081077-冷却マット 図000003
  • 特開2020081077-冷却マット 図000004
  • 特開2020081077-冷却マット 図000005
  • 特開2020081077-冷却マット 図000006
  • 特開2020081077-冷却マット 図000007
  • 特開2020081077-冷却マット 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-81077(P2020-81077A)
(43)【公開日】2020年6月4日
(54)【発明の名称】冷却マット
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/00 20060101AFI20200508BHJP
   F25D 3/00 20060101ALI20200508BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20200508BHJP
   B60H 1/34 20060101ALI20200508BHJP
【FI】
   A47C27/00 F
   F25D3/00 A
   B60H1/00 102V
   B60H1/34 651A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-216506(P2018-216506)
(22)【出願日】2018年11月19日
(71)【出願人】
【識別番号】515225448
【氏名又は名称】ミツボシプロダクトプラニング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向井 徹
(72)【発明者】
【氏名】岡田 弘
(72)【発明者】
【氏名】岩端 威之
【テーマコード(参考)】
3B096
3L044
3L211
【Fターム(参考)】
3B096AA01
3B096AB08
3B096AC12
3B096AC13
3L044AA04
3L044BA09
3L044CA18
3L044DC04
3L044KA04
3L211BA08
3L211DA53
(57)【要約】
【課題】精巣の冷却効果に優れ、簡易な構成の冷却マットを提供する。
【解決手段】冷却マット1を、人Oが着座する座面10と、この座面10を支持する枠本体20とを備えて構成する。枠本体20は、上枠21と、この上枠21の下方に所定間隔を介して配置された下枠22と、上枠21及び下枠22を連結する連結部23とから構成される。座面10は、枠本体20の上枠21に張られたメッシュ材Mから構成される。座面10と下枠21との間に、座面10に向けて開口する凹部30が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が着座する座面と、
前記座面を支持する枠本体と、を備え、
前記枠本体は、上枠と、前記上枠の下方に所定間隔を介して配置された下枠と、前記上枠及び前記下枠を連結する連結部と、から構成され、
前記座面は、前記枠本体の前記上枠に張られたメッシュ材から構成され、
前記座面と前記下枠との間に、前記座面に向けて開口する凹部が設けられていることを特徴とする冷却マット。
【請求項2】
前記上枠は、太腿が配置される前方の略中央が、臀部が配置される後方に向かって凹設されて凹設部を有する平面視凹形であり、前記凹設部以外に前記メッシュ材が張られており、前記メッシュ材が張られていない前記凹設部を前記凹部の開口部としたことを特徴とする請求項1に記載の冷却マット。
【請求項3】
前記枠本体は、太腿が配置される前方が、臀部が配置される後方よりも高く構成され、前記枠本体に支持される前記座面は、前方から後方に向かって次第に低くなるように傾斜した構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却マット。
【請求項4】
前記凹部内に、送風部材又は保冷剤を収容する収容部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の冷却マット。
【請求項5】
椅子、その他の被載置部に固定するための固定部材を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の冷却マット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却マットに関する。
【背景技術】
【0002】
