【課題】製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して被判定装置の消費電流が瞬間的に大きく変動した場合であっても、被判定装置の真贋判定を高精度に実行することが可能な情報処理装置を得る。
【解決手段】判定部150は、複数の測定タイミングで測定された複数の実測電流値を取得する電流値取得部152と、第1の所定期間において電流値取得部152によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出する累積誤差算出部153と、累積誤差算出部153によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する真贋判定部154と、を有する。
第1の許容誤差累積値を設定するにあたり、第1の所定期間に含まれる各測定ポイントに関する許容誤差値は固定値である、請求項1〜3のいずれか一つに記載の情報処理装置。
第1の許容誤差累積値を設定するにあたり、第1の所定期間に含まれる各測定ポイントに関する許容誤差値は、測定ポイント毎に可変値である、請求項1〜3のいずれか一つに記載の情報処理装置。
第1の許容誤差累積値を設定するにあたり、第1の所定期間に含まれる各測定ポイントに関する許容誤差値は、所定期間毎に可変値である、請求項1〜3のいずれか一つに記載の情報処理装置。
前記真贋判定部はさらに、複数の所定期間のうち第2の所定期間に関して前記累積誤差算出部によって算出された第2の実測誤差累積値と、第2の所定期間に関する第2の許容誤差累積値とを比較し、第1の所定期間及び第2の所定期間の双方の比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、請求項1〜8のいずれか一つに記載の情報処理装置。
被判定装置に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記被判定装置に流れる電流を測定する電流測定部と、を備える情報処理装置に搭載されるコンピュータを、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定手段として機能させるためのプログラムであって、
前記判定手段は、
複数の測定タイミングで前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得する電流値取得手段と、
前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記電流値取得手段によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出する累積誤差算出手段と、
前記累積誤差算出手段によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する真贋判定手段と、
を有する、プログラム。
信号処理回路と前記信号処理回路に電源を供給する電源供給部とを有する被判定装置の真贋判定機能を備え、前記電源供給部から前記信号処理回路に流れる電流を測定する電流測定部を有する情報処理装置に搭載されるコンピュータを、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定手段として機能させるためのプログラムであって、
前記判定手段は、
複数の測定タイミングで前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得する電流値取得手段と、
前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記電流値取得手段によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出する累積誤差算出手段と、
前記累積誤差算出手段によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する真贋判定手段と、
を有する、プログラム。
自身を被判定装置とする真贋判定機能を備え、信号処理回路と、前記信号処理回路に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記信号処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、を有する情報処理装置に搭載されるコンピュータを、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定手段として機能させるためのプログラムであって、
前記判定手段は、
複数の測定タイミングで前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得する電流値取得手段と、
前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記電流値取得手段によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出する累積誤差算出手段と、
前記累積誤差算出手段によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する真贋判定手段と、
を有する、プログラム。
被判定装置の真贋判定機能を備え、前記被判定装置に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記被判定装置に流れる電流を測定する電流測定部と、を有する情報処理装置において、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、被判定装置の真贋判定方法であって、
(A)複数の測定タイミングで前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得するステップと、
(B)前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記ステップ(A)によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出するステップと、
(C)前記ステップ(B)によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定するステップと、
を備える、被判定装置の真贋判定方法。
信号処理回路と前記信号処理回路に電源を供給する電源供給部とを有する被判定装置の真贋判定機能を備え、前記電源供給部から前記信号処理回路に流れる電流を測定する電流測定部を有する情報処理装置において、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、被判定装置の真贋判定方法であって、
(A)複数の測定タイミングで前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得するステップと、
(B)前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記ステップ(A)によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出するステップと、
(C)前記ステップ(B)によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定するステップと、
を備える、被判定装置の真贋判定方法。
自身を被判定装置とする真贋判定機能を備え、信号処理回路と、前記信号処理回路に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記信号処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、を有する情報処理装置において、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、被判定装置の真贋判定方法であって、
(A)複数の測定タイミングで前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得するステップと、
(B)前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記ステップ(A)によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出するステップと、
(C)前記ステップ(B)によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定するステップと、
を備える、被判定装置の真贋判定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に開示されたメモリシステムによると、正規品のメモリ装置が使用されている場合であっても、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因してメモリ装置の消費電流の変化率パターンが瞬間的に大きく変動した場合には、正規品が誤って非正規品と判定される可能性がある。
【0005】
また、上記特許文献1には、ホスト装置によってメモリ装置の真贋判定を実行する態様についてのみ開示されている。しかし、不正使用の態様としては、非正規品のメモリ装置が使用される場合に限らず、正規品のメモリ装置に格納されたコンテンツデータを不正コピー等する目的で、非正規品のホスト装置が使用される場合もある。従って、不正コピー等からコンテンツデータを適切に保護するためには、ホスト装置が非正規品である場合にはメモリシステムの動作を停止させる必要がある。そのためには、メモリ装置において、ホスト装置が正規品であるか否かを判定する機能や、ホスト装置及びメモリ装置の各々において、自身が正規品であるか否かを自ら判定(自己真贋判定)する機能が望まれる。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して被判定装置の消費電流が瞬間的に大きく変動した場合であっても、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかの真贋判定を高精度に実行することが可能な、情報処理装置、プログラム、及び被判定装置の真贋判定方法を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、被判定装置の真贋判定機能を備える情報処理装置であって、前記被判定装置に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記被判定装置に流れる電流を測定する電流測定部と、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定部と、を備え、前記判定部は、複数の測定タイミングで前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得する電流値取得部と、前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記電流値取得部によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出する累積誤差算出部と、前記累積誤差算出部によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する真贋判定部と、を有することを特徴とするものである。
【0008】
