(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-85878(P2020-85878A)
(43)【公開日】2020年6月4日
(54)【発明の名称】吊り下げ式両面光学検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/84 20060101AFI20200508BHJP
【FI】
G01N21/84 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-6373(P2019-6373)
(22)【出願日】2019年1月17日
(31)【優先権主張番号】107140486
(32)【優先日】2018年11月14日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】511248629
【氏名又は名称】由田新技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【弁理士】
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】▲頼▼ 憲平
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB02
2G051AC15
2G051CA04
2G051CA07
2G051CB01
(57)【要約】
【課題】検査台及び吊り下げ式キャリアを有する吊り下げ式両面光学検査装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の吊り下げ式両面光学検査装置は検査台と吊り下げ式キャリアを有する。前記検査台は少なくとも1つの第一ステージと、少なくとも1つの第二ステージを備える。前記第一ステージは表面検査台を備える。前記表面検査台の一方には被検体の第一面画像撮影用の第一撮像装置が取り付けられている。前記検査エリアの一方には第二撮像装置が取り付けられている。前記吊り下げ式キャリアは前記検査エリアの前記第二撮像装置側に設置されている。前記吊り下げ式キャリアはリニアモジュールと、前記リニアモジュールに合わせて設置され前記リニアモジュールにより駆動する裏面検査台とを備えている。前記裏面検査台は前記被検体の第一面を吸着することで、前記被検体の第二面を露出し前記検査エリアの前記第二撮像装置により撮影できるようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り下げ式両面光学検査装置であって、
検査台と、
吊り下げ式キャリアと、を有し、
前記検査台は、少なくとも1つの第一ステージと、少なくとも1つの第二ステージを備え、
前記第一ステージは表面検査台を備え、前記表面検査台のいずれか一方には被検体の第一面画像撮影用の第一撮像装置が取り付けられており、前記第一ステージと前記第二ステージの間には検査エリアが設けられており、前記検査エリアのいずれか一方には第二撮像装置が取り付けられており、
前記吊り下げ式キャリアは、前記検査台の前記第一ステージと前記第二ステージの間に設置されており、前記吊り下げ式キャリアは、リニアモジュールと、前記リニアモジュールに合わせて設置され前記リニアモジュールにより駆動する裏面検査台と、を備えており、
前記裏面検査台は、前記リニアモジュールに合わせて前記第一ステージと前記第二ステージの間を移動し、前記被検体の第一面を吸着することで、前記被検体の第二面が前記検査エリアを通過する際に前記第二撮像装置により撮影できるようにすることを特徴とする吊り下げ式両面光学検査装置。
【請求項2】
前記リニアモジュールは、駆動モーターと、前記駆動モーターによって回転するねじ軸と、前記ねじ軸のいずれか一方に少なくとも1つ設置されるリニアガイドと、を備え、前記裏面検査台のいずれか一方は、前記ねじ軸と組み合わせるためのナット部が取り付けられ、かつ前記リニアガイド上には少なくとも1つのスライドブロックが滑走できるように設置されており、前記ねじ軸によって前記裏面検査台が駆動され前記リニアガイドの一定軌道範囲内を決められた経路に沿って移動することを特徴とする請求項1に記載の吊り下げ式両面光学検査装置。
【請求項3】
前記リニアガイドの数は2個であり、前記ねじ軸の両側に対称となるように設置され、前記ナット部及び前記スライドブロックは前記裏面検査台のいずれか一方に組み合わされ、前記スライドブロックの数は4個であり、前記ナット部の両側に2個ずつ対称となるように設置され、それぞれの側にある前記リニアガイドに固定されることを特徴とする請求項2に記載の吊り下げ式両面光学検査装置。
【請求項4】
前記駆動モーターはステッピングモーターであることを特徴とする請求項2に記載の吊り下げ式両面光学検査装置。
【請求項5】
前記表面検査台は、空気浮上式位置決めモジュールに合わせて設置され、前記空気浮上式位置決めモジュールによって駆動し、前記第一撮像装置の撮像エリアを通過することを特徴とする請求項1に記載の吊り下げ式両面光学検査装置。