長時間座った状態を続けると、精巣の温度が上昇して、精子濃度が減ったり、精子運動率が悪くなったり、形態不良精子が増えたりして、精子の形成に影響するおそれがあることが知られている。そのため、下半身に熱がこもらないように,適度に立ち上がることが望ましい。また、熱中症対策においても、下肢内股の静脈を冷却することで、体温を低下できることが知られている。
【0003】
しかしながら、長距離を運転するドライバや車椅子生活者等は、頻繁に立ち上がることは困難である。また、昨今のコンピュータや電子ゲーム等の普及により、オフィスや家庭でも、着座姿勢での仕事や生活の時間が増えてきている。
【0004】
ところで、椅子等の着座装置に敷いて使用される冷却マットであって、ファン等の送風手段を用いて、マット内部の空気流通路内に空気を流通させることで、人体を冷却する冷却マットが開発されている(例えば、特許文献1、2参照)。このような冷却マットに着座することで、太腿の裏側や背中を冷却することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6156783号公報
【特許文献2】特開2012−229887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これら従来技術の冷却マットでは、着座したときに依然として陰嚢が太腿に挟まれた状態であるため、精巣の十分な冷却効果が得られ難い。また、空気流通路を確保すべく、特殊なスペーサを内装したり、マット本体も空気が漏れにくく透湿性を有する素材等を用いたりしているため、構造が複雑で高価なものとなっていた。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、下肢内股、特に精巣の冷却効果に優れ、簡易な構成の冷却マットを提供することを可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明に係る冷却マットは、人が着座する座面と、前記座面を支持する枠本体と、を備え、前記枠本体は、上枠と、前記上枠の下方に所定間隔を介して配置された下枠と、前記上枠及び前記下枠を連結する連結部と、から構成され、前記座面は、前記枠本体の前記上枠に張られたメッシュ材から構成され、前記座面と前記下枠との間に、前記座面に向けて開口する凹部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、下肢内股、特に精巣の冷却効果に優れ、簡易な構成の冷却マットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る冷却マットの使用状態を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る冷却マットを説明する図であって、(a)は上枠及び座面の平面図、(b)は下枠の平面図、(c)は冷却マットの側面図である。
図3】第2実施形態に係る冷却マットの使用状態を示す斜視図である。
図4】第2実施形態に係る冷却マットを説明する図であって、(a)は冷却マットの平面図、(b)は冷却マットの側面図である。
図5】第3実施形態に係る冷却マットを説明する図であって、凹部にファンユニットを取り付けた状態を示し、(a)は冷却マットの平面図、(b)は冷却マットの側面図である。
図6】第3実施形態に係る冷却マットの斜視図であって、凹部に保冷剤を収容した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る冷却マットについて、図1図2を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る冷却マット100の使用状態を示す斜視図である。図2(a)は冷却マット100の上枠21及び座面10の平面図、図2(b)は下枠22の平面図、図2(c)は冷却マット100の側面図である。図1図2に示すように、第1実施形態に係る冷却マット100は、直方体形を呈し、人Oが着座する座面10と、この座面10を支持する枠本体20と、を備えて構成される。
【0012】
枠本体20は、上枠21と、この上枠21の下方に所定間隔を介して配置された下枠22と、上枠21及び下枠22を連結する複数の連結部23と、から構成される。この枠本体20の上枠21の開口部分に、張材としてのメッシュシート(メッシュ材)Mが張られて座面10を構成している。
【0013】
この座面10と下枠22との間に、座面10に向けて開口する凹部30が設けられている。本実施形態及び後述する他の実施形態の冷却マット100は、男女問わず使用できるが、特に男性が使用するのに好適であり、この場合、座面10に着座すると、凹部30には陰嚢Sが配置される。
