特開2020-82508(P2020-82508A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2020-82508タイヤ部材成型装置、タイヤ部材の検査方法およびタイヤ部材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-82508(P2020-82508A)
(43)【公開日】2020年6月4日
(54)【発明の名称】タイヤ部材成型装置、タイヤ部材の検査方法およびタイヤ部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/26 20060101AFI20200508BHJP
【FI】
   B29D30/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-219999(P2018-219999)
(22)【出願日】2018年11月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】井上 博喜
(72)【発明者】
【氏名】小林 和浩
【テーマコード(参考)】
4F215
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215AP11
4F215AQ01
4F215VA02
4F215VK02
4F215VK55
4F215VL25
4F215VQ02
4F215VQ07
4F215VQ08
(57)【要約】
【課題】タイヤ構成部材の巻付状態を、サイクルタイム及び工程数を増大させることなく精度よく全数検査する。
【解決手段】第1成型装置10は、成型ドラムD1と成型部11と搬送経路15と搬送経路15に沿って成型ドラムD1を搬送する搬送部16を有し、成型部11において成型ドラムD1にタイヤ構成部材が巻き付けられてタイヤ部材が成型され、搬送経路15における第1成型部11の下流側に、ここを通過する成型ドラムD1の移動に伴って成型ドラムD1に巻き付けられたタイヤ構成部材を、成型ドラムD1の幅方向にわたってタイヤ径方向に測定する測定部51と、この測定結果に基づいてタイヤ構成部材の巻付状態を検査する検査部50を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成型ドラムと、複数の成型部と、前記複数の成型部間を順に接続する搬送経路と、前記搬送経路に沿って前記成型ドラムを搬送する搬送部とを有し、前記複数の成型部それぞれにおいて前記成型ドラムにタイヤ構成部材が順に巻き付けられてタイヤ部材が成型される、タイヤ部材成型装置であって、
前記搬送経路における前記複数の成型部の少なくとも1つの下流側において、ここを通過する前記成型ドラムの移動に伴って前記成型ドラムに巻き付けられた前記タイヤ構成部材を、前記成型ドラムの幅方向にわたってタイヤ径方向に測定する測定部と、
前記測定部による測定結果に基づいて前記タイヤ構成部材の巻付状態を検査する検査部と
を備える
タイヤ部材成型装置。
【請求項2】
前記測定部は、ここをドラム幅方向に搬送される前記成型ドラムの周方向に沿って互いに離間して設けられた複数のセンサを有している、
請求項1に記載のタイヤ部材成型装置。
【請求項3】
前記複数のセンサは、前記成型ドラムに対して径方向に対称に設けられている、
請求項1又は2に記載のタイヤ部材成型装置。
【請求項4】
前記測定部は、前記搬送経路において前記複数の成型部それぞれの下流側に設けられている、
請求項1〜3のいずれか1つに記載のタイヤ部材成型装置。
【請求項5】
成型された複数のタイヤ部材についての前記検査部による検査結果が、成型順に表示される、表示部をさらに備えている、
請求項1〜3のいずれか1つに記載のタイヤ部材成型装置。
【請求項6】
成型ドラムが、複数の成型部に、これらを順に接続する搬送経路に沿って搬送されて、前記複数の成型部それぞれにおいて当該成型ドラムにタイヤ構成部材が巻き付けられて成型されるタイヤ部材の検査方法であって、
前記搬送経路における前記複数の成型部の少なくとも1つの下流側において、ここを通過する前記成型ドラムの移動に伴って前記成型ドラムに巻き付けられた前記タイヤ構成部材を、前記成型ドラムの幅方向にわたってタイヤ径方向に測定し、
この測定結果に基づいて、前記タイヤ構成部材の巻付状態を検査する、タイヤ部材の検査方法。
【請求項7】
前記成型ドラムに巻き付けられた前記タイヤ構成部材は、ドラム幅方向に搬送される前記成型ドラムの周方向に沿って違いに離間した複数の位置から測定される、
請求項6に記載のタイヤ部材の検査方法。
【請求項8】
成型ドラム上に成型されたタイヤ部材の形状を、前記成型ドラムが搬送路に沿って搬送されているときに測定する、タイヤ部材の検査方法。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1つに記載のタイヤ部材の検査方法を含んだ、タイヤ部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ部材成型装置、タイヤ部材の検査方法およびタイヤ部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グリーンタイヤは、カーカスバンドを外径側に膨出させてトレッドバンドの内径部に結合させることによって成型される。カーカスバンドは、成型ドラムの外周部に、例えば、インナーライナおよびカーカスプライを含む複数のタイヤ構成部材を巻き付けることにより成型される。同様に、トレッドバンドも成型ドラムの外周部に、例えば、ベルトおよびトレッドゴムを含む複数のタイヤ構成部材を巻き付けることにより成型される。