第1の態様に係る情報処理装置によれば、真贋判定部は、累積誤差算出部によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、実測電流値と基準電流値とを比較する場合と比べて瞬間的異常値に起因する影響を緩和できるため、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して実測電流値と基準電流値とが瞬間的に大きく相違する場合であっても、真贋判定の精度が低下する事態を回避又は抑制することが可能となる。
【0009】
本発明の第2の態様に係る情報処理装置は、信号処理回路と前記信号処理回路に電源を供給する電源供給部とを有する被判定装置の真贋判定機能を備える情報処理装置であって、前記電源供給部から前記信号処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定部と、を備え、前記判定部は、複数の測定タイミングで前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得する電流値取得部と、前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記電流値取得部によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出する累積誤差算出部と、前記累積誤差算出部によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する真贋判定部と、を有することを特徴とするものである。
【0010】
第2の態様に係る情報処理装置によれば、真贋判定部は、累積誤差算出部によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、実測電流値と基準電流値とを比較する場合と比べて瞬間的異常値に起因する影響を緩和できるため、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して実測電流値と基準電流値とが瞬間的に大きく相違する場合であっても、真贋判定の精度が低下する事態を回避又は抑制することが可能となる。
【0011】
本発明の第3の態様に係る情報処理装置は、自身を被判定装置とする真贋判定機能を備える情報処理装置であって、信号処理回路と、前記信号処理回路に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記信号処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定部と、を備え、前記判定部は、複数の測定タイミングで前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得する電流値取得部と、前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記電流値取得部によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出する累積誤差算出部と、前記累積誤差算出部によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する真贋判定部と、を有することを特徴とするものである。
【0012】
第3の態様に係る情報処理装置によれば、真贋判定部は、累積誤差算出部によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、実測電流値と基準電流値とを比較する場合と比べて瞬間的異常値に起因する影響を緩和できるため、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して実測電流値と基準電流値とが瞬間的に大きく相違する場合であっても、真贋判定の精度が低下する事態を回避又は抑制することが可能となる。
【0013】
本発明の第4の態様に係る情報処理装置は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係る情報処理装置において特に、第1の許容誤差累積値を設定するにあたり、第1の所定期間に含まれる各測定ポイントに関する許容誤差値は固定値であることを特徴とするものである。
【0014】
第4の態様に係る情報処理装置によれば、第1の所定期間に含まれる各測定ポイントに関する許容誤差値は固定値である。従って、第1の許容誤差累積値を簡易に設定することが可能となる。
【0015】
本発明の第5の態様に係る情報処理装置は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係る情報処理装置において特に、第1の許容誤差累積値を設定するにあたり、第1の所定期間に含まれる各測定ポイントに関する許容誤差値は、測定ポイント毎に可変値であることを特徴とするものである。
【0016】
第5の態様に係る情報処理装置によれば、第1の所定期間に含まれる各測定ポイントに関する許容誤差値は、測定ポイント毎に可変値である。従って、基準電流値パターンにおける変化量の大きさ等に応じて各測定ポイントの許容誤差値を可変に設定することにより、第1の許容誤差累積値を高精度に設定できるため、真贋判定の精度を向上することが可能となる。
【0017】
本発明の第6の態様に係る情報処理装置は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係る情報処理装置において特に、第1の許容誤差累積値を設定するにあたり、第1の所定期間に含まれる各測定ポイントに関する許容誤差値は、所定期間毎に可変値であることを特徴とするものである。
【0018】
第6の態様に係る情報処理装置によれば、第1の所定期間に含まれる各測定ポイントに関する許容誤差値は、所定期間毎に可変値である。従って、基準電流値パターンの変化量等に応じて所定期間毎に許容誤差値を可変に設定することにより、第1の許容誤差累積値を高精度に設定できるため、真贋判定の精度を向上することが可能となる。
【0019】
本発明の第7の態様に係る情報処理装置は、第1〜第6のいずれか一つの態様に係る情報処理装置において特に、前記判定部は、前記電流値取得部によって取得された複数の実測電流値を時系列順に配列することによって、実測電流値パターンを作成するパターン作成部をさらに有し、前記真贋判定部は、第1判定処理として、第1の所定期間に関して前記パターン作成部によって作成された実測電流値パターンと、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた基準電流値パターンとが一致するか否かによって、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定し、第1判定処理において実測電流値パターンと基準電流値パターンとが一致しない場合に、第2判定処理として、第1の実測誤差累積値と第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定することを特徴とするものである。
【0020】
第7の態様に係る情報処理装置によれば、実測電流値パターンと基準電流値パターンとの比較による第1判定処理と、実測誤差累積値と許容誤差累積値との比較による第2判定処理との二段階の判定処理を行うことにより、いずれか一方の判定処理のみを行う場合と比較して、真贋判定の精度を向上することが可能となる。特に、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して実測電流値パターンと基準電流値パターンとが瞬間的に大きく相違したことが原因で第1判定処理において非正規品と判定された正規品を、第2判定処理において救済することが可能となる。
【0021】
本発明の第8の態様に係る情報処理装置は、第7の態様に係る情報処理装置において特に、前記真贋判定部は、第1判定処理において、実測電流値パターンを構成する複数の実測電流値と、基準電流値パターンを構成する複数の基準電流値とを、各比較ポイントにおいてそれぞれ比較し、全ての比較ポイントのうち実測電流値と基準電流値とが一致しない比較ポイントの個数又は割合が第1の閾値未満である場合には、実測電流値パターンと基準電流値パターンとは一致すると判定し、この場合には第2判定処理を実行せず、全ての比較ポイントのうち実測電流値と基準電流値とが一致しない比較ポイントの個数又は割合が第1の閾値以上第2の閾値未満である場合には、実測電流値パターンと基準電流値パターンとは一致しないと判定し、この場合には第2判定処理を実行し、全ての比較ポイントのうち実測電流値と基準電流値とが一致しない比較ポイントの個数又は割合が第2の閾値以上である場合には、実測電流値パターンと基準電流値パターンとは一致しないと判定し、この場合には第2判定処理を実行しないことを特徴とするものである。
【0022】
第8の態様に係る情報処理装置によれば、真贋判定部は、全ての比較ポイントのうち実測電流値と基準電流値とが一致しない比較ポイントの個数又は割合が、第1の閾値未満である場合、又は、第2の閾値以上である場合には、第2判定処理を実行しない。従って、実測電流値パターンと基準電流値パターンとが完全に一致する場合(第1の閾値未満)や大きく異なる場合(第2の閾値以上)には第2判定処理の実行を省略できるため、救済する必要のない被判定装置に対して無駄な処理が実行される事態を回避することが可能となる。
【0023】
本発明の第9の態様に係る情報処理装置は、第1〜第8のいずれか一つの態様に係る情報処理装置において特に、前記真贋判定部はさらに、複数の所定期間のうち第2の所定期間に関して前記累積誤差算出部によって算出された第2の実測誤差累積値と、第2の所定期間に関する第2の許容誤差累積値とを比較し、第1の所定期間及び第2の所定期間の双方の比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定することを特徴とするものである。
【0024】
第9の態様に係る情報処理装置によれば、真贋判定部はさらに、複数の所定期間のうち第2の所定期間に関して前記累積誤差算出部によって算出された第2の実測誤差累積値と、第2の所定期間に関する第2の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する。このように、第1の所定期間のみならず第2の所定期間に関しても実測誤差累積値と許容誤差累積値との比較を行うことにより、第1の所定期間及び第2の所定期間の双方の比較結果に基づいて被判定装置の真贋判定を行うことができるため、判定精度をより向上することが可能となる。
【0025】
本発明の第10の態様に係る情報処理装置は、第1〜第9のいずれか一つの態様に係る情報処理装置において特に、前記判定部は、複数の所定期間の中から第1の所定期間を可変に選択する期間設定部をさらに有することを特徴とするものである。
【0026】
第10の態様に係る情報処理装置によれば、期間設定部は、複数の所定期間の中から第1の所定期間を可変に選択する。従って、被判定装置の真贋判定を実行する対象となる第1の所定期間を期間設定部によって静的又は動的に選択できるため、第三者による判定アルゴリズムの解析をより困難化することが可能となる。
【0027】
本発明の第11の態様に係る情報処理装置は、第9の態様に係る情報処理装置において特に、前記判定部は、複数の所定期間の中から第2の所定期間を可変に選択する期間設定部をさらに有することを特徴とするものである。
【0028】
第11の態様に係る情報処理装置によれば、期間設定部は、複数の所定期間の中から第2の所定期間を可変に選択する。従って、被判定装置の真贋判定を実行する対象となる第2の所定期間を期間設定部によって静的又は動的に選択できるため、第三者による判定アルゴリズムの解析をより困難化することが可能となる。
