【解決手段】本発明のプラズマを用いた処理装置10は、原料にプラズマを照射する処理室11と、プラズマ中に原料を浮遊状態で供給する原料供給部12と、プラズマ化して原料に反応させる反応性ガスを供給するガス供給部13と、プラズマを生成させるためのマイクロ波を供給するマイクロ波供給部14と、処理室11に導入するマイクロ波を通す誘電体の窓15と、を備え、マイクロ波供給部14は、少なくとも窓15を通して処理室11内に供給されるマイクロ波のマイクロ波電力のピーク値が2.0キロワット以上となるマイクロ波を発生する。
前記原料供給部は、前記処理室の上側に設けられ、固体状の前記原料を前記プラズマ中に浮遊状態で供給するように投下する原料投入部を備えることを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
前記処理装置は、前記原料と前記プラズマとの反応生成物が落下する位置に配置可能に設けられ、落下した前記反応生成物を回収する回収部を備えることを特徴とする請求項4に記載の処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。
なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0019】
(第1実施形態)
図1は本発明に係る第1実施形態のプラズマを用いた処理装置10の断面図である。
図1に示すように、処理装置10は、原料にプラズマを照射する処理室11と、プラズマ中に原料を浮遊状態で供給する原料供給部12と、プラズマ化して原料に反応させる反応性ガスを供給するガス供給部13と、プラズマを生成させるためのマイクロ波を供給するマイクロ波供給部14と、処理室11に導入するマイクロ波を通す誘電体(例えば、石英やセラミック等)の窓15と、を備えている。
【0020】
なお、本実施形態では、処理室11の上側に複数(具体的には2個)の窓15を設け、それぞれの窓15に対応して複数(具体的には2個)のマイクロ波供給部14を設けるようにしているが、必ずしも、窓15及びマイクロ波供給部14を複数設けなければならないわけではない。
【0021】
また、処理装置10は、窓15に対面する下側の位置に配置可能に設けられ、後ほど説明する原料とプラズマとの反応生成物を付着させて回収する回収部16と、処理室11内に配置された回収部16の少なくとも窓15に対面する表面SFの部分の温度を450度以上800度以下の温度に保つことができる温度制御部17と、を備えている。
なお、本実施形態では、回収部16が450度以上800度以下の温度になるため、回収部16に厚さ10mm以内のステンレスの板を用いている。
【0022】
さらに、処理装置10は、処理室11の一方側(図左側)の隣に設けられ、回収部16をセットする前室18と、前室18と処理室11の間に設けられ、前室18と処理室11の間を仕切る一方側ゲート19と、処理室11の他方側(図右側)の隣に設けられ、回収部16を取出す後室20と、後室20と処理室11の間に設けられ、後室20と処理室11の間を仕切る他方側ゲート21と、処理室11を経由して前室18にセットされた回収部16を後室20まで搬送する搬送部22と、を備えている。
【0023】
なお、処理装置10は、前室18の処理室11の反対側となる位置に設けられ、前室18に回収部16を配置する作業の時に開閉される前室扉23と、後室20の処理室11の反対側となる位置に設けられ、後室20から後述するように反応生成物が付着した回収部16を取出す時に開閉される後室扉24と、を備えている。
【0024】
そして、処理室11と前室18との間、及び、処理室11と後室20との間が、一方側ゲート19及び他方側ゲート21によって、仕切られているときには、処理室11が密閉空間となる。
【0025】
また、処理室11と前室18との間が一方側ゲート19で仕切られるとともに、前室扉23が閉じているときには、前室18が密閉空間となる。
同様に、処理室11と後室20との間が他方側ゲート21で仕切られるとともに、後室扉24が閉じられているときには、後室20が密閉空間となる。
【0026】
そして、処理装置10は、前室18、処理室11、及び、後室20のそれぞれに設けられた排気管25と、排気管25上に設けられた真空ポンプPと、真空ポンプPよりも下流側に設けられ、それぞれの排気管25が接続される集合排気管25Aと、を備えている。
【0027】
また、処理装置10は、例えば、前室18、処理室11、及び、後室20の内圧を大気圧にするときに、窒素ガスや希ガス(例えば、HeやAr等)のように活性の低いガス(以下、パージガスともいう)を前室18、処理室11、及び、後室20に供給するために、前室18、処理室11、及び、後室20のそれぞれに接続されたパージガス供給部(図示せず)を備えている。
【0028】
したがって、前室18、処理室11、及び、後室20は、真空ポンプPによる排気及びパージガス供給部によるパージガスの供給によって、個別に内圧を調整(大気圧からほぼ真空までの調整)が可能になっている。
【0029】
次に、原料として無水の塩化マグネシウムを用いて、反応生成物としての水素化マグネシウムを含む水素発生材料を製造する場合を例に取りながら、処理装置10についてのより詳細な説明を行う。
【0030】
