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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-82372(P2020-82372A)
(43)【公開日】2020年6月4日
(54)【発明の名称】ビードコア製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/48 20060101AFI20200508BHJP
【FI】
   B29D30/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-214818(P2018-214818)
(22)【出願日】2018年11月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 朗
【テーマコード(参考)】
4F215
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215AM32
4F215AP06
4F215VA11
4F215VA12
4F215VD12
4F215VD13
4F215VL13
4F215VL17
4F215VM05
4F215VP09
4F215VP11
4F215VP17
4F215VP24
4F215VP27
4F215VR03
(57)【要約】
【課題】ビードワイヤの巻き終わり端部にコードやシート状のゴム部材を巻き付けることなく、ビードワイヤの巻き終わり端の跳ね上がりを防止することができるビードコア製造装置を提供する。
【解決手段】未加硫ゴムで被覆されたビードワイヤが環状に複数回巻かれたビードコアを製造するビードコア製造装置において、拡縮径可能に設けられ、前記ビードワイヤが外周面に巻き付けられる回転支持体と、前記ビードワイヤの巻き終わり端部を含むように前記ビードコアを幅方向に挟持して前記ビードワイヤの巻き終わり端部を前記ビードコアに圧着するクランプ装置とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未加硫ゴムで被覆されたビードワイヤが環状に複数回巻かれたビードコアを製造するビードコア製造装置において、
拡縮径可能に設けられ、前記ビードワイヤが外周面に巻き付けられる回転支持体と、
前記ビードワイヤの巻き終わり端部を含むように前記ビードコアを幅方向に挟持して前記ビードワイヤの巻き終わり端部を前記ビードコアに圧着するクランプ装置と
を備えるビードコア製造装置。
【請求項2】
前記回転支持体の外周面に形成されたビードコアを前記回転支持体から取り出す取り出し装置を備え、
前記クランプ装置は、前記取り出し装置が保持する前記ビードコアを幅方向に挟持する請求項1に記載のビードコア製造装置。
【請求項3】
前記ビードワイヤの巻き始め端部と巻き終わり端部とが周方向に重なるように、前記ビードワイヤが前記回転支持体に巻き付けられ、
前記クランプ装置は、前記ビードワイヤの巻き始め端部と巻き終わり端部とが周方向に重なる領域全体を挟持する請求項1又は2に記載のビードコア製造装置。
【請求項4】
前記クランプ装置は、前記ビードワイヤの巻き始め端部を、前記ビードコアの幅方向内側かつ径方向外側へ押圧するように前記ビードコアを挟持する請求項1〜3のいずれか1項に記載のビードコア製造装置。
【請求項5】
前記クランプ装置は、前記ビードコアの幅方向側面と当接して前記ビードコアを幅方向内側へ押圧する一対の保持部を備え、
一対の前記保持部の一方が、前記ビードコアの径方向内側に行くほど幅方向内側へ向かうように傾斜する傾斜面において、前記ビードワイヤの巻き始め端部と接触する請求項4に記載のビードコア製造装置。
【請求項6】
前記ビードワイヤを前記回転支持体の外周面へ押圧する押圧ローラを備え、
前記押圧ローラより前記回転支持体の回転方向前方に前記クランプ装置が設けられている請求項1〜5のいずれか1項に記載のビードコア製造装置。
【請求項7】
前記取り出し装置は、前記回転支持体の回転軸と平行な回転軸を有する複数のローラと、前記回転支持体の外周面に形成された前記ビードコアに対して前記複数のローラを近接離隔移動させる移動機構とを備え、
前記移動機構が、複数の前記ローラを同期して前記ビードコアに近接させて、前記回転支持体に支持された前記ビードコア及び前記回転支持体の少なくとも一方に前記ローラを当接させつつ前記ビードコアを複数の前記ローラと前記回転支持体との間に配置し、