【0029】
本発明の第12の態様に係る情報処理装置は、第1〜第11のいずれか一つの態様に係る情報処理装置において特に、第1の許容誤差累積値は前記被判定装置内の記憶部に記憶されており、前記判定部は、当該記憶部から第1の許容誤差累積値を読み出すことを特徴とするものである。
【0030】
第12の態様に係る情報処理装置によれば、第1の許容誤差累積値は被判定装置内の記憶部に記憶されている。被判定装置の第1の許容誤差累積値は、デバイスの構造や製造プロセス等に依存するため、デバイス毎に異なる。従って、ある被判定装置に関して求めた第1の許容誤差累積値を、その被判定装置内の記憶部に記憶しておくことにより、デバイス毎に異なる第1の許容誤差累積値を簡易に管理することが可能となる。
【0031】
本発明の第13の態様に係るプログラムは、被判定装置に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記被判定装置に流れる電流を測定する電流測定部と、を備える情報処理装置に搭載されるコンピュータを、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定手段として機能させるためのプログラムであって、前記判定手段は、複数の測定タイミングで前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得する電流値取得手段と、前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記電流値取得手段によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出する累積誤差算出手段と、前記累積誤差算出手段によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する真贋判定手段と、を有することを特徴とするものである。
【0032】
第13の態様に係るプログラムによれば、真贋判定手段は、累積誤差算出手段によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、実測電流値と基準電流値とを比較する場合と比べて瞬間的異常値に起因する影響を緩和できるため、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して実測電流値と基準電流値とが瞬間的に大きく相違する場合であっても、真贋判定の精度が低下する事態を回避又は抑制することが可能となる。
【0033】
本発明の第14の態様に係るプログラムは、信号処理回路と前記信号処理回路に電源を供給する電源供給部とを有する被判定装置の真贋判定機能を備え、前記電源供給部から前記信号処理回路に流れる電流を測定する電流測定部を有する情報処理装置に搭載されるコンピュータを、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定手段として機能させるためのプログラムであって、前記判定手段は、複数の測定タイミングで前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得する電流値取得手段と、前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記電流値取得手段によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出する累積誤差算出手段と、前記累積誤差算出手段によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する真贋判定手段と、を有することを特徴とするものである。
【0034】
第14の態様に係るプログラムによれば、真贋判定部は、累積誤差算出部によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、実測電流値と基準電流値とを比較する場合と比べて瞬間的異常値に起因する影響を緩和できるため、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して実測電流値と基準電流値とが瞬間的に大きく相違する場合であっても、真贋判定の精度が低下する事態を回避又は抑制することが可能となる。
【0035】
本発明の第15の態様に係るプログラムは、自身を被判定装置とする真贋判定機能を備え、信号処理回路と、前記信号処理回路に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記信号処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、を有する情報処理装置に搭載されるコンピュータを、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定手段として機能させるためのプログラムであって、前記判定手段は、複数の測定タイミングで前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得する電流値取得手段と、前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記電流値取得手段によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出する累積誤差算出手段と、前記累積誤差算出手段によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する真贋判定手段と、を有することを特徴とするものである。
【0036】
第15の態様に係るプログラムによれば、真贋判定部は、累積誤差算出部によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、実測電流値と基準電流値とを比較する場合と比べて瞬間的異常値に起因する影響を緩和できるため、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して実測電流値と基準電流値とが瞬間的に大きく相違する場合であっても、真贋判定の精度が低下する事態を回避又は抑制することが可能となる。
【0037】
本発明の第16の態様に係る被判定装置の真贋判定方法は、被判定装置の真贋判定機能を備え、前記被判定装置に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記被判定装置に流れる電流を測定する電流測定部と、を有する情報処理装置において、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、被判定装置の真贋判定方法であって、(A)複数の測定タイミングで前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得するステップと、(B)前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記ステップ(A)によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出するステップと、(C)前記ステップ(B)によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定するステップと、を備えることを特徴とするものである。
【0038】
第16の態様に係る被判定装置の真贋判定方法によれば、ステップ(C)では、ステップ(B)によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかが判定される。従って、実測電流値と基準電流値とを比較する場合と比べて瞬間的異常値に起因する影響を緩和できるため、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して実測電流値と基準電流値とが瞬間的に大きく相違する場合であっても、真贋判定の精度が低下する事態を回避又は抑制することが可能となる。
【0039】
本発明の第17の態様に係る被判定装置の真贋判定方法は、信号処理回路と前記信号処理回路に電源を供給する電源供給部とを有する被判定装置の真贋判定機能を備え、前記電源供給部から前記信号処理回路に流れる電流を測定する電流測定部を有する情報処理装置において、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、被判定装置の真贋判定方法であって、(A)複数の測定タイミングで前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得するステップと、(B)前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記ステップ(A)によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出するステップと、(C)前記ステップ(B)によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定するステップと、を備えることを特徴とするものである。
【0040】
第17の態様に係る被判定装置の真贋判定方法によれば、ステップ(C)では、ステップ(B)によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかが判定される。従って、実測電流値と基準電流値とを比較する場合と比べて瞬間的異常値に起因する影響を緩和できるため、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して実測電流値と基準電流値とが瞬間的に大きく相違する場合であっても、真贋判定の精度が低下する事態を回避又は抑制することが可能となる。
【0041】
本発明の第18の態様に係る被判定装置の真贋判定方法は、自身を被判定装置とする真贋判定機能を備え、信号処理回路と、前記信号処理回路に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記信号処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、を有する情報処理装置において、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、被判定装置の真贋判定方法であって、(A)複数の測定タイミングで前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得するステップと、(B)前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記ステップ(A)によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出するステップと、(C)前記ステップ(B)によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定するステップと、を備えることを特徴とするものである。
【0042】
