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特開2020-8494試験機用検定器、および、それを用いる試験機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-8494(P2020-8494A)
(43)【公開日】2020年1月16日
(54)【発明の名称】試験機用検定器、および、それを用いる試験機
(51)【国際特許分類】
   G01M 7/02 20060101AFI20191213BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20191213BHJP
   G01L 1/04 20060101ALI20191213BHJP
【FI】
   G01M7/02 C
   G01L5/00 Z
   G01L1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-131674(P2018-131674)
(22)【出願日】2018年7月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲村 誠也
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 輝雅
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA01
2F051AB01
2F051BA08
(57)【要約】
【課題】試験機用検定器において、低周波数帯域から比較的高周波数帯域までの範囲内で試験機を較正できること。
【解決手段】試験機用検定器は、加振機の可動部20に固定される円板状の金属製のベース部材14と、環状部材12Aおよび12Bにより挟持される金属製の板ばね10と、環状部材12Aおよび12Bに挟持された板ばね10を3個のスリーブ部材16A、16B、16Cを介してベース部材14に締結するボルトBO1、BO2、BO3およびナットNu1、Nu2、Nu3とを主な要素として構成されているもの。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加振機の可動部に連結されるベース部材と、
前記ベース部材に固定される支持部材に支持され板厚方向に弾性変位可能な板ばねと、
前記板ばねの中央部に配され、前記加振機の可動部から加えられた繰り返し荷重を、荷重検出器に伝達する検出荷重伝達部と、
を具備して構成される試験機用検定器。
【請求項2】
加振機の可動部に連結されるベース部材と、
前記ベース部材に固定される支持部材に支持され板厚方向に弾性変位可能な板ばねと、
前記板ばねの中央部に配され、前記加振機の可動部から加えられた繰り返し荷重を、球体を介して荷重検出器に伝達する検出荷重伝達部と、
を具備して構成される試験機用検定器。
【請求項3】
前記支持部材は、少なくとも3本以上の支柱からなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の試験機用検定器。
【請求項4】
前記支持部材の曲げ剛性が、前記板ばねの曲げ剛性に比して大であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の試験機用検定器。
【請求項5】
荷重検出器を有する荷重軸と、
可動部を有する加振機と、
前記加振機の可動部に着脱可能に連結される請求項1乃至請求項4のうちのいずれかに記載の試験機用検定器と、
を含んでなる試験機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験機用検定器、および、それを用いる試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジンマウント等に用いられる防振ゴムの動的性質は、例えば、SRIS3503(日本ゴム協会標準規格)に規定された所定の動的性質試験方法に従い試験される。このような試験は、例えば、特許文献1に示されるように、上述の試験方法に準拠した動特性試験機により行われる。動特性試験機は、加振機と、荷重検出器とを備えている。試験にあたり、テストピースとしての防振ゴムは、動特性試験機における加振機の可動部と荷重検出器との間に配置される。そして、動特性試験の場合、加振機の可動部により、所定の繰返し周波数を有する動的な繰返し荷重がテストピースに加えられる。これにより、動特性試験機の荷重検出器により得られた荷重(ばね値)およびたわみの時間波形に基づいて防振ゴムの絶対ばね定数、動的ばね定数、損失ばね定数、および、損失係数等が算出される。