【請求項6】
前記空気浮上式位置決めモジュールは、リニアモーターと、前記リニアモーターに合わせて設置される空気浮上機構と、複数の空気軸受と、を備え、前記空気浮上機構は前記表面検査台を設置するための軌道が備えられており、前記リニアモーターのステーター及び励磁コイルはそれぞれ前記表面検査台及び前記軌道に設置されており、前記表面検査台を駆動させ前記軌道が置かれている範囲内において移動し、前記複数の空気軸受は前記表面検査台及び前記軌道の間に設置されることを特徴とする請求項5に記載の吊り下げ式両面光学検査装置。
【請求項7】
前記軌道のいずれか一方にはリニアスケールが設置され、前記表面検査台のいずれか一方にはリードライトヘッドが設置されており、前記リニアスケールの数値を読み取って制御装置にフィードバックし、前記制御装置はフィードバックされた数値に基づいて前記表面検査台の移動速度及び移動行程を制御することを特徴とする請求項6に記載の吊り下げ式両面光学検査装置。
【請求項8】
前記空気浮上機構の表面材料は、花崗岩であることを特徴とする請求項6に記載の吊り下げ式両面光学検査装置。
【請求項9】
前記被検体を置く前記表面検査台の表面は、セラミック材料であることを特徴とする請求項6に記載の吊り下げ式両面光学検査装置。
【請求項10】
前記第一撮像装置及び第二撮像装置は、エリアスキャンカメラまたはラインスキャンカメラであることを特徴とする請求項1から9までのいずれかに記載の吊り下げ式両面光学検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学検査装置に関するものであり、特に、吊り下げ式両面光学検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
両面光学検査を実施する際には、一般的に、まずキャリアまたは移載装置を使って被検体を検査エリアへ移動し、撮像装置により被検体の表面を撮影し、撮影完了後に反転装置で反転させ、再びキャリアまたは移載装置を使って当該検査エリアへ移動し二度目の撮影を行うことで、被検体の両面画像を得る方法が知られている。上記の方式はもとより直感的にわかりやすい設計になっているものの、検査過程において余計な工程が増えるため、検査に必要な時間が必然的に増加する結果、検査効率を有効に高めることができないという問題がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、検査台及び吊り下げ式キャリアを有する吊り下げ式両面光学検査装置を提供することにある。前記検査台は、少なくとも1つの第一ステージと、少なくとも1つの第二ステージと、を備えている。前記第一ステージは、表面検査台を備えている。前記表面検査台のいずれか一方には、被検体の第一面画像撮影用の第一撮像装置が取り付けられている。前記第一ステージと前記第二ステージの間には検査エリアが設けられており、前記検査エリアのいずれか一方には、第二撮像装置が取り付けられている。前記吊り下げ式キャリアは、前記検査台の前記第一ステージと前記第二ステージの間に設置されている。前記吊り下げ式キャリアは、リニアモジュールと、前記リニアモジュールに合わせて設置され前記リニアモジュールにより駆動する裏面検査台と、を備えている。そのうち、前記裏面検査台は、前記リニアモジュールに合わせて前記第一ステージと前記第二ステージの間を移動し、前記被検体の第一面を吸着することで、前記被検体の第二面が前記検査エリアを通過する際に前記第二撮像装置により撮影できるようにするものである。
【0004】
本発明は、別途反転装置を備えて被検体を反転させる工程を必要としないため、ひとつの被検体を検査するのに必要な時間を有効に短縮し、検査効率をより向上させることができる。
【0005】
本発明はリニアモジュール及び空気浮上式位置決めモジュールにより、被検体の両面についてそれぞれ要求される検査精度が異なるという問題を解決することができる。特に、空気浮上式位置決めモジュールを使うことにより、ナノレベルの精度が求められるワークに対しても正確な光学検査を効果的に実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の吊り下げ式両面光学検査装置の外観斜視図である。
【
図4】本発明の吊り下げ式キャリアの部分断面図である。
【
図5-1】本発明の吊り下げ式両面光学検査装置の使用状態を示す図である。
【
図5-2】本発明の吊り下げ式両面光学検査装置の使用状態を示す図である。
【
図5-3】本発明の吊り下げ式両面光学検査装置の使用状態を示す図である。
【
図5-4】本発明の吊り下げ式両面光学検査装置の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の技術内容を図面に基づいて説明する。なお、これら図面は説明のためのものであるため、実際の比率に従い描かれたものではなく、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0008】