第18の態様に係る被判定装置の真贋判定方法によれば、ステップ(C)では、ステップ(B)によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかが判定される。従って、実測電流値と基準電流値とを比較する場合と比べて瞬間的異常値に起因する影響を緩和できるため、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して実測電流値と基準電流値とが瞬間的に大きく相違する場合であっても、真贋判定の精度が低下する事態を回避又は抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して被判定装置の消費電流が瞬間的に大きく変動した場合であっても、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかの真贋判定を高精度に実行することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0046】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係るメモリシステム1の構成を示す図である。
図1に示すようにメモリシステム1は、ホスト装置2と、ホスト装置2に着脱自在に接続されたメモリ装置3とを備えて構成されている。ホスト装置2は、例えばパーソナルコンピュータ等の第1の情報処理装置であり、メモリ装置3は、ホスト装置2から電源供給を受けて動作する第2の情報処理装置、例えばフラッシュメモリのメモリカードである。他の例として、第1の情報処理装置はプリンタ又は複合機の本体であり、第2の情報処理装置はトナーカートリッジである。あるいは、第1の情報処理装置はゲーム機の本体であり、第2の情報処理装置はゲームプログラムが格納されたメモリカードである。
【0047】
本実施の形態では、メモリ装置3の真贋判定をホスト装置2が実行する態様、つまり、ホスト装置2等の第1の情報処理装置が判定装置であり、メモリ装置3等の第2の情報処理装置が被判定装置である態様について説明する。
【0048】
図2は、ホスト装置2の構成を簡略化して示す図である。
図2に示すようにホスト装置2は、SoC(System on a Chip)111、電源制御部112、電流値測定回路113、及びメモリインタフェース114を備えて構成されている。SoC111は、ホスト装置2側の信号処理回路である。SoC111は、バス121を介して相互に接続された、CPU122、復号器123、期待値格納メモリ124、GPIO(General Purpose Input/Output)125、ADC(Analog to Digital Converter)126、コマンドバッファ127、データバッファ128、及び、ROM又はRAM等の記憶部129を備えて構成されている。記憶部129には、プログラム801が格納されている。ホスト装置2は、自身に接続されたメモリ装置3を動作させるための電源を、電源VCC1(電源供給部)から電源制御部112及び抵抗素子Rを介してメモリ装置3に供給する。電流値測定回路113は、抵抗素子Rの両端電圧を測定することにより、電源VCC1からメモリ装置3に流れる電流の電流値を測定する。
【0049】
図3は、メモリ装置3の構成を簡略化して示す図である。
図3に示すようにメモリ装置3は、メモリコントローラ131とメモリコア132とを備えて構成されている。メモリコントローラ131は、メモリ装置3側の信号処理回路である。メモリコントローラ131は、ホストインタフェース141、デコーダ142、及びメモリコアインタフェース143を備えて構成されている。メモリコア132の特定のアドレス領域には、後述する期待値データ901が格納されている。
【0050】
図4は、
図2に示したプログラム801をCPU122が実行することによって実現される機能を示す図である。
図4に示すように、記憶部129から読み出したプログラム801をCPU122が実行することによって、CPU122は、ホスト装置2に接続されているメモリ装置3が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定部150として機能する。換言すれば、プログラム801は、情報処理装置としてのホスト装置2に搭載されるコンピュータを、判定部150として機能させるためのプログラムである。
【0051】
図4に示すように判定部150は、期間設定部151、電流値取得部152、累積誤差算出部153、及び真贋判定部154として機能する。なお、判定部150の機能は、CPU122によるソフトウェア処理によって実現する場合に限らず、専用回路等を用いたハードウェア処理によって実現しても良い。
【0052】
メモリ装置3の正規品(純正品)と非正規品(偽造品)とでは、半導体デバイスの構造や製造プロセス等が異なるため、消費電流特性が顕著に相違する。また、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して、メモリ装置3の消費電流特性が瞬間的に大きく変動するという事態を想定する必要もある。本実施の形態に係るホスト装置2は、メモリ装置3の消費電流値を実測することによって得られた複数の実測電流値と、正規品又は非正規品に関して予め求められた複数の基準電流値との差を累積することによって、実測誤差累積値を算出する。そして、その実測誤差累積値と許容誤差累積値とを比較することによって、自身に接続されているメモリ装置3が正規品であるか非正規品であるかの真贋判定を行う。以下、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0053】
図5は、ホスト装置2の動作を説明するためのフローチャートである。
図6は、メモリ装置3の消費電流特性の一例を示す図である。
図6に示すように、メモリ装置3の通常動作期間は処理内容に応じて複数の期間Pに区分することができる。
図6に示した例では、通常動作期間はこの順に並ぶ8つの期間P1〜P8に区分されている。例えば、期間P1は起動直後のパワーオン期間であり、期間P2は各種設定を初期化するための初期化期間であり、期間P3,P6はスタンバイ期間であり、期間P4は相互認証に向けての鍵交換期間であり、期間P5は交換した鍵を用いて相互認証を行う認証期間であり、期間P7はアプリケーションの実行期間であり、期間P8はシャットダウンに向けてのパワーオフ期間である。期間Pの他の例としては、コマンド入力期間、メモリコアアクセス期間、データ読み出し期間、データ書き込み期間、データ消去期間、及びデータ通信期間等が想定される。
【0054】
正規品のメモリ装置3であれば、実装される半導体デバイスの種類や各デバイスの製造プロセスが厳密に管理されているため、各期間P1〜P8におけるメモリ装置3の消費電流特性はほぼ一定である。そこで、各期間P1〜P8の消費電流特性を示す情報が工場出荷前に作成されて、暗号化された期待値データ901(
図3参照)として、メモリコア132の特定のアドレス領域に格納されている。
【0055】
本実施の形態の例では、期間P1〜P8のうち、消費電流値及びその変化量が大きく、また消費電力の変化態様がデバイスに依存して特徴的である期間(例えば期間P1,P2,P4,P5,P8)を判定対象期間として、判定対象期間の各々に関する基準電流値パターンが、期待値データ901としてメモリコア132に格納されている。ここで、基準電流値パターンは、メモリ装置3の消費電流を所定のサンプリング周波数でサンプリングすることによって得られた複数の消費電流値を時系列順に配列したものである。また、期待値データ901には、判定対象期間の各々に関する許容誤差累積値(詳細は後述する)に関するデータも含まれている。
【0056】
なお、排除対象となる非正規品が既に特定されている場合には、正規品に関する基準電流値パターンに代えて、非正規品に関する基準電流値パターンをメモリコア132に格納しても良い。正規品に関する基準電流値パターンを用いる場合には、実測誤差累積値と許容誤差累積値とが一致するか否かによって、メモリ装置3が正規品であるか否かを判定できる。非正規品に関する基準電流値パターンを用いる場合には、実測誤差累積値と許容誤差累積値とが一致するか否かによって、メモリ装置3が非正規品であるか否かを判定できる。本実施の形態及び後述の各変形例では、正規品に関する基準電流値パターンを用いる例について説明する。
【0057】
図5を参照して、メモリ装置3がホスト装置2に接続されると、まずステップSP101においてCPU122(期間設定部151)は、期間P1〜P8の中から、真贋判定の実行対象となる少なくとも一つの判定対象期間(以下「第1の所定期間」と称す)を設定する。期間設定部151は、予め定められた規則に従って第1の所定期間を静的に選択することができ、あるいは、真贋判定の累積実行回数やメモリシステム1の稼働状況等に応じて第1の所定期間を動的に選択することができる。本実施の形態の例では、パワーオン期間である期間P1が第1の所定期間として設定されたものとする。また、期間設定部151は、第1の所定期間に対して実行する真贋判定の処理内容を設定する。本実施の形態の例では、「誤差累積値同士の比較処理」が、真贋判定の処理内容として設定される。但し、誤差累積値同士の比較処理がデフォルト処理として実行される場合には、この設定は省略しても良い。
【0058】
次にステップSP102においてCPU122は、電源制御部112に電源供給を開始させるための制御コマンドを、GPIO125にセットする。当該制御コマンドはGPIO125から電源制御部112に入力され、電源制御部112は、電源VCC1からメモリ装置3への電源供給を開始する。
【0059】
次にステップSP103においてCPU122は、メモリ装置3から所望の期待値データ901を読み出すための読み出しコマンドを、コマンドバッファ127にセットする。当該読み出しコマンドは、コマンドバッファ127からメモリインタフェース114を介してメモリ装置3に送信される。ホストインタフェース141は、ホスト装置2から受信した当該読み出しコマンドを、デコーダ142に入力する。デコーダ142は、入力された当該読み出しコマンドをデコードすることにより、所望の期待値データ901の読み出しアドレスをメモリコアインタフェース143に入力する。当該読み出しアドレスはメモリコアインタフェース143からメモリコア132に入力され、これによって、所望の期待値データ901がメモリコア132から読み出される。
【0060】
本実施の形態の例では、真贋判定の処理内容が「期間P1を対象とする誤差累積値同士の比較処理」に設定されているため、期間P1に関する基準電流値パターンと許容誤差累積値を示すデータとが、所望の期待値データ901としてメモリコア132から読み出される。期間P1に関する許容誤差累積値は、期間P1に含まれる総数N個の測定ポイント(つまり総数N個の基準電流値)の各々に対して設定されている許容誤差値Zの、N個の総和である。許容誤差値Zは、期間P1に関する消費電流値の分布態様等に応じて、基準電流値に対してプラスマイナス数%からプラスマイナス数10%の範囲内で最適な値が予め設定されている。本実施の形態では、期間P1に含まれるN個の測定ポイントの各々に対して、固定値の許容誤差値Zが設定されている。例えば、許容誤差値Zとして固定値の6mAが設定されている場合には、期間P1に関する許容誤差累積値はN×6mAということになる。
【0061】
読み出された期待値データ901は、暗号化された状態で、メモリコアインタフェース143及びホストインタフェース141を介してホスト装置2に送信される。メモリインタフェース114は、メモリ装置3から受信した期待値データ901を、データバッファ128を介して復号器123に入力する。復号器123は、暗号化されている期待値データ901を復号化する。復号化された期待値データ901は、期待値格納メモリ124に格納される。本実施の形態の例では、期間P1に関する基準電流値パターンと許容誤差累積値を示すデータとが、期待値格納メモリ124に格納される。
