【解決手段】アスリート2に対して速度に関するペース情報を提示するペースメーカーシステムであって、通信機能及び情報出力機能を有する複数のスマートフォン1a〜1nと、これら複数の情報処理端末がそれぞれ有する通信機能を通じて、各情報処理端末の情報出力機能から情報を出力するタイミングを制御する連携制御部11cとを備える。アスリートは複数人が可能で連携制御部11cは、アスリートそれぞれの速度設定に応じたペース情報をそれぞれの移動体に対応したタイミングで出力する。
通信機能及び情報出力機能を有する複数の情報処理端末を用い、移動体に対して速度に関する情報を提示するペースメーカープログラムであって、前記情報処理端末を、
前記複数の情報処理端末がそれぞれ有する通信機能を通じて、各情報処理端末の情報出力機能から前記速度に関する情報を出力するタイミングを制御する連携制御部として機能させることを特徴とするペースメーカープログラム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るペースメーカーシステムの第1実施形態を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るペースメーカーシステムの全体構成を示す概念図であり、
図2は、本実施形態においてペースメーカーシステムを設置した状態を示す説明図である。なお、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
(ペースメーカーシステムの全体構成)
図1に示すように、本実施形態に係るペースメーカーシステムは、無線通信を含む通信ネットワーク5を通じてデータ通信を行う複数のスマートフォン1,1を、ペースメーカーシステムとして用い、ランニングやウォーキング等における各アスリートのペースを管理するペースメーカーシステムである。具体的に、本実施形態におけるペースメーカーシステムは、通信ネットワーク5上に、アプリケーションサーバー3と、中継装置6と、各アスリート2や競技場運営組織やスポーツ団体などが所有する複数のスマートフォン1,1とで構成される。
【0018】
通信ネットワーク5は、無線通信網を含み、TCP/IP等の各種通信プロトコルを用いて種々の通信回線(電話回線やISDN回線、ADSL回線、光回線などの公衆回線、専用回線、無線通信網)を相互に接続して構築される分散型の通信ネットワークであり、この通信ネットワーク5には、10BASE−Tや100BASE−TX等によるイントラネット(企業内ネットワーク)や家庭内ネットワークなどのLANなども含まれる。
【0019】
スマートフォン1,1は、通信機能やCPUを備えた携帯可能な情報処理端末であり、各種アプリケーションソフトをインストールすることにより様々な機能が実装可能であり、本実施形態では、ペースメーカーアプリケーションをインストールして、当該スマートフォンをペースメーカー用の端末装置として機能させる。このペースメーカー用の情報処理端末としては、スマートフォンの他、例えば、ゲーム機など機能を特化させた専用装置により実現することができ、汎用的なタブレットPCやモバイルコンピューター、携帯電話機が含まれる。
【0020】
このスマートフォン1は、本実施形態ではペースメーカーシステムにおいて、アスリート2たちに対して、各アスリートのペース(速度若しくは変位)に関する情報を提示する装置として用いられ、通信機能や、情報出力機能の他、ビデオカメラ等の撮像機能も備えている。具体的に、スマートフォン1,1は、無線通信を利用して一般的な基地局等の中継点と無線で通信し、通話やデータ通信等の通信サービスを移動しつつ受けることができる。
【0021】
また、スマートフォン1は、無線基地局61との間で無線通信を行う機能と、アプリケーションを実行する情報処理機能も備えている。この携帯電話機の通信方式としては、例えば、4G、LTE、3Gなどの他、FDMA方式、TDMA方式、CDMA方式、W-CDMA等が挙げられる。スマートフォン1,1は、これらの通信方式によって無線通信接続を確立し、スマートフォン1a〜cによる通話やデータ通信を提供する。さらに、このスマートフォン1は、デジタルカメラ機能、アプリケーションソフトの実行機能、或いはGPS機能等の機能も搭載されている。
【0022】
競技場4は、競技用トラック41が設定されたグラウンドであり、本実施形態においてアスリート2は、この競技用トラック41を周回移動することで競技を行う。そして、本実施形態では、
図2に示すように、競技用トラック41の外周或いは内周に沿って複数のスマートフォン1,1が一定間隔で配置される。
【0023】
無線基地局61は、中継装置6を通じて通信ネットワーク5に接続され、スマートフォン1,1との間で無線通信接続を確立し、スマートフォン1による通話やデータ通信を提供する装置である。なお、本実施形態における無線基地局61は、通信ネットワーク5上において、各移動端末がどのセルに在圏しているのかを管理する位置情報取得部としての機能を果たす。具体的には、スマートフォン1から送信された位置情報の要求に基づいて、当該スマートフォン1の位置を特定する。この位置登録要求は、ユーザーの移動などによって在圏するセルが切り替えられた場合、スマートフォン1から、新たに在圏することになったセルを管理する無線基地局に対して送信され、この位置情報要求とともに基地局に割り当てられている基地局識別情報に基づいて、スマートフォン1が自機の位置を把握することができる。なお、この無線基地局には、Wi−fiルーターやWifiアクセスポイントなどの近距離通信の基地局も含まれる。
【0024】
中継装置6は、通信ネットワーク5に接続するためのモデムやターミナルアダプタ、ゲートウェイ装置等のノード装置であり、通信経路の選択や、データ(信号)の相互変換を行い、無線基地局61と、通信ネットワーク5との間における中継処理を行う。
