【解決手段】スチーム置換方法は、スチーム噴出ノズル22から袋Bの内側にスチームを噴出する工程と、第1高さ位置よりも高い位置において支持部25が底部を介して内容物80を支持する工程と、袋Bの内側にスチームが噴出された後にスチーム噴出ノズル22を袋Bの内側から退避させる工程と、スチーム噴出ノズル22の退避後に口部を閉じるように袋Bを緊張させる工程と、口部を閉鎖ユニット23により閉鎖する工程とを含む。支持部25は、袋Bの内側にスチームが噴出された後から口部が閉鎖ユニットによって閉鎖されるまでの間の少なくとも一部において、第1高さ位置よりも高い位置において底部を介して内容物80を支持する。
前記支持部は、一旦前記袋の前記底部を前記第1高さ位置から上昇させて前記第1高さ位置よりも高い位置において前記底部を介して前記内容物を支持した後は、前記口部が前記閉鎖ユニットによって閉鎖されるまで継続的に、前記第1高さ位置よりも高い位置において前記底部を介して前記内容物を支持する請求項1に記載のスチーム置換方法。
前記支持部は、前記スチーム注入ステーションに設けられる第1支持部と、前記シール処理ステーションから前記スチーム注入ステーションに向かって延在する第2支持部と、を含み、
前記スチーム置換装置は、前記第1支持部を昇降させる支持昇降部を備え、
前記第1支持部及び前記第2支持部は、前記袋が前記袋保持部とともに前記スチーム注入ステーションから前記シール処理ステーションに搬送される間の少なくとも一部において、前記第1高さ位置よりも高い位置において前記袋の前記底部を介して前記内容物を支持する請求項5に記載のスチーム置換装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0019】
[包装システム]
図1は、包装システム5の一例を示す斜視図である。
【0020】
包装システム5は、架台(
図2の符号「30」参照)上に据え付けられる回転テーブル12と、回転テーブル12の外周部に等間隔に取り付けられる複数の袋保持部13とを有する。各袋保持部13は、袋Bを保持しつつ、回転軸線を中心とした回転テーブル12の間欠的な回転に応じて複数のステーション(図示の包装システム5では第1ステーションS1〜第10ステーションS10)を巡回する。各袋保持部13によって保持されている袋Bは、各ステーションにおいて対応の処理を受ける。本実施形態の回転テーブル12及び袋保持部13は間欠的に回転するが、回転テーブル12及び袋保持部13は停止することなく継続的に回転してもよい。
【0021】
袋保持部13の数や具体的な構成は限定されず、図示の包装システム5ではステーションの数と同じ数のグリッパーユニット(すなわち10個のグリッパーユニット)によって複数の袋保持部13が構成されている。各グリッパーユニットは2つのグリッパーを含み、これらの2つのグリッパーによって対応の袋Bの両側部(
図2の符号「Bs」参照)が把持されることで、各袋保持部13は対応の袋Bを保持する。
【0022】
第1ステーション(給袋ステーション)S1に配置された袋保持部13は、複数の袋B(空袋)を貯留するコンベアマガジン14から袋送出器15及び取出吸盤16を介して袋Bを受け取り、当該袋Bの両側部を把持して、当該袋Bを吊り下げ状態で保持する。各袋保持部13に含まれる各グリッパーの開閉及びグリッパー間の距離は、保持調整機構(図示省略)によって適宜変えられる。図示の袋保持部13(グリッパーユニット)は、袋Bの口部(
図2の符号「Bm」参照)に近い位置の両側部を、或いは、袋Bの口部の一部及び両側部を把持する。各袋保持部13は、対応の袋Bを保持している状態でグリッパー間の距離を変えることによって当該袋Bに加える張力を調整し、例えば口部が緩んだ弛緩状態或いは口部が閉じられる緊張状態に袋Bを置くことが可能である。袋Bの口部は、袋Bの縁部(すなわち
図1における上方縁部)を含む範囲である。ただし後述の口部に対する各種処理は、必ずしも袋Bの縁部を含む範囲に行われている必要はなく、袋Bのうち縁部を含まないが開口を形成しうる範囲に対して行われてもよい。
【0023】
第2ステーション(印字ステーション)S2には印字器17が設けられている。印字器17は、各種情報(例えば包装処理が行われた日付)を袋Bに印字する。
【0024】
第3ステーション(開口ステーション)S3には、開口装置18及び開口ガイド19が設けられている。開口装置18は袋Bの口部を開く。図示の開口装置18は水平方向に往復移動可能な2つの吸盤を含み、これらの吸盤を、袋Bの表側面及び裏側面のそれぞれに吸着させた状態でお互いに遠ざかる方向へ移動させることによって、袋Bの口部を開くことができる。この際、必要に応じて、袋Bの両側部を保持する2つのグリッパーはお互いに近づくように水平方向へ移動し、袋Bの表側面及び裏側面が撓ませられる。このようにして開かれた袋Bの口部には開口ガイド19が挿入される。袋Bの口部に挿入された開口ガイド19は、袋Bの開口状態を維持するように袋Bを内側から支持する。
【0025】
第4ステーション(固形物投入ステーション)S4には固形物投入装置20が設けられている。固形物投入装置20は、開かれた袋Bの口部を介し、袋Bの内側に固形物81(内容物80)を投入する。図示の固形物投入装置20はホッパー(ファンネル)を有し、当該ホッパーから袋B内に固形物81が投入される。
【0026】
図示の開口ガイド19は、開口ガイド駆動機構(図示省略)により駆動されて、第3ステーションS3と第4ステーションS4との間で往復移動するように設けられている。特に、開口ガイド19は、袋Bを追従するように第3ステーションS3から第4ステーションS4に移動し、袋Bが第3ステーションS3から第4ステーションS4に移動する間も袋Bの口部が開かれた状態を維持する。なお開口ガイド19が第4ステーションS4から第3ステーションS3に戻されるタイミングは限定されない。固形物81が袋Bに投入された後又は前に、開口ガイド19は第4ステーションS4から第3ステーションS3に戻されてもよい。また固形物投入装置20が昇降する場合、固形物投入装置20の少なくとも一部が袋B内に配置された後に、開口ガイド19は第4ステーションS4から第3ステーションS3に戻されてもよい。
【0027】
