【解決手段】少量の蒸気凝縮液試料(例えば、一滴で10fL(フェムトリットル)程度の体積の、対象からの呼気凝縮液(EBC))を、スペーサを介して所定の間隔で保持される2枚のプレート間に採取し、採取された蒸気凝縮液試料の蒸発を防止するか又は著しく低減しながら、試料を携帯電話で画像化し、かつ画像領域内の分析物又は標識の数を計数する、何らかの専門的な技術のない人により、蒸気凝縮液、特に呼気凝縮液の採取及び分析を実行可能な方法。
1つ又は両方のプレートにおいて、ある所定の領域を有する乾燥結合部位をさらに含み、前記乾燥結合部位が、前記試料中の前記分析物に結合し、それを固定化する、請求項1に記載の装置。
1つ又は両方のプレートにおいて、放出可能な乾燥試薬と、前記放出可能な乾燥試薬が前記試料中に放出される時間を遅らせる放出時間制御材料とをさらに含む、請求項1に記載の装置。
前記分析物が、分子(例えば、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸又はその他の分子)、細胞、組織、ウイルス又は異なる形状のナノ粒子を含む、請求項1に記載の装置。
均一な厚さの層を調節するスペーサが、少なくとも1%の充填率を有し、充填率が、前記均一な厚さの層と接触するスペーサ面積と、前記均一な厚さの層と接触する総プレート面積との比である、請求項1に記載の装置。
前記均一な厚さの層を調節するスペーサについて、スペーサのヤング率とスペーサの充填率との乗積が10MPa以上であり、充填率が、前記均一な厚さの層と接触するスペーサ面積と、前記均一な厚さの層と接触する総プレート面積との比である、請求項1に記載の装置。
1つ又は両方のプレートが、プレート表面又は内部のいずれか一方に位置し、試料及び/又はプレートの構造の横方向寸法の情報を提供するスケールマーカーを含む、請求項1に記載の装置。
前記スペーサが、円形、多角形、環形、正方形、長方形、長円形、楕円形及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される断面形状を有する柱である、請求項1に記載の装置。
採取プレート及びカバープレートがヒンジで接続され、かつ前記ヒンジに沿ってプレートを折り畳むことにより、開放構成から閉鎖構成に変化するように構成される、請求項1に記載の装置。
採取プレート及びカバープレートが、前記プレートとは別個の材料であるヒンジにより接続され、前記ヒンジに沿ってプレートを折り畳むことにより、開放構成から閉鎖構成に変化するように構成される、請求項1に記載の装置。
採取プレート及びカバープレートが、単一の材料片で製造され、プレートを折り畳むことにより、開放構成から閉鎖構成に変化するように構成される、請求項1に記載の装置。
前記試料を分析するように構成される、請求項1に記載の装置であって、前記閉鎖構成で、前記装置によって形成される前記最終的な試料厚さが、60秒以下で前記試料を分析するように設定される、前記装置。
前記プレートの1つ又は両方に、分析物又は前記分析物の標識が増幅部位から500nm以内にある時に、それぞれ分析物又は標識からの信号を増幅できる1つ以上の増幅部位をさらに含む、請求項1に記載の装置。
前記採取プレート又はカバープレートが、その表面に、第1の所定のアッセイ部位及び第2の所定のアッセイ部位をさらに含み、前記プレートが閉鎖位置にある時に、前記第1の所定のアッセイ部位の縁部と前記第2の所定のアッセイ部位の縁部との間の距離が、前記均一な厚さの層の厚さよりも大きく、前記均一な厚さの層の少なくとも一部が、前記所定のアッセイ部位の上にあり、前記試料が、前記試料で拡散できる1つ以上の分析物を有する、請求項1に記載の装置。
前記採取プレート又はカバープレートが、その表面に、少なくとも3つの分析物アッセイ部位を有し、前記プレートが閉鎖位置にある時、任意の2つの隣接したアッセイ部位の縁部間の距離が、前記均一な厚さの層の厚さよりも大きく、前記均一な厚さの層の少なくとも一部が、前記アッセイ部位の上にあり、前記試料が、前記試料中で拡散できる1つ以上の分析物を有する、請求項1に記載の装置。
前記プレートが閉鎖位置にある時、前記採取プレート又はカバープレートが、その表面に、前記均一な厚さの層の厚さよりも大きい距離により離されない少なくとも2つの隣接した分析物アッセイ部位を有し、前記均一な厚さの層の少なくとも一部が、前記アッセイ部位の上にあり、前記試料は、前記試料中で拡散できる1つ以上の分析物を有する、請求項1に記載の装置。
前記プレートのうち一方が、分析物に結合する結合部位を有し、前記均一な試料厚さの層の少なくとも一部が、前記結合部位の上にあり、前記結合部位の平均横方向線形寸法よりも小さい、請求項76に記載のシステム。
前記ハウジングが、前記移動通信装置による、前記試料の画像化及び/又は信号処理を容易にする光学素子と、前記光学素子を前記移動通信装置に保持するように構成されたマウントとを含む、請求項79に記載のシステム。
前記移動通信装置が、検査の情報をクラウドネットワークに伝達するようにさらに構成され、かつ前記クラウドネットワークが、前記情報を処理して検査結果を改善するように構成される、請求項76に記載のシステム。
前記移動通信装置が、試験及び対象の情報をクラウドネットワークに伝達するようにさらに構成され、かつ前記クラウドネットワークが、前記情報を処理して試験結果を改善するように構成され、改善された試験結果が対象に返信される、請求項76に記載のシステム。
前記分析物が、分子(例えば、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸又はその他の分子)、細胞、組織、ウイルス又は異なる形状のナノ粒子を含む、請求項92に記載の方法。
プレートが閉鎖構成になった後に、外からの力を除去するステップと、プレートが閉鎖構成にある時に、均一な厚さの層内の光信号を測定するステップとを含む、請求項104に記載の方法。
所定の貯蔵部位により画定された試料の関連体積、閉鎖構成での均一な厚さの層の厚さ、及び検出された標的実体の量に基づいて、試料の関連体積中の分析物の濃度を計算するステップをさらに含む、請求項105に記載の方法。
前記スペーサが、円形、多角形、環形、正方形、長方形、長円形、楕円形又はそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱である、請求項105に記載の方法。
1つ又は両方のプレート試料接触表面が、分析物又は標識が1つの増幅部位から500nm以内にある時に、それぞれ分析物又は分析物の標識からの信号を増幅できる1つ以上の増幅部位を含む、請求項105に記載の方法。
前記分析物が、分子(例えば、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸又はその他の分子)、細胞、組織、ウイルス及び異なる形状のナノ粒子を含む、請求項105に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
例示的な態様の詳細な説明
以下の詳細な説明は、本発明のいくつかの実施形態を示すが、限定するものではない。本明細書で使用されるセクション見出し及び任意のサブタイトルは構成目的に過ぎず、いかなる方式で記載された主題を限定するものと理解されるべきではない。セクション見出し及び/又はサブタイトルの内容はセクション見出し及び/又はサブタイトルに限定されず、本発明の全体の説明に適用される。
【0007】
任意の出版物の引用は、本出願日の前に開示されるためであり、本発明が先の発明によりその出版物よりも先行する権利がないことを認めるものと理解されるべきではない。また、提供される公開日は、独立して確認する必要のある、実際の公開日と異なる可能性がある。
【0008】
本発明は、生化学的/化学的検知、アッセイ及び応用の分野に関する。特に、本発明は、少量の蒸気凝縮液試料(例えば、一滴で10fL(フェムトリットル)程度の体積の、対象からの呼気凝縮液(EBC))を採取し、採取された蒸気凝縮液試料の蒸発を防止するか又は著しく低減し、試料を分析し、試料を携帯電話で分析し、かつ何ら専門的な技術のない人によりそのような採取及び分析を実行することに関する。呼気凝縮液(EBC)及び他の蒸気凝縮液は、多くの共通特性を有するため、本開示は、EBCを本発明の特定の実施形態を説明するための代表として使用するが、このような記載は、本発明の制限として解釈されるべきではない。
【0009】
定義
別に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。以下にいくつかの例示的な方法及び材料を説明するが、本教示の実践又は試験において、本明細書に記載の類似又は同一の任意の方法及び材料を用いてもよい。
【0010】
用語「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」、「核酸分子」、「核酸配列」及び「オリゴヌクレオチド」とは、交換可能に使用され、かつそれぞれ用語を用いた文脈に応じて各用語の複数を含んでもよい。
【0011】
本明細書で使用されるように、用語「捕捉剤」とは、例えば、核酸分子、ポリペプチド分子又はその結合相手に特異的に結合できる任意の他の分子又は化合物のような結合メンバーを指し、例えば第1の核酸分子に相補的なヌクレオチド配列を有する第2の核酸分子、抗原を特異的に認識する抗体、抗体により特異的に認識された抗原、標的分子に特異的に結合できる核酸アプタマー等である。
【0012】
用語「二次捕捉剤」とは、「検知剤」とも呼ばれ、抗原に非常に特異的な親和性を有する一群の生体分子又は化学化合物を指す。二次捕捉剤は、光学的に検出可能な標識(例えば酵素、蛍光標識)に密着結合することができ、或いはそれ自体は生体抱合により光学的に検出可能な標識に結合されて他の検出剤により検出することができる(Hermanson、「Bioconjugate Techniques」 Academic Press、第2版、2008)。
【0013】
用語「捕捉剤−反応性基」とは、捕捉剤と反応できる分子の中の化学的機能の部分を指し、つまり捕捉剤の中の一部(例えばヒドロキシ、スルフヒドリル、カルボキシル又はアミン基)と反応して、安定かつ強力な共有結合を生成するものである。
【0014】
用語「特異的結合」と「選択的結合」とは、異なる標的分析物を有する不均質混合物内に存在する特定の標的分析物に優先的に結合する捕捉剤の能力を指す。特異的又は選択的結合は、相互作用して試料の中の所望の(例えば、活性化)標的分析物と望ましくない(例えば、不活性化)標的分析物とを区別し、一般的に約10倍超〜100倍以上(例えば、約1000又は10000倍を超える)である。
【0015】
用語「分析物」とは、異なる形状を有する分子(例えば、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸又はその他の分子)、細胞、組織、ウイルス及びナノ粒子を指す。
【0016】
用語「アッセイ」とは、試料を検査することにより、分析物の存在及び/又は存在量を検出することを指す。
【0017】
本明細書で使用されるように、用語「確定」、「計測」、「評価」及び「アッセイ」は、交換可能に使用され、かつ定量的及び定性的決定を含む。
【0018】
本明細書で使用されるように、用語「発光標識」とは、外部励起で発光することができる標識を指す。それは発光することができる。蛍光標識(色素分子又は量子ドットを含む)及び発光標識(例えばエレクトロ又は化学発光標識)は、蛍光標識のタイプである。外部励起は、蛍光用の光(光子)、電界発光用の電流及び化学発光用の化学反応を指す。外部励起は、上記の組み合わせであってもよい。
【0019】
フレーズ「標識された分析物」とは、発光標識で検出可能に標識された分析物を指し、標識の存在を評価して前記分析物を検出することができる。標識された分析物は、直接標識されてもよく(すなわち、分析物自体は、強力な結合、例えば共有結合又は非共有結合を介して標識に直接結合されてもよい)、標識された分析物は、間接的に標識されてもよい(すなわち、分析物は直接標識された二次捕捉剤に結合される)。
【0020】
核酸についての用語「ハイブリダイゼーション」と「結合」は、交換可能に使用される。
【0021】
用語「捕捉剤/分析物複合体」とは、捕捉剤と分析物の特異的結合から生じる複合体を指す。捕捉剤及び捕捉剤のための分析物は、一般的に「特異的結合条件」又は「特異的結合に適する条件」で互いに特異的に結合し、これらの条件(塩濃度、pH、界面活性剤、タンパク質濃度、温度などに関して)は、捕捉剤と分析物が溶液中で結合することを可能にする。それらの条件、特に抗体及びその抗原及び核酸ハイブリダイゼーションについての条件は、当該分野で周知である(例えばHarlow及びLane(Antibodies:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY(1989)、Ausubelら、Short Protocols in Molecular Biology、第5版、Wiley&Sons、2002を参照)。
【0022】
対象は、あらゆるヒト又は非ヒトの動物とすることができる。対象は、本方法を実施する人、患者、検査センターの顧客等であってもよい。
【0023】
本明細書で使用されるように、「診断試料」とは、対象から取られ、身体の副生成物(例えば、体液)としての任意の生物試料を指す。診断試料は、液体の形態で対象から直接得ることができ、又は、身体副産物を溶液(例えば緩衝液)に置くことにより対象から得ることができる。例示的な診断試料は、唾液、血清、血液、喀痰、尿、汗、涙液、精液、糞便、呼気、生体組織、粘液等を含むが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書で使用されるように、「環境試料」とは、環境から取られた任意の試料を指す。環境試料は、河川、湖、池、海洋、氷河、氷山、雨、雪、下水、貯水池、水道水、飲料水等からの液体試料;土壌、堆肥、砂、岩石、コンクリート、木材、煉瓦、汚泥等からの固体試料;及び空気、水中熱通気口、工業排気ガス、車両排気ガス等からの気体試料を含んでもよい。一般的に、本発明の方法を用いて試料を分析する前に、非液体形態の試料を液体形態に変換する。
【0025】
本明細書で使用されるように、「食品試料」とは、動物の消費、例えば、ヒトの消費に適する任意の試料を指す。食品試料は、原材料、調理済み食品、動植物由来の食品、前処理済み食品及び部分的に又は完全に処理された食品等を含んでもよい。一般的に、本発明の方法を用いて試料を分析する前に、非液体形態の試料を液体形態に変換する。
【0026】
本明細書で使用されるように、用語「診断」とは、ある方法又は分析物を用いて、関心対象となる疾患又は病状の結果を鑑定し、予測し、及び/又はその治療反応を予測することを指す。診断は、病気又は病状に罹患する可能性又は体質を予測すること、病気又は病状の重篤度を推定すること、病気又は病状の進行のリスクを決定すること、治療に対する臨床的応答を評価すること、及び/又は治療に対する応答を予測することを含んでもよい。
【0027】
本明細書で使用されるように、「バイオマーカー」とは、関心対象の試料から発見された任意の分子又は化合物であり、対象における関心対象の疾患又は病状の存在又はその体質を診断するか、又はそれに関連付けることが知られており、前記試料は対象から採取される。バイオマーカーは、ポリペプチド又はその複合体(例えば抗原、抗体)、核酸(例えばDNA、miRNA、mRNA)、薬物代謝物、脂質、炭水化物、ホルモン、ビタミン等を含むが、これらに限定されず、関心対象の病気又は病状に関連することが知られている。
【0028】
本明細書で使用されるように、健康状態の診断に関連付けられる「状態」とは、その他の生理学的状態と区別することができる心身の生理学的状態を指す。場合によっては、健康状態は、疾患と診断されない可能性がある。例示的な関心対象となる健康状態は、栄養上の健康、老化、環境有害物質、農薬、除草剤、合成ホルモン類似体への曝露、妊娠、閉経、男性更年期、睡眠、ストレス、糖尿病前症、運動、疲労、化学的バランス等を含むが、これらに限定されない。
【0029】
用語「実体」とは、「結合部位」に結合するタンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸、分子(小分子又は大分子)、細胞、組織、ウイルス、異なる形状のナノ粒子を指すが、これらに限定されない。実体は、捕捉剤、検出剤及び遮断剤を含む。「実体」とは、「分析物」を含み、これら2つの用語は、交換可能に使用される。
【0030】
用語「結合部位」とは、試料中の実体を固定化することができる固体表面上の位置を指す。
【0031】
用語「実体パートナー」とは、「結合部位」に位置し、かつ実体に結合するタンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸、分子(小分子又は大分子)、細胞、組織、ウイルス、異なる形状のナノ粒子を指すが、これらに限定されない。実体は、捕捉剤、検出剤、二次検出剤又は「捕捉剤/分析物複合体」を含むが、これらに限定されない。
【0032】
交換可能に使用される用語「スマートフォン」又は「携帯電話」とは、カメラ及び通信ハードウェアとソフトウェアを有し、カメラを使用して画像を撮影し、カメラにより撮影された画像を処理し、遠隔地にデータを通信することができる携帯電話のタイプを指す。いくつかの実施形態において、スマートフォンはフラッシュライトを有する。
【0033】
ある領域の「平均線形寸法」という用語は、該領域の面積に4を乗算し該領域の周長で割って取得するものに等しい長さと定義される。例えば、該領域は矩形であり、幅がWで、長さがLであれば、該矩形の線形寸法の平均値は、4*W*L/(2*(L+W))である(「*」が乗算を示し、「/」が割り算を示す)。この定義により、平均線形寸法はそれぞれ、幅がWの正方形についてはWであり、直径がdの円形についてはdである。領域は結合部位又は貯蔵部位の領域を含むが、これらに限定されない。
【0034】
周期構造配列の「周期」という用語は、ある構造の中心から、最も近い隣接した同じ構造の中心までの間隔を指す。
【0035】
用語「貯蔵部位」とは、試料に添加される試薬を含む、プレート上のある領域の部位を指し、かつ前記試薬は、試薬に接触する試料に溶解し、拡散することができる。
【0036】
用語「関連」とは、分析物の検出、試料中又はプレート上の分析物又は実体の定量化及び/又は制御、試料又はプレートに添加される試薬の定量化又は制御に関連することを指す。
【0037】
表面の「親水性」、「湿潤性」又は「濡れ性」という用語は、表面上の試料の接触角が90度より小さいことを指す。
【0038】
表面の「疎水性」、「非湿潤性」又は「非濡れ性」という用語は、表面上の試料の接触角が90度以上であることを指す。
【0039】
量の「変化」という用語は、実際の値と目標値又は量の平均値との差を指す。量の「相対的変化」という用語は、変化と目標値又は量の平均値の比を指す。例えば、ある量の目標値がQで、実際の値が(Q+□)である場合、□/(Q+□)は、相対的変化である。用語「相対的な試料の厚さ変化」とは、試料の厚さ変化と平均試料の厚さとの比を指す。
【0040】
用語「光透過性」とは、光信号の伝送を可能にする材料の特性を指し、特に断らない限り、用語「光信号」とは、試料、プレート、スペーサ、スケールマーク、使用される任意の構造、又はそれらの任意の組み合わせの特性を検出するために使用される光信号を指す。
【0041】
用語「非試料体積」とは、CROF過程の閉鎖構成で、プレートの間の体積が、試料ではなく、試料以外の他の物体によって占有されることを指す。これらの物体はスペーサ、気泡、塵埃又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。一般的に、「非試料体積」は試料内部に混入している。
【0042】
用語「飽和インキュベーション時間」とは、2つのタイプの分子(例えば、捕捉剤及び分析物)の間の結合が平衡に達するのに必要な時間を指す。表面固定化アッセイについて、「飽和インキュベーション時間」とは、試料中の標的分析物(実体)とプレート表面上の結合部位との間の結合が平衡に達することに必要な時間、すなわち、結合部位により捕捉して固定化された標的分子(実体)の平均数が統計学的にほぼ一定になった後の時間を指す。
【0043】
場合によっては、「分析物」と「結合実体」と「実体」は、交換可能に使用される。
【0044】
用語「第1のプレート」と「採取プレート」は、交換可能に使用される。用語「第2のプレート」と「カバープレート」は、交換可能に使用される。
【0045】
「プロセッサ」、「通信装置」、「移動装置」は、計算タスクを実行するための基本的な電子部品(メモリ、入出力インタフェース、中央処理ユニット、命令、ネットワークインタフェース、電源などのうちの1つ以上を含む)を含むコンピュータシステムを指す。コンピュータシステムは、特定のタスクを実行するための命令を含む汎用コンピュータであってもよく、専用コンピュータであってもよい。
【0046】
信号又はデータ通信の説明に使用される「サイト」又は「位置」とは、装置又は対象が存在するローカル領域を指す。サイトは、建築構造(例えば病院)内の部屋、又は広い地理的に定義された領域内の小さい地理的に定義された領域を指す。第2のサイトから離れた第1のサイトに対して、リモートサイト又はリモート位置は、距離及び/物理的障害によって第2のサイトから物理的に離れた第1のサイトである。リモートサイトは、建築構造中の第2のサイトから離れた第1のサイト、第2のサイトと異なる建築構造にある第1のサイト、第2のサイトなどとは異なる都市にある第1のサイトであってもよい。
【0047】
本明細書で使用されるように、用語「試料採取サイト」とは、対象から試料を取得する位置を指す。試料採取位置は、例えば小売店の位置(例えば、チェーンストア、薬局、スーパーマーケット又はデパート)、プロバイダーのオフィス、医師のオフィス、病院、対象の家、軍関係の敷地、雇用主サイト又は他のサイト又はサイトの組み合わせであってもよい。本明細書で使用されるように、用語「試料採取サイト」とは、さらに、該サイトに位置し、或いは該サイトに所属するビジネス、サービス又は施設の所有者又は代表者を指す。
【0048】
本明細書で使用されるように、「生データ」は、試料の特性又は特徴を検出するか又は測定するセンサ、カメラ、他のコンポーネント及び機器からの信号及び直接読み取りデータを含む。
【0049】
本明細書で使用されるように、「プロセス管理」とは、試料分析プロセスなどのプロセスの実行を計画及び/又は監視するための任意の数の方法及びシステムを指す。
【0050】
当業者であれば、本発明は、本明細書の記述又は図面に記載された構造の詳細、コンポーネントの配置、カテゴリ選択、重み付け、所定の信号制限又はステップへの適用に限定されないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態も可能であり、また様々な方法で実施又は実行することができる。
【0051】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、文脈上明確に指示されない限り、例えば、用語「単数」が使われる場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、複数の意味も含むことを注意しなければならない。例えば、「分析物」を言及すると、単一の分析物及び複数の分析物を含み、「捕捉剤」を言及すると、単一の捕捉剤及び複数の捕捉剤を含み、「検出剤」を言及すると、単一の検出剤及び複数の検出剤を含み、「試薬」を言及すると、単一の試薬及び複数の試薬を含む。
【0052】
蒸気凝縮液、特に呼気凝縮液を採取し分析する装置及びシステム、ならびにその使用方法
本発明は、
採取プレートとカバープレートとを含み、
i、前記プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
ii、前記プレートの1つ又は両方は可撓性であり、
iii、各プレートは、そのそれぞれの表面上に、分析物を含む蒸気凝縮液(VC)試料と接触するための試料接触領域を有し、
iv、前記プレートの1つ又は両方は、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、前記スペーサは、所定の実質的に均一な高さ及び所定の一定のスペーサ間の距離を有し、少なくとも1つのスペーサは、前記試料接触領域内にあり、
前記構成の1つは、開放構成であり、前記2つのプレートが完全に又は部分的に離され、前記プレート間の間隔が前記スペーサにより調節されず、前記VC試料が1つ又は両方のプレートに付着し、
別の構成は、VC試料が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成で、VC試料の少なくとも一部は、2つのプレートの間にあり、かつ2つのプレートと接触し、スペーサ及びプレートの2つの試料表面により調節され、30μm以下の非常に均一な厚さを有し、変化が少ない、
蒸気凝縮液(VC)試料を採取し分析する装置を提供する。
【0053】
いくつかの実施形態において、前記装置は、1つ又は両方のプレート上に、1つ以上の乾燥結合部位、及び/又は1つ以上の試薬部位をさらに含む。いくつかの実施形態において、試料は、呼気凝縮液である。
【0054】
いくつかの実施形態において、試料は、生物試料、環境試料、化学試料又は臨床試料に由来する蒸気である。いくつかの実施形態において、前記分析物は、分子(例えば、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸又はその他の分子)、細胞、組織、ウイルス及び異なる形状のナノ粒子を含む。いくつかの実施形態において、前記分析物は、揮発性有機化合物(VOC)を含む。いくつかの実施形態において、前記分析物は、窒素ガス、酸素ガス、CO2、H2O及び不活性ガスを含む。いくつかの実施形態において、前記分析物は染色される。
【0055】
いくつかの実施形態において、前記装置は、1つ又は両方のプレート上に塗布された乾燥試薬を含んでもよい。いくつかの実施形態において、前記乾燥試薬は、血液中の分析物に結合し、分析物を1つ又は両方のプレートの表面に固定化することができる。これらの実施形態において、前記試薬は、例えば、抗体又は他の特異的結合剤であってもよい。該乾燥試薬は、所定の領域を有していてもよく、他の実施形態において、該装置は、1つ以上のプレート上に放出可能な乾燥試薬、例えば、細胞染色剤などの標識試薬、抗体又はその類似体などの標識検出剤を含む。場合によっては、放出可能な乾燥試薬を含む時間制御放出型材料は、プレート上に存在してもよく、時間制御放出型材料は、放出可能な乾燥試薬が血液試料中に放出される時間を遅らせる。ある場合には、時間制御放出型材料は、放出可能な乾燥試薬が血液試料中に放出され始める時間を少なくとも3秒間、例えば少なくとも5秒間又は少なくとも10秒間遅らせる。いくつかの実施形態において、駆動装置は、複数の乾燥結合部位及び/又は複数の試薬部位を含むことができ、それによってマルチプレックスアッセイを実行することを可能にする。場合によっては、乾燥結合部位が占める領域は、プレートが閉鎖位置にある時に試薬部位が占める領域に対向することができる。
【0056】
いくつかの実施形態において、前記試薬は、標識又は染色試薬を含む。
【0057】
いくつかの実施形態において、均一な厚さの層を調節するスペーサ(すなわち、層内でプレートを互いに離すスペーサ)は、少なくとも1%の「充填率」を有し、例えば、少なくとも2%又は少なくとも5%を有し、充填率は、スペーサの均一な厚さの層と接触する面積と、均一な厚さの層と接触するプレート全体面積との比である。いくつかの実施形態において、均一な厚さの層を調節するスペーサについて、スペーサのヤング率にスペーサの充填率を乗算して10MPa以上であり、例えば、少なくとも15MPa又は少なくとも20MPaであり、充填率は、スペーサの均一な厚さの層と接触する面積と、均一な厚さの層と接触するプレート全体面積との比である。いくつかの実施形態において、可撓性プレートの厚さに可撓性プレートのヤング率を乗算して60〜750GPa−μmの範囲内にあり、例えば、100〜300GPa−μm、300〜550GPa−μm、又は550〜750GPa−μmである。いくつかの実施形態において、可撓性プレートについて、スペーサ間距離(ISD)の4乗を可撓性プレートの厚さ(h)及び可撓性プレートのヤング率(E)で割り算したISD
4/(hE)は、10
6μm
3/GPa以下であり、例えば、10
5μm
3/GPaより小さく、10
4μm
3/GPaより小さいか又は10
3μm
3/GPaより小さい。
【0058】
いくつかの実施形態において、1つ又は両方のプレートは、プレート表面又は内部のいずれか一方に位置し、該プレートの位置情報を提供する位置マーカーを含み、例えば、分析しようとする位置、又は血液が付着する位置である。場合によっては、1つ又は両方のプレートは、プレート表面又は内部のいずれか一方に位置し、血液試料及び/又はプレートの構造の横方向寸法情報を提供するスケールマーカーを含んでもよい。いくつかの実施形態において、1つ又は両方のプレートは、プレート表面又は内部のいずれか一方に位置し、試料の画像化を支援する画像化マーカーを含む。例えば、画像化マーカーは、画像化装置の焦点を合わせるのを助け、画像化装置を装置上のある位置に向けることができる。いくつかの実施形態において、スペーサは、位置マーカー、スケールマーカー、画像化マーカー、又はそれらの任意の組み合わせとして機能することができる。
【0059】
いくつかの実施形態において、1つの試料表面に、採取プレートに付着したVC試料の一部又は全部を囲むエンクロージャースペーサをさらに含む。
【0060】
いくつかの実施形態において、非常に均一な厚さの値は0.5μm以下である。いくつかの実施形態において、非常に均一な厚さの値は、0.5μm〜1μm、1μm〜2μm、2μm〜10μm、10μm〜20μm、又は20μm〜30μmの範囲内にある。
【0061】
いくつかの実施形態において、閉鎖構成におけるVC試料の少なくとも一部の厚さは、開放構成における採取プレートに付着したVC試料の厚さより大きい。
【0062】
いくつかの実施形態において、閉鎖構成におけるVC試料の少なくとも一部の厚さは、開放構成における採取プレートに付着したVC試料の厚さより小さい。
【0063】
いくつかの実施形態において、プレートの直接エンボス加工又はプレートの射出成形により、スペーサはプレート上に固定される。
【0064】
いくつかの実施形態において、プレート及びスペーサの材料は、ポリスチレン、PMMA、PC、COC、COP又は他のプラスチックから選択される。
【0065】
いくつかの実施形態において、スペーサ間距離は、1μm〜50μm、50μm〜100μm、100μm〜200μm又は200μm〜1000μmの範囲内にある。
【0066】
いくつかの実施形態において、VC試料は、ヒト又は動物に由来する呼気凝縮液である。
【0067】
いくつかの実施形態において、均一な厚さの層を調節するスペーサは、少なくとも1%の充填率を有し、充填率は、均一な厚さの層と接触するスペーサ面積と、均一な厚さの層と接触する総プレート面積との比である。
【0068】
いくつかの実施形態において、均一な厚さの層を調節するスペーサについて、スペーサのヤング率にスペーサの充填率を乗算したものは10MPa以上であり、充填率は、均一な厚さの層と接触するスペーサ面積と、均一な厚さの層と接触する総プレート面積との比である。
【0069】
いくつかの実施形態において、可撓性プレートについて、可撓性プレートの厚さに可撓性プレートのヤング率を乗算したものは、60〜750GPa−μmの範囲内にある。
【0070】
いくつかの実施形態において、可撓性プレートについて、スペーサ間距離(ISD)の4乗を、可撓性プレートの厚さ(h)及び可撓性プレートのヤング率(E)で割り算したISD
4/(hE)は、10
6μm
3/GPa以下である。
【0071】
いくつかの実施形態において、1つ又は両方のプレートは、プレート表面又は内部のいずれか一方に位置して該プレートの位置情報を提供する位置マーカーを含む。
【0072】
いくつかの実施形態において、1つ又は両方のプレートは、プレート表面又は内部のいずれか一方に位置して試料及び/又はプレートの構造の横方向寸法情報を提供するスケールマーカーを含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、1つ又は両方のプレートは、プレート表面又は内部のいずれか一方に位置して試料の画像化を支援する画像化マーカーを含む。
【0074】
いくつかの実施形態において、スペーサは、位置マーカー、スケールマーカー、画像化マーカー、又はそれらの任意の組み合わせとして機能することができる。
【0075】
いくつかの実施形態において、均一な厚さの層の平均厚さは、試料中の分析物の最小寸法にほぼ等しい。
【0076】
いくつかの実施形態において、スペーサ間距離は、1μm〜50μm、50μm〜120μm又は120μm〜200μmの範囲内にある。
【0077】
いくつかの実施形態において、スペーサ間距離は、実質的に周期的である。
【0078】
いくつかの実施形態において、スペーサは、円形、多角形、環形、正方形、長方形、長円形、楕円形又はそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱であってもよい。
【0079】
いくつかの実施形態において、スペーサは柱形状であり、実質的に平坦な上面を有し、各スペーサについて、その高さに対するスペーサの横方向寸法の比は少なくとも1である。
【0080】
いくつかの実施形態において、各スペーサは、
少なくとも1である、その高さに対する横方向寸法の比
を有する。
【0081】
いくつかの実施形態において、スペーサの最小横方向寸法は、試料中の分析物の最小寸法より小さいか又はそれに実質的に等しい。
【0082】
いくつかの実施形態において、スペーサの最小横方向寸法は、0.5μm〜100μmの範囲内にある。
【0083】
いくつかの実施形態において、スペーサの最小横方向寸法は、0.5μm〜10μmの範囲内にある。
【0084】
いくつかの実施形態において、スペーサは、少なくとも100/mm
2の密度を有する。
【0085】
いくつかの実施形態において、スペーサは、少なくとも1000/mm
2の密度を有する。
【0086】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプレートは透明である。
【0087】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプレートは可撓性ポリマーで製造される。
【0088】
いくつかの実施形態において、プレートを圧縮する圧力に対して、スペーサは圧縮可能ではなく、及び/又は独立してプレートのうち1方のみが可撓性である。
【0089】
いくつかの実施形態において、可撓性プレートの厚さは、10μm〜200μm(例えば、約10μm、25μm、50μm、75μm、100μm、125μm、150μm、175μm)の範囲内にある。
【0090】
いくつかの実施形態において、変化は30%、10%、5%、3%又は1%より小さい。
【0091】
いくつかの実施形態において、第1のプレート及び第2のプレートは接続され、プレートを折り畳むことにより、開放構成から閉鎖構成に変化するように構成される。
【0092】
いくつかの実施形態において、第1のプレート及び第2のプレートは、ヒンジにより接続され、ヒンジに沿ってプレートを折り畳むことにより、開放構成から閉鎖構成に変化するように構成される。
【0093】
いくつかの実施形態において、第1のプレート及び第2のプレートは、プレートとは別の材料であるヒンジにより接続され、ヒンジに沿ってプレートを折り畳むことにより、開放構成から閉鎖構成に変更するように構成される。
【0094】
いくつかの実施形態において、第1のプレート及び第2のプレートは、一片の材料で製造され、プレートを折り畳むことにより、開放構成から閉鎖構成に変更するように構成される。
【0095】
いくつかの実施形態において、均一な厚さの試料層は、少なくとも100μm
2の横方向の領域にわたって均一である。
【0096】
いくつかの実施形態において、均一な厚さの試料層は、少なくとも1mm
2の横方向の領域にわたって均一である。
【0097】
いくつかの実施形態において、該装置は、60秒間以内に試料を分析するように構成される。
【0098】
いくつかの実施形態において、閉鎖構成では、最終的な試料厚さの装置は、60秒間以内に試料を分析するように構成される。
【0099】
いくつかの実施形態において、前記装置は、1つ又は両方のプレート上に、分析物又は標識が増幅部位から500nm以内にある時に、それぞれ分析物又は標識からの信号を増幅できる1つ以上の増幅部位をさらに含む。
【0100】
いくつかの実施形態において、閉鎖構成で、最終的な試料厚さの装置は、10秒間以内に試料を分析するように構成される。
【0101】
いくつかの実施形態において、乾燥結合部位は、捕捉剤を含む。
【0102】
いくつかの実施形態において、乾燥結合部位は、抗体又は核酸を含む。いくつかの実施形態において、放出可能な乾燥試薬は標識試薬であり、いくつかの実施形態において、放出可能な乾燥試薬は蛍光標識試薬であり、いくつかの実施形態において、放出可能な乾燥試薬は色素であり、いくつかの実施形態において、放出可能な乾燥試薬はビーズである。いくつかの実施形態において、放出可能な乾燥試薬は量子ドットである。いくつかの実施形態において、放出可能な乾燥試薬は蛍光標識抗体である。
【0103】
いくつかの実施形態において、第1のプレートは、その表面に、第1の所定のアッセイ部位及び第2の所定のアッセイ部位をさらに含み、プレートが閉鎖位置にあるとき、アッセイ部位の縁部の間の距離は、均一な厚さの層の厚さより実質的に大きく、均一な厚さの層の少なくとも一部は、所定のアッセイ部位の上方に位置し、前記試料は、試料に拡散できる1つ以上の分析物を有する。
【0104】
いくつかの実施形態において、第1のプレートは、その表面に、少なくとも3つの分析物アッセイ部位を有し、プレートが閉鎖位置にあるとき、任意の2つの隣接したアッセイ部位の縁部の間の距離は、均一な厚さの層の厚さより実質的に大きく、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記アッセイ部位の上方に位置し、前記試料は、試料に拡散できる1つ以上の分析物を有する。
【0105】
いくつかの実施形態において、第1のプレートは、その表面に、少なくとも2つの隣接した分析物アッセイ部位を有し、前記分析物アッセイ部位が、プレートが閉鎖位置にあるとき、均一な厚さの層の厚さより実質的に大きい距離により離されず、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記アッセイ部位の上方に位置し、前記試料は、試料に拡散できる1つ以上の分析物を有する。
【0106】
いくつかの実施形態において、放出可能な乾燥試薬は細胞染色剤である。いくつかの実施形態において、前記装置は、光信号を検出するための光検出器である検出器をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記装置は、電気信号を検出するための電気検出器である検出器をさらに含む。
【0107】
携帯電話を用いて蒸気凝縮液試料を迅速に分析するシステムは、
(a)前記のいずれかに記載の装置と;
(b)
i.蒸気凝縮液試料を検出及び/又は画像化するための1つ以上のカメラ、並びに
ii.検出された信号及び/又は蒸気凝縮液試料の画像を受信及び/又は処理し、遠隔通信するための電子デバイス、信号プロセッサ、ハードウェア及びソフトウェア
を含む移動通信装置と
を含む。
【0108】
いくつかの実施形態において、前記システムは、移動通信装置又は外部源のいずれか一方からの光源をさらに含む。
【0109】
いくつかの実施形態において、プレートのうちの1つは分析物に結合する結合部位を有し、均一な試料厚さ層の少なくとも一部は、結合部位の上方に位置し、かつ結合部位の平均横方向線形寸法より実質的に小さい。
【0110】
いくつかの実施形態において、
(d)試料を保持し、前記移動通信装置に搭載されるように構成されたハウジング
がさらに含まれる。
【0111】
いくつかの実施形態において、前記ハウジングは、移動通信装置によって試料の画像化及び/又は信号処理を容易にするための光学素子と、光学素子を移動通信装置に保持するように構成されたマウントとを含む。
【0112】
いくつかの実施形態において、ハウジング内の前記光学素子の部品は、ハウジングに対して移動可能である。
【0113】
いくつかの実施形態において、前記移動通信装置は、医療専門家、医療機関又は保険会社に、検査結果を伝達するように構成される。
【0114】
いくつかの実施形態において、前記移動通信装置は、医療専門家、医療機関又は保険会社に、検査及び対象に関連付けられる情報を伝達するようにさらに構成される。
【0115】
いくつかの実施形態において、前記移動通信装置は、検査の情報をクラウドネットワークに伝達し、クラウドネットワークは、検査結果を洗練するために該情報を処理するようにさらに構成される。
【0116】
いくつかの実施形態において、前記移動通信装置は、検査及び対象に関連する情報をクラウドネットワークに伝達し、クラウドネットワークは、検査結果を洗練するために該情報を処理し、洗練された検査結果を対象に返信するようにさらに構成される。
【0117】
いくつかの実施形態において、前記移動通信装置は、医療専門家から処方、診断又は勧告を受信するように構成される。
【0118】
いくつかの実施形態において、
a.試料の画像をキャプチャし、
b.画像内の検査位置及び対照位置を分析し、かつ
c.検査位置の分析から取得された値と迅速診断検査を特徴付ける閾値とを比較する
ハードウェア及びソフトウェアが配置されるように、前記移動通信装置が構成される。
【0119】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプレートは、アッセイ試薬を貯蔵する貯蔵位置を含み、いくつかの実施形態において、少なくとも1つのカメラは、CROF装置から信号を読み取る。いくつかの実施形態において、前記移動通信装置は、WiFi又はセルラネットワークを介して遠隔地と通信する。
【0120】
いくつかの実施形態において、前記移動通信装置は携帯電話である。
【0121】
携帯電話を用いて試料中の分析物を迅速に分析する方法は、
a)前記のいずれかに記載のシステムの装置に試料を付着するステップと、
b)前記装置に付着した試料中の分析物をアッセイして、結果を生成するステップと、
c)移動通信装置からの結果を移動通信装置から離れた位置に伝達するステップと
を含む。
【0122】
いくつかの実施形態において、前記分析物は、分子(例えば、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸又はその他の分子)、細胞、組織、ウイルス及び異なる形状のナノ粒子を含む。
【0123】
いくつかの実施形態において、分析物は、白血球、赤血球及び血小板を含む。
【0124】
いくつかの実施形態において、前記方法は、
a.遠隔地での結果を分析して、分析結果を提供するステップと、
b.遠隔地からの分析結果を移動通信装置に伝達するステップと
を含む。
【0125】
いくつかの実施形態において、分析は、遠隔地の医療専門家により行われる。いくつかの実施形態において、移動通信装置は、遠隔地の医療専門家から処方、診断又は勧告を受信する。
【0126】
いくつかの実施形態において、閉鎖構成におけるVC試料の少なくとも一部の厚さは、開放構成における採取プレートに付着したVC試料の厚さより大きい。
【0127】
いくつかの実施形態において、閉鎖構成におけるVC試料の少なくとも一部の厚さは、開放構成における採取プレートに付着したVC試料の厚さより小さい。
【0128】
いくつかの実施形態において、アッセイステップは、試料中の分析物を検出することを含む。いくつかの実施形態において、前記分析物は、バイオマーカーである。いくつかの実施形態において、分析物は、タンパク質、核酸、細胞又は代謝産物である。いくつかの実施形態において、ステップ(b)で行われるアッセイは、結合アッセイ又は生化学的アッセイである。
【0129】
蒸気凝縮液試料中の分析物を分析する方法は、
前記のいずれかに記載の装置を取得するステップと、
蒸気凝縮液試料を装置の1つ又は両方のプレートに付着させるステップと、
前記プレートを閉鎖構成に配置し、前記プレートの少なくとも一部の上に外からの力を加えるステップと、
プレートが閉鎖構成にある時に、均一な厚さの層内の分析物を分析するステップと
を含む。
【0130】
いくつかの実施形態において、前記方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)試料を取得し;
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、各プレートは、ほぼ平坦な試料接触表面を有し、1つ又は両方のプレートは可撓性であり、1つ又は両方のプレートは、それぞれの試料接触表面に固定されたスペーサを含み、スペーサは、
i.所定の実質的に均一な高さと、
ii.実質的に均一な断面及び平坦な上面を有する柱の形状と、
iii.1以上のアスペクト比と、
iv.10μm〜200μmの範囲内の所定の一定のスペーサ間の距離と、
v.1%以上の充填率と、を有し;