【0003】
カーカスバンド及びトレッドバンドのようなタイヤ部材(バンド体ともいう)において、各タイヤ構成部材の成型ドラムに対するタイヤ幅方向位置及び幅等の巻付状態が検査されている。従来、このようなタイヤ部材の巻付状態の検査は、例えば、段替え時等のロット初品を切断して測定することにより主に手作業による抜き取り検査が行われていた。
【0004】
特許文献1,2には、タイヤ構成部材の巻付状態を全数検査する方法が開示されている。特許文献1には、成型ドラムにタイヤ構成部材を巻き付けた後の、作業者がジョイント合わせ等を行ったり、次のタイヤ構成部材を準備したりしている間の、設備の待ち時間に、1次元レーザ変位計を成型ドラムの幅方向に走査させてタイヤ構成部材の巻付状態を検査することが開示されている。
【0005】
特許文献2には、成型ドラムに巻き付けられたタイヤ構成部材のジョイント部の周辺領域を、2次元レーザセンサ及び成型ドラムのいずれか一方をドラム幅方向に移動させてタイヤ構成部材の巻付状態を検査することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−101721号公報
【特許文献2】特開2013−15455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の方法によれば、設備の待ち時間を利用して検査するものであり、設備の空き時間がない場合、若しくは少ない場合には、適用できないか、若しくは適用した場合に成型工程のサイクルタイムが増大してしまう。特に、ストリップを螺旋状に巻き付けるストリップワインディング工法の場合、ジョイント合わせや次のストリップの準備に時間を要せず待ち時間が少ないので、サイクルタイムを増大させずに適用することができない。
【0008】
特許文献2の方法によれば、ジョイント部周辺についてタイヤ構成部材の巻付状態が検査されるものであって、タイヤ周方向の広い範囲で検査できない。従来、この計測は、成型部とは異なる測定部に搬送されて、該測定部において専用の測定工程として実施されていた。したがって、測定を実施するための専用の測定工程を要するものであり、工程数が増大すると共に、測定部を設けるための場所を要し設備が大型化する。
【0009】
本発明は、タイヤ構成部材の巻付状態を、サイクルタイム及び工程数を増大させることなく精度よく全数検査することを可能とする、タイヤ部材成型装置、タイヤ部材の検査方法およびタイヤ部材の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
成型ドラムと、複数の成型部と、前記複数の成型部間を順に接続する搬送経路と、前記搬送経路に沿って前記成型ドラムを搬送する搬送部とを有し、前記複数の成型部それぞれにおいて前記成型ドラムにタイヤ構成部材が順に巻き付けられてタイヤ部材が成型される、タイヤ部材成型装置であって、
前記搬送経路における前記複数の成型部の少なくとも1つの下流側において、ここを通過する前記成型ドラムの移動に伴って前記成型ドラムに巻き付けられた前記タイヤ構成部材を、前記成型ドラムの幅方向にわたってタイヤ径方向に測定する測定部と、
前記測定部による測定結果に基づいて前記タイヤ構成部材の巻付状態を検査する検査部と
を備える
タイヤ部材成型装置を提供する。
【0011】
本発明によれば、成型ドラムが搬送経路の所定位置に設けられた測定部を通過することによって、成型ドラム及びここに巻き付けられたタイヤ構成部材が、成型ドラムの幅方向にわたって複数のセンサによりタイヤ径方向に測定されて、タイヤ構成部材の巻付状態が検査される。すなわち、成型ドラムが搬送される動きを利用して測定されるので、測定工程を専用に設けたり抜き取り検査したりすることなく、タイヤ部材におけるタイヤ構成部材の巻付状態を容易に全数検査できる。
【0012】
また、測定部は、デッドスペースを利用して搬送経路の途中に配置されているので、タイヤ部材成型装置の大型化が抑制される。さらに、成型ドラムが搬送されている間に測定されるのでサイクルタイムが伸びない。
【0013】
好ましくは、前記測定部は、ここをドラム幅方向に搬送される前記成型ドラムの周方向に沿って互いに離間して設けられた複数のセンサを有している。
【0014】
本構成によれば、複数のセンサが成型ドラムの周方向に沿った複数の位置に離間して設けられているので、タイヤ構成部材が成型ドラムの周方向におけるより広い範囲において測定される。これによって、タイヤ部材におけるタイヤ構成部材の巻付状態を精度よく検査できる。
【0015】
好ましくは、前記複数のセンサは、前記成型ドラムに対して径方向に対称に設けられている。
【0016】
本構成によれば、タイヤ構成部材の巻付状態を、周方向にバランスよく検査できる。
【0017】
また、好ましくは、前記測定部は、前記搬送経路において前記複数の成型部それぞれの下流側に設けられている。
【0018】
本構成によれば、測定部が成型部毎に設けられているので、成型されたタイヤ部材を切断することを要せずに、各成型部において巻き付けられた各タイヤ構成部材の巻付状態をそれぞれ検査できる。よって、タイヤ構成部材の巻付状態をより精度よく検査できる。
【0019】