複数の前記ローラと前記回転支持体との間に前記ビードコアを配置した状態で前記回転支持体が縮径して前記ビードコアを前記回転支持体から複数の前記ローラへ受け渡す請求項1〜6のいずれか1項に記載のビードコア製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤのビードコアを製造する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤのビードコアには、未加硫ゴムで被覆された1本のビードワイヤを円環状に複数周巻かれたものがある。ビードワイヤには真っ直ぐに伸びようとする力が働きやすいため、ビードワイヤには予めビードコア成形の巻き付け方向に馴染むように塑性変形させて癖付けをしている。この癖付け工程によりビードワイヤのビードコアにおける巻き付け方向の両端部にあたる先端部(巻き始め端部)および終端部(巻き終わり端部)が所定位置から径方向に跳ね上がろうとする力をある程度抑制している。
しかし、ビードワイヤは工程の中でその軸方向に対して捩り変形をうけることがあり、この状態のままビードコアへと成形されると、捩り変形の残留応力よって、癖付けの方向がねじ曲げられることがある。このためビードコアにおいてビードワイヤの先端部と終端部が所定の位置を外れてビードコアの幅方向にも飛び出すことがある。
【0003】
これに対し、例えば特許文献1に記載されているように、ビードワイヤの巻き終わり端部にコードを螺旋状に巻き付けることで、巻き終わり端部の跳ね上がりを防止することがある。また、例えば引用文献2に記載されているように、ビードワイヤの巻き終わり端部に複数のワイヤをゴムで被覆したシート状の部材を巻き付けることで、巻き終わり端部の跳ね上がりを防止することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−120587号公報
【特許文献2】特開2016−88259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ビードワイヤの巻き終わり端部にコードやシート状のゴム部材を巻き付ける場合、ビードワイヤと別の部材を巻き付ける。そのため、ビードコアを形成する工程と別の工程が必要となり製造時間が長くなりやすい。
また、ビードコアを形成した後、コードやシート状のゴム部材を巻き付ける装置へビードコアを搬送する際に、ビードワイヤの巻き終わり端部が跳ね上がったビードコアを搬送する必要があるため、ビードコアのハンドリングが困難となりやすい。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、ビードワイヤの巻き終わり端部にコードやシート状のゴム部材を巻き付けることなく、ビードワイヤの巻き終わり端の跳ね上がりを防止することができるビードコア製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のビードコア製造装置は、未加硫ゴムで被覆されたビードワイヤが環状に複数回巻かれたビードコアを製造するビードコア製造装置において、拡縮径可能に設けられ、前記ビードワイヤが外周面に巻き付けられる回転支持体と、前記ビードワイヤの巻き終わり端部を含むように前記ビードコアを幅方向に挟持して前記ビードワイヤの巻き終わり端部を前記ビードコアに圧着するクランプ装置とを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、ワイヤの巻き終わり端を含むようにビードコアを幅方向に挟持してワイヤの巻き終わり端をビードコアに圧着するクランプ装置を備えているため、ビードワイヤの巻き終わり端付近にコードやシート状のゴム部材を巻き付けることなく、ビードワイヤの巻き終わり端の跳ね上がりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係るビードコア製造装置の概略構成図。
図2図1のビードコア製造装置の要部を示す概略平面図。
図3】取り出し装置及びクランプ装置を回転支持体側から見た図
図4】チャック部が貼付位置へ移動した状態を示すビードコア製造装置の概略構成図
図5】回転支持体の外周面にビードコアを形成する状態を示すビードコア製造装置の概略構成図
図6図5のA−A断面図
図7】ビードワイヤを切断した状態を示すビードコア製造装置の概略構成図
図8】ビードワイヤの巻き終わり端部を回転支持体に巻き付けた状態を示すビードコア製造装置の概略構成図
図9図8のB−B断面図
図10】回転支持体のセグメントを縮径移動させた状態を示すビードコア製造装置の概略構成図
図11】第2実施形態のビードコア製造装置のクランプ装置の平面図