【0003】
上述の動特性試験機の性能が、所定の基準の性能を満たしているか否かを定期的に確認するためにテストピースの代わりに、所定の試験機用検定器が動特性試験機における加振機の可動部と荷重検出器との間に配置されて試験され、動特性試験機の性能が確認される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭61−22251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両のエンジンマウントに用いられる防振ゴムに必要とされる動的性質は、例えば、ガソリンエンジンを搭載する自動車に使用される場合と、電気自動車、および、ハイブリッドエンジンを搭載するハイブリッド車に使用される場合とでは、異なる場合がある。これは、電気自動車等のモータが発生する振動の周波数が、ガソリンエンジンが発生する振動の周波数に比べて比較的高周波数帯域となるからである。
【0006】
上述のような動的性質の異なる複数の防振ゴムの動的性質を測定する動特性試験機の場合、特許文献1に示される動特性試験機に用いられる試験機用検定器においては、加振機が加える振動の周波数が約100Hz程度の低周波数帯域から約1000Hz以上の比較的高周波数帯域までの範囲内で正確に較正することが必要となる。
【0007】
しかしながら、所定のばね定数を有するコイルスプリングを内蔵する試験機用検定器は、加振機が加える振動の周波数が約100Hzを越える周波数帯域となるとき、コイルスプリング自体が加振機により加えられた振動数成分と共振し、縦共振を引き起こす虞がある。このような場合、荷重検出器により測定された荷重(ばね値)が、正規の値の数十倍となる誤った値となる虞がある。従って、1つの試験機用検定器によって、約100Hz程度の低周波数帯域から約1000Hz以上の比較的高周波数帯域までの範囲内で試験機を正確に較正できない。
【0008】
以上の問題点を考慮し、本発明は、試験機用検定器、および、それを用いる試験機であって、低周波数帯域から比較的高周波数帯域までの範囲内で試験機を較正できる試験機用検定器、および、それを用いる試験機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明に係る試験機用検定器は、加振機の可動部に連結されるベース部材と、ベース部材に固定される支持部材に支持され板厚方向に弾性変位可能な板ばねと、板ばねの中央部に配され、加振機の可動部から加えられた繰り返し荷重を、荷重検出器に伝達する検出荷重伝達部と、を備えて構成される。
【0010】
また、本発明に係る試験機用検定器は、加振機の可動部に連結されるベース部材と、ベース部材に固定される支持部材に支持され板厚方向に弾性変位可能な板ばねと、板ばねの中央部に配され、加振機の可動部から加えられた繰り返し荷重を、球体を介して荷重検出器に伝達する検出荷重伝達部と、を備えて構成される。
【0011】
支持部材は、少なくとも3本以上の支柱からなるものでもよい。支持部材の曲げ剛性が、板ばねの曲げ剛性に比して大であってもよい。
【0012】
本発明に係る試験機は、荷重検出器を有する荷重軸と、可動部を有する加振機と、加振機の可動部に着脱可能に連結される上述の試験機用検定器と、を含んでなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る試験機用検定器、および、それを用いる試験機によれば、ベース部材に固定される支持部材に支持され板厚方向に弾性変位可能な板ばねと、板ばねの中央部に配され、加振機の可動部から加えられた繰り返し荷重を、荷重検出器に伝達する検出荷重伝達部と、を備えているので低周波数帯域から比較的高周波数帯域までの範囲内で試験機を較正できる。また、その他の効果として、板ばねを用いた事により加振で生じる熱を放熱し易くなり、高周波で加振した際に生じる熱による誤差要因を抑制する効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る試験機用検定器の一例を示す斜視図である。