【0014】
図1では、本実施形態の冷却マット100を、被載置部である椅子1の座部1aに載置して使用した例を示しているが、車椅子2(図3参照)、自動車のシート等の被載置部に載置して使用することもできるし、床や畳等の被載置部に載置して使用することもできる。
【0015】
本明細書では、図1に示すように、人Oが座面10に着座したときに、太腿Tが配置される側、すなわち人Oの正面側を「前方F」とし、臀部Bが配置される側、すなわち人Oの背面側を「後方R」として、各構成部品について説明する。
【0016】
座面10を構成するメッシュシートMは、十分な通気性を確保しつつ、人Oの体重を支えられるように、比較的目が粗く、耐荷重性に優れる素材を用いることが望ましい。また、人Oが着座した場合に、必要以上に沈み込まず、かつ適度な弾力性によって良好な座り心地が得られるように、適度な張力(テンション)で上枠21に張り渡されている。
【0017】
メッシュシートMとしては、例えば、ポリエステル樹脂、カーボン樹脂(炭素繊維強化プラスチック)等の樹脂製メッシュ材が好適に用いられ、その他にも、ステンレス等の金属製メッシュ材、又は綿、絹等の天然繊維製のメッシュ材等を用いてもよく、使用目的、コスト、デザイン等によって適宜のメッシュ材を用いることができる。
【0018】
上枠21は、図2(a)に示すように、前方Fの略中央が、後方Rに向かって凹設されて凹設部21aが設けられており、平面視凹形を呈している。上枠21には、凹設部21a以外の開口部分にメッシュシートMが張られており、メッシュシートMが張られていない凹設部21aが、凹部30の開口部31となっている。この開口部31と、座面10及び下枠22の間の空間部24により、凹部30が構成される。
【0019】
下枠22は、図2(b)に示すように、上枠21と同様に凹設部22aを有する平面視凹形を呈している。上枠21と下枠22を同じ形状とすることで、枠本体20の製造の手間やコストを削減できる。また、本実施形態では、下枠22には、線材からなる複数の補強材22bが設けられ、下枠22の強度や耐久性を高めている。
【0020】
なお、図2(b)の例では、左右方向に延在して補強材22bを配置しているが、これに限定されるものではなく、補強材22bを、前後方向に延在して配置してもよいし、前後及び左右方向に格子状に配置してもよい。また、十分な強度や耐久性が得られるのであれば、補強材22bを設けなくてもよく、下枠22をより簡易に構成できる。
【0021】
連結部23は、上枠21と下枠22とを連結する。この連結部23がスペーサの役割を果たし、上枠21と下枠22との間に空間部24が設けられ、優れた通気性を確保可能となっている。本実施形態では、上枠21及び下枠22の外周の4つの角部と、凹設部21a,22aの4つの角部を、合計8つの連結部23で連結しているが、枠本体20の耐荷重性等を高めるべく、連結部23の本数を増やしてもよい。
【0022】
枠本体20は、金属製、樹脂製の線材や棒材から構成される。金属製の線材又は棒材としては、例えば、スチール製、ステンレス製、アルミ製等の線材又は棒材が好適に挙げられる。また、このような金属を樹脂で被覆した線材又は棒材も、優れた強度や錆防止効果が得られる点で好ましい。また、樹脂製の線材又は棒材としては、例えば、ポリエステル樹脂製、ポリカーボネート樹脂製、FRP樹脂(繊維強化プラスチック)製等の線材又は棒材が好適に挙げられる。FRP樹脂としては、例えば、カーボン樹脂等が好適に挙げられる。また、木材製の枠本体20としてもよい。
【0023】
本実施形態では、上枠21、下枠22及び連結部23を同じ金属製の線材を用いて製作し、それぞれを溶接して連結している。これにより、強度や耐久性に優れ、かつ製造コスト等も低減可能な枠本体20が得られる。
【0024】
また、冷却マット100のサイズとしては、人Oが着座して仕事や生活ができるサイズであれば、特に限定されるものではなく、常識的なサイズとすることができる。例えば、前後方向及び左右方向の長さ(縦、横のサイズ)を350mm〜450mmの範囲とすることが好ましく、高さ(厚み)を10mm〜100mmとすることが好ましいが、これに限定されるものではない。また、凹部30の開口部31(凹設部11a)の前後方向の長さ(縦のサイズ)を180mm〜220mmとし、左右方向の長さ(横のサイズ)を130mm〜170mmとすることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0025】