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、試料をプレートのうちの1つ又は両方に付着させ、前記開放構成とは、2つのプレートを部分的又は完全に離され、かつプレート間の距離がスペーサにより調節されない構成であり;
(d)(c)の後、2つのプレートを用いて、試料の少なくとも一部を、プレートの試料接触表面により限定された実質的に均一な厚さの層に圧縮し、該層の均一な厚さは、スペーサ及びプレートにより調節され、変化が10%より小さい30μm以下の平均値を有し、
前記圧縮は、以下:
2つのプレートを一緒に合わせることと、
プレートを一緒にプレスして閉鎖構成にするように、並行して又は順次のいずれかで、少なくとも1つのプレートのある領域を適切に押すことを含み、前記適切に押すことは、前記試料の少なくとも一部の上方に位置するプレートに実質的に均一な圧力を生成し、前記圧力は、前記試料の少なくとも一部をプレートの試料接触面の間に横方向に広げ、前記閉鎖構成は、前記均一な厚さの領域の層内のプレート間の間隔がスペーサにより調節される構成であり;
(e)プレートが閉鎖構成にある時に、均一な厚さの層内の分析物を分析し、
前記充填率は、総プレート面積に対するスペーサ接触面積の比であり、
前記適切に押すことは、前記プレートの外面の形状の違いに関わらず、ある領域に加えた圧力を実質的に一定にする方法であり、
前記並行して押すことは、同時に所望の領域に圧力を加え、前記順次押すことは、所定の領域の一部に圧力を加え、かつ徐々に他の領域に移行する。
【0131】
いくつかの実施形態において、前記方法は、
前記プレートが前記閉鎖構成になった後、外からの力を除去するステップと、
プレートが閉鎖構成にある時に、均一な厚さの層内の分析物を画像化するステップと、
画像領域内の分析物又は標識の数を計算するステップとを含む。
【0132】
いくつかの実施形態において、前記方法は、
前記プレートが前記閉鎖構成になった後、外からの力を除去するステップと、
プレートの閉鎖構成では、均一な厚さの層内の光信号を計測するステップとを含む。
【0133】
いくつかの実施形態において、スペーサ間距離は、20μm〜200μmの範囲内にある。いくつかの実施形態において、スペーサ間距離は、5μm〜20μmの範囲内にある。
【0134】
いくつかの実施形態において、スペーサの充填率とヤング率の積は、2MPa以上である。
【0135】
いくつかの実施形態において、表面変化は、50nmより小さい。
【0136】
いくつかの実施形態において、前記方法は、貯蔵部位の所定の領域によって限定された関連する試料体積、閉鎖構成での均一な試料の厚さ、及び検出された標的実体の数に基づいて、関連する試料体積中の分析物の濃度を計算するステップをさらに含む。
【0137】
いくつかの実施形態において、分析ステップは、試料中の分析物量を計算することを含む。
【0138】
いくつかの実施形態において、画像化及び計数は、
i.均一な厚さの層内の細胞を照らし、
ii.CCD又はCMOSセンサを用いて細胞の1つ以上の画像を撮像し、
iii.コンピュータを用いて画像中の細胞を識別し、かつ
iv.画像のある領域内の細胞の数を計算する
ことによって行われる。
【0139】
いくつかの実施形態において、外からの力は、ヒトの手により与えられる。いくつかの実施形態において、前記方法は、さらに、1つ又は両方のプレートに塗布された乾燥試薬を含む。
【0140】
いくつかの実施形態において、均一な厚さの試料の層は、+/−5%までの厚さの均一性を有する。
【0141】
いくつかの実施形態において、スペーサは、円形、多角形、環形、正方形、長方形、長円形、楕円形又はそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱であってもよい。
【0142】
いくつかの実施形態において、スペーサ間の間隔は、ほぼ分析物の最小寸法である。
【0143】
1つ又は両方のプレート試料接触表面は、分析物又は標識が、ある増幅部位から500nm以内にある時に、いずれも分析物又は標識からの信号を増幅できる1つ以上の増幅部位を含む、前記のいずれかに記載の方法。
【0144】
いくつかの実施形態において、試料は、呼気凝縮液である。いくつかの実施形態において、試料は、生物試料、環境試料、化学試料又は臨床試料に由来する蒸気である。いくつかの実施形態において、分析物は、分子(例えば、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸又はその他の分子)、細胞、組織、ウイルス及び異なる形状のナノ粒子を含む。いくつかの実施形態において、分析物は、揮発性有機化合物(VOC)を含む。いくつかの実施形態において、分析物は、窒素ガス、酸素ガス、CO2、H2O及び不活性ガスを含む。いくつかの実施形態において、分析物は染色される。
【0145】
いくつかの実施形態において、1つの試料表面に、採取プレートに付着したVC試料の一部又は全部を囲むエンクロージャースペーサをさらに含む。いくつかの実施形態において、非常に均一な厚さの値は0.5μm以下である。いくつかの実施形態において、非常に均一な厚さの値は、0.5μm〜1μmの範囲内にある。いくつかの実施形態において、非常に均一な厚さの値は、1μm〜2μmの範囲内にある。いくつかの実施形態において、非常に均一な厚さの値は、2μm〜10μmの範囲内にある。いくつかの実施形態において、非常に均一な厚さの値は、10μm〜20μmの範囲内にある。いくつかの実施形態において、非常に均一な厚さの値は、20μm〜30μmの範囲内にある。
【0146】
いくつかの実施形態において、1つの試料表面に、採取プレートに付着したVC試料の一部又は全部を囲むエンクロージャースペーサをさらに含む。
【0147】
実施形態(EBC)1.SiEBCA(単一液滴の呼気凝縮液の採取/分析装置)
呼気凝縮液(EBC)分析は、主に下気道から生じるバイオマーカーを検出する非侵襲的な方法である。EBCは、呼気エアロゾルの冷却及び凝縮の生成物として、静かな呼気中に採取される。
【0148】
図1に示すように、SiEBCA(単一液滴のEBCの採取/分析装置)を使用して、呼気凝縮液(EBC)を採取する例示的な方法は、以下の基本的なステップを含む:
(1)採取プレートに呼気を吐き出すステップ(
図1−1)。対象(例えば、ヒト)は、「採取プレート」と呼ばれるプレートに呼気を吐き出し、呼気は、呼気時間に応じて異なる寸法の液滴であるEBCに凝縮する。呼気時間が短いと、大部分の液滴は、互いに離れる。EBCを採取する採取プレートの表面は、試料表面と呼ばれる。
(2)採取プレートの上にカバープレートを配置し、それらを一緒にプレスするステップ(
図1−2)。(カバープレートと基板との間の間隔を調節するために使用される)スペーサ付きのカバープレートは、前記試料表面の上方に配置される。
(3)プレートを「閉鎖構成」にプレスするステップ(
図1−3)。カバープレートと基板は、プレート間の少なくとも一部のEBCとともに圧縮される。
【0149】
図1の方法では、最初の液滴は、プレート及びスペーサ(図示せず)により調節された厚さの薄層EBCにプレスされる。
【0150】
SiEBCAにおいて、「単一液滴」という用語を使用する理由の1つは、原則として、SiEBCAが、プレートに付着したEBCの単一液滴を検出し分析できるからである。
【0151】
本発明の説明において、「基板」及び「カバープレート」と、「第1のプレート」及び「第2のプレート」とは、それぞれ交換可能に使用される。
【0152】
いくつかの実施形態において、プレートを冷却して、採取されたEBCの蒸発を減少させる。
【0153】
A1
図1に示すように、EBCを採取する方法は、対象からEBCを採取するための本発明の基本的な実施形態として、以下のステップ(a)〜(c)を含む:
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な採取プレート及びカバープレートを取得し、前記プレートの1つ又は両方は、それぞれのプレートに固定されている100μm以下の所定の平均高さを有するスペーサ(
図1に示されないが、
図2に示されている)を含み;
(b)前記プレートが開放構成に構成されている時に、対象が採取プレートに向かって呼気を吐き出すことにより、EBC試料を付着させ、
(i)採取表面の表面濡れ性に応じて、呼気が採取プレートの採取表面に凝縮して、異なる横方向寸法及び異なる高さを有する液滴及び/又は水溜りを形成し、
(ii)開放構成は、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間距離がスペーサにより調節されない構成であり;
(c)(b)の後、カバープレートを採取プレートの採取表面の上方にもってきて、次にプレートをプレスすることにより2つのプレートを閉鎖構成にし、
(i)閉鎖構成とは、スペーサの少なくとも一部がカバープレートと採取プレートとの間にあり、採取プレートの採取面の関連する領域がカバープレートにより被覆され、スペーサにより調節されるプレート間の間隔を有する構成であり、及び
(ii)閉鎖構成では、関連する領域において、ステップ(b)で形成された開放構成における大量又は全部の液滴又は水溜りは、(1)開放構成のものより数が少ないが横方向寸法がより大きく、(2)カバープレートと採取プレートの両方の内表面に接触する水溜りに合流し、従って、水溜りの厚さは、プレートの内表面により制限され、内表面間の間隔に等しく、かつ環境に曝露される付着したEBCの総表面積を著しく減少させ、
プレート間の間隔は、カバープレートと採取プレートの2つの内表面(互いに対向する2つの面)間の間隔であり、関連領域は、採取面の一部又は全表面であり、採取面は、採取プレートの一部又は全表面である。
【0154】
実験(実施例に詳細に説明されている)から、プレートの閉鎖構成では、SiEBCAにより採取されたEBCの最終形態は、スペーサの高さに依存することが分かった。実験において(
図13参照)、
図2に示すように、
(1)SiEBCAの閉鎖構成では、プレートの内表面間の間隔が開放構成におけるEBC液滴又は水溜りの平均高さより小さいと、EBC液滴又は水溜りは、採取プレート及びカバープレートにより、開放構成における薄膜より薄い連続的な薄膜に圧縮され、かつ該薄膜に空気ポケットが存在する可能性があり、
(2)そうでなければ(すなわち、間隔が開放構成における平均高さ以上であると)、液滴及び/又は水溜りは、開放構成のものより数が少ないが横方向寸法(面積)がより大きい個別の水溜りに自己形成し、カバープレート及び採取プレートの両方の試料接触(内側)表面に接触し、前記プレートの内表面により限定され、内表面間の間隔に等しい厚さを有することが分かる。この場合に、閉鎖構成におけるEBC試料の厚さは、開放構成におけるEBC試料の平均厚さ以上である。我々が実験で観察したように、閉鎖構成におけるEBC水溜り厚さの増加は、プレートとEBC試料との間の相互作用によるものである。
【0155】
EBC−1.2.EBCの採取装置
図3は、SiEBCA(単一液滴のEBCの採取/分析装置)の装置及び方法の実施形態の図であり、(a)第1のプレート及び第2のプレートを有し、1つ又は両方のプレートは、スペーサを有し(図示するように、第1のプレートのみがスペーサを有する)、(b)開放構成では、第1のプレート(図示する)又は第2のプレート(図示せず)又はその両方(図示せず)上に、試料を付着させ(多くのEBC液滴のうちの一つのみが示される)、(c)(i)前記2つのプレートを使用して試料(試料がプレート間に流れる)を広げ、試料の厚さを減少させ、(ii)閉鎖構成では、スペーサ及びプレートを使用して試料の厚さを調節する。
【0156】
A2
図1に示すように、EBCを採取する装置は、対象からEBC試料を採取するための本発明の基本的な実施形態として、
i、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、1つ又は両方のプレートが可撓性である第1のプレート及び第2のプレートと、
ii、EBC試料に接触するための各プレートのそれぞれの表面上の試料接触領域と、
iii、それぞれのプレートに固定され、30μm以下の所定の実質的に均一な高さ及び250μm以下の所定の一定のスペーサ間の距離を有し、スペーサのうち少なくとも1つが試料接触領域内に位置する1つ又は両方のプレート上のスペーサと
を含み、
前記構成の1つは、開放構成であり、前記2つのプレートが離され、前記プレート間の間隔が前記スペーサにより調節されず、対象からの前記EBC試料が前記1つ又は両方のプレートに付着し、
前記構成のうち別の構成は、前記EBC試料が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成では、EBC試料の少なくとも一部は、2つのプレートにより非常に均一な厚さの層に圧縮され、均一な厚さの層は、2つのプレートの試料内表面に接触し、それによって限定され、スペーサ及びプレートにより調節される。
【0157】
段落A1及びA2のいくつかの実施形態において、EBC試料の付着は、対象から1つのプレートに直接的に呼気することにより取得する。
【0158】
段落A1及びA2のいくつかの実施形態において、EBC試料の付着は、対象から2つのプレートに直接的に呼気することにより取得する。
【0159】
「被覆時間遅延」とは、段落A1におけるステップ(b)のEBCの付着から段落A1におけるステップ(c)の終わりまでの時間、すなわちカバープレートと採取プレートを閉鎖構成にする時間を指す。
【0160】
段落A1の方法において、付着したEBCの蒸発を減少させるために、前記被覆時間遅延をできるだけ短くすべきである。1つの好ましい実施形態において、被覆時間遅延は、2秒間以下である。別の好ましい実施形態において、被覆時間遅延は、5秒間以下である。別の好ましい実施形態において、被覆時間遅延は、10秒間以下である。別の好ましい実施形態において、被覆時間遅延は、30秒間以下である。別の好ましい実施形態において、被覆時間遅延は、30秒間〜300秒間(例えば、30秒間〜60秒間、60秒間〜120秒間又は120秒間〜300秒間)の範囲内にある。
【0161】
EBC−1.3.EBC蒸発速度の大幅な低下 段落A1及びA2における方法及び装置の1つの重要な利点は、採取プレートとカバープレートの開放構成と比較して、プレートの閉鎖構成が、環境に曝露されるEBCの表面積を著しく減少させ、EBC試料の蒸発速度を著しく低下させ、EBC試料が液状である時間(すなわち、EBC試料が完全に蒸発しない時間)を著しく増加させることである。例えば、開放構成における乾燥時間(EBC試料が完全に乾燥するのに必要な時間)が30秒間から140倍の70分間に長くなることを観察した。
【0162】
EBC−1.4.ガードリング(密閉スペーサ) EBC試料の蒸発速度をさらに低下させるために、密閉スペーサ又はガードリングを使用して試料を取り囲んで、試料を環境からシールすることができる。ガードリングは、開放構成で付着したEBC試料と同じか、それよりも大きいか、又は小さい領域を取り囲むことができる。ガードリングは、EBC試料を複数のチャンバにさらに分割するように構成することができる(
図4)。
【0163】
図4は、「開放スペーサ」と「密閉スペーサ」の両方を有するSiEBCAの図であり、開放スペーサは、ポスト(柱)であり、密閉スペーサは、リングである。密閉スペーサは、密閉スペーサの内部に採取されたEBCの蒸発を減少させる。これは、閉鎖構成で、密閉スペーサ、カバープレート及び採取プレートが密閉チャンバを形成するからであり、開放スペーサのみがあり密閉スペーサがない場合にはプレートの閉鎖構成であっても採取されたEBCが依然としてEBCによって形成された薄膜の縁部から蒸発するが、そのような蒸発がカバープレートを用いない場合よりもはるかに遅い。
【0164】
段落A1及びA2における方法及び装置において、前記スペーサは、開放スペーサ、密閉スペーサ、又はそれらの組み合わせとすることができる。
【0165】
EBCの厚さを均一に保つための装置及び方法の詳細は、本開示の他の部分に示される。
【0166】
EBC−2.
EBC分析
本発明の別の重要な利点は、段落A1〜2における方法及び装置をEBC分析装置として、それ自体で、又は特定の変更によって使用できることである。EBC分析装置は、EBC内の1つ以上の標的分析物を分析する。前記標的分析物については、セクション3でさらに検討する。
【0167】
段落1〜2における方法及び装置に対する変更は、以下(1)〜(4)を含むが、これらに限定されず、そして、単独で(個別に)又は組み合わせて採用することができる。
【0168】
(1)結合部位。1つ又は両方のプレートは、1つ以上の結合部位を有し、
各々(タイプ)の試薬は、いずれも十分に離れた位置にある(前記十分に離れることについては後で定義する)。
(2)貯蔵部位。1つ又は両方のプレートは、1つ以上の結合部位を有し、
各々(タイプ)の試薬は、いずれも十分に離れた位置にある(前記十分に離れることについては後で定義する)。
(3)増幅部位。
(4)分析物検出の多重化。
【0169】
結合部位、貯蔵部位、増幅部位及び多重化部位のさらなる詳細ならびにVCとEBC分析のためのそれらの使用は、本開示の他の部分に示される。
【0170】
A−3 対象からのEBCを分析する方法は、以下のステップ(a)〜(c)を含む:
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な採取プレート及びカバープレートを取得し、1つ又は両方のプレートは、それぞれのプレートに固定され100μm以下の所定の平均高さを有するスペーサ(
図1に示されないが、
図2に示されている)を含み;
(b)前記プレートが開放構成に構成されている時に、対象が採取プレートに向かって呼気を吐き出すことにより、EBC試料を付着させ、
(i)採取表面の表面濡れ性に応じて、呼気が採取プレートの採取表面に凝縮して、異なる横方向寸法及び異なる高さを有する液滴及び/又は水溜りを形成し、
(ii)開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり;
(c)(b)の後に、カバープレートを採取プレートの採取表面の上方にもってきて、次にプレートをプレスすることにより2つのプレートを閉鎖構成にし、
(i)前記閉鎖構成は、スペーサの少なくとも一部がカバープレートと採取プレートとの間にあり、採取プレートの採取面の関連する領域がカバープレートにより被覆され、スペーサにより調節されるプレート間の間隔を有する形態であり、及び
(ii)前記閉鎖構成では、関連する領域において、ステップ(b)で形成された開放構成における大量又は全部の液滴又は水溜りは、(1)開放構成のものより数が少ないが横方向寸法がより大きく、(2)カバープレートと採取プレートの両方の内表面に接触する水溜りに合流し、従って、水溜りの厚さは、プレートの内表面により制限され、内表面間の間隔に等しく、かつ環境に曝露される付着したEBCの総表面積を著しく減少させ;
(d)EBCを分析し、
プレート間の間隔は、カバープレートと採取プレートの2つの内表面(互いに対向する2つの面)間の間隔であり、関連領域は、採取面の一部又は全表面であり、採取面は、採取プレートの一部又は全表面である。
【0171】
採取プレートは、一般的には、環境と同じ温度に保持されるが、いくつかの実施形態において、前記温度が環境と異なることがあり、採取の目的に応じて、高く又は低くなることができる。例えば、EBC蒸発を低減するために、環境温度よりも低い温度を使用することができ、環境温度よりも多く蒸発するために、環境温度よりも高い温度を使用することができる。
【0172】
EBC−3.
応用
EBC分析は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息及び嚢胞性線維症(CF)などの慢性気道疾患の状態を反映する炎症マーカーの検出に使用することができ、EBC分析は、さらに、呼気の、代謝、プロテオミクス及びゲノムフィンガープリントの同定にも使用することができ、呼吸器だけでなく全身性疾患の早期診断を目指す。
【0173】
EBC−3.1.EBC分析
呼気検査は、臨床診断、病態モニタリング、健康モニタリング及び環境曝露評価に利用可能な最も侵襲性の低い方法の1つである。
【0174】
対象からの呼吸マトリックスは、窒素ガス、酸素ガス、CO2、H2O及び不活性ガスの混合物である。残りの小部分は、百万分の1(ppm)〜一兆分の1(ppt)の範囲の濃度内の1000種超の微量揮発性有機化合物(VOC)を含む。それらの由来については、これらの揮発性物質は、体内で生成される(内因性)か、又は環境からの汚染物質として吸収される(外因性)。呼吸中のVOCの組成は、質的にも量的にも、人によって大きく異なる。
【0175】
人間の呼気に現在までに発見されたVOCの数は1000種超であるが、少数のVOCしか全ての人間に共通するものではない。イソプレン、アセトン、エタン及びメタノールを含むこれらの一般的なVOCは、主要な代謝プロセスの産物であり、臨床診断に非常に有益である。呼気中の大量のマトリックス及び微量VOCは、肺の血液−ガス界面における血液と肺胞空気との間で交換される。1つの例外はNOであり、それは気道炎症の場合に気道に放出される。
【0176】
無機ガス(例えば、NO及びCO)、VOC(例えば、イソプレン、エタン、ペンタン、アセトン)などの人間の呼気に発見された内因性化合物、及びイソプロスタン、ペルオキシナイトライト、又はサイトカインなどの他の典型的な不揮発性物質は、呼気凝縮液において測定される。内因性化合物の試験は、可能性のある病態に関する貴重な情報を提供することができる。さらに、外因性分子、特にハロゲン化有機化合物は、薬物又は環境汚染物質への最近の曝露を示すことができる。
【0177】
揮発性有機化合物(VOC)は、高い蒸気圧を有することにより、室温で蒸発できる有機物質である。本発明の提供する方法及び装置により標的分析物としてアッセイされたVOCは、生物学的に生成されたVOC(例えば、テルペン、イソプレン、メタン、緑葉揮発性物質)及び人為起源のVOC(例えば、酢酸エチル、グリコールエーテル及びアセトンのような、塗料及びコーティングに使用される典型的な溶媒、塩化メチレン、MTBE及びホルムアルデヒドのような接着剤、塗料、接着剤除去剤、建築材料からの蒸気、ドライクリーニングに使用されるクロロフルオロカーボン及びパークロロエチレン、ベンゼンや一酸化炭素のような化石燃料からの蒸気や排ガス)を含むが、これらに限定されない。特定のバイオマーカーに関する詳細な説明が表1に示される。
【0178】
(表1)特定の疾患又は応用における呼気マーカー
【0179】
EBC−3.2.他の蒸気凝縮物の採取及び分析
本発明の特定の実施形態は、EBC以外の蒸気凝縮液の採取及び分析のためのSiEBCA方法及び装置の応用に関する。他の水分は、霧、雲、蒸気などを含むが、これらに限定されない。これらの蒸気凝縮液の標的分析物は、様々な目的のための環境モニタリング、排出規制などに使用され、いくつかの実施形態において、前記試料は、生物試料、環境試料、化学試料又は臨床試料に由来する蒸気である。
【0180】
EBC−3.3.自動的かつ高度なスループット
特定の実施形態において、本発明の装置及び方法は、自動的で高速であり、ステップは機械によって実施され、いくつかの実施形態において、前記プレートは、ロール状であり、ローラにより制御されることにより、プレートの特定の領域を開放構成又は閉鎖構成にする。
【0181】
EBC−4.EBC接続と分析実験の多くの例
さらなる例示的な実験検査及び観察、ならびに本発明のさらなる好ましい実施形態が示される。
【0182】
セクション4(実施例)に記載された本発明の全ての例示的な実験検査及び論証は、以下の条件で実施され、以下の共通の観察結果を共有する。
【0183】
プレート SiEBCA装置の2つのプレートのうち、「X−プレート」と呼ばれる一方だけが該プレートの試料表面に固定されたスペーサを有し、「基板プレート」と呼ばれる他のプレートは、平坦な表面を有しかつスペーサを有さない。基板プレートは採取プレートとして使用され、X−プレートはカバープレートとして使用される。プレート及び様々なプレートの厚さのための様々な材料(ガラス、PMMA(ポリメタクリレート)、及びPS(ポリスチレン)を含む)を試験する。プレートの平坦な表面は、一緒的には、30nmより小さい表面粗さを有する。
【0184】
スペーサ X−プレートに使用されるスペーサは、一定の、内部スペーサ間の距離(ISD)と均一なスペーサ高さを有し、周期的に配列された矩形柱である。柱状スペーサは、5度より小さい法線からの傾斜角を有する真直な側壁を有する。異なるスペーサ高さ、寸法、スペーサ間の距離、形状及び材料が試験される。
【0185】
スペーサの製造 スペーサは、ナノインプリントによりプラスチックプレートに製造され、モールドがプレート内に直接的に押し込まれる。前記モールドは、リソグラフィー及びエッチングによって製造される。SiEBCA用のプレート上のスペーサの例。スペーサは、モールドを用いてプラスチックプレート表面を直接的にインプリントすることによって製造され、その幅、長さ及び高さが30μm、40μm及び2μmである。
【0186】
EBC試料付着 全てのEBC試料は、対象の口から数インチ以内に配置された採取プレートに向かってヒトの対象を直接的に呼気させることにより、採取プレートに付着させる。
【0187】
EBC試料の付着は、任意の特別な温度制御又はダストフィルターを用いずに標準的な室内条件で行われる。実験において、塵埃が、大きな試料面積にわたって所定の最終的な試料厚さを達成するのに影響を与えず、閉鎖構成では、無塵領域上の試料厚さがスペーサによって調節されることが発見された。これは、CROFのために使用した実施形態が、本発明によって期待される結果を達成することを証明した。
【0188】
プレートの表面濡れ性 特に断らない限り、プレートの全ての試料表面(すなわち試料と接触した内表面)はいずれも未処理である。プレート表面上に少量の試料を滴下し、試料とプレートの接触角を測定することにより、プレート材料(ガラス、PMMA及びPS)、表面構造(平面及びスペーサを有する)及び試料タイプ(水、PBS緩衝液及び血液)の関数として、これらの未処理表面の濡れ性が試験された。異なる試料に対する異なる表面の濡れ角は、実験的に以下のように見出された:水、PBS及び血液の液体について、未処理のガラスの接触角は約46度で、未処理のPMMA表面の接触角は60度で、未処理のPS(ポリスチレン)の接触角は60度で、未処理のPMMA X−プレートの接触角は約61度である。従って、それらは全て親水性である。しかし、これらの表面濡れ性は、表面処理により親水性又は疎水性に変化する可能性がある。良好な蒸気凝縮液採取のために、所与の凝縮量に対して、手でプレスするときの面積より小さい表面積を有する親水性表面が好ましい。本セクション全体における実験において、SiEBCAプロセスにおけるプレートを一緒にしかつ人の手でプレートの閉鎖構成へと圧縮する。SiEBCAプレートの広い領域にわたって均一な試料厚さを取得するために最終的にプレスする際には、しばしば親指で1つの領域をプレスし、CROFプレートの異なる領域に擦り、以下に詳述するように優れた試料厚さの均一性が観察される。手でSiEBCA装置(プレート)を閉鎖構成へとプレスする過程を「ハンドプレス」と呼ばれる。
【0189】
図5は、手でSiEBCAプレートをプレスする例示的な方法を示す。(a)SiEBCAを表面に配置し、親指でSiEBCAの1つの位置をプレスして、他の位置にプレスして擦り、或いは(b)SiEBCAを親指と別の指の間に配置し、プレスして擦ることによって、SiEBCAはプレスされる。場合によっては、両手を使用する可能性がある。
【0190】
自己保持 自己保持とは、SiEBCA装置(プレート)が外からの力(例えば、手による力)により閉鎖構成へと圧縮され、外からの力が除去された後、SiEBCA装置がそれ自体で試料の厚さを変えずに保持できることを指す。実験で証明されるように、全ての実験において、全てのSiEBCA装置及びプロセス(特に断らない限り)が、自己保持できることが観察された。他の実験検査は、プレートの一方が親水性である限り、SiEBCAプレートが自己保持できることを示した。
【0191】
EBC−4.1.開放構成及び閉鎖構成における採取プレート上のEBC形成
4.1.1 未処理及び表面処理されたPMMA採取プレート上のEBC液滴寸法
図6は、「開放構成」(すなわち、採取プレートのみを備え、カバープレートを備えない)での、採取プレート(未処理のPMMA膜)上のEBC液滴の寸法と密度の実験データを示す。該写真は、対象が4つの異なる呼気時間、(a)1秒間呼気、(b)2秒間呼気、(c)5秒間呼気、及び(d)10秒間呼気し、プレートに直接的に呼気した後に採取プレート上に採取されたEBCを示す。呼気直後に写真を撮る。
【0192】
該表は、採取プレート(PMMA)の1mm
2の面積上の、測定された平均液滴寸法、計算された平均液滴高さ、平均液滴体積、測定された液滴密度及び総液体表面積を示す。実験データは、(1)採取プレートの採取表面として未処理のPMMA薄膜を使用すると、対象からのEBCが異なる寸法の液滴を直接的に形成し、大部分の液滴に関して、互いに良好に離れており、(2)採取プレート(PMMA)の1mm
2の面積上の、測定された平均液滴寸法、計算された平均液滴高さ、平均液滴体積、液滴密度及び総液体表面積が、最初に呼気時間とともに増加し、5秒間呼気後に飽和になるように見えることを示す。これは、実験において、5秒間呼気後に、呼気によるEBC付着速度と既存のEBCの蒸発速度が平衡に達することに起因する可能性がある。
【0193】
上記実験において、平均液滴高さの計算は、PMMA上の水の濡れ接触角に基づいており、平均液滴体積に測定された液滴量密度を乗算して体積密度を計算する。
【0194】
該表は、1秒間、2秒間、5秒間及び10秒間の呼気時間について、1mm
2当たりの採取プレート領域内に、平均EBC体積がそれぞれ、172pL、250pL、491pL及び507pLであることをさらに示す。
【0195】
図7は、プレート開放構成での、採取プレート上のEBC形成の実験データを示し、前記採取プレートは、表面処理されたPMMA薄膜である(処理により、未処理のPMMA薄膜表面よりも表面が親水性になる)。該写真は、対象が4つの異なる呼気時間、(a)1秒間呼気、(b)2秒間呼気、(c)5秒間呼気、及び(d)10秒間呼気し、プレートに直接的に呼気した後に採取プレート上に採取されたEBCを示す。呼気直後に写真を撮る。未処理の表面を有する採取プレートと処理された表面を有する採取プレートに付着したEBCの量が同じであると仮定し、平均液体厚さは、総体積を1mm
2の採取プレート上に観察された液体試料面積で割ることによって計算される。該表は、単位表面積当たりの体積密度、計算された平均液体厚さ及び採取プレート(PMMA)の1mm
2面積上の総液体表面積を示す。
【0196】
図7の実験データは、(1)処理されたPMMAの親水性表面が小さい接触角を有するために(詳細は
図8に示される)、対象から採取プレートに直接的に付着したEBCが開放構成で、多くの小さな液滴ではなく、いくつかの大面積のEBC水溜りを形成し、(2)表面処理された採取プレート(濡れ性を改善する)を用いて採取されたEBCの1mm
2の面積上の総液体(EBC)表面積は、未処理の表面の場合の約4分の1であることを、明らかに示している。
【0197】
図8は、未処理のPMMAプレート及び処理されたPMMAプレート上で採取されたEBC(対象が2秒間直接呼気する)の画像及び測定された蒸発時間(プレート開放構成での)を示す図である。写真は、(a)未処理のPMMA採取プレートに採取されたEBCが、完全に離れた多くの小さな液滴を形成し、(b)処理されたPMMA採取プレートに採取されたEBCが、少数の薄膜及び大きな空隙を有する大きな水溜りを形成すること示す。未処理の表面上に採取されたEBCの計算された表面積は、未処理の表面上の表面積よりも4倍大きい。未処理の表面上に採取されたEBCは7秒間の総蒸発時間を有し、これは、処理された表面上に採取されたEBCの総蒸発時間(30秒である)より約4倍短くなる。蒸発時間のさらなる研究は、
図13及び14に与えられ、以下に記載される。
【0198】
4.1.2 プレート閉鎖構成におけるEBCの形成
実験において、プレートの閉鎖構成では、SiEBCAにより採取されたEBCの最終形態は、スペーサの高さに依存することが観察された。
【0199】
図9及び
図10は、閉鎖構成での、SiEBCAを使用して採取したEBCに対するスペーサの高さ(それぞれ1μm、2μm、10μm及び30μmである)の影響の画像の実験データをそれぞれ示す。呼気時間は2秒間であり、被覆時間遅延はほぼ0秒である。スペーサは、平坦な上面と底面を有する均一な断面(30μm×38μm)、80μm及び82μm(X及びY方向)の一定のスペーサ間の距離を有する柱状である。カバープレートは、175μm厚のPMMA薄膜製の未処理のX−プレートであり、採取プレートは、平らなガラスプレート(25mm×25mm×1mm)である。計算されたように、開放構成では、2秒間の呼気から未処理の表面上に採取された液滴の平均高さは1.7μmである。ここで、実験は、以下のことを示している:
(1)試験された全てのスペーサ高さ(
図9参照)に対して、プレートの開放構成で、採取プレート上のEBCは、プレートの開放構成での形成された液滴から、プレートの閉鎖構成での数が少ないが横方向寸法がより大きい水溜りに合流し、
(2)1μmの隙間を有するX−装置は、最適な液体厚さの均一性及び連続薄膜を有する最大量の呼気液を採取し、
(3)1μmより大きい隙間を有するX−装置は、採取された呼気液が少なく、自己保持することが困難であり、液体厚さの均一性が低く、柱の高さからずれる。
【0200】
従って、実験により、本発明者らは、
(1)SiEBCAの閉鎖構成では、プレートのプレート試料表面間の間隔が開放構成におけるEBC液滴又は水溜りの平均高さより小さいと(例えば、間隔が1μmで、平均高さが1.7μmである)、EBC液滴又は水溜りは、採取プレート及びカバープレートにより、開放構成における薄膜より薄い連続的な薄膜に圧縮され、かつ該薄膜に空気ポケットが存在する可能性があり、
(2)そうでなければ(例えば、柱の高さがそれぞれ2μm、10μm又は30μmであるが、開放構成におけるEBCはわずか1.7μmの高さである)、液滴及び/又は水溜りは、カバープレート及び採取プレートの両方の試料接触(内側)表面に接触するように立ち上がり、次に開放構成のものより数が少ないが横方向寸法(面積)がより大きい個別の水溜りに自己形成し、プレートの内表面により限定され、内表面間の間隔に等しい厚さを有することを証明した。この場合に、閉鎖構成におけるEBC試料の厚さは、開放構成におけるEBC試料の平均厚さ以上である。我々が実験で観察したように、閉鎖構成におけるEBC水溜り厚さの増加は、プレートとEBC試料との間の相互作用によるものである。
【0201】
4.1.3 被覆時間遅延の関数としてのEBC蒸発時間
図11及び12は、(a)処理されたPMMA採取プレート及び未処理のPMMA採取プレート、並びに(b)カバープレートを閉じる時間遅延の、呼気採取に対する影響の画像及び実験データをそれぞれ示す。実験において、採取プレート(PMMA 25mm×25mm×1mm)上の、対象の2秒間の呼気からEBCを直接的に採取し、いくつかの採取プレートは未処理の採取プレートであるが、いくつかの採取プレートは未処理のPMMA採取プレートよりも親水性が高いように処理され、カバープレートは、175μm厚のPMMAのX−プレートであり、平らな上部(1μmの高さ、30μmの幅及び38μmの長さ)の柱形状スペーサの正方形格子を有し、スペーサ間の距離がX方向及びY方向にそれぞれ80μm及び82μmであり、呼気完了の直後又は呼気完了後の5秒後に、カバープレートで採取プレートを被覆する際の2つの異なる時間遅延を試験し、液体厚さ、採取された呼気液体積、柱の高さからの液体厚さの偏差、液体厚さの均一性及びその他のパラメータ(例えば、25mm×25mm採取プレート上の液体面積(mm
2)、(総面積−スペーサ面積)の(液体面積))は、全てプレート閉鎖構成で測定される。
【0202】
実験研究により、本発明者らは、
(1)未処理のPMMA採取プレートと比較して、処理された採取プレート(より高い濡れ性)が「即時プレス」及び「5秒後プレス」の時間遅延の両方でより多くの呼気液を採取し、
(2)未処理の採取プレート(親水性がより低い)を使用して、5秒の被覆遅延時間で、液体のほぼ半分が蒸発し、
(3)全ての試料は、手でプレスした後、SiEBCAにおけるプレートが自己保持でき、
(4)ほとんどの場合、閉鎖構成で、ほとんどの時間遅延に対して、スペーサの高さからのEBC平均厚さの測定された偏差が7.4%以下であり、測定されたEBC厚さの均一性(すなわち変化)が6.4%以下である。しかし、採取表面が未処理(親水性が低い)であり、カバープレートの被覆時間遅延が5秒である場合、スペーサの高さからずれる平均EBCの厚さが大きく(1μmと比較して1.52μmであり、52%の相対偏差をもたらす)、厚さの均一性が低い(22%の変化)ことを見出した。
【0203】
図13は、処理された採取プレート(未処理より親水性である)及び未処理の採取プレート(PMMA)表面に、採取プレート上で採取された呼気(すなわちEBC)の量対時間遅延(呼気の終わりからカバープレートの被覆まで測定される)の実験データをそれぞれ示す。実験において、呼気時間は2秒間である。採取された呼気量は、カバープレート及び採取プレートが閉鎖構成へとプレスされた後に測定される。実験から、本発明者らは、
(1)所与の時間遅延に対して、処理された表面を有する採取プレート(未処理よりも濡れ性が高い)がより多くの呼気液を採取し、
(2)採取プレートを被覆しない場合、2秒間の呼気からのEBCは未処理の表面を有する採取プレートに7秒間のみ存続するが、処理された表面を有する採取プレートには4倍の30秒間存続することを見出した。
【0204】
観察(2)は、採取プレート上のより濡れた表面に、プレートに付着したEBCの総表面積が未処理の領域上に付着した表面積よりも小さい表面積を有することを示し、従って、処理された表面上の乾燥時間(すなわち、完全に乾燥する前の時間)がより長くなる。
【0205】
4.1.4 プレートの開放構成と閉鎖構成におけるEBC蒸発時間
本発明者らは、EBCの上に配置されたカバープレートを用いずに、そしてカバープレートを用いて、採取プレートに付着したEBCの蒸発時間(すなわち、プレートの開放構成及び閉鎖構成における蒸発時間)を実験的に研究した。
【0206】
開放構成の採取プレート上のEBCの蒸発速度は、
図8に与えられ、記載されている。
【0207】
図14は、それぞれ処理された採取プレート(未処理の親水性がより高い)及び未処理の採取プレート(PMMA)表面に、異なるスペーサ高さで、SiEBCAによって「閉鎖構成」で採取されたEBCの乾燥時間の実験データを示す。実験において、呼気時間は2秒間であり、カバープレートは呼吸の直後に被覆される。実験は、1μmスペーサを有する処理されたPMMA採取プレートが70秒の乾燥時間を可能にするが、スペーサが10μmである場合、乾燥時間が45秒に短縮することを示す。10μmのスペーサでの乾燥時間がより短い原因は、プレート閉鎖構成におけるEBCが多くの分離した水溜りを形成し、1つ又はいくつかの大きなEBC領域を有し、スペーサ高さが1μmのSiEBCAにおける水溜りよりも、環境に曝されるより大きな表面積を有するからである。
【0208】
本発明者らは、離されたスペーサに加えて、密閉スペーサを使用することにより、SiEBCAの閉鎖構成でEBC蒸発速度をさらに低減できることを認識した。
【0209】
処理された採取プレート及び未処理の採取プレートの乾燥速度。処理された採取プレートと未処理の採取プレートを使用した両方の実験に対して、EBCの乾燥速度も計算され、それは、閉鎖構成でのX−装置における液体試料の縁部の単位時間当たりの収縮長さとして定義される。計算は、未処理のPMMA採取プレート(117μm/min)と比較して、処理されたPMMA採取プレートを用いて、液体試料が遅い速度(74μm/min)で乾燥されることを示す。
【0210】
表面処理 PMMAプレートの表面処理は、酸素プラズマを用いて行い、次に10nmの酸化シリコンを堆積させ、いくつかの実施形態において、トリメトキシシランを用いて化学的に処理する。
【0211】
「圧縮調節開放流」(CROF)
本発明の多くの実施形態は、「圧縮調節開放流」(CROF)という方法とCROFを実行する装置を用いて、試料及び/又は試薬の幾何学的サイズ、位置、接触面積及び混合を操作する。
【0212】
用語「圧縮開放流(COF)」とは、(i)他のプレートを少なくとも一部の試料の頂部に配置し、(ii)その後に2つのプレートを対向してプレスして2つのプレートの間の試料を圧縮することにより、プレートに付着させた流動可能試料の形状を変化させる方法を指し、該圧縮は、少なくとも一部の試料の厚さを減少させることにより、前記試料がプレートの間の開放空間に流入する。
【0213】
用語「圧縮調節開放流」又は「CROF」(又は「自己較正圧縮開放流」又は「SCOF」又は「SCCOF」)とは、特定のタイプのCOFを指し、圧縮後に試料の一部又は全体の最終厚さは、2つのプレートの間に配置されたスペーサによって「調節」される。
【0214】
CROFにおいて、「試料の一部又は全体の最終厚さはスペーサによって調節される」という用語は、CROF中に特定の試料の厚さに達すると、2つのプレートの相対移動を停止させ、これにより試料の厚さの変化も停止し、特定の厚さがスペーサによって決定されることを指す。
【0215】
図1〜4に示すように、CROF方法の一実施形態は、以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)流動可能な試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、それぞれのプレートはほぼ平坦な試料接触表面を有し、前記プレートの1つ又は両方は、所定の高さを有して対応する試料接触表面に位置するスペーサを含み、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方に試料を付着させ、前記開放構成とは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、閉鎖構成において、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さをプレート及びスペーサにより調節し、関連体積が前記試料の全体の体積の少なくとも一部であり、かつ試料の広げた期間に、試料が2つのプレートの間に横方向に流動する。
【0216】
特に断らない限り、用語「プレート」とは、CROFプロセスにおいて使用されるプレートを指し、それは使用可能な表面を有する固体であり、2つのプレートの間に配置された試料を他のプレートとともに圧縮して試料の厚さを減少させる。
【0217】
用語「プレート」又は「プレートの対」とは、CROFプロセスにおける2つのプレートを指す。
【0218】
用語「第1のプレート」又は「第2のプレート」とは、CROFプロセスにおいて使用されるプレートを指す。
【0219】
用語「プレートが互いに対向する」とは、一対のプレートが少なくとも部分的に、互いに対向する場合を指す。
【0220】
特に断らない限り、用語「スペーサ」又は「ストッパ」とは、2つのプレートの間に配置される場合、2つのプレートが共に圧縮される時に到達可能な2つのプレートの間の最小間隔の制限を設定する機械的な物体を指す。すなわち、圧縮の際に、スペーサは、プレート間の間隔がプリセット値(すなわち、所定値)よりも小さくならないように2つのプレートの相対移動を停止させる。スペーサは、「開放スペーサ」と「密閉スペーサ」という二種類のタイプを有する。
【0221】
用語「開放スペーサ」とは、液体が該スペーサの全周囲に流動しかつスペーサを流れることを可能にする形状を有するスペーサを指す。例えば、柱は開放スペーサである。
【0222】
用語「密閉スペーサ」とは、液体が該スペーサの全周囲に流動しかつスペーサをわたって流れることができない形状を有するスペーサを指す。例えば、リング状スペーサはリング内の液体用の密閉スペーサであり、リング状スペーサ内の液体はリング内に留まり、外部(外周囲)に出ることができない。
【0223】
用語「スペーサが所定の高さを有する」と「スペーサが所定のスペーサ間の距離を有する」とは、それぞれCROFプロセスの前にスペーサの高さとスペーサ間の距離の値が既知であることを指す。CROFプロセスの前に、スペーサの高さとスペーサ間の距離の値が既知で無い場合、それらは予め設定されない。例えば、プレートにスペーサとしてビーズを散布し、ビーズがプレートのランダムな位置に止まる場合、スペーサ間の距離は予め設定されない。スペーサ間の距離が予め設定されない別の事例は、スペーサがCROFプロセス中に移動することである。
【0224】
CROFプロセスにおける用語「スペーサがその対応するプレートに固定される」とは、スペーサがプレートのある位置に取り付けられ、かつCROF中に該位置との取り付けを維持する(すなわち、各プレート上のスペーサの位置が変化しない)ことを指す。「スペーサがその対応するプレートに固定される」の一実施例は、スペーサがプレート材料で一体的に作られ、かつCROF中にスペーサがプレート表面に対する位置が変化しないことである。「スペーサがその対応するプレートに固定されない」の一事例は、スペーサが接着剤によりプレートに接着されるが、プレートを使用する時に、CROF中に接着剤がスペーサをそのプレート表面上の元の位置に維持せず、スペーサがそのプレート表面上の元の位置から離れることである。