また、好ましくは、成型された複数のタイヤ部材についての前記検査部による検査結果が、成型順に表示される、表示部をさらに備えている。
【0020】
本構成によれば、表示部によってタイヤ部材におけるタイヤ構成部材の巻付状態の推移を確認することができ、該推移に基づいて、タイヤ構成部材の巻付状態が所定の評価基準に照らして不良となり得ることを事前に予測しやすい。例えば、該予測に基づいて、タイヤ構成部材の巻付状態が所定の評価基準内に維持されるように各成型部におけるタイヤ構成部材の巻き付け方を調整することによって、不良品の発生が未然に防止される。
【0021】
また、本発明の他の態様は、
成型ドラムが、複数の成型部に、これらを順に接続する搬送経路に沿って搬送されて、前記複数の成型部それぞれにおいて当該成型ドラムにタイヤ構成部材が巻き付けられて成型されるタイヤ部材の検査方法であって、
前記搬送経路における前記複数の成型部の少なくとも1つの下流側において、ここを通過する前記成型ドラムの移動に伴って前記成型ドラムに巻き付けられた前記タイヤ構成部材を、前記成型ドラムの幅方向にわたってタイヤ径方向に測定し、
この測定結果に基づいて、前記タイヤ構成部材の巻付状態を検査する、タイヤ部材の検査方法を提供する。
【0022】
好ましくは、前記成型ドラムに巻き付けられた前記タイヤ構成部材は、ドラム幅方向に搬送される前記成型ドラムの周方向に沿って違いに離間した複数の位置から測定される。
【0023】
また、本発明のさらなる他の態様は、
成型ドラム上に成型されたタイヤ部材の形状を、前記成型ドラムが搬送路に沿って搬送されているときに測定する、タイヤ部材の検査方法を提供する。
【0024】
また、本発明のさらなる他の態様は、
上記タイヤ部材の検査方法を含んだ、タイヤ部材の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、タイヤ構成部材の巻付状態を、サイクルタイム及び工程数を増大させることなく精度よく全数検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係るグリーンタイヤ成型設備全体の平面図。
図2】カーカスバンド成型ステージの概略構成を示す斜視図。
図3】測定部における測定を示す側面図。
図4A】プロファイルデータの一例を示すグラフ。
図4B】プロファイルデータの他の例を示すグラフ。
図5】タイヤ構成部材の巻付状態の検査の流れを示すフローチャート。
図6】表示部に示された測定結果の推移の一例を示す図。
図7図8のグリーンタイヤのタイヤ構成部材を分解して示す略示断面図。
図8】グリーンタイヤの子午線方向における断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは相違している。
【0028】
本実施形態において、図8に示すグリーンタイヤTは、図7に示す複数のタイヤ構成部材を円筒状に組み合わせて成型される。図8に示すように、グリーンタイヤTは、トレッド1と、このタイヤ幅方向両端部からそれぞれタイヤ径方向内側に延びる一対のサイドウォール2と、このタイヤ径方向内端部に位置する一対のビード3とを有している。
【0029】
トレッド1は、ベルト7、補強ベルト8、およびトレッドゴム9を有し、これらがタイヤ径方向内径側から順に巻き付けられて構成されている。一対のビード3の間には、トレッド1及びサイドウォール2のタイヤ内面側にわたってカーカスプライ4が架け渡されている。カーカスプライ4のタイヤ内面側には、インナーライナ5が配置されている。
【0030】
ビード3は、ビードコア3aと、これに連接されてタイヤ径方向外側に延びるビードフィラ3bとを有している。ビード3の周囲には、ラバーチェーファ6が配置されている。ラバーチェーファ6は、カーカスプライ4の外面側(ビード3とは反対側)に隣接して配置されており、カーカスプライ4と共に、ビード3の周囲においてタイヤ幅方向内側から外側へ折り返されてタイヤ径方向の外径側へ巻き上げられている。
【0031】
カーカスプライ4、ベルト7、補強ベルト8、は、それぞれ補強用のコードを芯材としてゴムで被覆したものよりなり、これらとビードコア3aとを除く他の構成部材、すなわち、トレッドゴム9、サイドウォール2、ビードフィラ3b、インナーライナ5、ラバーチェーファ6は、ゴム部材からなる。
【0032】
図7に示すように、カーカスプライ4は、径方向内側から順に積層された第1カーカスプライ4aと第2カーカスプライ4bとによって構成されている。また、ベルト7は、径方向内側から順に積層された第1ベルト7a及び第2ベルト7bとによって構成されている。また、トレッドゴム9は、径方向内側から順に積層されたトレッドベース9aとトレッドキャップ9bとによって構成されている。
【0033】
なお、サイドウォール2については、図7において実線で示すように、ゴムストリップのみにより巻き付け成型する場合と、同図に鎖線で囲って示すように、帯板状のゴム部材2aとゴムストリップ2bとを併用して構成する場合がある。本実施形態では、サイドウォール2を後述するようにシェーピング後のゴムストリップの巻き付けにより成型する場合を示している。
【0034】
グリーンタイヤTは、インナーライナ5を含むゴム層の上にカーカスプライ4を積層して円筒状のカーカスバンドを成型した後、このカーカスバンドに対してビードセット、ターンアップを含む工程を経て円筒状のグリーンケースを成型し、このグリーンケースを外径側に膨出させて、トレッドバンドの内周部に組み付けて合体させて、成型される。