図2図1に示される試験機用検定器の正面図である。
図3図1に示される試験機用検定器の平面図である。
図4図1に示される試験機用検定器の底面図である。
図5図1に示される試験機用検定器の一例が加振機の可動部に固定された状態を示す図である。
図6】(A)は、図1に示される試験機用検定器に用いられる複数本のボルトに支持された円板状の板ばねの略中央部に集中荷重が作用した状態を示す図であり、(B)は、比較例としての試験機用検定器に用いられるコイルスプリングの一部を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図5は、本発明に係る試験機用検定器の一例を、それが用いられる試験機の一部を構成する加振機の可動部とともに概略的に示す。
【0016】
上述の試験機は、例えば、引用文献1に示されるような、動特性試験機とされる。その動特性試験機は、図示が省略されるが、例えば、SRIS3503(日本ゴム協会標準規格)に規定された非共振方法に準拠した試験方法を実行可能なものとされる。その動特性試験機は、例えば、粘弾性材料の静的から高サイクルにおけるバネ定数等の計測およびその計測値に基づくデータ処理を行うものとされる。
【0017】
その動特性試験機は、図示が省略されるが、後述する加振機および昇降シリンダーおよび油圧シリンダーを支持する中定盤と、昇降シリンダーおよび油圧シリンダーのロッドの先端部により中定盤に対し平行に昇降可能に支持される上定盤と、上端が上定盤の中央部に支持される荷重軸と、荷重軸の下端に向かい合って中定盤に配され、テストピースまたは検定器のベース部材が連結される加振機の可動部と、荷重軸に設けられテストピースまたは後述する検定器の荷重被検出部から伝達される荷重を検出する荷重(ばね値)検出器(圧電式ロードセル)と、を主な要素として含んで構成されている。その動特性試験機は、加えて、上述の昇降シリンダーおよび油圧シリンダーを駆動制御する油圧ユニットおよび操作レバーユニットと、加振機からの上述の可動部の変位量をあらわす出力信号、および、荷重(ばね値)検出器からの荷重値(ばね値)をあらわす検出出力信号が供給されるコントローラとを備えている。
【0018】
図5において、試験機用検定器は、加振機の可動部20に固定される円板状の金属製のベース部材14と、環状部材12Aおよび12Bにより挟持される板状部材としての金属製の板ばね10と、環状部材12Aおよび12Bに挟持された板ばね10を3個のスリーブ部材16A、16B、16Cを介してベース部材14に締結する3本のボルトBO1、BO2、BO3および6個のナットNu1、Nu2、Nu3とを主な要素として構成されている。
【0019】
アルミニウム合金製のベース部材14は、中央の孔14aに挿入されるボルトBO4の雄ねじが加振機の可動部20の雌ねじ孔にねじ込まれることにより、可動部20の端面に当接し固定される。ベース部材14は、孔14aの回りに円周方向に均等に3箇所、段付孔14bを有している。また、図4に示されるように、各段付孔14bには、ボルトBO1、BO2、および、BO3と、ナットNu1、Nu2、および、Nu3とが、それぞれ、挿入される。これにより、挿入されたボルトBO1、BO2、および、BO3は、その軸線がベース部材14の端面に対し略垂直となるようにベース部材14に取り付けられる。
【0020】
アルミニウム合金製の環状部材12Aおよび12Bは、互いに同一の構造を有するので環状部材12Aについて説明し、環状部材12Bについての説明を省略する。環状部材12Aは、中央に開口部12aを有するとともに、アルミニウム合金製のボルトBO1、BO2、および、BO3がそれぞれ挿入される孔12bをベース部材14の孔14bに対応して開口部12aの周縁の3箇所に有している。
【0021】
環状部材12Aおよび12B相互間に挟持される薄板状の板ばね10は、例えば、ばね材(ばね用冷間圧延鋼帯:SK85−CSP)で作られ、環状部材12Aおよび12Bの直径と同一の直径、例えば、50mm以上70mm以下の直径を有した円板状に形成されている。板ばね10の厚さは、例えば、約1mm以上約3mm以下に設定されている。板ばね10は、ボルトBO1、BO2、および、BO3がそれぞれ挿入される孔10bを、環状部材12Aの孔12bに対応して中央の孔10aの回り3箇所に有している。
【0022】