【0225】
用語「スペーサがプレートに一体的に固定される」とは、スペーサとプレートの挙動が一体の物体であるように、使用中に、スペーサがそのプレートにおける元の位置から移動したり離れたりしないことを指す。
【0226】
CROFプロセスにおける2つのプレートの「開放構成」という用語は、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されないという構成を指す。
【0227】
CROFプロセスにおける2つのプレートの「閉鎖構成」という用語は、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節される構成を意味し、前記関連体積が前記試料の全体の体積の少なくとも一部である。
【0228】
CROFプロセスにおける用語「試料の厚さをプレート及びスペーサにより調節する」とは、プレート、試料、スペーサ及びプレート圧縮方法の所与の条件に対して、プレートの閉鎖構成で、少なくとも一部の試料の厚さをスペーサ及びプレートの特性に基づいて予め設定することができることを指す。
【0229】
CROF装置中のプレートについての用語「内表面」又は「試料表面」とは、試料と接触するプレートの表面を指し、プレートの他の表面(試料と接触しない」は「外表面」と呼ばれる。
【0230】
CROF装置の「Xプレート」という用語は、プレートの試料表面上に存在するスペーサを含むプレートを指し、ここで、前記スペーサは、所定のスペーサ間の間隔とスペーサの高さを有し、かつ少なくとも1つのスペーサは試料接触領域内にある。
【0231】
用語「CROF装置」とは、CROFプロセスを実行する装置を指す。用語「CROFを行う」とは、CROFプロセスを使用することを指す。例えば、用語「試料にCROFを行う」とは、試料をCROF装置内に入れて、CROFプロセスを実行することを指し、特に明記しない限り、該試料をCROFの最終構成に保持する。
【0232】
用語「CROFプレート」とは、CROFプロセスの実行に使用される2つのプレートを指す。
【0233】
平坦な表面についての用語「表面平滑度」又は「表面平滑度変化」とは、数マイクロメートル又はそれ以下の短距離の、平坦な表面と、完全に平坦な表面との平均偏差を指す。表面平滑度は、表面平坦度変化とは異なる。平坦な表面は、良好な表面平坦度を有するが、その表面平滑度が低い。
【0234】
平坦な表面についての用語「表面平坦度」又は「表面平坦度変化」とは、10μm又はそれ以上の長距離の、平坦な表面と、完全に平坦な表面との平均偏差を指す。表面平坦度変化は、表面平滑度とは異なる。平坦な表面は、良好な表面平滑度を有するが、その表面平坦度が低い(すなわち、その表面平坦度変化が大きい)。
【0235】
プレート又は試料についての用語「相対的な表面平坦度」とは、プレートの表面平坦度変化と最終的な試料の厚さとの比を指す。
【0236】
特に明記しない限り、CROFプロセスにおける用語「最終的試料厚さ」とは、CROFプロセス中のプレートの閉鎖構成における試料の厚さを指す。
【0237】
CROF中の用語「圧縮方法」とは、2つのプレートを開放構成から閉鎖構成にする方法を指す。
【0238】
プレートについての用語「関心対象領域」又は「関心対象となる領域」とは、プレートが実行する機能に関連するプレートの領域を指す。
【0239】
用語「最大」とは、「それ以下」を指す。例えば、スペーサの高さが最大1μmであり、これはスペーサの高さが1μm以下であることを指す。
【0240】
用語「試料面積」とは、試料がプレート間の空間とほぼ平行でありかつ試料の厚さに垂直である方向における、試料の面積を指す。
【0241】
用語「試料厚さ」とは、互いに対向するプレートの表面と垂直である方向(例えば、プレート間の間隔の方向)における、試料寸法を指す。
【0242】
用語「プレート間の間隔」とは、2つのプレートの内面の間の距離を指す。
【0243】
CROFにおける用語「最終的な試料の厚さのずれ量」とは、所定のスペーサの高さ(スペーサの製造により決定される)と、最終的な試料厚さの平均値との間の差を指し、その平均の最終的な試料の厚さは、所定の領域の平均値(例えば、1.6cm×1.6cmの領域における25個の異なる点(距離が4mmである)の平均値)である。
【0244】
CROFプロセスにおける用語「計測された最終的な試料の厚さの均一性」とは、所定の試料領域において計測された最終的な試料の厚さの標準ずれ量(例えば、平均値に対する標準ずれ量)を指す。
【0245】
CROFプロセスにおける用語「試料の関連体積」及び「試料の関連面積」とは、CROFプロセス中の、プレートに付着した試料の一部又は全体の、それぞれ体積及び面積を指し、それは対応する方法又は装置によって実行され、分析物又は実体の結合時間の減少、分析物の検出、体積の定量化、濃度の定量化、試薬の混合又は濃度(分析物、実体又は試薬)制御を含むが、これらに限定されない機能に関連する。
【0246】
特に明記しない限り、用語「いくつかの実施形態」、「いくつかの実施形態において」、「本発明のいくつかの実施形態において」、「実施形態」、「一実施形態」、「他の実施形態」、「いくつかの実施形態」、「多くの実施形態」等とは、全ての開示(すなわち全発明)に応用された実施形態を指す。
【0247】
特に明記しない限り、CROFプロセスにおける物体の、用語「高さ」又は「厚さ」とは、プレートの表面と垂直な方向における物体の寸法を指す。例えば、スペーサの高さとは、プレートの表面と垂直である方向におけるスペーサの寸法であり、スペーサの高さ及びスペーサの厚さとは、同じものを指す。
【0248】
特に明記しない限り、CROFプロセスにおける物体の、用語「面積」とは、プレートの表面と平行な物体の面積を指す。例えば、スペーサの面積とは、プレートの表面に平行なスペーサの面積を指す。
【0249】
特に明記しない限り、CROFプロセスにおける用語「横方向」又は「横方向に」とは、プレートの表面と平行な方向を指す。
【0250】
特に明記しない限り、CROFプロセスにおける用語「幅」とは、スペーサの横方向の寸法を指す。
【0251】
用語「試料内のスペーサ」とは、試料により取り囲まれるスペーサ(例えば、試料内の柱状スペーサである)を指す。
【0252】
CROFプロセスにおけるプレートの用語「臨界湾曲スパン」とは、2つの支持具間のプレートのスパン(すなわち、距離)を指し、所定の可撓性プレート、試料、圧力について、プレートの湾曲は、許容可能な湾曲と等しい。例えば、所定の可撓性プレート、試料及び圧力について、許容可能な湾曲が50nmであり、臨界湾曲スパンが40μmである場合、40μm離れた2つの隣接するスペーサの間のプレートの湾曲が50nmであり、かつ2つの隣接するスペーサが40μmより小さい場合、湾曲が50nmより小さい。
【0253】
試料に関する用語「流動可能」とは、試料の厚さが減少する場合、その横方向寸法が増加することを指す。例えば、糞便試料は流動可能であると考えられる。
【0254】
本発明のいくつかの実施形態において、試料の厚さがCROFプロセスにおいて減少できる限り、CROFプロセスにおける試料は流動可能である必要がなく、従ってプロセスから利益を受ける。例えば、CROFプレートの表面に色素を載置することにより組織を染色し、CROFプロセスにおいて組織の厚さを減少させることで、色素による染色の飽和インキュベーション時間を加速させる。
【0255】
1.結合又は混合時間(X)の減少(短縮)
アッセイ又はその他の化学反応を行うインキュベーション/反応時間の減少は必要である。例えば、プレート表面に固定化された捕捉剤(すなわち、固相)により試料中の標的分析物を捕捉する表面固定化アッセイにおいては、一般に試料中の標的分析物を捕捉するための飽和インキュベーション時間が短く、あるいは溶液中の捕捉剤及び検出剤をプレート表面に固定化する時間が短く、あるいは両方がいずれも短いことが望ましい。別の事例は、捕捉剤をプレート表面に塗布する時間を短縮する需要である。別の事例は、試薬と試料との混合時間を短縮する需要である。
【0256】
本発明は、試料中の実体を固体表面上の結合部位に結合するために必要な飽和インキュベーション時間(すなわち実体の、体積から表面への時間)を減少(すなわち短縮)させる方法及び装置を提供する。本発明の別の態様は、プレートの表面に貯蔵された実体を他のプレート表面上の結合部位に結合するために要する時間(すなわち実体の、1つの表面から別の表面への時間)を短縮することである。本発明の別の様態は、表面に貯蔵された試薬を一定の体積の試料に添加/混合するために要する時間(すなわち試薬の、表面から一定の体積の試料に添加/混合する時間)を短縮することである。
【0257】
本発明は、試料(又は液体)をより薄い厚さに広げる装置及び方法を用いることによりアッセイにおける結合及び/又は混合の飽和インキュベーション時間を減少させることで、実体が試料厚さにわたって拡散する時間を減少させ、材料(例えば、液体又は固体又は半固体)における実体の拡散時間は、拡散距離の平方に正比例し、従って試料厚さの減少により拡散距離を減少させ、拡散時間及び飽和インキュベーション時間の急激減少を引き起こすことができる。薄い厚さ(例えば、狭い密閉空間)も実体と材料における他の実体との衝突頻度を上げ、それにより結合及び混合をさらに強化させる。本発明における方法は、さらに試料の厚さを正確で、均一で、迅速で、簡単(操作ステップがより少ない)に減少させ、かつ試料の厚さをミクロン又はナノメートルの厚さに減少させることに適用される。これらの発明は高速、低コスト、PoC、診断及び化学/バイオ分析の面に高い実用性を有する。
図1〜4は本発明のいくつかの実施形態を示す。
【0258】
1.1 試料の厚さを減少させることによる、試料中の実体を固体表面上の結合部位に結合するために必要な飽和インキュベーション時間の減少
X1.
図1〜4及び
図15に示すように、試料中の標的実体をプレート表面上の結合部位に結合するために必要な飽和インキュベーション時を減少させる方法は、以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)流動可能かつ試料内に拡散できる標的実体を含有する試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、前記第1のプレートは、その表面に標的実体に結合するように構成された結合部位を有し、前記プレートの1つ又は両方は、各々がその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方に試料を付着させ、前記開放構成とは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、結合部位が関連体積と接触し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄く、
前記関連体積は、試料の一部又は全体の体積であり、
減少した試料厚さにより、関連体積中の標的実体を結合部位に結合するための飽和インキュベーション時間が減少する。
【0259】
所定の試料体積に対して、CROFは試料の厚さを減少させるが、試料の横方向寸法を増加させる。本発明は、以上の事実を用いて、(a)試料の一部における局所的な結合又は混合を行い、(b)流体バリアがない場合では、複数の結合又は混合部位の多重化を行って、試料流体を異なる隔離液嚢に分離させる。
【0260】
X2.
図1〜4及び
図15に示すように、試料の関連体積における標的実体を表面に結合するために必要な飽和インキュベーション時間を減少させる装置は、
第1のプレート及び第2のプレートを含み、(a)前記プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能で、(b)各プレートが試料と接触するための試料接触領域を有し、該試料が試料関連体積に標的実体を有し、(c)プレートの1つが標的実体を結合する結合部位を有し、(d)プレートの少なくとも1つがスペーサを含み、スペーサが所定のスペーサ間距離及び高さを有し、かつそれぞれの表面に固定され、スペーサの少なくとも1つが試料接触領域内に位置し、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向し、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、結合部位が関連体積と接触し、かつ試料の関連体積の厚さをプレート及びスペーサにより調節し、プレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の最大の厚さより小さく、前記関連体積は、試料の一部又は全体の体積であり、かつ前記減少した試料の厚さにより関連体積における標的実体を結合部位に結合するための飽和インキュベーション時間が減少する。
【0261】
1.2 プレートの表面に貯蔵された実体を他のプレート表面上の結合部位に結合するために必要な飽和インキュベーション時間の減少
X3.
図1〜4及び15bに示すように、1つのプレートの貯蔵部位に貯蔵された実体を別のプレート上の関連結合部位に結合するための飽和インキュベーション時間を減少させる方法は、以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、前記第1のプレートはその表面に結合部位を有し、前記第2のプレートはその表面に結合部位に結合する実体を含む貯蔵部位を有し、前記結合部位の面積及び前記貯蔵部位の面積がそれぞれのプレートの面積より小さく、かつ前記プレートの1つ又は両方は、各々がそのそれぞれのプレートで固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
(b)その内に貯蔵部位上の実体が溶解でき、かつ拡散できる搬送媒体を取得し、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方に搬送媒体を付着させ、前記開放構成とは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記搬送媒体を広げ、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ、結合部位、貯蔵部位及び少なくとも一部の搬送媒体がプレートの間に位置し、結合部位と貯蔵部位が少なくとも部分的に重なり、搬送媒体が結合部位と貯蔵部位の少なくとも一部と接触し、搬送媒体の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時の搬送媒体の最大の厚さより薄く、
搬送媒体の減少した厚さにより第2のプレートに貯蔵された実体を第1のプレート上の結合部位に結合するために必要な時間が減少する。
【0262】
X4.
図1〜4及び15bに示すように、一つのプレートの貯蔵部位に貯蔵された実体を別のプレート上の結合部位に結合するための飽和インキュベーション時間を減少させる装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、前記第1のプレートはその表面に結合部位を有し、前記第2のプレートはその表面に結合部位に結合する実体を含む貯蔵部位を有し、前記結合部位の面積及び貯蔵部位の面積がそのそれぞれのプレートの面積より小さく、前記プレートの1つ又は両方は、そのそれぞれのプレートに固定されて、所定の高さを有するスペーサを含み、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、搬送媒体が2つのプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、貯蔵部位上の実体は搬送媒体内に溶解でき、かつ拡散でき、
別の構成は、搬送媒体が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、プレートが互いに対向して、スペーサ、結合部位、貯蔵部位及び少なくとも一部の搬送媒体がプレートの間に位置し、結合部位が貯蔵部位と少なくとも部分的に重なり、搬送媒体が結合部位と貯蔵部位の少なくとも一部と接触し、搬送媒体の厚さをプレート及びスペーサにより調節し、プレートが開放構成にある時に、該厚さが搬送媒体の最大の厚さよりわずかに薄く、
搬送媒体の減少した厚さにより、第2のプレートの貯蔵部位上の実体を第1のプレート上の結合部位に結合するための飽和インキュベーション時間が減少する。
【0263】
いくつかの実施形態において、段落X3の方法及び段落X4の装置において、搬送媒体は実体又は試薬又は両者が拡散する液体を含む。
【0264】
いくつかの実施形態において、段落X3の方法及び段落X4の装置において、搬送媒体は、結合部位に結合する分析物(標的分析物とも呼ばれる)を含む試料である。
【0265】
いくつかの実施形態において、段落X3の方法及び段落X4の装置において、搬送媒体は、結合部位に結合する分析物(標的分析物とも呼ばれる)を含む試料であり、試薬は、分析物に結合する検出剤である。
【0266】
1.3表面に貯蔵された試薬を液体試料に添加(混合)するための時間の減少
多くのアッセイは、試料(液体を含む)に試薬を添加する必要がある。一般的に試料又は液体に添加された試薬の濃度を制御する必要がある。簡単かつ/又は低コストでこのような試薬の添加及び濃度制御を実行する新たな方法を必要とする。所望の試薬添加の2つの実例は、(a)抗凝固剤及び/又は染色試薬を血液試料に添加する血球計数、及び(b)検出剤を添加して溶液における標的分析物を結合する免疫学的アッセイである。
【0267】
本発明の一態様は、このような試薬の添加及び濃度制御を簡単及び/又は低コストにする方法、装置及びシステムである。本発明の一実施形態において、まず試薬層(例えば乾燥された試薬層)をCROF装置のプレート表面に載置し、次に試料をCROF装置に付着させて、CROFプロセスで試料を試薬と接触させ、かつ試料の厚さを、CROFプレートが開放構成にある時の試料の厚さよりも薄くさせる。試料厚さを減少させることにより、試薬の表面から全試料への拡散時間を減少させ、これにより試薬と試料混合の時間を減少させる。
【0268】
X5.
図1〜4及び15cに示すように、プレート表面に貯蔵された試薬を試料に混合するための時間を減少させる方法は、以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、前記第1のプレートは、その表面に試料に添加される試薬を含む貯蔵部位を有し、該試薬が試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、2つのプレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがそのそれぞれのプレートで固定され、かつ所定の高さを有し、
(b)試料を取得し、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方に試料を付着させ、前記開放構成とは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ、貯蔵部位及び試料の少なくとも一部がプレートの間に位置し、試料が貯蔵部位の少なくとも一部と接触し、貯蔵部位上の試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄く、
試料の減少した厚さにより、貯蔵部位上の試薬と試料を混合するための時間が減少する。
【0269】
段落X5の方法において、プレートが閉鎖構成にある時にインキュベーションを行うステップをさらに含み、インキュベーション時間は、試料内に溶解した大量の試薬が試料の関連体積内に含まれるように選択される。ここで、関連体積とは、貯蔵部位に位置する試料の体積を指し、インキュベーションとは、試薬を試料内に溶解及び拡散することを可能にする過程を指す。
【0270】
段落X5の方法は、(d)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、試料中の試薬が閉鎖構成にあるプレートにより調節された試料の厚さにわたって拡散する時間の因子倍以下の時間でインキュベートし、次にインキュベーションを停止させるステップをさらに含み、前記インキュベーションにより試薬を試料内に拡散することを可能にし、前記因子が0.0001、0.001、0.01、0.1、1、1.1、1.2、1.3、1.5、2、3、4、5、10、100、1000、10000又はこれらの値の間の任意の範囲である。例えば、因子が1.1で、拡散時間が20秒であれば、インキュベーション時間は22秒以下である。好ましい実施形態において、因子は0.1、1、1.5又はこれらの値の間の任意の範囲である。
【0271】
X6.
図1〜4及び15cに示すように、プレート表面に貯蔵された試薬を試料内に添加するための時間を減少させる装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、前記第1のプレートは、その表面に試料に添加される試薬を含む貯蔵部位を有し、該試薬が試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、前記プレートの1つ又は両方はスペーサを含み、かつ各スペーサがそのそれぞれのプレートで固定され、かつ所定の高さを有し、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料がプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、搬送媒体が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ、貯蔵部位及び試料の少なくとも一部がプレートの間に位置し、試料が貯蔵部位の少なくとも一部と接触し、貯蔵部位上の試料の厚さをプレート及びスペーサにより調節し、プレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の最大の厚さよりも薄く、
試料の減少した厚さにより、貯蔵部位上の試薬と試料を混合するための時間を減少させる。
【0272】
段落X1〜6のいずれか1つの段落に記載の方法又は装置において、いくつかの実施形態において、試料の関連体積は、結合部位又は貯蔵部位に位置する(すなわち、その頂部に位置する)試料の体積である。
【0273】
段落X1〜6のいずれか1つの段落に記載の方法又は装置において、いくつかの実施形態において、試料の関連体積は、結合部位又は貯蔵部位の全領域又は一部の領域に位置する(すなわち、その頂部に位置する)試料の体積である。
【0274】
段落X1〜6のいずれか1つの段落に記載の方法又は装置において、いくつかの実施形態において、閉鎖構成における試料厚さに対する結合部位又は貯蔵部位の横方向寸法の比は、1.53以上、3以上、5以上、10以上、20以上、30以上、50以上、100以上、200以上、1000以上、10000以上、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0275】
段落X1〜6のいずれか1つの段落に記載の方法又は装置において、閉鎖構成における試料厚さに対する結合部位又は貯蔵部位の横方向寸法の比は、好ましい実施形態において3〜20であり、別の好ましい実施形態において20〜100であり、別の好ましい実施形態において100〜1000であり、また、別の好ましい実施形態において1000〜10000である。
【0276】
段落X1及びX3のいずれか1つの段落に記載の方法において、いくつかの実施形態において、最終的に減少した試料の厚さは、結合部位の領域の試料の厚さより顕著に小さいことにより、結合部位の外に位置する試料領域における実体を結合部位に結合するためにより長い時間を必要とする。適切なインキュベーション時間を選択した場合、結合部位に結合された実体は、主に結合部位に位置する(すなわち、ちょうど結合領域上にある試料体積)試料体積中の実体である。次に、試料中の実体濃度の計算は、試料厚さ及び結合部面積に基づく。
【0277】
段落X5の方法において、いくつかの実施形態において、最終的に減少した試料厚さは、貯蔵部位の面積上の試料厚さより顕著に小さいことにより、結合部位の外に位置する試料領域における実体を結合部位に結合するためのより長い時間を必要とする。
【0278】
適切なインキュベーション時間を選択した場合、結合部位に結合された実体は、主に結合部位に位置する(すなわち、ちょうど結合領域上にある試料体積)試料体積中の実体である。次に、試料中の実体濃度の計算は、試料厚さ及び結合部面積に基づく。
【0279】
段落X2、X4、X6のいずれか1つの段落に記載の方法において、プレートを開放構成から閉鎖構成にする圧縮装置をさらに含み、いくつかの実施形態において、圧縮装置は、本開示に記載の実施形態の1つ又は任意の組み合わせである。
【0280】
段落X2、X4、X6のいずれか1つの段落に記載の方法において、プレートを開放構成から閉鎖構成にする圧縮装置と、プレートを閉鎖構成に保持するように構成された保持装置とをさらに含み、いくつかの実施形態において、保持装置は、本開示に記載の実施形態の1つ又は任意の組み合わせである。
【0281】
段落X2、X4、X6のいずれか1つの段落に記載の方法において、プレートを開放構成から閉鎖構成にする圧縮装置と、0.001秒以下、0.01秒以下、0.1秒以下、1秒以下、5秒以下、10秒以下、20秒以下、30秒以下、40秒以下、1分間以下、2分間以下、3分間以下、5分間以下、10分間以下、20分間以下、30分間以下、60分間以下、90分間以下、120分間以下、180分間以下、250分間以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲内の時間でプレートを閉鎖構成に保持するように構成された保持装置とを含む。
【0282】
段落X2、X4、X6のいずれか1つの段落に記載の方法において、プレートを開放構成から閉鎖構成にする圧縮装置と、好ましい実施形態において、0.001秒以下、0.01秒以下、0.1秒以下、1秒以下、5秒以下、10秒以下、20秒以下、30秒以下、40秒以下、1分間以下、2分間以下、3分間以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲内の時間でプレートを閉鎖構成に保持するように構成された保持装置とを含む。
【0283】
インキュベーション時間 段落X1及びX3のいずれか1つの段落に記載の方法は、(d)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、試料中の実体が閉鎖構成にある時のプレートにより調節された試料の厚さにわたって拡散する時間の因子倍以下の時間でインキュベーションし、次にインキュベーションを停止させるステップをさらに含み、前記インキュベーションは、実体を結合部位に結合させることを可能にし、前記因子は、0.0001、0.001、0.01、0.1、1、1.1、1.2、1.3、1.5、2、3、4、5、10、100、1000、10000又はこれらの値の間の任意の範囲である。例えば、因子は1.1で、拡散時間は20秒であれば、インキュベーション時間は22秒以下である。好ましい実施形態において、因子は0.1、1、1.5又はこれらの値の間の任意の範囲である。
【0284】
段落X5のいずれか1つの段落に記載の方法は、(d)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、試料中の実体が閉鎖構成にある時のプレートにより調節された試料の厚さにわたって拡散する時間の因子倍以下の時間でインキュベーションし、次にインキュベーションを停止させるステップをさらに含み、ここで前記インキュベーションは、実体を結合部位に結合させることを可能にし、前記因子は、0.0001、0.001、0.01、0.1、1、1.1、1.2、1.3、1.5、2、3、4、5、10、100、1000、10000又はこれらの値の間の任意の範囲である。例えば、因子が1.1で、拡散時間が20秒であれば、インキュベーション時間は22秒以下であり、好ましい実施形態において、因子は0.1、1、1.5又はこれらの値の任意の2つの間の範囲である。
【0285】
段落X1、X3及びX5のいずれか1つの段落に記載の方法又は段落X2、X4及びX6のいずれか1つの段落に記載の装置において、少なくとも1つのスペーサは試料接触領域内に位置する。
【0286】
段落X1、X3及びX5のいずれか1つの段落に記載の方法又は段落X2、X4及びX6のいずれか1つの段落に記載の装置において、スペーサは所定のスペーサ間距離を有する。
【0287】
段落X1、X3、X5のいずれか1つの段落に記載の方法において、プレートが閉鎖構成にある時のインキュベーションステップをさらに含み、ここで飽和インキュベーション時間は、0.001秒以下、0.01秒以下、0.1秒以下、1秒以下、5秒以下、10秒以下、20秒以下、30秒以下、40秒以下、1分間以下、2分間以下、3分間以下、5分間以下、10分間以下、20分間以下、30分間以下、60分間以下、90分間以下、120分間以下、180分間以下、250分間以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0288】
段落X1、X3、X5のいずれか1つの段落に記載の方法において、閉鎖構成で減少した試料の厚さでの飽和インキュベーション時間は、0.001秒以下、0.01秒以下、0.1秒以下、1秒以下、5秒以下、10秒以下、20秒以下、30秒以下、40秒以下、1分間以下、2分間以下、3分間以下、5分間以下、10分間以下、20分間以下、30分間以下、60分間以下、90分間以下、120分間以下、180分間以下、250分間以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0289】
いくつかの実施形態において、まず捕捉剤を結合部位に固定化し、次に試料を結合部位と接触させ、試料中の実体を捕捉剤により捕捉し、最後に検出剤を添加して捕捉された実体と結合し、(例えば、光学方法又は電気的方法又は組み合わせにより)検出剤からのシグナルを読み取る。いくつかの実施形態において、捕捉剤及び検出剤以外の他の試薬(例えば遮断剤)を添加する。
【0290】
例えばPoCの多くの応用において、追加の試薬を試料に添加するための簡単かつ/又は低コストの装置及び方法を有することが望ましい。本発明の一態様は、追加の試薬を試料に添加するための簡単及び/又は低コストの装置及び方法に関する。添加された追加の試薬は、検出剤、遮断剤、光信号増強剤、光信号消光剤又は他の試薬を含む。本発明のいくつかの実施形態において、同じ位置に貯蔵された試薬の異なる放出時間によりアッセイ過程を制御する。異なる溶解速度を有する他の材料を添加することにより、異なる放出時間を付与することができる。
【0291】
特定の実施形態において、試料厚さを制御する(例えば、試料厚さと貯蔵部位面積との比及び/又は混合時間を制御する)ことにより試料に混合された試薬の濃度を制御する。
【0292】
2、プレート、スペーサ、スケールマーカー、試料厚さの調節
2.1 プレートの構成及び試料厚さの調節
開放構成 いくつかの実施形態において、開放構成では、2つのプレート(すなわち、第1のプレート及び第2のプレート)を互いに離す。特定の実施形態において、2つのプレートは、プレートの操作期間全体(開放構成及び閉鎖構成を含む)において、一体に接続された一辺を有し、2つのプレートの開放及び閉鎖は、本と類似する。いくつかの実施形態において、2つのプレートは、長方形(又は正方形)の形状を有し、プレートのすべての操作期間において接続された2つの長方形の辺を有する。
【0293】
いくつかの実施形態において、開放構成は、プレートが互いに遠く離れて、試料が1対のうち他方のプレートの妨害なしに該1対のプレートのうちの1方に付着する構成を含む。
【0294】
いくつかの実施形態において、開放構成は、プレートが互いに遠く離れる構成を含み、その結果として、試料が別のプレートが存在しないかのように、1つのプレートに付着する。
【0295】
いくつかの実施形態において、開放構成は、1対のプレートの間の距離が少なくとも10nm、少なくとも100nm、少なくとも1000nm、少なくとも0.01cm、少なくとも0.1cm、少なくとも0.5cm、少なくとも1cm、少なくとも2cm、又は少なくとも5cm、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲である構成を含む。
【0296】
いくつかの実施形態において、開放構成は、1対のプレートが異なる向きに配向された構成を含む。いくつかの実施形態において、開放構成は、試料添加を可能にするように構成された1対のプレート間のアクセスギャップを画定する構成を含む。
【0297】
いくつかの実施形態において、開放構成は、各プレートが試料接触表面を有し、かつプレートが1つの開放構成にある時にプレートの少なくとも1つの接触表面が露出される構成を含む。
【0298】
閉鎖構成及び試料厚さの調節 本発明において、2つのプレートの閉鎖構成は、2つのプレートの内面間の間隔(すなわち、距離)が2つのプレート間のスペーサによって調節される構成である。プレートの内面(「試料表面」とも呼ばれる)は、CROFプロセスの圧縮ステップ中に、試料と接触し、従って、閉鎖構成では、試料の厚さがスペーサによって調節される。
【0299】
プレートを開放構成から閉鎖構成にするプロセスの間において、プレートは互いに対向し(プレートの少なくとも一部が互いに対向し)、かつ力で2つのプレートを一体にする。2つのプレートを開放構成から閉鎖構成にする場合、2つのプレートの内面は、プレートに付着させた試料を圧縮して、試料の厚さを減少させ(同時に試料は、プレート間に横方向に自由に流れる)、試料の関連体積の厚さは、スペーサ、プレート、使用される方法、及び試料の機械的/流体的特性によって決定される。所定の試料及び所定のスペーサ、プレート及びプレートプレス法について、閉鎖構成での厚さを予め決定することができる。
【0300】
用語「スペーサによってプレートの内面間の間隔を調節する」又は「プレート及びスペーサによって試料の厚さを調節する」又は「試料の厚さはスペーサ及びプレートによって調節される」とは、CROFプロセスにおける試料の厚さが所定のプレート、スペーサ、試料及びプレス方法によって決定されることを指す。
【0301】
いくつかの実施形態において、閉鎖構成で調節された試料厚さはスペーサの高さと同じであり、この場合で、閉鎖構成で、スペーサは、2つのプレートに直接接触する(1つのプレートが、スペーサが固定されたプレートであり、別のプレートがスペーサと接触するプレートである)。
【0302】
特定の実施形態において、閉鎖構成で調節された試料厚さはスペーサの高さより大きく、この場合で、閉鎖構成で、その表面に固定又は取り付けられたスペーサを有するプレートのみにスペーサが直接接触し、別のプレートと間接接触する(すなわち、間接接触である)。用語のプレートと「間接接触する」とは、スペーサとプレートとが「残量の試料層」と呼ばれる薄い試料層によって離されることを指し、その厚さは「残留物の厚さ」と呼ばれる。所定のスペーサ及びプレート、所定のプレートプレス方法及び所定の試料について、残留物の厚さを予め設定して(予め設定とは、閉鎖構成になる前を指す)、閉鎖構成で試料厚さを予め設定する。これは、所定の条件(試料、スペーサー、プレート及び圧力)について、残留層の厚さが同じであり、かつ予め較正及び/又は計算が可能であるためである。調節された試料の厚さは、スペーサの高さに試料の残留物の厚さを加えたものにほぼ等しい。
【0303】
多くの実施形態において、柱の寸法及び形状は、使用前に予め特徴付けられる(すなわち、予め設定される)。予め設定された情報は、試料体積(又は関連体積)及び他のものの決定のような後続きのアッセイに使用される。
【0304】
いくつかの実施形態において、試料厚さの調節は、プレートの間の距離を維持するようにプレートに閉鎖(圧縮)力を加えることを含む。
【0305】
いくつかの実施形態において、試料厚さの調節は、スペーサによってプレートの間の距離を確立すること、プレートに加えられた閉鎖力、試料の物理的特性を含み、試料の物理的特性は、好ましくは粘度及び圧縮性のうち少なくとも1つを含む。
【0306】
2.2 プレート
本発明では、一般的に、CROFのプレートは、(i)スペーサとともに試料の一部又は全部の体積の厚さを調節するために用いることができ、(ii)プレートが達成しようとする試料、アッセイ又はゴールに、プレートがプレートに顕著な悪影響を及ぼさないいずれかの材料で製造される。しかし、特定の実施形態において、特定の材料(従ってその特性)は特定の目的を達成するようにプレートに用いられる。
【0307】
いくつかの実施形態において、2つのプレートは、プレート材料、プレートの厚さ、プレートの形状、プレートの面積、プレートの柔軟性、プレートの表面特性及びプレートの光透過性の各パラメータに対して、同じ又は異なるパラメータを有する。
【0308】
プレートの材料 プレートは、単一材料、複合材料、多種の材料、多層の材料、合金又はその組み合わせで製造される。プレートに用いられる各材料は、無機材料、有機材料又は混合物であり、材料の例は、Mat−1及びMat−2の段落で説明される。
【0309】
Mat−1. プレートに用いられる無機材料は、ガラス、石英、酸化物、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ハフニウム(HfO)、酸化アルミニウム(AIO)、半導体(シリコン、GaAs、GaNなど)、金属(例えば、金、銀、銅、アルミニウム、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)など)、セラミック又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限られない。
【0310】
Mat−2。 スペーサに用いられる有機材料は、ポリマー(例えば、プラスチック)又はアモルファス有機材料を含むが、これらに限定されない。スペーサに用いられるポリマー材料は、アクリレートポリマー、ビニルポリマー、オレフィンポリマー、セルロースポリマー、非セルロースポリマー、ポリエステルポリマー、ナイロン、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィンポリマー(COP)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(フェニレンエーテル)(PPE)、ポリスチレン(PS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ(エチレンフタレート)(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ゴム、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限られない。
【0311】
いくつかの実施態様において、プレートは、それぞれ、ガラス、プラスチック、セラミック及び金属のうちの少なくとも1つで製造される。いくつかの実施態様において、プレートは、それぞれ、ガラス、プラスチック、セラミック及び金属のうちの少なくとも1つを含む。
【0312】
いくつかの実施形態において、一方つのプレートは、横方向面積、厚さ、形状、材料、又は表面処理について、他方のプレートと異なる。いくつかの実施形態において、一方のプレートは、横方向面積、厚さ、形状、材料、又は表面処理について、他方のプレートと同じである。
【0313】
プレートに用いられる材料は、剛性、可撓性又は両者の間にある任意の柔軟度である。剛性(すなわち、硬度)又は柔軟度は、プレートを閉鎖構成にする際に使用される圧力に関連している。
【0314】
いくつかの実施形態において、剛性又は可撓性プレートの選択は、閉鎖構成での試料厚さの均一性を制御する要件から決定される。
【0315】
いくつかの実施態様において、2つのプレートのうちの少なくとも1つ(光に対して)は透明である。いくつかの実施態様において、1つのプレート又は両方のプレートの少なくとも一部又は複数の部分は透明である。いくつかの実施形態において、プレートは非透明である。
【0316】
プレートの厚さ いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプレートの平均厚さは、2nm以下、10nm以下、100nm以下、500nm以下、1000nm以下、2μm(ミクロン)以下、5μm以下、10μm以下、20μm以下、50μm以下、100μm以下、150μm以下、200μm以下、300μm以下、500μm以下、800μm以下、1mm(ミリメートル)以下、2mm以下、3mm以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0317】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプレートの平均厚さは、最大3mm(ミリメートル)、最大5mm、最大10mm、最大20mm、最大50mm、最大100mm、最大500mm、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0318】
いくつかの実施形態において、プレートの厚さは、プレートを横切って均一ではない。異なる位置で異なるプレートの厚さを用いて、プレートの湾曲、折り畳み、試料厚さの調節などを制御するために用いることができる。
【0319】
プレートの形状及び面積 一般的に、プレートは、形状が試料の圧縮開放流れ及び試料厚さの調節を可能にする限り、任意の形状を有することができる。しかしながら、特定の実施形態において、特定の形状が有利であってもよい。プレートの形状は、円形、楕円形、長方形、三角形、多角形、環状又はこれらの形状の任意の重なりであってもよい。
【0320】
いくつかの実施形態において、2つのプレートは、同じ又は異なる寸法又は形状を有してもよい。プレートの面積は、その応用によって異なる。プレートの面積は、最大1mm
2(平方ミリメートル)、最大10mm
2、最大100mm
2、最大1cm
2(平方センチメートル)、最大5cm
2、最大10cm
2、最大100cm
2、最大500cm
2、最大1000cm
2、最大5000cm
2、最大10,000cm
2、又は10,000cm
2以上、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。プレートの形状は、長方形、正方形、円形又は他の形状であってもよい。
【0321】
特定の実施形態において、プレートのうちの少なくとも1つは、幅、厚さ、及び長さを有するベルト(又はストリップ)の形式である。幅は、最大0.1cm(センチメートル)、最大0.5cm、最大1cm、最大5cm、最大10cm、最大50cm、最大100cm、最大500cm、最大1000cm、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。長さは、必要な長さにすることができる。ベルトはロール状に巻くことができる。
【0322】
プレート表面の平坦度 多くの実施形態において、プレートの内面は、平坦又は非常に平坦な平面である。特定の実施形態においては、2つの内面は、閉鎖構成で、互いに平行である。平坦な内面は、閉鎖構成で所定のスペーサの高さのみを用いることによって、試料厚さの定量化及び/又は制御を容易にする。プレートの非平坦な内面については、閉鎖構成での試料厚さを定量化及び/又は制御するように、スペーサの高さだけでなく、内面のトポロジーを正確に知る必要がある。表面トポロジーを知るためには、追加の測定及び/又は補正が必要であり、これは複雑で時間がかかり、コストが高い。
【0323】
プレート表面の平坦度は、最終的な試料の厚さ(最終的な厚さは、閉鎖構成での厚さである)に対応し、一般に、最終的な試料の厚さに対するプレート表面の平坦度変化の比である「相対的な表面の平坦度」という用語によって特徴付けられる。
【0324】
いくつかの実施形態において、相対的な表面は、0.01%より小さく、0.1%より小さく、0.5%より小さく、1%より小さく、2%より小さく、5%より小さく、10%より小さく、20%より小さく、30%より小さく、50%より小さく、70%より小さく、80%より小さく、100%より小さく、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0325】
プレート表面の平行度 いくつかの実施形態において、プレートの2つの表面は、顕著に互いに平行であり、特定の実施形態では、プレートの2つの表面は互いに平行ではない。
【0326】
プレートの柔軟性 いくつかの実施形態において、CROFプロセスの圧縮ステップにおいて、プレートは可撓性である。いくつかの実施形態において、CROFプロセスの圧縮ステップにおいて、両方のプレートはいずれも可撓性である。いくつかの実施形態において、CROFプロセスの圧縮ステップにおいて、1つのプレートは剛性であり、別のプレートは可撓性であり、いくつかの実施形態において、両方のプレートは剛性であり、いくつかの実施形態において、両方のプレートは可撓性であるが、異なる可撓性を有する。
【0327】