図12】本発明の変更例に係るビードコア製造装置の要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
本実施形態にかかるビードコア製造装置1は、金属製のワイヤに未加硫ゴムを被覆したビードワイヤBWを回転支持体2の外周面に巻回して円環状のビードコアCを製造する装置である。このビードコア製造装置1は、図1図3に示すように、回転支持体2と、チャック部3と、押圧ローラ4と、カッター5と、取り出し装置10と、クランプ装置20とを備える。
【0012】
回転支持体2は、回転軸2bの回りに回転可能に設けられた円筒状の成型ドラムである。回転支持体2は、周方向に複数のセグメント2aに分割されている。回転支持体2を構成する複数のセグメント2aは拡縮可能に設けられている。この回転支持体2は、駆動源として不図示のサーボモータを備え、ビードワイヤBWを巻回す際の回転角度を調整することができる。
【0013】
チャック部3は、不図示の移動機構によって、回転支持体2から離れた待避位置(図1参照)と、回転支持体2の外周面近傍の貼付位置(図4参照)との間を移動する。また、チャック部3は、不図示の移動機構によって、回転支持体2の軸方向(回転軸2bに平行な方向)へ移動する。
【0014】
チャック部3は、ビードワイヤBWの端部を保持しつつ待避位置から貼付位置へ移動する。これによって、チャック部3は、回転支持体2の外周面と押圧ローラ4との間にビードワイヤBWの先端部BWsを供給し、回転支持体2の外周面にビードワイヤBWの先端部BWsを貼り付ける。その後、回転支持体2が回転軸2bの周りに回転すると、ビードワイヤBWが回転支持体2の外周面に巻き付けられる。回転支持体2が1回転する毎に、不図示の移動機構がチャック部3を回転支持体2の軸方向へ所定距離(送りピッチ)移動させる。ビードワイヤBWは、回転支持体2の外周面を一周する毎にチャック部3にガイドされて回転支持体2の軸方向へ移動することで螺旋状に巻回され、回転支持体2の外周面にビードコアCを形成する。
【0015】
押圧ローラ4は、回転支持体2が回転しながら巻き取ったビードワイヤBWを、回転支持体2の外周面(回転支持体2の径方向内側)へ押さえ付ける(図6参照)。これにより、回転支持体2の外周面に巻き付けられたビードワイヤBWを径方向に密着させる。
【0016】
カッター5は、回転支持体2の外周面にビードワイヤBWを所定長さ巻き付けたところでビードワイヤBWを切断する。
【0017】
取り出し装置10は、回転支持体2の外周面に形成されたビードコアCを回転支持体2から取り出す装置である。この取り出し装置10は、回転支持体2の外周面に形成されたビードコアCを保持する複数の保持ローラ12と、保持ローラ12を移動させる移動機構14と、保持ローラ12の回転を禁止するブレーキ16とを備える。
【0018】
保持ローラ12は、1つの回転支持体2に対して回転支持体2の周方向に間隔をあけて複数個、好ましくは3個以上設けられている。保持ローラ12の外周面が、回転支持体2に形成されたビードコアCの外周面に周方向に間隔をあけて複数当接する。これにより、保持ローラ12はビードコアCを保持する。各保持ローラ12は、回転支持体2の回転軸2bと平行な回転軸12aに回転自在に取り付けられている。保持ローラ12は、樹脂製の筒体からなり回転支持体2の外周面より軟質な材料で構成されている。
【0019】
図2及び図3に示すように、望ましい形態としいて、保持ローラ12の外周面にはビードコアCが嵌まり込む環状の凹溝12bが形成されている。
【0020】
また、図8に示すような保持ローラ12がビードコアCに当接する状態では、回転支持体2の回転軸2b方向視において、回転軸2bを挟んで対称な位置に保持ローラ12が位置するように複数の保持ローラ12を配置することが好ましい。
【0021】
移動機構14は、シリンダー等のアクチュエータを備える。移動機構14は、回転支持体2の外周面に形成されたビードコアCに対して複数の保持ローラ12を同期して近接・離隔移動させる。
【0022】
ブレーキ16は、シリンダーによって保持ローラ12に近接離隔移動するパッドを備える。ブレーキ16は、パッドが保持ローラ12から離れた状態で保持ローラ12を回転自在とし、パッドが保持ローラ12に当接すると保持ローラ12の回転を禁止する。このようなブレーキ16は、複数の保持ローラ12毎に設けられている。
【0023】
クランプ装置20は、ビードコアCの幅方向Wに間隔をあけて配置された一対の保持部22と、一対の保持部22を移動させるクランプ駆動部24とを備える。
【0024】
一対の保持部22は、後述する重複領域Bo全体を挟持できる形状及び大きさをなしており、ビードコアCの幅方向側面と当接してビードコアCを幅方向内側へ押圧する。