本実施形態では、図2の各図に示すように、冷却マット100の縦、横のサイズをそれぞれ400mmとし、厚みを50mmとし、開口部31の縦、横のサイズをそれぞれ200mm、150mmとしている。
【0026】
上述のような構成の第1実施形態に係る冷却マット100の使用例を説明する。図1に示すように、冷却マット100をオフィス等の椅子1の座部1aに、座面10が上方を向き、凹部30が前方Fに位置するように載置する。次に、人Oである男性が、凹部30よりも後方Rに臀部Bが配置され、凹部30の両側に太腿Tが配置されるように、座面10に着座する。この着座により、陰嚢Sに対応して凹部30が配置され、図2(c)の側面図に示すように、陰嚢Sが下降し、凹部30内であって太腿Tよりも低い位置に配置される。
【0027】
以下、本実施形態の冷却マット100の作用効果を説明する。本実施形態の冷却マット100は、人Oが着座する座面と10、座面10を支持する枠本体20と、を備える。枠本体20は、上枠21と、上枠21の下方に所定間隔を介して配置された下枠22と、上枠21及び下枠22を連結する連結部23と、から構成される。座面10は、枠本体20の上枠21に張られたメッシュシートMから構成される。この座面10と下枠22との間に、座面10に向けて開口する凹部30が設けられている。
【0028】
この構成により、上枠21と下枠22との間に空間部24が設けられ、椅子1等の被載置部と、臀部B、太腿T等との間に優れた通気性を確保できる。また、メッシュシートMにより、座面10の通気性にも優れる。したがって、この冷却マット100では、着座している人Oの太腿Tや臀部Bの蒸れ、温度上昇を効果的に抑制できる。
【0029】
さらに、凹部30を設けたことで、人Oが(具体的には男性が)座面10に着座したときに、図2(c)の側面図に示すように、陰嚢Sが凹部30内であって、太腿Tよりも低い位置に配置される。そのため、陰嚢Sと太腿Tのそれぞれの通気性が向上し、着座状態を長時間持続した場合でも、精巣の温度上昇を抑制できる。また、下肢内股の静脈が外気によって冷却され、精巣の温度上昇の抑制効果が高まるだけでなく、体温の上昇も抑制できる。
【0030】
したがって、本実施形態の冷却マット100を使用することで、男性不妊症(OAT症候群)の予防や改善に寄与できる。さらには、男女問わず熱中症対策にも貢献できる。特に、長時間、着座状態を維持せざるを得ない車椅子の使用者や、長距離ドライバ等が使用するのに好適である。
【0031】
また、このように陰嚢の温度上昇や体温上昇の抑制効果に優れる冷却マット100を、メッシュシートMからなる座面10と、枠本体20とからなる簡易な構成とすることができる。したがって、下肢内股、特に精巣の冷却効果に優れ、簡易な構成の冷却マット100を提供できる。その結果、製造コストや販売コストを低減できる。
【0032】
また、上枠21は、太腿Tが配置される前方Fの略中央が、臀部Bが配置される後方Rに向かって凹設されて凹設部22aを有する平面視凹形である。したがって、この凹設部22a以外にメッシュシートMを張るだけで、メッシュシートMが張られていない凹設部22aを開口部31とする凹部30を、簡単に設けることができる。よって、冷却効果に優れる冷却マット100を簡易な工程で製作することができ、生産性をより向上できる。
【0033】
また、本実施形態の冷却マット100では、凹部30が前方Fに向かって開口し、かつ前後に長い形状を呈している。そのため、男性が着座した場合は、着座位置が前後方向で多少ずれても凹部30内に確実に陰嚢Sを配置することができ、前後方向の着座位置の自由度が向上するとともに、前方Fでの陰嚢Sの上枠21への引掛りや擦れを抑制できる。
【0034】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の冷却マット100Aについて、図3図4を参照しながら説明する。図3は、第2実施形態の冷却マット100Aの使用状態を示す斜視図であり、冷却マット100Aを車椅子2の座部2aに載置した例を示している。図4(a)は冷却マット100Aの平面図、図4(b)は冷却マット100Aの側面図である。
【0035】
第2実施形態の冷却マット100Aは、座面10が後方Rに向かって傾斜し、固定部材としての固定ベルト40を設けたこと以外は、図1等に示す第1実施形態の冷却マット100と同様の基本構成を備えている。そのため、第1実施形態と同様の構成については第1実施形態と同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。以下では、第1実施形態と異なる構成について主に説明する。以降の実施形態でも同様である。