【0035】
本実施形態に係るグリーンタイヤTの成型方法には、カーカスバンドを成型する第1成型工程と、その後続においてグリーンケースを成型する第2成型工程と、トレッドバンドを成型する第3成型工程と、グリーンケースとトレッドバンドとを合体させてグリーンタイヤTを成型する第4成型工程が含まれている。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態に係るグリーンタイヤTの成型設備100の全体を示す概略図である。図1に示すように、グリーンタイヤTの成型設備100は、上記第1〜第4成型工程に対応した、第1〜第4成型装置10,20,30,40を有している。第1〜第4成型装置10,20,30,40のそれぞれは、各工程の成型に対した第1〜第4成型ドラムD1〜D4を備えている。
【0037】
第1成型装置10で成型されたカーカスバンドは、第2成型装置20に移送される。第2成型装置20で成型されたグリーンケースは、第4成型装置40に移送される。第3成型装置30で成型されたトレッドバンドは、第4成型装置40に移送される。第4成型装置40において、グリーンケースとトレッドバンドとが合体される。各成型装置10,20,30,40におけるそれぞれの成型が並行して行われる。
【0038】
第1成型装置10は、第1成型ドラムD1と、第1成型ドラムD1の外周部にインナーライナ5、ラバーチェーファ6、第1カーカスプライ4a、及び第2カーカスプライ4bをそれぞれ巻き付けるカーカスバンド第1〜第4成型部11〜14(以下、第1〜第4成型部と称する)と、これらを順に接続する第1搬送経路15と、第1搬送経路15に沿って第1成型ドラムD1を第1〜第4成型部11〜14に順に搬送する第1搬送部16とを有している。
【0039】
第1成型ドラムD1は、外周部が径方向に拡縮可能に構成されており、第1搬送部16により回転駆動可能に支持されている。第1搬送部16は、第1成型ドラムD1を第1搬送経路15に沿ってドラム幅方向に搬送する。第1搬送経路15は、搬送方向の上流側に位置する前半部15aと、下流側に位置する後半部15bと、これらを連結するターンテーブル15cとを有している。
【0040】
第1搬送経路15の前半部15aに沿って、インナーライナ5、ラバーチェーファ6を成型するための第1及び第2成型部11,12が設けられ、それぞれにゴムストリップを押し出すための押出機E1,E2がそれぞれ配置されている。第1成型ドラムD1が第1又は第2成型部11,12に到着したとき、対応する押出機E1又はE2より第1成型ドラムD1に対してゴムストリップが押し出され、第1成型ドラムD1と各押出機E1又はE2とを軸方向に相対移動させつつドラムを回転させることによりゴムストリップを螺旋状に巻き付け、各タイヤ構成部材を所定のプロファイルに成型する。
【0041】
第1搬送経路15の後半部15bに沿って、第1カーカスプライ4a及び第2カーカスプライ4bを成型するための第3及び第4成型部13,14が設けられ、それぞれに第1カーカスプライ4aを供給する第1サービサ18aと、第2カーカスプライ4bを供給する第2サービサ18bとが設けられている。第1成型ドラムD1が第3又は第4成型部13,14に到着したとき、対応する第1又は第2サービサ18a、18bは、第1成型ドラムD1に対して第1又は第2カーカスプライ4a,4bを送り出して、ドラム回転によりインナーライナ5及びラバーチェーファ6の外径側に積層して、円筒状のカーカスバンドを成型する。
【0042】
第1成型装置10において成型された円筒状のカーカスバンドは、バンド移送手段C1のトランスファ19により、外周側から保持されて、第1成型用ドラムD1より抜き出され、後続の第2成型装置20に移送される。
【0043】
第2成型装置20は、第2成型ドラムD2と、第2成型ドラムD2をドラム幅方向の両側から回転駆動可能に支持する一対の支持体21,22とを有している。支持体21,22には、エアブラダー等のターンアップ手段(不図示)及びビード3のセット手段(不図示)が設けられている。上記セット手段は、第2成型ドラムD2にカーカスバンドを保持した後、カーカスバンドの両側部の所定位置にビード3をセットする。この後、上記ターンアップ手段のブラダーによって、ビード3を包むようにカーカスバンドの両側部が外径側且つドラム幅方向内側に折り返されてグリーンケースが成型される。
【0044】
第2成型装置20において成型された円筒状のグリーンケースは、バンド移送手段C2のトランスファ23により、外周側から保持されて、成型ドラムD2より抜き出され、後続の第4成型装置40に移送される。
【0045】
第3成型装置30は、第3成型ドラムD3と、第3成型ドラムD3の外周部に第1ベルト7a、第2ベルト7b、補強ベルト8、トレッドベース9a,及びトレッドキャップ9bをそれぞれ巻き付けるトレッドバンド第1〜第5成型部31〜35(以下、第1〜第5成型部31〜35と称する)と、これらを順に接続する第3搬送経路36と、第3搬送経路36に沿って第3成型ドラムD3を第1〜第5成型部31〜35に順に搬送する第3搬送部37とを有している。
【0046】
第3成型ドラムD3は、外周部が径方向に拡縮可能に構成されており、第3搬送部37により回転駆動可能に支持されている。第3搬送部37は、第3成型ドラムD3を第3搬送経路36に沿ってドラム幅方向に搬送する。第3搬送経路36は、搬送方向の上流側に位置する前半部36aと、下流側に位置する後半部36bと、これらを連結するターンテーブル36cとを有している。