まず、前室扉23を開けて、前室18内に設けられた搬送部22上に回収部16をセット(配置)し、前室扉23を閉める。
【0031】
そして、処理装置10は、前室18の側面側に設けられたヒータ18Aを備えており、そのヒータ18Aで、回収部16を、例えば、400度前後に加熱して回収部16の表面から数百マイクロメータの範囲に吸着(浸潤)している微量な水分を蒸発させる処理を行う。
【0032】
なお、この蒸発させた水分は、後述する前室18の減圧時に排気されることになり、回収部16を処理室11に搬送するときに、処理室11内に水分が混入するのを防止できる。
このため、処理室11内での還元反応が水分の影響で阻害されないようにできる。
【0033】
そして、それぞれの真空ポンプPを駆動して、所定の圧力まで前室18、処理室11、及び、後室20の圧力を減圧する。
例えば、所定の圧力は、処理室11で原料である無水の塩化マグネシウムにプラズマを照射する時に求められる圧力である。
【0034】
具体的には、反応性の高い高密度なプラズマを生成するためには、処理室11内の圧力が低い方が有利であり、所定の圧力は、10分の1気圧以下が好ましく、100分の1気圧以下がより好ましく、1000分の1気圧以下が更に好ましく、本実施形態では、所定の圧力を10000分の1気圧程度である約10Paにしている。
【0035】
しかしながら、反応性は、処理室11内に存在する、後述の反応性ガスの分圧によっても変わり、分圧という視点で見れば、処理室11内の圧力が高い方が処理室11内に存在する反応性ガスの濃度を高くすることができ、有利な面がある。
【0036】
このことから、所定の圧力としては、10KPaから10Paの範囲で選択されることが好ましい。
【0037】
そして、前室18、処理室11、及び、後室20の圧力が所定の圧力になったら、一方側ゲート19を開いて、搬送部22を駆動させて前室18にセットされた回収部16を処理室11に搬送し、一方側ゲート19を閉じる。
【0038】
なお、本実施形態では、搬送部22は、矢印で示すように、時計回りに回転することで回収部16を前室18側から後室20まで搬送可能に、前室18、処理室11、及び、後室20の下側に適切な間隔を保つように設けられた複数の搬送ローラで構成しているが、これに限らず、回収部16を前室18側から後室20まで搬送することができるものであればよい。
【0039】
このように、回収部16が処理室11内に搬送されると、次にプラズマを点燈させた後、そのプラズマ中に原料である無水の塩化マグネシウムを供給する。
【0040】
具体的に、装置構成を含めて説明すると、まず、ガス供給部13は、反応性ガスである水素ガスを貯蔵しているガスボンベ又はガスタンクと処理室11の間を繋ぐガス配管と、そのガス配管上に設けられ、処理室11に供給する反応性ガスの流量を制御する流量制御器(例えば、マスフローコントローラ)と、を備えており、ガス供給部13が所定の供給量で処理室11に反応性ガスの供給を開始する。
【0041】
なお、
図1では、図示を省略しているが、処理装置10は、処理室11に希ガス(例えば、HeやAr等)を供給する希ガス供給部も備えており、プラズマ点燈開始時には、希ガスが含まれている方が点燈しやすいため、処理室11内には、希ガス供給部から希ガスも供給するようにしている。
【0042】
ただし、一旦、プラズマが点燈すれば、希ガスの供給を止めてもプラズマの点燈を維持する上では問題がないため、プラズマが点燈すると処理室11への希ガスの供給を停止するようにしている。
【0043】
なお、先に説明したパージガス供給部が希ガスを供給するものである場合には、パージガス供給部を希ガス供給部として利用してもよい。
【0044】
そして、処理室11内に、プラズマ化する反応性ガス(本例では、水素ガス)の供給が開始されると、マイクロ波供給部14を駆動させてプラズマの点燈を行う。
【0045】
具体的には、マイクロ波供給部14は、マイクロ波発生部14Aと、マイクロ波発生部14Aで発生したマイクロ波を窓15まで導波させる導波部14Bと、を備えている。
【0046】
そして、マイクロ波発生部14Aは、マイクロ波発生器(例えば、マグネトロン)と、マイクロ波発生器にマイクロ波を発生させるための電力を供給する電源装置と、を備えており、その電源装置から電力がマイクロ波発生器に供給されると、マイクロ波発生器でマイクロ波が発生し、その発生したマイクロ波は導波部14Bによって窓15のところまでガイドされ、窓15を通じて処理室11内に導入される。
そうすると、処理室11内に反応性ガスである水素ガスのプラズマが点燈する。
【0047】
なお、本実施形態のプラズマは、マイクロ波表面波プラズマであり、マイクロ波表面波プラズマ(本例では、マイクロ波表面波水素プラズマ)は、電子密度が高いので窓15を通じて照射されたマイクロ波はマイクロ波表面波プラズマの表面で反射されて内部には入らないがマイクロ波表面波プラズマの表面に沿う形で伝搬される。
【0048】
また、マイクロ波表面波プラズマは、他のプラズマ(例えば、高周波プラズマや直流放電プラズマ等)と比較すれば、電子温度が低く(例えば、1eV程度)、他のプラズマのように、高い電子温度(例えば、10eV以上)とするためにエネルギーが消費されるプラズマと異なり、エネルギーロスが少ないという利点があるとともに、例えば、0.5m