プレートの光学的透明度 いくつかの実施形態において、プレートは光学的透明である。いくつかの実施形態において、両方のプレートはいずれも光学的透明である。いくつかの実施形態において、一方のプレートは光学的透明であり、他方のプレートは非透明である。いくつかの実施形態において、両方のプレートはいずれも非透明である。いくつかの実施形態において、両方のプレートはいずれも光学的透明であるが、光学的透明度が異なる。プレートの光学的透明度とは、プレートの一部の又は全体領域を指す。
【0328】
表面の濡れ性 いくつかの実施形態において、プレートは、試料、転移液体又は両者を湿潤させる(すなわち、接触角が90度未満である)内面を有する。いくつかの実施形態において、両方のプレートは、いずれも、試料、転移液体又は両者を湿潤させ、同じ又は異なる湿潤性を備える内面を有する。いくつかの実施形態において、1つのプレートは、試料、転移液体又は両者を湿潤させる内面を有し、別のプレートは、湿潤しない内面を有する(すなわち、接触角が90度未満である)。プレートの内面の湿潤とは、プレートの一部の又は全体領域を指す。
【0329】
いくつかの実施形態において、プレートの内面は、CROF中に試料の横方向流動を制御するための、他のナノ又はマイクロ構造を有する。ナノ又はマイクロ構造は、チャネル、ポンプなどを含むが、これらに限られない。ナノ及びマイクロ構造も、内面の湿潤特性を制御するために用いられる。
【0330】
2.3 スペーサ
スペーサの機能 本発明において、スペーサは、(1)プレートとともに試料の厚さ又は試料の関連体積を制御すること(好ましくは、関連領域における厚さ制御は正確或いは均一的であるか、又は両方である)、(2)試料がプレート表面に圧縮調節開放流れ(CROF)を有することを可能にすること、(3)所定の試料領域(体積)において大きな表面積(体積)を占用しないこと、(4)試料中の粒子又は分析物の沈降効果を減少させるか又は向上させること、(5)プレートの内表面の湿潤特性を変更及び/又は制御すること、(6)プレートの位置、寸法の割合及び/又はプレートの関連情報を識別すること、及び(7)上記任意の組み合わせを行うこと、という機能及び特性のうちの一種又は任意の組み合わせを有するように、構成される。
【0331】
スペーサアーキテクチャ及び形状 所望の試料厚さの減少と制御を実現するために、特定の実施形態において、スペーサが、その対応するプレート上に固定される。一般的には、スペーサは、任意の形状を有してもよく、スペーサは、CROFプロセスにおいて試料厚さを調節することができる限り、一定の形状が、一定の機能、例えば、より優れた均一性、プレス時のより少ないオーバーシュート等の実現に対して、好ましい。
【0332】
スペーサは、1つのスペーサ又は複数のスペーサである(例えば、アレイ)。複数のスペーサに係るいくつかの実施形態は、スペーサ(例えば、柱体)のアレイであり、そのうちスペーサ間距離は、周期的であるか又は非周期的であり、又はプレートの一定の領域において周期的であるか又は非周期的であり、又はプレートの異なる領域において異なる距離を有する。
【0333】
スペーサは、「開放スペーサ」と「密閉スペーサ」という二種類のタイプを有する。開放スペーサは、試料がスペーサを通って流れることを可能にするスペーサ(すなわち、試料がスペーサの周囲を流れて通過する。例えば、スペーサとしてのポスト)であり、密閉スペーサは、試料の流れを止めるスペーサ(すなわち、試料がスペーサから流れ出すことができない。例えば、環状スペーサであり、試料が環内にある)である。二種類のタイプのスペーサは、その高さを用いて閉鎖構成における最終的な試料厚さを調節する。
【0334】
いくつかの実施形態において、スペーサは、開放スペーサのみがある。いくつかの実施形態において、スペーサは、密閉スペーサのみがある。いくつかの実施形態において、スペーサは、開放スペーサと密閉スペーサの組み合わせである。
【0335】
用語「柱状スペーサ」は、スペーサが柱形状を呈することを意味し、柱形状とは、試料が圧縮開放流れ中に、その周囲を流れることを可能にする高さ及び横方向形状を有する物体を指す。
【0336】
いくつかの実施形態において、柱状スペーサの横方向形状は、(i)円形、楕円形、矩形、三角形、多角形、環形、星形、英文字形(例えば、L形、C形、英文字A〜Z)、数字形(例えば、0、1、2、3、4、…9等の形状);(ii)少なくとも1つの丸い角を有するグループ(i)における形状;(iii)ジグザグ形又はギザギザの縁を有するグループ(i)における形状;及び、(iv)(i)、(ii)と(iii)の任意の重ね合わせ、というグループにおける形状から選択される。複数のスペーサについて、異なるスペーサは、異なる横方向形状と寸法及び隣接するスペーサの異なる距離を有してもよい。
【0337】
いくつかの実施形態において、スペーサは、ポスト状、円柱状、ビーズ状、ボール状及び/又は他の適切な幾何学形状である、かつ/又はそれらを含んでもよい。スペーサの横方向形状及び寸法(すなわち、それぞれのプレート表面を横断する)は、いくつかの実施形態において、(i)スペーサの幾何学形状が試料厚さ及び体積を測定する時に明らかな誤差を引き起こさず、又は(ii)スペーサの幾何学形状がプレート間の試料の流れ出しを止めない(すなわち、密閉した構成ではない)、という制限を有する以外、任意であってもよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、試料フローを制限するための、密閉スペーサであるいくつかのスペーサが必要とされる。
【0338】
いくつかの実施形態において、スペーサの形状は、丸い角を有する。例えば、ある矩形のスペーサは、1つ以上の丸い角を有し、あるいは全ての角がいずれも丸い角(円形に似ているが90度の角ではない)である。一般的には、丸い角により、スペーサの製造が容易になり、生物学的材料への損害を小さくする場合もある。
【0339】
柱の側壁は、直線状、湾曲状、傾斜状であり、あるいは側壁の部分によって異なる形状を有してもよい。いくつかの実施形態において、スペーサは、様々な横方向形状、側壁及び柱の高さと柱の側面積との比を有する柱である。
【0340】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは、開放流れを可能にする柱状を有する。
【0341】
スペーサの材料 本発明において、スペーサは、通常、2つのプレートとともに試料の関連体積の厚さを調節するために使用できる任意材料で製造される。いくつかの実施形態において、スペーサの材料とプレートの材料とは異なる。いくつかの実施形態において、スペーサに使用される材料は、少なくとも1つのプレートに使用される材料の一部と少なくとも同じである。
【0342】
スペーサは、単一材料、複合材料、多種の材料、多層の材料、合金又はそれら組み合わせで製造される。プレートに使用される材料は、無機材料、有機材料又はその組み合わせであり、その材料の実施例については段落Mat−1及びMat−2で説明する。1つの好ましい実施形態において、スペーサは、CROFに使用されるプレートの材料と同じ材料で製造される。
【0343】
スペーサの機械的強度及び可撓性 いくつかの実施形態において、スペーサの機械的強度が十分に高いので、プレートの圧縮及び閉鎖構成過程では、スペーサの高さは、開放構成にある時のプレートの高さと同じであるか又は実質的に同じである。いくつかの実施形態において、開放構成と閉鎖構成との間にあるスペーサの差異は、特徴付けられるか又は予め決定されてもよい。
【0344】
スペーサに使用される材料は、剛性、可撓性又は両者の間にある任意の可撓度であってもよい。剛性は、プレートを閉鎖構成にする押圧力に関連し、該押圧力で、空間の高さが1%未満変形する場合はスペーサ材料が剛性であると考えられ、そうでなければ、可撓性であると考えられる。スペーサが可撓性材料で製造される場合に、押圧力及びスペーサの機械的強度に基づいて、閉鎖構成にある最終的な試料の厚さを依然として予め決定することができる。
【0345】
試料内のスペーサ 試料厚さに対する所望の低減と制御を達成するために、特に、優れた試料厚さの均一性を達成するために、特定の実施例において、スペーサは試料内又は試料の関連体積内に載置される。いくつかの実施形態において、試料又は試料の関連体積内に、適切なスペーサ間距離で、1つ以上のスペーサが存在する。特定の実施形態において、スペーサのうちの少なくとも1つは試料内に位置し、スペーサのうちの少なくとも2つは試料又は試料の関連体積内に位置するか、又は少なくとも「n」個のスペーサは試料又は試料の関連体積内に位置し、「n」は、CROF中の試料厚さの均一性又は必要な試料流れ特性によって決定される。
【0346】
スペーサ高さ いくつかの実施形態において、全てのスペーサは、同じ所定の高さを有する。いくつかの実施形態において、スペーサは、異なる所定の高さを有する。いくつかの実施形態において、スペーサは、グループ又は領域に分けられ、そのうち、各グループ又は領域がそれぞれのスペーサ高さを有する。また、特定の実施形態において、スペーサは、所定の高さが、スペーサの平均高さである。いくつかの実施形態において、スペーサは、実質的に同じ高さを有する。いくつかの実施形態において、一定の百分率の数量のスペーサは、同じ高さを有する。
【0347】
スペーサの高さは、所望の調節された最終的な試料厚さ及び残留試料厚さによって選択される。スペーサの高さ(所定のスペーサの高さ)及び/又は試料の厚さは、3nm以下、10nm以下、50nm以下、100nm以下、200nm以下、500nm以下、800nm以下、1000nm以下、1μm以下、2μm以下、3μm以下、5μm以下、10μm以下、20μm以下、30μm以下、50μm以下、100μm以下、150μm以下、200μm以下、300μm以下、500μm以下、800μm以下、1mm以下、2mm以下、4mm以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0348】
スペーサの高さ及び/又は試料の厚さは、1つの好ましい実施形態において、1nm〜100nmにあり、別の好ましい実施形態において、100nm〜500nmにあり、別の好ましい実施形態において、500nm〜1000nmにあり、別の好ましい実施形態において、1μm(すなわち、100nm)〜2μmにあり、別の好ましい実施形態において、2μm〜3μmにあり、別の好ましい実施形態において、3μm〜5μmにあり、別の好ましい実施形態において、5μm〜10μmにあり、別の好ましい実施形態において、10μm〜50μmにあり、別の好ましい実施形態において、50μm〜100μmにある。
【0349】
いくつかの実施形態において、スペーサ高さ及び/又は試料厚さは、(i)分析物の最小寸法に等しいか又はやや大きいか、又は(ii)分析物の最大寸法に等しいか又はやや大きい。「やや大きい」は、それより約1%〜5%大きく、2つの値の間の任意の数であることを意味する。
【0350】
いくつかの実施形態において、スペーサ高さ及び/又は試料厚さは、分析物(例えば、異向性形状を有する分析物)の最小寸法よりも大きいが、分析物の最大寸法よりも小さい。
【0351】
例えば、赤血球は、最小寸法が2μm(ディスク厚さ)で、最大寸法が11μm(ディスク直径)であるディスク形状を有する。本発明のある実施形態において、スペーサは、関連領域内にあるプレートの内表面間隔を、1つの実施形態において2μm(最小寸法に等しい)にして、別の実施形態において2.2μmにするか、又は別の実施形態において3μm(最小寸法よりも50%大きい)にするが、赤血球の最大寸法よりも小さくするように選択される。このような実施形態は、赤血球の計数において、一定の利点を有する。1つの実施形態において、赤血球の計数のために、内表面間隔を、2μm又は3μmにして、2つの値の間の任意の数値にすることにより、希釈されていない全血試料を間隔内に平均に限定し、各赤血球(RBC)を他の赤血球と重複せず、それにより視覚的に赤血球を正確に計数することができる。(RBCの間に多く重なりがあると、深刻な計数誤差をもたらす可能性がある)。
【0352】
いくつかの実施形態において、本発明は、プレート及びスペーサを用いて、試料厚さだけでなく、プレートが閉鎖構成にある時の試料中の分析物/実体の配向及び/又は表面密度も調節する。プレートが閉鎖構成にある時に、試料の薄い厚さにより、表面積当たりの分析物/実体が少なくなる(すなわち、小さい表面濃度)。
【0353】
スペーサ横方向寸法 開放スペーサの場合、横方向寸法は、xとyという2つの直交方向におけるその横方向寸法(幅と呼ばれる場合もある)によって特徴付けられる。スペーサの各方向における横方向寸法は、同じであるか、又は異なる。いくつかの実施形態において、各方向(x又はy)における横方向寸法は…。
【0354】
いくつかの実施形態において、y方向に対するx方向の横方向寸法の比は、1、1.5、2、5、10、100、500、1000、10000であるか、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。いくつかの実施形態において、試料の流れ方向を調節するために、異なる比が使用され、比が大きいほど、流れが1つの方向(より大きな寸法方向)に沿う。
【0355】
いくつかの実施形態において、x方向とy方向におけるスペーサの異なる横方向寸法は、(a)スペーサをプレートの方向を示すためのスケールマーカーとして使用し、(b)スペーサを使用して、好ましい流れ方向におけるより多くの試料を作るか、又は両方とも達成するように使用される。
【0356】
ある好ましい実施形態において、周期、幅及び高さ。
【0357】
いくつかの実施形態において、全てのスペーサは、同じ形状及び寸法を有する。いくつかの実施形態において、各スペーサは、異なる横方向寸法を有する。
【0358】
密閉スペーサの場合、いくつかの実施形態において、内部の横方向形状及び寸法は、密閉スペーサによって密閉される試料の総体積に応じて選択され、体積寸法は、本開示において既に説明され、特定の実施形態において、外部の横方向形状及び寸法は、スペーサに対する液体の押圧力とプレートを押圧する押圧力とをサポートするために必要な強度に応じて選択される。
【0359】
柱状スペーサの高さと平均横方向寸法とのアスペクト比
特定の実施形態において、柱状スペーサの高さと平均横方向寸法とのアスペクト比は、100000、10000、1000、100、10、1、0.1、0.01、0.001、0.0001、0.00001であるか、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0360】
スペーサ高さの精度 スペーサ高さの精度を、正確に制御すべきである。スペーサの相対的な精度(すなわち、所望のスペーサ高さに対する偏差の比)は、0.001%以下、0.01%以下、0.1%以下、0.5%以下、1%以下、2%以下、5%以下、8%以下、10%以下、15%以下、20%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、80%以下、90%以下、99.9%以下であるか、又はこれらの任意の数値の間の範囲である。
【0361】
スペーサ間距離 スペーサは、プレート上又は試料の関連領域における、1つのスペーサであるか又は複数のスペーサであってもよい。いくつかの実施形態において、プレート上のスペーサは、アレイ形態で配置され及び/又は配列され、該アレイは周期的、非周期的アレイであるか、又はプレートのいくつかの位置で周期的であるが、他の位置で非周期的である。
【0362】
いくつかの実施形態において、スペーサの周期的アレイは、正方形、矩形、三角形、六角形、多角形又はその任意の組み合わせの格子を有し、そのうち該組み合わせは、プレートの異なる位置に異なるスペーサ格子を有することを意味する。
【0363】
いくつかの実施形態において、スペーサアレイのスペーサ間距離は、アレイの少なくとも1つの方向において周期的である(すなわち、スペーサ間距離が均一的である)。いくつかの実施形態において、スペーサ間距離は、閉鎖構成でのプレート間隔の間の均一性を改善するように構成される。
【0364】
隣接するスペーサ間距離(すなわち、スペーサ間距離)は1μm以下、5μm以下、10μm以下、20μm以下、30μm以下、40μm以下、50μm以下、60μm以下、70μm以下、80μm以下、90μm以下、100μm以下、200μm以下、300μm以下、400μm以下であるか、又はこれらの値のいずれか2つの値の間の範囲である。
【0365】
特定の実施形態において、スペーサ間距離は400以下、500以下、1mm以下、2mm以下、3mm以下、5mm以下、7mm以下、10mm以下であるか、又はこれらの値の間の任意の範囲である。特定の実施形態において、スペーサ間距離は10mm以下、20mm以下、30mm以下、50mm以下、70mm以下、100mm以下であるか、又はこれらの値の間の任意の範囲である。
【0366】
隣接するスペーサ間距離(すなわち、スペーサ間距離)は、プレート及び試料の所定の特性にとって、プレートの閉鎖構成で、隣接する2つのスペーサの間の試料厚さの変化が、いくつかの実施形態において、最大0.5%、1%、5%、10%、20%、30%、50%、80%、又はこれらの値の間の任意の範囲であり、あるいは特定の実施形態において、最大80%、100%、200%、400%、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲であるように、選択される。
【0367】
明らかに、隣接する2つのスペーサの間の所定の試料厚さの変化を維持するために、より近いスペーサ間距離は、可撓性のより高いプレートが使用される時に、必要とされる。
【0369】
ある好ましい実施形態において、スペーサは周期的な正方形アレイであり、スペーサは、高さが2μm〜4μmで、平均横方向寸法が5μm〜20μmで、スペーサ間の間隔が1μm〜100μmである、柱である。
【0370】
ある好ましい実施形態において、スペーサは周期的な正方形アレイであり、スペーサは、高さが2μm〜4μmで、平均横方向寸法が5μm〜20μmで、スペーサ間の間隔が100μm〜250μmである、柱である。
【0371】
ある好ましい実施形態において、スペーサは周期的な正方形アレイであり、スペーサは、高さが4μm〜50μmで、平均横方向寸法が5μm〜20μmで、スペーサ間の間隔が1μm〜100μmである、柱である。
【0372】
ある好ましい実施形態において、スペーサは周期的な正方形アレイであり、スペーサは、高さが4μm〜50μmで、平均横方向寸法が5μm〜20μmで、スペーサ間の間隔が100μm〜250μmである、柱である。
【0373】
スペーサアレイの周期は、1つの好ましい実施形態において、1nm〜100nmにあり、別の好ましい実施形態において、100nm〜500nmにあり、別の好ましい実施形態において、500nm〜1000nmにあり、別の好ましい実施形態において、1μm(すなわち、1000nm)〜2μmにあり、別の好ましい実施形態において、2μm〜3μmにあり、別の好ましい実施形態において、3μm〜5μmにあり、別の好ましい実施形態において、5μm〜10μmにあり、別の好ましい実施形態において、10μm〜50μmにあり、別の好ましい実施形態において、50μm〜100μmにあり、別の好ましい実施形態において、100μm〜175μmにあり、別の好ましい実施形態において、175μm〜300μmにある。
【0374】
スペーサ密度 スペーサは、1個/μm
2よりも大きく、1個/10μm
2よりも大きく、1個/100μm
2よりも大きく、1個/500μm
2よりも大きく、1個/1000μm
2よりも大きく、1個/5000μm
2よりも大きく、1個/0.01mm
2よりも大きく、1個/0.1mm
2よりも大きく、1個/1mm
2よりも大きく、1個/5mm
2よりも大きく、1個/10mm
2よりも大きく、1個/100mm
2よりも大きく、1個/1000mm
2よりも大きく、1個/10000mm
2よりも大きいか、又はこれらの値のいずれか2つの間の任意の範囲である表面密度で、それぞれのプレート上に配列される。
【0375】
(3)スペーサは、所定の試料面積(体積)内に明らかな表面積(体積)を占用しないように構成される。
【0376】
スペーサ体積と試料体積との比 いくつかの実施形態において、特定の利点を達成するために、スペーサ体積(すなわち、スペーサの体積)と試料体積(すなわち、試料の体積)との比、及び/又は試料の関連体積内にあるスペーサ体積と試料の関連体積との比が制御される。該利点は、試料厚さ制御の均一性、分析物の均一性、試料流れ特性(すなわち、流速、流れ方向等)を含むが、それらに限定されない。
【0377】
特定の実施形態において、スペーサ体積rと試料体積との比、及び/又は試料の関連体積の内部にあるスペーサの体積と試料の関連体積との比は、100%未満、最大99%、最大70%、最大50%、最大30%、最大10%、最大5%、最大3%、最大1%、最大0.1%、最大0.01%、最大0.001%、又は任意の値の間の範囲である。
【0378】
プレートに固定されたスペーサ 本発明において、重要な役割を果たすスペーサ間距離及び配向は、好ましくは、スペーサを開放構成から閉鎖構成にするプロセスにおいて保持され、及び/又は好ましくは、開放構成から閉鎖構成にするプロセスの前に予め決定される。
【0379】
本発明のいくつかの実施形態は、プレートを閉鎖構成にする前に、スペーサが1枚のプレートに固定されることである。用語「スペーサがそのそれぞれのプレートに固定される」ということは、スペーサがプレート上に取り付けられ、かつプレートの使用中にその取り付けが維持されることを意味する。「スペーサがそのそれぞれのプレートに固定される」の一実施例は、スペーサが1枚のプレート材料でモノリシックに作られ、かつプレート表面に対するスペーサの位置が変化しないことである。「スペーサがそのそれぞれのプレートに固定されない」の一実施例は、スペーサが接着剤によりプレートに接着されるが、プレートの使用中に、接着剤がスペーサをプレート表面上の元の位置に維持しない(すなわち、スペーサがプレート表面上の元の位置から離れる)ことである。
【0380】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのスペーサは、その対応するプレートに固定される。特定の実施形態では、2つのスペーサはそのそれぞれのプレートに固定され、特定の実施形態では、スペーサの大部分はそのそれぞれのプレートに固定され、特定の実施形態では、すべてのスペーサは、そのそれぞれのプレートに固定される。
【0381】
いくつかの実施形態において、スペーサは、全体としてその対応するプレートに固定される。
【0382】
いくつかの実施形態において、スペーサは、取り付け、貼り合わせ、融合、インプリント、エッチングという方法及び/又は形態のうちの1種又はそれらの任意の組み合わせにより、その対応するプレートに固定される。
【0383】
用語「インプリント」とは、プレート表面にスペーサを形成するために、1つの材料をインプリント(すなわち、エンボス加工)することにより、スペーサとプレートとを一体的に固定することを指す。材料は、単層材料であるか、又は多層材料であってもよい。
【0384】
用語「エッチング」とは、プレート表面にスペーサを形成するために、1つの材料をエッチングすることにより、スペーサとプレートとを一体的に固定することを指す。材料は、単層材料であるか、又は多層材料であってもよい。
【0385】
用語「融合」とは、スペーサとプレートとを一体的に付着させることにより、スペーサとプレートとを一体的に取り付け、スペーサとプレートとの原材料が互いに融合し、かつ融合した後の2つの材料の間に明らかな材料境界が存在することを指す。
【0386】
用語「貼り合わせ」とは、接着でスペーサとプレートとを一体的に結合することにより、スペーサとプレートとを一体的に固定することを指す。
【0387】
用語「取り付ける」とは、スペーサとプレートとを一体的に接続することを指す。
【0388】
いくつかの実施形態において、スペーサとプレートは、同じ材料で製造される。別の実施形態において、スペーサとプレートは、異なる材料で製造される。別の実施形態において、スペーサとプレートとは、一体的に形成される。別の実施形態において、スペーサの一端は、その対応するプレート上に固定され、端部が開放され、2つのプレートの異なる構成を収容するために用いられる。
【0389】
別の実施形態において、各スペーサは、取り付け、接合、融合、インプリント、エッチングのうちの少なくとも1種の方法で対応するプレートに独立して接続される。用語「独立して」とは、1つのスペーサを、対応するプレートに取り付け、接合し、融合し、インプリントし、エッチングする方法から選択された同じであるか、又は異なる方法で、その対応するプレートに固定することを指す。
【0390】
いくつかの実施形態において、少なくとも2つのスペーサの間の少なくともある距離が予め決定される(「所定のスペーサ間距離」とは、ユーザがプレートを使用する時に、該距離が既知であることを指す)。
【0391】
本明細書に記載の全ての方法及び装置に係るいくつかの実施形態において、固定スペーサの他、追加的なスペーサもある。
【0392】
特定の試料厚さ 本発明において、小さなプレート間隔(所定の試料領域に対する)又は大きな試料領域(所定のプレート間隔に対する)、又は両者ともにより、大きなプレート保持力(すなわち、2つのプレートを一体的に保持する力)を得ることができることは観察された。
【0393】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプレートは、関連領域を包囲する領域において透明的であり、各プレートは、閉鎖構成において試料に接触し、閉鎖構成において、プレートの内表面が実質的に互いに平行であり、スペーサを有する位置の他に、プレートの内表面が実質的に平面であるように構成されるか、又は任意に組み合わせられる内表面を有する。
【0394】
2.4 最終的な試料厚さ及び均一性
いくつか実施形態において、著しく平坦であることは、最終的な試料厚さに関して決定され、実施形態及び応用に応じて、それと試料厚さとの比は、0.1%より小さく、0.5%より小さく、1%より小さく、2%より小さく、5%より小さいか、又は10%より小さいか、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0395】
いくつかの実施形態において、試料厚さに対する平坦度は、0.1%より小さく、0.5%より小さく、1%より小さく、2%より小さく、5%より小さく、10%より小さく、20%より小さく、50%より小さいか、又は100%より小さいか、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲であってもよい。
【0396】
いくつかの実施形態において、著しく平坦であることは、表面平坦度の変化自体(平均厚さから測定される)が0.1%より小さく、0.5%より小さく、1%より小さく、2%より小さく、5%より小さいか、又は10%より小さいか、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲であることを指す。一般的には、試料厚さに対する平坦度は、0.1%より小さく、0.5%より小さく、1%より小さく、2%より小さく、5%より小さく、10%より小さく、20%より小さく、50%より小さいか、又は100%より小さいか、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲であってもよい。
【0397】
2.5 スペーサの製造方法
スペーサは、石版刷り、エッチング、エンボス加工(ナノインプリント)、堆積、リフトオフ、融合又はそれらの組み合わせを使用して、プレートに様々な方法で製造することができる。いくつかの実施形態において、スペーサは、プレートに直接的にエンボス加工されるか又はインプリントされる。いくつかの実施形態において、スペーサは、プレートに堆積された材料(例えば、プラスチック)内にインプリントされる。特定の実施形態において、スペーサは、CROFプレートの表面を直接的にインプリントすることにより、製造される。ナノインプリントは、ローラインプリンタを使用するロール・ツー・ロール技術、又は平面ナノインプリントに巻き取ることによって行うことができる。このようなプロセスは、優れた経済上の利点を有するため、コストが低下する。
【0398】
いくつかの実施形態において、スペーサは、プレートに堆積される。該堆積は、蒸発、貼り付け又はリフトオフであってもよい。貼り付ける時に、まず、スペーサをキャリアに製造し、次にスペーサをキャリアからプレートに移す。リフトオフする時に、まずプレートに除去可能な材料を堆積し、かつ該材料内に孔を形成させ、孔底部がプレート表面を露出させる。次にスペーサ材料を孔内に堆積し、その後に除去可能な材料を除去し、スペーサのみをプレート表面に残す。いくつかの実施形態において、プレートに堆積されたスペーサはプレートと融合される。いくつかの実施形態において、スペーサとプレートは、同じプロセスにおいて製造される。該同じプロセスは、インプリント(すなわち、エンボス加工、鋳型成形)又は合成を含む。
【0399】
いくつかの実施形態において、少なくとも2つのスペーサは、異なる方法でその対応するプレートに固定され、任意で、該異なる方法は、堆積、貼り合わせ、融合、インプリント及びエッチングの少なくとも1種を含む。
【0400】
いくつかの実施形態において、1つ以上のスペーサは、貼り合わせ、融合、インプリント又はエッチング又はそれらの任意の組み合わせの製造方法によって、対応するプレートに固定される。
【0401】
いくつかの実施形態において、プレートにこのような一体的なスペーサを形成するための製造方法は、貼り合わせ、融合、インプリント、エッチング又はそれらの任意の組み合わせの方法を含む。
【0402】
2.6 スケールマーカー
用語「スケールマーカー」は、関連領域及び/又は試料の相対体積への定量化(すなわち、寸法測定)又は制御を補助することができるスケールマーカーを指す。いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、第1のプレート又は第2のプレート、両方のプレート、プレートの1つの表面、プレートの両方の表面、プレートの間、プレートの付近に位置するか、又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、第1のプレート又は第2のプレート、両方のプレート、プレートの1つの表面、プレートの両方の表面、プレートの間、プレートの付近に固定されるか、又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、第1のプレート又は第2のプレート、両方のプレート、プレートの1つの表面、プレートの両方の表面、プレートの間、プレートの付近に堆積されるか、又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、いくつかのスペーサは固定され、いくつかのスペーサは堆積される。
【0403】
いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、エッチングされたスケールマーカー、堆積された材料又は印刷された材料であり、特定の実施形態において、該材料は、光吸収、光反射、光放出、又はそれらの任意の組み合わせの材料である。
【0404】
いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、既知の寸法及び/又は既知の間隔距離を有する1つ以上の物体である。物体の実施例は、矩形、円柱形又は円形を含むが、これに限定されない。
【0405】
いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、ナノメートル(nm)、ミクロン(μm)又はミリメートル(mm)、又は他の寸法範囲内の寸法を有する。
【0406】
いくつかの実施形態において、スケールマーカーは定規であり、それが物体の寸法を測定するように構成されたスケールマーカーを有する。いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、ナノメートル(nm)、ミクロン(μm)又はミリメートル(mm)、又は他の寸法範囲内にある。いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、エッチングされたスケールマーカー、堆積された材料又は印刷された材料であり、いくつかの実施形態において、スケールマーカーの材料は、光吸収、光反射、光散乱、光干渉、光回折、光放出、又はそれらの任意の組み合わせの材料である。
【0407】
いくつかの実施形態において、前記マーカーは、スペーサであり、それは「試料厚さを調節する」及び「スケールマーキング及び/又は寸法測定を提供する」という二重機能を有する。
【0408】
例えば、既知の寸法を有する矩形スペーサ又は既知の間隔を有する2つのスペーサを使用して、スペーサの周囲の試料に関する寸法を測定することができる。計測された試料寸法によって、試料の関連体積の体積を算出することができる。
【0409】
いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、試料の関連体積の境界を部分的に定義するように構成される。
【0410】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのスケールマーカーは、試料の関連体積の横方向領域の平面と平行である既知の寸法を有するように構成される。
【0411】
いくつかの実施形態において、少なくとも1対のスケールマーカーは横方向領域の平面と平行である既知の距離によって分けられる。
【0412】
いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、光学的検出に用いられるように構成される。
【0413】
いくつかの実施形態において、各スケールマーカーは、光吸収、光反射、光散乱、光回折及び光放出のうちの少なくとも1つの機能を独立して有する。
【0414】
いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、既知の横方向間隔を有する規則的なアレイに配列される。
【0415】
いくつかの実施形態において、各スケールマーカーは、正方形、矩形、多角形及び円形のうちの少なくとも1つの横方向輪郭を独立して有する。
【0416】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのスケールマーカーは、1つのプレートに取り付けられ、貼り合わせされ、融合され、インプリントされ、エッチングされる。
【0417】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのスケールマーカーは、1つのスペーサである。
【0418】
いくつかの実施形態において、いくつかのスペーサは、試料の関連体積を定量化するために、さらにスケールマーカーの役割を果たす。
【0419】
特定の実施形態において、(分析物を固定化するための)結合部位、貯蔵部位等は、スケールマーカーとして使用される。一つの実施形態において、既知の横方向寸法を有する部位は、既知の横方向寸法を再現する検出可能な信号を生成する光と相互作用し、それによりスケールマーカーを提供する。
【0420】
他の実施形態において、部位の寸法は、CROFプロセスの前に予め決定され、プレートが閉鎖構成にある時に、該部位に位置した試料部分の厚さは、該部位の横方向の平均寸法よりも顕著に小さく、その後、インキュベーション時間を制御することにより、インキュベーション後に、(1)、結合部位に結合された大部分の分析物/実体は結合部位の頂部の試料体積から由来し;あるいは(2)大部分の結合部位の頂部の試料体積に混合(拡散)された試薬は貯蔵部位から由来し、これらの場合では、結合又は試薬混合に対する試薬の関連体積は、所定の部位面積に該部位における試料の厚さをかけることにほぼ等しい。それについて主な理由は、所定のインキュベーション時間に対して、関連体積外の試料体積中の分析物/実体が結合部位に拡散する十分な時間がないか、又は貯蔵部位上の試薬が関連体積外の試料体積に拡散する十分な時間がないことである。
【0421】
既知の寸法を有する部位を使用しインキュベーション時間を制限することにより、関連面積及び体積を測定及び/又は制御する方法を説明する一例において、アッセイは、CROFプロセスでの第1のプレート(その表面は結合部位よりも大きい)に、1000μm×1000μmの結合部位(すなわち捕捉剤を含有する領域)を有し、プレートの閉鎖構成で、分析物を含有する試料は結合部位の上方に位置し、該試料は約20μmの厚さ(結合部位の領域内)及び結合部位よりも大きな面積を有し、これは、ターゲット分析物/実体の試料厚さでの拡散時間と等しい時間インキュベートされる。この場合、結合部位に結合された大部分の分析物/実体は、結合部位の頂部の試料体積から由来し、1000μm×1000μm×20μm=0.02pであり、その理由は、結合部位から20μm離れた試料部分における分析物が結合部位に拡散する時間がない(統計的に)からである。この場合、信号は、結合部位により捕捉された分析物/実体に起因して、信号がインキュベーション後に計測されると、関連領域及び関連体積の情報(結合部位により提供される)に基づいて、試料の関連領域及び関連体積での分析物/実体の濃度を決定することができる。分析物の濃度は、結合部位が捕捉した分析物の量を関連体積で割ることにより、定量化される。
【0422】
いくつかの実施形態において、関連体積は、結合部位面積と試料厚さとの乗算にほぼ等しく、試料中の標的分析物の濃度は、結合部位が捕捉した分析物の量を関連試料体積で割る結果にほぼ等しい。結合部位寸法と試料厚さとの比が大きければ大きいほど、標的分析物体積の定量化方法の精度は高い(インキュベーション時間は、試料中の標的分析物が約試料厚さの距離まで拡散することに必要な時間であると仮定する)。
【0423】
CROFにおける広げる時間 本発明において、2つのプレートにより試料を広げるすべての段落の方法及び装置において、閉鎖構成で試料を最終厚さまで広げることに必要な時間は、0.001秒以下、0.01秒、0.1秒、1秒、5秒、10秒、20秒、30秒、60秒、90秒、100秒、150秒、200秒、300秒、500秒、1000秒又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0424】
2つのプレートにより試料を展開するすべての段落の方法及び装置では、ある好ましい実施形態において、閉鎖構成で試料を最終厚さまで展開することに必要な時間は、0.001秒以下、0.01秒、0.1秒、1秒、3秒、5秒、10秒、20秒、30秒、60秒、90秒、100秒、150秒又はこれらの任意の2つの値の間の範囲である。
【0425】
2つのプレートにより試料を展開するすべての段落の方法及び装置で、ある好ましい実施形態において、閉鎖構成で試料を最終厚さまで広げることに必要な時間は、0.001秒以下、0.01秒、0.1秒、1秒、3秒、5秒、10秒、20秒、30秒、60秒、90秒又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0426】
2つのプレートにより試料を展開するすべての段落の方法及び装置で、ある好ましい実施形態において、閉鎖構成で試料を最終厚さまで広げることに必要な時間は、0.001秒以下、0.01秒、0.1秒、1秒、3秒、5秒、10秒、20秒、30秒又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0427】
2つのプレートにより試料を展開するすべての段落の方法及び装置で、ある好ましい実施形態において、閉鎖構成で試料を最終厚さまで広げることに必要な時間は、0.001秒以下、0.01秒、0.1秒、1秒、3秒、5秒、10秒又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0428】
2つのプレートにより試料を展開するすべての段落の方法及び装置では、ある好ましい実施形態において、閉鎖構成で試料を最終厚さまで展開することに必要な時間は、0.001秒以下、0.01秒、0.1秒、1秒、3秒又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0429】
セクション3に記載された実施形態及びそれらの任意の組み合わせは、本発明の説明全体において他の実施形態に適用される(すなわちそれらと組み合わせられる)。
【0430】
一つの好ましい実施形態において、スペーサは、金型を用いて薄いプラスチックフィルムを圧印する(例えば、ナノインプリント)ことにより、X−プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造される。
【0431】
一つの好ましい実施形態において、スペーサは、金型を用いて薄いプラスチックフィルムを圧印する(例えば、ナノインプリント)ことにより、X−プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、X−プレートの厚さは、50μm〜500μmである。
【0432】
一つの好ましい実施形態において、スペーサは、金型を用いて薄いプラスチックフィルムを圧印する(例えば、ナノインプリント)ことにより、X−プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、X−プレートの厚さは、50μm〜250μmである。
【0433】
一つの好ましい実施形態において、スペーサは、X−プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、X−プレートの厚さは、50μm〜500μmである。
【0434】
一つの好ましい実施形態において、スペーサは、金型及び薄いプラスチックフィルムを用いることにより、X−プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、X−プレートの厚さは、50μm〜250μmである。
【0435】
一つの好ましい実施形態において、スペーサは、金型を用いて薄いプラスチックフィルムを圧印する(例えば、ナノインプリント)ことにより、X−プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、該プラスチックフィルムは、PMMA(ポリメチルメタクリレート)又はPS(ポリスチレン)である。
【0436】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは、金型を用いて薄いプラスチックフィルムを圧印する(例えば、ナノインプリント)ことにより、X−プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、該プラスチックフィルムは、PMMA(ポリメチルメタクリレート)又はPS(ポリスチレン)であり、X−プレートの厚さは、50μm〜500μmである。
【0437】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは、金型を用いて薄いプラスチックフィルムを圧印する(例えば、ナノインプリント)ことにより、X−プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、該プラスチックフィルムは、PMMA(ポリメチルメタクリレート)又はPS(ポリスチレン)であり、X−プレートの厚さは、50μm〜250μmである。
【0438】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは、金型を用いて薄いプラスチックフィルムを圧印する(例えば、ナノインプリント)ことにより、X−プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、該プラスチックフィルムは、PMMA(ポリメチルメタクリレート)又はPS(ポリスチレン)であり、スペーサは、正方形又は長方形の形状を有し、同じスペーサ高さを有する。
【0439】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは、正方形又は長方形の形状を有する(丸い角を有するか又は丸い角を有しない)。
【0440】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは、正方形又は長方形の柱を有し、柱の幅(各横方向でのスペーサの幅)は1μm〜200μmにあり、柱の周期(すなわち、スペーサ周期)は2μm〜2000μmにあり、柱の高さ(すなわち、スペーサの高さ)は1μm〜100μmにある。
【0441】
1つの好ましい実施形態において、PMMA又はPSで製造されたスペーサは、正方形又は長方形の柱を有し、柱の幅(各横方向でのスペーサの幅)は1μm〜200μmにあり、柱の周期(すなわち、スペーサ周期)は2μm〜2000μmにあり、柱の高さ(すなわち、スペーサの高さ)は1μm〜100μmにある。
【0442】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは、Xプレートに一体的に製造され、かつプラスチック材料で製造され、前記スペーサは正方形又は長方形の柱を有し、柱の幅(各横方向でのスペーサの幅)は1μm〜200μmにあり、柱の周期(すなわち、スペーサ周期)は2μm〜2000μmにあり、柱の高さ(すなわち、スペーサの高さ)は1μm〜100μmにある。
