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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-83346(P2020-83346A)
(43)【公開日】2020年6月4日
(54)【発明の名称】折り畳み式ストッカーの組立て構造
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/12 20060101AFI20200508BHJP
   E04G 21/16 20060101ALI20200508BHJP
   E04G 5/14 20060101ALI20200508BHJP
   B65D 6/16 20060101ALI20200508BHJP
【FI】
   B65D19/12 A
   E04G21/16
   E04G5/14 301G
   B65D6/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-216941(P2018-216941)
(22)【出願日】2018年11月20日
(71)【出願人】
【識別番号】306035122
【氏名又は名称】信和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098224
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 勘次
(74)【代理人】
【識別番号】100140671
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 正代
(72)【発明者】
【氏名】山田 博
(72)【発明者】
【氏名】青山 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】河合 賢樹
【テーマコード(参考)】
2E174
3E061
3E063
【Fターム(参考)】
2E174AA01
2E174BA03
2E174CA03
3E061AA01
3E061AD04
3E061CA01
3E063AA07
3E063AA16
3E063AA25
3E063CA03
3E063CB04
3E063CB07
3E063CD04
3E063CD11
(57)【要約】
【課題】底部フレームに対して支柱を傾倒させることができる折り畳み式ストッカーを簡易な構成としつつ、支柱を立設させた組立て時の姿勢を安定して保持できると共に、組立て時の剛性を高めることができる組立て構造を提供する。
【解決手段】折り畳み式のストッカー1の支柱20に、足場用手摺り110のフック115を係止させる係止用突起50を設けると共に、足場用手摺りのクサビ部130を挿入する係止用環状部60を設け、底部フレーム10に対して傾倒させた状態から底部フレームから立設する状態に変位させた支柱の一対を、建築現場に存在する足場用手摺りで連結する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足場部材を積載するためのストッカーであって、底部フレーム、及び、該底部フレームに対して傾倒している状態と前記底部フレームから立設している状態とに変位する支柱を備える折り畳み式ストッカーと、
長棒状の中間部材、該中間部材の一端及び他端にそれぞれの一端が回動可能に連結された長棒状の一対のブレース材、該ブレース材それぞれにおいて前記中間部材に連結された側の端部に設けられた一対のフック、及び、前記ブレース材それぞれの自由端に設けられた一対のクサビ部を備える足場用手摺りと、を具備し、
前記折り畳み式ストッカーは、前記支柱の自由端近傍から突出している係止用突起、及び、前記支柱の基端近傍または前記支柱と前記底部フレームとの連結部において突出し、前記支柱の軸方向に貫通する孔部が形成された係止用環状部を更に備えており、
前記支柱が前記底部フレームから立設している状態で、一つの前記足場用手摺りにおける一対の前記フックが、隣接して対をなす前記支柱の前記係止用突起にそれぞれ係止されていると共に、同じ前記足場用手摺りの一対の前記ブレース材が交差している状態で、一対の前記クサビ部が前記係止用環状部にそれぞれ挿入されている
ことを特徴とする折り畳み式ストッカーの組立て構造。
【請求項2】
前記折り畳み式ストッカーは、
複数の載置プレートと、
それぞれ隣接して対をなす二対の前記支柱間に、複数の前記載置プレートを着脱自在に架け渡す複数のプレート取付け部と、を備えており、
前記プレート取付け部は、一対の前記支柱間の前記載置プレートと他の対の前記支柱間の前記載置プレートとが同じ高さで対向すると共に、同一の前記載置プレートが架け渡された一対の前記支柱を結ぶ方向が、一つの前記足場用手摺りの一対の前記フックが係止されている前記支柱の一対を結ぶ方向と交差する方向となるように、前記支柱に設けられており、
