【解決手段】吸気装置10は、非導電性樹脂を用いて筒状に形成され、エンジンに供給される空気が通過する吸気ダクト12を備えている。また、吸気装置10は、吸気ダクト12に取付けられていると共に吸気ダクト12内に配置されたセンサ部14Bを有し、吸気ダクト12の内部を流れる空気の流量を測定するエアフローセンサ14を備えている。吸気ダクト12の外側には除電器16が取付けられている。除電器16は、吸気ダクト12に沿って延びる帯状に形成され、吸気ダクト12の径方向外側から見て長手方向の中間部分がセンサ部14Bと重なっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、吸気ダクト内を通過する空気の流量を測定するエアフローセンサが設けられた構成では、吸気ダクトの内面に沿って流れる空気流がエアフローセンサの上流周辺で剥離すると、エアフローセンサによる空気の流量の測定精度が低下することが考えられるが、上記特許文献1に記載された構成はこの点について考慮していない。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、吸気ダクトの内面に沿って流れる空気流がエアフローセンサの上流周辺で剥離することを部分的に帯状に抑制され、流量計測センサ部を流れる吸気流の偏流が防止・整流され、よって、空気の流量の測定精度を向上することができる吸気装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の吸気装置は、非導電性樹脂、例えばポリプロピレン等を用いて筒状に形成され、エンジン等に供給される空気が通過する吸気ダクトと、前記吸気ダクトに取付けられていると共に前記吸気ダクト内に配置されたセンサ部を有し、該吸気ダクトの内部を流れる空気の流量を測定するエアフローセンサと、前記吸気ダクトの外壁面に取付けられていると共に前記吸気ダクト内を流れる空気流線に沿って延びる帯状に形成され、前記吸気ダクトの径方向外側から見て長手方向の中間部分が前記センサ部を取り囲む径方向外周囲の外壁と重なっている空気イオン化自己放電式除電器と、を少なくとも一つ備えている。
【0007】
請求項1記載の吸気装置によれば、エンジン等に供給される空気が吸気ダクト内を流れる。また、吸気ダクト内を流れる空気は、エアフローセンサのセンサ部のまわりを通過する。これにより、吸気ダクト内を流れる空気の流量が前記エアフローセンサによって測定される。ここで、請求項1記載の吸気装置では、前記吸気ダクト内を流れる空気流線に沿って延びる帯状に形成された空気イオン化自己放電式除電器が、吸気ダクトの外壁側に取付けられている。これに加えて、この空気イオン化自己放電式除電器の長手方向の中間部分が、吸気ダクトの径方向外側から見てエアフローセンサのセンサ部を取り囲む径方向外周囲の外壁と重なっている。これにより、前記空気イオン化自己放電式除電器が設けられた部分の周辺の吸気ダクトの内面の帯電電荷量が低減されて、吸気ダクトの内面に沿って流れる空気流がエアフローセンサの上流周辺で剥離することを部分的に帯状に抑制され、流量計測センサ部を流れる吸気流の偏流が防止・整流され、よって、空気の流量の測定精度を向上することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る吸気装置は、吸気ダクトの内面に沿って流れる空気流がエアフローセンサの上流周辺で帯状に剥離することを抑制することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る吸気装置を示す断面図である。
【
図2】
図1に示された2−2線に沿って切断した第1実施形態に係る吸気装置を示す断面図である。
【
図3】
図1に示された3−3線に沿って切断した第1実施形態に係る吸気装置を示す断面図である。
【
図4】第2実施形態に係る吸気装置を示す断面図である。
【
図5】
図4に示された5−5線に沿って切断した第2実施形態に係る吸気装置を示す断面図である。
【
図6】
図4に示された6−6線に沿って切断した第2実施形態に係る吸気装置を示す断面図である。
【
図7】第3実施形態に係る吸気装置を示す断面図である。
【
図8】
図7に示された8−8線に沿って切断した第3実施形態に係る吸気装置を示す断面図である。
【
図9】
図7に示された9−9線に沿って切断した第3実施形態に係る吸気装置を示す断面図である。
【
図10】第4実施形態に係る吸気装置を示す断面図である。
【
図11】
図10に示された11−11線に沿って切断した第4実施形態に係る吸気装置を示す断面図である。
【
図12】
図10に示された12−12線に沿って切断した第4実施形態に係る吸気装置を示す断面図である。