【0443】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは、Xプレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、前記スペーサは正方形又は長方形の柱を有し、柱の幅(各横方向でのスペーサの幅)は1μm〜200μmにあり、柱の周期(すなわち、スペーサ周期)は2μm〜2000μmにあり、柱の高さ(すなわち、スペーサの高さ)は1μm〜10μmにある。
【0444】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは、Xプレートに一体的に製造され、かつPS又はPMMA又は他のプラスチックから選択される同じ材料で製造され、前記スペーサは正方形又は長方形の柱を有し、柱の幅(各横方向でのスペーサの幅)は1μm〜200μmにあり、柱の周期(すなわち、スペーサ周期)は2μm〜2000μmにあり、柱の高さ(すなわち、スペーサの高さ)は10μm〜50μmにある。
【0445】
CROF装置の1つの好ましい実施形態において、一方のプレートは、Xプレートであり、他方のプレートは、平面薄膜であり、少なくとも1つのプレートの厚さは10μm〜250μmにあり、スペーサはXプレートに固定され、プレートとスペーサの材料は同じであってもよく異なってもよく、かつプレートとスペーサはPMMA(ポリメチルメタクリレート)、PS(ポリスチレン)又はPMMA若しくはPSと類似した機械的特性を有する材料で製造される。
【0446】
CROF装置の1つの好ましい実施形態において、一方のプレートは、Xプレートであり、他方のプレートは、平面薄膜であり、少なくとも1つのプレートの厚さは250μm〜500μmにあり、スペーサはXプレートに固定され、プレートとスペーサの材料は同じであってもよく異なってもよく、かつプレートとスペーサはPMMA(ポリメチルメタクリレート)、PS(ポリスチレン)又はPMMA若しくはPSと類似した機械的特性を有する材料で製造される。
【0447】
CROF装置の1つの好ましい実施形態において、1つのプレートは、Xプレートであり、他のプレートは、平面薄膜であり、少なくとも1つのプレートの厚さは10μm〜250μmにあり、スペーサはXプレートに固定され、スペーサは正方形又は長方形の柱のアレイであり、柱の幅(各横方向でのスペーサの幅)は1μm〜200μmにあり、柱の周期(すなわち、スペーサ周期)は2μm〜2000μmにあり、柱の高さ(すなわち、スペーサの高さ)は1μm〜100μmにあり、プレートとスペーサの材料は同じであってもよく異なってもよく、かつプレートとスペーサはPMMA(ポリメチルメタクリレート)、PS(ポリスチレン)又はPMMA又はPSと類似した機械的特性を有する材料で製造される。
【0448】
以上の段落における「類似」は、機械的特性の差異が60%以内にあることを指す。
【0449】
保護リング いくつかの実施形態において、試料がプレート表面から流出することを防止する保護リングを有する。保護リングのいくつかの実施形態において、それが試料領域を中心として封止された壁である。壁の高さは、スペーサの高さと等しいか又はそれと等しくない。壁は、試料計測領域から離れてもよい。
【0450】
CROFプロセスにおける可動プレートは、ヒンジ、ステージ、又はプレートを開放構成と閉鎖構成との間に変換するように構成されるいくつかの他の位置決めシステムを含み及び/又はそれに結合することができる。少なくとも1つの継手及び/又は少なくとも1つのプレートの柔軟性が、前記開放と閉鎖構成を実現することに十分であるという条件出、プレート間の空間に入るための開口部を残す(例えば、試料を挿入及び/又は除去する)方法で、可動プレートは1つ以上の継手と結合することができる。膜ポンプは、可動プレートと考えられない。
【0451】
3.分析物、実体、結合部位、貯蔵部位
本発明において、実体はタンパク質、アミノ酸、核酸、脂質、炭水化物、代謝産物、細胞又はナノ粒子のうちの一種を含むがそれらに限定されることはない。
【0452】
いくつかの実施形態において、結合部位は実体に結合するように構成された結合パートナーを含む。
【0453】
いくつかの実施形態において、結合部位は該結合部位に結合された実体を含む。いくつかの実施形態において、試料の配置は試料を結合部位内に配置することを含む。
【0454】
いくつかの実施形態において、試薬はタンパク質、アミノ酸、核酸、脂質、炭水化物及び代謝産物のうちの少なくとも一種を含む。
【0455】
特定の実施形態において、貯蔵部位は乾燥試薬を含む。
【0456】
いくつかの実施形態において、貯蔵部位は試料と接触すると貯蔵部位から放出されるように構成された試薬を含む。
【0457】
いくつかの実施形態において、第1の貯蔵部位及び第2の貯蔵部位はある共同の貯蔵部位中に位置する。
【0458】
いくつかの実施形態において、搬送媒体は試料である。いくつかの実施形態において、搬送媒体は液体であり、ここで試薬又は実体は該液体に溶解しかつ拡散できる。
【0459】
いくつかの実施形態において、プレートは複数の貯蔵部位を有する。別の実施形態において、一つの貯蔵部位は様々な試薬を有する。
【0460】
異なる放出時間 いくつかの実施形態において、プレートはプレートの異なる位置に複数の貯蔵部位を有するか又は一つの貯蔵部位に複数の試薬を保存し、試薬は貯蔵部位に試料と接触すると放出され、しかし同じ貯蔵部位の異なる試薬又は異なる貯蔵部位の試薬は異なる時間に放出される。
【0461】
いくつかの実施形態において、第1の試薬は試料と接触すると第1の平均放出時間内に第1の貯蔵部位から放出されるように配置され、第2の試薬は試料と接触すると第2の平均放出時間内に第2の貯蔵部位から放出されるように配置され、ここで第1の平均放出時間は第2の平均放出時間より小さい。
【0462】
いくつかの実施形態において、第1の試薬は試料と接触すると第1の貯蔵部位から放出されるように配置され、ここで第2の試薬は結合試薬である。
【0463】
いくつかの実施形態において、付着は、少なくとも一種の試薬を対応するプレートに結合することを含む。
【0464】
いくつかの実施形態において、接触は、少なくとも一種の試薬を対応するプレートから放出することを含む。
【0465】
いくつかの実施形態において、付着は、第1の試薬及び第2の試薬を付着させることを含み、ここで接触は第2の試薬の前に第1の試薬を放出することを含む。
【0466】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプレートは貯蔵部位を含み、該貯蔵部位は試料の関連体積に添加される試薬を含む。
【0467】
いくつかの実施形態において、試薬はタンパク質、アミノ酸、核酸、脂質、炭水化物及び代謝産物のうちの少なくとも1種を含む。
【0468】
いくつかの実施形態において、貯蔵部位は乾燥試薬を含む。
【0469】
いくつかの実施形態において、貯蔵部位は試料と接触すると貯蔵部位から放出されるように構成された試薬を含む。
【0470】
いくつかの実施形態において、貯蔵部位は第1の貯蔵部位であり、かつ試薬は第1の試薬であり、ここで装置は第2の貯蔵部位を含み、それは試料の関連体積に添加される第2の試薬を含み、ここで第2の貯蔵部位はプレートの一つに位置する。
【0471】
いくつかの実施形態において、第1の貯蔵部位及び第2の貯蔵部位は1つの共同の貯蔵部位中に位置する。
【0472】
いくつかの実施形態において、第1の試薬は試料と接触すると第1の平均放出時間内に第1の貯蔵部位から放出されるように配置され、第2の試薬は試料と接触すると第2の平均放出時間内に第2の貯蔵部位から放出されるように配置され、第1の平均放出時間は第2の平均放出時間より小さい。
【0473】
いくつかの実施形態において、少なくとも一種の試薬は対応するプレートに乾燥される。
【0474】
キットのいくつかの実施形態において、少なくとも一種の試薬は対応するプレートに結合される。
【0475】
キットのいくつかの実施形態において、少なくとも一種の試薬は試料と接触すると対応するプレートから放出されるように配置される。
【0476】
キットのいくつかの実施形態において、第1の試薬はプレートのうちの1つ又は両方に位置し、第2の試薬はプレートのうちの1つ又は両方に位置し、第1の試薬は試料と接触すると第1の平均放出時間内にそれぞれのプレートから放出されるように構成され、第2の試薬は試料と接触すると第二平均放出時間内にそれぞれのプレートから放出されるように構成され、第1の平均放出時間は第2の平均放出時間より短い。
【0477】
装置のいくつかの実施形態において、貯蔵部位は第1の貯蔵部位であり、かつ試薬は第1の試薬であり、装置は第2の貯蔵部位を含み、それは試料の関連体積に添加される第2の試薬を含み、第2の貯蔵部位はプレートの1つに位置する。
【0478】
4 一部の試料内の局所的結合又は混合(P)
いくつかの応用において、試料全体中の分析物ではなく、一部の試料中の分析物のみを捕捉(結合)する結合部位を有することが望ましい。場合によっては、試薬が試料全体に添加されず、一部の試料に添加(すなわち、混合)されることが望ましい。一般的には試料の一部と試料のほかの部分との間に流体的分離がないことが望ましい。特定の多重検出において、このような要求は好ましいか又は必要である。
【0479】
本発明はCROF方法及び装置を使用することにより試料を厚さが試料の一部の横方向寸法より小さい超薄膜に再形成し、それにより上記要件に解決手段を提供し、ここで試料の一部の内部の分析物のみが捕捉され、又は該一部の試料のみが試薬と混合される。このようなアプローチの作業原理は以下のとおりである:試料厚さが一部の試料の横方向寸法より小さい時に、表面による分析物の捕捉又は表面上に配置された試薬の混合は主に分析物及び試薬の厚さ方向における拡散により制限され、水平拡散の拡散は比較的顕著ではない。例えば、試料を厚さ5μmの薄膜に再形成し、試料中の捕捉する必要がある分析物の一部又は混合する必要がある試薬が5mm×5mmの横寸法を有し、かつ分析物又は試薬の5μmにわたる拡散時間が10秒であれば、分析物又は試薬の5mm距離にわたる水平拡散は1000000秒(拡散時間は拡散距離の平方と正比例を成すため)である。これは、試料の関心のある部分の横寸法と試料厚さとの適切な比率を選択することにより、一定の時間間隔内において、捕捉される分析物が主に関心のある試料の一部から由来するか、又は試薬が主に関心のある試料の一部に混合されることを意味している。
【0480】
4.1 試料の一部中の実体と表面との局所的結合(P:体積から表面へ)
P1. 試料の関連体積中の標的実体を表面上の結合部位に局所的に結合させる方法は、以下のステップ(i)〜(ii)を含む:
(i)段落X1の方法における(a)〜(d)のステップを実行し、閉鎖構成での試料厚さは結合部位の平均線形寸法より顕著に小さく、関連体積は、プレートが閉鎖構成にある時に、結合部位上に位置する試料の体積であり;
(ii)(i)の後、かつプレートが閉鎖構成にある時に、
(1)関連のある時間長さで試料インキュベーションを行い、次にインキュベーションを停止し、あるいは、
(2)関連のある時間長さの最小値以上の時間で試料をインキュベーションし、次に、関連のある時間長さの最大値以下の時間内に、標的分析物の結合部位への結合を評価し、
前記関連のある時間長さは
i.標的実体が閉鎖構成で均一な厚さの層の厚さにわたって拡散することに要する時間以上であり、そして
ii.標的実体が結合部位の最小横寸法を横方向に拡散することに要する時間より顕著に短く、
(1)におけるインキュベーションが終了する時又は(2)における評価期間において、結合部位に結合される大部分の標的実体は試料関連体積から由来し、
インキュベーションにより、標的実体が結合部位に結合することを可能にし、関連体積は、閉鎖構成で結合部位の上にある試料の一部分である。
【0481】
段落P2の方法では、用語「試料の関連体積の厚さは結合部位の最小平均寸法より顕著に小さい」は、結合部位の最小平均寸法と試料厚さとの比(「長さと厚さとの比」と呼ばれる)が少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1000、少なくとも10000、少なくとも100000又はこれらの値の間の任意の範囲にあるということを指し、好ましい実施形態において、長さと厚さとの比は少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、又はこれらの値の間の任意の範囲にある。
【0482】
段落P2の方法では、用語「標的実体が結合部位の最小横寸法にわたって横方向に拡散する時間より顕著に小さい」は、結合部位の最小横寸法にわたって拡散する時間と試料厚さにわたって拡散する時間との比(「長さと厚さとの拡散時間比」と呼ばれる)が少なくとも3、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1000、少なくとも10000、少なくとも100000、少なくとも100000又はこれらの値の間の任意の範囲にあるということを意味し、好ましい実施形態において、長さと厚さの拡散時間との比は少なくとも3、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1000、少なくとも10000又はこれらの値の間の任意の範囲にある。
【0483】
P2. 試料関連体積中の実体を表面にある結合部位に局所的に結合させる装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
第1のプレートはその表面に面積がプレート面積より小さい結合部位を有し、それは試料中の標的実体に結合するように配置され、該標的実体は試料中に拡散でき、そのうちの1つ又は両方のプレートはいずれもスペーサを含み、各スペーサはその対応するプレートに固定されて所定の高さを有し、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料が2つのプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートは互いに対向し、スペーサ、結合部位及び少なくとも一部の試料はプレートの間に位置し、試料は結合部位の少なくとも一部と接触し、かつ試料の関連体積の厚さをプレート及びスペーサにより調節し、プレートが開放構成にある時に該厚さは試料の最大厚さより小さく、関連体積は試料の結合部位に位置する体積であり、
スペーサの高さは、閉鎖構成下で関連体積の厚さを結合部位の平均線形寸法の少なくとも3分の1よりも小さいように調節するように選択される。
【0484】
関連体積の厚さを結合部位の平均線形サイズの3分の1に調節することにより、実体の試料厚さにわたる拡散時間は結合部位の平均線形サイズと等しい距離にわたる拡散時間の9分の1である。このような厚さ調節はインキュベーション時間の選択を可能にし、それにより、(i)関連体積中の顕著な数量の標的実体は結合部位に結合されること、及び(ii)結合部位に結合される顕著な数量の標的実体は試料の関連体積から由来するというインキュベーション結果を達成し、インキュベーションは標的実体を結合部位に結合することを可能にする。
【0485】
例えば、インキュベーション時間は実体が試料関連体積の厚さにわたる拡散時間と等しいように設定される場合に、インキュベーション後に、関連体積内の大部分の実体はすでに結合部位に達し、かつレート方程式に従って結合され、最初(すなわちインキュベーション前)関連体積の外に位置する実体は関連体積の周辺にのみ(比較的小さい体積)拡散でき、かつ結合部位の平均線形サイズと関連体積厚さとの比が大きくなるため、この体積の重要性が低減する。
【0486】
4.2 他のプレート表面上の結合部位(表面から別の表面)へのプレートの表面に貯蔵された実体の局所的結合
P3. プレートの貯蔵部位に貯蔵された実体を別のプレート上の結合部位に局所的に結合する方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、前記第1のプレートはその表面に結合部位を有し、前記第2のプレートはその表面に結合部位に結合する実体を含む貯蔵部位を有し、前記結合部位の面積及び試薬部位の面積がそのそれぞれのプレートの面積より小さく、かつ前記プレートの1つ又は両方は、各々がそのそれぞれのプレートに固定され、かつ所定の高さを有し;
(b)実体が溶解でき、かつ拡散できる搬送媒体を取得し;
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方に搬送媒体を付着させ、前記開放構成とは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり;
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記搬送媒体を広げ、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ、結合部位、貯蔵部位及び少なくとも一部の搬送媒体がプレートの間に位置し、少なくとも一部の貯蔵部位が結合部位と直面し、その間に一部の搬送媒体を有し、搬送媒体の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄く、かつプレートの表面方向における関連体積の平均線形寸法より顕著に小さく;
(e)(d)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、試料を一定の時間インキュベーションしかつインキュベーションを停止させ、結合部位に結合したかなりの数の実体が貯蔵部位からのものであるようにインキュベーション時間を選択し、関連体積は結合部位にある搬送媒体の体積であり、インキュベーションは結合部位への実体の結合を可能にする。
【0487】
用語「少なくとも一部の貯蔵部位が結合部位と直面する」とは、該部分のある点から結合部位までの最短距離がプレートの閉鎖構成での関連体積の厚さと同じであることを指す。
【0488】
P4. プレートの貯蔵部位に貯蔵された実体を別のプレート上の関連結合部位に結合する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートであって、前記第1のプレートはその表面に結合部位を有し、前記第2のプレートはその表面に結合部位に結合する実体を含む貯蔵部位を有し、前記結合部位の面積及び貯蔵部位の面積がそのそれぞれのプレートの面積より小さく、かつ前記プレートの1つ又は両方は、各々がそのそれぞれのプレートで固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含むものを含み、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、搬送媒体がプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、貯蔵部位上の実体は搬送媒体内に溶解でき、かつ拡散でき、
別の構成は、開放構成で搬送媒体を付着させした後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ、結合部位、貯蔵部位及び少なくとも一部の搬送媒体がプレートの間に位置し、少なくとも一部の貯蔵部位が結合部位と直面し、その間に一部の搬送媒体を有し、搬送媒体の関連体積の厚さをプレート及びスペーサにより調節し、かつプレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の最大の厚さより薄く、
関連体積は、プレートが閉鎖構成にある時に、貯蔵部位にある搬送媒体の体積であり、
スペーサの高さは、閉鎖構成下で関連体積の厚さを結合部位の平均線形寸法の少なくとも3分の1よりも小さいように調節するように選択され、
少なくとも1つのスペーサは試料接触領域内に位置し、
スペーサは、所定のスペーサ間距離及び高さを有する。
【0489】
4.3 1つのプレートの複数の貯蔵部位の実体を別のプレート上の複数の対応する結合部位に局所的に結合する方法
P5. 1つのプレートの複数の貯蔵部位に貯蔵された実体を別のプレート上の複数の対応する結合部位に局所的に結合する方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、前記第1のプレートはその表面に複数の結合部位を有し、第2のプレートはその表面に複数の対応する貯蔵部位を有し、各対応する貯蔵部位が結合部位の位置に対応する第2のプレートの位置に位置することにより、2つのプレートを対向して配置する場合、各結合部位は1つのみの貯蔵部位に重なり、プレートの1つ又は両方は、各々がそのそれぞれのプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み;
(b)その内に貯蔵部位上の実体が溶解でき、かつ拡散できる搬送媒体を取得し;
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方に搬送媒体を付着させ、前記開放構成とは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり;
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして搬送媒体を広げ、前記閉鎖構成で、2つのプレートが互いに対向して、スペーサ、結合部位、貯蔵部位及び少なくとも一部の搬送媒体がプレートの間に位置し、各結合部位は1つのみの対応する貯蔵部位と直面し、搬送媒体は、各結合部位の少なくとも一部及び各貯蔵部位の一部と接触し、搬送媒体の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時の搬送媒体の最大の厚さより薄く、かつ結合部位の平均線形寸法より顕著に小さく;
(e)(d)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、試料を一定の時間インキュベーションしかつインキュベーションを停止させ、各結合部位に結合したかなりの数の実体が対応する貯蔵部位からのものであるように前記インキュベーション時間を選択し、前記関連体積は結合部位にある搬送媒体の体積であり、インキュベーションは結合部位への実体の結合を可能にする。
【0490】
いくつかの実施形態において、間隔は試料結合領域に限定される。
【0491】
方法P5のいくつかの実施形態において、搬送媒体は、標的分析物を有する試料であり、結合部位は捕捉剤を含み、貯蔵部位の実体は検出剤であり、標的分析物を捕捉剤及び検出剤に結合して、捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチを形成する。より短い飽和アッセイ時間のために、分析物及び検出剤について、より薄い試料厚さとより短い垂直拡散時間を有するように、より小さいスペーサの高さを使用することによって、方法P5は、アッセイステップを簡略化し、アッセイ時間を短縮することができる。
【0492】
P6. 1つのプレートの複数の貯蔵部位に貯蔵された実体を別のプレート上の複数の対応する結合部位に局所的に結合する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記第1のプレートの表面は複数の結合部位を有し、第2のプレートの表面は複数の対応する貯蔵部位を有し、各対応する貯蔵部位が結合部位に対応する第2のプレートの位置に位置することにより、2つのプレートを対向して配置する場合、各結合部位は1つのみの貯蔵部位に重なり、プレートの1つ又は両方は、各々がその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、搬送媒体が2つのプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、貯蔵部位上の実体は搬送媒体内に溶解でき、かつ拡散でき、
別の構成は、搬送媒体が開放構成で付着した後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、2つのプレートが互いに対向して、スペーサ、結合部位、貯蔵部位及び少なくとも一部の搬送媒体がプレートの間に位置し、各結合部位は1つのみの対応する貯蔵部位と直面し、搬送媒体は、各結合部位の少なくとも一部及び各貯蔵部位の一部と接触し、搬送媒体の関連体積の厚さをプレート及びスペーサにより調節し、プレートが開放構成にある時に、該厚さが搬送媒体の最大の厚さより薄く、
関連体積は、プレートが閉鎖構成にある時に、貯蔵部位にある搬送媒体の体積であり、
所定のスペーサ高さを選択して、開放構成で関連体積の厚さを調節することにより、それが結合部位の平均線形寸法より顕著に小さい。
【0493】
4.4 試料の一部(表面から体積)への表面に貯蔵された試薬の局所的添加
P7. 試料の関連体積に局所的に試薬を添加する方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、前記第1のプレートは、その表面に試料の関連体積に添加される試薬を含む貯蔵部位を有し、該試薬が試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、かつ貯蔵部位の面積がプレートの面積より小さく、プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがそのそれぞれのプレートに固定され、かつ所定の高さを有し;
(b)試料を取得し;
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方に試料を付着させ、前記開放構成とは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり;
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ、貯蔵部位及び試料の少なくとも一部がプレートの間に位置し、試料が貯蔵部位の少なくとも一部と接触し、かつプレートと接触するその面積は貯蔵部位と接触するその面積より大きく、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄く、かつプレートの表面方向上の関連体積の平均線形寸法より顕著に小さく;
(e)(d)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、試料を一定の時間インキュベーションしかつインキュベーションを停止させ、(i)試料内に溶解した大量の試薬が試料の関連体積に含まれ、かつ(ii)試薬が該関連体積の顕著な部位にあるようにインキュベーション時間を選択し、関連体積は、プレートが閉鎖構成にある時に、結合部位にある試料の体積であり、インキュベーションは、試薬が試料内に溶解して拡散するのを可能にする。
【0494】
P8. プレートの表面に貯蔵された試薬を試料の関連体積に局所的に添加する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記第1のプレートは、その表面に試料の関連体積に添加される試薬の貯蔵部位を有し、該試薬が試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料がプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ、貯蔵部位及び試料の少なくとも一部がプレートの間に位置し、試料が貯蔵部位の少なくとも一部と貯蔵部位以外のプレート表面の少なくとも一部と接触し、試料の関連体積の厚さをプレート及びスペーサにより調節し、プレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の最大の厚さより薄く、関連体積は、プレートが閉鎖構成にある時に、貯蔵部位にある試料の体積であり、スペーサの高さは、プレートの閉鎖構成下での関連体積の厚さをプレート表面方向の関連体積の平均線形寸法の少なくとも3分の1よりも小さいように調節するように選択される。
【0495】
5 結合部位(W)上の捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチの形成
本発明の一態様は、CROFプロセスで、結合部位をプレートに配置し、かつ検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を別のプレートの対応位置に配置することにより、固体表面上の結合部位に捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチを一段階で形成することである。
【0496】
5.1 インキュベーション(一般)の一段階による結合部位(W)上の捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチの形成
W1. プレートの結合部位で捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチを形成する方法は、以下のステップ(a)〜(f)を含む:
(a)試料内に拡散できる標的分析物を含有する試料を取得し;
(b)標的分析物に結合(可能)して捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチを形成する捕捉剤及び検出剤を取得し;
(c)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、前記第1のプレートは、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、第2のプレートは、検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を有し、貯蔵部位が試料と接触する場合、検出剤は試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し;
(d)プレートが開放構成に構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方に試料を付着させ、前記開放構成とは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり;
(e)(d)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時の試料の厚さより薄く、試料が結合部位及び貯蔵部位と接触し;
(f)(e)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、試料を一定の時間インキュベートして、捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチの形成を可能にし、
前記関連体積は、試料の一部又は全体積である。
【0497】
W2. プレートの結合部位で捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチを形成する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
第1のプレートは、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、第2のプレートは、検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を有し、捕捉剤及び検出剤が試料中の標的分析物に結合(可能)して捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチを形成し、貯蔵部位が試料と接触する場合、検出剤は試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料がプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサと試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さをプレート及びスペーサにより調節し、プレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の厚さより薄く、試料が結合部位及び貯蔵部位と接触し、
前記関連体積は、試料の一部又は全体積である。
【0498】
5.2 試料の一部(例えば局所的)からの分析物を用いる、一段階インキュベーションにおける結合部位上の捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチの形成
W3. 試料の一部からの分析物を用いてプレートの結合部位に捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチを形成する方法は、以下のステップ(a)〜(f)を含む:
(a)試料内に拡散できる標的分析物を含有する試料を取得し;
(b)標的分析物に結合して捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチを形成する捕捉剤及び検出剤を取得し;
(c)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、前記第1のプレートは、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、第2のプレートは、検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を有し、貯蔵部位が試料と接触する場合、検出剤は試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し;
(d)プレートが開放構成に構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方に試料を付着させ、前記開放構成とは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり;
(e)(d)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ、結合部位及び貯蔵部位がプレートの間に位置し、結合部位及び貯蔵部位は試料の関連体積と接触し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時の試料の厚さより薄く、かつ結合部位の平均線形寸法より顕著に小さく;
(f)(e)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、試料を一定の時間インキュベーションしかつインキュベーションを停止させ、結合部位に形成したかなりの数の捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチが試料の関連体積からの分析物を含むようにインキュベーション時間を選択し、関連体積は結合部位にある試料の体積であり、インキュベーションは捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチの形成を可能にする。
【0499】
いくつかの実施形態において、部位寸法に対する間隔の比は1/5未満であってもよい。
【0500】
W4. 試料の一部からの分析物を用いてプレートの結合部位に捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチを形成する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
第1のプレートは、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、第2のプレートは、検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を有し、捕捉剤及び検出剤が試料中の標的分析物に結合(可能)して捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチを形成し、貯蔵部位が試料と接触する場合、検出剤は試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料がプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ、結合部位及び貯蔵部位がプレートの間に位置し、結合部位及び貯蔵部位が試料の関連体積と接触し、試料の関連体積の厚さをプレート及びスペーサにより調節し、プレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の厚さより薄く、関連体積は結合部位にある試料の体積であり、
スペーサの高さを選択して、閉鎖構成で関連体積の厚さを調節することにより、それが結合部位の平均線形寸法より顕著に小さい。
【0501】
5.3 拡散距離(W、X)を減少させることにより結合部位に捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチを形成する時間を短縮する方法
W5. プレートの結合部位に捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチを形成する時間を短縮する方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)試料内に拡散できる標的分析物を含有する試料を取得し;
(b)標的分析物に結合して捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチを形成する捕捉剤及び検出剤を取得し;
(c)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、前記第1のプレートは、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、第2のプレートは、検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を有し、貯蔵部位が試料と接触する場合、検出剤は試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し;
(d)プレートが開放構成に構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方に試料を付着させ、前記開放構成とは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(e)(d)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ、結合部位及び貯蔵部位がプレートの間に位置し、結合部位が貯蔵部位と重なり、結合部位及び貯蔵部位は試料の関連体積と接触し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時の試料の厚さより薄く、従って、試料の厚さを減少させることにより、試料の厚さにわたって分析物及び検出剤が垂直に拡散する時間を減少させ、前記関連体積は試料の全体積の少なくとも一部である。
【0502】
関連体積中の標的実体が結合部位に結合することを可能にする時間は、閉鎖構成がない時間より短い。
【0503】
該方法は、プレート間の試料を除去し、プレートが閉鎖構成又は開放状態にある時に実行される洗浄ステップをさらに含む。
【0504】
該方法は、結合部位に固定化された捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチから信号を読み取るステップをさらに含む。洗浄後又はいかなる洗浄がない場合に読み取る。
【0505】
上記又は下記のように、該方法は、さらに多重化されてもよい。
【0506】
W6. プレートの結合部位に捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチを形成する時間を短縮する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
第1のプレートは、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、第2のプレートは、検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を有し、捕捉剤及び検出剤が試料中の標的分析物に結合(可能)して捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチを形成し、貯蔵部位が試料と接触する場合、検出剤は試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
形態の1つは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料がプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の形態は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ、結合部位及び貯蔵部位がプレートの間に位置し、結合部位が貯蔵部位と重なり、結合部位及び貯蔵部位が試料の関連体積と接触し、試料の関連体積の厚さをプレート及びスペーサにより調節し、プレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の厚さより薄く、試料厚さを減少させることにより、試料の厚さ方向に分析物及び検出剤が垂直に拡散する時間を短縮し、関連体積は試料全体積の少なくとも一部である。
【0507】
これらの実施形態において、該方法は、捕捉剤をプレートに取り付けることを含んでもよく、該取り付けは、捕捉剤とプレート上の反応基との化学的反応によって完了する。別のプレートは、プレートが閉鎖した後、付着された捕捉剤と検出剤が互いに対向するように、ある位置で乾燥した検出剤部分を含んでもよい。次に、上記のように、該方法は、標的分析物含有の試料を装置と接触させ、かつプレートを閉鎖することを含んでもよい。検出剤は、試料内に溶解しかつ拡散する。標的分析物が溶液にあるため、標的分析物は捕捉剤によって結合され、かつプレートの1つの表面に固定化される。検出剤は、捕捉剤に結合する前又はその後に標的分析物に結合することができる。場合によっては、該方法は、捕捉剤に結合していない全ての標的分析物、又は結合していない全ての検出試薬を除去する(例えば、結合緩衝液中のプレートの表面を洗浄することによる)ことを含んでもよく、検出剤は、光学的に検出可能な標識と結合することができ、それにより標的分析物を検出する方法を提供する。標的分析物に結合していない検出剤を任意に除去した後、該システムを読み取って、プレートに結合した検出剤から光信号(例えば、波長範囲が300nm〜1200nmの光)を(例えば、読み取りシステムを用いて)読み取ることができる。さらに、上述したように、検出剤は、直接標識されてもよく(この場合、検出剤は、1つのプレートに付着する前に、発光標識と緊密に接続されてもよい)、又は間接的に標識されてもよい(すなわち、結合検出剤及び二次捕捉剤、例えば標識された二次抗体又は標識された核酸により、二次捕捉剤が検出剤に特異的に結合されかつ発光標識に接続される)。いくつかの実施態様において、該方法は、遮断剤を含むことにより、捕捉剤と非標的分析物との非特異的結合を防止することができる。標的分析物と他の試薬との特異的結合の適切な条件は、適切な温度、時間、溶液pH値、周囲光強度、湿度、化学試薬濃度、抗原−抗体比等を含み、これらはいずれも周知であるか、又は本開示から容易に得るものである。捕捉剤とその結合パートナー(分析物を含む)との間の分子相互作用の一般的な方法は、当該技術分野において周知である(例えば、Harlowら、抗体:A Laboratory Manual、第1版(1988)Cold spring Harbor、N.Y.、Ausubelら、Short Protocols in Molecular Biology、第3版、Wiley&Sons、1995参照)。上記及び下記の方法は例示的なものであり、本明細書の方法は、アッセイを行う唯一の方法ではない。
【0508】
特定の実施形態において、タンパク質分析物(例えば、DNA又はRNA結合タンパク質)を捕捉するために、核酸捕捉剤を使用することができる。代替実施形態において、核酸分析物を捕捉するために、タンパク質捕捉剤(例えば、DNA又はRNA結合タンパク質)を使用することができる。
【0509】
試料は、細胞、組織又は体液からの臨床試料であってもよい。関心対象となる体液は、羊水、房水、硝子体液、血液(例えば全血、分画血液、血漿、血清等)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(耳あか)、乳糜、糜汁、内リンパ液、外リンパ液、糞便、胃酸、胃液、リンパ液、粘液(鼻漏及び粘液質を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿液、炎症性分泌物、唾液、皮脂(皮膚の油)、精液、喀痰、汗、滑液、涙液、嘔吐物、尿及び呼気凝縮液を含むが、これらに限定されない。
【0510】
該アッセイの一実施形態では、プレートを標的分析物(例えば標的タンパク質)含有の試料と接触させ、その後にプレートを閉鎖する。試料は、特異的結合に適した全ての必要な試薬(例えば、塩等)条件を含むか、又は含有するように修正される。捕捉剤(例えば抗体)及び検出剤は、試料中の標的分析物に特異的に結合し、それにより標識された分析物部分を検出することができる。