【0047】
第3搬送経路36の前半部36aに沿って、第1ベルト7a、第2ベルト7b、補強ベルト8を成型するための第1〜第3成型部31〜33が設けられ、それぞれに第1ベルト7aを供給する第1サービサ38aと、第2ベルト7bを供給する第2サービサ38bと、繊維コード入りのスパイラルテープを供給する供給手段39とが設けられている。
【0048】
第3成型ドラムD3が第1又は第2成型部31,32に到着したとき、対応する第1又は第2サービサ38a,38bは、第3成型ドラムD3に対して第1又は第2ベルト7a,7bを送り出して、ドラム回転により第3成型ドラムD3の外周部に積層する。その後、第3成型ドラムD3は、第3成型部33に搬送されて、供給手段39から供給されるスパイラルテープが螺旋状に巻き付けられて、ベルト7の上に補強ベルト8が成型される。
【0049】
第3搬送経路36の後半部36bに沿って、トレッドベース9a及びトレッドキャップ9bを成型するための第4及び第5成型部34,35が設けられ、それぞれにゴムストリップを押し出すための押出機E10,E11が配置されている。第3成型ドラムD3が第4又は第5成型部34,35に到着したとき、対応する押出機E10又はE11より第3成型ドラムD3に対してゴムストリップが押し出され、第3成型ドラムD3と各押出機E10,E11とを軸方向に相対移動させつつドラムを回転させることによりゴムストリップをベルト7及び補強ベルト8の外径側に螺旋状に巻き付け、トレッドベース9a及びトレッドキャップ9bをトレッド1の形状に応じた所定の厚みや幅に積層して円筒状のトレッドバンドを成型する。
【0050】
第3成型装置30において成型された円筒状のトレッドバンドは、トランスファ60により外周部から保持されて、第3成型ドラムD3より抜き出され、第4成型装置40に移送される。
【0051】
第4成型装置40は、第4成型ドラムD4を有している。第4成型ドラムD4は、グリーンケースを左右一対のビード3において内径側から保持する一対の支持体41,42を備えている。一対の支持体41,42は、ドラム軸方向において互いに近接、離間可能に設けられており、外周部に支持したグリーンケースの内側に膨出媒体(例えば圧縮空気)を充填する媒体供給部(不図示)を備えている。
【0052】
第4成型ドラムD4及びトランスファ60の相対移動により、トレッドバンドがグリーンケースに対して軸芯を一致させつつこの外周側に位置するようになった後、一対の支持体41,42を互いに近接させながらグリーンケースの内側に膨出媒体を供給させる。これによって、グリーンケースが、外径側にトロイダル状に膨出してトレッドバンドの内周部に付着し、グリーンケースとトレッドバンドとが合体した組合せ体が成型される。
【0053】
また、第4成型装置40には、前記組合せ体の両サイド部に対しサイドウォール(図7中の2)を形成するゴムストリップを押し出すための押出機E12,E12が設けられている。この押出機E12,E12により、前記組合せ体の両サイド部に対しサイドウォール2用のゴムストリップを押し出し供給して、ドラム回転によりサイドウォール2を貼り付けてグリーンタイヤTが完成する。
【0054】
ここで、本実施形態では、第1成型装置10は、第1成型ドラムD1に巻き付けられた複数のタイヤ構成部材の巻付状態を検査する、すなわち、タイヤ構成部材が巻き付けられることによって成型されたタイヤ部材を検査する、巻付状態検査部50(以下、検査部と称する)をさらに備えている。
【0055】
図2は、第1成型装置10を概略的に示す斜視図であり、第1搬送経路15はターンテーブル15cを省略して、前半部15a及び後半部15bが直線状に並ぶように簡略化して示されている。また、図2においては、図1とは異なり、第1及び第2押出機E1,E2と第1及び第2サービサ18a,18bとが、第1搬送経路15の幅方向に対して同じ側に位置するように示されている。
【0056】
図2に示すように、検査部50は、第1搬送経路15において第1〜第4成型部11〜14の搬送方向下流側にそれぞれ設けられた第1〜第4測定部51〜54と、これらにより測定された測定結果に基づいてタイヤ構成部材の巻付状態を分析する分析部55と、分析部55による分析結果を表示する表示部56とを有している。換言すれば、第1〜第4測定部51〜54のそれぞれは、後続する成型部への搬送経路の途中に位置しており、直前の成型部で巻き付けられたタイヤ構成部材を測定する。
【0057】
すなわち、第1測定部51は、第1搬送経路15において、第1成型部11と第2成型部12との間に設けられている。第2測定部52は、第1搬送経路15において、第2成型部12と第3成型部13との間に設けられている。第3測定部53は、第1搬送経路15において、第3成型部13と第4成型部14との間に設けられている。第4測定部54は、第1搬送経路15における第4成型部14の下流側に設けられている。
【0058】
第1測定部51によって、第1成型部11において第1成型ドラムD1に巻き付けられたインナーライナ5が測定される。第2測定部52によって、第2成型部12において第1成型ドラムD1にさらに巻き付けられたラバーチェーファ6が測定される。第3測定部53によって、第3成型部において第1成型ドラムD1にさらに巻き付けられた第1カーカスプライ4aが測定される。第4測定部54によって、第4成型部において第1成型ドラムD1にさらに巻き付けられた第2カーカスプライ4bが測定される。