【
図13】第5実施形態に係る吸気装置を示す断面図である。
【
図14】
図13に示された14−14線に沿って切断した第5実施形態に係る吸気装置を示す断面図である。
【
図15】
図13に示された15−15線に沿って切断した第5実施形態に係る吸気装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1〜
図3を用いて本発明の第1実施形態に係る吸気装置10について説明する。
【0012】
図1に示されるように、本実施形態の吸気装置10は、エンジン等に空気を供給するためのものである。なお、
図1においては、吸気装置10においてエアフローセンサ14が設けられた部分の周辺を拡大して示している。この図に示されるように、吸気装置10は、エンジン等に供給される空気が通過する吸気ダクト12と、吸気ダクト12の内部を流れる空気の流量を測定するエアフローセンサ14と、吸気ダクト12の外壁に取付けられた空気イオン化自己放電式除電器16と、を備えている。なお、以下の説明においては、「空気イオン化自己放電式除電器16」を単に「除電器16」と呼ぶ。
【0013】
図1、
図2及び
図3に示されるように、吸気ダクト12は、非導電性樹脂を用いて筒状に形成された筒状部18を備えている。この筒状部18の内面18A及び外面18Bは略円筒面状に形成されている。また、筒状部18の上流一方側の端部には、箱状に形成されたエアクリーナボックス20が接続されている。本実施形態では、筒状部18とエアクリーナボックス20との境界22において、空気が通過する断面が小さくなっている。また、エアクリーナボックス20には、図示しないエアフィルタが保持されている。なお、
図1においては、筒状部18とエアクリーナボックス20とを一体に描いているが、両者が別体となっていてもよい。
【0014】
図1及び
図2に示されるように、筒状部18におけるエアクリーナボックス20側近傍には、エアフローセンサ14が取付けられるセンサ取付部24が設けられている。このセンサ取付部24には、後述するエアフローセンサ14のセンサ部14Bが挿入される挿入孔26が形成されている。
【0015】
エアフローセンサ14は、図示しないコネクタが接続されるベース部14Aと、ベース部14Aに支持されたセンサ部14Bと、を備えている。そして、センサ部14Bが前述のセンサ取付部24に形成された挿入孔26に挿入されて、ベース部14Aがセンサ取付部24に固定されることで、エアフローセンサ14が吸気ダクト12に取付けられている。また、エアフローセンサ14が吸気ダクト12に取付けられた状態では、センサ部14Bが吸気ダクト12の筒状部18内の略中央部に配置されている。なお、本実施形態のエアフローセンサ14は、センサ部14Bの後方側(空気の流れの下流側)に発生するカルマン渦の数に基づいて吸気ダクト12の内部を流れる空気の流量を測定するタイプのエアフローセンサであるが、他のタイプのエアフローセンサを用いてもよい。また、以下の説明において用いる「前及び後」は、吸気ダクト12の内部を流れる空気の「上流及び下流」とそれぞれ対応するものとする。
【0016】
除電器16は、金属箔、例えばアルミ箔等を用いて形成され、吸気ダクト12の筒状部18の軸方向を長手方向とする帯状に形成されている。一例として、除電器16は、厚みが50μ〜200μm程度で外寸法が5mm×50mm程度の帯状形状をした金属箔であり、粘着剤を介して吸気ダクト12の筒状部18の外壁面18Bに、長手方向を空気流に沿って貼付(取付)けられている。なお、
図1〜
図3においては、除電器16の厚みを誇張して(厚くして)表現している。ここで、除電器16の外周囲及び表面にコロナ放電を促す突起や角部を複数設けることが好ましい。又、この除電器16は、表面が放電突起を形成する放電塗料、例えばメタリック塗料やカーボン塗料を長手方向が空気流に沿う様に帯線状に、外壁面18Bに直接塗っても良い。
【0017】
図2及び
図3に示されるように、本実施形態では、4つの除電器16が吸気ダクト12の筒状部18の外壁面18Bに取付けられている。また、4つの除電器16は、吸気ダクト12の筒状部18の周方向に沿って且つ、長手方向を空気流に沿う様に等間隔に、一対が互いに対向する様に配置されている。ここで、4つの除電器16を筒状部18の周方向一方側に沿って順に第1除電器16A、第2除電器16B、第3除電器16C及び第4除電器16Dと呼ぶ。
【0018】
図1及び