2以上の大面積の範囲に生成することができる。
【0049】
さらに、処理室11内に入射させるマイクロ波は、窓15を通して伝搬するが、表面波として吸収されるため、処理室11内には、マイクロ波(電磁波)が存在せず、処理室11内の構成自由度が高い。
【0050】
そして、マイクロ波表面波プラズマは、プラズマ中のイオンや分子の温度が熱プラズマと呼ばれるものに比べ大幅に低い(ほぼ常温)という特徴があり、先行技術文献で用いられている熱プラズマに比べ圧倒的に低い温度のプロセスを実現することができる。
【0051】
一方、本実施形態のように、原料である無水の塩化マグネシウムと反応性ガスである水素ガスのプラズマを反応させて反応生成物としての水素化マグネシウムを含む水素発生材料を生成する場合、水素発生材料中の水素化マグネシウムの含有率を高くするのには、高いプラズマ密度のプラズマを用いることが重要である。
なお、反応性ガスとは反応生成物を構成する原子を含むガスであり、したがって、希ガスは反応性ガスにはならない。
【0052】
そこで、本実施形態では、マイクロ波供給部14に、少なくとも窓15を通して処理室11内に供給されるマイクロ波のマイクロ波電力のピーク値が2.0キロワット以上となるマイクロ波を発生するものを用いている。
なお、2.0キロワット未満のマイクロ波電力のマイクロ波でプラズマを生成していた時も水素化マグネシウムの生成反応は見られていたが、2.0キロワット以上になっていることで圧倒的に水素化マグネシウムの含有率の高い水素発生材料が得られる状態となった。
【0053】
具体的には、電源装置に平均使用電力の最大値が1.5キロワットのパルス型の電源装置を用いており、瞬間的にはマイクロ波発生器(例えば、マグネトロン)に6.0キロワット程度の電力が供給され、マイクロ波電力の最大値が6.0キロワット程度のパルス型のマイクロ波電力を有するマイクロ波が発生するものとしている。
【0054】
なお、マイクロ波電力の最小値は0キロワットであり、マイクロ波電力の最大値間の時間周期が30マイクロ秒である。
このようにマイクロ波電力の最小値が0キロワットになる瞬間があっても、プラズマ密度が、プラズマの消える密度に至る前に点燈を維持することができるだけのマイクロ波電力を有するマイクロ波が供給されていれば、プラズマの点燈を維持することが可能であり、しかも、マイクロ波電力の最大値間の時間周期が短ければ、マイクロ波電力の最大値に対応したプラズマ密度を維持することができる。
【0055】
このため、平均的なマイクロ波電力を抑えつつ、高いプラズマ密度のプラズマの点燈を維持することが可能であり、このことは、マイクロ波を発生させるために使用される平均的な電力を抑えられることを意味する。
【0056】
ただし、電源装置にパルス型の電源装置を用いることが必須ではなく、例えば、供給電力の設定値として2.0キロワット以上の設定が行える直流型の電源装置を用いるようにしてもよい。
【0057】
なお、本実施形態のように、窓15を通して処理室11内に供給されるマイクロ波のマイクロ波電力のピーク値が2.0キロワット以上にするためには、窓15に至るまでの反射減衰を見込んで、直流型の電源装置の場合、2.5キロワット以上の設定が行えるものを選ぶのが好ましい。
【0058】
また、プラズマ密度を高くする点からすれば、マイクロ波供給部14には、少なくとも窓15を通して処理室11内に供給されるマイクロ波のマイクロ波電力のピーク値が3.0キロワット以上となるマイクロ波を発生するものを用いるのがよく、4.0キロワット以上となるマイクロ波を発生するものを用いるのが更によい。
【0059】
一方、導波部14Bの設計にもよるが、窓15から導入するマイクロ波のマイクロ波電力のピーク値を大きくするために、マイクロ波電力のピーク値を高くしすぎると、導波部14B内で放電が発生するという問題があるため、マイクロ波供給部14には、発生させるマイクロ波のマイクロ波電力のピーク値が24キロワット以下、更には、15キロワット以下のマイクロ波を発生するものを用いるのが好ましい。
【0060】
そして、処理室11内に反応性ガスである水素ガスのプラズマが点燈すると、そのプラズマ中に原料である無水の塩化マグネシウムを浮遊状態で供給する。
【0061】
具体的には、原料供給部12は、処理室11の上側の外に配置され、貯蔵した原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)を気体の状態に加熱する加熱部12Aと、気体の状態を保つように加熱され、処理室11に原料を導く原料供給路12Bと、を備えており、気体の状態で処理室11に供給することで、原料である無水の塩化マグネシウムが浮遊状態でプラズマ中に供給される。
【0062】
なお、図示は省略しているが、加熱部12A及び原料供給路12Bは、原料である無水の塩化マグネシウムが気体となる温度、例えば、処理室11が約10Paであれば、650度以上(具体的には、700度)に加熱できるヒータ構造(例えば、通電加熱構造等)を備えている。
【0063】
また、原料供給部12は、加熱部12Aの上部に設けられ、加熱部12Aに原料を投入する時に開閉される上蓋12AAを備えている。
【0064】