【0059】
図3は、第1測定部51を搬送方向に見た概略図である。図3を併せて参照して、第1測定部51について詳述するが、第2〜第4測定部52〜54も同様に構成されている。図3に示すように、第1測定部51は、第1〜第4レーザセンサS1〜S4を有している。
【0060】
各レーザセンサS1〜S4は、1次元レーザ変位計であって、レーザ光を被測定部に対して照射してその反射光を受光することによって、当該被測定部までの距離を測定する。第1〜第4レーザセンサS1〜S4は、被測定物が該センサから所定距離内に在る場合に、当該被測定物までの距離を測定する。すなわち、第1〜第4レーザセンサS1〜S4は、ここを通過する第1成型ドラムD1に対して上記所定距離内で径方向に離間して位置している。
【0061】
第1〜第4レーザセンサS1〜S4は、第1成型ドラムD1の外周部に沿った複数位置に環状に配置されており、具体的には、通過する第1成型ドラムD1の外周に沿った180度以上わたる角度範囲における複数の角度位置に設けられている。本実施形態では、第1〜第4レーザセンサS1〜S4は、当該第1成型ドラムD1の外周に沿った概ね90度毎に略間隔で離間して位置している。
【0062】
第1〜第4レーザセンサS1〜S4は、第1測定部51を搬送される第1成型ドラムD1の移動にともなって第1成型ドラムD1およびここに巻き付けられたタイヤ構成部材までの距離を、このドラム幅方向にわたって測定する。各レーザセンサS1〜S4による測定結果は、分析部55に入力される。
【0063】
第1レーザセンサS1及び第3レーザセンサS3は、照射及び受光方向を水平方向に向けた姿勢で、第1成型ドラムD1を径方向に挟んで互いに対向するように一対に設けられている。第2レーザセンサS2及び第4レーザセンサS4は、照射及び受光方向を上下方向に向けた姿勢で、第1成型ドラムD1を径方向に挟んで互いに対向するように一対に設けられている。
【0064】
図2に示すように、分析部55は、ハードディスク等の記憶部57、演算処理部(CPU)58、メモリ、および入出力装置を備えた周知のコンピュータと、コンピュータに実装されたソフトウエアとにより構成されている。
【0065】
記憶部57には、第1〜第4成型部11〜14それぞれにおいて第1成型ドラムD1に巻き付けられるタイヤ構成部材の基準データが記憶されている。タイヤ構成部材の基準データには、第1成型ドラムD1に対して、設計中央値で巻き付けられたタイヤ構成部材の、ドラム幅方向における位置、幅方向長さ、蛇行量、厚み等の基準値と、基準値に対して許容される差(閾値)とが含まれている。すなわち、記憶部57には、インナーライナ5、ラバーチェーファ6、第1及び第2カーカスプライ4a,4bそれぞれについての基準データが記憶されている。
【0066】
演算処理部58は、第1〜第4レーザセンサS1〜S4による計測結果それぞれに基づいてプロファイルデータP11〜P14を作成するデータ作成部58aと、プロファイルデータP11〜P14に基づいてタイヤ構成部材の巻付状態を分析するデータ分析部58bと、この分析結果に基づいてタイヤ構成部材の巻付状態の良否を判定するデータ判定部58cとを有している。
【0067】
図4Aには、代表例として、第1レーザセンサS1による計測結果に基づいてデータ作成部58aにより作成されたプロファイルデータP11が示されている。図4Aに示すように、プロファイルデータP11は、横軸をドラム幅方向における被計測物のドラム幅方向位置として、縦軸をドラム軸芯O1から被測定面までの距離とした、2次元データとしてグラフ化されている。
【0068】
ここで、第1成型ドラムD1は、第1〜第4測定部51〜54を、所定の一定速度で通過するように第1搬送部16により搬送される。したがって、プロファイルデータP11においては、上記一定速度に測定時間を乗じることによって横軸方向の位置(ドラム幅方向位置)が算出される。また、図3を併せて参照して、プロファイルデータP11においては、ドラム軸芯O1から被測定面までの距離L2(厚み)は、ドラムの軸芯O1から各センサS1〜S4までの距離L0から各センサS1〜S4により測定された距離L1を減じた値として縦軸方向の位置が算出される。
【0069】
図4Aに示すように、測定結果が示されている領域A1は、第1レーザセンサS1によって被測定物、すなわち搬送される第1成型ドラムD1が検出された部分を示している。
【0070】
データ分析部58bは、データ作成部58aにより作成されたプロファイルデータP11における領域A1に基づいてこの横軸方向の両端部を第1成型ドラムD1の一対の幅方向端部D1xとして検出すると共に、これらのドラム幅方向における中央位置を第1成型ドラムD1のドラム中央位置D1zとして算出する。
【0071】
また、データ分析部58bは、プロファイルデータP11に基づいて、領域A1のうち、距離(厚み)が所定の閾値を超えて増大している領域B1を、第1成型ドラムD1に巻き付けられたタイヤ構成部材、すなわちインナーライナ5が存在する領域として検出する。上記所定の閾値は、所定の厚みを有するインナーライナ5を検出可能な値として設定されており、例えばインナーライナ5の厚みの許容される下限値に設定されている。
【0072】