【0062】
パワーオン期間である期間P1が第1の所定期間として設定されているため、次にステップSP104においてCPU122は、電源制御部112に電源供給を停止させるための制御コマンドを、GPIO125にセットする。当該制御コマンドはGPIO125から電源制御部112に入力され、電源制御部112は、電源VCC1からメモリ装置3への電源供給を停止する。
【0063】
次にステップSP105においてCPU122は、電源制御部112に電源供給を開始させるための制御コマンドを、GPIO125にセットする。当該制御コマンドはGPIO125から電源制御部112に入力され、電源制御部112は、電源VCC1からメモリ装置3への電源供給を開始する。これにより、パワーオン期間である期間P1が開始される。
【0064】
次にステップSP106においてCPU122は、ADC126を駆動する。電源VCC1からメモリ装置3への電源供給が開始されたことにより、抵抗素子Rに電流が流れる。電流値測定回路113は、抵抗素子Rの両端電圧を所定のサンプリング周波数(例えば1MHz〜数MHz)でサンプリングすることによって、電源VCC1からメモリ装置3へ流れる電流の電流値を実測する。実測された電流値は、図示しないプリアンプによって増幅された後、ADC126によってAD変換され、その後、電流値取得部152によってCPU122に順次入力される。なお、ADC126によるAD変換よりも前にプリアンプによって実測電流値を増幅する上記の構成に代えて、ADC126によるAD変換よりも後に乗算器によって実測電流値を増幅する構成を採用しても良い。
【0065】
また、累積誤差算出部153は、期間P1に関する基準電流値パターンを期待値格納メモリ124から読み出して取得する。
【0066】
次にステップSP107においてCPU122(累積誤差算出部153)は、電流値取得部152によって順次取得されたN個の実測電流値と、期待値格納メモリ124から読み出した基準電流値パターンを構成するN個の基準電流値とに基づいて、各測定ポイントにおける両電流値の差分の絶対値をN個の測定ポイントに関して累積することにより、期間P1に関する実測誤差累積値を算出する。
【0067】
次にステップSP108においてCPU122(真贋判定部154)は、期間P1に関する許容誤差累積値を示すデータを期待値格納メモリ124から読み出して取得する。
【0068】
次にステップSP109においてCPU122(真贋判定部154)は、累積誤差算出部153によって算出された実測誤差累積値と、期待値格納メモリ124から読み出した許容誤差累積値とを比較する。真贋判定部154は、実測誤差累積値が許容誤差累積値以下である場合には、ホスト装置2に接続されているメモリ装置3は正規品であると判定して、真贋判定処理を終了する。
【0069】
一方、実測誤差累積値が許容誤差累積値を超える場合には、真贋判定部154は、ホスト装置2に接続されているメモリ装置3は非正規品であると判定して、非正規品であるメモリ装置3を排除するための処理を開始する。例えば、電源制御部112に電源供給を停止させるための制御コマンドをGPIO125にセットすることにより、電源VCC1からメモリ装置3への電源供給を停止する。
【0070】
図7は、実測電流値パターンK1及び基準電流値パターンK0の一例を示す図である。実測電流値パターンK1は複数の実測電流値Xを時系列順に配列したものであり、基準電流値パターンK0は複数の基準電流値Yを時系列順に配列したものである。電流値測定回路113のサンプリング周波数が1MHz〜数MHzであり、期間P1の長さが数m秒〜数十m秒である場合には、実際には実測電流値パターンK1及び基準電流値パターンK0はそれぞれ数十万個〜数百万個の実測電流値X及び基準電流値Yによって構成される。しかし
図7では説明の簡単化のため、実測電流値パターンK1及び基準電流値パターンK0がそれぞれ10個の実測電流値X01〜X10及び基準電流値Y01〜Y10によって構成された例を示している。
【0071】
図8は、実測電流値X01〜X10の数値の一例を示す図であり、
図9は、基準電流値Y01〜Y10の数値の一例を示す図である。
図8,9に示した例によると、期間P1に関する実測誤差累積値は、1+2+4+・・・+2=28mAとなる。また、許容誤差値Zとして固定値の6mAが設定されており、期間P1に関する許容誤差累積値は10×6=60mAであるものとする。この場合、実測誤差累積値は許容誤差累積値以下となるため、真贋判定部154は、ホスト装置2に接続されているメモリ装置3は正規品であると判定する。
図7〜9を参照して、実測電流値X04(20mA)と基準電流値Y04(28mA)との誤差(8mA)は、許容誤差値Z(6mA)を超えている。このように、瞬間的な異常値が含まれる場合であっても、メモリ装置3は正しく正規品と判定されていることが分かる。
【0072】
なお、以上の説明では、実測誤差累積値を求める演算、及び、実測誤差累積値と許容誤差累積値とを比較する演算を、CPU122のソフトウェア処理によって実行する例について述べた。しかし、電流値測定回路113の膨大なサンプリング数に起因してCPU122の処理負荷が増大することを回避すべく、これらの演算は、専用の演算器を用いたハードウェア処理によって実行しても良い。
【0073】
図10は、ホスト装置2の他の構成例を示す図である。SoC111に演算器160が実装されている。実測誤差累積値を求める演算、及び、実測誤差累積値と許容誤差累積値とを比較する演算は、演算器160によって実行され、それらの演算の結果が演算器160からCPU122に入力される。
【0074】
このように本実施の形態に係るホスト装置2(情報処理装置)によれば、真贋判定部154は、累積誤差算出部153によって算出された期間P1(第1の所定期間)に関する実測誤差累積値と、正規品(又は非正規品)を対象として予め求められた期間P1に関する許容誤差累積値との比較結果に基づいて、メモリ装置3(被判定装置)が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、実測電流値Xと基準電流値Yとを比較する場合と比べて瞬間的異常値に起因する影響を緩和できるため、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して実測電流値Xと基準電流値Yとが瞬間的に大きく相違する場合であっても、真贋判定の精度が低下する事態を回避又は抑制することが可能となる。
【0075】
また、本実施の形態に係るホスト装置2によれば、期間P1に含まれる各測定ポイントに関する許容誤差値Zは固定値である。従って、期間P1に関する許容誤差累積値を簡易に設定することが可能となる。
【0076】
また、本実施の形態に係るホスト装置2によれば、期間設定部151は、複数の期間P1〜P8の中から第1の所定期間を可変に選択する。従って、メモリ装置3の真贋判定を実行する対象となる第1の所定期間を期間設定部151によって静的又は動的に選択できるため、第三者による判定アルゴリズムの解析をより困難化することが可能となる。
【0077】
また、本実施の形態に係るホスト装置2によれば、基準電流値パターンを含む期待値データ901は、メモリ装置3内のメモリコア132(記憶部)に記憶されている。メモリ装置3の基準電流値パターンは、デバイスの構造や製造プロセス等に依存するため、デバイス毎に異なる。従って、あるメモリ装置3に関して求めた基準電流値パターンを、そのメモリ装置3内のメモリコア132に記憶しておくことにより、デバイス毎に異なる基準電流値パターンを簡易に管理することが可能となる。
【0078】
以下、上記実施の形態1に対する様々な変形例について説明する。以下に述べる変形例は、変形例同士を任意に組み合わせて適用することが可能であり、また、後述する実施の形態2〜4と任意に組み合わせて適用することが可能である。
【0079】
<変形例1>
上記実施の形態1では期間P1に含まれる各測定ポイントに関する許容誤差値Zは固定値であったが、許容誤差値Zは測定ポイント毎に可変値であっても良い。
【0080】
図11は、基準電流値パターンの一例を示す図である。各基準電流値Yに対して、可変値の許容誤差値Zが設定されている。
図11に示した例では、消費電流値の変化量が大きい箇所(つまり基準電流値パターンの傾きが大きい箇所)ほど、許容誤差値Zは大きな値に設定されている。例えば、消費電流値の変化量が最大となる基準電流値Y05に対しては、最大値7mAの許容誤差値Zが設定されており、消費電流値の変化量が最小となる基準電流値Y08,Y09に対しては、最小値1mAの許容誤差値Zが設定されている。
【0081】
本変形例に係るホスト装置2によれば、期間P1に含まれる各測定ポイントに関する許容誤差値Zは、測定ポイント毎に可変値である。従って、基準電流値パターンにおける変化量の大きさ等に応じて各測定ポイントの許容誤差値Zを可変に設定することにより、許容誤差累積値を高精度に設定できるため、真贋判定の精度を向上することが可能となる。
【0082】
<変形例2>
上記実施の形態1では期間P1に含まれる各測定ポイントに関する許容誤差値Zは固定値であったが、許容誤差値Zは期間P1〜P8毎に可変値であっても良い。
【0083】
図12は、各期間P1〜P8に関して設定される許容誤差値Zの一例を示す図である。期間P1〜P8毎に、可変値の許容誤差値Zが設定されている。
図12に示した例では、消費電流の変化量が大きい期間P1,P2,P4,P5,P7,P8に対しては、大きな値(8mA)の許容誤差値Zが設定されており、消費電流の変化量が小さい期間P3,P6に対しては、小さな値(1mA)の許容誤差値Zが設定されている。
【0084】
本変形例に係るホスト装置2によれば、各測定ポイントに対して設定される許容誤差値Zは、期間P毎に可変値である。従って、基準電流値パターンの変化量等に応じて期間P毎に許容誤差値Zを可変に設定することにより、許容誤差累積値を高精度に設定できるため、真贋判定の精度を向上することが可能となる。
【0085】
<変形例3>
図13は、
図2に示したプログラム801をCPU122が実行することによって実現される機能を示す図である。
図4に示した構成に対して、パターン作成部155が追加されている。
【0086】
図14は、本変形例に係る真贋判定処理の流れを示すフローチャートである。まずステップE1において判定部150は、第1判定処理として、実測電流値パターンと基準電流値パターンとを比較することによってメモリ装置3の真贋判定を行う。
【0087】
図7を参照して、パターン作成部155は、電流値取得部152によって順次取得された複数の実測電流値Xを時系列順に配列することによって、期間P1に関するメモリ装置3の実測電流値パターンK1を作成する。
【0088】
真贋判定部154は、基準電流値パターンK0と実測電流値パターンK1とを比較する。具体的には、期間P1に含まれる全ての測定ポイントの各々において、基準電流値Yと実測電流値Xとの差が所定の許容誤差値V以下であるか否かを判定する。真贋判定部154は、各測定ポイントにおいて、両電流値の差が許容誤差値V以下である場合には実測電流値Xは基準電流値Yに一致していると判定し、一方、両電流値の差が許容誤差値Vを超える場合には実測電流値Xは基準電流値Yに一致していないと判定する。なお、基準電流値パターンK0及び許容誤差値Vに関するデータは、期待値データ901に含まれている。
【0089】
真贋判定部154は、期間P1に含まれる全ての測定ポイントのうち、実測電流値Xが基準電流値Yに一致していないと判定した測定ポイントの数(NGポイント数M)をカウントする。
【0090】