【0025】
アプリケーションサーバー3は、通信ネットワーク5上に配置され、アプリケーション管理、デバイス管理、ユーザー管理、稼働状況管理、設定管理、データ収集管理などを遠隔的に実行するアプリケーションサーバーである。これらの機能により、アプリケーションサーバー3は、スマートフォン1に対して、ペースメーカーアプリケーションを配布したり、各種設定や管理における通知を行ったり、スマートフォン1からデータを収集したりする。
【0026】
(各装置の内部構造)
次いで、上述したペースメーカーシステムを構成する各装置の内部構造について説明する。
図3は、本実施形態に係るペースメーカーシステムを構成する移動端末機の内部構成を示すブロック図であり、
図4は、本実施形態に係るペースメーカーシステムを構成する無線基地局61の内部構成を示すブロック図であり、
図4は、本実施形態に係るペースメーカーシステムを構成する通信ネットワーク5の内部構成を示すブロック図であり、
図5は、本実施形態に係るアプリケーションサーバー3の内部構成を示すブロック図である。なお、説明中で用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0027】
(1)スマートフォン1
スマートフォン1は、
図3に示すように、ユーザーインターフェース系のモジュールとして入力インターフェース12と、出力インターフェース13とを備えている。入力インターフェース12は、操作ボタンやタッチパネルなどユーザー操作を入力するデバイスであり、本実施形態では、撮像手段であるカメラ12aも含まれる。一方、出力インターフェース13は、液晶ディスプレイ等の表示部13aやスピーカー13bなど、映像や音響を出力するデバイスである。特に、表示部13aには、アプリケーションにより構築されるGUI(Graphical User Interface)が表示される。
【0028】
さらに、スマートフォン1は、位置情報取得部17を備えている。位置情報取得部17は、自機の現在位置を測定するモジュールであり、例えば、衛星7からのGPS信号に基づいて、現在位置の座標を演算したり、通信インターフェース14が確立した通信相手である無線基地局61の基地局識別子や、この無線基地局61からの信号強度などの電波状況から、スマートフォン1自身で自機の位置情報を取得することが可能となっている。
【0029】
また、スマートフォン1は、通信系のモジュールとして通信インターフェース14を備えている。この通信インターフェース14は、一般公衆回線による通話やデータ通信を行うための移動通信用のプロトコルによる通信機能と、例えば無線LAN等のデータ通信用のプロトコルによる近距離通信機能とを備えている。本実施形態では、この通信インターフェース14が、アクセスポイントである無線基地局61が、自機の無線通信範囲に存在するスマートフォン1を検出し、自動的にリンクを設定して、無線LANのホットスポットを形成し、データ通信が可能となる。また、複数のスマートフォン1がアクセスポイントに対してリンクが設定されたときには、それらスマートフォン1,1同士でも相互にデータ通信が可能となる。
【0030】
なお、通信インターフェース14は、端末側認証部11a及び端末識別子取得部11bと協動して、無線基地局61と無線通信を介して接続する機能を備えており、端末側認証部11aは、自機を特定するための識別子(電話番号や、IPアドレス、ユーザーID)を端末識別子取得部11bから読み出して、接続対象となる無線基地局61に送信し、認証を行う。なお、無線基地局61との間で無線LAN接続を行う場合、データの送受信を行うためのリンクを形成するために、端末側認証部11aが、外部からの無線信号を監視し、無線基地局61を識別する識別子を検出して、接続を確立する処理を開始するようにしてもよい。
【0031】
さらに、スマートフォン1は、アプリケーション実行系のモジュールとして、制御部11と、メモリ15とを備えている。制御部11は、CPU等の演算処理装置であり、この制御部11上で各種プログラムを実行することにより、各機能モジュールを仮想的に構築される。本実施形態では、ペースメーカープログラムが実行されることによって、制御部11上に、アプリケーション実行系のモジュールとして、端末側認証部11aと、設置情報取得部16と、連携制御部11cと、提示情報設定部11eと、編集部11fとを備える。
【0032】
端末側認証部11aは、ペースメーカーシステムに参加するための認証処理の一部を実行するモジュールであり、ネットワーク上のアプリケーションサーバー3にアクセスするためのユーザー認証を実行したり、付近にいるユーザー端末(例えば、同一Wi−Fiネットワークに在圏する端末など)を検出して相互に認証する処理を実行したりする。本実施形態において、端末側認証部11aは、端末識別子取得部11bを備えている。
【0033】
端末識別子取得部11bは、端末間で相互認証する際に、通信インターフェース14を通じて、相互認証の対象となっている端末装置の装置IDを取得するモジュールである。具体的に、位置情報取得部17は、同一の通信セルや、緯度・経度に基づく所定のエリア内、同一Wi−Fiネットワーク内など、所定の領域に在圏する端末との間で、装置IDを交換するとともに、認証処理用のコードを相互に送受信して、双方の端末で確認処理が操作されることによって、相互リンクを形成するようにしてもよい。この相互リンクが形成されることにより、同一のペースメーカーシステムを構成する端末の一つとしてグループに参加することができ、複数の端末間で同期・連携が取れるように設定される。
【0034】