図3に示されるように、第1除電器16Aは、吸気ダクト12の筒状部18の軸方向から見てセンサ取付部24と対応する部分に取付けられている。第1除電器16Aの長手方向の中間部28は、筒状部18におけるセンサ取付部24よりも前方側(筒状部18内を流れる空気の流れの上流側)に沿って取付けられている。また、第1除電器16Aの後端部30は、L字状に屈曲された状態でセンサ取付部24に沿って取付けられている。さらに、第1除電器16Aの前端部32は、エアクリーナボックス20に沿って略S字状に屈曲された状態で当該エアクリーナボックス20に取付けられている。
【0019】
図2及び
図3に示されるように、第2除電器16Bは、第1除電器16Aに対して吸気ダクト12の筒状部18の周方向一方側へ90°オフセットした位置に取付けられている。この第2除電器16Bの長手方向の後方側の部分34は、筒状部18におけるセンサ取付部24と対応する部分に沿って取付けられている。これにより、第2除電器16Bの長手方向の後方側の部分34の一部34Aが、筒状部18の径方向外側かつ第2除電器16Bの厚み方向から見てセンサ部14Bと重なっている。また、第2除電器16Bの前方側の部分36は、筒状部18におけるセンサ取付部24よりも前方側の部分からエアクリーナボックス20に沿って取付けられている。なお、第2除電器16Bは、第1除電器16Aと異なりほぼ直線状の状態(屈曲されない状態)で筒状部18等に取付けられている。
【0020】
第3除電器16Cは、第2除電器16Bに対して吸気ダクト12の筒状部18の周方向一方側へ90°オフセットした位置に取付けられている。なお、第3除電器16Cのその他の構成は第2除電器16Bと同様である。すなわち、この第3除電器16Cの長手方向の後方側の部分34は、筒状部18におけるセンサ取付部24と対応する部分に沿って取付けられている。これにより、第3除電器16Cの長手方向の後方側の部分34の一部34Aが、筒状部18の径方向外側かつ第3除電器16Cの厚み方向から見てセンサ部14Bと重なっている。また、第3除電器16Cの前方側の部分は、筒状部18におけるセンサ取付部24よりも前方側の部分からエアクリーナボックス20に沿って取付けられている。
【0021】
第4除電器16Dは、第3除電器16Cに対して吸気ダクト12の筒状部18の周方向一方側へ90°オフセットした位置に取付けられている。なお、第4除電器16Dのその他の構成は第2除電器16B及び第3除電器16Cと同様である。すなわち、この第4除電器16Dの長手方向の後方側の部分34は、筒状部18におけるセンサ取付部24と対応する部分に沿って取付けられている。これにより、第4除電器16Dの長手方向の後方側の部分34の一部34Aが、筒状部18の径方向外側かつ第4除電器16Dの厚み方向から見てセンサ部14Bと重なっている。また、第4除電器16Dの前方側の部分36は、筒状部18におけるセンサ取付部24よりも前方側の部分からエアクリーナボックス20に沿って取付けられている。
【0022】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0023】
図1、
図2及び
図3に示された本実施形態の吸気装置10では、エンジン等に供給される空気がエアクリーナボックス20側から吸気ダクト12の筒状部18を通じて流れる。
【0024】
また、吸気ダクト12の筒状部18内を流れる空気は、エアフローセンサ14のセンサ部14Bのまわりを通過する。これにより、吸気ダクト12の筒状部18内を流れる空気の流量がエアフローセンサ14によって測定される。
【0025】
ここで、本実施形態では、帯状に形成された第1除電器16A、第2除電器16B、第3除電器16C及び第4除電器16Dが、吸気ダクト12の筒状部18に取付けられている。これに加えて、第2除電器16B、第3除電器16C及び第4除電器16Dの後方側の部分34の一部34Aが、筒状部18の径方向外側かつ各々の除電器16の厚み方向から見てセンサ部14Bと重なっている。これにより、吸気ダクト12の筒状部18の内面18Aに沿って流れる空気流がエアフローセンサ14の上流周辺で剥離することを部分的に帯状に抑制することができる。その結果、センサ部14Bに沿って流れる空気流の偏流が防止・整流され、エアフローセンサ14による空気の流量の測定精度を向上させることができる。なお、
図1においては、第1除電器16A、第2除電器16B、第3除電器16C及び第4除電器16Dが設けられている場合の空気の流れを実線で示し、第1除電器16A、第2除電器16B、第3除電器16C及び第4除電器16Dが設けられている場合の空気の流れを破線で示している。
【0026】
