(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-828(P2020-828A)
(43)【公開日】2020年1月9日
(54)【発明の名称】低侵襲の三尖弁外科的修復用カニューレ
(51)【国際特許分類】
A61M 25/14 20060101AFI20191206BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20191206BHJP
【FI】
A61M25/14
A61B17/00 500
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-213459(P2018-213459)
(22)【出願日】2018年11月14日
(31)【優先権主張番号】18180348.7
(32)【優先日】2018年6月28日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】518405108
【氏名又は名称】メディニーツェ エス.アー.
【氏名又は名称原語表記】MEDINICE S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】スバルスキ ピョートル
(72)【発明者】
【氏名】グルニャク ツェザリー
【テーマコード(参考)】
4C160
4C167
4C267
【Fターム(参考)】
4C160DD03
4C167BB02
4C167CC19
4C267BB02
4C267CC19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】低侵襲の三尖弁外科的修復用カニューレを提供する。
【解決手段】カニューレは、管によって構成され、管は近位端にヘッドを備えており、ヘッドは円錐形の剛性リング3からなり、他方の側で、折りたたまれた状態において円盤形状を有する可撓性リング4によってそれに接続されている。ヘッドの上部には、カニューレの内部につながる軸孔があり、その径は、カニューレの外径の80%を占める。剛性リングの部分では、その壁部の表面に恒久的に取り付けられる一方、その残りの長さでは、管の壁部に相対的に摺動可能に移動することができる。ガイド・スリーブは2本のタイ・ロッド9を備え、2本のタイ・ロッドは、一端では互いに対向してガイド・スリーブの壁部に取り付けられ、それらの自由端は、カニューレの壁部に沿ってその遠位端を越えて延在する。10から20%の長さのカニューレの中心部分には、壁部に開いた横孔7がある。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低侵襲の三尖弁外科的修復用カニューレであって、その遠位端にコネクタのある可撓性管を構成し、前記管(5)はその遠位端に、折りたたまれた状態において円盤形状を有する可撓性リング(4)によってそれに他方の側で接続された円錐形の剛性リング(3)からなるヘッド(2)を備え、前記ヘッド(2)の上部には、前記カニューレ(1)の内部につながる軸孔(8)があり、前記ヘッド(2)の全体長、かつ前記ヘッド(2)に対する接続箇所付近の前記管(5)の一部には、内側から、薄いガイド・スリーブ(6)があり、それが、前記剛性リング(3)の部分では、その壁部の表面に恒久的に取り付けられる一方、その残りの長さでは、前記管(5)の壁部に相対的に摺動可能に移動することができ、前記ガイド・スリーブ(6)は、一端が互いに対向して前記ガイド・スリーブ(6)の壁部に取り付けられた少なくとも2本のタイ・ロッド(9)を備え、それらの自由端が、前記カニューレ(1)の壁部に沿ってその遠位端を越えて延在する、低侵襲の三尖弁外科的修復用カニューレ。
【請求項2】
前記ヘッド(2)の前記上部の入口孔(8)の径が、前記カニューレ(1)の外径の50から90%を占める、請求項1に記載のカニューレ。
【請求項3】
10から20%の長さの前記カニューレ(1)の中心部分には、その円周の周りに均等に間隔の空けられた、前記壁部に開いた横孔(7)がある、請求項1に記載のカニューレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、低侵襲の三尖弁外科的修復用カニューレである。
【背景技術】
【0002】
カニューレ挿入は、患者から血液を受け取り、それを、体外循環を行う装置に供給するために、カニューレ、すなわち特殊な管を、動脈血管内、ほとんどの場合は大動脈または大腿動脈内に、また静脈血管内に載置する処置である。三尖弁の外科手術の場合、血液が右心房を通じて流れないように上大静脈(SVC)と下大静脈(IVC)の両方に選択的にカニューレ挿入することが必要であり、これにより右心房の開放および外科手術を受けている三尖弁への到達が可能になる。三尖弁修復の標準的な処置では、SVCおよびIVCへの、またそこからの血液の流れは、血液が右心房に到達する前に遮断される。この処置は、右心房を三尖弁とともに分離し、それと同時に、他の臓器および組織を壊死から保護するために必要である。血液がカニューレの内側のみを流れ、血管の管腔を通って流れないように、カニューレの周りの大静脈を分離する、すなわち閉鎖してクランプする方法は、カニューレ挿入にとって不可欠である。いわゆるスナッガ(snugger)による外側からのクランプが、標準的な外科手術、すなわち胸骨切開によるもの、にとって典型的である。しかしそれは、骨に影響を及ぼすことなく胸部の側壁に開いた数センチメートルを有する切開部経由で心臓および弁に接近すること、および内視鏡カメラの制御下で特殊な長尺の器械を使用して弁を置換することからなる低侵襲の外科手術の場合、非常に困難となり得、または不可能ですらあり得る。そのような外科手術には、体外循環を接続する異なる方法、別のカニューレ挿入場所(鼠径部内の静脈および大腿動脈)、したがって、完全に異なるカニューレを使用する必要性が伴う。
【0003】
市場には、低侵襲の外科手術用の静脈カニューレがある。バルーンまたは特殊なカラーをカニューレのその遠位部内に付加することにより、大静脈が内側からいくらか閉鎖されることが可能になり、外側から静脈をクランプするのと同じ効果がもたらされ、したがって、低侵襲の外科手術が可能になっている。
【0004】