本発明においては、図面の中で制御装置の存在を明確に示していないが、本発明は光学検査装置に応用されることから、当然のことながら映像処理に使用される画像処理プロセッサが含まれていることは理解に難くない。また、装置の各ユニットの動作を調整するために、必然的に中央制御装置(例えばPLC)が組み込まれており、各ユニットのパラメータを調整することで、装置がスムーズに動作しかつ誤差がないようにしている。また、装置の各ユニットにそれぞれ個別に独立した制御装置及びそれに対応するファームウェアを組み込み、各ユニットの動作モードを切り替えたりセンサーを通して対応するパラメータをフィードバックしたりといったことも可能である。
【0009】
前記制御装置は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit;CPU)やプログラム制御が可能な一般ないし特殊用途のマイクロプロセッサでもよいし、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、PLC、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuits;ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、又はそれらに類するデバイスあるいはこれらデバイスの組み合わせであってもよい。
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
図1は、本発明の吊り下げ式両面光学検査装置の外観斜視図である。
【0011】
図1に示されるように、吊り下げ式両面光学検査装置100は、検査台10と、検査台10に合わせて設置される吊り下げ式キャリア20と、を備えている。
【0012】
検査台10は、被検体P(
図5−1参照)の表面検査及び裏面検査のいずれを実施するかに応じて、第一検査位置に対応した第一ステージ11と、第二検査位置に対応した第二ステージ12に分けられる。ここでいう第一検査位置及び第二検査位置は、第一撮像装置111及び第二撮像装置121の撮像範囲によって決まる。つまり前記検査位置とは、被検体の種類、精度、レンズ及びカメラの性能(例えば解像度や焦点距離)に応じて装置のオペレーターが配置する好ましい撮像位置のことであり、この用語によって本発明の範囲を制限することを意図したものではない。
【0013】
第一ステージ11は、表面検査台112を備えている。前記表面検査台112のいずれか一方には、第一撮像装置111が取り付けられている。好ましい実施形態においては、第一撮像装置111はエリアスキャンカメラまたはラインスキャンカメラであるが、本発明ではこれらに限定しない。エリアスキャンカメラを用いた実施形態では、ステージ移動時の撮影精度に対する影響を低減することが可能であり、一方ラインスキャンカメラを用いた実施形態では、装置の体積を減らすとともに検査効率を向上させることが可能である。
【0014】
第二ステージ12は第一ステージ11の後に設置されており、吊り下げ式キャリア20によって第一ステージ11の被検体Pを吸着し、被検体Pを前記第二検査位置まで搬送し撮影を行う。本実施形態においては、第二ステージ12及び第一ステージ11は同一の台座(空気浮上機構114)に設置されているが、実際の必要に応じて第二ステージ12は第一ステージ11と別々に設置してもよく、本発明では限定しない。被検体Pの画像を撮影するために、第二ステージ12には前記第二検査位置に対応する検査エリアSPが設けられている。検査エリアSPのいずれか一方には第二撮像装置121が備えられ、検査エリアSPに照準を合わせてあり、当該エリアを通過する被検体Pに対し撮影を行う。第一撮像装置111と同様に、好ましい実施形態においては、第二撮像装置121はエリアスキャンカメラまたはラインスキャンカメラであるが、本発明ではこれらに限定しない。エリアスキャンカメラを用いた実施形態では、ステージ移動時の撮影精度に対する影響を低減することが可能であり、一方ラインスキャンカメラを用いた実施形態では、装置の体積を減らすとともに検査効率を向上させることが可能である。検査エリアSPは第二ステージ12上部に位置する露出エリアである。本実施形態においては、検査エリアSPは台座の延伸方向の末端位置のいずれか一方に位置しており、表面検査台112が末端まで移動すると、吊り下げ式キャリア20により被検体Pを吸着して検査エリアSPまで搬送し第二撮像装置により撮影する。前述の実施形態のほか、前記検査エリアは台座の溝部にあってもよいし、隣りあわせの台座、ステージまたは装置同士の間部分に位置していてもよく、本発明ではこうした設定について限定しない。
【0015】
以下では、本発明における表面検査台112について、具体的な実施形態を例に詳細な説明を行う。
図2は本発明の表面検査台の外観斜視図である。
図3は本発明の表面検査台の立体分解図である。
【0016】
表面検査台112は、空気浮上式位置決めモジュールに合わせて設置されており、前記空気浮上式位置決めモジュールによって駆動し、第一撮像装置111の撮像エリア(第一検査位置)を通過する際に、第一撮像装置111により被検体Pの第一面画像を撮影する。