連携制御部11cは、アプリケーションサーバー3や、グループに参加した他のスマートフォン1との間で、それぞれの通信機能を通じてペースメーカー表示処理を連携するモジュールであり、アプリケーションサーバー3や複数の情報処理端末がそれぞれ有する通信機能を通じて連携することにより、各スマートフォン1の出力インターフェース13から出力するペース情報の内容やタイミングを制御する。本実施形態では、アプリケーションサーバー3を通じて、他のスマートフォン1との連携を実行するが、情報処理端末間で直接連携することも可能である。ここでは、アプリケーションサーバー3を通じて連携する場合を例示する。
【0035】
連携制御部11cによる出力インターフェース13は、各アスリートの時間経過に基づく理想の移動速度若しくは変位等をペース情報として、例えば、スマートフォン1のディスプレイを、輝度を高めて特定色で発光させたり、ストップウォッチの経過時間やラップタイムといった文字を大きく表示するなどによって出力させる。
【0036】
この連携制御部11cは、単数のアスリート一人のペース情報や、複数人のアスリートのペース情報を同時に出力することができる。ここでは、
図2に示すように、複数のアスリートがランニング競技に参加し、スマートフォン1,1が競技用トラック41の外周或いは内周に沿って一定間隔で配置され、これら複数のスマートフォン1,1が、それぞれのペース情報に従って、順次発光或いは表示することによって、各アスリートの移動速度や変位に関するペース情報を出力する。すなわち、アスリートが複数いる場合には、アスリート(移動体)それぞれのペースに則した速度設定が可能となっており、連携制御部11cは、複数の移動体それぞれの速度設定に応じた情報を、それぞれの移動体に対応したタイミングで出力させる。
【0037】
また、本実施形態に係る連携制御部11cは、撮像制御部11dを備えている。この撮像制御部11dは、連携制御部11cによる情報の出力タイミングに基づいて各情報処理端末のカメラ12aによる撮像を実行するモジュールである。詳述すると、本実施形態では、各カメラが備えたカメラによって、各アスリートのペースに合わせて動画や静止画を順次撮影する。各アスリートは、各自のペースで走っており、ペース通りに走れていれば、各端末がペース情報を出力する瞬間は、その端末の正面を通過していることになる。そのため、撮像制御部11dは、各アスリートのペース情報を出力するタイミング或いはその前後一定の時間幅で、動画又は静止画を撮影し、特定のアスリート毎の動画又は静止画を記録することができる。このようにして撮像された動画又は静止画は、編集部11fによって各アスリート毎に纏めて連結するなどの加工を施して、アスリート毎の動画やデータファイルを作成する。
【0038】
設置情報取得部16は、各情報処理端末が設置されているそれぞれの設置情報を取得又は設定するモジュールであり、競技トラックなど競技するコース上のどの位置にどの端末(スマートフォン1,1)を設置すべきかを算出するために必要な情報の入力を受け付け、受け付けた情報に基づいて設置すべき位置を算出したり、或いはアプリケーションサーバー3側との連携によってアプリケーションサーバー3からの指示を受け取ったりする。本実施形態に係る設置情報取得部16は、位置計測部16aを備えている。
【0039】
この位置計測部16aは、各情報処理端末それぞれの位置情報を計測するモジュールであり、設置情報取得部16はこの位置計測部16aが計測した位置情報を用いて位置情報を設定又は取得する。具体的には、位置計測部16aが計測した自機の現在位置と、他の端末の位置情報に基づいて設置情報を演算したり、アプリケーションサーバー3に問い合わせるなどして、表示すべきペース情報を生成したりアプリケーションサーバー3から受け取るなどして、必要な情報を設定又は取得し、このペース情報に基づいて連携制御部11cは、ペースサインの出力タイミングを制御する。
【0040】
提示情報設定部11eは、移動体に提示すべき速度に関する情報を設定するモジュールである。連携制御部11cは、設置情報取得部16及び提示情報設定部11eによる設定に基づいてタイミングを制御する。具体的にこの提示情報設定部11eは、移動体である各アスリートに対し提示すべき速度に関するペース情報の表示に必要な設定をユーザーに対して要求し、各アスリートを特定する名前やID、ニックネーム、アカウントなどの識別情報に、各アスリートが希望するペース、及びペースを表示するためのサイン種別(発光させる色、図形、文字列など)の値を取得し、設定情報としてメモリに記憶保持させたり、アプリケーションサーバー3側に通知したりする。
【0041】
編集部11fは、連携制御部11cによる制御履歴に応じてカメラ12aにより撮像された動画又は画像を編集するモジュールである。具体的には、
図10に示したように、例えば、5人のアスリートが参加し、それぞれが異なるペースで走行しているとき、各スマートフォンのそれぞれのカメラ1〜4は、各アスリートのペースに合わせて、動画又は静止画の撮像を行い、編集部11fは、制御履歴を取得・解析して、Pic1〜4−1,Pic1〜4−2,Pic1〜4−3,Pic1〜4−4,Pic1〜4−5というように、アスリート毎に静止画を集めて連結し、一本の動画若しくはプレイリストを作成する。
【0042】
(2)アプリケーションサーバー3
アプリケーションサーバー3は、
図4に示すように、通信系のモジュールとして、通信部302と、接続処理部301と、勤務情報通知部303とを備えるとともに、ユーザー管理系のモジュールとして制御部310を備えている。また、この制御部310には、各種データを記録する記憶部320と、現在時刻を取得する計時部304とが接続されている。
【0043】