【0025】
保持部22は、樹脂製の板状体からなり回転支持体2の外周面より軟質な材料で構成されている。
【0026】
クランプ駆動部24は、シリンダー等の2軸のアクチュエータを備える。クランプ駆動部24は、一対の保持部22を互いに近接・離隔移動させて、一対の保持部22をビードコアCの幅方向側面に接触させたり、一対の保持部22をビードコアCの幅方向側面から離隔させる。また、クランプ駆動部24は、一対の保持部22をビードコアCの径方向に移動させ、一対の保持部22を回転支持体2の外周面に形成されたビードコアCに対して一対の保持部22を近接・離隔移動させる。
【0027】
本発明では、このようなクランプ装置20を任意の位置に設けることができる。本発明では、回転支持体2の外周面に支持されたビードコアCを保持部22が挟持したり、あるいは、取り出し装置10に保持されたビードコアCを保持部22が挟持するように、回転支持体2の外周面の近傍にクランプ装置20を設けることが好ましい。より好ましくは、押圧ローラ4より回転支持体2の回転方向前方R1にクランプ装置20を設ける。特に好ましくは、図4に示すように、押圧ローラ4より回転支持体2の回転方向前方R1であって、取り出し装置10が有する保持ローラ12のうち回転支持体2の回転方向前方R1に押圧ローラ4と最も近接する位置に設けられた保持ローラ12’より回転支持体2の回転方向後方にクランプ装置20を設ける。
【0028】
次に、上記したビードコア製造装置1の動作について説明する。
【0029】
まず、押圧ローラ4が回転支持体2の外周面に近接し、回転支持体2が拡径した状態で、チャック部3が、ビードワイヤBWを保持しつつ図1に示す待避位置から図4に示す貼付位置へ移動して、回転支持体2の外周面と押圧ローラ4との間にビードワイヤBWの先端部BWsを挿入する。
【0030】
なお、取り出し装置10の保持ローラ12及びクランプ装置20の保持部22は、回転支持体2に巻き取られたビードワイヤBWと接触しないように、回転支持体2の外周面から離れた位置にある。
【0031】
そして、ビードワイヤBWの巻き始め端部BWsが回転支持体2と押圧ローラ4との間に挿入されると、チャック部3は、ビードワイヤBWの保持を解除する。
【0032】
その後、図5に示すように、サーボモータが起動して回転支持体2が一方向(図5において反時計回り)R1へ回転する。また、回転支持体2が1回転する毎に、チャック部3がビードワイヤBWを回転支持体2の軸方向へ移動させる。これにより、ビードコア製造装置1は、ビードワイヤBWを螺旋状に巻き付けてなるビードコアCを回転支持体2の外周面に形成する。
【0033】
本実施形態では、図6に例示するように、ビードワイヤBWの巻き始め端部BWsが、ビードコアCの幅方向一方側(図6の左側)W1かつ径方向内側Minに位置し、巻き終わり端部BWeが、ビードコアCの幅方向他方側(図6の右側)W2かつ径方向外側Moutに位置するビードコアCを形成する。
【0034】
具体的には、ビードワイヤBWの巻き始め端部BWsを回転支持体2の外周面の所定位置に配置した後、ビードコアCの幅方向他方側W2に向かって5周目までビードワイヤBWを巻き付けて第1層を形成する。
【0035】
そして、6周目を5周目の上に巻き付けた後、ビードコアCの幅方向一方側W1に向かって10周目まで第1層c1の上にビードワイヤBWを巻き付けて第2層c2を形成する。その後、第2層c2と同様に、第2層c2の上に11周目から15周目までビードワイヤBWを巻き付けて第3層c3を形成し、第3層c3の上に16周目から20周目までビードワイヤBWを巻き付けて第4層c4を形成した後、第4層c4の上に21周目から24周目までビードワイヤBWを巻き付けて第5層c5を形成する。
【0036】
なお、ビードワイヤBWは、ビードコアCの幅方向Wに隣り合うビードワイヤBWとの間に隙間が発生しないように巻き付けられている。
【0037】
そして、ビードコアCの第5層c5を形成し終わると、サーボモータが停止してビードワイヤBWの巻き付けを停止する。そして、図7に示すように、チャック部3が、貼付位置から待避位置へ移動するとともにビードワイヤBWを保持した後、カッター5によってビードワイヤBWを切断して、ビードワイヤBWの巻き終わり端部BWeを形成する。
【0038】
カッター5がビードワイヤBWを切断すると、図8に示すように、サーボモータが起動して回転支持体2を回転方向一方向R1へ回転させる。これにより、ビードワイヤBWの巻き終わり端部BWeが、回転支持体2に巻き付けられるとともに、押圧ローラ4によって径方向内側Minへ押圧される。