板ばね10の中央部には、アルミニウム合金製の球面嵌合部材18Aおよび取付具18Bが板ばね10を挟持した状態で固定されている。球面嵌合部材18Aは、板ばね10における上述の荷重軸の下端に向き合う表面10SAに載置されている。球面嵌合部材18Aにおける荷重軸の下端に向き合う部分には、所定の曲率半径球Rの球面で形成される凹部18ARが形成されている。凹部18ARには、荷重軸の下端と球面嵌合部材18Aとの間に配置される金属製の球体である鋼球(不図示)が嵌め合わされる。板ばね10の中央部の孔10aには、取付具18Bの凹部に向けて突出する球面嵌合部材18Aの軸部が挿入される。球面嵌合部材18Aの軸部の回りには、球面嵌合部材18Aの中心軸線方向に貫通した雌ねじ孔10cが、その円周方向に沿って90°間隔で4箇所に形成されている。取付具18Bは、球面嵌合部材18Aの4個の雌ねじ孔10cに対応してクロムモリブデン鋼(SCM435)で作られた小ネジBSがそれぞれ挿入される貫通孔を4箇所に有している。これにより、小ネジBSが取付具18Bの貫通孔を介して球面嵌合部材18Aの雌ねじ孔10cにねじ込まれることにより、球面嵌合部材18Aが、板ばね10における表面10SAに固定されるとともに、取付具18Bが、板ばね10における表面10SAに向き合う表面10SBに固定される。従って、板ばね10が、球面嵌合部材18Aおよび取付具18Bにより挟持されることとなる。上述の球面嵌合部材18Aは、可動部20から加えられ共振した荷重を検定器から上述の荷重軸に設けられる荷重(ばね値)検出器に伝達する検出荷重伝達部を形成する。なお、上述の例においては、金属製の球体である鋼球は、荷重軸の下端と球面嵌合部材18Aの凹部18ARとの間に嵌め合わされた構造とされているが、斯かる例に限られることなく、例えば、球体の一部が荷重軸の下端に設けられるクランプにより保持され、球体の他の部分が球面嵌合部材18Aの凹部18ARに嵌め合うような構造を有していてもよい。また、上述の球体は、球面嵌合部材18Aの凹部18ARの球面と当接する部分が球面を有していればよいので必ずしも完全な球である必要はなく、例えば、球の一部が欠けた球欠のような形状であってもよい。さらに、上述のような球体を用いることなく、例えば、荷重軸の下端の一部が、球面嵌合部材18Aの凹部18ARに直接的に嵌め合うような球面を有するものであってもよい。
【0023】
球面嵌合部材18Aおよび取付具18Bにより挟持された板ばね10は、図2に示されるように、支柱としてのアルミニウム合金製のボルトBO1、BO2、および、BO3にそれぞれ巻装されたスリーブ部材16A、16B、および、16Cにより、ベース部材14の端面に対し所定距離、上方に離隔した位置でナットNu1、Nu2、および、Nu3でボルトBO1、BO2、および、BO3に締結される。ボルトBO1、BO2、および、BO3の両端は、それぞれ、ナットNu1、Nu2、および、Nu3で締結されている。
【0024】
このような試験機用検定器における板ばね10の共振周波数fi(Hz)は、(1)式に従い算出される。
【0025】
【数1】
【0026】
但し、kは、試験機用検定器における板ばね10のばね定数K1と、ボルトBO1、BO2、および、BO3からなるばね定数Kh(Kh>>K1)との合成したばね定数の値であり、mは、板ばね10の質量である。ばね定数k(Ki)(N/mm)は、後述する(2)式および(3)式に従い算出される。
【0027】
【数2】
【0028】
但し、Fは、図6(A)に示されるように、板ばね10の孔10aの周縁に作用する力(N)であり、ωi(mm)は、力Fが作用したとき、板ばね10における球面嵌合部材18Aおよび取付具18Bが配置される中央部の最大撓みである。
【0029】
ωi={r2F×12(1−ν2)}/16πEt3 …(3)
なお、(3)式は、円盤のたわみ式である。但し、r(mm)は、図6(A)に示されるように、ボルトBO1、BO2、および、BO3により支持された板ばね10が撓み得る部分の半径であり、t、ν、Eは、それぞれ、板ばね10の板厚(mm)、ポアソン比、および、ヤング率(MPa)である。
【0030】