同じ高さで対向している二枚の前記載置プレート間に前記足場部材が積載されている
ことを特徴とする請求項1に記載の折り畳み式ストッカーの組立て構造。
【請求項3】
積載対象の前記足場部材は、前記足場用手摺りと同一構成である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の折り畳み式ストッカーの組立て構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底部フレームに対して支柱を傾倒させることができる折り畳み式ストッカーの組立て構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅やビル等の建物、橋梁やトンネル等の土木構造物の建築現場では、設置面から立設させる支柱、支柱間に架設される踏み板、梁部材、手摺り材など、多種類の足場部材がそれぞれ多数使用される。そのため、不使用時に足場部材を整然と保管したり、まとめて搬送したりするために、足場部材を積載するストッカー(「パレット」、「ラック」と称されることもある)が使用されている。
【0003】
このようなストッカーとして、従前より、底部フレームに対して支柱を傾倒させることができる折り畳み式のストッカーが使用されている。折り畳み式とすることにより、不使用時にストッカーが嵩張らない利点を有している。
【0004】
折り畳み式のストッカーでは、組立てた状態、すなわち、使用時に支柱を立設させた状態を保持する必要があるが、そのために支柱の傾倒を規制するロック機構を設けると、ストッカーの構成が複雑となり、コスト高となる問題がある。
【0005】
また、支柱の傾倒を規制するロック機構を設けたとしても、そのようなロック機構は支柱と底部フレームとを連結する支柱の基端近傍に設けざるを得ないため、組立てた状態におけるストッカーの剛性を高めることが難しいという問題がある。この問題は、支柱が長くなるほど顕著である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、底部フレームに対して支柱を傾倒させることができる折り畳み式ストッカーを簡易な構成としつつ、支柱を立設させた組立て時の姿勢を安定して保持できると共に、組立て時の剛性を高めることができる組立て構造の提供を、課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明にかかる折り畳み式ストッカーの組立て構造(以下、単に「組立て構造」と称することがある)は、
「足場部材を積載するためのストッカーであって、底部フレーム、及び、該底部フレームに対して傾倒している状態と前記底部フレームから立設している状態とに変位する支柱を備える折り畳み式ストッカーと、
長棒状の中間部材、該中間部材の一端及び他端にそれぞれの一端が回動可能に連結された長棒状の一対のブレース材、該ブレース材それぞれにおいて前記中間部材に連結された側の端部に設けられた一対のフック、及び、前記ブレース材それぞれの自由端に設けられた一対のクサビ部を備える足場用手摺りと、を具備し、
前記折り畳み式ストッカーは、前記支柱の自由端近傍から突出している係止用突起、及び、前記支柱の基端近傍または前記支柱と前記底部フレームとの連結部において突出し、前記支柱の軸方向に貫通する孔部が形成された係止用環状部を更に備えており、
前記支柱が前記底部フレームから立設している状態で、一つの前記足場用手摺りにおける一対の前記フックが、隣接して対をなす前記支柱の前記係止用突起にそれぞれ係止されていると共に、同じ前記足場用手摺りの一対の前記ブレース材が交差している状態で、一対の前記クサビ部が前記係止用環状部にそれぞれ挿入されている」ものである。
【0008】
本構成では、折り畳み式ストッカー(以下、単に「ストッカー」と称することがある)であって、支柱を底部フレームに対して傾倒している状態から立設している状態に変位させたストッカーにおいて、隣接している支柱が自由端近傍で足場用手摺りの中間部材で連結されていると共に、足場用手摺りの一対のブレース材が筋交いとなるようにストッカーに取付けられている。従って、“ストッカーの構成ではなく”、ストッカーが使用される建築現場(足場が仮設される現場)に存在する足場用手摺りを有効に利用して、支柱が立設された組立て時の支柱の姿勢を安定的に保持することができると共に、組立て時のストッカーの剛性を高めることができる。
【0009】
本発明にかかる組立て構造は、上記構成に加え、
「前記折り畳み式ストッカーは、
複数の載置プレートと、
それぞれ隣接して対をなす二対の前記支柱間に、複数の前記載置プレートを着脱自在に架け渡す複数のプレート取付け部と、を備えており、
前記プレート取付け部は、一対の前記支柱間の前記載置プレートと他の対の前記支柱間の前記載置プレートとが同じ高さで対向すると共に、同一の前記載置プレートが架け渡された一対の前記支柱を結ぶ方向が、一つの前記足場用手摺りの一対の前記フックが係止されている前記支柱の一対を結ぶ方向と交差する方向となるように、前記支柱に設けられており、