そして、原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)と反応性ガスのプラズマ(本例では、マイクロ波表面波水素プラズマ)との反応生成物である水素化マグネシウムが回収部16の窓15に対面する表面SFの部分に付着する。
【0065】
なお、回収部16に水素化マグネシウムだけが付着するのが望ましいが、一部、未反応の原料(無水の塩化マグネシウム)等も付着するため、反応生成物としての水素化マグネシウムを含む水素発生材料が付着することになる。
【0066】
ところで、回収部16の窓15に対面する表面SFの部分の温度を所定の温度にすることで、その表面SFに付着する水素発生材料中の水素化マグネシウムの含有率を高くできることがわかり、そのため先に触れたように、本実施形態では、処理装置10が、処理室11内に配置された回収部16の少なくとも窓15に対面する表面SFの部分の温度を450度以上800度以下の温度に保つことができる温度制御部17を備えるものとしている。
【0067】
具体的には、温度制御部17は、処理室11の側面側に設けられたヒータ17Aと、回収部16に近接するように処理室11の底面側に設けられた温調部17Bと、を備えている。
【0068】
なお、温調部17Bは、回収部16よりも下側に位置し、処理室11内にリークしないように所定の温度に保たれた温調媒体(例えば、水)を循環させる循環路と、その循環路の途中(例えば、処理室11の外側に位置する循環路の部分)に設けられ、温調媒体の温度を制御する温調器(図示せず)と、循環路内の温調媒体を循環させるためのポンプ(図示せず)と、を備えている。
【0069】
そして、温度制御部17のヒータ17Aは、処理室11内の温度を原料である無水の塩化マグネシウムが気体の状態を保つ機能も兼ねたものになっており、そのヒータ17Aによって加熱された回収部16を温調部17Bで、例えば、冷却することで回収部16の少なくとも窓15に対面する表面SFの部分の温度を450度以上800度以下の温度に保てるようにしている。
【0070】
例えば、水素化マグネシウムは、圧力が約10Paの条件のときに、約100度以上の温度になると、金属マグネシウムと水素に分解しはじめるため、本来は、回収部16の表面SFの温度は100度未満が望ましいと考えられる。
【0071】
確かに、100度未満の低温に保つようにすると、単位時間当たりの付着量が増加するとともに、水素の発生率の高い水素発生材料が得られる傾向が見られた。
【0072】
しかしながら、表面SFを低温に保つことでは、付着した水素発生材料を水素化マグネシウムの本来の色である白色の状態にすることができず、金属マグネシウム等を含む状態から脱することができなかった。
【0073】
そして、実験を繰り返しているときに、表面SFの温度が比較的高い温度になったときがあり、そのときに表面SFに付着した水素発生材料が白色で、これまでになく、水との反応で激しく発砲するものになっていることを発見した。
なお、水素発生量については、発砲状態だけでなく、水素検知管での測定も行っている。
【0074】
そこで、表面SFの温度を高温とした実験を進めた結果、表面SFが400度以上800度以下の温度に保たれているときに、白色で水と激しく反応する、水素化マグネシウムの含有率の高い水素発生材料が得られることがわかった。
【0075】
なお、より好ましくは、450度以上750度以下で、より白色で水と激しく反応する水素発生材料が得られ、更には、450度以上600度以下で、更に白色で水と激しく反応する水素発生材料が得られることを見出した。
【0076】
このような現象は、先に説明した水素化マグネシウムの分解しはじめる温度を念頭に平衡状態を考えた時には理解できない現象であるが、上述のように、マイクロ波電力の高いマイクロ波で高いプラズマ密度のプラズマを発生させている場合、反応性の高い水素が多く存在し、水素化マグネシウムが分解される速度よりも早く、水素化マグネシウムになる反応が進んでいるのではないかと推察している。
【0077】
より正確には、水素化マグネシウムが消失する過程は、まず、金属マグネシウムと水素に分解する反応が起きて、その後、金属マグネシウムが気体になるのではと考えており、上述のように、反応性の高い水素が多く存在することで、はじめの金属マグネシウムと水素に分解する過程が阻害される結果、上述のような高温でも水素化マグネシウムが表面SF上に存在し続けることができているのではないかと推察している。
【0078】
なお、窓15からの距離が離れるとプラズマ密度が低下するため、回収部16は、回収部16の表面SFと窓15の間の最短距離が少なくとも30cm以内に位置するように、処理室11内に配置可能になっていることが好ましく、25cm以内に位置するように処理室11内に配置可能になっていることがより好ましく、20cm以内に位置するように処理室11内に配置可能になっていることが更に好ましい。
【0079】
しかも、圧力約10Paの状態で、400℃以上になると金属マグネシウムが気体の状態になりはじめると考えられるため、水素発生材料中の不純物としての金属マグネシウムの割合が減少し、又は、水素化マグネシウムに変化し、更に、表面SFに無水の塩化マグネシウムを付着させた後に、プラズマを照射するようにした場合でも、少しずつ水素化マグネシウムが生成されると考えられる実験結果も得られていることから、表面SFに付着した無水の塩化マグネシウムも水素化マグネシウムとなり、水素発生材料中の不純物としての無水の塩化マグネシウムも減少し、結果として、水素化マグネシウムを多く含む水素発生材料が得られるのではないかと推察している。