【0017】
好ましい実施形態においては、前記空気浮上式位置決めモジュールは、リニアモーター113と、リニアモーター113に合わせて設置される空気浮上機構114と、を備えている。空気浮上機構114には表面検査台112を設置するための軌道114Aが備わっている。リニアモーター113のステーター113A及び励磁コイル113Bはそれぞれ軌道114A及び表面検査台112に設置されており、表面検査台112を駆動させ軌道114Aが置かれている範囲内において移動させる。より具体的には、本実施形態においては、ステーター113Aは軌道114Aの内側にあり、軌道114Aの延伸方向に対して平行に設置されている。表面検査台112の内側(または底面側)には励磁コイル113Bが組み合わされており、ステーター113A及び励磁コイル113Bによって表面検査台112を軌道114Aの延伸方向に沿って移動させる。また、別の実施形態として、ステーター113A及び励磁コイル113Bはそれぞれ前述とは反対に配置してもよい。例えば、励磁コイルを直線型に設計して軌道114A内に設置し、表面検査台112にはそれに対応するステーター(磁石ユニット)を取り付け、励磁コイルの誘導電流の向きを調節することでステーターを移動させてもよく、本発明では限定しない。
【0018】
表面検査台112を相対的に浮かせ、表面検査台112のZ軸上における精度(すなわち表面検査台112と第一撮像装置111の間の距離)を高めるために、表面検査台112の底面側及び両側には複数の空気軸受(例えば垂直方向空気軸受R1や水平方向空気軸受R2)が組み合わされており、空圧装置115によりこれら空気軸受を正圧状態にすることで表面検査台112を浮かせている。好ましい実施形態においては、表面検査台112には上部台座112A及び下部台座112Bが備わっており、上部台座112Aは下部台座112Bに固定されている。下部台座112Bの両側には対称的に垂直方向空気軸受R1が設置されており、垂直方向空気軸受R1の気圧作用が下側に向くことによって、表面検査台112を浮上させる。本実施形態においては、左側に4個、右側に5個の合計9個が配置されている。左側は、一部空間が配線支持具の固定部を表面検査台112に組み合わせるのに使用されているため、4個のみ配置している。表面検査台112の四隅にはそれぞれ水平方向空気軸受R2が1個ずつ取り付けられており、水平方向空気軸受R2の気圧作用が表面検査台112の両側方向に向かい軌道114Aの内側壁面に作用することで、表面検査台112が両側壁面と接触または衝突することを避けている。空気軸受の数量については、表面検査台112の重量及び体積を考慮して決めるということは予め言明しておく。垂直方向空気軸受R1及び水平方向空気軸受R2の数量については本発明では限定しない。好ましい実施形態においては、表面検査台112は真空吸着台(図示せず)であってもよいが、本発明ではこれに限定しない。
【0019】
好ましい実施形態においては、高精度要求を満たすために、空気浮上機構114の表面材料に花崗岩を使用することで、表面研磨により当該平面の精度を3μm以内に抑えることができる。被検体Pを置く表面検査台112の表面をセラミック材料とすることで、平面精度は5μm以内に抑えることができる。リニアモーター113及び表面検査台112は位置決め時の精度誤差は1μm以内に抑えることができるため、これにより装置全体の誤差は最高でも10μmを超えることはない。
【0020】
表面検査台112の移動行程をフィードバックして表面検査台112の移動時の精度を高めるために、軌道114Aのいずれか一方にはリニアスケール116Aが設置されている。表面検査台112のいずれか一方にはリードライトヘッド116Bが設置されており、リニアスケール116Aの数値を読み取って制御装置(図示せず)にフィードバックする。この制御装置はフィードバックされた数値に基づいて表面検査台112の移動速度及び移動行程を制御する。
【0021】
被検体Pが第二ステージ12まで移動すると、第二ステージ12の吊り下げ式キャリア20によって前記被検体Pの第一面を吸着し、第二検査位置まで搬送し、第二撮像装置121で被検体Pの第二面(裏面)を撮影し裏面の検査を行う。以下、本発明における吊り下げ式キャリア20について、具体的な実施形態を例に詳細な説明を行う。
図4は本発明の吊り下げ式キャリアの部分断面図である。
【0022】
吊り下げ式キャリア20は、リニアモジュール21と、リニアモジュール21によって駆動する裏面検査台22と、を備えている。裏面検査台22はリニアモジュール21に合わせて決められた経路上を移動する。
【0023】
裏面検査台22を移動させるために、リニアモジュール21は、駆動モーター211と、駆動モーター211によって回転するねじ軸212と、ねじ軸212のいずれか一方に少なくとも1つ設置されるリニアガイド213と、を備えている。裏面検査台22のいずれか一方は、ねじ軸212と組み合わせるためのナット部221が取り付けられており、かつリニアガイド213上には少なくとも1つのスライドブロック222が滑走できるように設置されている。ねじ軸212によって裏面検査台22が駆動されリニアガイド213の一定軌道範囲内を決められた経路に沿って移動する。