同じ高さで対向している二枚の前記載置プレート間に前記足場部材が積載されている」ものとすることができる。
【0010】
本構成では、ストッカーが着脱式の載置プレートを複数備えていると共に、載置プレートを取付けるためのプレート取付け部が支柱に複数設けられており、二対の支柱間にそれぞれ架け渡されて同じ高さで対向する二枚の載置プレート間に足場部材が積載されている。従って、載置プレートを取付けるプレート取付け部の間隔、及び、使用する載置プレートの枚数を、積載対象の足場部材の積載姿勢における高さに応じて変更することができる。これにより、単一構成のストッカーに、高さの異なる多種類の足場部材を積載することができる。
【0011】
また、隣接する支柱間に載置プレートが架け渡されることにより、載置プレートによっても支柱が立設された姿勢が安定的に保持されると共に、ストッカーの剛性が高められる。本構成では、載置プレートが架け渡される一対の支柱を結ぶ線と、足場用手摺りが取り付けられる一対の支柱を結ぶ線とが交差しているため、足場用手摺り及び載置プレートそれぞれによって、組立て時の支柱の姿勢を安定させると共にストッカーの剛性を高める作用が発揮される方向が交差することとなり、両者の作用が相乗的に発揮される利点を有している。
【0012】
本発明にかかる組立て構造は、上記構成に加え、
「積載対象の前記足場部材は、前記足場用手摺りと同一構成である」ものとすることができる。
【0013】
本構成は、支柱を立設させた組立て時の姿勢を安定して保持させる共に、組立て時のストッカーの剛性を高めるために、“ストッカーの積載対象である足場部材の一部”を使用するという、独創的なアイデアに基づくものである。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、底部フレームに対して支柱を傾倒させることができる折り畳み式ストッカーを簡易な構成としつつ、支柱を立設させた組立て時の姿勢を安定して保持できると共に、組立て時の剛性を高めることができる組立て構造を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1(a)はストッカーの斜視図であり、図1(b)は載置プレートの斜視図である。
図2図2図1(a)のストッカーに下端載置プレートを取付けた状態の斜視図である。
図3図3(a)は足場用手摺りの斜視図であり、図3(b)は図3(a)の足場用手摺りを折り畳んだ状態の斜視図であり、図3(c)は図3(a)の足場用手摺りが仮設足場で使用される場合に取付けられるフランジ状取付け具を有する足場支柱の部分斜視図である。
図4図4図2の状態のストッカーの支柱間に図3(a)の足場用手摺りを取付けた状態の斜視図である。
図5図5図4の状態のストッカーの下端載置プレートに積載対象である足場用手摺りを積載し、更に載置プレートを取付けた状態の斜視図である。
図6図6図1(a)のストッカーに積載対象である足場用手摺りを多段に積載し、図3(a)の足場用手摺りの二つをそれぞれ支柱間に取付けた状態の斜視図である。
図7図7(a)は図1(a)のストッカーが折り畳まれた状態の斜視図であり、図7(b)は図7(a)の状態の平面図であり、図7(c)はX−X線断面図である。
図8図8(a)は足場用幅木の斜視図であり、図8(b)は図1(a)のストッカーに積載対象の足場部材として図8(a)の足場用幅木を積載した状態の斜視図である。
図9図9(a)は中間支柱の斜視図であり、図9(b)は図1(a)のストッカーに図9(a)の中間支柱を固定した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図1乃至図7を用いて説明する。本実施形態の組立て構造は、折り畳み式のストッカー1と足場用手摺り110とを具備している。
【0017】
まず、ストッカー1の構成について説明する。ストッカー1は、底部フレーム10と、支柱20と、支柱20と底部フレーム10との連結部30と、載置プレート70と、プレート取付け部40と、収納部80と、係止用突起50と、係止用環状部60とを、主な構成とする。
【0018】
底部フレーム10は、一対の第一バー11と一対の第二バー12によって形成された枠体であり、真上から見た形状(平面視形状)は矩形である。ここでは、第一バー11が第二バー12より長い場合を例示している。以下では、第一バー11の軸方向を「左右」方向と称すると共に、第二バー12の軸方向を「前後」方向と称する。また、底部フレーム10において第一バー11及び第二バー12によって囲まれる面を設置面と平行とした状態で、底部フレーム10に対して立設させた支柱20の軸方向を「上下」方向と称する。
【0019】