【0036】
第2実施形態に係る冷却マット100Aは、第1実施形態と同様に、メッシュシートMを有する座面10と、上枠21、下枠22及び連結部23を有する枠本体20と、を備えて構成される。座面10と下枠22との間に、座面10に向けて開口する凹部30(例えば、男性が使用する場合は陰嚢Sを配置する凹部30)が設けられている。この構成により、第2実施形態においても、下肢内股、特に精巣の冷却効果に優れ、簡易な構成の冷却マット100Aを提供できる。
【0037】
第2実施形態では、連結部23として、高さ(長さ)の異なる3種類の連結部23a,23b,23cを用い、上枠21と下枠22の前方Fを、最も高い連結部23aで連結し、凹設部21a,22aの基端を中間の連結部23bで連結し、後方Rを最も低い連結部23bで連結している。これにより、車椅子2等に載置したときに、図4(b)の側面図に示すように、枠本体20は、太腿Tが配置される前方Fが、臀部Bが配置される後方Fよりも高く(厚く)なり、この枠本体20に支持される座面10は、前方Fから後方Rに向かって次第に低くなるように傾斜した構成となる。
【0038】
この構成により、冷却マット100Aに長時間着座したり、多少動いたりした場合でも、人Oが前方Fにずり落ちるようなことがなく、着座時の安定性や座り心地をより向上させることができる。
【0039】
また、第2実施形態の冷却マット100Aは、枠本体20の両側に、2つの固定ベルト40,40を備えている。各固定ベルト40は、下枠22に固定された一対のベルト41,41と、一方のベルト41の先端に取り付けられた係合部(タング)42と、他方のベルト41の先端に取り付けられて係合部42を着脱自在に係合する係合受部(バックル)43と、を備えている。
【0040】
固定ベルト40,40を備えた第2実施形態の冷却マット100Aでは、図3に示すように、車椅子2に載置した状態で、座部2aの下で2つの固定ベルト40のそれぞれの係合部42を係合受部43に係合する。これにより、固定ベルト40で冷却マット100Aを車椅子2に固定できる。そのため、冷却マット100Aが車椅子2から容易に脱落したり、ずれたりすることがなく、人Oが着座したときの安定性がよく、座り心地や使用性を向上できる。
【0041】
なお、本実施形態では、図3に示すように冷却マット100Aを車椅子2に取り付けているが、オフィス用の椅子1や自動車のシートに取り付けて使用することもできる。
【0042】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の冷却マット100Bについて、図5図6を参照しながら説明する。図5(a)は、第3実施形態の冷却マット100の平面図、図5(b)は側面図であり、凹部30に送風部材としてのファンユニット50を取り付けた状態を示す。図6は冷却マット100Bの斜視図であり、凹部30に保冷剤60を収容した状態を示す。
【0043】
図5図6に示すように、第3実施形態に係る冷却マット100Bは、メッシュシートMを有する座面10と、上枠21、下枠22’及び連結部23を有する枠本体20と、を備えて構成される。上記第1、第2実施形態では、下枠22は凹設部22aを有する平面視凹形を呈しているが、第3実施形態では、下枠22’は凹設部22aのない矩形を呈している。
【0044】
そして、この下枠22’と座面10との間に、座面10に向けて開口する開口部31を有し、凹部30(例えば、男性が使用する場合は陰嚢Sを配置する凹部30)が設けられている。この構成により、第3実施形態においても、下肢内股、特に精巣の冷却効果に優れ、簡易な構成の冷却マット100Bを提供できる。
【0045】
さらに、第3実施形態では、凹部30を、ファンユニット50や保冷剤60を収容する収容部としても機能させている。
【0046】
図5に示す例では、凹部30にファンユニット50を収容している。このファンユニット50は、プロペラファン51とバッテリー52とが一体に設けられたカセット式のファンユニットであり、凹部30への取り付けや取り外しを、容易かつ自在に行える。本実施形態では、上枠21の凹設部21aの基端に接続された2つの連結部23の間にファンユニット50の一部を挿入して固定しているが、枠本体20に、ファンユニット50を取り付けるための枠やベルト等、適宜の取付具を設けてもよい。
【0047】
このように凹部30にファンユニット50を収容することで、凹部30内に位置する陰嚢Sや、内股に送風することができ、これらの冷却効果をより向上させることができる。