【0511】
任意の実施形態のように、試料中の標的分析物の量を計測して、試料中の標的分析物の量の定性的又は定量的計測を提供することができ、いくつかの実施形態において、信号の大きさは、試料中の標的分析物の量の定量的計測を提供する。場合によっては、特定の場合に既知の濃度であってもよい標準曲線(例えば、第2の分析物又はスパイクイン分析物の標準曲線)と評価を比較することができる。異なる密度(例えば、異なる濃度)で捕捉剤を付着させ、かつ各捕捉剤から信号を読み取ることにより、該比較を促進することができる。
【0512】
6.小体積(V)の試料及び試薬の結合及び添加
多くの応用において、可能な限り小体積の試料又は試薬を使用することは非常に望ましい。しかしながら、マイクロ流体チャネル装置(現在、小さい試料を使用する最も普及している方法)において、装置の入口から試験(検出)領域に流れる間に、大量の試料を浪費するため、試験位置の体積より大きい試料体積を必要とする。本発明の一態様は、小体積の試料又は試薬をプレートに付着させ、その後に該体積を、小さい厚さと以前より大きい面積とを有する薄膜に再成形することにより、試験中に使用される試料又は試薬の体積を顕著に減少させることである。このような再形成により、反応をより迅速にする。
【0513】
6−1 試料を広げることによる表面結合部位への小体積の試料中の標的実体の結合
V1. 試料中の標的実体を結合部位に結合する方法は、以下のステップ(a)〜(c)を含む:
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、前記第1のプレートが、その表面に結合部位を有し、前記プレートの1つ又は両方が、それぞれその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み;
(b)結合部位に結合される標的実体を含有する試料を取得し;
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方に試料を付着させ、前記開放構成で、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、かつ付着した試料は結合部位の領域を覆わないか又は領域の一部を覆い;
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、プレートが開放構成にある時に比べて、結合部位と接触する試料の領域がより大きく、かつ結合部位にある試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、関連体積が試料の一部又は全体の体積である。
【0514】
V2. 試料中の標的実体を表面結合部位に結合する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記第1のプレートは、その表面に試料中の標的実体と結合する結合部位を有し、試料が1つのみのプレートに付着し、かつ別のプレートと接触しない場合、結合部位は試料接触領域より大きい領域を有し、
前記プレートの1つ又は両方は、それぞれその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
前記構成の1つは、開放構成であり、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料がプレートおよびカバーの1つ又は両方に付着し、かつ付着する時に結合部位の領域又は一部の領域を覆わず、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向し、スペーサ及び試料がプレートの間に位置し、プレートが開放構成にある時に比べ、試料が結合部位のより多くの領域と接触し、結合部位上の試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節される。
【0515】
6−2 試料を広げることによる小体積試料への試薬の添加
V3. 試料中の標的実体を結合部位に結合する方法は、以下のステップ(a)〜(c)を含む:
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、前記第1のプレートが、その表面に試料に添加される試薬を含む貯蔵部位を有し、プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがそのそれぞれのプレートで固定され、かつ所定の高さを有し;
(b)プレートが開放構成に構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方に試料を付着させ、前記開放構成で、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、かつ堆積時に試料が貯蔵部位の領域と接触しないか又は一部の領域と接触し;
(c)(b)の後、プレートを閉鎖構成にする前記試料を広げ、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向し、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料は、プレートが開放構成にある時よりも貯蔵部位のより多くの領域に接触し、結合部位上の試料関連体積の厚さをスペーサにより調節し、関連体積が貯蔵部位に位置する試料の一部である。
【0516】
V4. 試料中の標的実体を結合部位に結合する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記第1のプレートは、その表面に試料に添加される試薬を含む貯蔵部位を有し、2つのプレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがそのそれぞれのプレートで固定され、かつ所定の高さを有し、
前記プレートの1つ又は両方は、それぞれその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料がプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートは互いに対向し、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料は、プレートが開放構成にある時よりも貯蔵部位のより多くの領域に接触し、結合部位上の試料関連体積の厚さをスペーサにより調節し、関連体積が貯蔵部位に位置する試料の一部である。
【0517】
段落V1及びV2に記載の方法とV3及びV4に記載の装置において、場合によっては、試料の小体積及び表面の湿潤性のため、試料が結合部位領域又は貯蔵領域に付着しても、付着した試料とプレートとの接触面積が結合部位又は貯蔵部位の面積より小さい。従って、広げ、特に正確に広げることが必要とされる。
【0518】
試料の滴は複数の滴であってもよく、閉鎖構成では、滴が、最大の厚さより小さい厚さを有するフィルムに融合する。
【0519】
本発明において、段落V1〜V7の方法及び段落V2〜V8の装置において、1つのプレート又は複数のプレートに付着した試料の体積(「試料体積」)は、最大0.001pL(ピコリットル)、最大0.01pL、最大0.1pL、最大1pL、最大10pL、最大100pL、最大1nL(ナノリットル)、最大10nL、最大100μL、最大1μL(マイクロリットル)、最大10μL、最大100μL、最大1mL(ミリリットル)、最大10mL、又はこれらの値のうちの任意の2つの範囲である。
【0520】
7 均一な試料の厚さ(UAB)を用いる試薬の均一な結合又は添加
アッセイ及び化学反応について、重要な領域にわたって薄い試料の厚さを均一にすることが有利である。これらの実施例は、試料の実体を表面結合部位に結合すること、試薬を試料内に添加すること、試料の関連体積を定量化すること、分析物を定量化すること等を含む。2つのプレートを用いて試料の関連体積(一部又は全体積)の厚さを低減して調整する方法について、正確さ、均一性及び使いやすさは不可欠である。
【0521】
本発明の1つの態様は、2つのプレートを用いて試料を圧縮することにより、試料の関連体積の厚さを調節する方法及び/又は装置の精度、均一性又は使用しやすさを改善することである。
【0522】
7.1 試料中の実体をプレートの結合部位に均一に結合させる方法
UAB1. 試料中の標的実体をプレートの結合部位に均一に結合する方法は、以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)試料内に拡散できる標的実体を含有する試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、前記第1のプレートは、その表面に標的実体に結合するように構成された結合部位を有し、前記プレートの1つ又は両方は、各々がその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方に試料を付着させ、前記開放構成とは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、結合部位が関連体積と接触し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄く、かつ結合部位でより均一であり、
スペーサとプレートは、プレートの閉鎖構成での関連体積の調節された厚さをプレートの開放構成の調節された厚さよりも均一にするように構成され、関連体積は、試料の部分又は全体の体積である。
【0523】
それは、均一なサンドイッチを形成するために結合部位の反対側のプレート上に貯蔵部位を有する。
【0524】
UAB2. 試料中の標的実体をプレートの結合部位に均一に結合する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記第1のプレートは、その表面に標的実体に結合するように構成された結合部位を有し、前記プレートの1つ又は両方は、各々がその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料がプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサと試料の関連体積がプレートの間に位置し、結合部位が関連体積と接触し、試料の関連体積の厚さをプレート及びスペーサにより調節し、プレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の最大の厚さより薄くかつ結合部位でより均一であり、
スペーサ及びプレートは、閉鎖構成での試料の関連体積の調節された厚さが開放構成での調節された厚さより均一であるように構成され、該関連体積は、試料の体積の一部又は体積全体である。
【0525】
7.2 プレート上の試薬を試料に均一に添加する方法
UAB3. 試薬を試料の関連体積に均一に添加する方法は、以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、前記第1のプレートが、その表面に試料の関連体積に添加される試薬を含む貯蔵部位を有し、該試薬が試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがそのそれぞれのプレートで固定され、かつ所定の高さを有し;
(b)試料を取得し;
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方に試料を付着させ、前記開放構成とは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり;
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、貯蔵部位が関連体積と接触し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さよりも薄く、
スペーサとプレートは、プレートの開放構成にある時よりも、プレートの閉鎖構成にある時、関連体積の領域にわたって、試料の関連体積の厚さをより均一にするように構成され、また関連体積は、試料の部分又は全体の体積である。
【0526】
UAB4. 試薬を試料の関連体積に均一に添加する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記第1のプレートは、その表面に試料の関連体積に添加される試薬の貯蔵部位を有し、該試薬が試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料がプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサと試料の関連体積がプレートの間に位置し、貯蔵部位が関連体積と接触し、試料の関連体積の厚さをプレート及びスペーサにより調節し、プレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の最大の厚さより薄く、
スペーサ及びプレートは、プレート開放構成にある時に比べ、プレート閉鎖構成にある関連体積の領域にわたってより均一である試料の関連体積の厚さより均一であるように構成され、該関連体積は、試料の体積の一部又は体積全体である。
【0527】
7.3 捕捉−分析物−検出サンドイッチを均一に形成する方法
UAB5. プレートの結合部位で捕捉−分析物−検出サンドイッチを形成する方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)標的分析物を含有する試料を取得し;
(b)標的分析物に結合(可能)して捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチを形成する捕捉剤及び検出剤を取得し;
(c)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、前記第1のプレートが、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、第2のプレートが、検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を有し、貯蔵部位が試料と接触する場合、検出剤が試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し;
(d)プレートが開放構成に構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方に試料を付着させ、前記開放構成とは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり;
(e)(d)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時の試料の厚さより薄く、試料が結合部位及び貯蔵部位と接触し、
スペーサ及びプレートは、プレート開放構成にある時に比べ、プレート閉鎖構成にある関連体積の領域にわたってより均一である試料の関連体積の厚さより均一であるように構成され、該関連体積は、試料の体積の一部又は体積全体である。
【0528】
UAB6. プレートの接合部位で捕捉−分析物−検出サンドイッチを均一に形成する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
第1のプレートは、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、該捕捉剤が試料内の標的分析物と結合することができ、
第2のプレートは、(a)貯蔵部位が試料と接触する時に、試料内に溶解しかち試料内に拡散すること、(b)標的分析物と結合し、かつ捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチを形成することを可能にする検出剤を貯蔵する貯蔵部位を有し、
前記プレートの1つ又は両方は、それぞれその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料がプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサと試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さをプレート及びスペーサにより調節し、プレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の厚さより薄く、試料が結合部位及び貯蔵部位と接触し、
スペーサ及びプレートは、プレート開放構成にある時に比べ、プレート閉鎖構成にある関連体積の領域にわたってより均一である試料の関連体積の厚さより均一であるように構成され、該関連体積は、試料の体積の一部又は体積全体である。
【0529】
7.4 2つのプレートの間の試料の関連体積の厚さの均一な調節
UAB7. 試料の関連体積の厚さを調節する方法は、以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)試料の関連体積の厚さが調節される試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得し、前記プレートの1つ又は両方が、所定のスペーサ間距離及び高さを有し、それぞれその対応するプレートに固定されるスペーサを含み、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方に試料を付着させ、前記開放構成とは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時の試料の最も大きい厚さより薄く、
スペーサ及びプレートは、プレート開放構成にある時に比べ、プレート閉鎖構成にある関連体積の領域にわたってより均一である試料の関連体積の厚さより均一であるように構成され、該関連体積は、試料の体積の一部又は体積全体である。
【0530】
UAB8. 試料関連体積の厚さを調節する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記プレートの1つ又は両方は、所定のスペーサ間の距離及び高さを有し、それぞれその対応するプレートに固定されるスペーサを含み、
前記構成の1つは、開放構成であり、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料がプレートの1つ又は両方に付着し、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートは互いに対向し、スペーサ及び試料関連体積はプレートの間に位置し、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さをプレート及びスペーサにより調節し、プレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の最も大きい厚さより薄く、
スペーサとプレートは、プレートの開放構成にある時よりも、プレートの閉鎖構成にある時、関連体積の領域にわたって、試料の関連体積の厚さをより均一にするように構成され、また関連体積は、試料の部分又は全体の体積である。
【0531】
段落U1〜U8の方法及び装置において、試料の関連体積の厚さを均一にするスペーサ及びプレートの構成は、本開示に記載の実施形態を有する。
【0532】
試料厚さの均一性 U1〜U8の段落の方法及び装置において、試料の関連体積の厚さの均一性は、閉鎖構成での試料の厚さが、最大0.001%、最大0.01%、最大0.05%、最大0.1%、最大0.5%、最大1%、最大2%、最大5%、最大10%、最大20%、最大30%、最大50%、最大75%、最大90%、100%未満、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である相対的な変動を有するようなものである。
【0533】
U1〜U8の段落の方法及び装置において、試料の関連体積の厚さの均一性は、閉鎖構成での試料の厚さが、最大0.1%、最大0.5%、最大1%、最大2%、最大5%、最大10%、最大20%、最大30%、最大50%又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である相対的な変動を有するようなものである。
【0534】
飽和インキュベーション時間を短縮するのに重要な別のパラメータは、サンプルの厚さの均一性であり、厚さが結合部位に対して大きな変化を有する場合、飽和インキュベーション時間は結合部位の位置によって異なることがあり、結合部位内の全ての位置が飽和に達するのを確実にするために、より長い飽和インキュベーション時間を強いる。
【0535】
8 増幅表面
PoC診断及び小さい試料体積を使用するいずれかのアッセイに対して、従来の主要障害の1つは、低い感度である。アッセイの信号を増強することが望ましい。本発明の1つの態様は、結合部位を信号増幅表面(SAS)に載置して、信号を増幅することにより、高い感度を達成する装置及び方法に関する。信号増幅表面は、信号増幅層(SAL)とも呼ばれる。
【0536】
SALの一般構造は、局所表面電界及び勾配及び光信号を増幅するナノスケール金属−誘電体/半導体−金属構造を含む。増幅は、金属構造の鋭い(曲率が大きい)エッジを有する位置及び2つの金属構造の小さな隙間の間で高い。最も高い増幅領域は、鋭いエッジと小さな隙間を有する領域である。さらに、全ての金属及び非金属マイクロ/ナノ構造の寸法は、一般的にはSALが増幅する光の波長(すなわち、サブ波長)より小さい。
【0537】
いくつかの実施形態において、SAL層は、できるだけ多くの金属の鋭いエッジ及び小さな隙間を有する。これは、ナノ構造の間の隙間が小さい金属ナノ構造の密集したグループを有することが必要である。SAL構造は、いくつかの異なる層を含んでもよい。さらに、SAL層自体は、様々な目的のために参照文献として本明細書に組み込まれる2013年3月15日に出願された米国特許仮出願第61/801424号、2014年3月15日に出願されたPCT出願WO2014197096、並びに様々な目的のために本明細書に参照文献として組み込まれるPCT/US2014/028417(Chouら、「標的固定化、表面増幅、ピクセル読み取り及び分析による分析物検出増強」)に記載されているように、鋭いエッジ及び小さな隙間のない金属材料の部分をさらに覆うことができるプロセスによって、さらに改善することができる。
【0538】
M1. いくつかの実施形態において、増幅表面は、結合部位の表面上又はその近傍の金属層である。試料の関連体積中の標的実体をアッセイする信号を増幅する方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)標的実体を含有する試料を取得し;
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得し、1つのプレートが、その表面に標的実体に結合して信号増幅の表面上又はその近傍にある光信号を増幅するように構成された信号増幅表面を含む結合部位を含み、プレートの1つ又は両方は、それぞれその対応するプレートに位置し、かつ所定の高さを有するスペーサを含み;
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方に試料を付着させ、前記開放構成とは、2つのプレートが分けられ、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり;
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時の試料の厚さより薄く、試料の関連体積が結合部位と接触し;
(e)(e)の後、プレートが閉鎖構成にある間に、試料関連体積中の標的実体が結合部位に結合することを可能にする時間インキュベートし、関連体積が、プレートが閉鎖構成にある時に、結合部位と接触する試料の部分である。
【0539】
M2. 試料の関連体積中の標的実体をアッセイする信号を増幅する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
第1のプレートは、その表面に、(i)試料内の標的実体に結合し、(ii)信号増幅表面上又は付近にある光信号を増幅するように構成された信号増幅表面を含む、1つの結合部位を含み、
前記プレートの1つ又は両方は、各々がその対応するプレートに位置し、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料がプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサと試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さはプレートが開放構成にある時の厚さより薄く、
前記関連体積は、プレートが閉鎖構成にある時に試料が結合部位と接触する部分である。
【0540】
いくつかの実施形態において、信号増幅表面は、金属−誘電体ナノ構造、金属−半導体ナノ構造及びディスク・カップルド・ドット・オン・ピラー・アンテナアレイのうちの少なくとも1つを含む。
【0541】
いくつかの実施形態において、信号増幅表面は、金属層を含む。
【0542】
9 体積及び/又は濃度の検出及び/又は定量化(Q)
試料の関連体積の定量化及び/又は制御は、試料中の化学化合物(分析物、実体、試薬等を含む)の濃度の定量化及び/又は制御に有用である。
【0543】
試料体積の定量化のための一般的な方法は、計量ピペット(例えば、エッペンドルフの「リサーチプラスピペット、調節可能であり、0.5〜10μL」、SKU#3120000020)又は幾何構造の使用を含む。PoC(ポイント・オブ・ケア)又は家庭用の場合、このような計量装置は、使用しにくく及び/又は高価である。試料体積及び/又は濃度の定量化及び/又は制御のためのより簡単で安価な方法及び装置が必要とされる。
【0544】
本発明の1つの態様は、計量ピペット及び/又は固定マイクロ流体流路を使用せずにプレートに付着した試料の関連体積を定量化し及び/又は制御する方法、装置及びシステムに関する。試料体積の一部又は全体であってもよい関連体積は、試料中の標的分析物及び/又は実体の濃度の定量化及び/又は制御に関連する。本発明の方法、装置及びシステムは、使いやすく、コストが低い。
【0545】
9.1 試料の関連体積を定量化する方法
Q1. 試料の関連体積を定量化する方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)試料の関連体積が定量化される試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得し、前記プレートの1つ又は両方が、所定のスペーサ間距離及び高さを有し、それぞれその対応するプレートに固定されたスペーサを含み、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方に試料を付着させ、前記開放構成とは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄く、少なくとも1つのスペーサが試料内に位置し、
(e)プレートが閉鎖構成にある時に試料の関連体積を定量化し、
前記関連体積は、試料の一部又は全体積である。
【0546】
Q2. いくつかの実施形態において、試料の関連体積を定量化する方法は、
(a)第1のプレート及び第2のプレートを得るステップと、
(b)2つのプレートの間で定量化する試料を生じるステップと、
(c)試料の厚さを減少させる2つのプレートを圧縮し、プレート間に試料を横方向に広げることによって、試料の形状を変形させるステップと、
(d)プレートが閉鎖構成にある時に、試料の関連体積を定量化するステップとを含み、
前記関連体積は、試料の一部又は全体積である。
【0547】
9.2 試料中の関連体積を定量化するためのプレート
Q3. 試料中の関連体積を定量化するためのプレートは、
その表面に、(i)所定のスペーサ間の距離及び高さを有し、表面に固定されたスペーサと、(ii)試料と定量化される関連体積を有する試料と接触させるための試料接触領域とを含み、少なくとも1つのスペーサが、試料接触領域の内部にあるプレートを含む。
【0548】
9.3 試料中の関連体積を定量化する装置
Q4. 試料中の関連体積を定量化する装置は、
第1のプレート及び第2のプレートを含み、それは、(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、(b)それぞれ、定量化される関連体積を有する試料と接触させるための試料接触領域を有し、
1つ又は両方のプレートは、その表面に、所定のスペーサ間の距離及び高さを有し、それぞれのプレートに固定されるスペーサを含み、
前記構成の1つは、開放構成であり、2つのプレートが離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料が1つ又は両方のプレートに付着し、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートは互いに対向し、スペーサ及び試料関連体積はプレートの間に位置し、試料関連体積の厚さは、プレート及びスペーサにより調節され、かつプレートが開放構成にある時に比べて小さく、少なくとも1つのスペーサは、試料内部にあり、
試料の関連体積は、閉鎖構成で定量化され、関連体積は、試料の体積全体の少なくとも一部である。
【0549】
9−5.試料関連体積の計測
MS1. 本発明において、プレートが閉鎖構成にある時、試料の関連体積の定量化は、以下の5つの実施形態のそれぞれを含むが、それらに限定されない:
(a)機械、光学、電気又はそれらの任意の組み合わせの方法により、試料の関連体積を計測すること、
(b)機械、光学、電気、又はそれらの任意の組み合わせの方法から選択される方法を使用して、試料の関連体積に関連した1つ以上のパラメータを独立して計測すること、
(c)試料の関連体積に関連した所定の1つ以上のパラメータ(すなわち、プレートが閉鎖構成にある前に決定された試料のパラメータ)を使用すること、
(d)(i)プレートが閉鎖構成にある時、関連体積に関連した1つ以上のパラメータを測定し、(ii)プレートが閉鎖構成にある前、関連体積に関連した他のパラメータを予め決定することにより、試料の関連体積を決定すること、
(e)非試料の体積を決定すること、
(f)以上の(a、b及びc)の任意の組み合わせ。
【0550】
段落MS1の方法において、機械的方法は、スペーサ(すなわち、基板の内面とカバープレートとの間の間隔を所定の値に調節する機械的装置)、機械的プローブ又は定規、音波(例えば、間隔を測定するための超音波の反射及び/又は干渉)、又はそれらの任意の組み合わせの使用を含むが、それらに限定されない。
【0551】
段落MS1の方法において、光学的方法は、光干渉、光学撮像(例えば、試料の2D(2次元)/3D(3次元)画像を撮る)の光学撮像、複数回の光学撮像(異なる視野角、異なる波長、異なる位相及び/又は異なる偏光による)、画像処理、又はそれらの任意の組み合わせの使用を含むが、それらに限定されない。
【0552】
電気的方法は、容量、抵抗又はインピーダンスの計測、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0553】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料厚さの計測は、2つのプレートの内面間の間隔を計測することである。
【0554】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連体積に関連した所定の1つ以上のパラメータの試料を使用し、所定のパラメータは、プレートが閉鎖構成にある時にスペーサにより調節された所定の試料厚さである。
【0555】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連体積に関連した所定のスペーサの高さである所定の1つ以上のパラメータの試料を使用する。
【0556】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連体積に関連したパラメータは、閉鎖構成でのパラメータであり、それは、(i)(CROF内)第1のプレートの内面と第2のプレートの内面との間の間隔、(ii)試料厚さ、(iii)試料領域の全体又は関連部分、(iv)試料体積の全体又は関連部分、又は(v)それらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0557】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料体積又は関連試料体積の定量化は、(i)試料厚さと試料面積全体とを乗算し、試料体積全体を取得し、(ii)試料厚さと関連試料面積とを乗算し、関連試料体積を取得し、(iii)関連試料厚さと全体又は関連試料面積とを乗算し、関連試料体積を取得するステップを含む。
【0558】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、計測は、関連体積の3D(3次元)画像を撮ることである。
【0559】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連体積の定量化は、試料の関連体積の横方向面積を計測し、その後にそれと関連体積の厚さを使用して、試料の関連体積の体積を決定することにより実行され、関連体積の厚さは、スペーサの情報から決定され、スペーサの情報は、スペーサの高さを含み、
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連体積の定量化は、試料の関連体積及びスペーサの横方向面積をともに計測し、その後にそれと関連体積の厚さ及びスペーサの体液を使用して、試料の関連体積の体積を決定することにより実行され、関連体積の厚さは、スペーサの情報から決定され、
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連体積の定量化は、試料の関連体積の横方向面積及び厚さを計測することにより実行され、
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連体積の定量化は、試料の関連体積の体積を光学に計測することにより実行される。
【0560】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、スケールマークは、プレートが閉鎖構成にある時、試料の関連体積の定量化を補助するために使用され、スケールマーカーのいくつかの実施形態において、それらの使用及び測定等は、セクション2に記載される。
【0561】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連体積の定量化は、非試料体積を引くステップを含み、いくつかの実施形態において、非試料体積は本発明に記載された実施形態により決定される。
【0562】
9−4. 試料の関連体積中の分析物の濃度を定量化する装置
Q5.試料の関連体積における分析物を定量化する方法は、以下のステップ(a)、(b)を含む:
(a)段落Q1の方法におけるステップを実行し、
(b)ステップ(a)の後に関連体積からの分析物に関連した信号を計測し、前記関連体積は、試料の全体の体積の少なくとも一部である。
【0563】
Q6. 試料の関連体積における分析物を定量化する方法は、以下のステップ(a)、(b)を含む:
(a)段落Q2の方法におけるステップを実行し、
(b)ステップ(a)の後に関連体積からの分析物に関連した信号を計測し、前記関連体積が、試料の全体の体積の少なくとも一部である。
【0564】
段落Q5〜6のいずれかの方法において、いくつかの実施形態において、さらに、関連体積の体積に基づいて、試料の関連体積からの分析物に関連した信号を分割することにより、分析物濃度を計算するステップを含む。
【0565】
段落Q5〜6のいずれかの方法において、1つ又は両方のプレートは、さらに、結合部位、貯蔵部位又は両方を含む。
【0566】
段落Q5〜6のいずれかの方法において、いくつかの実施形態において、分析物に関連した信号は、直接的に分析物から又は分析物に付けられた標識からの信号である。
【0567】
Q7. 試料の関連体積における分析物を定量化する方法は、以下のステップ(a)、(b)を含む:
(a)1つ又は両方のプレートがさらに結合部位を含む段落Q1の方法におけるステップを実行し、
(b)ステップ(a)の後に関連体積からの分析物に関連した信号を計測し、前記関連体積が、試料の全体の体積の少なくとも一部である。
【0568】
Q8. 試料の関連体積における分析物を定量化する方法は、以下のステップ(a)、(b)を含む:
(a)1つ又は両方のプレートがさらに結合部位を含む段落Q2の方法におけるステップを実行し、
(b)ステップ(a)の後に関連体積からの分析物に関連した信号を計測し、前記関連体積が、試料の全体の体積の少なくとも一部である。
【0569】
段落Q7−8のいずれかの方法において、いくつかの実施形態において、分析物に関連した信号は、直接的に結合部位に結合した分析物からの信号又は結合部位に結合した分析物に付けられた標識からの信号である。
【0570】
9.5 試料中の関連体積内の分析物濃度を定量化するためのプレート
Q9. 試料中の関連体積内の分析物濃度を定量化するためのプレートは、
その表面に、(i)所定のスペーサ間の距離及び高さを有するスペーサと、(ii)定量化される関連体積での分析物濃度を有する試料と接触させるための試料接触領域とを含み、少なくとも1つのスペーサが、試料接触領域の内部にあるプレートを含む。
【0571】
9.6 試料の関連体積内の分析物濃度を定量化する装置
試料中の標的分析物及び/又は実体の数が定量化され、かつ試料の関連体積も定量化されると、試料中の標的分析物及び/又は実体の濃度を定量化又は制御することができる。
【0572】
Q10. 試料の関連体積における分析物濃度を定量化する装置は、
第1のプレート及び第2のプレートを含み、前記プレートは、(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、(b)それぞれ、定量化される関連体積での分析物濃度を有する試料と接触させるための試料接触領域を有し、1つ又は両方のプレートは、その表面に、所定のスペーサ間の距離及び高さを有するスペーサを含み、各スペーサはそれぞれのプレートに固定され、
前記構成の1つは、開放構成であり、2つのプレートが離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料が1つ又は両方のプレートに付着し、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートは互いに対向し、スペーサ及び試料関連体積はプレートの間に位置し、試料関連体積の厚さは、プレート及びスペーサにより調節され、かつプレートが開放構成にある時に比べて小さく、少なくとも1つのスペーサは、試料内部にあり、
試料の関連体積での分析物濃度は、閉鎖構成で定量化され、関連体積は、試料の体積全体の少なくとも一部である。
【0573】
段落Q9及びQ10のいずれかの装置において、プレートは、さらに、結合部位又は貯蔵部位又は両方を含む。結合部位の1つの実施形態は、試料中の分析物に結合した結合部位である。
【0574】
段落Q9及びQ10のいずれの装置において、プレートは、さらに、1つ以上のスケールマーカーを含み、スケールマーカーのいくつかの実施形態は、セクション2に記載される。
【0575】
段落Q1〜10のいずれの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、測定装置は、撮像装置及びカメラのうちの少なくとも1つを含む。
【0576】
段落Q1〜10のいずれの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、測定装置は、試料の関連体積の横方向領域を撮像するように構成される。
【0577】
段落Q1〜10のいずれの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、測定装置は、試料の関連体積の横方向領域を照らすための光源を含む。
【0578】
段落Q1〜10のいずれの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、濃度を計算するステップは、関連試料体積により、標的分析物又は実体全体を分割することである。
【0579】
段落Q1〜10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、計測信号は、光学撮像装置を用いて、標的分析物又は実体を計数する。例えば、計測は、光学顕微鏡を用いて、血液試料中の血液細胞(赤血球、白血球、血小板)を計測することであってもよい。
【0580】
段落Q1〜10のいずれの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、試料中の標的分析物又は実体の数の計測は、表面上の標的分析物又は実体を捕捉する表面固定化アッセイの実施形態であってもよい。
【0581】
いくつかの実施形態において、試料の体積を定量化するか又は試料中の分析物を検出/定量化する装置は、段落Q1〜10のいずれかの装置、(1)光学撮像装置、及び/又は(2)光源及び光学撮像装置等を含む。光学撮像装置は、フォトセンサ、光学レンズ、フィルタ、偏光子、波長板、ビームスプリッタ、機械マウント、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0582】
いくつかの実施形態において、関連試料面積又は体積の計測は、(i)第1のプレート、カバープレート、それらの間、又はそれらの任意の組み合わせにマーカーを付け、(ii)光学撮像し(例えば、試料の2D(2次元)/3D(3次元)画像を撮像する)、該撮像を、異なる視野角、異なる波長、異なる位相、及び/又は異なる偏光で複数回行い、(iii)メーカー及び試料画像に基づいて画像を処理することを含む。関連方法は、標的分析物濃度の決定に関連する。
【0583】
走査 いくつかの実施形態において、試料からの信号の読み取りは、走査方法を使用し、ここで、リーダ(例えば、光検出器又はカメラ)は、試料(又はプレート)の一部を読み取り、その後に試料(又はプレート)の他の部分に移動し、このようなプロセスは、試料(又はプレート)の特定の予め指定された部分が読み取られるまで行われる。試料への走査と読み取りは、試料(又はプレート)のすべての部分又は試料(又はプレート)の一部をカバーする。いくつかの実施形態において、走査と読み取りは、試料(又はプレート)を指示する位置マーカーにより、補助される。位置マーカーの一例は、固定された周期及び位置を有する周期的スペーサであり、又は試料又はプレートの位置を指示する所定の位置及び寸法も有する関連領域用のマーカーである。
【0584】
10 分析物などの検出及び定量化(D)
特定の実施形態において、分析物に関連した信号を計測することにより、分析物を検出及び/又は定量化(すなわち、アッセイ)する。該信号は、光学信号、電気信号、機械的信号、化学−物理的信号、又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、CROF装置内の2つのプレートが互いに接近している時に、分析物アッセイが実行される。いくつかの実施形態において、CROF装置内の2つのプレートが互いに離された時に、分析物アッセイが実行される。
【0585】
いくつかの実施形態において、光学信号は、光反射、散乱、透過、吸収、スペクトル、色、発光、強度、波長、位置、偏光、冷光、蛍光、電子発光、化学発光、電気化学発光、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。光学信号は、光学画像(すなわち、光信号と試料又は装置の位置)又は所定の面積又は体積からのすべての光子の総数の形態である。光の好ましい波長は、400nm〜1100nmの範囲、50nm〜400nmの範囲、1nm〜50nmの範囲、又は1100nm〜30000nmの範囲内にある。他の好ましい波長は、テラヘルツである。
【0586】
電気信号は、電荷、電流、インピーダンス、容量、抵抗、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。機械信号は、機械波、音波、衝撃波、又は振動を含むが、それらに限定されない。化学−物理的信号は、反応において生成されたPH値、イオン、熱、気泡、色変化を含むが、それらに限定されない。
【0587】
例えば、標識はビーズであり、かつ標識を、分析物特異的結合プロセス(すなわち、検出剤を用いてビーズを分析物に結合すること、捕捉剤を用いて分析物及びビーズを捕捉すること、捕捉剤を用いて分析物を結合して、その後に検出剤を用いてビーズを付けること、又は他の手段)により、標識に付けられる(捕捉剤及び検出剤は分析物に特異的に結合することに留意されたい)。その後に計測を用いて、分析物に付けられた各ビーズを識別し、それらを計数する。
【0588】
いくつかの実施形態において、各分析物又はビーズを、光学手段(例えば、(i)光学標識及び標識の読み取り、(ii)表面プラズモン共鳴、(iii)光学干渉、(iv)電気的方法(例えば、容量、抵抗、インピーダンス等)又は他の手段により、検知し、計数する。センサは、第1のプレート及び/又は第2のプレートの表面に位置することができる。
