特開2020-81470(P2020-81470A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-81470(P2020-81470A)
(43)【公開日】2020年6月4日
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20200508BHJP
   A63B 53/06 20150101ALI20200508BHJP
   B21K 17/00 20060101ALI20200508BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20200508BHJP
【FI】
   A63B53/04 G
   A63B53/04 B
   A63B53/04 K
   A63B53/06 B
   A63B53/06 C
   A63B53/06 D
   B21K17/00
   A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-221508(P2018-221508)
(22)【出願日】2018年11月27日
(71)【出願人】
【識別番号】591002382
【氏名又は名称】株式会社遠藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】岡田 誠
(72)【発明者】
【氏名】天野 淳一
【テーマコード(参考)】
2C002
4E087
【Fターム(参考)】
2C002AA02
2C002AA03
2C002AA04
2C002CH05
2C002LL01
2C002MM07
4E087BA26
4E087CB01
4E087HA88
(57)【要約】
【課題】ゴルフクラブヘッドの設計自由度を向上させるゴルフクラブヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】仕上げ加工前のゴルフクラブの素材本体14の少なくとも一部分を、鍛造によって加工して形成するゴルフクラブヘッドの製造方法において、素材本体14に孔15を形成するステップと、孔15に素材本体14の材料と比重の異なる粉粒体からなる内蔵部材13を充填するステップと、孔15の開口部16を栓体17によって閉塞するステップと、素材本体14の鍛造を行うステップとを備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕上げ加工前のゴルフクラブの素材本体の少なくとも一部分を、鍛造によって加工して形成するゴルフクラブヘッドの製造方法において、
前記素材本体に孔を形成するステップと、
前記孔に前記素材本体の材料と比重の異なる粉粒体からなる内蔵部材を充填するステップと、
前記孔の開口部を栓体で閉塞するステップと、
前記素材本体の鍛造を行うステップとを備えることを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項2】
前記開口部を前記栓体で閉塞した後、
前記開口部を前記栓体とともに溶接して封止するとともに、前記開口部に非溶接箇所を設け空気抜き部を形成するステップを備えたことを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項3】
前記鍛造時に前記空気抜き部を上向きにするステップを備えたことを特徴とする請求項2記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項4】
前記内蔵部材は、セラミックスとしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来、ゴルフクラブヘッドの設計自由度を向上させるために、素材本体に異なる金属を設けるゴルフクラブの製造方法として、可鍛金属素材からなる素材本体の内部に、素材本体とは比重が異なる金属を内蔵させて一体に熱間鍛造を行う技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2004−329335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術においては、内蔵される金属は、素材本体の鍛造温度と略同等かより低い融点を有する材料であり、そもそも素材本体と同様に可鍛金属でなければならない、という問題があった。
【0004】