【0048】
なお、凹部30に位置する陰嚢Sとの接触を回避するため、ファンユニット50は、座面10よりも10mm以上下方に配置することが望ましい。本実施形態では、高さ50mmの枠本体20に対して、高さ30mmのファンユニット50を取り付けることで、座面10からファンユニット50までの距離を20mm程度としている。
【0049】
なお、送風部材がプロペラファン51とバッテリー52とが一体型のファンユニット50に限定されるものではなく、この他にもシロッコファン等、公知の適宜の送風部材を使用できる。また、送風部材に電源コードやUSBコードの接続端子を設け、コンセントやコンピュータ等から送風部材に電気を供給してもよい。また、冷却マット100Bを自動車にも取り付け可能とする場合は、送風部材にシガーソケット用USB等の接続端子を設け、シガーソケットから送風部材に電気を供給してもよい。
【0050】
また、第3実施形態では、送風部材は、凹部30に対してファンユニット50を着脱する構成であるが、この構成に限定されるものではなく、凹部30に固定的に送風部材を取り付けてもよい。
【0051】
また、図6に示す例では、凹部30に保冷剤60を収容している。これにより、保冷剤60の冷気によって、凹部30内に位置する陰嚢Sや内股を、より効果的に冷却することができる。
【0052】
以上説明したように、第3実施形態では、凹部30に送風部材としてのファンユニット50や保冷剤60を配置することで、凹部30内に位置する陰嚢Sや、内股の冷却効果をより向上できる。その結果、男性不妊症の予防や改善効果、熱中症対策効果を向上できる。
【0053】
また、他の異なる実施形態として、凹部30内にメッシュシート等を弛ませた状態で張り渡してもよい。これにより、凹部30内に陰嚢Sが配置されるのを妨げることなく、しかも陰嚢Sが必要以上にファンユニット50側に下がるのを抑制できる。また、ファンユニット50や保冷剤60を他人の目から隠すこともできる。
【0054】
以上、本発明の実施形態を図面により詳述してきたが、上記各実施形態は本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記各実施形態の構成にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【0055】
例えば、上記各実施形態では、上枠21のみにメッシュシートMを貼って座面10を設けている。これに対して、例えば、上枠21と同じものを下枠22として使用し、この下枠22にもメッシュシートMを貼って座面10を設け、リバーシブルタイプの冷却マットとすることもできる。
【0056】
また、太腿への当たりを柔らかくしたり、太腿T載置安定性を高めたりするため、上枠21の太腿Tが当接する前方Fの部分を、凹状に湾曲させたり、除去したり、スポンジやウレタン等の弾性材で被覆したりしてもよい。
【0057】
また、上記第2実施形態では、高さの異なる連結部23a,23b,23cを用いることで、座面10を後方Rに向けて傾斜させている。これに対して、例えば、高強度で高弾性のカーボン樹脂等を用いて枠本体20を形成し、上枠21と下枠22とを、前方Fのみ連結部23aで連結した構成とする。この構成であると、座面10に着座したときに、臀部Bの重みによって連結部23aを支点として、上枠21が下方に弾性変形し、座面10の後方Fを下げることができる。
【0058】
また、第1、第2実施形態に係る冷却マット100,100Aにおいても、凹部30にファンユニット50又は市販のファン等の送風部材や、保冷剤60を配置して使用することができ、陰嚢Sや内股等の冷却効果をより向上できる。
【0059】
また、上記各実施形態に係る冷却マット100,100A,100Bは、直方体形を呈しているが、この形状に限定されるものではない。円柱形、半円柱形としてもよいし、三角柱形や五角形以上の角柱形であってもよい。また、雲、花、動物等を模したデザインであってもよく、椅子や床面等に載置して人が着座する、一般的なマット、座布団、クッション等に用いられる形状とすることができる。
【符号の説明】
【0060】
1 椅子(被載置部) 2 車椅子(被載置部) 10 座面
20 枠本体 21 上枠 21a 凹設部 22,22’ 下枠
22a 凹設部 23,23a,23b,23c 連結部
30 凹部 31 開口部 40 固定ベルト(固定部材)
50 ファンユニット(送風部材) 60 保冷剤
100,100A,100B 冷却マット
B 臀部 M メッシュシート O 人 S 陰嚢 T 太腿
図1
図2
図3
図4
図5
図6