通信部302は、パケットデータを送受信することにより各種データを通信ネットワーク5に対して送受信する通信デバイスである。本実施形態では、この通信部302は、Webページをインターネット上に配信するWebサーバー機能や電子メール受信機能を備えており、HTTPやSMTP等のプロトコルにより、ペースメーカーシステムに参加するスマートフォン1からのWebサイトへのアクセスや、スマートフォン1とのデータの送受信を実行し、これらのプロトコルを通じて、ペースメーカーシステムの構築に必要な情報を取得又は設定することができる。接続処理部301は、通信ネットワーク5を通じて、各スマートフォン1との間で無線通信を確立させるモジュールである。
【0044】
記憶部320は、ペースメーカーシステムに関する情報を蓄積するデータベースであり、本実施形態においては、ユーザーに関する情報を保持するユーザーDB320aと、全国地図や各競技施設に関する情報を保持する地図・競技場DB320bと、ペースメーカーシステムの実行履歴に関する情報を保持する実行履歴DB320cとを備えている。
【0045】
ユーザーDB320aは、本発明のコンピュータープログラムであるペースメーカーアプリケーションを利用可能なユーザー(アスリート)を登録したデータベース装置であり、ユーザー識別番号(ユーザーID)に、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、競技種目、過去の設定内容・利用履歴等を関連付けて記憶するメモリ装置である。地図・競技場DB320bは、全国地図や、全国の競技場の座標位置、形状、種別等を記述した地図情報や施設情報が格納されたデータベース装置である。実行履歴DB320cは、ペースメーカーシステムが実行された履歴情報を蓄積しておくデータベース装置であり、ペースメーカーシステムが実行された際の諸設定や位置計測結果、周囲の環境や走行実績なども記録している。
【0046】
計時部304は、随時現在時刻を取得するモジュールであり、本実施形態においては、認証処理部313において実行された認証処理について、その認証した現在時刻を制御部310に送信するなどの処理を実行する。
【0047】
制御部310は、CPUやDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ、メモリ、及びその他の電子回路等のハードウェア、或いはその機能を持ったプログラム等のソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成された演算モジュールであり、プログラムを適宜読み込んで実行することにより種々の機能モジュールを仮想的に構築し、構築された各機能モジュールによって、各部の動作制御、ユーザー操作に対する種々の処理を行っている。本実施形態において、本発明のペースメーカープログラムを実行することにより、制御部310上には、参加者登録部311と、認証処理部313と、連携制御部312とが仮想的に構築される。
【0048】
認証処理部313は、各スマートフォン1から受信されたユーザーIDなどのユーザー識別情報を取得し、このユーザー識別情報に基づいて、認証処理を実行するモジュールである。具体的に認証処理部313は、アクセス者の正当性を検証するコンピューター或いはその機能を持ったソフトウェアであり、通信ネットワーク5を通じてユーザーIDを取得し、ユーザーDB320aを照合することによって、アクセス者にその権利があるか否かや、そのアクセス者が本人であるか否かなどを確認する。そして、認証処理部313は、認証結果情報を連携制御部312へ送信する。
【0049】
参加者登録部311は、本システムによるペースメーカーサービスを受けるためのユーザー登録或いは暫定的な仮登録を受け付け、ユーザーDB320aに記録するモジュールである。ここで、参加者登録部311は、ユーザー登録の際に、ユーザーを特定するための識別子として、ユーザー識別番号であるユーザーIDを登録し、ユーザーの情報として、氏名、住所、携帯電話番号、メールアドレス、競技種目、デフォルトのペース情報等を登録する。
【0050】
連携制御部312は、通信ネットワーク5を通じて各スマートフォン1の各モジュールと連携して、各スマートフォン1から各種問い合わせや要求、ユーザーによる設定情報を受信したり、ペースメーカーサービスを提供するために必要な演算処理やデータ収集、データの入出を実行するモジュールである。また、本実施形態では、位置計測部312aと提示情報制御部312bとを備えている。
【0051】
位置計測部312aは、各スマートフォン1の現在位置を計測するモジュールであり、例えば、各端末が衛星7からのGPS信号に基づいて演算した現在位置の座標を取得したり、各端末の通信インターフェース14が確立した無線基地局61の基地局識別子や、この無線基地局61からの信号強度などの電波状況から、各スマートフォン1の位置情報を取得することが可能となっている。
【0052】
提示情報制御部312bは、各移動体がアスリートたちに対し提示すべき速度に関する情報(ペース情報)を設定したり、生成したりするモジュールであり、各端末に備えられた連携制御部11cや提示情報設定部11eの機能の一部又は全部を補助・代行するものであり、これによってユーザー端末側の処理負担を軽減したり、処理速度を向上させたりできる。
【0053】
具体的に、提示情報制御部312bは、端末側の設置情報取得部16及び提示情報設定部11eによる設定に基づいて、各端末の設置位置に関する設置情報を生成し、各端末に向けて配信する。各端末のこの設置情報を受けて、連携制御部11cは、ペース情報の出力タイミングを制御する。詳述すると、提示情報制御部312bは、各端末の提示情報設定部11eを通じて、各アスリートに対し提示すべき速度に関するペース情報の表示に必要な設定を取得し、また、各端末の設置位置の情報を収集して各端末のペース情報の出力タイミングを算出したり、取得したりして、システム全体の動作を管理する。
【0054】
(運動支援方法)