支柱20は、軸方向に直交する断面の外形が矩形の長棒状で四本あり、その基端が連結部30を介して底部フレーム10の四隅に連結されている。ここでは、四本の支柱20のうち、前方の第一バー11の両端にそれぞれ連結されているものを支柱21と称すると共に、後方の第一バー11の両端にそれぞれ連結されているものを支柱22と称し、特に区別する必要がない場合は支柱20と総称する。矩形の底部フレーム10の四隅から支柱20が立設していることにより、対をなす支柱21と支柱22とを結ぶ方向は、一対の支柱21を結ぶ方向と直交していると共に、一対の支柱22を結ぶ方向と直交している。
【0020】
連結部30は、支柱20の数に対応させて四個あり、それぞれ中間壁31と、中間壁31の両側辺から同一方向に直角に延出している一対の側壁32とからなる断面コ字形の部材である。それぞれの連結部30は、第二バー12それぞれの両端部に、コ字の開口を左右方向における内方に向けた状態で固定されており、第一バー11が連結部30の開口内に一端が挿入された状態で連結部30に固定されている。そして、連結部30の開口内において、第一バー11の上に支柱20の基端が挿入されている。
【0021】
連結部30の一対の側壁32それぞれには、丁度重なるように長孔15が貫設されている。この長孔15は、上下方向に延びると共に、上方に向かうほど左右方向における内方に向かうように傾斜している。それぞれの支柱20の基端近傍には、前後方向における双方向に突出するように連結ピン36を貫通させてあり、この連結ピン36は一対の側壁32それぞれの長孔15を貫通した状態で長孔15から抜け止めされている。本実施形態では連結ピン36は雄ネジであり、雄ネジの両端部それぞれに留め付けられたナット37によって、長孔15からの抜け止めがなされている。そして、連結ピン36が長孔15の下端に位置している状態で、支柱20は第一バー11の上に載置された状態となる。このような構成の連結部30は、支柱20の基端を底部フレーム10に連結する役割と、第一バー11と第二バー12とを連結して底部フレーム10を形成させる役割とを兼ねている。
【0022】
各支柱20を底部フレーム10に連結している連結部30それぞれの下端には、脚部18が設けられており、脚部18を設置面に立設させた状態では、底部フレーム10に囲まれた面が設置面と平行となる。また、連結部30それぞれには、外方に向かって突出するようにリング状金具19が固着されている。このリング状金具19に通したロープやワイヤ等により、ストッカー1を吊り下げることができる。
【0023】
上記構成の連結部30を介して支柱20の基端が底部フレーム10に連結されていることにより、連結ピン36を長孔15に沿って上方に移動させつつ支柱20を上方に引き上げ、支柱20と第一バー11との間に空隙が生じた状態で、支柱20を左右方向における内方に向かって倒すことにより、図7(a)及び図7(b)に示すように、支柱20が底部フレーム10に対して折り畳まれた状態とすることができる。上記のように連結部30の開口は左右方向における内方に向けられており、その内部に第一バー11の端部が挿入されていることにより、それぞれの支柱20は第一バー11に重畳するように折り畳まれる。なお、連結部30の一対の側壁32と支柱20との間にはクリアランスが設けられているが、このクリアランスの大きさは、支柱20の長さが第一バー11の長さの1/2より大きくても、支柱20を傾倒させたときに隣接する支柱21同士及び支柱22同士の軸方向をずらすことができ(図7(b)参照)、それによって支柱21同士及び支柱22同士の干渉を回避できる大きさに設定されている。
【0024】
逆に、支柱20が底部フレーム10に対して傾倒した状態から、支柱20を引き起こして底部フレーム10に対して直角とし、連結ピン36を長孔15に沿って下方に移動させつつ支柱20を押し下げれば、図1に示すように、底部フレーム10から支柱20が立設している状態とすることができる。
【0025】
プレート取付け部40の数は支柱20一つ当たり複数である。ここで、各支柱20にN個のプレート取付け部40が設けられているとすると、支柱20が底部フレーム10から立設している状態では、各支柱20において下からn番目(1≦n≦N)のプレート取付け部40は、同一の高さにある。何れの支柱20のプレート取付け部40も前後方向における内方に突出しており、同一の第二バー12の両端から立設している支柱21及び支柱22それぞれのプレート取付け部40は対面している。
【0026】
プレート取付け部40は、それぞれ載置アーム41と挿入アーム42とからなる。載置アーム41は、支柱20の軸方向に直交する方向に延びるように、支柱20の外表面に当接している。挿入アーム42は、載置アーム41より上方で、支柱20の外表面とは空隙をあけた状態で載置アーム41と平行に延びており、先端が上方に向かって直角に屈曲している。
【0027】