【0080】
したがって、高濃度に水素化マグネシウムを含む水素発生材料を得るためには、本実施形態のように、処理装置10が、処理室11内に配置された回収部16の少なくとも窓15に対面する表面SFの部分の温度を450度以上800度以下の温度に保つことができる温度制御部17を備えるものとすることが好ましい。
【0081】
なお、このようにして回収部16に水素発生材料を付着させている間に、前室18にはパージガス供給部からパージガスが供給され、大気圧になったところで前室扉23を開けて、次の回収部16がセットされ、先ほどと同様に、前室扉23を閉じて回収部16の加熱を行いながら真空ポンプPで処理室11内の圧力とほぼ同じ圧力にする処理が行われる。
【0082】
そして、ある程度、回収部16に水素発生材料が付着したところで、他方側ゲート21を開いて、搬送部22を駆動させて後室20に回収部16を搬送し、他方側ゲート21を閉じるとともに、一方側ゲート19を開けて次の回収部16を処理室11に搬送し、一方側ゲート19を閉じて、先ほどと同様に、次の回収部16に水素発生材料を付着させる処理が行われる。
【0083】
このようにして、後室20に搬送された回収部16は、後室扉24を開けて取出されることになる。
なお、この取出しを行うためには、後室扉24を開ける必要があり、後室20内を大気圧にして後室扉24を開けることができるように、パージガス供給部から後室20にパージガスの供給が行われ、回収部16を取出した後、再び、真空ポンプPで後室20が処理室11内の圧力とほぼ同じ圧力に減圧される。
【0084】
したがって、本実施形態の処理装置10では、装置を止めることなく、回収部16のセットから取出しまでを行えるため効率よく、水素発生材料を生産することができ、しかも、金属マグネシウムを得る必要なく、1回のプラズマプロセスで原料である無水の塩化マグネシウムから水素化マグネシウムを含む水素発生材料を生成することができる。
【0085】
一方、水素発生材料から水素を取出すには、水に水素発生材料を投入すればよく、このときに起こる反応は、以下の式1に示す反応である。
MgH
2 + 2H
2O → Mg(OH)
2 + 2H
2・・・(1)
なお、水の方が多く存在しているところに水素発生材料を投入することを考えれば、水の中に水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)が混じった状態になるが、水酸化マグネシウムはあまり水に溶けないため水と分離するのはそれほど難しくはない。
【0086】
そして、その反応でできる副生成物である水酸化マグネシウムと塩化アンモニウムを約400度の温度で反応させると、以下の式2の反応が起こることから、簡単に水素発生材料から水素を発生させるときに出る副生成物を利用して原料である無水の塩化マグネシウムを再生することができる。
Mg(OH)
2 + 2NH
4Cl
→ MgCl
2 + 2NH
3 +2H
2O・・・(2)
【0087】
しかも、アンモニア(2NH
3)は、常温で塩化水素(HCl)と反応し、塩化アンモニウム(NH
4Cl)になるが、上述した水素発生材料を生成するプラズマプロセスでは、式3に示す反応が起っており、排ガスとして塩化水素が発生するので、この塩化水素と副生成物から原料を再生する時に発生するアンモニアを反応させることで、簡単に塩化アンモニウムを再生することができる。
MgCl
2 + 2H
2 → MgH
2 +2HCl・・・(3)
【0088】
したがって、処理装置10の説明に併せて説明した上述の水素発生材料の製造方法は、副生成物のリサイクルという点で優れたものであるばかりでなく、副生成物のリサイクルまでを含めてみれば、有害なガス(塩化水素やアンモニア)が一連の処理内でループするため、有害なガスを廃棄する必要がないという点でも優れている。
【0089】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態のプラズマを用いた処理装置10について説明する。
第1実施形態では、原料である無水の塩化マグネシウムを気体の状態として処理室11に供給することで、プラズマ中に原料を浮遊状態で供給するものとしていた。
【0090】
この場合、プラズマ中の原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)は、極限に近い小さい粒子径の状態になっており、活性も高まっていると考えられる。
このことから、反応速度が速く、水素化マグネシウムに変化するのに必要な時間が短いという利点があると考えられる。
【0091】
そして、プラズマ中での反応は、式3に示した通りであるから、投入した原料である無水の塩化マグネシウムが、仮に100%反応していたとすれば、原料を1mol投入すれば、1molの水素化マグネシウムが生成されることになるから、投入した原料のmolと同じmol数の水素化マグネシウムが回収できたとすれば、原料歩留率100%と考えられる。
【0092】