以上の構成を有するペースメーカーシステムを動作させることによって、本発明の運動支援方法によるを実施することができる。本実施形態においては、各スマートフォン1からアプリケーションサーバー3にアクセスし、アプリケーションサーバー3側で連携制御を実行する場合を例に説明する。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてもよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換及び追加が可能である。
【0055】
(1)ペースメーカーシステム構築時の処理
先ず、ペースメーカーシステムを構築する際の処理について説明する。
図5〜7は、本実施形態に係るペースメーカーシステムの動作を示すフローチャート図である。なお、アプリケーションサーバー3側では、常に待機状態にあり各スマートフォンからのアクセスが可能となっているものとする(S101)。
【0056】
各スマートフォン側では、ペースメーカーアプリケーションを起動することにより、先ず、自機の位置情報が取得され(S201)、この自機の位置情報を含む探索依頼をアプリケーションサーバー3に送信し、周辺機器の問い合わせを行う(S202)。この探索依頼を受けて、アプリケーションサーバー3側では周辺機器の探索を実行する(S202)。ここでは、当該ペースメーカーアプリケーションが実行されている端末と通信を行い、問い合わせのあった端末からの探索依頼に含まれる位置情報を参照して、所定エリア内に在圏する端末を検索する(S102)。
【0057】
所定のエリア内に近接する機器が検出されなかった場合には、要求した端末に対してエラーを表示させるなどの処理が実行される(S103における「N」)。他方、所定のエリア内に近接する機器が検出された場合には、その検出された各端末に対して、アプリケーションサーバー3側から連携要求が送信される(S105)。この連携要求を受信したスマートフォン1側では(S203)、ユーザーに対して承認処理のための操作を要求する(S204)。この承認処理では、ユーザー操作に基づいてペースメーカーシステムの参加の可否を返信する。
【0058】
このユーザー操作による承認処理を受けて、アプリケーションサーバー3側では、連携を承認した端末数をカウントして、ペースメーカーシステムを構成するために必要な端末数が集まったか否かを判断し、端末数が所定以上であればシステムが成立したとして、連携処理を開始する(S107における「Y」、S109)。一方、ステップS107において、端末数が所定以上集まらなければ、システムを成立できないとして、システム不成立の旨を伝えるメッセージを各端末に表示させるなどのエラー処理を実行する(S107における「N」、S108)。
【0059】
ステップS107で参加端末数が所定以上集まり、ペースメーカーシステムの構築が可能であると判断したときには(S107における「Y」)、アプリケーションサーバー3と各端末との間で連携処理が実行される(S109)。この連携処理では、各端末に連携情報を送信する(S205)。この連係情報には、システムに参加する各端末を特定するための各識別子、座標、ネットワーク上のアドレスなどの参加端末リストなどが含まれる。各端末は、この連携情報を用いて、参加端末リストに列記された端末との間で相互に通信が可能なように通信接続を確立させるなどの同期処理を実行する(S206)。
【0060】
この同期処理が完了した後、各端末では、提示情報を設定する(S207)。この提示情報は、移動体である各アスリートに対し提示すべき速度に関する設定情報であり、各アスリートを特定する名前やID、ニックネーム、アカウントなどの識別情報に、各アスリートが希望するペース、及びペースを表示するためのサイン種別(発光させる色、図形、文字列など)が含まれる。この提示情報は、提示情報設定部11eにおいてユーザーの任意の操作により各値を設定することができ、ここで設定された提示情報は設置情報取得部16に送出され、或いはアプリケーションサーバー3へ送信されて、設置情報の生成に供される。
【0061】
提示情報を受信したアプリケーションサーバー3側では、全ての提示情報が揃った時点で設置情報の生成を行う(S110)。この設置情報は、競技トラック等の競技コースのどの位置にどの端末を設置すべきかを指示するための情報であり、アプリケーションサーバー3側で生成され、各端末(スマートフォン1,1)に配信される(S110,S111及びS208)。
【0062】
図6は、ステップS110における設置情報生成処理の手順を示すフロー図である。サーバー側で全ての端末から提示情報が受信されると、設置情報生成プロシージャが開始され、コースタイプが選択される(S301)。コースタイプの選択は、ユーザー側の端末に問い合わせてユーザーによる入力によって行うようにしてもよいし、ステップS207において予めユーザーに設定させてもよく、また、アスリート2(スマートフォン1,1)の現在位置に基づいて競技場などの場所を特定し、データベースから競技場の種別や全長・形状等の情報を取得するようにしてもよい。さらには、
図11に示すように、アスリート2の現在位置周辺の地図をスマートフォン1側に提示し、地図上に走行コースをなぞらせてるなどの手書き入力により入力させ、その形状をコースタイプとして取得するようにしてもよい。
【0063】
これと併せてペースメーカーシステム構築に参加する端末数を取得する(S302)。この端末数の取得は、受信された提示情報のデータ数をカウントすることにより行われる。次いで、地図情報が参照され(S303)、ステップS301で選択されたコースの形状又は経路、全長を読み出す。なお、このとき、ステップS301におけるコースタイプの選択で、既に地図情報や競技場情報が読み出されている場合には、このステップS303を省略することができる。