ここでは、支柱20一つ当たりのプレート取付け部40の個数Nが7である場合を図示しているが、本実施形態のストッカー1は、支柱20に設けられたプレート取付け部40に加えて、連結部30に設けられた下端プレート取付け部40bを備えている。下端プレート取付け部40bは、プレート取付け部40におけるものとそれぞれ同一構成の載置アーム41と挿入アーム42とからなり、何れの連結部30からも前後方向における内方に向かって、同じ高さで突出している。
【0028】
載置プレート70は、図1(b)に示すように、平板状で外形が長方形であるプレート本体71と、プレート本体71の一対の長辺のうち一方から直角に延出している係止片72と、長辺の他方から係止片72とは反対方向に延出している垂下片73とを備えている。プレート本体71の長さは、隣接している支柱21と支柱22との間の距離より僅かに短く設定されている。また、それぞれの載置プレート70において、係止片72には長手方向に離隔した二つの孔部75が貫設されている。二つの孔部75間の距離は、隣接する支柱21及び支柱22それぞれにおいて同じ高さにあるプレート取付け部40における挿入アーム42の軸心間の距離に等しい。
【0029】
このような構成の載置プレート70は、隣接する支柱21及び支柱22それぞれにおいて同じ高さにあるプレート取付け部40間に、次のように架け渡すことができる。まず、孔部75の貫通方向が上下方向となるように載置プレート70を傾けた状態で、二つの孔部75の一方に支柱21側の挿入アーム42の先端を挿入すると共に、他方の孔部75に支柱22側の挿入アーム42の先端を挿入する。そして、挿入アーム42に対して孔部75の縁をスライドさせながら、載置プレート70を挿入アーム42の基部に向かって押し進める。上述したように挿入アーム42は直角に屈曲しており、載置プレート70において孔部75が設けられた係止片72はプレート本体71と直角をなしているため、載置プレート70の移動に伴ってプレート本体71は設置面に対して平行となる。プレート本体71の長手方向における両端を、それぞれプレート取付け部40の載置アーム41に載置することにより、プレート本体71が設置面に対して平行となった状態で、載置プレート70が支柱21と支柱22との間に架け渡された状態を保持することができる。なお、垂下片73の存在により、載置プレート70の機械的強度が高められている。
【0030】
本実施形態のストッカー1は、載置プレート70とは長手方向の長さが相違するのみで、他は同一の構成である下端用載置プレート70bを更に具備している。下端用載置プレート70bの長手方向の長さは載置プレート70の長手方向の長さより短く、隣接する支柱21及び支柱22それぞれを底部フレーム10に連結している連結部30の下端プレート取付け部40bにおける載置アーム41間の距離より僅かに長い。また、下端用載置プレート70bの係止片72に貫設された二つの孔部75間の距離は、隣接する支柱21及び支柱22それぞれを底部フレーム10に連結している連結部30の下端プレート取付け部40bにおける挿入アーム42の軸心間の距離に等しい。このような構成の下端用載置プレート70bは、隣接する支柱21及び支柱22それぞれのプレート取付け部40間に載置プレート70を架け渡す場合と同様の操作で、隣接する支柱21及び支柱22それぞれを底部フレーム10に連結している連結部30の下端プレート取付け部40b間に、架け渡すことができる。
【0031】
収納部80は、不使用時の載置プレート70及び下端用載置プレート70bを収納するためのものである。収納部80は、その軸方向を第二バー12と平行として、一対の第一バー11間を連結している部材であり、収納部80の軸方向に直交する断面は上方に開口したコ字形である。図7(c)に示すように、複数の載置プレート70及び下端用載置プレート70bを重ねた状態で、収納部80の内部空間に収容することができる。
【0032】
なお、本実施形態では収納部80は二つあり、それぞれの収納部80は、一対の支柱21と支柱22との間に架け渡される7枚の載置プレート70と、それらの下方で連結部30間に架け渡される下端用載置プレート70bの計8枚を、収容できる大きさに設定されている。また、それぞれの収納部80には、コ字を構成する三つ面のうち対面する一対の側面81それぞれを、対向位置で貫通している小孔部82が設けられている。これらの小孔部82に頭部付きのボルト86を通した上でナット87によって留め付けることにより、収納部80の開口を横切るボルト86によって、載置プレート70及び下端用載置プレート70bが収納部80に収容された状態が安定したものとなっている。
【0033】
係止用突起50は支柱20一つ当たり一つあり、各支柱20の自由端の近傍に設けられている。それぞれの係止用突起50は、支柱20の外表面に固着されている基部51と、基部51から逆L字形に延出している突起部52とからなる。それぞれの支柱20から突起部52が突出している方向は、前後方向における外方である。
【0034】