データ分析部58bは、領域B1の横軸方向の両端部を、インナーライナ5の一対の幅方向端部5xとして検出すると共に、これらのドラム幅方向における中央位置をインナーライナ5の幅方向中央位置5zとして算出する。さらに、データ分析部58bは、インナーライナ5の幅方向中央位置5zと第1成型ドラムD1の幅方向中央位置D1zとの差であるオフセンタ5wを算出する。またさらに、データ分析部58bは、領域B1の横軸方向の寸法を、インナーライナ5の幅方向寸法L5として算出する。
【0073】
上述したように、第1測定部51において、第1〜第4レーザセンサS1〜S4それぞれによる測定結果に基づいてプロファイルデータP11〜P14が作成され、プロファイルデータP11〜P14それぞれに対応する、4つのインナーライナ5の一対の幅方向端部5xが検出されると共に、4つの幅方向中央位置5z及び幅方向寸法L5が算出される。データ分析部58bは、4つのインナーライナ5の幅方向端部5xのバラツキ(例えば、最大値と最小値との差)を蛇行量5yとして算出する。
【0074】
データ判定部58cは、データ分析部58bにより算出された、インナーライナ5の、オフセンタ5w、幅方向寸法L5及び蛇行量5yを、記憶部57に記憶された基準データと比較して、基準データとの差を算出する。次いで、データ判定部58cは、基準データとの差が所定の閾値以下であるかに基づいて、インナーライナ5の巻付状態の良否を判定する。データ判定部58cによる判定結果は、表示部56に表示される。
【0075】
次に、図5に示すフローチャートを参照して、検査部50における、タイヤ構成部材の巻付状態の検査の流れを説明する。
【0076】
まず、第1成型部11においてインナーライナ5が巻き付けられた第1成型ドラムD1が、第1搬送部16によって第1搬送経路15に沿って第2成型部12に向けて搬送されて、第1測定部51を通過する(ステップS001)。このとき、第1測定部51を通過する第1成型ドラムD1がドラム幅方向にわたって、第1〜第4レーザセンサS1〜S4によって径方向に測定される(ステップS002)。
【0077】
次いで、データ作成部58aは、第1〜第4レーザセンサS1〜S4による測定結果に基づいてプロファイルデータS11〜S14を作成する(ステップS003)。
【0078】
次いで、データ分析部58bは、プロファイルデータS11〜S14それぞれに基づいて、インナーライナ5の、オフセンタ5w、幅方向寸法L5及び蛇行量5yを算出する(ステップS004)。なお、オフセンタ5w及び幅方向寸法L5は、第1〜第4レーザセンサS1〜S4毎に算出される。また、蛇行量5yは、第1〜第4レーザセンサS1〜S4に対して1つのみ算出される。
【0079】
次いで、データ判定部58cは、インナーライナ5のオフセンタ5w、幅方向寸法L5及び蛇行量5yが、記憶部57に記憶された基準データに徴して、基準データとの差を算出し(ステップS005)、該差が所定の閾値以下であるか否かを判定する(ステップS006)。
【0080】
基準データとの差が所定の閾値以下である場合、データ判定部58cは、インナーライナ5の巻付状態を良と判定して、表示部56にプロファイルデータS11〜14及びオフセンタ5w、幅方向寸法L5及び蛇行量5yを含む分析結果を表示させる(ステップS007)。
【0081】
一方、基準データとの差が所定の閾値を超える場合、データ判定部58cは、インナーライナ5の巻付状態を不良と判定して、表示部56にプロファイルデータS11〜S14及び分析結果を表示させると共にエラーを表示させる(ステップS008)。表示部56にエラーを表示させることによって、オペレータにインナーライナ5の巻付状態が不良であることを報知させることができる。これによって、タイヤ構成部材の巻付状態が不良であるカーカスバンドが流出することを未然に防止することができる。
【0082】
以降、第2〜第4測定部52〜54それぞれにおける測定結果に基づいて、直前の第2〜第4成型部12〜14で巻き付けられたタイヤ構成部材の巻付状態が、同様に検査される。なお、直前の成型部で巻き付けられたタイヤ構成部材がドラム径方向の距離(厚み)に基づいて検出される。
【0083】
若しくは直前の測定部で作成されたプロファイルデータとの差、具体的には厚みが増大している部分として検出してもよい。具体的には、第2測定部52を例にとって説明すると、直前に位置する第2成型部12でさらに巻き付けられたラバーチェーファ6が、第1測定部51における計測結果に基づくプロファイルデータP11〜14に対する第2測定部52における計測結果に基づいて作成されたプロファイルデータP21〜24(図4BにプロファイルデータP21を示す)の差(増分)が所定の閾値を超える領域Cとして検出される。なお、ラバーチェーファ6は、左右一対に巻き付けられるため、領域Cは、右側領域及び左側領域の左右一対に検出され、それぞれについてラバーチェーファ6の巻付状態(オフセンタ6w、幅方向寸法L6、蛇行量6y)が分析される。
【0084】
上記説明したグリーンタイヤの成型設備によれば、次のような効果が得られる。
【0085】
(1)第1成型装置10において、第1成型ドラムD1が第1搬送経路15に設けられた第1〜第4測定部51〜54を通過することによって、第1成型ドラムD1及びここに巻き付けられたタイヤ構成部材(インナーライナ5、ラバーチェーファ6、カーカスプライ4)が、第1成型ドラムD1の幅方向にわたってタイヤ径方向に測定されて、タイヤ構成部材の巻付状態が検査される。すなわち、第1成型ドラムD1が搬送される動きを利用して測定が実施されるので、測定工程を専用に設けたり抜き取り検査したりすることなく、カーカスバンドにおけるタイヤ構成部材の巻付状態を容易に全数検査できる。