第5ステーション(液体注入ステーション)S5には内容物注入装置21が設けられている。内容物注入装置21は、袋Bの開かれた口部を介し、袋Bの内側に液体(内容物80)を注入する。図示の内容物注入装置21はノズルを有し、当該ノズルから袋B内に液状の内容物80を注入する。
【0028】
上述のように図示の包装システム5において、袋B内に収容される内容物80は固形物81及び液体を含むが、袋B内に収容される内容物80の状態は限定されない。例えば、内容物80は、固体、液体、ペースト状体(流動体)又はゲル体であってもよいし、これらのうちの2以上を含む混合体であってもよい。ただし、気体のみからなる内容物80は、本実施形態の包装システム5及びスチーム置換装置10の適用対象外である。
【0029】
第6ステーション(スチーム注入ステーション)S6には、スチーム噴出ノズル22及び支持部25が設けられている。第6ステーションS6に配置された袋Bの内側の気体は、スチーム噴出ノズル22から噴出されるスチームによって置換される。このスチーム置換において、支持部25は袋Bの底部から袋B内の内容物80を持ち上げて支持し、袋B内のスチームが冷えて袋Bの容積が縮小する際に、内容物80が底部Bbの移動を妨げることが効果的に防がれている。なお、スチーム噴出ノズル22及び支持部25の構成及び作用の詳細は後述する。
【0030】
第7ステーション(第1シール処理ステーション)S7には第1シールユニット23が設けられ、第8ステーション(第2シール処理ステーション)S8には第2シールユニット24が設けられている。第1シールユニット23及び第2シールユニット24の各々は、袋Bの口部を挟んで加熱シールする2つの加熱プレートを有する。
【0031】
第9ステーション(冷却排出ステーション)S9には、冷却ユニット26及び排出シュート27が設けられている。冷却ユニット26は、第9ステーションS9に配置された袋Bの口部(特に第1シールユニット23及び第2シールユニット24により加熱シールされた箇所)を挟んで冷却する2つの冷却プレートを有する。冷却ユニット26によって口部が冷却された後、袋B(製品袋)は、第9ステーションS9において袋保持部13から解放されて落下し、排出シュート27により案内されて後段に送られる。
【0032】
なお、正常であると認定された袋Bのみが、第9ステーションS9において袋保持部13から解放されてもよい。その場合、不良を持つと認定された袋Bは、第9ステーションS9では袋保持部13から解放されず、第10ステーションS10において袋保持部13から解放されて排出されてもよい。不良を持つと認定された袋Bは、制御装置(図示省略)の制御下で、各ステーションで処理を受けることなく第10ステーションS10に搬送され、第10ステーションS10で袋保持部13から解放されて不良袋として排出されてもよい。
【0033】
袋Bの不良の有無を検出する不良検出装置(図示省略)は、第1ステーションS1〜第9ステーションS9の任意の箇所に設けられうる。不良検出装置によって検出される袋Bの不良の種類は限定されない。不良検出装置は、例えば袋保持部13により保持されている袋Bの撮影画像を画像処理することによって、袋保持部13が袋Bを適切な姿勢で保持しているか否かを検出することができる。また不良検出装置は、袋Bの撮影画像を画像処理することによって、印字器17による印字が適切に行われたか否かを検出することができる。また不良検出装置は、開口装置18の吸盤の吸引圧に基づいて、袋Bの不良を検出することが可能である。袋Bの表側面及び裏側面のそれぞれが開口装置18の吸盤によって適切に吸引されていない場合、吸盤の吸引圧は想定値よりも低い値を示すことがある。したがって、開口装置18の吸盤の吸引圧を図示しない制御装置(不良検出装置)において監視し、吸盤の吸引圧が想定値よりも低い値を示す袋Bは、開口装置18によって適切に開口されていない蓋然性が高いため、不良を持つと認定されてもよい。
【0034】
次に、スチーム置換装置10及びスチーム置換方法の詳細について説明する。
【0035】
[スチーム置換装置]
図2は、スチーム置換装置10を示す側方図であり、部分的に断面が示されている。
図3は、スチーム置換装置10の概略構成を示す包装システム5の平面図である。なお
図3において、回転テーブル12は二点鎖線によって仮想的に示されており、回転テーブル12よりも下方に配置されている支持スタンド42、支持駆動シャフト45及び第1ギア係合部46が示されている。また包装システム5を構成する幾つかの要素(例えば第1シールユニット23等)は、
図1には示されているが、
図3では図示が省略されている。
【0036】
[搬送ユニット]
本実施形態のスチーム置換装置10は、間欠ロータリー型袋詰め包装システムとして構成される包装システム5の一部として設けられている。回転テーブル12と回転テーブル12を回転駆動する駆動装置(図示省略)とを含む搬送ユニット11は、各袋Bを対応の袋保持部13とともに円軌道に沿って間欠的に移動させる。架台30には、搬送スタンド41が固定されている。搬送スタンド41は、回転テーブル12の回転軸部を構成するテーブルシャフト(図示省略)を回転自在に支持しており、テーブルシャフトは駆動装置によって軸回転させられる。
【0037】
搬送ユニット11は、袋Bが袋保持部13によって保持されている状態で、袋保持部13を第6ステーションS6から第7ステーションS7に移動させる。袋保持部13によって保持されている袋Bは、第6ステーションS6でスチーム注入処理を受け、第7ステーションS7で第1シール処理(閉鎖処理を含む)を受ける。
【0038】
[袋保持部]
袋保持部13は、内側に内容物80を収容する袋Bを、吊り下げ状態で保持しつつ、袋Bに加える張力を調整する。本実施形態の袋保持部13は、第6ステーションS6において、袋Bにスチーム噴出ノズル22が挿入される前は袋Bを弛緩させて口部Bmを開いておき、袋Bにスチーム噴出ノズル22が挿入された後は口部Bmを閉じるように袋Bを緊張させる。これにより、スチーム噴出ノズル22の先端部を袋B内に容易に挿入することができ、またスチーム噴出ノズル22の先端部が袋B内に挿入された後は口部Bmにおいてスチーム噴出ノズル22の周囲に形成される開口の面積を小さくすることができる。また本実施形態の袋保持部13は、スチームの少なくとも一部が袋Bの内側に存在している状態で、口部Bmが緊張状態で閉じられるように袋Bに張力を加える。これにより口部Bmに隙間が形成されるのを防いで、袋B内への外気の流入及び袋B内のスチームの口部Bmからの流出を抑えることができる。