【0589】
特定の実施形態は、(a)表面固定化アッセイ、(b)バルクアッセイ(例えば、血球計数)及び(c)他のもので分析物濃度を決定することを含む。いくつかの実施形態において、試料体積、試料の関連体積、又は濃度の方法は、スマートフォンを使用する。
【0590】
段落Q1−10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、信号計測は、試料中の分析物の数を計測するか、又は試料中の分析物に付けられた標識の数を計測することである。段落Q5の他の実施形態において、「計測信号」は、(a)各分析物又は各分析物に付けられた各標識を識別し、(b)その数を計数することである。
【0591】
いくつかの実施形態において、電極が第1及び第2のプレートのうち1つ又は両方に置かれた場合(これはCROFを使用するいずれの方法及び装置に適用される)、分析物検出は、電気的方法である。電極は、試料の電荷、電流、容量、インピーダンス又は抵抗、又はそれらの任意の組み合わせを計測する。電極は、試料中の電解質を計測する。電極は、スペーサの厚み以下の厚みを有する。いくつかの実施形態において、電極は、スペーサの一部として機能する。電極は、様々な導電性材料により製造される。好ましい電極材料は、金、銀、アルミニウム、銅、白金、カーボンナノチューブ、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0592】
段落Q1〜10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、計測は、カメラ又は光検出器である装置と、計測を行うように構成されたプロセッサとを使用する。
【0593】
段落Q1〜Q10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態では、濃度決定装置は、計測値(体積、面積、厚さ、分析物の量、強度)に基づいて濃度を決定するように構成されたプロセッサを含む。
【0594】
段落Q1〜Q10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態では、計測された横方向領域、厚さ及び標的分子の量に基づいて、関連体積における標的分析物の濃度を決定するように構成された濃度決定装置をさらに含む。
【0595】
画素化した読解及び分析を用いる信号検出の詳細
本発明では、いくつかの実施形態において、試料、分析物、実体、結合部位、試薬、CROFプレート又はそれらの任意の組み合わせからの信号を検出して分析する。画素化した読み取り及び分析を用いる信号検出のいくつかの実施形態は、本発明に記載され、いくつかの他の実施形態は、公報番号WO2014144133A及び出願番号PCT/US2014/028417(Chouら、「Analyte Detection Enhancement By Targeted Immobilization、Surface Amplification、And Pixelated Reading And Analysis」)に記載され、それらは、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0596】
いくつかの実施形態において、信号は、異なる周波数、光強度、蛍光、色度、発光(電気及び化学発光)、ラマン散乱、時間分解信号(点滅を含む)を有する電気及び光学信号を含む電磁信号である。信号は、さらに、局部電気、局部機械、局部生物学又はプレートと読み取り装置との間の局部光学相互作用による力であってもよい。信号は、さらに、信号の空間的(すなわち、位置)、時間的及びスペクトル分布を含む。検出信号も吸収することができる。
【0597】
分析物は、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸、小分子、細胞、及び異なる形状のナノ粒子を含む。標的分析物は、溶液又は空気又は気相であってもよい。検知は、存在の検出、濃度の定量化、標的分析物の状態の決定を含む。
【0598】
いくつかの実施形態において、電界は、分子選択性、又は結合及び検出を補助するために用いられる。
【0599】
検出/読み取り方法
光学検出(すなわち、電磁放射による検出)のいくつかの実施形態において、方法は、遠視野光学方法、近接場光学方法、落射蛍光分光法、共焦点顕微鏡法、2光子顕微鏡法、全反射顕微鏡法を含むが、これらに限定されず、標的分析物は電磁放射エミッタによって標識され、これらの顕微鏡中の信号は、CROFプレートの増幅表面により増幅することができる。
【0600】
いくつかの実施形態において、信号は、位置、局部強度、局部スペクトル、局部偏波、局部位相、前記信号の局部ラマンシグネチャ、又はそれらの任意の組み合わせの情報を含む。
【0601】
いくつかの実施形態において、信号検出は、ある領域からの一括信号(すなわち、領域内のとの位置かに関わらず、領域からの信号)を計測することである。
【0602】
いくつかの実施形態では、信号検出は、ある領域の信号画像(すなわち、信号と位置)を検出することであり、すなわち、該領域を複数の画素に分割し、かつ該領域の各画素中の信号を個別に検出することであり、「PIX」又は「画素化画像検出」とも呼ばれる。各画素の個々の計測は、並行又は順次又は混合であってもよい。
【0603】
いくつかの実施形態では、読み取りは、適切な検出システムを使用して、信号を順次又は並行して、又はそれらの組み合わせで検出し、順次検出において、1つ又は複数の画素を1回に検出し、かつスキャナを用いて検出をSALの他の領域に移動する。並行検出においては、撮像カメラ(例えばCCDカメラ)のようなマルチ画素検出器アレイを使用して、異なる画素からの信号を同時に検出する。走査は、単一のパス又は異なる画素寸法を有するマルチパスである。PCT/US2014/028417の
図2Cは、x、y、z状態での画素化した読み取りを概略的に示す。
【0604】
読み取り/検出のための画素寸法は、光学解像度と全読み取り時間のバランスのために調節される。小さな画素寸法は、SALの全体又は一部の読み取り/走査により長い時間がかかる。一般的な画素サイズは、1μm〜10μmである。画素の形状は、円形、正方形、長方形である。画素寸法の下限は、顕微鏡システムの光学解像度により決定され、画素寸法の上限は、撮像装置(光学収差、照明均一度等)の不均一な光学応答による読み取りエラーを回避するために、決定される。
【0605】
読み取りシステム
PCT/US2014/028417の図面を参照すると、読み取りシステムの一実施形態は、(a)CROF用の1つ又は複数のプレートと、(b)個々の標的分析物の結合事象を表す、前記プレートの表面から発する信号の画像を生成するための読み取り装置205と、(c)プレートと撮像装置を保持する装置アセンブリ300と、(d)前記画像を記憶するための電子機器及びデータ記憶装置301と、(e)画像のある領域内の個々の結合事象を識別し計数するためのプログラミングを含むコンピュータとを含む。
【0606】
装置アセンブリ300は、信号を読み取るために、3つ(x,y,z)の直交方向の少なくとも1つで、プレートと読み取り装置との間の相対位置を制御し、変更する。装置アセンブリの実施形態は、走査機301を含む。いくつかの実施形態において、走査機301は、3つ(x,y,z)の直交方向の少なくとも1つを走査する。
【0607】
いくつかの実施形態では、読み取り装置302はCCDカメラであり、いくつかの実施形態では、読み取り装置302は、光学フィルタ303、分光計、レンズ304、アパーチャ、ビームスプリッタ305、ミラー306、偏光子307、波長板及びシャッタから選択される1つ又は複数の他の光学機器を含む光検出器である。いくつかの実施形態において、読み取り装置302は、ローカル及びリモート通信機能を有するスマートフォン又は携帯電話である。読み取り装置は、前記信号の位置、局部強度、局部スペクトル、局部ラマンシグネチャ、又はそれらの任意の組み合わせを収集する。
【0608】
いくつかの実施形態において、光学フィルタ303、ビームスプリッタ305、光ファイバ、光検出器(例えば、pn接合、ダイオード、PMT(光電子増倍管)、又はAPD(アバランシェフォトダイオード))、撮像カメラ(例えば、CCDカメラ又は携帯電話のカメラ))、及び分光計は、装置アセンブリ301によって提供されるスキャナとともに、遠視野共焦点設定又は広視野設定を使用する顕微鏡システムに結合される。
【0609】
いくつかの実施形態において、共焦点設定では、読み取りは、1つ以上の画素の輝度、時間変化及びスペクトル変化を1回記録し、SALの関心対象領域全体をラスタ走査することにより、実行される。いくつかの実施形態において、広視野設定では、カメラは、SAL領域の全体又は一部の輝度及び時間変化を記録するために使用される。いくつかの実施形態において、適切な光学フィルタ及び光ビームマニピュレータ(偏光子、ビームスプリッタ、光ファイバ等)は、所望の信号のみが収集し、検出されるように確保するために、必要とされる。PCT/US2014/028417の
図9は、このシステム用の構成要素の一配置を概略的に示す。いくつかの実施形態では、分析は、Open−CV又はImage−Jにおける方法を含むが、これらに限定されない画像化処理方法を含む。
【0610】
画素化した分析(PIX) PIXのいくつかの実施形態において、画素化した方法で検出された信号は、特定の画素又は複数の画素での特定の分子の数及び/又はタイプを決定するために分析され、次に、それは、標的分析物のタイプ及び/又は濃度を定量化するために使用される。用語「画素化方法による信号検出」とは、信号を有する領域を複数の画素に分割し、かつ該領域の各画素中の信号を個別に検出する方法を指し、「PIX」又は「画素化画像検出」とも呼ばれる。各画素の個々の計測値は、並行又は順次又は混合であってもよい。
【0611】
いくつかの実施形態において、分析は、信号の空間、テンポ、スペクトル情報を分析することを含む。いくつかの実施形態では、分析は、統計分析、比較、統合等を含むが、それらに限定されない。PCT/US2014/028417の
図5は、該方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【0612】
11 標識
本開示全体に記載された光標識の実施形態の1つ又は任意の組み合わせは、本発明の説明全体に記載されたすべての方法及び装置に適用される。
【0613】
いくつかの実施形態において、標識は、検出剤、分析物又は実体(複数可)に付けられる。特定の実施形態において、前記標識は、光標識、電気的標識、光学的又は電気的信号を生成するために用いられる酵素、又はそれらの任意の組み合わせである。特定の実施形態において、検出剤、分析物又は実体(複数可)は、その後に標識に付けられる接続分子(例えば、タンパク質、核酸、又は他の化合物)に付けられる。いくつかの実施形態では、細胞(例えば血球、細菌等)又はナノ粒子は、標識によって染色される。いくつかの実施形態では、光標識は、光信号を生成可能な物体であり、光信号の生成は、光(すなわち、光子)の反射、散乱、透過、吸収、スペクトル、色、放射、強度、波長、位置、偏光、発光、蛍光、エレクトロルミネッセンス、フォトルミネセンス(蛍光)、化学発光、電気化学発光又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、光信号は、光学画像(すなわち、光信号と試料又は装置の位置)又は所定の面積又は体積からのすべての光子の総数の形態である。光の好ましい波長は、400nm〜1100nmの範囲、50nm〜400nmの範囲、1nm〜50nmの範囲、又は1100〜30000nmの範囲内にある。他の好ましい波長は、テラヘルツである。
【0614】
ビーズ、ナノ粒子及び量子ドット いくつかの実施形態において、光標識は、ビーズ、ナノ粒子、量子ドット、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0615】
いくつかの実施形態において、ビーズ、ナノ粒子又は量子ドットの直径は、1nm以下、2nm以下、5nm以下、10nm以下、20nm以下、30nm以下、40nm以下、50nm以下、60nm以下、70nm以下、80nm以下、100nm以下、120nm以下、200nm以下、300nm以下、500nm以下、800nm以下、1000nm以下、1500nm以下、2000nm以下、3000nm以下、5000nm以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0616】
いくつかの実施形態において、ビーズ又は量子ドットは標識として使用され、かつそれらはCROFのプレート上に予め塗布され、2つのプレート間の内部間隔は、1μm以下、10μm以下、50μm以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0617】
いくつかの実施形態における、溶液中のビーズ間の分離
・拡散時間(搬送媒体の関連体積の厚さは、厚さ全体にわたる光標識の拡散時間が1ms未満であることをもたらし、
・溶解時間を制御することができる。光子、熱量又は他の励起及びそれらの組み合わせを用いて制御することができる。励起エネルギーが印加されるまで、溶解は開始しない。
【0618】
標識のいくつかの実施形態において、10nm以上の直径を有するナノ粒子である。このような大きな直径のナノ粒子は、拡散定数が小さな分子(質量<1000Da)及び大きな分子(質量=1000〜1000000ダルトン(da))よりも小さいため、所定の溶液及び距離に対する拡散時間が長くなる。拡散時間の短縮は、拡散距離を減少させることである。
【0619】
光標識が数ナノメートルより大きい直径を有するビーズ又は他のナノ粒子である場合、それらは従来技術に対して特別な利点を有する。これは、液体中の物体の拡散定数が、1次近似に対して、物体の直径に反比例するからである(アインシュタイン・ストークス方程式による)。
【0620】
例えば、それぞれ直径20nm、200nm及び2000nmを有するビーズ光標識は、拡散定数を有し、従って、2nmのビーズより10倍、100倍及び1000倍大きい拡散時間を有する。現在アッセイで使用される典型的な拡散距離に対して、これはPoC(ポイントオブケア)アプリケーション用の実際の飽和インキュベーション時間が長いことをもたらす。
【0621】
しかし、本発明は、数ナノメートルより大きい直径を有する光標識用のインキュベーション時間が長いという問題を解決した。本発明は、プレート表面に貯蔵された光標識を有し、次に、サブミリメートル、ミクロン又はナノメートルスケールで(2つの間の)別個の距離を有する結合部位に隣接する貯蔵表面に置き、搬送媒体で分離隙間を充填する(貯蔵された光標識が搬送媒体に溶解し、結合部位に拡散する)。本発明は、さらに、大きな結合部位の領域にわたってこのような小さな距離を均一に制御することができ、かつスペーサ技術を使用することによって容易に制御することができる。
【0622】
分析物を標識することは、例えば、検出可能な標識を含む分析物特異的結合メンバーのような標識剤を使用することを含んでもよい。検出可能な標識には、蛍光標識、比色標識、化学発光標識、酵素結合試薬、多色試薬、アビジン−ストレプトアビジン関連検出試薬などを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において、検出可能な標識は蛍光標識である。蛍光標識は、蛍光検出器によって検出可能な標識部分である。例えば、関心対象となる分析物への蛍光標識の結合は、関心対象となる分析物を蛍光検出器によって検出することを可能にしてもよい。蛍光標識の実施例は、試薬と接触すると蛍光を発する蛍光分子、電磁放射線(例えば、UV、可視光線、X線など)で照射される場合に蛍光を発する蛍光分子などを含むが、これらに限定されない。
【0623】
特定の実施形態では、標識用の適切な蛍光分子(蛍光体)は、IRDye800CW、Alexa 790、Dylight 800、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、カルボキシフルオレセインのスクシンイミジルエステル、フルオレセインのスクシンイミジルエステル、フルオロセインジクロロトリアジンの5−異性体、ケージドカルボキシフルオレセイン−アラニン−カルボキシアミド、オレゴングリーン488、オレゴングリーン514、ルシファーイエロー、アクリジンオレンジ、ローダミン、テトラメチルローダミン、テキサスレッド、ヨウ化プロピジウム、JC−1(5,5’,6,6’−テトラクロロ−1,1’,3,3’−テトラエチルベンゾイミダゾイルカルボシアニンヨウ化物)、テトラブロモローダミン123、ローダミン6G、TMRM(テトラメチルローダミンメチルエステル)、TMRE(テトラメチルローダミンエチルエステル)、テトラメチルロサミン、ローダミンB及び4−ジメチルアミノテトラメチルロサミン、緑色蛍光タンパク質、青色偏移緑色蛍光タンパク質、シアン偏移緑色蛍光タンパク質、赤色偏移緑色蛍光タンパク質、黄色偏移緑色蛍光タンパク質、4−アセトアミド−4’−イソチオシアネートスチルベン−2,2’ジスルホン酸、アクリジン、アクリジンイソチオシアネートなどのアクリジン及び誘導体、5−(2’−アミノエチル)アミノナフタリン−1−スルホン酸(EDANS)、4−アミノ−N−[3−ビニルスルホニル)フェニル]ナフト−アリミド−3,5ジスルホン酸塩、N−(4−アニリノ−1−ナフチル)マレイミド、アントラニルアミド、4,4−ジフルオロ−5−(2−チエニル)−4−ボラ−3a,4aジアザ−5−インダセン−3−プロピオニ−c酸BODIPY、カスケードブルー、ブリリアントイエロー、クマリン、7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC、クマリン120)、7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン(クマリン151)のようなクマリン及び誘導体、シアニン色素、シアノシン、4’,6−ジアミニジノ−2−フェニルインドール(DAPI)、5’,5”−ジブロモピロガロール−スルホナフタレイン(ブロモピロガロールレッド)、7−ジエチルアミノ−3−(4’−イソチオシアナトフェニル)−4−メチルクマリン、ジエチレントリアミンペンタアセテート、4,4’−ジイソチオシアナートジヒドロ−スチルベン−2−,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジイソチオシアナートスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、5−(ジメチルアミノ]ナフタリン−1−スルホニルクロリド(DNS、ダンシルクロリド)、4−ジメチルアミノフェニルアゾフェニル−4’−イソチオシアネート(DABITC)、エオシン、エオシンイソチオシアネートのようなエオシン及び誘導体、エリスロシンB、エリスロシン、イソチオシアネートのようなエリスロシン及び誘導体、エチジウム、5−カルボキシフルオレセイン(FAM)、5−(4,6−ジクロロトリアジン−2−イル)アミノ−−フルオレセイン(DTAF)、2’,7’ジメトキシ−4’5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(JOE)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、QFITC、(XRITC)のようなフルオレセイン及び誘導体、フルオレスカミン、IR144、IR1446、マラカイトグリーンイソチオシアネート、4−メチルウンベリ−フェロネオルトクレゾールフタレイン、ニトロチロシン、パラローザニリン、フェノールレッド、B−フィコエリトリン、o−フタルジアルデヒド、ピレン、ピレン酪酸、スクシンイミジル1−ピレンのようなピレン及び誘導体、ブチラート量子ドット、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシローダミン(R6G)、リサミンローダミンBスルホニルクロリドローダミン(Rhod)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、スルホローダミン101のスルホニルクロリド誘導体(テキサスレッド)のようなリアクティブレッド4(チバクロン(商標)ブリリアントレッド3B−A)ローダミン及び誘導体、N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、テトラメチルローダミン、テトラメチルホダミンイソチオシアネート(TRITC)、リボフラビン、5−(2’−アミノエチル)アミノナフタリン−1−スルホン酸(EDANS)、4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、ロゾール酸、CAL Fluor Orange 560、テルビウムキレート誘導体、Cy3、Cy5、Cy5.5、Cy7、IRD700、IRD800、ラヨラブルー、フタロシアニン、及びナフタロシアニン、クマリン及び関連色素、キサンテン色素、例えば、ロードール、レソルフィン、ビマン、アクリジン、イソインドール、ダンシル色素、アミノフタルヒドラジド、例えばルミノール、及びイソルミノール誘導体、アミノフタルイミド、アミノナフタルイミド、アミノベンゾフラン、アミノキノリン、ジシアノヒドロキノン、蛍光ユーロピウム及びテルビウム錯体、これらの組み合せなどを含むが、これらに限定されない。適切な蛍光タンパク質及び発色性タンパク質は、オワンクラゲに由来する緑色蛍光タンパク質(GFP)又はその誘導体、例えば増強GFPなどの「ヒト化」誘導体、ウミシイタケ、レニラムレリ、チロサルクスゲルニのような別の種からのGFP、「ヒト化」組み換えGFP(hrG FP)を含むがそれに限定されないGFP、花虫類種からの様々な蛍光及び着色タンパク質のいずれか、それらの組み合せなどを含むが、これらに限定されない。
【0624】
いくつかの実施形態では、色素は、血球を染色するために用いられ、色素は、ライト染色(エオシン、メチレンブルー)、ギムザ染色(エオシン、メチレンブルー、アズールB)、メイ−グリンヴァルト色素、リーシュマン染色(「多色性」メチレンブルー(つまり、脱メチル化して様々な青色になる)及びエオシン)、エリスロシンB染色(エリトロシンB)及び他の蛍光染色を含み、これらの蛍光染色は、アクリジンオレンジ色素、3,3−ジヘキシルオキサカルボシアニン(DiOC6)、ヨウ化プロピジウム(PI)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)及びベーシックオレンジ21(BO21)色素、臭化エチジウム、ブリリアントスファフラビン及びスチベンジスルホン酸誘導体、エリスロシンB又はトリパンブルー、ヘキスト33342、三塩酸塩、三水和物及びDAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール、二塩酸塩)を含むが、これらに限定されない。
【0625】
特定の実施形態では、標識剤は、関心対象となる分析物に特異的に結合するように構成され、いくつかの実施形態では、試料をCROF装置に適用する前に、標識剤はCROF装置内に存在してもよい。他の実施形態では、試料をCROF装置に適用した後、標識剤をCROF装置に適用してもよく、いくつかの実施形態では、試料をCROF装置に適用した後、CROF装置を洗浄して、試料中の非結合分析物及び他の非分析物成分のようないずれかの非結合成分を除去し、かつ洗浄後に標識剤をCROF装置に適用して結合分析物を標識してもよい。いくつかの実施形態では、標識剤が分析物−捕捉剤複合体に結合した後にCROF装置を洗浄して、CROF装置から非結合の分析物−捕捉剤複合体のいかなる過剰の標識剤を除去してもよい。
【0626】
特定の実施形態では、分析物をCROF装置に結合した後、例えば、分析物をCROF装置(例えば、サンドイッチ型アッセイ内)に結合し、同時に捕捉剤として分析物に結合可能な標識結合剤を使用して、分析物を標識する。いくつかの実施形態では、核酸分析物をCROF装置に捕捉してもよく、かつ標識された核酸は、核酸分析物がCROF装置に結合される捕捉剤として分析物に同時にハイブリダイズすることができる。
【0627】
特定の態様では、CROF装置は、分析物に直接的又は間接的に結合され、次にCROF装置に結合される検出可能な標識によって生成される蛍光又は発光のような光信号を増強する。特定の実施形態において、信号は、信号増幅の物理的プロセスによって増強される。いくつかの実施形態において、光信号は、ナノプラズモン効果(例えば、表面増強ラマン散乱)によって増強される。ナノプラズモン効果による信号増強の例は、参照文献として本明細書に組み込まれた例えば、LiらのOptics Express 2011 19:3925−3936及びWO2012/024006に記載しており、特定の実施形態において、に信号の増強は、信号の生物学的/化学的増幅を使用せずに達成する。信号の生物学的/化学的増幅は、信号の酵素的増幅(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)に使用される)及び信号のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅を含んでもよい。他の実施形態において、物理的プロセス及び生物学的/化学的増幅によって信号の増強を達成してもよい。
【0628】
感度 特定の実施形態において、CROF装置は、0.1nM以下、例えば、10pM以下、又は1pM以下、又は100fM以下、例えば、1fM以下、又は0.5fM以下、又は100aM以下、又は50aM以下、又は20aM以下を含む10fM以下の検出感度を有するように構成され、特定の実施形態において、CROF装置は、100aM〜100fMを含む20aM〜10pM、50aM〜1pMのような10aM〜0.1nM範囲内の検出感度を有するように構成される。いくつかの場合に、CROF装置は、濃度が1ng/mL以下、例えば10pg/mL以下、1pg/mL以下、100fg/mL以下、10fg/mL以下又は5fg/mL以下を含む100pg/mL以下の分析物を検出するように構成され、いくつかの場合に、CROF装置は、濃度が1fg/mL〜1ng/mL、例えば10fg/mL〜10pg/mLを含む5fg/mL〜100pg/mLの分析物を検出するように構成される。特定の実施形態において、CROF装置は、7桁以上を含む6桁以上のような5桁以上のダイナミックレンジを有するように構成される。
【0629】
読み取り場合によっては、試料のCROF装置への適用からCROF装置への読み取りまでの期間は、1秒〜30分、例えば、1分〜5分を含む10秒〜20分、30秒〜10分の範囲にあってもよい。場合によっては、試料の信号増強検出器への適用から装置によって受信可能な出力の生成までの期間は、1時間以下、30分以下、15分以下、10分以下、5分以下、3分以下、1分以下、50秒以下、40秒以下、30秒以下、20秒以下、10秒以下、5秒以下、2秒以下、1秒以下であってもよく、あるいはさらに短くてもよい。場合によっては、試料の信号増強検出器への適用から装置によって受信可能な出力の生成までの期間は、200ミリ秒以上を含む100ミリ秒以上、例えば、500ミリ秒以上、1秒以上、10秒以上、30秒以上、1分以上、5分以上であってもよく、あるいはさらに長くてもよい。
【0630】
任意の適切な方法でCROF装置を読み取って試料内の分析物の量を計測することができる。いくつかの実施形態では、CROF装置への読み取りは、CROF装置内の分析物に結合した検出可能な標識から電磁信号を得ることを含む。特定の実施形態において、電磁信号は光信号である。得られる光信号は、光の強度、光の波長、光源の位置などを含むことができる。特定の実施形態において、標識によって生成される光信号は、300nm〜900nmの範囲内の波長を有する。特定の実施形態では、光信号は、CROF装置の視像の形態で読み取られる。
【0631】
特定の実施形態では、CROF装置への読み取りは、光源のような電磁放射線源をCROF装置内のバイオマーカーに結合された検出可能な標識の励起源として提供することを含む。光源は、検出可能な標識を励起するための任意の適切な光源であってもよい。例示的な光源は、日光、外乱光、UVランプ、蛍光ランプ、発光ダイオード(LED)、フォトダイオード、白熱灯、ハロゲンランプなどを含むが、これらに限定されない。
【0632】
任意の適切な方法でCROF装置への読み取りを達成して、試料内の分析物の量を計測し、かつCROF装置に結合し、いくつかの実施形態では、CROF装置内の分析物に結合した検出可能な標識から電磁信号を得るように構成された装置を使用してCROF装置を読み取る。場合によっては、装置は、携帯電話又はスマートフォンのようなハンドヘルドデバイスである。CROF装置を読み取るように構成された任意の適切なハンドヘルドデバイスを、本発明の装置、システム及び方法に使用することができる。CROF装置を読み取るように構成された特定の装置は、参照文献として本明細書に組み込まれた2014年10月21日に出願された米国仮出願第62/066,777号に記載されている。
【0633】
いくつかの実施形態では、装置は、CROF装置から光信号を取得し、例えば、CROF装置の画像を取得するように構成された光記録装置を含む。場合によっては、光記録装置は、デジタルカメラのようなカメラである。用語「デジタルカメラ」とは、光学画像を形成するための撮像レンズシステム、光学画像を電気信号に変換するための画像センサ及び他の部品を備えた撮像装置を主要部品とする任意のカメラであり、そのようなカメラの例は、デジタルスチルカメラ、デジタルムービーカメラ及びウェブカメラ(すなわち、ネットワークに直接接続されたものと、情報処理能力を有するパーソナルコンピュータのような装置を介してネットワークに接続されたものとの両方を含む画像の交換を可能にするために、ネットワークに接続された装置に公的に又は私的に接続されたカメラ)を含む。ある例において、CROF装置を読み取ることは、経時変化を捕捉することができるビデオ撮像を含んでもよい。例えば、ビデオを取得してCROF装置に適用された試料の動的変化に関する評価を提供してもよい。
【0634】
特定の実施形態において、光記録装置は、研究/臨床実験室装置に使用された高感度光記録装置の感度よりも低い感度を有する。場合によっては、本方法に用いられた光記録装置は、研究/臨床実験室装置に使用された高感度光記録装置の感度よりも、200倍以上、500倍以上、1000倍以上を含む100倍以上のような10倍以上低い感度を有する。
【0635】
特定の実施形態において、該装置は、ビデオディスプレイを有してもよい。ビデオディスプレイは、ディスプレイページがユーザに知覚可能な方法で表示されてもよいコンポーネント、例えば、コンピュータモニタ、陰極線管、液晶ディスプレイ、発光ダイオードディスプレイ、タッチパッド又はタッチスクリーンディスプレイ、及び/又は視覚的に知覚可能な出力を発するための当技術分野で知られている他の手段を含んでもよく、特定の実施形態では、装置は、検出器から取得された画像及び/又は処理されたデータから生成されたレポートなどの情報を表示し、情報が対象によって入力されることを可能にするためのタッチスクリーンを備える。
【0636】
12 多重化
本明細書に記載の任意の実施形態において、システムは、多重アッセイを実施するように設計されてもよく、かつ複数の貯蔵部位、複数の結合部位、又は複数の貯蔵部位及び複数の結合部位を含むことにより、異なるアッセイを1つのプレートの表面上の異なる領域で実施することができる。例えば、一実施形態において、1つのプレートは、それぞれ異なる捕捉剤を含む複数の結合部位を含んでもよく、従って、同じアッセイにおける試料中の複数の分析物の検出を可能にする。これらの部位は、互いに近位であるが、空間的に分離されもよい。
【0637】
図16は、本発明の例示的な実施形態、すなわち1枚のプレートの1つの結合部位と他のプレートの複数の貯蔵部位を使用する単一のCROF装置における多重検出を概略的に示す。図(a)及び(b)は、それぞれ例示的な装置の斜視図及び断面図である。例示的な場合では、多重化されたCROF装置は、第1のプレート及び第2のプレートを含み、前記第1のプレートの1つの表面は1つの結合部位を有し、前記第2のプレートの1つの表面は複数の貯蔵部位を有し、異なる貯蔵部位は、異なる濃度を有する同じ検出剤を有することができ、あるいは、同じ又は異なる濃度を有する異なる検出剤を有することができる。いくつかの実施形態では、結合部位の面積は、各貯蔵部位の面積よりも大きく、いくつかの実施形態において、結合部位の面積は、すべての貯蔵部位の総面積よりも大きく、及び/又は結合部位は貯蔵部位と整列される(すなわち、それらは相互の上部にあり、すなわち、結合部位と貯蔵部上の点との間の最短距離は同じであるか又はほぼ同じである)。
【0638】
図17は、本発明のさらなる例示的な実施形態、すなわち1枚のプレートの1つの貯蔵部位と他のプレートの複数の結合部位を使用する単一のCROF装置における多重検出を概略的に示す。図(a)及び(b)は、それぞれ例示的な装置の斜視図及び断面図であり、例示的な場合では、多重化されたCROF装置は、第1のプレート及び第2のプレートを含み、前記第1のプレートの1つの表面は複数の結合部位を有し、前記第2のプレートの1つの表面は1つの貯蔵部位を有し、異なる結合部位は、異なる濃度を有する同じ捕捉剤を有することができ、あるいは、同じ又は異なる濃度を有する異なる捕捉剤を有することができる。いくつかの実施形態において、貯蔵部位の面積は、各結合部位の面積よりも大きい。いくつかの実施形態において、貯蔵部位の面積は、すべての結合部位の総面積よりも大きく、及び/又は貯蔵部位は結合部位と整列される(すなわち、それらは相互の上部にある)。
【0639】
図18は、本発明のさらなる例示的な実施形態、すなわち1枚のプレートの複数の結合部位と他のプレートの複数の対応する貯蔵部位を使用する単一のCROF装置における多重検出を概略的に示す。図(a)及び(b)は、それぞれ例示的な装置の斜視図及び断面図である。多重化されたCROF装置は、第1のプレート及び第2のプレートを含み、前記第1のプレートの1つの表面は複数の結合部位を有し、前記第2のプレートの1つの表面は複数の対応する貯蔵部位を有し、各対応する貯蔵部位は、第1のプレート上の結合部位の位置に対応する第2のプレート上の位置に配置されることにより、プレートが対向して配置される場合、各結合部位は1つの貯蔵部位のみと重なり、各貯蔵部位は1つの貯蔵部位のみと重なり、異なる貯蔵部位は、異なる濃度を有する同じ検出剤を有することができ、あるいは、同じ又は異なる濃度を有する異なる検出剤を有することができ、異なる貯蔵部位は、異なる濃度を有する同じ捕捉剤を有することができ、あるいは、同じ又は異なる濃度を有する異なる捕捉剤を有することができる。
【0640】
いくつかの実施形態では、
図10、11及び12のいずれか1つの装置において、第1のプレートは、その表面に、第1の所定のアッセイ部位及び第2の所定のアッセイ部位をさらに含み、プレートが閉鎖位置にあるとき、アッセイ部位の縁部間の距離は、均一な厚さの層の厚さより実質的に大きく、試料の均一な厚さの層の少なくとも一部は、所定のアッセイ部位の上方に位置し、前記試料は、試料に拡散できる1つ以上の分析物を有する。アッセイの飽和インキュベーションが2つの隣接する部位間の顕著な相互拡散の間に完了することができるので、隣接する複数のアッセイ部位の縁部間の距離を試料の厚さよりも大きくすることにより、試料の異なる部分を流体的に隔離することなく複数の結合部位を有することが可能になる。隣接する距離と試料の厚さの比を適切に選択し、かつアッセイの飽和インキュベーション時間より長いが2つの隣接する部位の間の顕著な相互拡散の時間より短い計測時間を適切に選択することにより、試料の異なる部分を離すことなく、CROFにより多重化を行うことができる。いくつかの実施形態において、閉鎖構成における試料厚さに対する隣接する距離の比は、1.5以上、3以上、5以上、10以上、20以上、30以上、50以上、100以上、200以上、1000以上、10000以上、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。この比は、好ましい実施形態において3以上であり、他の好ましい実施形態において5以上であり、特定の好ましい実施形態において10以上であり、別の好ましい実施形態において30以上であり、別の好ましい実施形態において100以上である。
【0641】
いくつかの実施形態では、
図10、11及び12のいずれか1つの装置において、第1のプレートは、その表面に、少なくとも3つの分析物アッセイ部位を有し、プレートが閉鎖位置にあるとき、任意の2つの隣接したアッセイ部位の縁部間の距離は、均一な厚さの層の厚さより実質的に大きく、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、アッセイ部位の上方に位置し、前記試料は、試料に拡散できる1つ以上の分析物を有する。
【0642】
いくつかの実施形態では、
図10、11及び12のいずれか1つの装置において、前記第1のプレートはその表面に、前記プレートが閉鎖位置にある時、均一な厚さの層の厚さよりも実質的に大きい距離により分離されない少なくとも2つの隣接した分析物アッセイ部位を有し、前記均一な厚さの層の少なくとも一部は、前記アッセイ部位にあり、前記試料は、前記試料中で拡散できる1つ以上の分析物を有する。
【0643】
段落U1−6、X−6、P1−8、W1−6、V1−4、UAB1−8、M1−2、S1−2、Q110及びH1のいずれか、ならびにそれらの任意の組み合わせの方法又は装置では、第1及び第2のプレートは、多重化検出のために
図10、
図11、又は
図12に記載されるように、結合部位及び貯蔵部位をさらに含む。
【0644】
これらの実施形態では、該装置は、流体的隔離がない場合(すなわち、アッセイ領域間の物理的障壁がない)に液体試料を対比し、多重化し、アッセイすることができる。該装置は、第1のプレート及び第2のプレートを含み、i.プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、1つ又は両方のプレートは可撓性であり、ii.1つ又は両方のプレートは、それぞれの対応するプレートに固定されたスペーサを含み、かつスペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び所定の一定のスペーサ間距離を有し、iii.各プレートは、それらのそれぞれの表面上に、試料内に拡散できる1つ以上の標的分析物を含む、試料と接触するための試料接触領域を有し、iii.第1のプレートは、その表面に、それぞれが試料の対応する標的分析物に結合しかつ固定化する捕捉剤含有の所定の領域を有する1つ以上の結合部位を有し、iv.第2のプレートは、その表面に、それぞれが試料と接触する時に試料内に溶解しかつ試料内に拡散する濃度の検出剤を含み、かつ所定の領域を有する1つ以上の対応する貯蔵部位を有し、各捕捉剤、標的分析物及び対応する検出剤は、第1のプレートの結合部位で捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチを形成することができ、1つの形態は、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料がプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、別の形態は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、i.少なくとも一部の試料は、厚さが均一な層に圧縮され、該層が2つのプレートの内表面と接触し、それにより1つ以上の結合部位と1つ以上の貯蔵部位を限定しかつ覆い、ii.1つ以上の対応する貯蔵部位は1つ以上の結合部位の上方にあり、iii.層の均一な厚さをスペーサ及びプレートにより調節し、それは250μmより小さく、各貯蔵部位の所定の領域の線形寸法より実質的に小さく、iv.結合部位及び/又は貯蔵部位の間に流体的隔離がなく、隣接する貯蔵部位の縁部間の分離と隣接する結合部位の縁部間の分離は、標的分析物又は検出剤の関連時間内の拡散可能な距離より大きく、かつ結合部位及び/又は貯蔵部位の間に流体的隔離がない。
【0645】
いくつかの実施形態において、第1のプレートは、その表面に、複数(少なくとも2箇所、少なくとも4箇所、又は少なくとも16箇所又はそれ以上)の結合部位を有する。
【0646】
いくつかの実施形態において、各結合部位は、異なる標的分析物に結合される。
【0647】
いくつかの実施形態において、第2のプレートは、その表面に、複数(少なくとも2箇所、少なくとも4箇所、又は少なくとも16箇所又はそれ以上)の対応する貯蔵部位を有する。
【0648】
いくつかの実施形態において、各対応する貯蔵部位は、異なる標的分析物に結合される。
【0649】
いくつかの実施形態において、第1のプレートは、その表面に、複数の結合部位を有し、第2のプレートは、その表面に、複数の対応する貯蔵部位を有し、プレートが閉鎖構成にある時、各結合部位は対応する貯蔵部位に対向する。
【0650】
いくつかの実施形態において、第1のプレートは、その表面に、複数の結合部位を有し、第2のプレートは、その表面に、1つの貯蔵部位を有し、プレートが閉鎖構成にある時に、結合部位のうちの少なくともいくつかの結合部位は貯蔵部位中の1つの領域に対向する。
【0651】
いくつかの実施形態において、第1のプレートは、その表面に、1つの結合部位を有し、第2のプレートは、その表面に、複数の貯蔵部位を有し、プレートが閉鎖構成にある時、貯蔵部位のうちの少なくともいくつかの貯蔵部位は結合部位中の1つの領域に対向する。
【0652】
いくつかの実施形態において、第1のプレートは、その表面に、複数の結合部位を有し、結合部位は、同じ標的分析物に結合し、固定化する異なる捕捉剤を含む。
【0653】
いくつかの実施形態において、第1のプレートは、その表面に、複数の結合部位を有し、結合部位は、同じ捕捉剤を含む。
【0654】
いくつかの実施形態において、捕捉剤は、異なる結合部位において密度が異なる。これらの実施形態は、試料中の分析物の量を定量化する方法を提供するために使用されてもよい。
【0655】
いくつかの実施形態において、2つの隣接する結合部位又は2つの隣接する貯蔵部位の間に分離部が存在し、閉鎖構成での試料の厚さに対する分離の比は、少なくとも3であり、例えば少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20又は少なくとも50である。
【0656】
いくつかの実施形態において、スペーサ間距離は、1μm〜120μmの範囲内にある。
【0657】
いくつかの実施形態において、可撓性プレートの厚さは、20μm〜250μmの範囲内(例えば50μm〜150μmの範囲内)にあり、かつヤング率は0.1GPa〜5GPaの範囲内(例えば、0.5GPa〜2GPaの範囲内)にある。
【0658】
いくつかの実施形態において、可撓性プレートの厚さに可撓性プレートのヤング率を乗算した値は、60GPa−μm〜750GPa−μmの範囲内にある。
【0659】
いくつかの実施形態において、該方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)試料内に拡散できる1つ以上の標的分析物を含有する試料を取得し;
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
i.1つ又は両方のプレートは、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、かつ1つ又は両方のプレートは可撓性であり、
ii.スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び所定の一定のスペーサ間距離を有し、
iii.第1のプレートは、その表面に、(a)における対応する標的分析物に結合して固定化する捕捉剤を含む所定の領域をそれぞれ有する1つ以上の結合部位を有し、
iv.第2のプレートは、その表面に、それぞれ所定の領域を有し、試料に接触すると、試料に溶解して試料内に拡散するある濃度の検出剤を含む1つの以上の対応する貯蔵部位を含み、各捕捉剤、標的分析物及び対応する検出剤は、第1のプレートの結合部位に捕捉剤−標的分析物−検出剤のサンドイッチを形成でき;
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、1つ又は両方のプレートに試料を付着させ、前記開放構成とは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間距離がスペーサにより調節されない構成であり;
(d)(c)の後に、2つのプレートを閉鎖構成にすることにより試料を圧縮し、閉鎖構成は、i.試料の少なくとも一部が、2つのプレートの内表面に接触し、それによって限定され、かつ1つ以上の結合部位及び1つ以上の貯蔵部位に接触する均一な厚さの層に圧縮され、ii.1つ以上の対応する貯蔵部位が1つ以上の結合部位上にあり、iii.層の均一な厚さがスペーサ及びプレートによって調節され、250μmより小さく、各貯蔵部位の所定の領域の線形寸法より実質的に小さいステップと;
(e)(d)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、