【0064】
本実施形態では、参加端末のうち代表となる端末を基準端末として選定する(S304)。この基準端末は、各端末の設置座標位置を算出する際に、基準となある座標が設定される端末であり、例えばステップS202の問い合わせを最初に行った端末としたり、コースのスタート地点に一番近い位置に存在する端末としたり、ユーザーが任意に選択したり等、種々の方式で選定することができる。そして、選定された基準端末を原点とした座標上にコースの形状・全長に合わせて各端末を配置する座標位置を算出する(S305)。この各端末の配置は、コースの全長を端末数で除して端末間の距離を算出し、端末間が等間隔となるように、各端末の座標位置を設定する。
【0065】
ただし、ステップS305において、既に設置済みの端末や地形環境の影響により端末の設置が難しいような場合には、端末側から自機の座標位置を含む修正要求を送信することができ、この修正要求があった場合には、端末側から送られた座標位置を優先的に決定し、その区間は等間隔とならなくてもよいように、その他の端末の座標位置を決定する。このようにして決定された各端末の座標位置のリストを設置情報として生成する(S306)。このようにして生成された設置情報は、各端末に送信され(S111及びS208)、設置情報の提示処理(S209)に供される。
【0066】
ステップS209の設置情報提示処理は、
図7に示すように、各端末において受信された設置情報を解析し(S401)、自機の現在位置を参照し(S402)、自機の現在位置が位置情報で指示する座標位置と一致するかどうかの比較を行う(S403)。ステップS403において自機の現在位置が設置情報で指示する座標位置と一致している場合には(S403における「Y」)、設置が完了した旨をユーザー、他の端末及びアプリケーションサーバー3に報知する(S404)。一方、ステップS403で自機の現在位置が設置情報で指示する座標位置と一致していない場合には(S403における「N」)、現在位置と指定する座標位置とのズレをディスプレイに表示し、ユーザーに対して位置の補正の可否を問い合わせる。
【0067】
この設置位置の補正は、端末本体を移動させて、設置情報で指示された座標位置に一致させる作業であり、端末位置の補正ができる場合、或いはユーザーが補正を希望する場合(S405における「Y」)には補正指示を表示させて(S407)、ユーザーによる端末の移動を促す。他方、ステップS405において、周囲の条件によって端末位置の補正ができない場合、或いはユーザーが補正を希望しない場合(S405における「N」)には、端末側からサーバー側に対して自機に割り振られた設置情報の修正を要求する(S406)。この修正要求を送信した場合には、設置情報提示のプロシージャを一旦終了し、アプリケーションサーバー3側から新しい設置情報が受信されることによって(S208)、再度設置情報提示処理が実行される(S209)。
【0068】
この端末側からサーバー側へ送信された修正要求は、
図5に示すステップS110の設置情報生成処理に供され、
図6に示すステップS305及びS306を再度実行し、修正要求に関わる端末の座標位置を算出して設置情報を生成し、修正に関わる端末に対して設置情報が再送される(S111及びS209)。
【0069】
そして、設置情報で指示された座標位置に、自機の現在位置が一致した時点で(ステップS403における「Y」)、設置完了がアプリケーションサーバー3及び他のユーザー端末に放置される(S404)。その後、全てのユーザー端末から設置完了が受信されることにより、ペースメーカー表示処理(S112)の実行が可能となる。
【0070】
(2)ペースメーカーシステム動作時の処理
以上説明したように構築されたペースメーカーシステムによって、各アスリートに対して速度に関する情報を提示する運動支援を行う場合の処理について説明する。基本的には、各スマートフォン1,1がそれぞれ有する通信機能を通じて送受信された提示情報及び設置情報に基づいて、各アスリートのそれぞれのペースに応じたペースサイン(ペース情報)の出力タイミングを制御する。
【0071】
このペース情報は、競技コースに沿って所定間隔をもって配置されたスマートフォン1,1に、アスリートのランニングスピードに合わせて、順次発行させたり、メッセージや音響を出力させる。例えば、
図8に示すように、アスリート2が時速18km(秒速5m)のペースで走りたいと設定した場合に、各スマートフォンが100mおきに配置されているとき、各端末は20秒毎にそのペースサインの表示をリレーするように順次点滅させる。これにより、アスリート2が時刻t
0にスタート地点を出発したとき、スタート地点に設定されたスマートフォン1がサインを出力する。その20秒後の時刻t
1に次のスマートフォン1がサインを表示させ、さらにその20秒後の時刻t
2に次のアスリート2がサインを表示させるというように、順次コースに沿ってサインの表示を移動させる。アスリート2は、そのサインの移動速度に合わせて走ることで、一定のペースを保つことができる。
【0072】
また、例えば、
図9に示すように、ペースが異なるアスリート2a,2bがいるような場合には、アスリート2bが時速18km(秒速5m)のペースで走りたいと設定し、アスリート2aが時速約20km(秒速約5.5m)のペースで走りたいと設定した場合に、各スマートフォンが100mおきに配置されているとき、各端末はアスリート2bに対しては20秒毎に、アスリート2aが約18秒毎に、それらのペースサインの表示をリレーするように順次点滅させる。これにより、アスリート2a及び2bが時刻t
0にスタート地点を出発したとき、スタート地点に設定されたスマートフォン1がサインが出力され(この場合は、2人の走者が重なっているためいずれかのサインのみが出力される。)。