次にステップE2において真贋判定部154は、NGポイント数Mと所定の閾値Th1とを比較する。閾値Th1は、例えば、期間P1に含まれる測定ポイントの総数の1%の値に設定されている。そして、NGポイント数Mが閾値Th1未満である場合には、実測電流値パターンK1は基準電流値パターンK0に一致し、この例の場合にはメモリ装置3は正規品であると判定して、第2判定処理を実行することなく真贋判定処理を終了する。
【0091】
一方、NGポイント数Mが閾値Th1以上である場合には、次にステップE3において真贋判定部154は、NGポイント数Mと所定の閾値Th2とを比較する。閾値Th2は、例えば、期間P1に含まれる測定ポイントの総数の3%の値に設定されている。そして、NGポイント数Mが閾値Th2以上である場合には、実測電流値パターンK1は基準電流値パターンK0に一致せず、この例の場合にはメモリ装置3は非正規品であると判定して、第2判定処理を実行することなく真贋判定処理を終了する。
【0092】
一方、NGポイント数Mが閾値Th2未満である場合には、次にステップE4において判定部150は、第2判定処理として、上記実施の形態1で述べた真贋判定処理(つまり、実測誤差累積値と許容誤差累積値との比較による真贋判定処理)を実行する。そして、第2判定処理の結果として、メモリ装置3が正規品であるか非正規品であるかを判定する。
【0093】
本変形例に係るホスト装置2によれば、実測電流値パターンK1と基準電流値パターンK0との比較による第1判定処理と、実測誤差累積値と許容誤差累積値との比較による第2判定処理との二段階の判定処理を行うことにより、いずれか一方の判定処理のみを行う場合と比較して、真贋判定の精度を向上することが可能となる。特に、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して実測電流値パターンK1と基準電流値パターンK0とが瞬間的に大きく相違したことが原因で第1判定処理において非正規品と判定された正規品を、第2判定処理において救済することが可能となる。
【0094】
また、本変形例に係るホスト装置2によれば、真贋判定部154は、実測電流値Xと基準電流値Yとが一致しないNGポイント数M(又はNGポイント率)が、第1の閾値Th1未満である場合、又は、第2の閾値Th2以上である場合には、第2判定処理を実行しない。従って、実測電流値パターンK1と基準電流値パターンK0とが完全に一致する場合(閾値Th1未満)や大きく異なる場合(閾値Th2以上)には第2判定処理の実行を省略できるため、救済する必要のないメモリ装置3に対して無駄な処理が実行される事態を回避することが可能となる。
【0095】
<変形例4>
上記実施の形態1では、期間設定部151は、メモリ装置3の動作期間を区分した複数の期間P1〜P8のうち一つの期間P1のみを、判定対象期間として設定した。
【0096】
これに対して本変形例に係る期間設定部151は、期間P1〜P8のうちの複数の期間を、判定対象期間として設定する。
【0097】
図15は、メモリ装置3の消費電流特性の一例を示す図である。この例において期間設定部151は、パワーオン期間である期間P1(第1の所定期間)と鍵交換期間である期間P4(第2の所定期間)とを、ステップSP101において判定対象期間として設定する。期間設定部151は、第1の所定期間及び第2の所定期間を、予め定められた規則に従って静的に選択することができ、あるいは、真贋判定の累積実行回数やメモリシステム1の稼働状況等に応じて動的に選択することができる。
【0098】
また、ステップSP101において期間設定部151は、期間P1,P4の各々に対して実行する真贋判定の処理内容を設定する。本変形例の例では、「誤差累積値同士の比較処理」が、真贋判定の処理内容としていずれも設定される。
【0099】
ステップSP103では、期間P1に関する第1の基準電流値パターン及び第1の許容誤差累積値を示すデータと、期間P4に関する第2の基準電流値パターン及び第2の許容誤差累積値を示すデータとが、所望の期待値データ901としてメモリコア132から読み出される。これらの情報は、メモリ装置3からホスト装置2に送信され、復号器123によって復号化された後、期待値格納メモリ124に格納される。
【0100】
電流値取得部152は、期間P1に関して第1の実測電流値の取得処理を実行し、累積誤差算出部153は、期間P1に関して第1の実測誤差累積値の算出処理を実行する。また、電流値取得部152は、期間P4に関して第2の実測電流値の取得処理を実行し、累積誤差算出部153は、期間P4に関して第2の実測誤差累積値の算出処理を実行する。
【0101】
真贋判定部154は、期間P1に関する第1の実測誤差累積値と第1の許容誤差累積値との比較結果と、期間P4に関する第2の実測誤差累積値と第2の許容誤差累積値との比較結果とに基づいて、メモリ装置3が正規品であるか非正規品であるかを判定する。例えば、期間P1,P4の双方において、実測誤差累積値と許容誤差累積値とが一致する場合には、メモリ装置3が正規品であると判定し、一方、期間P1,P4の少なくとも一方において、実測誤差累積値と許容誤差累積値とが一致しない場合には、メモリ装置3が非正規品であると判定する。
【0102】
本変形例に係るホスト装置2によれば、真贋判定部154はさらに、複数の所定期間P1〜P8のうち期間P4(第2の所定期間)に関して累積誤差算出部153によって算出された第2の実測誤差累積値と、期間P4に関する第2の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、メモリ装置3が正規品であるか非正規品であるかを判定する。このように、第1の所定期間のみならず第2の所定期間に関しても実測誤差累積値と許容誤差累積値との比較を行うことにより、第1の所定期間及び第2の所定期間の双方の比較結果に基づいてメモリ装置3の真贋判定を行うことができるため、判定精度をより向上することが可能となる。なお、第2の所定期間に関しては第1の所定期間と同様の処理を行うことができ、例えば、第2の所定期間を対象として上記変形例1〜3を適用することも可能である。
【0103】
<実施の形態2>
本実施の形態では、ホスト装置2の真贋判定をメモリ装置3が実行する態様、つまり、メモリ装置3等の第2の情報処理装置が判定装置であり、ホスト装置2等の第1の情報処理装置が被判定装置である態様について説明する。
【0104】
図16は、ホスト装置2の構成を簡略化して示す図である。
図16に示すようにホスト装置2は、SoC211及びメモリインタフェース212を備えて構成されている。
【0105】
SoC211は、バス221を介して相互に接続された、CPU222、コマンドバッファ223、及びデータバッファ224を備えて構成されている。SoC211には、電源VCC2(電源供給部)から抵抗素子Rを介して駆動電源が供給される。
【0106】
図17は、メモリ装置3の構成を簡略化して示す図である。
図17に示すようにメモリ装置3は、メモリコントローラ231、メモリコア232、電流値測定回路233、及び認証制御回路234を備えて構成されている。メモリコントローラ231は、ホストインタフェース241、デコーダ242、及びメモリコアインタフェース243を備えて構成されている。電流値測定回路233は、ホスト装置2の抵抗素子Rの両端電圧を測定することにより、電源VCC2からSoC211に流れる電流の電流値を測定する。メモリコア232の所定のアドレス領域には、後述する期待値データ902が格納されている。期待値データ902は、暗号化されていても良いし、暗号化されていなくても良いが、本実施の形態の例では暗号化されているものとする。なお、期待値データ902は、メモリコア232とは異なる不揮発性メモリに格納されていても良い。
【0107】
図18は、認証制御回路234の構成を示す図である。
図18の接続関係で示すように、認証制御回路234は、バス251を介して相互に接続された、CPU252、復号器253、期待値格納メモリ254、GPIO255、電源制御部256、ADC257、及び、ROM又はRAM等の記憶部258を備えて構成されている。記憶部258には、プログラム802が格納されている。
【0108】
図19は、
図18に示したプログラム802をCPU252が実行することによって実現される機能を示す図である。記憶部258から読み出したプログラム802をCPU252が実行することによって、CPU252は、ホスト装置2が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定部260として機能する。換言すれば、プログラム802は、第2の情報処理装置としてのメモリ装置3に搭載されるコンピュータを、判定部260として機能させるためのプログラムである。判定部260は、期間設定部261、電流値取得部262、累積誤差算出部263、及び真贋判定部264として機能する。なお、判定部260の機能は、CPU252によるソフトウェア処理によって実現する場合に限らず、専用回路等を用いたハードウェア処理によって実現しても良い。
【0109】
ホスト装置2の正規品と非正規品とでは、半導体デバイスの構造や製造プロセス等が異なるため、あるいは、正規プログラムと不正プログラム(マルウェア)とでは動作内容が異なるため、消費電流特性が顕著に相違する。また、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して、ホスト装置2の消費電流特性が瞬間的に大きく変動するという事態を想定する必要もある。本実施の形態に係るメモリ装置3は、ホスト装置2の消費電流値を実測することによって得られた複数の実測電流値と、正規品又は非正規品に関して予め求められた複数の基準電流値との差を累積することによって、実測誤差累積値を算出する。そして、その実測誤差累積値と許容誤差累積値とを比較することによって、自身に接続されているホスト装置2が正規品であるか非正規品であるかの真贋判定を行う。以下、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0110】
図20は、メモリ装置3の動作を説明するためのフローチャートである。
図21は、正規品のホスト装置2の消費電流特性の一例を示す図である。
図21に示すように、ホスト装置2の通常動作期間は処理内容に応じて複数の期間Pに区分することができる。
図21に示した例では、通常動作期間はこの順に並ぶ7つの期間P1〜P7に区分されている。例えば、期間P1は起動直後のパワーオン期間であり、期間P2は各種設定を初期化するためのファーストブート期間であり、期間P3はファームウェアの更新やプログラム番地の設定等を行うためのセカンドブート期間であり、期間P4はメモリ装置3との間でコマンドやコンテンツデータの送受信を行うメモリアクセス期間であり、期間P5はメモリ装置3から読み出したコンテンツデータに対して画像処理を行う画像処理期間であり、期間P6は図示しないディスプレイに画像を表示する画像表示期間であり、期間P7は何らかのバックグラウンド処理を伴うスタンバイ期間である。期間Pの他の例としては、バックグラウンド処理を伴わないスリープ期間、メモリ装置3との相互認証に向けての鍵交換期間、及び相互認証期間等が想定される。
【0111】
正規品のホスト装置2であれば、実装される半導体デバイスの種類や各デバイスの製造プロセスが厳密に管理されており、また、正規プログラムによって動作内容が規定されているため、各期間P1〜P7におけるホスト装置2の消費電流特性はほぼ一定である。そこで、各期間P1〜P7の消費電流特性を示す情報が工場出荷前に作成されて、暗号化された期待値データ902(