試験機用検定器における板ばね10の一例において、例えば、r=25mm、F=1(N)、ν=0.3、E=2.1×105(MPa)、t=2.4mmのとき、それらを(3)式に代入することにより、撓みωiは、4.68×10-5mmである。また、ばね定数Kiは、(2)式にF、ωiの値を代入することにより、21380.62(N/mm)となる。その際、上述したように、Kh>>K1であるのでボルトBO1、BO2、および、BO3の曲げ剛性が、板ばね10の曲げ剛性に比して大に設定されることとなる。
【0031】
従って、共振周波数fiは、例えば、板ばね10の質量m(kg)が0.3kgであるとき、(1)式に、得られたばね定数Kiの値を代入することにより、共振周波数fiは、1343.59(Hz)となる。このようにボルトBO1、BO2、および、BO3の曲げ剛性が、板ばね10の曲げ剛性に比して大に設定されることによって、見かけ上計測される検定値が、板ばね10の剛性値になるようにすることで周波数ダイナミックレンジを1kHzまで拡げることを実現できる。また、板ばね10がボルトBO1、BO2、および、BO3により平面の状態で支持されることにより、板ばね10に作用する力が、計測時、左右前後に逃げ難い構造となる。
【0032】
一方、図6(B)に示されるように、比較例として板ばね10の代わりにコイルスプリング30が内蔵された検定器の場合、コイルスプリング(強力ばね)30(材質:ばね用シリコンクロム鋼、外径50mm、内径25mm、ばねの巻き数6)の質量m、ばね定数kが、それぞれ、0.2652(kg)、137.96(N/mm)(=Kc)であるとき、それらの値を上述の(1)式に代入することにより、コイルスプリング(強力ばね)30の共振周波数fi(Hz)は、114.79(Hz)となる。
【0033】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る試験機用検定器の一例に用いられる板ばね10の共振周波数fi(Hz)は、コイルスプリング30が内蔵された検定器に比して比較的高周波数帯域となるので低周波数帯域から比較的高周波数帯域までの範囲内で試験機を正確に較正できることとなる。
【0034】
上述の試験機用検定器により上述の動特性試験機を較正するにあたっては、先ず、試験機用検定器のベース部材14が加振機の可動部に固定され、荷重軸の端部と試験機用検定器の球面嵌合部材18Aの凹部18ARとの間に鋼球が配置される。次に、加振機が作動され、加振機の可動部の周波数および荷重が所定の周波数から徐々に増大されながら、荷重(ばね値)検出器によりばね値が検出される。その際、上述のコントローラを通じて得られたばね値が、基準となる周波数で基準のばね値となる場合、動特性試験機について較正が不要とされる。一方、コントローラを通じて得られたばね値が、基準となる周波数で基準のばね値とならない場合、動特性試験機について較正が必要となる。
【0035】
上述の例においては、試験機用検定器が板ばねと、剛体フレームとの構造であるので板ばね10の厚みを調整可能であってばね定数を任意の値に切換えることが可能となる。また、板ばね10の厚みが、例えば、2.4mmであり、極めて薄いものなので製作過程において公差管理が容易である。その結果、試験機用検定器を量産した場合、特性値が安定した検定器の生産が可能であり、しかも、例えば、板ばね10と球面嵌合部材18Aとの嵌め合い公差を0.01〜0.04mmと設定した場合、組立誤差の低減が図られ、データ計測の再現性が向上する。
【0036】
なお、本発明に係る試験機用検定器の一例においては、板ばね10が3本のボルトBO1、BO2、および、BO3で支持されているが、斯かる例に限られることなく、例えば、板ばね10が4本以上のボルトで支持されてもよい。また、板ばね10が3本のボルトBO1、BO2、および、BO3の代わりに、環状部材12Aおよび12Bで挟持された板ばね10が、例えば、支持部材としての円筒状の部材によりベース部材14に固定されてもよい。
【0037】
また、本発明に係る試験機用検定器の一例においては、動特性試験機を較正するものを一例として説明されているが、斯かる例に限られることなく、本発明の一例が、例えば、動特性試験機とは異なる他の試験機の較正のために適用されてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
10 板ばね
14 ベース部材
18A 球面嵌合部材
18B 取付具
BO1、BO2、BO3 ボルト
20 可動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6