また、本実施形態では、第1除電器16Aの長手方向の中間部28が、筒状部18におけるセンサ取付部24よりも前方側(筒状部18内を流れる空気の流れの上流側)に沿って取付けられていると共に、第1除電器16Aの前端部32が、エアクリーナボックス20に沿ってL字状に屈曲された状態で取付けられている。また、第2除電器16B、第3除電器16C及び第4除電器16Dの前方側の部分36が、筒状部18におけるセンサ取付部24よりも前方側の部分からエアクリーナボックス20に沿って取付けられている。すなわち、第1除電器16A、第2除電器16B、第3除電器16C及び第4除電器16Dが、筒状部18とエアクリーナボックス20との境界22をまたぐように設けられている。これにより、当該空気流がエアクリーナボックス20から筒状部18に導入された際に、当該空気流が上記境界22の周辺で剥離することを効果的に部分的に帯状に抑制することができる。
【0027】
(第2実施形態〜第5実施形態に係る吸気装置)
次に、
図4〜
図15を用いて本発明の第2実施形態〜第5実施形態に係る吸気装置38、40、42、44について説明する。なお、第2実施形態〜第5実施形態に係る吸気装置38、40、42、44において前述の第1実施形態に係る吸気装置10と対応する部材及び部分には、吸気装置10と対応する部材及び部分と同一の符号を付してその説明を省略することがある。
【0028】
図4、
図5及び
図6には、第2実施形態に係る吸気装置38が示されている。これらの図に示されるように、本実施形態の吸気装置38は、筒状部18においてエアクリーナボックス20(
図1参照)とは離れた位置にエアフローセンサ14が取付けられていること、並びに、第1除電器16A及び第3除電器16Cと第2除電器16B及び第4除電器16Dとの厚みが、互いに異なる寸法に設定されていることを除いては、第1実施形態に係る吸気装置10と同様に構成されている。なお、本実施形態では、上下方向の第1除電器16A及び第3除電器16Cの厚みが200μmに設定され、水平方向の第2除電器16B及び第4除電器16Dの厚みが50μmに設定されている。
【0029】
図7、
図8及び
図9には、第3実施形態に係る吸気装置40が示されている。これらの図に示されるように、本実施形態の吸気装置40では、3つの除電器16が吸気ダクト12の筒状部18に取付けられており、3つの除電器16は、吸気ダクト12の筒状部18の周方向に沿って等間隔に配置されている。
図7及び
図9に示されるように、第1除電器16Aは、吸気ダクト12の筒状部18の軸方向から見てセンサ取付部24と対応する部分に取付けられている。また、
図7及び
図8に示されるように、第2除電器16Bは、第1除電器16Aに対して吸気ダクト12の筒状部18の周方向一方側へ120°オフセットした位置に取付けられている。また、第3除電器16Cは、第2除電器16Bに対して吸気ダクト12の筒状部18の周方向一方側へ120°オフセットした位置に取付けられている。
【0030】
図10、
図11及び
図12には、第4実施形態に係る吸気装置42が示されている。これらの図に示されるように、本実施形態の吸気装置42では、2つの除電器16が吸気ダクト12の筒状部18に取付けられており、2つの除電器16は、吸気ダクト12の筒状部18の周方向に沿って等間隔に配置されている。
図10及び
図12に示されるように、第1除電器16Aは、吸気ダクト12の筒状部18の軸方向から見てセンサ取付部24と対応する部分に取付けられている。また、
図10及び
図11に示されるように、第2除電器16Bは、第1除電器16Aに対して吸気ダクト12の筒状部18の周方向一方側へ180°オフセットした位置に取付けられている。
【0031】
図13、
図14及び
図15には、第5実施形態に係る吸気装置44が示されている。これらの図に示されるように、本実施形態の吸気装置44では、2つの除電器16が吸気ダクト12の筒状部18に取付けられており、2つの除電器16は、吸気ダクト12の筒状部18の周方向に沿って等間隔に配置されている。第1除電器16Aは、吸気ダクト12の筒状部18の軸方向から見てセンサ取付部24に対して吸気ダクト12の筒状部18の周方向一方側へ90°オフセットした位置に取付けられている。また、第2除電器16Bは、吸気ダクト12の筒状部18の軸方向から見てセンサ取付部24に対して吸気ダクト12の筒状部18の周方向他方側へ90°オフセットした位置に取付けられている。
【0032】
以上説明した第2実施形態〜第5実施形態に係る吸気装置38、40、42、44においても、吸気ダクト12の筒状部18の内面18Aに沿って流れる空気流がエアフローセンサ14の周辺で剥離することを部分的に帯状に抑制することができる。
【0033】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。