【0039】
なお、ビードワイヤBWを切断する位置は、ビードワイヤBWの巻き終わり端部BWeと巻き始め端部BWsがタイヤ周方向に所定長さ(例えば、5〜25mm)だけ重なった重複領域Boを備えるビードコアCが得られるように設定することが好ましい(図8参照)。
【0040】
また、取り出し装置10の移動機構14は、回転支持体2が回転している間に、複数の保持ローラ12を同期してビードコアCに近接移動させ、図8及び図9に示すように、保持ローラ12の外周面がビードコアCの外周面に当接するまで移動させる。
【0041】
本実施形態では、保持ローラ12の外周面に設けられた凹溝12bにビードコアCが嵌まり込み、複数の保持ローラ12と回転支持体2との間でビードコアCが挟持されている。これにより複数の保持ローラ12は回転支持体2の回転に同調して回転する。
【0042】
そして、図10に示すように、複数の保持ローラ12と回転支持体2との間でビードコアCを挟持した状態で回転支持体2のセグメント2aが縮径移動する。これにより、ビードコアCが回転する回転支持体2から複数の保持ローラ12へ受け渡される。つまり、ビードコアCが回転したまま回転支持体2から保持ローラ12へ受け渡される。
【0043】
また、セグメント2aの縮径移動とともに、押圧ローラ4を回転支持体2の外周面から離隔移動させる。
【0044】
上記のように回転支持体2から複数の保持ローラ12へビードコアCを受け渡している間に、クランプ装置20のクランプ駆動部24は、一対の保持部22の間にビードコアCが位置するように、一対の保持部22を径方向内側Minへ向けて移動させる(図10参照)。
【0045】
そして、回転支持体2から保持ローラ12へビードコアCの受け渡しが完了すると、ブレーキ16はパッドをローラに当接させて保持ローラ12を停止させる。
【0046】
本実施形態では、ビードワイヤBWの巻き始め端部BWsと巻き終わり端部BWeとが周方向に重なった重複領域Boが、クランプ装置20に設けられた一対の保持部22の間に位置するように、保持ローラ12を停止させる。
【0047】
そして、保持ローラ12が停止すると、クランプ装置20のクランプ駆動部24が、一対の保持部22を互いに近接移動させて、一対の保持部22でビードコアCの重複領域Bo全体をビードコアCの幅方向Wに挟持する。
【0048】
その後、クランプ装置20のクランプ駆動部24が、一対の保持部22を互いに離隔移動させてビードコアCの挟持を解除し、更に、一対の保持部22を径方向外側Moutへ移動させる。以上でビードコアCの成形が完了する。
【0049】
上記した本実施形態のビードコア製造装置1では、クランプ装置20に設けられた保持部22がビードワイヤBWの巻き終わり端部BWeを幅方向Wに挟持する。そのため、ビードワイヤBWの巻き終わり端部BWeが、幅方向Wに隣接するビードワイヤBWに密着して、ビードワイヤBWの巻き終わり端部BWeの跳ね上がりを防止することができる。
【0050】
また、本実施形態では、回転支持体2から取り出し装置10へビードコアCを受け渡した後、保持部22がビードワイヤBWの巻き終わり端部BWeを幅方向Wに挟持するため、保持部22が回転支持体2と干渉することなくビードコアCの径方向全体を挟持することができる。
【0051】
また、本実施形態では、ビードワイヤBWの巻き終わり端部BWeと巻き始め端部BWsがタイヤ周方向に重なった重複領域Bo全体を、保持部22が幅方向Wに挟持する。そのため、ビードワイヤBWの巻き終わり端部BWeと同時に、巻き始め端部BWも幅方向Wに隣接するビードワイヤBWに密着させることができ、ビードワイヤBWの巻き始め端部BWsがビードコアCから分離することを防止できる。
【0052】
また、本実施形態では、押圧ローラ4より回転支持体2の回転方向前方R1にクランプ装置20が設けられている。このような場合、ビードワイヤBWの巻き終わり端部BWeを径方向内側Minへ押圧した直後にビードコアCの回転を停止させ、ビードワイヤBWの巻き始め端部BWsを保持部22によって挟持することができる。そのため、無駄な動作を抑えることができ、ビードコアCの製造時間を短縮することができる。
【0053】
特に、本実施形態では、ビードコアCが回転したまま回転支持体2からこれより重量の小さい保持ローラ12へ受け渡されるため、ビードコアCの回転を短時間で停止させることができる。そのため、本実施形態では、クランプ装置20を押圧ローラ4に近接配置することができ、ビードコアCの製造時間を更に短縮することができる。