図17参照)としてメモリコア232の特定の記憶領域に格納されている。本実施の形態の例では、期間P1〜P7の各々に関する、
・基準電流値パターン及び許容誤差累積値
・消費電流値の最大値、最小値、及び平均値(基準代表値)
・スタンバイ期間における微小な消費電流値(基準電流値)
が、期待値データ902としてメモリコア232に格納されている。期待値データ902は更新することも可能であり、例えば、ホスト装置2がアクセス可能な通信ネットワークから最新の期待値データ902をダウンロードしてメモリコア232に格納することも可能である。
【0112】
なお、排除対象となる非正規品が既に特定されている場合には、正規品に関する基準電流値パターン及び許容誤差累積値、基準代表値、又は基準電流値に代えて、非正規品に関する基準電流値パターン及び許容誤差累積値、基準代表値、又は基準電流値をメモリコア232に格納しても良い。例えば、正規品に関する基準電流値パターン及び許容誤差累積値を用いる場合には、実測誤差累積値と許容誤差累積値とが一致するか否かによって、ホスト装置2が正規品であるか否かを判定できる。非正規品に関する基準電流値パターン及び許容誤差累積値を用いる場合には、実測誤差累積値と許容誤差累積値とが一致するか否かによって、ホスト装置2が非正規品であるか否かを判定できる。基準代表値及び基準電流値についても同様である。本実施の形態では、正規品に関する基準電流値パターン及び許容誤差累積値、基準代表値、又は基準電流値を用いる例について説明する。
【0113】
また、期間P1〜P7の各々の期待値データ902としては、各期間の消費電流特性等に応じて、基準電流値パターン及び許容誤差累積値、基準代表値、及び基準電流値のいずれかを用いることが望ましい。例えば以下の通りである。
【0114】
パワーオン期間は突入電流が大きく、またその変化態様が同一デバイスでも一定ではないため、期間P1に関しては対象期間から除外するのが望ましい。
【0115】
ファーストブート期間は正規品と非正規品とで消費電流の変化パターンに大差がないため、期間P2に関しても対象期間から除外するのが望ましい。
【0116】
セカンドブート期間、メモリアクセス期間、画像処理期間、及び画像表示期間については、消費電流値及びその変化量が比較的大きいため、期間P3〜P6に関しては、判定精度を優先する場合には基準電流値パターン及び許容誤差累積値を、判定処理の負荷軽減を優先する場合には基準代表値を用いるのが好適である。
【0117】
スタンバイ期間は消費電流値及びその変化量が小さいため、期間P7に関しては基準電流値を用いるのが好適である。但し、バックグラウンド処理に伴う消費電流が比較的大きい場合には、スタンバイ期間に関しても基準電流値パターン及び許容誤差累積値を用いることができる。なお、バックグラウンド処理を伴わないスリープ期間に関しては、誤差累積値による真贋の差別化が期待できないため、基準電流値を用いるのが好適である。
【0118】
図20を参照して、メモリ装置3がホスト装置2に接続されると、まずステップSP201において、ホスト装置2からメモリ装置3への駆動電源の供給が開始される。なお、SoC211には電源VCC2から駆動電源が供給されている。
【0119】
次にステップSP202においてCPU252(期間設定部261)は、期間P1〜P7の中から、真贋判定の実行対象となる少なくとも一つの判定対象期間(以下「第1の所定期間」と称す)を設定する。期間設定部261は、予め定められた規則に従って第1の所定期間を静的に選択することができ、あるいは、真贋判定の累積実行回数やメモリシステム1の稼働状況等に応じて第1の所定期間を動的に選択することができる。本実施の形態の例では、セカンドブート期間である期間P3が第1の所定期間として設定されたものとする。また、期間設定部261は、第1の所定期間に対して実行する真贋判定の処理内容を設定する。本実施の形態の例では、「誤差累積値同士の比較処理」が、真贋判定の処理内容として設定される。但し、誤差累積値同士の比較処理がデフォルト処理として実行される場合には、この設定は省略しても良い。
【0120】
次にステップSP203においてCPU222は、メモリコア232から所望の期待値データ902を読み出すための読み出しコマンドを、コマンドバッファ223にセットする。当該読み出しコマンドは、コマンドバッファ223からメモリインタフェース212を介してメモリ装置3に送信される。ホストインタフェース241は、ホスト装置2から受信した当該読み出しコマンドを、デコーダ242に入力する。デコーダ242は、入力された当該読み出しコマンドをデコードすることにより、所望の期待値データ902の読み出しアドレスをメモリコアインタフェース243に入力する。当該読み出しアドレスはメモリコアインタフェース243からメモリコア232に入力され、これによって、所望の期待値データ902がメモリコア232から読み出される。本実施の形態の例では、真贋判定の処理内容が「期間P3を対象とする誤差累積値同士の比較処理」に設定されているため、期間P3に関する基準電流値パターンと許容誤差累積値を示すデータとが、所望の期待値データ902としてメモリコア232から読み出される。期間P3に関する許容誤差累積値は、期間P3に含まれる総数N個の測定ポイント(つまり総数N個の基準電流値)の各々に対して設定されている許容誤差値Zの、N個の総和である。許容誤差値Zは、期間P3に関する消費電流値の分布態様等に応じて、基準電流値に対してプラスマイナス数%からプラスマイナス数10%の範囲内で最適な値が予め設定されている。
【0121】
読み出された期待値データ902は、暗号化された状態で、認証制御回路234の復号器253に入力される。復号器253は、暗号化されている期待値データ902を復号化する。復号化された期待値データ902は、期待値格納メモリ254に格納される。本実施の形態の例では、期間P3に関する基準電流値パターンと許容誤差累積値を示すデータとが、期待値格納メモリ254に格納される。
【0122】
期間P3が開始されると、次にステップSP204においてCPU252は、ADC257を駆動する。電源VCC2からSoC211への電源供給が開始されたことにより、抵抗素子Rに電流が流れる。電流値測定回路233は、抵抗素子Rの両端電圧を所定のサンプリング周波数(例えば1MHz〜数MHz)でサンプリングすることによって、電源VCC2からSoC211へ流れる電流の電流値を実測する。実測された電流値は、図示しないプリアンプによって増幅された後、ADC257によってAD変換され、その後、電流値取得部262によってCPU252に順次入力される。なお、ADC257によるAD変換よりも前にプリアンプによって実測電流値を増幅する上記の構成に代えて、ADC257によるAD変換よりも後に乗算器によって実測電流値を増幅する構成を採用しても良い。
【0123】
また、累積誤差算出部263は、期間P3に関する基準電流値パターンを期待値格納メモリ254から読み出して取得する。
【0124】
次にステップSP205においてCPU252(累積誤差算出部263)は、電流値取得部262によって順次取得されたN個の実測電流値Yと、期待値格納メモリ254から読み出した基準電流値パターンを構成するN個の基準電流値Xとに基づいて、各測定ポイントにおける両電流値の差分の絶対値をN個の測定ポイントに関して累積することにより、期間P3に関する実測誤差累積値を算出する。
【0125】
次にステップSP206においてCPU252(真贋判定部264)は、期間P3に関する許容誤差累積値を示すデータを期待値格納メモリ254から読み出して取得する。
【0126】
次にステップSP207においてCPU252(真贋判定部264)は、累積誤差算出部263によって算出された実測誤差累積値と、期待値格納メモリ254から読み出した許容誤差累積値とを比較する。
【0127】
次にステップSP208においてCPU252(真贋判定部264)は、実測誤差累積値が許容誤差累積値以下である場合には、ホスト装置2は正規品であると判定して、真贋判定処理を終了する。
【0128】
一方、実測誤差累積値が許容誤差累積値を超える場合には、真贋判定部264は、ホスト装置2は非正規品であると判定して、メモリシステム1の動作を停止するための処理を開始する。例えば、電源制御部256に電源供給を停止させるための制御コマンドをGPIO255にセットすることにより、メモリコントローラ231への電源供給を停止する。
【0129】
このように本実施の形態に係るメモリ装置3(情報処理装置)によれば、真贋判定部264は、累積誤差算出部263によって算出された第1の実測誤差累積値と、期間P3(第1の所定期間)に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、ホスト装置2が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、実測電流値と基準電流値とを比較する場合と比べて瞬間的異常値に起因する影響を緩和できるため、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して実測電流値と基準電流値とが瞬間的に大きく相違する場合であっても、真贋判定の精度が低下する事態を回避又は抑制することが可能となる。
【0130】
<実施の形態3>
本実施の形態では、ホスト装置2の真贋判定をホスト装置2自身が実行する態様、つまり、ホスト装置2等の第1の情報処理装置が判定装置かつ被判定装置である態様について説明する。
【0131】
図22は、ホスト装置2の構成を簡略化して示す図である。
図22に示すようにホスト装置2は、SoC311、電源制御部312、電流値測定回路313、メモリインタフェース314、及び不揮発性の記憶部315を備えて構成されている。記憶部315には、後述する期待値データ903が格納されている。期待値データ903は、暗号化されていても良いし、暗号化されていなくても良いが、本実施の形態の例では暗号化されているものとする。
【0132】
SoC311は、バス321を介して相互に接続された、CPU322、復号器323、期待値格納メモリ324、GPIO325、ADC326、コマンドバッファ327、データバッファ328、及び、ROM又はRAM等の記憶部329を備えて構成されている。記憶部329には、プログラム803が格納されている。SoC311には、電源VCC3(電源供給部)から抵抗素子Rを介して駆動電源が供給される。電流値測定回路313は、抵抗素子Rの両端電圧を測定することにより、電源VCC3からSoC311に流れる電流の電流値を測定する。
【0133】
図23は、メモリ装置3の構成を簡略化して示す図である。
図23に示すようにメモリ装置3は、メモリコントローラ331とメモリコア332とを備えて構成されている。メモリコントローラ331は、ホストインタフェース341、デコーダ342、及びメモリコアインタフェース343を備えて構成されている。
【0134】
図24は、
図22に示したプログラム803をCPU322が実行することによって実現される機能を示す図である。
図24に示すように、記憶部329から読み出したプログラム803をCPU322が実行することによって、CPU322は、ホスト装置2が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定部350として機能する。換言すれば、プログラム803は、情報処理装置としてのホスト装置2に搭載されるコンピュータを、判定部350として機能させるためのプログラムである。
図24に示すように判定部350は、期間設定部351、電流値取得部352、累積誤差算出部353、及び真贋判定部354として機能する。なお、判定部350の機能は、CPU322によるソフトウェア処理によって実現する場合に限らず、専用回路等を用いたハードウェア処理によって実現しても良い。