しかし、投入した原料である無水の塩化マグネシウムが仮に100%反応していたとしても、第1実施形態の手法では、実際に回収できる水素化マグネシウムの分量が、回収部16に付着できたものだけに留まるため、原料歩留率を100%にするのは難しい手法である。
【0093】
一方、原料である無水の塩化マグネシウムを気体の状態とするのではなく、固体の状態を保ったままで処理するようにすれば、排ガスとともに排出される原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)及び反応生成物(本例では、水素化マグネシウム)を抑制しやすく、高い原料歩留率にすることができる。
【0094】
そこで、本実施形態では、原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)を気化(気体の状態)にしないで反応生成物(本例では、水素化マグネシウム)を得ることができる処理装置10について説明する。
【0095】
ただし、本実施形態の処理装置10も、全体構成としては第1実施形態とほぼ同様であることから、以下では主に異なる点について説明し、第1実施形態と同様の点については説明を省略する場合がある。
【0096】
図2は本発明に係る第2実施形態のプラズマを用いた処理装置10の断面図である。
図2に示すように、本実施形態の処理装置10は、処理室11が、前室18及び後室20に比べ鉛直方向に高さがあるものになっている。
【0097】
そして、処理装置10は、第1実施形態と同様に、処理室11の上側に配置された原料供給部12を備えているが、この原料供給部12は、原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)を気体の状態にするためのヒータ構造を有していない。
【0098】
具体的には、原料供給部12は、処理室11の上側の外に配置され、貯蔵した原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)を固体状のまま定量供給する定量供給部12Cと、定量供給部12Cの排出口から処理室11内に出っ張るように延在し、排出口から排出された固体状の原料をそのまま処理室11内まで導く原料供給路12Dと、を備えており、例えば、定量供給部12Cは、粉体を定量で排出する一般的な粉体定量排出機(サークルフィーダ構造を備えた排出機等)でよい。
【0099】
なお、第1実施形態と同様に、原料供給部12は、定量供給部12Cの上部に設けられ、定量供給部12Cに原料を投入する時に開閉される上蓋12CAを備えている。
【0100】
また、第1実施形態では、前室18、処理室11、及び、後室20のそれぞれの底部に排気管25が接続されていたが、本実施形態では、前室18、及び、後室20については、同様に底部に排気管25が接続されているものの、処理室11については、原料供給路12Dの処理室11側の開口部よりも上側の側面に排気管25が接続されている。
【0101】
このため、原料供給路12Dの処理室11側の開口部から処理室11内に投下される固体状の原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)が排気管25に吸い込まれ難くなっている。
【0102】
そして、処理装置10は、鉛直方向で見て、原料供給路12Dの処理室11側の開口部よりも下側となる処理室11の側面に位置し、鉛直方向に並ぶ複数の窓15と、各窓15に対応して設けられたマイクロ波供給部14と、を備えている。
【0103】
なお、本実施形態では、窓15は鉛直方向で見た位置で対向するように一対設けられ、そのような窓15の対が鉛直方向に複数設けられたものとしているが、窓15は対をなすように設けられている必要はない。
【0104】
したがって、処理室11の上側に設けられた原料供給部12は、固体状の原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)をプラズマ中に浮遊状態で供給するように投下する原料投入部として機能する。
【0105】
そして、第1実施形態と同様に、処理装置10は、回収部16を備えているが、その回収部16は、先ほどのように、反応生成物(本例では、水素化マグネシウム)を付着させるためのものではなく、落下した反応生成物を回収する回収部16になっている。
このため、回収部16は、原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)とプラズマとの反応生成物が落下する位置に配置可能に設けられるものである必要がある。
【0106】
なお、回収部16によって回収される材料には、反応生成物(本例では、水素化マグネシウム)だけでなく、未反応の原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)等も含まれている場合がある。
【0107】
そして、本実施形態では、処理室11内にヒータを設けていないが、原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)を気体の状態にしない範囲で加熱して反応をサポートさせ、回収部16によって回収される水素発生材料中の未反応の原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)の割合を減らすために、処理装置10が処理室11の側面側に設けられたヒータを備えるものとしてもよい。