そこで、本発明では、内蔵される材料にも可鍛金属以外を用いることができるようにして、ゴルフクラブヘッドの設計自由度を向上できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法は、仕上げ加工前のゴルフクラブの素材本体の少なくとも一部分を、鍛造によって加工して形成するゴルフクラブヘッドの製造方法において、前記素材本体に孔を形成するステップと、前記孔に前記素材本体の材料と比重の異なる粉粒体からなる内蔵部材を充填するステップと、前記孔の開口部を栓体で閉塞するステップと、前記素材本体の鍛造を行うステップとを備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の請求項2に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法は、前記開口部を前記栓体で閉塞した後、前記開口部を前記栓体とともに溶接して封止するとともに、前記開口部に非溶接箇所を設け空気抜き部を形成するステップを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項3に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法は、前記鍛造時に前記空気抜き部を上向きにするステップを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項4に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法は、前記内蔵部材は、セラミックスとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法によれば、素材本体と内蔵部材の比重差によってゴルフクラブヘッドの重心位置の設定自由度が高まる。また、孔に粉粒体からなる内蔵部材を充填することで、内蔵部材を孔に合せて成形する等の加工の必要が無く、作業工程を省略させて、ゴルフクラブヘッドの製造を容易にすることができる。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法によれば、鍛造時に内蔵部材の気泡を空気抜き部から排出させることで、孔内部における内蔵部材の密度が増加して、素材本体と内蔵部材の一体感を高めることができる。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法によれば、鍛造時に空気抜け部を上向きにすることで、孔内部の内蔵部材がこぼれ落ちるのを抑えることができる。
【0012】
また、本発明の請求項4に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法によれば、内蔵部材に比重の小さいセラミックスを用いることで、主に金属素材が用いられる素材本体との比重差によってゴルフクラブヘッドの重心位置の設定自由度が高まる。また、比重の小さいセラミックスを内蔵することで、従来のゴルフクラブヘッドと重量を同じくしたまま、体積を大きくすることができる。また、粉粒体のセラミックスを孔に充填することで、セラミックスを孔に合せて成形する等の加工の必要が無く、作業工程を省略させて、ゴルフクラブヘッドの製造を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施例を示す斜視図である。
図2】同上、製造時の平断面図である。
図3】同上、製造時の縦断面図である。
図4】同上、素材本体の側面図である。
図5】同上、ヘッド本体の一部切り欠き正面図である。
図6】同上、ヘッド本体の断面図である。
図7】本発明の第2実施例を示すヘッド本体の一部切り欠き正面図である。
図8】同上、ヘッド本体の断面図である。
図9】本発明の第3実施例を示すヘッド本体の一部切り欠き正面図である。
図10】同上、ヘッド本体の断面図である。
図11】本発明の第4実施例を示す斜視図である。
図12】同上、製造時の平断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明のゴルフクラブヘッドの製造方法における好適な実施形態について、添付した図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成のすべてが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0015】