【0086】
(2)第1〜第4測定部51〜54は、デッドスペースを利用して第1搬送経路15の途中に配置されているので、第1成型装置10の大型化が抑制される。さらに、第1成型ドラムD1が搬送されている間に測定されるのでサイクルタイムが伸びない。
【0087】
(3)第1〜第4レーザセンサS1〜S4が第1成型ドラムD1の周方向に沿った複数の位置に設けられているので、タイヤ構成部材が第1成型ドラムD1の周方向におけるより広い範囲において測定される。これによって、例えば、タイヤ構成部材の蛇行量を算出することができ、カーカスバンドにおけるタイヤ構成部材の巻付状態を精度よく検査できる。また、第1成型ドラムD1を回転させることなく、周方向の複数箇所において測定できるので、第1成型装置10を単純化できる。
【0088】
(4)第1レーザセンサS1及び第3レーザセンサS3は第1成型ドラムD1を間に挟んで上下方向(径方向)に対称に設けられており、第2レーザセンサS2及び第3レーザセンサS4は第1成型ドラムD1を間に挟んで左右方向(径方向)に対称に設けられている。これによって、タイヤ構成部材の巻付状態を、周方向にバランスよく検査できる。
【0089】
(5)第1〜第4測定部51〜54は、第1搬送経路15において第1〜第4成型部11〜14それぞれの下流側に設けられている。これによって、各成型部11〜14において第1成型ドラムD1に巻き付けられてなるタイヤ部材を、切断することなく各タイヤ構成部材それぞれの巻付状態を検査できる。よって、タイヤ構成部材の巻付状態をより精度よく検査できる。
【0090】
上記実施形態では、表示部56にプロファイルデータP11〜P14及びタイヤ構成部材の巻付状態の分析結果を表示させたが、これに加えて、分析結果の推移を表示させてもよい。例えば、図6に示すように、インナーライナ5の幅方向寸法L5を成型品毎に順に並べてグラフ化して、幅方向寸法L5の推移を表示させてもよい。また、これに併せて幅方向寸法L5の基準値を示す基準ラインXと、これに対して閾値を考慮した上限値及び下限値を示す許容値ラインXmax,Xminとを表示させてもよい。
【0091】
これによって、幅方向寸法L5の推移を確認することができ、該推移に基づいて、インナーライナ5の巻付状態が、許容値ラインXmax,Xminに照らして不良となり得ることを事前に予測しやすい。例えば、該予測に基づいて、タイヤ構成部材の巻付状態が許容値ラインXmax,Xminの間に維持されるように対応する成型部におけるタイヤ構成部材の巻き付け方を調整することによって、不良品が成型されることが未然に防止される。
【0092】
また、上記実施形態では、第1成型装置10に検査部50を設けた場合を例にとって説明したがこれに限らない。すなわち、タイヤ構成部材が巻き付けられるタイヤ部材成型装置に適用することができ、第3成型装置30に適用することができる。
【0093】
この場合に、検査部50によってトレッド1のプロファイルを検査するようにしてもよい。すなわち、データ作成部58aにより作成されるプロファイルデータP11〜P14に基づいて、トレッド1の厚みを算出し、これを記憶部57に記憶された厚みの基準値と比較することによって、トレッド1のプロファイルを検査してもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、タイヤ構成部材の巻付状態が不良である場合に、表示部56にエラーを表示させるように構成したが、これに加えて、対応する成型機を停止させるようにしてもよい。これによって、不良品が成型されることが未然に防止される。
【0095】
また、上記実施形態では、センサとして、1次元レーザセンサを使用しているが、これに限らない。すなわち、センサとして、2次元レーザセンサを採用してもよい。2次元レーザセンサを採用する場合、2次元レーザセンサの照射部及び受光部が成型ドラムの周方向に沿うように配置し、これによってドラム周方向の所定幅領域におけるプロファイルデータを作成することができる。これによって、より広い領域において、タイヤ構成部材の巻付状態を検査できる。
【0096】
また、センサに代えて、カメラを採用してもよく、測定部を通過する成型ドラムをドラム幅方向にわたって撮影し、画像若しくは動画を解析することによって、タイヤ構成部材のドラム幅方向の端部を検出して、該端部に基づいて、オフセンタ、幅方向寸法、蛇行量等の巻付状態を分析するようにしてもよい。
【0097】
なお、本発明は、上記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 トレッド
2 サイドウォール
3 ビード
4 カーカスプライ
5 インナーライナ
6 ラバーチェーファ
7 ベルト
8 補強ベルト
9 トレッドゴム
10 第1成型装置
11〜14 第1〜第4成型部
15 第1搬送経路
16 第1搬送部
20 第2成型装置
30 第3成型装置
40 第4成型装置
50 検査部
51〜54 第1〜第4測定部
55 分析部
56 表示部
57 記憶部
58 演算処理部
58a データ作成部
58b データ分析部
58c データ判定部
100 グリーンタイヤの成型設備
T グリーンタイヤ
S1〜S4 第1〜第4レーザセンサ
P11〜P14 プロファイルデータ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8