係止用環状部60は支柱20一つ当たり一つあり、本実施形態では各支柱20を底部フレーム10に連結している連結部30に設けられているが、各支柱20の基端近傍に設けることもできる。それぞれの係止用環状部60は、連結部30の外表面に固着されている基部61と、基部61と共に逆L字形を形成するように基部61から延出している平板状の延出部62と、延出部62に貫設された孔部65とからなる。孔部65の貫通方向は、支柱20の軸方向と平行である。
【0035】
次に、足場用手摺り110の構成を説明する。足場用手摺り110は、中間部材111と、一対のブレース材112と、一対のフック115と、一対のクサビ部130とを備えている。中間部材111は長棒状であり、その両端に同一方向に屈曲した屈曲部111bを備えている。一対のブレース材112はそれぞれ中間部材111より長い長棒状であり、一方のブレース材112の一端が中間部材111の一端の屈曲部111bにピン112pによって回動可能に連結されていると共に、他方のブレース材112の一端が中間部材111の他端の屈曲部111bにピン112pによって回動可能に連結されている。
【0036】
一対のフック115のそれぞれは、一対のブレース材112のそれぞれにおいて中間部材111と連結されている側の端部に設けられている。これにより、中間部材111に対してブレース材112を回動させると、そのブレース材112の端部のフック115もピン112pの軸心周りに回動する。
【0037】
一対のクサビ部130のそれぞれは、一対のブレース材112のそれぞれの自由端、すなわち、フック115が設けられている端部とは反対側の端部に固定された筒部120の内部空間をスライドする構成である。より具体的には、筒部120は平たい角筒状で、筒の軸方向に離隔した上筒部121と下筒部122とからなる。クサビ部130は、第一クサビ131とこれに平行な第二クサビ132を有しており、筒部120から抜け止めされた状態で筒部120内をスライドする。第二クサビ132は第一クサビ131より長く、第二クサビ132が第一クサビ131よりブレース材112の端部に近くなる向きで、クサビ部130が筒部120に保持されている。
【0038】
上記構成の足場用手摺り110は、従前より仮設足場で使用されているものであり、一般的には、図3(c)に示すようなフランジ状取付け具210を備える足場支柱Pに取付けられる先行手摺りとして使用されている。フランジ状取付け具210は、仮設足場の設置面から立設される足場支柱Pに、軸方向に離隔して複数が固定されているものであり、足場支柱Pの軸方向に直交する方向に延出している平板状のフランジ部211に、90°の角度間隔で上下に貫通する孔部215が穿設されている。
【0039】
先行手摺りは、足場床が多段に積重される仮設足場において、既設の下段足場床から、次に新設される上段足場床の手摺りとして設置されるものである。足場用手摺り110を先行手摺りとする場合の使用方法を具体的に説明すると、下段足場床に居る作業者が、一対のブレース材112の一方を立ち上げ、そのブレース材112を回動させることにより、次に新設される上段足場床における手摺りの高さに位置するフランジ状取付け具210の孔部215にフック115を挿入する。次に、他方のブレース材112を立ち上げ、先にフック115を係止したフランジ状取付け具210と同じ高さにあるフランジ状取付け具210の孔部215に、そのフック115を挿入する。
【0040】
その後、一対のブレース材112を交差させ、それぞれのブレース材112の自由端にあるクサビ部130を、フック115を係止させたフランジ状取付け具210より低い高さにあるフランジ状取付け具210と係合させる。その際は、クサビ部130を保持している筒部120を、その上筒部121と下筒部122とでフランジ部211を上下から挟み込むように配置し、その孔部215に第一クサビ131を落とし込む。第一クサビ131の下方への移動は、筒部120内での第二クサビ132のスライドによって案内される。第一クサビ131が孔部215に嵌入されることにより、クサビ部130がフランジ状取付け具210と係合した状態となる。
【0041】
次に、上記構成のストッカー1の使用方法、及び、上記構成の足場用手摺り110を使用したストッカー1の組立て構造について説明する。ここでは、ストッカー1に積載する対象の足場部材が、上記の足場用手摺り110である場合を例示する。
【0042】
まず、ストッカー1が折り畳まれた状態で(図7参照)、その脚部18を設置面に立脚させる。上述した操作で四本の支柱20それぞれを引き起こし、底部フレーム10から支柱20を立設させる(図1参照)。収納部80から載置プレート70及び下端用載置プレート70bを取出す。
【0043】
取り出された下端用載置プレート70bを、隣接して対をなす支柱21と支柱22の二対それぞれの下方に位置する下端プレート取付け部40b間に、上述した操作で架け渡す(図2参照)。これにより、隣接する支柱21と支柱22の二対それぞれの間において、第二バー12の直上に下端用載置プレート70bが架け渡される。