以下、本発明の第1実施例について、添付の図1図6を参照して説明する。図1に示すように、アイアン形のゴルフクラブ1は、ヘッド2とこのヘッド2に接続するシャフト3を備えている。ヘッド2は、正面に打撃面となるフェース4が形成され、底面に接地面となるソール5が形成され、さらに一側にはヒール6が形成され、ヒール6の反対側にトウ7が形成される。ヒール6の上部には、シャフト接続部たるホーゼル8が斜め上方へ立設しており、このホーゼル8に形成した孔9にシャフト3の下端10が接続している。なお、フェース4には、スコアライン等と称する横向きの溝11が多段に形成されている。
【0016】
前記ヘッド2は、打撃に耐える強度を有する可鍛金属、例えば鋼(S20C)により、フェース4、ソール5及びホーゼル8を備えたヘッド本体12が形成され、さらに、ヘッド本体12のフェース4の内側上部に内蔵部材13を横向きに長く内蔵したものである。内蔵部材13は、ヘッド本体12の素材本体14よりも比重が小さく、また、融点が素材本体14の鍛造温度よりも高い材料からなる粒状素材又は粉末状素材(以下、粉粒体という)であって、例えばセラミックスである酸化アルミ(Al,アルミナ)の粒もしくは粉末が用いられている。内蔵部材13としては、後述するヘッド本体12の鍛造時に僅かな隙間から内蔵材料13が飛び出す危険性を回避するため、好ましくは粒状のアルミナが用いられ、さらに好ましくは中心粒径が0.4〜1.2mmの粒状のアルミナが用いられる。アルミナの融点は2000度以上で硬度が高いが、粒状であるため鍛造時に割れる心配はない。また、アルミナは、不燃物であるため、軽比重金属にありがちな発火の恐れがない。なお、中心粒径が0.4mm未満では、鍛造時に内蔵部材13が後述する空気抜き部から噴出する恐れがあるため好ましくない。また、中心粒径が1.2mmより大きいと、鍛造時に後述する孔15内部で圧縮された内蔵部材13に空隙が多くなり、ヘッド本体12の強度の低下や、打感や打撃音に影響を及ぼす恐れがある。
【0017】
内蔵部材13として素材本体14と比重の異なる材料を選択して、内蔵材料13が素材本体14の任意の位置に形成された孔15に充填されるようにすることで、素材本体14と内蔵部材13との比重差を利用して、ゴルフクラブ1のヘッド2の重心位置を任意の位置に調整することが可能となる。
【0018】
つぎに製造方法について説明する。一般に、ヘッド本体12の製造工程においては、打撃に耐えることのできる強度を有する、可鍛金属である鋼(S20C)からなる円柱軸状の素材本体14を、鋼(S20C)の再結晶温度以上の温度である熱間鍛造温度(約1200度)まで炉等により加熱して、「潰し鍛造」、「荒地鍛造(荒打ち、荒鍛造、荒加工)」、「仕上げ鍛造(仕上げ打ち、精密鍛造)」などの複数の熱間鍛造を経て、完成品のゴルフクラブヘッドの形状へと近づけていく。
【0019】
ここで、前述の「潰し鍛造」とは、可鍛金属の熱間鍛造温度により加熱した素材本体14を潰す金型鍛造工程である。また、前述の「荒地鍛造」とは、可鍛金属の熱間鍛造温度により加熱した素材本体14を、荒地用下金型に載置した状態で荒地用上金型を押圧することにより、ゴルフクラブヘッドの概形に成形する金型鍛造工程である。また、前述の「仕上げ鍛造」とは、可鍛金属の熱間鍛造温度により加熱した素材本体14を、仕上げ用下金型に載置した状態で仕上げ用上金型を押圧することにより、ゴルフクラブヘッドの完成形に近い形状に成形する金型鍛造工程である。なお、上記「潰し鍛造」、「荒地鍛造」、「仕上げ鍛造」の各鍛造工程は、一例であり、適宜変更可能である。
【0020】
本実施例においては、上記の製造工程において、図2〜4に示すように、「仕上げ鍛造」以前の鍛造工程によって成形された素材本体14に、有底円筒状の止まり穴である孔15を形成する。そして、この孔15に内蔵部材13を充填した後に、孔15の開口部16を素材本体14と同一或いは素材本体14と主成分が同じ栓体17と、溶接等の固定手段18により封止する。ここで本実施例の開口部16は、図4に示すように、鍛造時に上向きとなる側が空気抜き部19として開放されたまま、その側を除く部分が固定手段18によって封止されている。なお、孔15の方向、形状、大きさ、深さ、位置又は数は、適宜変更可能である。本実施例の孔15は、ゴルフクラブ1のヘッド2の溝11と平行、かつ、溝11の略中段部分の後方に内蔵部材13が内蔵されるように形成されている。
【0021】