(1)関連のある時間長さで試料をインキュベーションし、次にインキュベーションを停止し、或いは
(2)関連のある時間長さの最小値以上の時間で試料をインキュベートし、次に、関連のある時間長さの最大値以下の時間内に、各標的分析物の結合部位への結合を評価し、
前記関連のある時間長さは、
i.(a)における標的分析物が閉鎖構成で均一な厚さの層の厚さにわたって拡散する時間以上であり、そして、
ii.(a)における標的分析物が貯蔵部位又は結合部位の所定の領域の最小線形寸法にわたって横方向に拡散することに要する時間より著しく短く、それにより、(1)におけるインキュベーションの終了で又は(2)における評価中に、各結合部位に結合した捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチの大部分が試料のそれぞれの関連体積に由来する反応が発生し、インキュベーションにより、各標的分析物が結合部位及び検出剤に結合することを可能にし、それぞれの関連体積は、閉鎖構成でそれぞれの貯蔵部位にある試料の一部分であり、隣接した貯蔵部位のエッジと隣接した結合部位のエッジとの間の距離は、標的分析物又は検出剤が関連時間内に拡散できる距離より大きく、結合部位及び/又は貯蔵部位の間に流体的隔離がないステップとを含む。
【0660】
上記多重化アッセイ装置の任意の実施形態は、この方法に使用されてもよい。
【0661】
13 非試料体積による影響を補正する定量化(C)
CROFプロセスで、試料は常に、スペーサ、気泡、塵埃又はそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、試料でない物体に起因する非試料体積と混合される。気泡又は塵埃は、CROFプロセスにおける試料付着又は他のプロセスを使用して導入されてもよい。これらの非試料物体は、試料の関連体積(関心のある体積)を決定する時に修正する必要がある体積を占有し、かつ試料内にある。本発明の1つの態様は、2つのプレートの間の試料の関連体積内の非試料体積で生成される影響を補正することであり、関連体積の厚さがスペーサにより調節される。
【0662】
C1.2つのプレートの間の試料の関連体積を決定する時に、非試料材料により生成される影響を補正する方法は、以下のステップ(a)〜(f)を含む:
(a)試料の関連体積が定量化される試料を取得し;
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得し、前記プレートの1つ又は両方が、所定のスペーサ間距離及び高さを有し、それぞれその対応するプレートに固定されたスペーサを含み;
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方に試料を付着させ、前記開放構成とは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり;
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にし、閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートの開放構成で、該厚さが試料の最も大きい厚さより薄く、関連体積が非試料体積を含む可能性があり;
(e)プレートが閉鎖構成にある時に、(i)試料の関連体積の側面積と、(ii)非試料材料の体積を計測し;
(f)スペーサにより調節された関連体積の厚さを用いて試料の関連体積を計算し、非試料材料の影響を補正し、
前記関連体積は、試料の全体積の少なくとも一部であり、非試料材料は、試料に由来しない材料である。
【0663】
−2つのプレートの間の試料を画像化することにより非試料体積を計測する。
【0664】
14 間隔の二重チェックによる高精度定量化
CROFにおいて、与えられた一組の条件に対して、スペーサ及びプレートが閉鎖構成で所定の試料厚さを与えることができても、特定のCROFの間に、実際の一組の条件は、期待されるものと異なる可能性があり、所定の最終的な試料厚さの誤差をもたらす。このような誤差を低減するために、本発明の一態様は、閉鎖構成で最終的な試料厚さを二重チェックすることである。
【0665】
C2.2つのプレートの間の試料の関連体積の厚さを決定しチェックする方法は、以下のステップ(a)〜(f)を含む:
(a)試料の関連体積が定量化される試料を取得し;
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得し、前記プレートの1つ又は両方が、所定のスペーサ間距離及び高さを有し、それぞれその対応するプレートに固定されたスペーサを含み;
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方に試料を付着させ、前記開放構成とは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり;
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にし、閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートの開放構成で、該厚さが試料の最も大きい厚さより薄く、関連体積が非試料体積を含む可能性があり;
(e)プレートが閉鎖構成にある時に、(i)試料の関連体積の側面積と、(ii)非試料材料の体積とを計測し;
(f)非試料材料の影響を補正することにより試料の関連体積を計算し、
前記関連体積は、試料の全体積の少なくとも一部であり、非試料材料は、試料に由来しない材料である。
【0666】
15 洗浄(WS)
本発明では、本明細書に記載されたプレートプレスと保持の実施形態の1つ又は任意の組み合わせが、本発明の説明全体に記載された全ての方法及び装置において使用される。
【0667】
アッセイにおける洗浄ステップのための方法は、
(a)上記方法の1つ又は任意の組み合わせにおけるステップを実行するステップと、
(b)プレート間の試料又は搬送媒体を洗い流すステップとを含む。
【0668】
CROFを使用する方法において、プレートを閉鎖構成に保持することにより洗浄を行う。
【0669】
CROFを使用する方法において、閉鎖構成からプレートを離すことにより洗浄を行う。
【0670】
16 多重ステップのアッセイ(MA)
本発明において、本開示によって記載された実施形態(すなわち、全てのセクション)は:
(a)一実施形態を他の実施形態と組み合わせること;
(b)同じ実施形態を1回より多く使用すること;
(c)(a)と(b)の任意の組み合わせ、により使用することができる。
【0671】
MA1. 試料中の分析物をアッセイする方法は、以下のステップを含む:
(a)分析物を含有する試料を取得するステップと;
(b)CROFを使用する方法を実行するステップと;
(c)プレートを離し、CROFを使用する方法を実行するステップ。
【0672】
段落MA1の方法では、いくつかの実施形態において、MA1のステップ(c)の後に、MA1の方法における全てのステップの同じステップを少なくとも1回繰り返すステップをさらに含む。
【0673】
MA2.試料中の分析物をアッセイする方法は、
(a)分析物を含有する試料を取得するステップと;
(b)CROFを使用する方法を実行するステップと;
(c)プレートを離し、CROFを使用する方法を実行する(洗浄)ステップと;
(d)CROFを使用する方法を実行するステップとを含む。
【0674】
段落MA2の方法では、いくつかの実施形態において、MA2のステップ(d)の後に、MA2の方法における全てのステップの同じステップを少なくとも1回繰り返すステップをさらに含む。
【0675】
段落MA2の方法では、いくつかの実施形態において、MA2のステップ(c)の後に、MA1の方法における全てのステップの同じステップを少なくとも1回繰り返すステップをさらに含む。
【0676】
MA3. 試料中の分析物をアッセイするキットは、
CROFを使用する第1のCROF装置と、
第1のCROF装置のプレートが離されたとき、第1のCROF装置のプレートの1つと組み合わせて第2のCROF装置を形成する第3のプレートとを含む。
【0677】
MA4. 試料中の分析物をアッセイするキットは、
CROFを使用する第1のCROF装置と、
CROF装置のプレートの試料接触領域上にある少なくとも1つの結合部位又は貯蔵部位と、
第1のCROF装置のプレートが離されたとき、第1のCROF装置のプレートの1つと組み合わせて第2のCROF装置を形成する第3のプレートとを含み、
結合部位は、標的分析物をプレートの表面に結合し、貯蔵部位は、試料と接触すると試料に溶解しかつ試料中に拡散することができる試薬を有する。
【0678】
画像化は、スマートフォンの使用を含む。このセクションの方法は、光源による照明のステップをさらに含む。光源は、レーザ、LED、ランプ、又はカメラフラッシュライトであってもよい。
【0679】
試料中の標的実体を検出するアッセイを行うためのキット(MQXA)
試料中の標的実体をアッセイするためのキットは、
a.その1つの表面に、標的実体を固定化することができ、標的実体に結合する結合パートナーを有する1つ以上の結合部位を有する第1のプレートと、
b.カバープレートと、
c.試料中で移動可能な前記標的実体を含み、形状が変形可能であり、第1のプレートと第2のプレートが互いに対して移動可能であり、形状が内表面にほぼ一致し、少なくとも一部が結合部位と接触し、インキュベーションの間に内側の間隔が一定の距離より小さく、前記結合部位と接触し、カバープレートと第1のプレートとの間の内部空間にある試料と、
d.第1のプレートの表面及び/又はカバープレートの表面に画像化を行うことができる画像化装置と、
e.内部空間の間隔を計測することができる計測装置とを含む。このセクションの方法は、スマートフォンの使用を含む。このセクションの方法は、照明装置の使用を含む。照明装置は、レーザ、LED、ランプ、又はカメラフラッシュライトを含む。
【0680】
17 プレートプレス及び保持(H)
圧縮力 CROFプロセスにおいて、プレートを開放構成から閉鎖構成にするために、力で2つのプレートを圧縮する。圧縮力は、プレートの内表面間の間隔を減少させ、これによりプレート間の試料の厚さを減少させる。本発明において、圧縮力は、機械的力、毛細管力(表面張力による)、静電力、電磁力(光を含む)、及びそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0681】
プレートを開放構成から閉鎖構成にするいくつかの実施形態において、第1のプレートと第2のプレートとを互いに向かって押し付けるための外からの力を加える。
【0682】
プレートを開放構成から閉鎖構成にするいくつかの実施形態において、第1のプレートと第2のプレートの外側に外からの力を加えてプレートを互いに向かって押し付け、前記圧力がプレート内の圧力よりも高い。プレート外の圧力をプレート内の圧力よりも高くする装置が使用される。この装置は、密封装置のみに限定されている。
【0683】
いくつかの実施形態において、圧力は、第1のプレートと第2のプレートとの間の液体及び対応する表面の張力とプレートとの相互作用に起因する毛細管力によって少なくとも部分的に提供される。いくつかの実施形態において、液体は試料自体であるか、液体と混合された試料であり、特定の実施形態において、毛細管力が他の力とともに使用される。多くの場合、液体中にあることが多く、表面張力は毛細管力を挿入するのに適し、いくつかの実施形態において、毛細管力が試料を変形させるのに必要な力に等しい場合に、プレートによる試料の変形は自動的に停止することができる。
【0684】
特定の実施形態において、第1のプレートと第2のプレートとの間の圧力(内部圧力)をプレートの外側(外部圧力)から隔離し、次いで内部圧力を外部圧力よりも低くすることによって、圧縮力(これにより試料変形)が生成される。隔離は、真空密封又は他の装置を用いて行うことができる。
【0685】
いくつかの実施形態において、それは、上記方法の組み合わせである。
【0686】
段階的プレス いくつかの実施形態において、プレートを閉鎖構成にする圧縮力は、「段階的プレス」という過程において加えられ、それは、まずプレートの1つの位置でプレス(即ち圧縮力を加える)を加え、その後に試料の他の位置に段階的に加えることを含み、段階的プレスのいくつかの実施形態において、ある位置で試料を所望の厚さに変形させた後に、該位置の圧縮力(試料自体の毛細管力を除く)は、(i)プレス及び試料変形の全体プロセスにおいて維持され、(ii)他の位置でプレスされる時に除去され、或いは(iii)(i)のプレートのある部分に使用され、(ii)の試料のある部分に使用される。
【0687】
段階的プレスの一実施形態において、ローラを使用して、第1のプレート及び第2のプレート(試料がプレートの間に位置し、プレートが僅かに可撓性である)を別のローラ又は平坦な表面に押し付ける。
【0688】
別の実施形態において、人の指は、プレート(従って試料)をプレスするためのツールである。プレスは、人の手の一部が人体の他の部分(人の手の他の部分を含む)と接触するか又は人の手が物体(例えば、テーブル面)と接触することである。一実施形態において、プレスは、試料のある位置から開始しかつ試料の他の位置に徐々に移動する。
【0689】
段階的プレスの一実施形態において、プレスされた空気ジェットは、最初にプレート対の位置(例えば中心)(第1のプレートと第2のプレートの間にあり、そのうちの1つのプレートが僅かに可撓性である)に案内され、該圧縮力はプレート対の別の部分に徐々に拡張される。
【0690】
別の実施形態において、第1のプレートと第2のプレートの1つ又は両方は可撓性であり、かつ試料のある位置と接触し、その後に該位置の毛管力は、プレート対を一緒に引っ張って(相互に向かって)試料を変形させる。
【0691】
段階的プレスの利点は、小さい力で試料を変形させる(力が同じである場合、プレス面積が小さいほど圧力が大きくなるからである)ことを可能にすることと、試料の移動(変形)、及び/又は試料中の気泡の減少に役立つこととを含む。圧力が大きいほど、試料の変形は大きくなる。段階的プレスは、変形した試料の厚さの均一性を改善することができる。
【0692】
プレス装置 CROFにおける試料変形用の圧縮力を決定する装置は、様々な実装を有する。いくつかの実施形態において、人の手を用いて、例えば、人の指を用いてプレスする。特定の実施形態において、プレス装置は、人の手、機械的クリップ、機械プレス、機械的クランプ、機械的スライダ、機械的装置、電磁気装置、表面を転がるローラ、対向する2つのローラ、流体プレス、油圧装置又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において、加圧された液体(加圧空気を含む)を用いて第1のプレート及び/又は第2のプレートを直接又は間接的にプレスする。「直接」とは、加圧された液体を第1のプレート及び/又は第2のプレートに直接加えることを指し、「間接的」とは、第3の物体により加えることを指す。プレスの特定の実施形態は、プレス装置及び方法の上記実施形態の組み合わせを使用する。
【0693】
また、試料変形の特定の実施形態において、プレス及び試料変形は監視される。監視は、プレス及び試料変形を制御するために用いることができる。変形の監視は、機械的方法、電気的、光学的、化学的、磁気的及びそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。機械的方法は、機械的ゲージ、スペーサ(機械的ストッパ、以下に詳細に説明する)及び音波を含むが、これらに限定されない。
【0694】
CROFにおいて、間隔制御装置は、機械プレス、機械的移動ステージ、人の指、プレートを互いに向かって引っ張る毛細管力を提供する液体、プレートに圧力を加える液体(空気を含む)又はそれらの組み合わせを含む。
【0695】
特定の実施形態において、(並進及び/又は回転)機械的ステージは、試料変形及び試料厚さの制御に使用され、かつ監視システムとともに動作する。
【0696】
いくつかの実施形態において、圧縮力の少なくとも一部は、プレートを一緒に取り付けて閉鎖構成に形成するように構成されたプレス(プレートを閉鎖構成に変形させる装置)によって提供される。
【0697】
いくつかの実施形態において、人の手でプレートをプレスする。人は、検査される人又は検査を行う人、又は試料を採取する人であってもよい。
【0698】
いくつかの実施形態において、プレートのプレスは、毛管力を使用して2つのプレートを一緒に保持することである。毛細管力は、1つ又は両方のプレートの内表面の少なくとも一部を親水性にすることにより生成される。プレートを閉鎖構成に圧縮するために使用された力の一部又は全部(毛管力を除く)が除去されても、適切な毛管力で、2つのプレートは、プレートが最初に閉鎖構成にある時と同じプレート間隔及び同じ試料の関連体積の厚さを保持することができる。
【0699】
いくつかの実施形態において、プレートの外表面に圧縮力を加えてプレートの内表面の間隔を減少させる装置は、プレートの外表面に適合する接触表面を含み、装置の接触表面は、プレートの外表面と接触する装置の表面であり、「プレートの外表面に適合する」とは、装置の表面が圧縮中に変形して、その形状がプレートの外表面の形状と一致することを指し、例示的な実施形態において、圧縮装置は人の指である。別の例示的な実施形態において、圧縮装置は、軟質プラスチック又はゴムで作られた接触面を有する。
【0700】
自己保持(圧縮力を除去した後に最終の試料厚さを保持すること)
CROFをプレスするいくつかの実施形態において、閉鎖構成で試料が変形した後、一部の圧縮力は除去され、かつ試料は、圧縮力が存在する時と同じな最終の試料厚さを保持する。このような状況は、「自己保持」と呼ばれる。自己保持の1つの理由は、プレート対の外側から挿入された圧縮力を除去した後、プレートの内表面の間に依然として他の力(例えば、毛管力)が存在して、プレート対を一緒に保持することである。毛管力は、プレート上の試料の湿潤特性に起因する。
【0701】
自己保持を有するために、プレートの表面の湿潤特性、試料とプレートとの全接触面積、閉鎖構成での最終の試料厚さ又はそれらの組み合わせを制御する必要がある。
【0702】
自己保持を達成するためのいくつかの実施形態において、プレートの内表面の1つ又は両方は親水性である。すなわち、親水性の内表面を有するいずれか1つのプレート、又は親水性の内表面を有する2つのプレートである。
【0703】
毛管力は、液体表面の半径曲率に依存し、曲率が小さいほど、毛細管力が高くなる。2つのプレート(すなわち、プレート対)の間に小さい間隔(従って試料厚さ)を使用することにより、小さい曲率を達成することができる。いくつかの実施形態では、自己保持を達成するための最終的な試料厚さは、10nm以下、100nm以下、100nm以下、500nm以下、1μm(マイクロメートル)以下、2μm以下、3μm以下、5μm以下、10μm以下、20μm以下、50μm以下、70μm以下、100μm以下、150μm以下、300μm以下、500μm以下、700μm以下、1000μm以下、1200μm以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0704】
いくつかの実施形態において、自己保持用のプレートと接触する試料の面積は、最大10μm
2、最大100μm
2、最大200μm
2、最大500μm
2、最大1000μm
2、最大2000μm
2、最大5000μm
2、最大8000μm
2、最大0.01mm
2、最大0.05mm
2、最大0.1mm
2、最大0.5mm
2、最大1mm
2、最大5mm
2、最大10mm
2、最大50mm
2、最大100mm
2、最大500mm
2、最大1000mm
2、最大2000mm
2、最大5000mm
2、最大10000mm
2、最大100000mm
2、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0705】
いくつかの実施形態において、自己保持をよりよくするために、プレートの内表面のうちの1つ又は両方の湿潤特性が変更される。
【0706】
HS.1 いくつかの実施形態において、CROFプロセスにおいて、装置を使用して圧縮力を挿入してプレートを閉鎖構成にし、閉鎖構成になると、装置による圧縮力は除去され、かつ試料厚さ及びプレートの内表面の間隔は、装置による圧縮力を除去する前にほぼ同じである。いくつかの実施形態において、前段落の方法は、プレート又はプレート間から信号を読み取るステップを含み、信号は、分析物、実体、標識、試料体積、物質(即ち化学物質)の濃度、又はそれらの任意の組み合わせに関連する信号を含むが、これらに限定されない。
【0707】
段落SH.1の方法では、装置は、人の手、機械的クリップ、機械プレス、機械的クランプ、機械的スライダ、機械的装置、電磁気装置、表面を転がるローラ、対向する2つのローラ、流体プレス、油圧装置又はそれらの任意の組み合わせである。
【0708】
段落SH.1の方法では、いくつかの実施形態において、「試料の厚さ及びプレートの内表面間隔は、装置による圧縮力を除去する前とほぼ同じである」は、圧縮力除去前後の試料厚さとプレート内表面間隔の相対差が0.001%以下、0.01%以下、0.1%以下、0.5%以下、1%以下、2%以下、5%以下、8%以下、10%以下、15%以下、20%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、80%以下、90%以下、99.9%以下であるか、又はこれらの任意の数値の間の範囲であることを指す。
【0709】
段落SH.1の方法では、いくつかの実施形態において、装置による圧縮力を除去した後の試料厚さとプレート内表面間隔が予め定められ、予め定められることは、所定の圧縮条件で圧縮力を加える前に、圧縮力を除去した後の厚さ及び間隔が既知であることを指す。
【0710】
H1. 試料の関連体積の厚さを減少させかつ該減少された厚さを保持する方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)試料の関連体積の厚さが減少される試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得し、前記プレートの1つ又は両方が、所定のスペーサ間距離及び高さを有し、それぞれその対応するプレートに固定されたスペーサを含み、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、前記プレートの1つ又は両方に試料を付着させ、前記開放構成とは、2つのプレートが部分的又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にするプレス装置を使用して前記試料を広げ、閉鎖構成では、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートの開放構成では、該厚さが試料の最も大きい厚さより薄く、少なくとも1つのスペーサが試料内に位置し、
(e)(d)の後、装置を解放し、プレス装置を解放した後、プレート間の間隔は、装置を適用する時と同じか又はほぼ同じであるように保持し、
前記関連体積は、試料の一部又は全体積である。
【0711】
段落H1の方法において、プレート間の間隔とほぼ同じである割合は、最大1%、最大2%、最大5%、最大10%、最大20%、最大50%、最大60%、最大70%、最大80%、最大90%、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0712】
例えば、CROFにおいて、人の手で2つのプレートを閉鎖位置に圧縮し、その後に手及び手による圧縮力を除去するが、最終の試料厚さは、依然として手による圧縮力が存在する時に同じである。
【0713】
18 他の組み合わせ
本発明において、本開示の各実施形態(すなわち、全てのセクション)は:
(a)単独で使用すること;
(b)他の実施形態と組み合わせること;
(c)複数回使用すること;
(d)(a)〜(c)の任意の組み合わせにより使用することができる。
【0714】
本発明において開示された方法及び装置は、単独で又はそれらの任意の組み合わせで使用することができる。「QMAX」方法又は装置という用語は、本明細書に記載された実施形態の方法又は装置を指す。
【0715】
いくつかの実施形態において、本発明において開示された方法及び装置は、Q、X、A、M、QX、QA、QM、XA、XM、AM、QXA、QAM、XAM及びQXAMの形態で使用することができる。
【0716】
Q、X、A及びMの表面固定化アッセイへの応用のいくつかの実施形態は、以下の態様a〜fを含む:
a.第1のプレートを有し、第1のプレート表面は、既知の深さ及び体積の少なくとも1つのウェルを有し、ウェルの底面は、試料中の標的実体を固定化することができる1以上の結合部位を有し、
b.ウェル体積とほぼ同じ体積の試料をウェル内に付着させ、前記試料は前記標的実体を含み、標的実体は試料内で移動可能であり、試料の形状が変形可能であり、試料はウェルの一部のみを被覆し(したがって、ウェル深さよりも高い厚さを有する)、
c.カバープレートを有し、
d.第1のプレートとカバープレートを互いに向かい合わせることにより、試料は第1のプレートと第2のプレートの内表面の間にあり、
e.第1のプレートと第2のプレートの内表面間の間隔を減少させることにより試料の厚さを減少させ、
f.減少した試料厚さで試料を一定の時間インキュベートすることを含む。
【0717】
これらの方法の1つのバリエーションは、1つ以上の上記ステップを96ウェルプレート又は他のプレートに適用することである。
【0718】
本発明のセクション1、2、3、5に開示された方法及び装置は、単独で又はそれらの任意の組み合わせで使用することができる。具体的には、セクション1及びセクション2に開示された発明に対してQを使用し、セクション3及びセクション5に開示された発明に対してAを使用し、セクション4及びセクション5に開示された発明に対してXを使用し、セクション6に開示された発明に対してMを使用する。関連体積、セクション1、2、3及び5に開示される発明の方法及び装置は、Q、X、A、M、QX、QA、QM、XA、XM、AM、QXA、QAM、XAM、及びQXAMの形態で使用することができる。
【0719】
表面固定化アッセイへのQ、X、A及びMの応用のいくつかの実施形態は、
a.第1のプレートを有し、第1のプレート表面は、既知の深さ及び体積の少なくとも1つのウェルを有し、ウェルの底面は、試料中の標的実体を固定化することができる1以上の結合部位を有し、
b.ウェル体積とほぼ同じ体積の試料をウェル内に付着させ、前記試料は前記標的実体を含み、標的実体は試料内で移動可能であり、試料の形状が変形可能であり、試料はウェルの一部のみを被覆し(したがって、ウェル深さよりも高い厚さを有する)、
c.カバープレートを有し、
d.第1のプレートとカバープレートを互いに向かい合わせることにより、試料は第1のプレートと第2のプレートの内表面の間にあり、
e.第1のプレートと第2のプレートの内表面間の間隔を減少させることにより試料の厚さを減少させ、
f.減少した試料厚さで試料を一定の時間インキュベートすることを含む。
【0720】
この方法の1つのバリエーションは、1つ以上の上記ステップを96ウェルプレート又は他のプレートに適用することである。
【0721】
前記方法、装置及びシステムのいくつかの実施形態は、試料体積量(Q)、試薬添加(A)及び/又はアッセイ加速(X)(対応する頭字語QA、QX、AX及びQAXと呼ばれる)の1つ以上の特徴を組み合わせる。Q、A、X、QA、QX、AX及びQAXの方法及び装置のいくつかの実験的実証を以下に説明する。
【0722】
19 試薬
特に断らない限り、用語「試薬」とは、生物剤、生化学剤及び/又は化学薬品のうちの一種又は複数種を指す。例えば、試薬は、捕捉剤、検出剤、化学化合物、光標識、放射性標識、酵素、抗体、タンパク質、核酸、DNA、RNA、脂質、炭水化物、塩、金属、界面活性剤、溶媒又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0723】
いくつかの実施形態において、プレート上の試薬は、液体、固体、分子蒸気又はそれらの組み合わせの形態で存在してもよい。試薬の付着は、堆積、配置、印刷、スタンピング、液体分配、蒸発(熱蒸発、蒸気蒸発、ヒト呼吸)、化学気相成長、及び/又はスパッタリングを含むが、これらに限定されない。異なる試薬は、異なる位置に存在してもよい。試薬は、試薬の小さいドットで印刷されてもよく、かつ/又は付着してもよい。
【0724】
いくつかの実施形態において、まず試薬を液体又は蒸気の形態でプレートに付着させ、その後にCROFプロセスの前に乾燥してプレート上の乾燥試薬にする。
【0725】
試薬放出時間の制御 A方法は、試薬放出時間(すなわち、試薬が試料中でどのくらい速く溶解するかを計測する時間)を制御するステップをさらに含む。試薬の試薬放出時間を制御するいくつかの実施形態は、試薬の頂部に試薬(の試料中への)放出に影響する一種又は複数種の「放出制御材料」を混合するか又は塗布するステップを含む。いくつかの態様においては、放出制御材料は、別の試薬であってもよい。例えば、AとBの2種類の試薬を有し、試薬Aは、試薬Bの上面に塗布され、一定の条件下で、試薬Aは、試薬Bの前に試料中に溶解する。
【0726】
また、第1のプレート及び第2のプレートの表面特性を使用して試薬放出を制御することができる。1つの実施例は、表面の湿潤特性を制御することである。多くの試薬において、疎水性表面が試薬に十分に結合するため、試薬は試料中に放出されるか又は放出されず(試薬層の厚さに依存する)、親水性表面が試薬に不十分に結合するため、試薬は試料中に迅速に放出される。
【0727】
試薬の乾燥 いくつかの実施形態において、試薬堆積ステップ(c)の後、試料堆積ステップ(d)の前に、A方法は、ステップ(c)で付着した試薬の一部又は全部を乾燥するステップをさらに含む。
【0728】
試薬の位置 試薬は、1つ又は両方のプレートに適用及び/又は配置することができる。試薬は、プレート上の貯蔵部位(位置)に存在してもよく、各貯蔵部位は一種又は複数種の試薬を含む。異なる貯蔵部位は異なる試薬、同じ試薬又は一種又は複数種の一般的な試薬を含むことができる。
【0729】
添加された試薬の濃度を制御する。いくつかの実施形態において、前記方法は、貯蔵部位(すなわち、試薬を有する表面)上の試料の厚さを制御することにより、添加された試薬の濃度を制御するステップをさらに含むことができる。
【0730】
本発明で使用される試薬は、アッセイに必要な任意の適切な試薬、例えば、標識又は非標識抗体、標識又は非標識核酸、親和性部分を含有してもしなくてもよい酵素等であってもよい。いくつかの実施形態において、上記のように、貯蔵された試薬は、分析物の存在について血液又は他の液体試料を検査するために設計されたアッセイ成分であってもよい。例えば、塩化物イオンは、以下の方法のいずれかによって計測することができ、かつこれらのアッセイ成分は貯蔵部位に存在することができる。比色法:塩化物イオンはチオシアン酸水銀からチオシアネートを置換する。遊離チオシアネートは、第二鉄イオンと反応して、光度測定的に測定された着色複合体−チオシアン酸第二鉄を形成する。電量測定法:銀電極間に一定の直流電流が流れることにより、塩化物イオンと反応して塩化銀を形成する銀イオンを生成する。全ての塩化物イオンが銀イオンと結合した後、遊離銀イオンは蓄積し、電極間の電流は増加し、反応の終点を示す。水銀法:塩化物イオンを水銀イオンの標準溶液で滴定し、HgCl2可溶性錯体を形成する。過剰の水銀イオンが指示色素のジフェニルカルバゾンに結合して青色を形成する時に、反応の終点は、比色的に検出される。同様に、マグネシウムと反応すると赤紫色に変色するカルマジトを使用して、マグネシウムを測色的に測定することができ、ホルマザン色素検査により、マグネシウムと反応するか、又はマグネシウムに結合して青色の錯体を形成するメチルチモールブルーを使用する時に、600nmで発光する。同様に、O−クレゾールフタレイン複合体とカルシウムが反応すると紫色を呈するO−クレゾールフタレインを使用して、比色法でカルシウムを検出することができる。同様に、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)によって触媒される反応において炭酸水素イオン(HCO3
−)及びホスホエノールピルビン酸(PEP)がオキサロ酢酸及びリン酸に変換されるため、炭酸水素イオンを二色性で検査することができる。リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MD)は、還元ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)の付随した酸化を伴い、オキサロ酢酸のリンゴ酸への還元を触媒する。このNADHの酸化は、試料の炭酸水素イオンに比例して、380/410nmで二色性で計測した反応混合物の吸光度の減少をもたらす。血中尿素窒素は、ジアセチル又はフェアロンが尿素を含む黄色の色原体を生成し、かつ測光法又は尿素をアンモニア及び炭酸に変換する酵素ウレアーゼの複数回使用により定量することができるという比色試験でアッセイすることができ、それは、例えばi)アンモニアがα−ケトグルタル酸と反応する時に340nmでの吸光度を減少させ、ii)尿素が加水分解される溶液の伝導率の増加率を計測することにより測定することができる。同様に、クレアチニンは、試料をアルカリ性ピクリン酸塩溶液で処理して赤色錯体を得ることによって比色分析で計測することができ、さらに、クレアチンは、クレアチニンがクレアチニンイミノヒドロラーゼによって加水分解されるときに生成されたアンモニアを計測する非Jaffe反応を用いて計測することができる。グルコースは、濃度を推定するために血液を一定量のグルコースオキシダーゼに一定の時間曝露するアッセイにおいて計測することができる。特定の時間後に、余分な血液を除去し、かつ発色することを可能して、それによりグルコース濃度を推定することができる。例えば、グルコースオキシダーゼとグルコースは反応して新生酸素を形成し、それはヨウ化カリウムを(濾紙中)ヨウ素に変換して茶色を形成する。グリコシル化ヘモグロビンの濃度は、血液中のグルコースレベルの間接的な読み値とする。赤血球の溶血にクロマトグラフ分析を行うとき、ヘモグロビンA1a、A1b及びA1cと名付けられた3つ以上の小さなピークは、主要ヘモグロビンAピークの前に溶出される。これらの「迅速」ヘモグロビンは、二段階反応におけるグルコースとヘモグロビンとの不可逆的結合によって形成される。ヘキソキナーゼは、グルコースがヘキソキナーゼ(HK)によりアデノシン三リン酸(ATP)及びマグネシウムイオンの存在下でリン酸化されて、グルコース−6−リン酸及びアデノシン二リン酸(ADP)を生成するアッセイにおいて計測することができる。グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6P−DH)は、グルコース−6−リン酸をグルコン酸−6−リン酸に特異的に酸化し、同時にNAD+をNADHに還元する。340nmでの吸光度の増加は、試料中のグルコース濃度に比例する。HDL、LDL、トリグリセリドは、加水分解及びコレステロールの抽出後に、620nmでのLiebermann−Burchard試薬(無水酢酸、氷酢酸及び濃硫酸の混合試薬)による発色を含むAbell−Kendall方法を用いて計測することができる。蛍光分析を使用してトリグリセリド基準値を決定することができる。ヘパリン−塩化マンガンにより全血漿(LDL及びVLDL)におけるアポタンパク質B含有リポタンパク質を沈殿した後、血漿総コレステロールと同じ手順で血漿高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)を計測する。これらの化合物は、また、コレステロールエステル及び遊離コレステロールの両方を定量する酵素駆動反応に基づくアッセイにおいて比色検出を行うことができる。コレステロールエステルは、コレステロールエステラーゼを介してコレステロールに加水分解され、その後にコレステロールオキシダーゼによってコレスタ−4−エン−3−オンと過酸化水素に酸化される。その後に特異性の高い比色プローブで過酸化水素を検出する。西洋ワサビペルオキシダーゼは、1:1の比で結合されるプローブと過酸化水素との反応を触媒する。 試料は、コレステロール標準の既知の濃度と比較することができる。
【0731】
データ処理
特定の実施形態において、本発明の装置は、CROF装置を読み取って取得されたデータを処理するように構成される。該装置は、本発明の方法におけるデータを処理するために、任意の適切な方式で構成されてもよい。特定の実施形態において、該装置は、データ格納及び/又はデータ処理用の命令の格納及び/又はデータベース格納用メモリ位置を有する。データは、任意の適切なフォーマットでメモリに格納することができる。
【0732】
特定の実施形態において、該装置は、データを処理するためのプロセッサを有する。特定の実施形態において、データを処理するための命令は、プロセッサに格納されてもよく、或いは別個のメモリ位置に格納されてもよい。いくつかの実施形態において、該装置は、処理を実装するためのソフトウェアを含むことができる。
【0733】
いくつかの実施形態において、CROF装置から取得されたデータを処理するように構成された装置は、処理を実行するソフトウェア実装方法を含む。ソフトウェア実装方法は、画像取得アルゴリズム、画像処理アルゴリズム、ユーザと計算装置との間の相互作用を容易にし、データ収集、送信及び分析、通信プロトコルのための手段として機能するユーザインタフェース方法、及びデータ処理アルゴリズムのうちの1つ以上を含むことができる。特定の実施形態において、画像処理アルゴリズムは、粒子数、LUT(ルックアップテーブル)フィルタ、粒子フィルタ、パターン認識、形態学的決定、ヒストグラム、ラインプロファイル、地形表現、2進数換算又はカラーマッチングプロファイルのうちの1つ以上を含む。
【0734】
特定の実施形態において、該装置は、表示ページが装置のメモリに常駐するソフトウェアによって解釈される時に、ビデオディスプレイ又はタッチスクリーンディスプレイで情報を表示するように構成される。本明細書で説明する表示ページは、例えば、ハイパーテキストマークアップ言語(「HTML」)、ダイナミックハイパーテキストマークアップ言語(「DHTML」)、拡張可能ハイパーテキストマークアップ言語(「XHTML」)、拡張マークアップ言語(「XML」)、又はユーザによって知覚可能な方法でビデオ又は他のディスプレイに表示可能なコンピュータファイルを作成するように使用されてもよい別のソフトウェア言語などの任意の適切なソフトウェア言語を使用して作成することができる。論理、コード、データ、命令を有する任意のコンピュータ可読媒体を使用して、任意のソフトウェア又はステップ又は方法を実施することができる。ネットワークがインターネットを含む場合、表示ページは、適切なタイプのウェブページを含むことができる。
【0735】
本発明による表示ページは、例えば、VBScriptルーチン、JScriptルーチン、JavaScript(登録商標)ルーチン、Java(登録商標)アプレット、ActiveXコンポーネント、ASP.NET、AJAX、Flashアプレット、Silverlightアプレット、又はAIRルーチンのようなメモリ装置に記憶されたソフトウェアプログラムを含む組み込み機能を含むことができる。
【0736】
表示ページは、例えば、フレーム、ウィンドウ、スクロールバー、ボタン、アイコン、及びハイパーリンクなどのグラフィカルユーザインタフェース技術の周知の特徴、「クリック」インタフェース又はタッチスクリーンインタフェースのような周知の特徴を含む。グラフィカルユーザインタフェースボタン、アイコン、メニューオプション、又はハイパーリンクをポイントしてクリックすることは、ボタン、オプション、又はハイパーリンクを「選択」することとしても知られている。本発明に係る表示ページは、マルチメディア機能、マルチタッチ、ピクセルセンス、IR LEDベースの表面、カメラの有無にかかわらず視覚に基づく相互作用を組み込むことができる。
【0737】
ユーザインタフェースは、ビデオディスプレイ及び/又は表示ページに表示されてもよい。ユーザインタフェースは、以下にさらに説明するように、試料に関する分析データに基づいて生成されたレポートを表示することができる。
【0738】
プロセッサは、任意の適切な方式で本発明の方法に使用されるデータを処理するように構成することができる。データは、例えば、ビニングされたデータ、変換されたデータ(例えば、フーリエ変換によって周波数領域に変換された時間領域データ)に処理されるか、又は他のデータと組み合わされて処理される。該処理は、データを所望の形式にすることができ、データのフォーマットを変更することを含むことができる。処理は、試料からの信号の検出、試料を検査するために使用された装置又は試薬に特有の数学的操作又は補正及び/又は較正に基づく生データの補正、濃度値などの値の計算、(ベースライン、閾値、標準曲線、履歴データ又は他のセンサからのデータなどとの)比較、検査が正確であるか否かの決定、(正常範囲又は許容範囲を上回るか又は下回るか、又は異常状態を示すなどの)異常値であるか又は懸念の原因となり得る値又は結果の強調表示、又は異常条件の存在を共に示すことができる結果の組み合わせ、カーブフィッティング、数学的又は他の分析的推論(演繹的、誘導的、ベイジアン、又は他の推論を含む)の基礎としてのデータの使用及び他の適切な処理形式を含むことができ、特定の実施形態において、処理は、処理されたデータを装置に記憶されたデータベースと比較して、対象によって実行される一連の動作のための命令を検索することを含むことができる。
【0739】
特定の実施形態において、装置は、入力データをメモリに格納されたデータベースと比較することにより入力データを処理して、対象によって実行される一連の動作のための命令を検索するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、データベースは、関心対象となる分析物の閾値を含む、格納された情報を含むことができる。閾値は、1つ以上の分析物の存在又は濃度を決定するために使用されてもよい。閾値は、アラートが有用である状況を検出するために使用されてもよい。データ格納ユニットは、試料に関するレポートの生成に有用な記録又は他の情報を含むことができる。
【0740】
特定の実施形態において、装置は、CROF装置からのデータを受信するように構成されてもよい。従って、場合によっては、装置は、対象によって提供された試料に関連しないが診断に関連するデータを受信するように構成されてもよい。これらのデータは、年齢、性別、身長、体重、個人及び/又は家族の病歴などを含むが、それらに限定されない。特定の実施形態において、該装置は、CROF装置に適用された試料から導出されるか、又は該試料から独立するデータを処理するように構成される。
【0741】
20 包装
本発明の別の態様は、使用される試薬の寿命を延ばし、かつ使用を容易にする包装に関する。
【0742】
いくつかの実施形態において、試薬を有するか又は有さないCROFにおけるプレートは包装の中に置かれ、1つの包装に1つのプレートを置くか又は1つの包装に1つ以上のプレートを置く。一実施形態において、第1のプレート及び第2のプレートは、使用前に異なる包装に包装される。いくつかの実施形態において、異なるアッセイは、共通の第1のプレート又は共通の第2のプレートを共有する。
【0743】
いくつかの実施形態において、各包装は密閉されている。いくつかの実施形態において、密閉は、包装の外部の空気、化学薬品、湿気、汚染物、又はそれらのいずれかの組合せが包装の内部に入るのを防止するために用いられる。いくつかの実施形態において、包装は、真空密閉されているか又は窒素ガス又は内部ガスで充填されている。いくつかの実施形態において、プレート及び/又は試薬(捕捉剤、検出剤などを含む)の保存期間を延ばすことができる材料は、プレートとともに包装内に包装される。
【0744】
いくつかの実施形態において、包装材料が薄い層の形態であるので、包装は人間の手により容易に引き裂かれ得る。
【0745】
21 信号増幅表面を用いた均一アッセイ
アッセイの多くの応用において、特にPoC又は他の迅速アッセイにおいて、洗浄ステップを回避することが望ましい。本発明の一態様は、アッセイ洗浄を回避できる装置、システム及び方法に関する。
【0746】
信号増幅表面を含有及び/又は使用することにより、開示された装置、システム及び方法は、洗浄しない状況でアッセイの実行を容易にすることができる。表面増幅表面は、表面から短距離(例えば、20nm、又は50nm、又は100nm)に放射された光のみを増幅することができる。表面増幅層の一実施例は、D2PAである。
【0747】
以下の特許請求の範囲は、開示された発明に向けられた新規かつ非自明な特定の組み合わせと部分的組み合わせを特に指摘すると考えられる。特徴、機能、要素及び/又は特性の他の組み合わせ又は部分的組み合わせに具体化された発明は、本発明の請求項の補正又は本願又は関連出願における新規の請求の提示によって要求されてもよい。そのような修正又は新しい請求項は、それらが異なる発明に向けられたものであっても、同じ発明に向けられたものであっても、異なり、より広く、より狭く、或いは元の特許請求の範囲に等しいか否かに関わらず、本開示の発明の主題内に含まれるものとも見なされる。