【0044】
このように同じ高さで対向して架け渡されている二つの下端用載置プレート70bを使用して、ストッカー1に足場部材を積載することができる。これに先立って、図4に示すように、足場用手摺り110をストッカー1に取付けることにより、支柱20を立設させた組立て時の姿勢を安定して保持させ、ストッカー1の剛性を高めた上で、足場部材を積載する作業を行うことができる。
【0045】
その場合、二つの支柱21間、及び、二つの支柱22間の少なくとも一方に、足場用手摺り110を取付ける。二つの支柱21間に足場用手摺り110を取付ける場合を例にとり、図6及び図4を用いて説明すると、足場用手摺り110の一対のフック115の一方を、一方の支柱21に設けられた係止用突起50の突起部52に引き掛けると共に、他方のフック115を他方の支柱21に設けられた係止用突起50の突起部52に引き掛ける。そして、一対のブレース材112を交差させた状態とし、一方のブレース材112の端部の第二クサビ132を、一方の支柱21を底部フレーム10に連結している連結部30に設けられた係止用環状部60の孔部65に上方から挿入すると共に、他方のブレース材112の端部の第二クサビ132を、他方の支柱21を底部フレーム10に連結している連結部30に設けられた係止用環状部60の孔部65に上方から挿入する。なお、上述したように、足場支柱Pに足場用手摺り110を取付ける場合は、フランジ状取付け具210の孔部215にはクサビ部130の第一クサビ131を挿入させるのに対し、ここでは係止用環状部60の孔部65に第二クサビ132を挿入している。
【0046】
これにより、隣接している支柱21の自由端近傍、すなわち、隣接して立設している状態の支柱21の上端近傍が足場用手摺り110の中間部材111で連結されるため、立設している支柱21の姿勢が安定する。また、隣接している支柱21を交差した状態で連結している一対のブレース材112が筋交いとして作用するため、支柱21を立設させた組立て構造の剛性が高められる。
【0047】
対向している二つの下端用載置プレート70bを使用して、ストッカー1に足場部材を積載する際は、足場部材の両端それぞれを下端用載置プレート70bに載置する。ここでは、積載対象の足場部材は、組立て構造に使用している上記構成の足場用手摺り110である。積載対象の足場用手摺り110は、図3(b)に示すように、一対のブレース材112それぞれをピン112pの軸心周りに回動させることにより、一対のブレース材112が中間部材111と重なるように折り畳んだ状態で、その両端それぞれを下端用載置プレート70bに載置する。
【0048】
対向している二つの下端用載置プレート70b間に、折り畳まれた状態の足場用手摺り110を一列に積載したら、隣接する支柱21及び支柱22それぞれにおいて、下端プレート取付け部40bのすぐ上にあるプレート取付け部40間に、載置プレート70を架け渡す(図5参照)。そして、上記と同様に、対向している二つの載置プレート70間に、折り畳まれた状態の足場用手摺り110を一列に積載する。
【0049】
その後、同様の操作を繰り返すことにより、図6に示すように、折り畳まれた状態の足場用手摺り110をストッカー1に多段に積載することができる。なお、本実施形態のストッカー1では、各支柱20において隣接しているプレート取付け部40の間隔、及び、下端プレート取付け部40bと最も近いプレート取付け部40との間隔は、折り畳まれた足場用手摺り110の積載姿勢における高さより、僅かに大きく設定されている。そのため、ストッカー1の収容空間を無駄なく使用して、多数の足場用手摺り110を積載することができる。
【0050】
上記では、ストッカー1に積載する対象の足場部材が足場用手摺り110である場合を例示したが、その他の足場部材であってもストッカー1に積載することが可能である。その場合、積載対象の足場部材の積載姿勢における高さに応じて、各支柱20における複数のプレート取付け部40の一部を所定間隔で選択し、そこに載置プレート70を取付ける。例として、積載対象の足場部材が足場用幅木220である場合を、図を用いて説明する。足場用幅木220は、図8(a)に示すように、足場支柱間に立設させる幅木本体221と、足場支柱間に横架された踏み板と幅木本体221との間の隙間を埋める補助板部222とからなる断面L字形の部材であり、折り畳まれた状態の足場用手摺り110より嵩張る。そのため、ここでは、図8(b)に示すように、各支柱20が備える7つのプレート取付け部40のうち、支柱20の自由端から1番目、3番目、5番目、及び7番目のプレート取付け部40のみに載置プレート70を取付け、足場幅木を四段に積載している。
【0051】