そして、図2及び図3に示すように、孔15に内蔵部材13が充填された素材本体14を、ヘッド本体12の形状に型20を形成した一方の金型である下金型21上に載置する。このとき、孔15に内蔵部材13が充填された素材本体14は、あらかじめ、素材本体14の材料である鋼(S20C)の熱間鍛造温度に炉等により加熱されている。なお、内蔵部材13の融点は、素材本体14の再結晶温度以上の温度である熱間鍛造温度より高いため、固相状態のままである。このように、所定の温度に加熱された素材本体14が下金型21に載置された状態で、他方の金型である上金型(図示せず)を押圧することにより鍛造を行なって、ヘッド本体12を成形することができる。さらに、鍛造によって成形されたヘッド本体12のフェース4を仕上げ加工してスコアライン等と称する横向きの溝11を形成したり、表面を研磨したり、或いは、ホーゼル8に孔9を形成して仕上げる。なお、空気抜き部19は、鍛造時に押圧されて封止される。
【0022】
図5及び図6に示すように、完成したゴルフクラブ1のヘッド2は、素材本体14より比重の小さい内蔵部材13がヘッド2の下部に内蔵されることにより、内蔵部材13が内蔵されていない場合と比較して、ヘッド2の重心位置が上昇したものとなっている。したがって、本実施例によれば、ウエッジ形クラブに好ましい高重心のゴルフクラブヘッドを提供することができる。
【0023】
以上のように、本実施例のゴルフクラブヘッドの製造方法は、仕上げ加工前のゴルフクラブ1の素材本体14の少なくとも一部分を、鍛造によって加工して形成するゴルフクラブヘッドの製造方法において、素材本体14に孔15を形成するステップと、孔15に素材本体14の材料と比重の異なる粉粒体からなる内蔵部材13を充填するステップと、孔15の開口部16を栓体17で閉塞するステップと、素材本体14の鍛造を行うステップとを備えている。
【0024】
この場合、素材本体14と内蔵部材13の比重差によってゴルフクラブヘッドの重心位置の設定自由度が高まる。また、孔15に粉粒体からなる内蔵部材13を充填することで、内蔵部材13を孔15に合せて成形する等の加工の必要が無く、作業工程を省略させて、ゴルフクラブヘッドの製造を容易にすることができる。
【0025】
また、本実施例のゴルフクラブヘッドの製造方法では、開口部16を栓体17で閉塞した後、開口部16を栓体17とともに溶接して封止するとともに、開口部16に非溶接箇所を設け空気抜き部19を形成するステップを備えている。
【0026】
この場合、鍛造時に内蔵部材13の気泡を空気抜き部19から排出させることで、孔15内部における内蔵部材13の密度が増加して、素材本体14と内蔵部材13の一体感を高めることができる。
【0027】
また、本実施例のゴルフクラブヘッドの製造方法では、鍛造時に空気抜き部19を上向きにするステップを備えたことにより、鍛造時に孔15内部の内蔵部材13がこぼれ落ちるのを抑えることができる。
【0028】
また、本実施例のゴルフクラブヘッドの製造方法では、内蔵部材13は、セラミックスとしたことにより、主に金属素材が用いられる素材本体14との比重差によってゴルフクラブヘッドの重心位置の設定自由度が高まる。また、比重の小さいセラミックスを内蔵することで、従来のゴルフクラブヘッドと重量を同じくしたまま、体積を大きくすることができる。また、粉粒体のセラミックスを孔15に充填することで、セラミックスを孔15に合せて成形する等の加工の必要が無く、作業工程を省略させて、ゴルフクラブヘッドの製造を容易にすることができる。
【実施例2】
【0029】
図7及び図8は、本発明の第2実施例を示すものである。同図において、図1図6と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例のヘッド2は、素材本体14より比重の小さい内蔵部材13がヘッド2の上部に内蔵されることにより、内蔵部材13が内蔵されていない場合と比較して、ヘッド2の上部の重量低減にともない、ヘッド2全体の重心位置が降下したものとなっている。したがって、本実施例によれば、ロングアイアンやミドルアイアンに好ましい低重心のゴルフクラブを提供することができる。
【実施例3】
【0030】
図9及び図10は、本発明の第3実施例を示すものである。同図において、図1図6と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例のヘッド2は、内蔵部材22として、素材本体14の材料である鋼(S20C)より比重が大きく、鋼(S20C)の再結晶温度以上の温度である熱間鍛造温度より高い融点を有するタングステン合金(例えば、炭化タングステン,WC 融点2000度以上)の粉粒体を用いたものである。本実施例のゴルフクラブ1のヘッド2は、素材本体14より比重の大きい内蔵部材22がヘッド2の下部に内蔵されることにより、ヘッド2の重心位置が降下したものとなっている。したがって、本実施例によれば、ロングアイアンやミドルアイアンに好ましい低重心のゴルフクラブヘッドを提供することができる。