【0054】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図11を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0055】
本実施形態では、クランプ装置100の一対の保持部122がビードコアCを挟持する際に、一対の保持部122が、ビードコアCの幅方向内側Winに加え径方向外側MoutにもビードワイヤBWの巻き始め端部BWsを押圧する。
【0056】
具体的には、図11に示すように、一対の保持部122のうちビードワイヤBWの巻き始め端部BWsと接触する一方の保持部(図11の左側の保持部)122aは、他方の保持部122bと対向する対向面が、ビードコアCの径方向内側Minに行くほど幅方向内側Moutへ向かうように傾斜する傾斜面122a1をなしている。
【0057】
本実施形態のように、ビードワイヤBWを回転支持体2に巻き付けてビードコアCを形成する場合、巻き始め直後にビードワイヤBWが回転支持体2の周方向に位置ズレしやすい。そのため、ビードワイヤBWの巻き始め端部BWsが回転支持体2の外周面に沿いやすいように巻き始め端部BWsを径方向内方へ湾曲するように癖を付けることがある。また、同様の位置ズレを防ぐため、回転支持体2の外周面に設けた切欠孔へビードワイヤBWの巻き始め端部BWsを挿通し、回転支持体2の内側において巻き始め端部BWsをクランプ機構などによって固定することがある。
【0058】
上記のように巻き始め端部BWsに癖を付けたり、巻き始め端部BWsをクランプ機構によって固定すると、ビードワイヤBWの巻き始め端部BWsがビードコアCから内径側へ分離しやすくなる。
【0059】
しかし、本実施形態では、クランプ駆動部124が一対の保持部122を互いに近接移動させて、一対の保持部122で幅方向WにビードコアCを挟持すると、一方の保持部122aの傾斜面122a1が、ビードコアCの径方向内側Minに位置するビードワイヤBWの巻き始め端部BWsをビードコアCの幅方向内側Winかつ径方向外側Moutへ押圧する。これにより、ビードワイヤBWの巻き始め端部BWsが、幅方向W及び径方向に隣接するビードワイヤBWにより強く密着して、ビードコアCから分離することを防止できる。
【0060】
なお、その他の作用効果は第1実施形態と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0061】
(その他の実施形態)
第1及び第2実施形態では、取り出し装置10の移動機構14が、複数の保持ローラ12を同期してビードコアCに近接移動させ、保持ローラ12の外周面をビードコアCの外周面に当接させたが、図12に示すように、保持ローラ12の外周面を回転支持体2の外周面に当接させ、保持ローラ12とビードコアCとの間に隙間δが形成された状態で、保持ローラ12と回転支持体2との間にビードコアCを配置させてもよい。
【0062】
図12のような状態では、複数の保持ローラ12が回転支持体2との摩擦力によって回転支持体2の回転に同調して回転する。そして、この状態から回転支持体2のセグメント2aが縮径移動するとともに、複数の保持ローラ12がセグメント2aの縮径移動と同期して保持ローラ12とビードコアCとの間に形成された隙間δに相当する距離だけビードコアCに近接移動する。これにより、ビードコアCが回転する回転支持体2から複数の保持ローラ12へ受け渡され、ビードコアCを回転支持体2から取り出すことができる。
【0063】
また、第1及び第2実施形態においてクランプ装置20が、重複領域Bo全体を幅方向Wに挟持する場合について説明したが、例えば、少なくともビードワイヤBWの巻き終わり端部BWeを含むように挟持すればよい。
【0064】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、取り出し装置10が回転支持体2からビードコアCを受け取った後に、クランプ装置20がビードワイヤBWの巻き終わり端部BWsを挟持してもよい。
【0065】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0066】
1…ビードコア製造装置、2…回転支持体、2a…セグメント、2b…回転軸、3…チャック部、4…押圧ローラ、5…カッター、10…取り出し装置、12…保持ローラ、12a…回転軸、12b…凹溝、14…移動機構、16…ブレーキ、20…クランプ装置、22…保持部、24…クランプ駆動部、100…クランプ装置、122…保持部、122a1…傾斜面、BW…ビードワイヤ、C…ビードコア
図1
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図12