【0073】
そして、スタート後の約18秒後にアスリート2aのためのサインが時刻t
1aにスマートフォン1により表示され、その2秒後、すなわちスタート時刻から20秒後の時刻t
1bに次のスマートフォン1がサインを表示させるというように、順次コースに沿って各アスリートに対する各種サインの表示をそれぞれのペース(速度)で移動させる。各アスリート2a及び2bは、各々のサインの移動速度に合わせて走ることで、一定のペースを保つことができる。
【0074】
(3)撮影編集処理時の動作
次に、各スマートフォンに備えられたカメラを用いて、各アスリートのランニングフォームを動画や静止画で撮影し、それらの動画・静止画を編集することによってアスリート毎の連続写真、若しくは連続動画を作成する処理の動作について説明する。
図10は、撮影編集処理の動作に関する説明図である。
【0075】
基本的には、各スマートフォンは、それぞれ撮像手段としてのカメラ12aを備えており、各アスリートに対してペース情報を出力するタイミングで、その出力を行うスマートフォンで撮像し、編集部11fによって、競技の終了後に、連携制御部11cによる制御履歴に応じて各動画・静止画を編集する。
【0076】
図10に示したように、例えば、5人のアスリートが参加し、それぞれが異なるペースで走行しているとき、各スマートフォンのそれぞれのカメラ1〜4は、各アスリートのペースに合わせてサインを発光させるなどの出力を実行する。この出力のタイミングに合わせて、動画又は静止画の撮像を行う。動画の場合は、サインの出力タイミングの前後数秒間を撮影する。この撮影動作は制御履歴として記録される。図示の例では、5人のアスリートのそれぞれペースに併せて各カメラ1〜4が、静止画Pic1−1〜5,Pic2−1〜5,Pic3−1〜5,Pic4−1〜5を撮像する。その後、編集部11fによって制御履歴を取得・解析して、Pic1〜4−1,Pic1〜4−2,Pic1〜4−3,Pic1〜4−4,Pic1〜4−5というように、アスリート毎に静止画を集めて連結し、一本の動画若しくはプレイリストを作成する。
【0077】
(変更例)
なお、以上説明した実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態では、アプリケーションサーバー3を設置し、各種処理をアプリケーションサーバー3で行い、アプリケーションサーバー3を介して各端末を連携させるようにしてが、本発明はこれに限定されるものではなく、アプリケーションサーバー3を省略して端末同士で情報を連携させ、端末のみでペースメーカーシステムを構築するようにしてもよい。具体的には、
図12及び
図13に示すように、ユーザー端末であるスマートフォン1,1間で直接連携させてシステムを動作させる。この場合も、ペースメーカー表示処理の実行自体は上述した実施形態と同様であるが、各端末の設置時の処理及び操作が異なる。ここでは、ユーザー端末のみでペースメーカーシステムを構築する際の処理について説明する。
【0078】
各スマートフォン1では、ペースメーカーアプリケーションを起動することにより、先ず、自機の位置情報が取得され(S501,S601)、この自機の位置情報を含む参加問い合わせを周辺の端末に対して配信し(S502,S602)。この周辺機器の探索は、各端末における開始操作後一定時間継続され、その間に近隣で参加問い合わせが送出されている端末を探索する。例えば、ここでは、当該ペースメーカーアプリケーションが実行されている近隣の端末、例えば同一Wi−Fiネットワーク内の端末と通信を行い、問い合わせのあった端末からの位置情報を相互に参照して、所定エリア内に在圏する端末を検出する。
【0079】
近接するエリア内に近接する機器が検出されなかった場合には、ユーザーに対してエラーを表示させるなどの処理が実行される(S504,S604における「N」)。他方、所定のエリア内に近接する機器が検出された場合には、その検出された各端末に対して、主動端末側から他のユーザー端末に対して連携要求が送信される(S505)。この連携要求を送信する主動端末についてであるが、いずれの端末を主とするかは種々の方式が挙げられる。例えば、ステップS502,S602で、一番はじめに周辺域の探索を開始した端末をその後のセッションについて主動端末としてもよく、また、予めユーザー間で主動端末を選定しておくようにしてもよく、さらには例えば既知の競技場内であるときには、スタート地点の最も近い場所にいる端末を主動端末としてもよい。
【0080】
そして、主動端末(ここではスマートフォン1)から連携要求を受信したスマートフォン1b側では(S605)、ユーザーに対して承認処理のための操作を要求する(S606)。この承認処理では、ユーザー操作に基づいてペースメーカーシステムの参加の可否を返信する。
【0081】
このユーザー操作による承認処理を受けて、主動端末1a側では、連携を承認した端末数をカウントして、ペースメーカーシステムを構成するために必要な端末数が集まったか否かを判断し、端末数が所定以上であればシステムが成立したとして、連携処理を開始する(S507における「Y」、S509)。一方、ステップS507において、端末数が所定以上集まらなければ、システムを成立できないとして、システム不成立の旨を伝えるメッセージを各端末に表示させるなどのエラー処理を実行する(S507における「N」、S508)。
【0082】
ステップS507で参加端末数が所定以上集まり、ペースメーカーシステムの構築が可能であると判断したときには(S507における「Y」)、主動端末1aと各端末との間で連携処理が実行される(S509)。この連携処理では、各端末に連携情報を送信する(S607)。この連係情報には、システムに参加する各端末を特定するための各識別子、座標、ネットワーク上のアドレスなどの参加端末リストなどが含まれる。各端末は、この連携情報を用いて、参加端末リストに列記された端末との間で相互に通信が可能なように通信接続を確立させるなどの同期処理を実行する(S608)。
