【実施例】
【0028】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[合成例]
3000gのメタクリル酸2,4,6−トリメチルヘプチル(メタクリル酸イソデシル)、78.8gのエチレングリコールジメタクリレート、382.2gのドデシル硫酸ナトリウム、6300gの水および700gのエタノールを混合し、1時間撹拌させることによりモノマーを乳化させ、35.8gの過硫酸カリウムを添加した後、撹拌しながら1時間の窒素バブリングを実施し、溶液を70℃で8時間保持することにより、ゴム状重合体の微粒子が分散したラテックスが得られた。
【0029】
得られたラテックスを撹拌させながら、凝集液を添加することにより凝集を実施した。
【0030】
撹拌は、凝集槽内での撹拌翼による機械撹拌方式で、撹拌翼形状としては三方後退翼にて実施した。
【0031】
得られたゴム状重合体の凝集状態を目視にて確認した。凝集したゴム状重合体がスラリー状に分散しているものは工業的な製造において優れた作業性を有していると評価し、十分な凝集が得られないものや、ゴム状重合体が凝固し塊状になったものは工業的な製造に不適として評価した。
【0032】
[比較例1]
得られたエマルションを80rpmで攪拌させながら、メタノールを10500g添加することによりゴム状重合体Aを凝集させた。ゴム状重合体Aは、塊状の固体として凝固析出した。有機溶媒の配合量は、ラテックスと凝集液との混合液の液体成分中、60質量%であった。
【0033】
[比較例2]
凝集液として、比較例1で用いたメタノールの代わりに、3wt%の硫酸アルミニウム水溶液を5250g添加して重合体を緩凝集させた後、イソプロピルアルコール(IPA)を5250g添加すること以外は比較例1と同様の手法によりゴム状重合体Bを凝集させた。ゴム状重合体Bは、塊状の固体として凝固析出した。無機金属塩の配合量は、ゴム状重合体100質量部に対して5質量部であり、有機溶媒の配合量は、ラテックスと凝集液との混合液の液体成分中、30質量%であった。
【0034】
[実施例1]
凝集液として、比較例1で用いたメタノールの代わりに、3wt%硫酸アルミニウム水溶液5250gとイソプロピルアルコール(IPA)5250gをあらかじめ混合した凝集液1を用いた(プレ混合)以外は比較例1と同様の手法によりゴム状重合体1を凝集させた。ゴム状重合体1は、溶液中に分散したスラリー状として析出した。無機金属塩の配合量は、ゴム状重合体100質量部に対して5質量部であり、有機溶媒の配合量は、ラテックスと凝集液との混合液の液体成分中、30質量%であった。
【0035】
[実施例2]
凝集液として、比較例1で用いたメタノールの代わりに、3wt%硫酸アルミニウム水溶液5250gとアセトニトリル5250gをあらかじめ混合した凝集液2を用いた(プレ混合)以外は比較例1と同様の手法によりゴム状重合体2を凝集させた。ゴム状重合体2は、溶液中に分散したスラリー状として析出した。無機金属塩の配合量は、ゴム状重合体100質量部に対して5質量部であり、有機溶媒の配合量は、ラテックスと凝集液との混合液の液体成分中、30質量%であった。
【0036】
[実施例3]
凝集液として、比較例1で用いたメタノールの代わりに、3wt%硫酸アルミニウム水溶液5250gとエタノール5250gをあらかじめ混合した凝集液3を用いた(プレ混合)以外は比較例1と同様の手法によりゴム状重合体3を凝集させた。ゴム状重合体3は、溶液中に分散したスラリー状として析出した。無機金属塩の配合量は、ゴム状重合体100質量部に対して5質量部であり、有機溶媒の配合量は、ラテックスと凝集液との混合液の液体成分中、30質量%であった。
【0037】
[実施例4]
凝集液として、比較例1で用いたメタノールの代わりに、3wt%硫酸アルミニウム水溶液5250gとメタノール5250gをあらかじめ混合した凝集液4を用いた(プレ混合)以外は比較例1と同様の手法によりゴム状重合体4を凝集させた。ゴム状重合体4は、溶液中に分散したスラリー状として析出した。無機金属塩の配合量は、ゴム状重合体100質量部に対して5質量部であり、有機溶媒の配合量は、ラテックスと凝集液との混合液の液体成分中、30質量%であった。
【0038】
[比較例3]
凝集液として、比較例1で用いたメタノールの代わりに、3wt%硫酸アルミニウム水溶液5250gとメチルエチルケトン(MEK)5250gをあらかじめ混合した凝集液5(プレ混合)を用いた以外は比較例1と同様の手法によりゴム状重合体5を凝集させた。ゴム状重合体5は、溶液中に分散したスラリー状として析出した。無機金属塩の配合量は、ゴム状重合体100質量部に対して5質量部であり、有機溶媒の配合量は、ラテックスと凝集液との混合液の液体成分中、30質量%であった。
【0039】
[比較例4]
凝集液として、比較例1で用いたメタノールの代わりに、3wt%硫酸アルミニウム水溶液5250gとテトラヒドロフラン(THF)5250gをあらかじめ混合した凝集液6を用いた(プレ混合)以外は比較例1と同様の手法によりゴム状重合体6を凝集させた。ゴム状重合体6は、溶液中に分散したスラリー状として析出した。無機金属塩の配合量は、ゴム状重合体100質量部に対して5質量部であり、有機溶媒の配合量は、ラテックスと凝集液との混合液の液体成分中、30質量%であった。
【0040】
[実施例5]
実施例4で用いた硫酸アルミニウムの代わりに塩化ナトリウム水溶液を5250g用いた以外は実施例4と同様の手法にてゴム状重合体7を凝集させた。ゴム状重合体7は、溶液中に分散したスラリー状として析出した。無機金属塩の配合量は、ゴム状重合体100質量部に対して5質量部であり、有機溶媒の配合量は、ラテックスと凝集液との混合液の液体成分中、30質量%であった。
【0041】
[実施例6]
実施例4で用いた硫酸アルミニウムの代わりに塩化カルシウム水溶液を5250g用いた以外は実施例4と同様の手法にてゴム状重合体8を凝集させた。ゴム状重合体8は、溶液中に分散したスラリー状として析出した。無機金属塩の配合量は、ゴム状重合体100質量部に対して5質量部であり、有機溶媒の配合量は、ラテックスと凝集液との混合液の液体成分中、30質量%であった。
【0042】
【表1】
【0043】
結果は、表1に示す通りであり、実施例1〜6では、いずれも流動性を保ったスラリー状態のゴム状重合体が得られ、工業的な製造において攪拌機の回転数が低い場合であっても優れた作業性が得られることがわかった。
【0044】
比較例1は凝集剤としてメタノールを単独で用いた例であり、ゴム状重合体が塊状になり、工業的な製造には不適であった。
【0045】
比較例2は凝集剤として、無機金属塩を含む水溶液と有機溶媒とを別々に投入した例であり、ゴム状重合体が塊状になり、工業的な製造において攪拌機の回転数が低い場合には不適であった。
【0046】
比較例3,4は凝集剤として使用した有機溶媒のsp値が所定範囲外である例であり、いずれもゴム状重合体が塊状になり、工業的な製造には不適であった。