【0039】
[スチーム噴出ノズル]
スチーム噴出ノズル22は、スチーム供給ライン32を介してスチーム供給源31に接続されている。スチーム噴出ノズル22は噴出口28を有する。図示の噴出口28は、スチーム噴出ノズル22の下方先端部に設けられている。噴出口28には、スチーム供給ライン32を介してスチーム供給源31から送られてくるスチームが供給され、噴出口28は当該スチームを外方に向かって噴出する。スチーム噴出ノズル22は、噴出口28が袋Bの内側に配置されている状態で、噴出口28からスチームを噴出させ、袋B内にスチームを吹き込むことができる。
【0040】
[ノズル昇降部]
スチーム噴出ノズル22はノズル昇降部61に連結されている。ノズル昇降部61は、スチーム噴出ノズル22の先端部(噴出口28を含む)が袋B内に進入した位置と、スチーム噴出ノズル22の先端部が袋B外に退避した位置との間で、スチーム噴出ノズル22を昇降させる。
図2及び
図3に示すノズル昇降部61は、ノズル保持アーム33、ノズル昇降駆動シャフト34、ノズル昇降駆動源35、ノズル昇降ベース36、第1ベアリング39、ノズル昇降スタンド37、ノズル昇降軸受38及び第2ベアリング40を含む。
【0041】
スチーム噴出ノズル22は、ノズル保持アーム33を介してノズル昇降駆動シャフト34により保持されている。ノズル昇降駆動シャフト34は高さ方向(すなわち重力が作用する鉛直方向と平行な方向)へ延在し、ノズル昇降駆動源35に連結されている。ノズル昇降駆動シャフト34の下方部分は、第1ベアリング39を介してノズル昇降ベース36により支持されている。ノズル昇降ベース36は、架台30上において固定的に設置される土台として機能するとともに、第1ベアリング39の軸受として機能する。ノズル昇降駆動シャフト34の上方部分は、第2ベアリング40を介してノズル昇降軸受38により支持されている。ノズル昇降軸受38は、高さ方向に延在するノズル昇降スタンド37を介し、ノズル昇降ベース36に固定されている。ノズル昇降駆動シャフト34は、第1ベアリング39及び第2ベアリング40を介して昇降自在に支持されており、ノズル昇降駆動源(例えばエアシリンダーやサーボモーター等)35から伝えられる動力によって昇降される。
【0042】
上述の構成を有するノズル昇降部61において、ノズル昇降駆動シャフト34がノズル昇降駆動源35により昇降されることによって、スチーム噴出ノズル22はノズル昇降駆動シャフト34及びノズル保持アーム33とともに昇降する。特に本実施形態のノズル昇降部61は、袋保持部13によって保持されている袋Bの口部Bmを介して袋Bの内側にスチーム噴出ノズル22を挿入して噴出口28を袋Bの内側に配置するように、スチーム噴出ノズル22を下降させる。またノズル昇降部61は、スチームの少なくとも一部が袋Bの内側に存在している状態で、袋保持部13によって保持されている袋Bの外側に噴出口28が配置されるように、スチーム噴出ノズル22を上昇させる。
【0043】
[支持部]
図示の支持部25は、プレート形状を有し、袋Bの底部Bbの全体に接触可能な大きさの支持面を持つ。支持部25には、支持昇降部62及び往復移動機構63が連結されている。支持部25は、支持昇降部62によって高さ方向へ昇降させられ、往復移動機構63によって水平方向へ往復移動させられる。特に本実施形態の支持部25は、袋Bの底部Bbの全体を持ち上げて底部Bbを介して袋B内の内容物80を下方から支持するように、支持昇降部62によって上昇される。
【0044】
[往復移動機構]
図示の往復移動機構63は、支持スタンド42、支持土台43、支持駆動部44、支持駆動シャフト45、第1ギア係合部46、第2ギア係合部47、支持レール48及び支持ローラー49を含む。
【0045】
支持スタンド42は架台30上において固定的に設置されており、支持スタンド42には、支持土台43が固定されている。支持土台43には支持駆動部44及び支持レール48が固定されている。
【0046】
支持駆動部44には、高さ方向に延在する支持駆動シャフト45が取り付けられている。支持駆動シャフト45は第1ギア係合部46の中心部に固定されている。支持駆動部44によって支持駆動シャフト45が軸回転させられ、第1ギア係合部46は支持駆動シャフト45とともに軸回転する。
【0047】
第1ギア係合部46の外周部は第2ギア係合部47の外周部に係合している。第2ギア係合部47の下面には、2つの支持ローラー49が固定されている。支持レール48は、これらの支持ローラー49により挟まれて保持されており、これらの支持ローラー49間のスペースをスライド移動するように設けられている。第2ギア係合部47は、支持ローラー49及び支持レール48を介し、支持土台43により支持されている。第2ギア係合部47は、第1ギア係合部46の軸回転に応じて、支持レール48によって支持ローラー49が案内されるように、移動する。
【0048】
支持レール48は、第5ステーションS5と第8ステーションS8との間の一部範囲(特に第6ステーションS6〜第7ステーションS7の全体を含む範囲)において円弧状に設けられている。支持レール48の曲率を定める中心は、回転テーブル12の外周の曲率を定める中心と共通する。第6ステーションS6から第7ステーションS7において、支持ローラー49とともに支持レール48に沿って案内される第2ギア係合部47の移動軌道は、袋保持部13とともに搬送される袋Bの移動軌道に対応する。より具体的には、第2ギア係合部47は、袋Bを追従するように第6ステーションS6から第7ステーションS7に移動する。
【0049】
支持部25は、上述の構成を有する往復移動機構63によって、第6ステーションS6と第7ステーションS7との間で往復移動させられる。特に本実施形態の往復移動機構63は、後述のように、第1高さ位置H1よりも高い位置において支持部25が袋Bの底部Bbを介して内容物80を支持している状態で、袋Bが袋保持部13とともに第6ステーションS6から第7ステーションS7に搬送されるように、支持部25を第6ステーションS6から第7ステーションS7に移動させる。
【0050】
このように支持部25は、第6ステーションS6から第7ステーションS7に搬送される袋Bを追従するように、往復移動機構63によって水平方向に移動させられる。