【0108】
また、処理室11の高さを、更に、高くして、鉛直方向に並ぶ窓15を増やし、その窓15に対応するマイクロ波供給部14を増やすようにして、回収部16に至るまでに原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)にプラズマが照射される時間を長くすることで、回収部16によって回収される水素発生材料中の未反応の原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)の割合を減らすようにしてもよい。
【0109】
さらに、原料供給部12からプラズマ中に投下する原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)のサイズを小さくしていくことで、単位重量当たりの表面積を気体の状態でプラズマ中に原料が供給されている状態に近づけることができ、例えば、平均粒子径がマイクロオーダーやサブミクロンオーダーの固体状の原料をプラズマ中に投下するようにして、回収部16によって回収される水素発生材料中の未反応の原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)の割合を減らすようにしてもよい。
【0110】
そして、本実施形態によれば、先に説明したように、反応生成物である水素化マグネシウム、及び、原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)が排気管25から排出される割合を大きく低減することが可能であるから、原料歩留率を高くすることができる。
【0111】
(第3実施形態)
第2実施形態では、処理室11を鉛直方向に高さがあるものとして、固体状の原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)が回収部16に至るまでの時間を長くして、原料が反応するのに必要なプラズマ照射時間を得るようにしていた。
【0112】
しかしながら、このような形態では、固体状の原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)にプラズマを照射する時間に合わせて処理室11の鉛直方向の高さを変える必要がある。
【0113】
そこで、第3実施形態として、処理室11の高さを変えることなく、固体状の原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)にプラズマを照射する時間を変えることが可能な構成について説明する。
【0114】
図3は本発明に係る第3実施形態のプラズマを用いた処理装置10の断面図である。
なお、
図3では、一部部材に関しては、点線とした透かし図として描いている。
【0115】
図3に示すように、処理装置10は、密閉室本体26Aと、開閉扉26Bと、を有する密閉室26を備えている。
【0116】
そして、処理装置10は、その密閉室26内に収容され、密閉室本体26Aに固定されたモータMと、密閉室26内に収容され、内部が処理室11として機能する回転ドラム28を備えている。
【0117】
具体的には、回転ドラム28は、円筒状のドラム本体部28Aと、円錐状の窪みを有する底部28Bと、を備えており、底部28Bの先端側がモータMの回転軸27に着脱可能に固定されている。
【0118】
そして、回転軸27は、処理室11としての回転ドラム28の回転中心線と一致し、回転軸27が斜め上方に傾いて設けられていることで、処理室11としての回転ドラム28(ドラム本体部28A)の開口部OPが斜め上方に位置するように配置されている。
【0119】
つまり、処理装置10は、斜めに傾いた回転中心線を中心にモータMによって回転し、開口部OPが斜め上方に位置するように配置された、原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)にプラズマを照射する処理室11として機能する回転ドラム28を備えている。
【0120】
そして、処理装置10は、開閉扉26Bとともに移動するマイクロ波供給部14と、開閉扉26Bとともに移動し、処理室11として機能する回転ドラム28の開口部OP側に設けられ、処理室11としての回転ドラム28内に導入するマイクロ波を通す誘電体の窓15と、を備えている。
【0121】
マイクロ波供給部14は、これまでと同様に、マイクロ波発生部14Aと、マイクロ波発生部14Aで発生したマイクロ波を窓15まで導波させる導波部14Bと、を備えている。
なお、マイクロ波供給部14が、少なくとも窓15を通して処理室11(回転ドラム28)内に供給されるマイクロ波のマイクロ波電力のピーク値が2.0キロワット以上となるマイクロ波を発生する点もこれまでと同じである。
【0122】
本実施形態では、窓15は、導波部14Bの処理室11としての回転ドラム28側の先端に固定されており、マイクロ波発生部14A、及び、導波部14Bが開閉扉26Bに対して固定されている。
【0123】