なお、隣接する二つの支柱21間、及び隣接する二つの支柱22間の距離より長さの短い足場部材、換言すれば、同じ高さで対向している二つの載置プレート70間の距離より長さの短い足場部材を、ストッカー1に積載したい場合も想定される。その場合は、図9(a)に示すような中間支柱90を使用することができる。中間支柱90は、支柱20が備えるプレート取付け部40と同様に、載置アーム41と挿入アーム42とからなるプレート取付け部40cを、所定間隔で複数備えている。また、中間支柱90の下端には、中間支柱90の軸方向に直交する断面の外形より大きい平板状のベース91が固定されており、ベース91には二つの孔部95が、中間支柱90の中心軸に対して対称に貫設されている。
【0052】
一方、ストッカー1の一対の第一バー11には、複数の孔部15が穿設されている。これらの孔部15は隣接する二つで対をなしており、一対の孔部15の間隔は中間支柱90のベース91に設けられた二つの孔部95の間隔と等しく設定されている。
【0053】
このような構成により、ベース91の孔部95に通したボルト等を第一バー11の孔部15に通して締結することにより、中間支柱90を第一バー11に固定し、図9(b)に示すように、二つの支柱21の間、及び二つの支柱22の間で、底部フレーム10から中間支柱90を立設させることができる。その際、積載対象の足場部材の長さに応じて、第一バー11それぞれにおいて複数の孔部15から二対の孔部15を、対をなす第一バー11において同一位置となるように選択する。また、一対の第一バー11において同一位置にある一対の中間支柱90は、それぞれのプレート取付け部40が前後方向における内方に突出するように第一バー11に固定する。
【0054】
このようにして、二対の中間支柱90をストッカー1に付加することにより、それぞれ前後方向で対向している二対の中間支柱90間に、それぞれ載置プレート70を架け渡すことができ、左右方向において同じ高さで対向している二枚の載置プレート70に足場部材の両端部を載置させることによって、ストッカー1に足場部材を積載することができる。そして、二つの支柱21間、及び、二つの支柱22間を、上記と同様に足場用手摺り110で連結することにより、支柱21,22が立設している組立て時の姿勢を安定させることができると共に、組立て時のストッカー1の剛性を高めることができる。
【0055】
以上のように、本実施形態によれば、仮設足場で使用される折り畳み式のストッカー1について、支柱20を立設させた組立て時の姿勢を、ストッカー1自身の構成ではなく仮設足場に存在する足場用手摺り110を有効に利用して、簡易に安定させることができると共に、組立て時のストッカー1の剛性を簡易に高めることができる。
【0056】
また、ストッカー1の積載対象が足場用手摺り110である場合は、積載対象の足場部材そのもの一部を利用してストッカー1の組立て構造を形成するものであり、独創的なアイデアに基づいている。
【0057】
更に、隣接する支柱21と支柱22との間に、着脱式の載置プレート70を間隔及び枚数を異ならせて取付けることができるため、単一構成のストッカー1に、積載姿勢における高さの異なる多種類の足場部材を積載することができる。また、着脱式の載置プレート70を収容できる収納部80をストッカー1が備えているため、不使用時の載置プレート70の保管及び部材管理が容易である。
【0058】
加えて、ストッカー1が中間支柱90を付加的に備えている場合は、二つの支柱21間距離、及び二つの支柱22間距離より長さの短い足場部材であっても、ストッカー1に積載することができる。
【0059】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0060】
例えば、上記では、下端プレート取付け部40bに下端用載置プレート70bを取付け、対向する二枚の下端用載置プレート70bに足場部材を載置させる場合を例示したが、下端プレート取付け部40b及び下端用載置プレート70bを備えないストッカーであっても良い。そのようなストッカーに足場部材を多段に積載する場合、最下段の足場部材は、一対の第二バー12に直接載置することができる。その場合、収容部80の高さ位置は、一対の第二バー12に載置される足場部材と干渉しない高さに設定される。
【0061】
また、上記では、支柱20を底部フレーム10から立設させた後、足場部材の積載に先んじて足場用手摺り110をストッカー1に取付ける手順を例示したが、この手順に限定されるものではなく、多段に足場部材を積載した後で、足場用手摺り110をストッカー1に取付けることとしても良い。
【符号の説明】
【0062】
1 ストッカー(折り畳み式ストッカー)
10 底部フレーム
20 支柱
30 連結部
40 プレート取付け部
50 係止用突起
60 係止用環状部
70 載置プレート
110 足場用手摺り
111 中間部材
112 ブレース材
115 フック
130 クサビ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9