【0051】
[支持昇降部]
支持昇降部62は、支持部25を支持位置(上方位置)と退避位置(下方位置)との間で昇降させる。支持位置は、支持部25が袋Bの底部Bbに接触しつつ袋B内の内容物80を持ち上げて支持する位置である。退避位置は、支持部25が袋Bの底部Bbに接触せず、袋B内の内容物80が支持部25によって支持されない位置である。支持部25を退避位置から支持位置に移動させることによって、高さ方向に関して袋Bの口部Bmと底部Bbとが相対的に離れている第1の状態から、高さ方向に関して口部Bmと底部Bbとが近づけられて、高さ方向に関して口部Bmと底部Bbとが相対的に近づいている第2の状態に、袋Bの状態が変えられる。
【0052】
図示の支持昇降部62は、支持昇降駆動源50、支持昇降シャフト51及び支持昇降固定部52を含む。第2ギア係合部47の上面には支持昇降駆動源50が固定されており、支持昇降駆動源50から上方に支持昇降シャフト51が延在する。支持昇降駆動源50からの支持昇降シャフト51の高さ方向への突出量は可変である。支持昇降駆動源50及び支持昇降シャフト51は任意のアクチュエータによって構成可能であり、典型的にはエアシリンダーによって構成される。支持昇降シャフト51の上方先端部には支持昇降固定部52が固定されている。支持昇降固定部52には、水平方向に延在する支持部25が固定されている。支持部25は、支持昇降シャフト51の支持昇降駆動源50からの突出量に応じて、昇降する。
【0053】
支持昇降部62による支持部25の昇降量は限定されない。ただし、支持昇降部62によって支持部25を上昇させる際に袋B内の内容物80がスチーム噴出ノズル22に接触しないように、支持部25の昇降量が決められることが好ましい。
【0054】
支持昇降部62は、以下のタイミングで、支持部25を上昇させる。すなわち支持部25は、袋Bの内側に噴出口28からスチームが噴出された後から、口部Bmが第1シールユニット23(閉鎖ユニット)よって閉鎖されるまでの間の少なくとも一部において、第1高さ位置H1よりも高い位置において底部Bbを介して袋B内の内容物80を支持するように、配置される。これにより、袋B内のスチームが冷えて袋Bの容積が縮小する際の袋Bの口部Bmの変形を抑えることができる。なお第1高さ位置H1は、第6ステーションS6に配置される袋Bの底部Bbに支持部25が接触していない状態での、袋Bの底部Bbの高さ方向の位置である。
【0055】
[第1シールユニット(閉鎖ユニット)]
図1に示すように、スチーム噴出ノズル22が設けられる第6ステーションS6とは異なる下流側ステーション(すなわち第7ステーションS7)には、袋Bの口部Bmを閉鎖する第1シールユニット23が設けられている。第1シールユニット23は、口部Bmをシールするシールデバイスとして機能するだけではなく、スチームの少なくとも一部が袋Bの内側に存在し且つ袋保持部13によって口部Bmが閉じられるような緊張状態に袋Bが置かれている状態で口部Bmを閉鎖する閉鎖ユニットとしても機能する。
【0056】
[スチーム置換方法]
次に、上述のスチーム置換装置10によって行われるスチーム置換方法の一例を、
図4A〜
図10Bを参照して説明する。
【0057】
上述のように各袋Bは、第4ステーションS4及び第5ステーションS5において内容物80(固形物81及び液体)が内側に入れられた後に、第6ステーションS6でスチーム注入処理を受け、第7ステーションS7において第1シール処理を受ける。
【0058】
図4A及び
図4Bに示すように、袋保持部13及び袋Bが第5ステーションS5から第6ステーションS6に移動した直後は、袋保持部13に含まれる2つのグリッパーはお互いにやや近づいた位置に配置されており、袋Bの口部Bmは少なくとも一部が開いている。これにより口部Bmは、スチーム噴出ノズル22の先端部(特に噴出口28)が口部Bmを介して袋Bの内側に挿入可能な開口面積を有する。
【0059】
そして
図5A及び
図5Bに示すように、内側に内容物80を収容する袋Bの口部Bmを介して袋Bの内側にスチーム噴出ノズル22を挿入し、スチーム噴出ノズル22から袋Bの内側にスチームを噴出する工程が行われる。すなわちノズル昇降部61がスチーム噴出ノズル22を下降させて袋B内に挿入し、噴出口28から袋B内にスチームを噴出させる。これにより、袋B内の空気などの気体がスチームに置換される。
【0060】
噴出口28からのスチーム噴出の開始タイミングは限定されない。噴出口28は、スチーム噴出ノズル22が袋Bに挿入される前から(すなわち噴出口28が袋Bの外側に位置する状態から)スチームを噴出させていてもよいし、噴出口28が袋Bの内側に配置された後にスチーム噴出を開始してもよい。
【0061】
噴出口28から袋B内にスチームが吹き出されている間、袋B内の気体(スチームを含みうる)は、口部Bmの開口箇所を通って、袋Bの外側に排出される。なお、スチーム噴出ノズル22に貫通孔(図示省略)を形成し、噴出口28から袋B内にスチームを噴出させている間、当該貫通孔の一方の端部を袋B内に配置し、他方の端部を袋B外に配置してもよい。この場合、袋B内の気体の少なくとも一部は、スチーム噴出ノズル22に形成された貫通孔を通って、袋Bの外側に排出されうる。
【0062】
袋Bにスチーム噴出ノズル22が挿入された後、袋保持部13を構成する2つのグリッパーは水平方向へお互いから離され、当該グリッパー間の距離が大きくされる(
図6A及び
図6B参照)。これにより、袋Bは口部Bmが閉じるように緊張させられ、口部Bmはスチーム噴出ノズル22の外周面に沿うように開口する。この袋保持部13による袋Bの緊張処理は、スチーム噴出ノズル22の少なくとも一部が口部Bmを通過して袋B内に配置された後に、行われればよい。したがって、
図6A及び
図6Bに示すようにグリッパー間距離を大きくするように袋保持部13を移動させるタイミングは、スチーム噴出ノズル22が
図5Bに示す位置に到達する前であってもよいし後であってもよく、また噴出口28から袋B内にスチームを噴出する前であってもよいし後であってもよい。
【0063】
このように袋Bの口部Bmが緊張させられた状態で十分量のスチームが袋B内に吹き込まれることによって、袋B内の気体がスチームに置換される。
【0064】