このため、太矢印で示すように、密閉室本体26Aから離れる方向に開閉扉26Bを移動させ、密閉室26を開放すると、マイクロ波供給部14、及び、窓15が開閉扉26Bとともに移動し、回転ドラム28にアクセスできるようになる。
【0124】
そして、回転ドラム28と回転軸27の間の固定を解除することで、回転ドラム28を密閉室26から取出すことができるようになっている。
【0125】
なお、本実施形態でも、プラズマを点燈させるときには、処理室11としての回転ドラム28内を減圧する必要があり、そのために、処理装置10は、密閉室26(密閉室本体26A)に設けられた排気管25と、排気管25上に設けられた真空ポンプPと、を備えており、密閉室26を減圧することで、処理室11としての回転ドラム28内の圧力が所定の圧力とされる。
【0126】
また、処理室11としての回転ドラム28内にプラズマ化して原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)に反応させる反応性ガス(本例では、水素ガス)を供給するために、処理装置10は、密閉室26(密閉室本体26A)に設けられたガス供給部13を備えている。
【0127】
さらに、処理装置10は、開閉扉26Bを開けるときに、密閉室26内を大気圧とほぼ同じ圧力とするために密閉室26(密閉室本体26A)に設けられたパージガス供給部(図示せず)も、これまでと同様に備えている。
【0128】
ただし、このパージガス供給部(図示せず)は、先に説明したように、希ガス供給部と共通であってもよく、窒素ガスを供給するパージガス供給部として、プラズマ点燈開始時に希ガスを供給するための希ガス供給部を別途有するものであってもよい。
【0129】
そして、処理室11としての回転ドラム28は、回転中心軸に沿った円筒状のドラム本体部28Aの内壁面と、内壁面から内側に突出し、固体状の原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)を掬い上げてプラズマ中に原料を浮遊状態で供給する羽根28BAと、を備えている。
【0130】
したがって、原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)は、鉛直方向下側に落下すると、羽根28BAによって掬い上げられ、再び、プラズマ中に浮遊状態で落下させるように供給されることが繰り返される。
【0131】
このため、原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)は、1回の落下でプラズマ中に浮遊状態で存在できる時間がX秒であっても、それがN回繰り返されることで、プラズマ中にX×N秒の間、浮遊状態で存在することになる。
【0132】
つまり、プラズマを点燈した状態で、処理室11としての回転ドラム28を何回転させるのかを変えるだけで、浮遊状態の固体状の原料(本例では、無水の塩化マグネシウム)に対してプラズマを照射した時間を変えることができ、処理室11の高さを高くすることなく、反応に必要なプラズマの照射時間分、プラズマの照射を行うことができる。
【0133】
以上、具体的な実施形態に基づいて、本発明について説明してきたが、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されるものではない。
【0134】
上記実施形態の態様に触れればわかるように、本明細書には、処理装置10を用いて水素発生材料を製造する製造方法も開示されているものである。
【0135】
例えば、上記実施形態では、原料として無水の塩化マグネシウムを用いた場合について説明したが、原料としては、無水のハロゲン化物[例えば、ハロゲン化アルカリ土類金属(フッ化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウム、及び、フッ化カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等のハロゲン化カルシウム)や、ハロゲン化アルカリ金属(フッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム等のハロゲン化リチウム)]を好適に用いることができる。
【0136】
また、上記では、プラズマ化する気体が水素ガスである場合について示したが、例えば、メタン、プロパンといった炭化水素ガスであっても、水素ガスと同様の還元処理が行えることから、水素ガスに限定されず、炭化水素ガスであってもよい。
ただし、炭化水素ガスの場合、排ガスに炭素を含むガスが発生することから低炭素なプロセスとするためには、水素ガスを使用するのがよい。
【0137】
したがって、本明細書には、処理装置10を用いて水素発生材料を製造する製造方法として、原料に無水のハロゲン化物を用いるとともに、反応性ガスに還元雰囲気を形成する水素原子を含むガス(水素ガス又は炭化水素ガス)を用いて反応生成物としての水素化マグネシウムを含む水素発生材料を製造する製造方法も開示されているものである。
【0138】
このように、本発明は具体的な実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形や改良を施したものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。