【実施例4】
【0031】
図11及び図12は、本発明の第4実施例を示すものである。同図において、図1図6と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例の内蔵部材23は、図12に示すように孔15にアルミナの粉粒体からなる第1の内蔵部材23A、タングステン合金の粉粒体からなる第2の内蔵部材23Bの順に充填された複数種類の粉粒体の組み合わせからなる。
【0032】
そして、内蔵部材23は、図11に示すように、溝11の後方に第1の内蔵部材23Aが配置されるとともに、トウ7側に第2の内蔵部材23Bが配置されるようにヘッド2の下部に内蔵されたものである。
【0033】
本実施例のゴルフクラブ1のヘッド2は、素材本体14より比重の小さい第1の内蔵部材23Aがヘッド2の下部に内蔵されることにより、第1の内蔵部材23Aが内蔵されていない場合と比較して、ヘッド2の重心位置が上昇したものとなっている。したがって、本実施例によれば、ウエッジ形クラブに好ましい高重心のゴルフクラブヘッドを提供することができる。
【0034】
また、素材本体14より比重の大きい第2の内蔵部材23Bがヘッド2のトウ7側に内蔵されることにより、第2の内蔵部材23Bが内蔵されていない場合と比較して、ヘッド2の重心位置がトウ7寄りとなっている。したがって、本実施例によれば、ホーゼル8の重量によってフェース4の中心からヒール6寄りに重心が設計されているヘッド2の重心位置をトウ7寄りに変位させることにより、特にホーゼル8が長く設計されて、ヒール6寄りの重心が顕著になるウェッジ形クラブに好ましい重心位置のゴルフクラブヘッドを提供することができる。
【0035】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、本実施例では、素材本体14の材料を鋼(S20C)としているが、その他の金属、例えば、軟鉄などの鉄、チタン、特殊鋼、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、銅、ニッケル、ジルコニウム、コバルト、マンガン、亜鉛、シリコン、錫、クロムおよびこれらの合金なども使用可能であり、特に限定されるものではない。
【0036】
また、上記の実施例では、内蔵部材13、22、23は、素材本体14の材料の再結晶温度より高い融点を有していれば、上述のアルミナ以外のセラミックスやタングステン合金以外の合金としてもよい。ただし、熱間鍛造時の高温状態下における火花による引火を防止する観点から不燃性を有することが好ましい。さらに、内蔵部材13、22、23は、セラミックス、金属又は合成樹脂等の粉粒体を1種類又は複数種類を混合したもの、異なる粒径のものを組み合わせたもの、打感の向上のために内蔵部材13、22、23の空隙を埋めるべく上述の粉粒体に合成樹脂等の添加素材を混合したものとしてもよい。
【0037】
また、熱間鍛造に限らず、再結晶温度以下の常温での冷間鍛造や、熱間鍛造と冷間鍛造の中間の温度での温間鍛造としてもよい、特に、仕上げ工程直前の冷間鍛造では、鍛造後のヘッド本体12の変形量が少なく、より高い精度での成形が可能となり、ヘッド2の重心位置の設定が高い精度で行える。
【0038】
また、内蔵部材13、22、23の位置は、フェース4の後方における上下方向に限定されるものではなく、ヒール6側やその反対側のトウ7側に配置したり、適宜変更することができ、これによって、ヘッド2の低重心、高重心、ヒール寄り重心又はトウ寄り重心等、ヘッド2の重心位置の設定自由度を高めることができる。
【0039】
また、内蔵部材13、22、23は、アイアン形のゴルフクラブのヘッド以外にも、ウッド形、アイアン形とウッド形の中間形状のユーティリティ形又はパター等の各種ゴルフクラブにおけるクラウン(上面部)、ソール(底面部)、フェース(打球面)、背面部又は内部構造に対して、内蔵されてもよい。さらに、内蔵部品13、22、23は、鍛造部品パーツと、鋳造部品パーツや樹脂部品パーツ等のその他の部品パーツとの組み合わせからなる複合型ゴルフクラブヘッドの鍛造部品パーツに内蔵されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 ゴルフクラブ
14 素材本体
13、22、23 内蔵部材
15 孔
16 開口部
17 栓体
19 空気抜き部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12