そして袋Bの内側にスチームが噴出された後に、スチーム噴出ノズル22を袋Bの内側から退避させる工程が行われる(
図7A及び
図7B参照)。すなわち、スチーム噴出ノズル22から袋B内に十分量のスチームが吹き込まれて、袋B内の気体がスチームに十分に置換された後、ノズル昇降部61によってスチーム噴出ノズル22は上昇させられ、スチーム噴出ノズル22は袋Bの外側に退避させられる。なおスチーム噴出ノズル22を袋Bの内側から退避させている間、噴出口28からスチームを噴出させ続けていてもよいし、噴出口28からのスチームの噴出は止められていてもよい。
【0065】
また第6ステーションS6では、支持部25によって袋B内の内容物80を支持する袋支持工程が行われる(
図7A及び
図7B参照)。すなわち、袋保持部13によって吊り下げ状態で保持されている袋Bの底部Bbを支持部25に接触させつつ第1高さ位置H1から上昇させ、第1高さ位置H1よりも高い位置(第2高さ位置H2)において支持部25が底部Bbを介して内容物80を支持する。これにより支持部25は、袋Bの内側にスチームが噴出された後から口部Bmが第1シールユニット23よって閉鎖されるまでの間の少なくとも一部において、第1高さ位置H1よりも高い位置において底部Bbを介して内容物80を支持する。
【0066】
本実施形態では、スチーム噴出ノズル22が袋Bの内側から退避を開始するタイミングと同時的に、支持部25は底部Bbに接触して、底部Bb及び内容物80を持ち上げて支持する。この場合、支持部25に持ち上げられた内容物80が、スチーム噴出ノズル22に接触することを回避できる。ただし、支持昇降部62により上昇させられる支持部25が袋B内の内容物80の支持を開始するタイミングは、スチーム噴出ノズル22が袋Bの内側から退避する前、スチーム噴出ノズル22が袋Bの内側からの退避動作を行っている間、或いはスチーム噴出ノズル22が袋Bの内側から退避し終わった後、のいずれであってもよい。
【0067】
またスチーム噴出ノズル22が袋Bの内側から退避し終わった後且つ口部Bmが閉じられるように袋保持部13によって袋Bが緊張させられた後(後述の
図8A及び
図8B参照)に、支持部25は底部Bbを介した内容物80の支持を開始してもよい。袋B内のスチームの冷却に伴う袋Bの容積縮小により口部Bmが意図せずに変形することを防ぐ観点からは、遅くともスチーム噴出ノズル22がスチーム置換装置10から退避し終わった直後までに、支持部25は底部Bbを介して内容物80の支持を開始することが好ましい。
【0068】
またスチーム噴出ノズル22が袋Bの内側に進入する前、或いはスチーム噴出ノズル22の先端部(例えば噴出口28)が袋Bの内側にある状態で、支持部25は底部Bbを介して内容物80の支持を開始してもよい。スチーム噴出ノズル22の先端部を袋B内に適切に挿入する観点からは、スチーム噴出ノズル22の少なくとも一部が袋Bの内側に配置された後に、支持部25が底部Bbを介して内容物80の支持を開始するように、支持昇降部62が支持部25を上昇させることが好ましい。スチーム噴出ノズル22の先端が袋Bの内側に進入する前に支持部25が袋Bの底部Bb及び内容物80を持ち上げると、口部Bmが意図せずに変形したり袋Bが厚み方向に傾いたりして、スチーム噴出ノズル22を袋Bの内側に適切に挿入できない場合がある。
【0069】
したがって「袋B内にスチーム噴出ノズル22の先端(特に噴出口28)が進入してから、スチーム噴出ノズル22の先端(特に噴出口28)が袋Bの外に退避するまでの間」の任意のタイミングで、支持部25は袋Bの底部Bbに接触して内容物80の支持を開始してもよい。ただし、支持部25が底部Bbを介して内容物80を支持した際に生じうる口部Bmの変形が、スチーム噴出ノズル22の先端部を袋B内に挿入するのに支障がない程度であることが予測される場合には、スチーム噴出ノズル22が袋Bに挿入される前から、支持部25は底部Bbを介して内容物80の支持を開始してもよい。
【0070】
また本実施形態の支持部25は、一旦袋Bの底部Bbを第1高さ位置H1から上昇させて第1高さ位置H1よりも高い位置において底部Bbを介して内容物80を支持した後は、口部Bmが第1シールユニット23によって閉鎖されるまで継続的に、第1高さ位置H1よりも高い位置において底部Bbを介して内容物80を支持する。これにより、袋B内のスチームの冷却に伴う袋B内の容積縮小によって口部Bmが意図せずに変形することを効果的に防げる。すなわち袋Bの口部Bmの意図しない変形を防ぐ観点からは、袋Bの底部Bb及び内容物80が一旦支持部25によって支持された後は、第1シールユニット23(閉鎖ユニット)によって袋Bの口部Bmが挟まれて圧迫されるまで継続的に、支持部25は底部Bb及び内容物80を支持し続けることが好ましい。
【0071】
袋Bの口部Bmは、第1シールユニット23により圧迫されることによって閉鎖される。そのため、口部Bmが第1シールユニット23によって閉鎖されている状態であれば、任意のタイミングで、口部Bmに意図しない隙間が形成されるのを防ぎつつ支持部25を支持位置から退避位置に移動させることができる。したがって例えば、第1シールユニット23によって口部Bmがシールされた後に、口部Bmの冷却処理が完了した後に、或いは袋Bが袋保持部13から解放される直前に、支持部25を支持位置から退避位置に移動させることも可能である。
【0072】
そして
図8A及び
図8Bに示すように、袋Bの内側からスチーム噴出ノズル22が退避した後、口部Bmを閉じるように袋Bを緊張させる工程が行われる。すなわちスチーム噴出ノズル22の全体が袋Bの外側に配置された後、袋保持部13を構成する2つのグリッパーは水平方向へお互いから離され、当該グリッパー間の距離が大きくされる。これにより、袋Bは口部Bmが閉じるように緊張させられる。これにより、口部Bmを介して袋B内に外気が流入するのを防ぐことができる。この際、口部Bmは完全に閉じられていることが好ましいが、必ずしも完全に閉じられていなくてもよい。
【0073】
このようにスチーム噴出ノズル22が退避した後に袋Bを緊張させる工程は、第6ステーションS6で行われてもよいし、第6ステーションS6から第7ステーションS7に袋Bが移動している間に行われてもよいし、第7ステーションS7で行われてもよい。ただし、袋B内からのスチームの流出防止及び袋B内への外気の流入防止の観点からは、袋B内からスチーム噴出ノズル22が退避した後、できるだけ早期に、袋保持部13により袋Bを緊張させて口部Bmを閉じることが好ましい