通常、低侵襲の三尖弁外科手術には2本のカニューレが使用され、一方は下大静脈用に大腿動脈に挿入され、他方は上大静脈用に頸静脈を通じて挿入される。しかし、両静脈から同時に血液を脱血するカニューレ・デザインを開発しようとする試みがなされてきた。
【0005】
したがって、特許文献1からは、心臓病外科手術中に患者の血液を脱血するように意図され、かつカニューレの主要部の端部に2本の分枝を有する、静脈カニューレが知られている。各分枝の中間の周りに閉塞性バルーンがあり、それが、充填後に、内側から血管を封鎖し、それにより、カニューレの外側でのカニューレに沿った血液の流れを防ぐ。
【0006】
特許文献2からは、カニューレ、および心臓外科手術中の血管のカニューレ挿入の方法が知られている。カニューレは、内側から大静脈を封鎖する2つの閉塞性バルーンを備える。
【0007】
特許文献3からは、ソフト・シリコーン製の傘状リングを有する大静脈用のカニューレが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,086,557号明細書
【特許文献2】米国特許第5,800,375号明細書
【特許文献3】特許出願第CN102475556号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、低侵襲の三尖弁外科的修復用カニューレである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の本質は、カニューレが管によって形成され、管はその近位端に、折りたたまれた状態において円盤形状を有する可撓性リングによって他方の側で接続された円錐形の剛性リングからなるヘッドを備え、ヘッドの上部に、カニューレの内部につながる軸孔がある、ということにある。ヘッドの全体長、かつヘッドに対する接続箇所付近の管の部分には、内側から、薄いガイド・スリーブがあり、それが、剛性リングの部分では、その壁部の表面に恒久的に取り付けられる一方、その残りの長さでは、カニューレの壁部に相対的に摺動可能に移動することができる。ガイド・スリーブは、一端が互いに対向してガイド・スリーブの壁部に取り付けられた少なくとも2本のタイ・ロッドを備え、それらの自由端が、カニューレの壁部に沿ってその遠位端を越えて延在する。
【0011】
好ましくは、ヘッドの上部の入口孔の径が、カニューレの外径の50から90%を占める。
好ましくは、10から20%の長さのカニューレの中心部分に、その円周の周りに均等に間隔の空けられた、壁部に開いた横孔がある。
【発明の効果】
【0012】
本発明による解決策の最大の利点は、それにより、低侵襲の心臓病外科手術という状況下で、三尖弁外科手術にとって必要である下および上大静脈からの血液の選択的脱血が可能になるということである。本発明によるカニューレは、他の血管(例えば頸静脈)にカニューレ挿入する必要性なく大腿静脈のみを通じて導入され、時間のかかる処置であるとともに、ある特定の解剖学的および臨床的状況においては、例えば再外科手術(reoperation surgery)の場合には、リスクが大きく実施することの不可能な、上大静脈内におけるカニューレの外側からの封鎖も要しない。
【0013】
このカニューレの適用は、比較的単純でありかつ疑う余地なく外科手術時間を低減させ、心臓病患者のコンディションにとって、また処置後の患者の回復の速度にとって、それは大いに重要である。ヘッドのデザインが、静脈を効率良く通過することを可能にし、それと同時に、右心房に至る血液の流れの耐密な遮断も可能にする。ヘッドの可変な外径が、そのサイズを静脈の内径に対して調整できる可能性をもたらす。封鎖がバルーンの形をとるカニューレに勝る、本発明によるカニューレの優位性は、時間のかかる困難な動作であるバルーンの充填の必要性がまったくないが、封鎖の効果は同じである、というものである。
【0014】
本発明によるカニューレの単純なデザインは、その製造のコストにとっても、したがって最終価格にとっても重要である。
本発明の目的は、添付の図面の例示的実施形態において提示される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】カニューレの片側断面図(half−view−half−section)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
カニューレ1は、管5によって構成され、管5は近位端にヘッド2を備えており、ヘッド2は円錐形の剛性リング3からなり、他方の側で、折りたたまれた状態において円盤形状を有する可撓性リング4によってそれに接続されている。ヘッド2の上部には、カニューレ1の内部につながる軸孔8があり、その径は、カニューレの外径の80%を占める。ヘッド2の全体長、かつヘッド2に対する接続箇所付近の管5の一部には、内側から、薄いガイド・スリーブ6があり、それが、剛性リング3の部分では、その壁部の表面に恒久的に取り付けられる一方、その残りの長さでは、管5の壁部に相対的に摺動可能に移動することができる。ガイド・スリーブ6は2本のタイ・ロッド9を備え、2本のタイ・ロッド9は、一端では互いに対向してガイド・スリーブ6の壁部に取り付けられ、それらの自由端は、カニューレ1の壁部に沿ってその遠位端を越えて延在し、人間工学的ハンドルで終端される。10から20%の長さのカニューレ1の中心部分には、その円周の周りに均等に間隔の空けられた、壁部に開いた横孔7がある。
【0017】
カニューレ1は、そのヘッド2が展開された状態で大腿静脈に導入され、次いで、心臓に到達すると、右前庭部(right vestibule)を通過し、カニューレ1のヘッド2が上大静脈内に載置される。次いで、タイ・ロッド9を引っ張ると、剛性リング3が可撓性リング4に押し付けられ、その壁部が外向きに突き出る。カニューレ1の遠位端に位置付けられたコネクタが、体外循環を行う装置に接続される。外科手術後、可撓性リング4の壁部が、タイ・ロッド9によってまっすぐに伸ばされ、その後、カニューレ1が静脈から取り除かれる。
【符号の説明】
【0018】
1…カニューレ、2…ヘッド、3…剛性リング、4…可撓性リング、5…管、6…ガイド・スリーブ、7…横孔、8…カニューレの内部に至る入口孔、9…タイ・ロッド。
【外国語明細書】