【0083】
この同期処理が完了した後、各端末では、提示情報を設定する(S609)。この提示情報は、移動体である各アスリートに対し提示すべき速度に関する設定情報であり、各アスリートを特定する名前やID、ニックネーム、アカウントなどの識別情報に、各アスリートが希望するペース、及びペースを表示するためのサイン種別(発光させる色、図形、文字列など)が含まれる。この提示情報は、提示情報設定部11eにおいてユーザーの任意の操作により各値を設定することができ、ここで設定された提示情報は設置情報取得部16に送出され、或いは主動端末1aへ送信されて、設置情報の生成に供される。
【0084】
提示情報を受信した主動端末1a側では、全ての提示情報が揃った時点で設置情報の生成を行う(S510)。この設置情報は、競技トラック等の競技コースのどの位置にどの端末を設置すべきかを指示するための情報であり、主動端末1a側で生成され、他の端末(スマートフォン1,1)に配信される(S511及びS610)。この設置情報の生成処理は、
図6に示したものと同様である。すなわち、主動端末1a側で全ての端末から提示情報が受信されると、設置情報生成プロシージャが開始され、コースタイプが選択される(S301)。
【0085】
このコースタイプの選択は、主動端末若しくはその他のユーザー端末を通じて、ユーザーに問い合わせてユーザーに入力させることによって行うようにしてもよいし、ステップS609において予めユーザーに設定させてもよく、また、アスリート2(スマートフォン1,1)の現在位置に基づいて競技場などの場所を特定し、データベースから競技場の種別や全長・形状等の情報を取得するようにしてもよい。さらには、
図11に示すように、アスリート2の現在位置周辺の地図をスマートフォン1側に提示し、地図上に走行コースをなぞらせるなどの手書き操作により入力させ、その形状をコースタイプとして取得するようにしてもよい。
【0086】
これと併せてペースメーカーシステム構築に参加する端末数を取得する(S302)。この端末数の取得は、受信された提示情報のデータ数をカウントすることにより行われる。次いで、地図情報が参照され(S303)、ステップS301で選択されたコースの形状又は経路、全長を読み出す。なお、このとき、ステップS301におけるコースタイプの選択で、既に地図情報や競技場情報が読み出されている場合には、このステップS303を省略することができる。
【0087】
本実施形態では、参加端末のうち代表となる端末を基準端末として選定する(S304)。この基準端末は、各端末の設置座標位置を算出する際に、基準となある座標が設定される端末であり、例えば既に主動端末として稼働している端末としたり、コースのスタート地点に一番近い位置に存在する端末としたり、ユーザーが任意に選択したり等、種々の方式で選定することができる。そして、選定された基準端末を原点とした座標上にコースの形状・全長に合わせて各端末を配置する座標位置を算出する(S305)。この各端末の配置は、コースの全長を端末数で除して端末間の距離を算出し、端末間が等間隔となるように、各端末の座標位置を設定する。
【0088】
ただし、ステップS305において、既に設置済みの端末や地形環境の影響により端末の設置が難しいような場合には、端末側から自機の座標位置を含む修正要求を送信することができ、この修正要求があった場合には、端末側から送られた座標位置を優先的に決定し、その区間は等間隔とならなくてもよいように、その他の端末の座標位置を決定する。このようにして決定された各端末の座標位置のリストを設置情報として生成する(S306)。このようにして生成された設置情報は、他の端末に送信され(S511及びS610)、設置情報の提示処理(S512及びS611)に供される。
【0089】
ステップS512及びS611の設置情報提示処理は、本変更例では、各端末が自機に備えられた位置情報取得機能により独自の判断で各機独立して行うことができる。詳述すると、
図13に示すように、各端末において受信された設置情報を解析し(S701)、自機の現在位置を参照し(S702)、自機の現在位置が位置情報で指示する座標位置と一致するかどうかの比較を行う(S703)。ステップS703において自機の現在位置が設置情報で指示する座標位置と一致している場合には(S703における「Y」)、設置が完了した旨をユーザー、他の端末及び主動端末1aに報知する(S704)。
【0090】
一方、ステップS703で自機の現在位置が設置情報で指示する座標位置と一致していない場合には(S703における「N」)、現在位置と指定する座標位置とのズレをディスプレイに表示し、ユーザーに対して位置の補正の可否を問い合わせる。この設置位置の補正は、端末本体を移動させて、設置情報で指示された座標位置に一致させる作業である。
【0091】
そして、設置情報で指示された座標位置に、自機の現在位置が一致した時点で(ステップS703における「Y」)、設置完了がアプリケーションサーバー3及び他のユーザー端末に放置される(S404)。その後、
図12に示すように、全てのユーザー端末から設置完了が受信されることにより、ペースメーカー表示処理(S513)の実行が可能となる。
【0092】
(作用・効果)
このような本実施形態によれば、スマートフォンなどの簡便な機材を用いてペースメーカーシステムを構成できるため、安価に構築できる上、設置場所や適用競技の自由度が高く、気軽に利用することができる。なお、本発明は、上記した各実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。