【0074】
そして袋Bは袋保持部13とともに第6ステーションS6から第7ステーションS7に移動させられる。袋Bが第6ステーションS6から第7ステーションS7に移動する際、支持部25は往復移動機構63によって移動させられ、袋Bを追従するように移動する。これにより、袋Bが第6ステーションS6から第7ステーションS7に移動している最中も、袋Bの底部Bb及び内容物80は支持部25により持ち上げられて支持される。そのため、袋Bが第6ステーションS6から第7ステーションS7に移動している最中、袋B内のスチームが冷えて袋Bの容積が縮小しても、袋Bの底部Bbに作用する内容物80の重量に起因して口部Bmが意図せずに変形することを、効果的に防ぐことができる。
【0075】
袋Bが第7ステーションS7に移動した直後、第1シールユニット23が有する2つの加熱プレート間にはスペースが形成されており、袋Bの口部Bmはこれらの加熱プレート間に配置されている(
図9A及び
図9B参照)。
【0076】
そして
図10A及び
図10Bに示すように、スチームの少なくとも一部が袋Bの内側に存在し且つ口部Bmを閉じるように袋Bが緊張させられている状態で、口部Bmを第1シールユニット23により閉鎖する工程が行われる。すなわち、第7ステーションS7において袋Bの口部Bmは、第1シールユニット23が有する2つの加熱プレートに圧迫され、第1シール処理が行われる。これにより袋Bの口部Bmを構成する表側壁部及び裏側壁部がお互いに溶着され、口部Bmはシールされる。
【0077】
なお第1シールユニット23による具体的なシール方式は限定されない。例えば、予め第1シールユニット23を高温に加熱しておき、第1シールユニット23が袋Bに接触するのと同時的に、口部Bmがシールされてもよい。また第1シールユニット23が袋Bに接触した後に、第1シールユニット23が昇温されることによって、口部Bmがシールされてもよい。また第1シールユニット23は、加熱溶着以外の手段によって袋Bの口部Bmをシールしてもよい。
【0078】
袋Bの口部Bmが第1シールユニット23によって閉鎖された後、支持部25は袋Bの底部Bbから離され、袋B内の内容物80は支持部25の支持から解放される(
図10B参照)。本実施形態では、
図2に示す支持昇降部62の支持昇降駆動源50によって支持昇降シャフト51の突出量が低減され支持部25が下降させられることによって、支持部25が袋Bの底部Bbから離され、袋B内の内容物80は支持部25の支持から解放される。ただし、支持部25が袋Bの底部Bbから離される方法はこれに限定されない。例えば、往復移動機構63が支持部25を水平方向に移動させることによって、支持部25を袋Bの底部Bbから離し、袋B内の内容物80が支持部25の支持から解放されてもよい。
【0079】
なお、袋B内の内容物80が支持部25の支持から解放されるタイミングは、第1シールユニット23によって行われる第1シール処理が完了した後であってもよいし、第1シール処理が完了する前であってもよい。例えば、第1シールユニット23が有する2つの加熱プレートが袋Bに接触して口部Bmを閉鎖した直後に、支持部25が袋Bの底部Bbから離されて、袋B内の内容物80が支持部25の支持から解放されてもよい。
【0080】
このようにして支持部25が袋Bの底部Bbから離された後、支持部25は往復移動機構63によって第7ステーションS7から第6ステーションS6に戻され、次の袋Bに対する処理のための準備位置(
図4B参照)に配置される。
【0081】
[第2実施形態]
図11〜
図13は、第2実施形態に係る支持部25を説明するための図である。本実施形態において、上述の第1実施形態と同一又は類似の要素については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0082】
本実施形態の支持部25は、複数の部材(第1支持部71及び第2支持部72)を含む。支持部25に含まれる複数の部材は、第6ステーションS6から第7ステーションS7にわたって存在するように設けられている。支持部25が有するこれらの部材(第1支持部71及び第2支持部72)は、袋Bが袋保持部13とともに第6ステーションS6から第7ステーションS7に搬送される間の少なくとも一部において、第1高さ位置H1よりも高い位置において袋Bの底部Bbを介して内容物80を支持する。
【0083】
図示の支持部25は、昇降可能に設けられる第1支持部71と、昇降することなく固定的に設けられる第2支持部72とを含む。第1支持部71は、第6ステーションS6(スチーム注入ステーション)に設けられており、少なくとも第6ステーションS6において延在する。
【0084】
なお本実施形態では、支持部25が第6ステーションS6から第7ステーションS7に移動しないため、上述の第1実施形態のスチーム置換装置10で必要とされていた往復移動機構63(
図2参照)が不要である。したがって例えば、支持駆動部44、支持駆動シャフト45、第1ギア係合部46、第2ギア係合部47、支持レール48及び支持ローラー49の設置は不要である。本実施形態において支持昇降駆動源50は、例えば支持土台43上に固定的に据え付けることが可能であり、第1支持部71が支持昇降固定部52を介して支持昇降シャフト51に取り付けられる。第2支持部72は、第7ステーションS7(第1シール処理ステーション)から第6ステーションS6に向かって延在する。第2支持部72は、例えば支持土台43に対して固定的に据え付けられている。
【0085】
第1支持部71及び第2支持部72は、袋Bの第6ステーションS6から第7ステーションS7への搬送軌道に沿ってお互いに隣り合うように延在する。第1支持部71と第2支持部72との間の間隔は限定されない。ただし、後述のように袋Bを第1支持部71上から第2支持部72上に適切に移送する観点からは、袋Bの搬送方向に関する第1支持部71と第2支持部72との間の間隔は、可能な限り小さい方が好ましく、袋Bの底部Bbの幅よりは小さい方が好ましい。
【0086】