【0024】
裏面検査台22の移動時の安定性を保ち、かつ同時に水平方向移動によってリニアガイド213に作用するモーメントを低減するために、本実施形態においては、リニアガイド213の数を2個とし、ねじ軸212の両側に対称となるように配置している。ナット部221及びスライドブロック222は裏面検査台22のいずれか一方に組み合わされており、スライドブロック222の数は4個で、ナット部221の両側に2個ずつ対称となるように配置され、それぞれの側にあるリニアガイド213に固定されている。上述の配置により、支点の位置が中心に来てねじ軸212と平行となる結果、スライドブロック222に作用する水平方向モーメントを低減する。好ましい実施形態においては、駆動モーター211はステッピングモーターを使ってもよい。また、他の実施形態として、駆動モーター211をサーボモーターや、ステッピングサーボシステム等としてもよく、本発明では限定しない。
【0025】
被検体Pを吸着するために、裏面検査台22は、台座223と、台座223に設置されるシリンダ224と、シリンダ224によって駆動し垂直に移動する吸着板225と、が備えられている。台座223は前述のナット部221及びスライドブロック222を取り付けるためのもので、裏面検査台22を載せて軌道に沿って移動する。シリンダ224は台座223に固定されているが、好ましい実施形態においては、台座223上に保持板224Aを設置し、シリンダ224のいずれか一方に取り付けシリンダ224の延長シャフト224Bを支えるようにしてもよい。吸着板225は延長シャフト224Bに組み合わされており、延長シャフト224Bに合わせて上下方向に少なくとも2行程移動する。吸着板225は空圧装置(図示せず)と組み合わされており、これにより吸着板225の表面に真空吸着力が形成される。
【0026】
以下、吊り下げ式両面光学検査装置100の作業フローについて説明を行う。
図5は本発明の吊り下げ式両面光学検査装置の使用状態を示す図である。
【0027】
まず、
図5−1に示す通り、被検体Pが人手または移載装置により第一ステージ11の表面検査台112に載せられると、表面検査台112はリニアモーター113によって駆動し、第一撮像装置111の撮像範囲(第一検査位置)に向かって移動する。
【0028】
続いて、
図5−2に示す通り、表面検査台112が第一検査位置まで移動すると、第一撮像装置111が被検体Pの第一面画像を撮影する。これが被検体Pの表面画像である。
【0029】
続いて、
図5−3に示す通り、表面検査台112が移載位置まで移動すると、前記移載位置に対応した吊り下げ式キャリア20がシリンダ224によって駆動し、下方向へ移動して表面検査台112上にある被検体Pを吸着する。この時、吸着される面は前記被検体Pの第一面(表面)であり、第二面(裏面)が下側に向かって露出することになる。
【0030】
最後に、
図5−4に示す通り、吊り下げ式キャリア20がリニアモジュール21によって駆動し、第二ステージ12の検査エリアSPの上方まで移動すると、検査エリアSPの下側にある第二撮像装置121が前記被検体Pの第二面画像(裏面画像)を撮影する。こうすることで、2度の撮影により被検体Pの両面画像が得られる。
【0031】
上述のとおり、本発明は、別途反転装置を備えて被検体を反転させる工程を必要としないため、ひとつの被検体を検査するのに必要な時間を有効に短縮し、検査効率をより向上させることができる。さらに、本発明はリニアモジュール及び空気浮上式位置決めモジュールにより、被検体の両面についてそれぞれ要求される検査精度が異なるという問題を解決することができる。特に、空気浮上式位置決めモジュールを使うことにより、ナノレベルの精度が求められるワークに対しても正確な光学検査を効果的に実施することが可能である。
【0032】
以上、本発明について詳細に説明したが、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【符号の説明】
【0033】
100 吊り下げ式両面光学検査装置
10 検査台
11 第一ステージ
111 第一撮像装置
112 表面検査台
112A 上部台座
112B 下部台座
R1 垂直方向空気軸受
R2 水平方向空気軸受
113 リニアモーター
113A ステーター
113B 励磁コイル
114 空気浮上機構
114A 軌道
115 空圧装置
116A リニアスケール
116B リードライトヘッド
12 第二ステージ
121 第二撮像装置
20 吊り下げ式キャリア
21 リニアモジュール
211 駆動モーター
212 ねじ軸
213 リニアガイド
22 裏面検査台
221 ナット部
222 スライドブロック
223 台座
224 シリンダ
224A 保持板
224B 延長シャフト
225 吸着板
P 被検体
SP 検査エリア