第1支持部71及び第2支持部72の具体的な範囲は限定されない。第1支持部71は、袋Bの底部Bbを介して袋B内の内容物80を持ち上げる機能を有する。そのため第1支持部71は、第6ステーションS6に配置されている袋Bを適切に持ち上げることができるように、第6ステーションS6に配置されている袋Bの底部Bbを下方から持ち上げるのに十分な大きさを有していればよい。第2支持部72は、第1支持部71から袋Bを受け取って、第1高さ位置H1よりも高い位置(図示の例では第2高さ位置H2)において袋Bの底部Bbに接触しつつ袋B内の内容物80を支持する。第6ステーションS6に次に配置される袋Bのための第1支持部71の準備時間を確保する観点から、第6ステーションS6から第7ステーションS7に搬送される袋Bは、できるだけ早期に第1支持部71上から第2支持部72上に移動することが好ましく、第2支持部72は、第6ステーションS6に近い位置まで延在することが好ましい。
【0087】
支持昇降部62(
図2参照)は、第1支持部71及び第2支持部72のうち第1支持部71のみに連結されており、第1支持部71のみを昇降させる。具体的には、支持昇降部62は、第1高さ位置H1よりも低い位置と、第1高さ位置H1よりも高い位置(第2高さ位置H2)との間において、第1支持部71を昇降させる。
【0088】
図示の第2支持部72は、第2高さ位置H2において水平方向に延在しており、第2高さ位置H2に配置された第1支持部71と第2支持部72とは同一面(水平面)を形成する。これにより、第6ステーションS6から第7ステーションS7に向かって移動する袋Bの底部Bbは、一定の高さ(すなわち第2高さ位置H2)で水平に移動する。
【0089】
なお第1支持部71は、必ずしも第2支持部72と同じ高さ位置(すなわち第2高さ位置H2)に上昇されなくてもよい。すなわち、第6ステーションS6から第7ステーションS7に向かう袋Bが第1支持部71上から第2支持部72上に適切に移動可能であれば、第2支持部72よりも高い位置(すなわち第2高さ位置H2よりも高い位置)或いは低い位置(すなわち第2高さ位置H2よりも低い位置)に第1支持部71は上昇させられてもよい。
【0090】
また図示の第2支持部72は固定されているが、第2支持部72は昇降可能に設けられていてもよい。この場合、第2支持部72は、第1支持部71とは独立して昇降されることが好ましい。例えば、第7ステーションS7において袋Bの口部Bmの第1シール処理が完了した後に、特に第7ステーションS7から第8ステーションS8に向かって袋Bが搬送される前に、第2支持部72が下降されて袋Bの底部Bbから離れた位置に配置されてもよい。この場合、袋Bは、第2支持部72からダメージを受けることなく、第7ステーションS7から第8ステーションS8に搬送される。なお第2支持部72を昇降させる機構は、第1支持部71を昇降させる支持昇降部62と同様に構成可能である。
【0091】
上述の構成を有するスチーム置換装置10は、一例として以下のようにしてスチーム置換処理を行う。
【0092】
第5ステーションS5から搬送される袋Bが第6ステーションS6に配置される際、第1支持部71は第1高さ位置H1よりも低い位置(退避位置)に配置されている(
図11参照)。これにより、第6ステーションS6に配置された直後の袋Bは、第1支持部71に接触することなく、袋保持部13により吊り下げ保持された状態で配置される。この際、第2高さ位置H2において固定されている第2支持部72は、第7ステーションS7に配置されている袋Bの底部Bbを持ち上げて内容物80を支持している。
【0093】
その後、上述の第1実施形態と同様に、スチーム噴出ノズル22が袋Bの内側に挿入され、噴出口28から袋Bの内側にスチームが噴出され、袋保持部13(グリッパー)によって、袋Bの口部Bmが緊張させられる。これにより、袋B内の気体がスチームに置換される。
【0094】
また支持昇降部62によって第1支持部71が第1高さ位置H1よりも低い位置から上昇させられ、第2高さ位置H2に配置される(
図12参照)。これにより、第1支持部71は、底部Bbを介して袋B内の内容物80を持ち上げて支持し、高さ方向に関して底部Bbは口部Bmに近づけられる。また第1支持部71の上面は、第2支持部72の上面と同じ高さ位置に配置される。
【0095】
図示の例では、第1支持部71の上昇とともにスチーム噴出ノズル22も上昇させられる。
図12には、袋Bの内側から外側に移動している途中の状態のスチーム噴出ノズル22が示されている。これにより、第1支持部71によって持ち上げられて上昇する袋B内の内容物80が、スチーム噴出ノズル22に接触することを回避できる。内容物80とスチーム噴出ノズル22との接触を確実に回避する観点から、袋Bの内側から外側に退避する際のスチーム噴出ノズル22の上昇速度は、第1支持部71の上昇速度以上であることが好ましい。
【0096】
スチーム噴出ノズル22の全体が袋Bの外側に配置された後、袋Bは第6ステーションS6に配置された第7ステーションS7に向けて搬送される(
図13参照)。この際、袋Bの底部Bbは第1支持部71上から第2支持部72上にスムーズに移動し、袋B内の内容物80が第2支持部72によって支持される。そのため、袋Bが第6ステーションS6から第7ステーションS7に移動している最中、袋B内のスチームが冷えて袋Bの容積が縮小しても、袋Bの底部Bbに作用する内容物80の重量に起因して口部Bmが意図せずに変形することを効果的に防ぐことができる。
【0097】
以上説明したように上述のスチーム置換装置10及びスチーム置換方法によれば、袋B内にスチームが存在する状態で、袋B内の内容物80が支持部25により持ち上げられて支持される。これにより、袋B内のスチームが冷えて袋Bの容積が縮小する際に、内容物80の重量が口部Bmの形状に影響を与えることを抑えることができ、口部Bmに意図していない隙間が形成されるのを効果的に防ぐことができる。したがって、意図しない隙間を通って袋B内に外気が流入し且つ袋B内のスチームが外部に流出することを防ぎ、袋B内の気体を安定的に信頼性良くスチームに置換することができる。なお袋B内の気体がスチームに置換されている割合(スチーム置換率)は、一例として、袋B内の残存酸素濃度(残存酸素量)を測定することで評価可能である。典型的には、袋Bに注射針を刺して袋B内の気体を抽出し、酸素濃度計を使って抽出気体に含まれる酸素濃度を計測することで、袋B内の残存酸素濃度を測定することが可能である。
【0098】
また袋B内の内容物80の支持は、下方から袋Bの底部Bbを支持部25によって持ち上げることで行われる。そのため支持部25は、シンプルなプレート形状部材によって構成可能であり、複雑な構造が不要である。したがって、支持部25を駆動制御する機構もシンプルに構成可能であり、袋B内の内容物80を支持するための装置を低コストで実現可能である。
【0099】
また、袋B内にスチームを注入するためのステーション(第6ステーションS6)と、スチーム注入済みの袋Bの口部Bmを閉鎖及びシールするためのステーション(第7ステーションS7)と、は別ステーションである。これにより、袋Bが1つのステーションに滞在している間に受けるべき処理の時間を短くすることができ、包装システム5全体において袋Bの処理を高速化することができる。
【0100】
対照的に、袋B内へのスチーム注入と口部Bmの閉鎖及びシールとを同一ステーションで実施する場合、このステーションでの処理に要する時間は、長大化して包装システム5全体の処理時間のボトルネックとなり、包装システム5の生産能力の向上を妨げうる。また袋B内へのスチーム注入と口部Bmの閉鎖及びシールとを同一ステーションで実施する場合、口部Bmのシール器具(第1シールユニット23)にスチームが付着する可能性が増大し、シール器具の錆等の腐食が誘発されやすくなる。一方、袋B内へのスチーム注入と口部Bmの閉鎖及びシールとを別ステーションで実施することによって、そのような腐食の懸念を大幅に低減することができる。
【0101】
また上述の第1実施形態のように、第6ステーションS6から第7ステーションS7に移動する袋Bを追従するように支持部25を移動させることによって、袋Bの底部Bbが支持部25に対して擦れるのを防いで、袋Bが支持部25から受けるダメージを軽減することができる。
【0102】
また上述の第2実施形態のように、支持部25を構成する複数の部材(第1支持部71及び第2支持部72)を第6ステーションS6から第7ステーションS7にわたって連続的に設けることによって、支持部25の駆動機構をシンプルに構成可能である。すなわち、支持部25を水平方向へ往復移動させる機構が不要であり、第6ステーションS6において支持部25(すなわち第1支持部71)を昇降させる機構を設けることによって、袋B内の内容物80を支持部25により適切に支持した状態で、第6ステーションS6から第7ステーションS7に袋Bを搬送することができる。
【0103】
[変形例]
包装システム5、スチーム置換装置10及びスチーム置換方法は、上述の実施形態に限定されない。
【0104】
搬送ユニット11による袋Bの搬送軌道は限定されず、上述の円軌道以外の曲線軌道、直線軌道、或いは曲線軌道及び直線軌道の両方を含む軌道(例えば両端部が半円軌道によって構成されるエンドレス軌道)であってもよい。
【0105】
また、搬送ユニット11は、袋Bを間欠的に停止させることなく、継続的に袋Bを搬送してもよい。搬送ユニット11が袋Bを各ステーションで停止させることなく継続的に搬送する場合、任意の機構を使って袋Bを追従するようにスチーム噴出ノズル22及び支持部25を移動させることにより、袋B内のスチームが冷えて袋Bの容積が縮小する間、支持部25によって袋B内の内容物80を適切に支持することが可能である。
【0106】
またスチーム噴出ノズル22及び閉鎖ユニット(第1シールユニット23)を同一ステーションに設置し、袋B内へのスチーム注入処理と袋Bの口部Bmの閉鎖及びシール処理(第1シール処理)とを同一ステーションで行ってもよい。
【0107】
また、支持部25がステーション間を往復移動しない場合、包装システム5から袋Bが放出されるステーション(図示の包装システム5では第9ステーションS9又は第10ステーションS10)まで支持部25が延在していてもよい。この場合、袋Bが包装システム5外に放出されるまで、支持部25によって袋Bの内容物80を支持することが可能である。
【0108】
なお第6ステーションS6から第7ステーションS7にわたって支持部25が設けられる場合、支持部25は、上述の第2実施形態のように複数の部材によって袋B内の内容物80を支持してもよいし、単一部材によって袋B内の内容物80を支持してもよい。
【0109】
図14は、支持部25の一変形例を示す図である。
図14に示す支持部25は、単一部材によって構成されており、第1高さ位置H1(又は第1高さ位置H1よりも低い位置)から第2高さ位置H2に変化する傾斜部25aと、傾斜部25aに接続され第2高さ位置H2で水平方向に延びる平坦部25bとを有する。傾斜部25aは、第6ステーションS6よりも上流側(すなわち第5ステーションS5側)において設けられている。第5ステーションS5から搬送される袋Bの底部Bbは第6ステーションS6に到達する前に傾斜部25aに載せられ、傾斜部25aに沿って徐々に持ち上げられる。そして第6ステーションS6において、袋B内の内容物80は底部Bbを介して平坦部25bにより持ち上げられて支持される。
【0110】
このように支持部25は単一部材によって構成可能である。この場合、袋B内にスチーム噴出ノズル22が挿入される前に、袋Bの底部Bbが持ち上げられる。そのため、支持部25(傾斜部25a及び平坦部25b)が底部Bbを持ち上げることによって袋Bの口部Bmが変形しやすい場合、第6ステーションS6において口部Bmが意図しない形状に変形し、スチーム噴出ノズル22を袋B内に適切に挿入できない可能性がある。したがって、単一部材により構成される支持部25を使う場合、支持部25が底部Bbを持ち上げても口部Bmが変形しにくい又は実質的に変形しない袋Bを、処理対象とすることが好ましい。
【0111】
またステーションの数と同じ数の支持部25を設けてもよい。この場合、それぞれの袋保持部13に対して固有の支持部25を割り当てて、互いに関連づけられた袋保持部13及び支持部25を一緒に移動させてもよい。この場合、支持部25を往復移動させることなく、袋保持部13により保持されている袋Bを追従するように支持部25を移動させることができる。なお、そのような複数の支持部25は、任意の移動機構によって移動させられることができる。
【0112】
また上述の実施形態では、第1シールユニット23が袋Bの口部Bmを閉鎖しているが、第1シールユニット23以外の部材(例えばシール処理を行わない部材)によって口部Bmが閉鎖されてもよい。