【0135】
ホスト装置2の正規品と非正規品とでは、半導体デバイスの構造や製造プロセス等が異なるため、あるいは、正規プログラムと不正プログラム(マルウェア)とでは動作内容が異なるため、消費電流特性が顕著に相違する。また、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して、ホスト装置2の消費電流特性が瞬間的に大きく変動するという事態を想定する必要もある。本実施の形態に係るホスト装置2は、ホスト装置2の消費電流値を実測することによって得られた複数の実測電流値と、正規品又は非正規品に関して予め求められた複数の基準電流値との差を累積することによって、実測誤差累積値を算出する。そして、その実測誤差累積値と許容誤差累積値とを比較することによって、自身が正規品であるか非正規品であるかの真贋判定を行う。以下、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0136】
図25は、ホスト装置2の動作を説明するためのフローチャートである。
図21に示したように、ホスト装置2の通常動作期間は処理内容に応じて複数の期間Pに区分することができる。
【0137】
正規品のホスト装置2であれば、実装される半導体デバイスの種類や各デバイスの製造プロセスが厳密に管理されており、また、正規プログラムによって動作内容が規定されているため、各期間P1〜P7におけるホスト装置2の消費電流特性はほぼ一定である。そこで、各期間P1〜P7の消費電流特性を示す情報が工場出荷前に作成されて、暗号化された期待値データ903(
図22参照)として不揮発性の記憶部315に格納されている。本実施の形態の例では、上記実施の形態2と同様に、期間P1〜P7の各々に関する、
・基準電流値パターン及び許容誤差累積値
・消費電流値の最大値、最小値、及び平均値(基準代表値)
・スタンバイ期間における微小な消費電流値(基準電流値)
が、期待値データ903として記憶部315に格納されている。
【0138】
図25を参照して、メモリ装置3がホスト装置2に接続されると、まずステップSP301において、ホスト装置2からメモリ装置3への駆動電源の供給が開始される。なお、SoC311には電源VCC3から駆動電源が供給されている。
【0139】
次にステップSP302においてCPU322(期間設定部351)は、期間P1〜P7の中から、真贋判定の実行対象となる少なくとも一つの判定対象期間(以下「第1の所定期間」と称す)を設定する。期間設定部351は、予め定められた規則に従って第1の所定期間を静的に選択することができ、あるいは、真贋判定の累積実行回数やメモリシステム1の稼働状況等に応じて第1の所定期間を動的に選択することができる。本実施の形態の例では、セカンドブート期間である期間P3が第1の所定期間として設定されたものとする。また、期間設定部351は、第1の所定期間に対して実行する真贋判定の処理内容を設定する。本実施の形態の例では、「誤差累積値同士の比較処理」が、真贋判定の処理内容として設定される。但し、誤差累積値同士の比較処理がデフォルト処理として実行される場合には、この設定は省略しても良い。
【0140】
次にステップSP303においてCPU322は、記憶部315から所望の期待値データ903を読み出す。本実施の形態の例では、真贋判定の処理内容が「期間P3を対象とする誤差累積値同士の比較処理」に設定されているため、期間P3に関する基準電流値パターンと許容誤差累積値を示すデータとが、所望の期待値データ903として記憶部315から読み出される。期間P3に関する許容誤差累積値は、期間P3に含まれる総数N個の測定ポイント(つまり総数N個の基準電流値)の各々に対して設定されている許容誤差値Zの、N個の総和である。許容誤差値Zは、期間P3に関する消費電流値の分布態様等に応じて、基準電流値に対してプラスマイナス数%からプラスマイナス数10%の範囲内で最適な値が予め設定されている。
【0141】
読み出された期待値データ903は、暗号化された状態で、SoC311の復号器323に入力される。復号器323は、暗号化されている期待値データ903を復号化する。復号化された期待値データ903は、期待値格納メモリ324に格納される。本実施の形態の例では、期間P3に関する基準電流値パターンと許容誤差累積値を示すデータとが、期待値格納メモリ324に格納される。
【0142】
期間P3が開始されると、次にステップSP304においてCPU322は、ADC326を駆動する。電源VCC3からSoC311への電源供給が開始されたことにより、抵抗素子Rに電流が流れる。電流値測定回路313は、抵抗素子Rの両端電圧を所定のサンプリング周波数(例えば1MHz〜数MHz)でサンプリングすることによって、電源VCC3からSoC311へ流れる電流の電流値を実測する。実測された電流値は、図示しないプリアンプによって増幅された後、ADC326によってAD変換され、その後、電流値取得部352によってCPU322に順次入力される。なお、ADC326によるAD変換よりも前にプリアンプによって実測電流値を増幅する上記の構成に代えて、ADC326によるAD変換よりも後に乗算器によって実測電流値を増幅する構成を採用しても良い。
【0143】
また、累積誤差算出部353は、期間P3に関する基準電流値パターンを期待値格納メモリ324から読み出して取得する。
【0144】
次にステップSP305においてCPU322(累積誤差算出部353)は、電流値取得部352によって順次取得されたN個の実測電流値Yと、期待値格納メモリ324から読み出した基準電流値パターンを構成するN個の基準電流値Xとに基づいて、各測定ポイントにおける両電流値の差分の絶対値をN個の測定ポイントに関して累積することにより、期間P3に関する実測誤差累積値を算出する。
【0145】
次にステップSP306においてCPU322(真贋判定部354)は、期間P3に関する許容誤差累積値を示すデータを期待値格納メモリ254から読み出して取得する。
【0146】
次にステップSP307においてCPU322(真贋判定部354)は、累積誤差算出部353によって算出された実測誤差累積値と、期待値格納メモリ324から読み出した許容誤差累積値とを比較する。
【0147】
次にステップSP308においてCPU322(真贋判定部354)は、実測誤差累積値が許容誤差累積値以下である場合には、ホスト装置2は正規品であると判定して、真贋判定処理を終了する。
【0148】
一方、実測誤差累積値が許容誤差累積値を超える場合には、真贋判定部354は、ホスト装置2は非正規品であると判定して、メモリシステム1の動作を停止するための処理を開始する。例えば、電源制御部312に電源供給を停止させるための制御コマンドをGPIO325にセットすることにより、ホスト装置2からメモリ装置3への電源供給を停止する。
【0149】
このように本実施の形態に係るホスト装置2(情報処理装置)によれば、真贋判定部354は、累積誤差算出部353によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、ホスト装置2(被判定装置)が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、実測電流値と基準電流値とを比較する場合と比べて瞬間的異常値に起因する影響を緩和できるため、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して実測電流値と基準電流値とが瞬間的に大きく相違する場合であっても、真贋判定の精度が低下する事態を回避又は抑制することが可能となる。
【0150】
<実施の形態4>
本実施の形態では、メモリ装置3の真贋判定をメモリ装置3自身が実行する態様、つまり、メモリ装置3等の第2の情報処理装置が判定装置かつ被判定装置である態様について説明する。
【0151】
図26は、メモリ装置3の構成を簡略化して示す図である。
図3に示した構成に対して、電流値測定回路333及び認証制御回路334が追加されている。メモリコントローラ331には、電源VCC4(電源供給部)から抵抗素子Rを介して駆動電源が供給される。電流値測定回路333は、抵抗素子Rの両端電圧を測定することにより、電源VCC4からメモリコントローラ331に流れる電流の電流値を測定する。メモリコア332の所定のアドレス領域には、後述する期待値データ904が格納されている。期待値データ904は、暗号化されていても良いし、暗号化されていなくても良いが、本実施の形態の例では暗号化されているものとする。なお、期待値データ904は、メモリコア332とは異なる不揮発性メモリに格納されていても良い。
【0152】
図27は、認証制御回路334の構成を示す図である。
図2に示したSoC111と同様に、認証制御回路334は、バス361を介して相互に接続された、CPU362、復号器363、期待値格納メモリ364、GPIO365、電源制御部366、ADC367、及び、ROM又はRAM等の記憶部368を備えて構成されている。記憶部368には、プログラム804が格納されている。
【0153】
図28は、
図27に示したプログラム804をCPU362が実行することによって実現される機能を示す図である。記憶部368から読み出したプログラム804をCPU362が実行することによって、CPU362は、メモリ装置3が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定部370として機能する。換言すれば、プログラム804は、情報処理装置としてのメモリ装置3に搭載されるコンピュータを、判定部370として機能させるためのプログラムである。
図28に示すように判定部370は、期間設定部371、電流値取得部372、累積誤差算出部373、及び真贋判定部374として機能する。なお、判定部370の機能は、CPU362によるソフトウェア処理によって実現する場合に限らず、専用回路等を用いたハードウェア処理によって実現しても良い。
【0154】
メモリ装置3の正規品と非正規品とでは、半導体デバイスの構造や製造プロセス等が異なるため、消費電流特性が顕著に相違する。また、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して、メモリ装置3の消費電流特性が瞬間的に大きく変動するという事態を想定する必要もある。本実施の形態に係るメモリ装置3は、メモリ装置3の消費電流値を実測することによって得られた複数の実測電流値と、正規品又は非正規品に関して予め求められた複数の基準電流値との差を累積することによって、実測誤差累積値を算出する。そして、その実測誤差累積値と許容誤差累積値とを比較することによって、自身が正規品であるか非正規品であるかの真贋判定を行う。以下、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0155】
図6に示したように、メモリ装置3の通常動作期間は処理内容に応じて複数の期間Pに区分することができる。
【0156】
正規品のメモリ装置3であれば、実装される半導体デバイスの種類や各デバイスの製造プロセスが厳密に管理されているため、各期間P1〜P8におけるメモリ装置3の消費電流特性はほぼ一定である。そこで、各期間P1〜P8の消費電流特性を示す情報が工場出荷前に作成されて、暗号化された期待値データ904として、メモリコア332に格納されている。本実施の形態の例では、期間P1〜P8の各々に関する、
・基準電流値パターン及び許容誤差累積値
・消費電流値の最大値、最小値、及び平均値(基準代表値)
・スタンバイ期間における微小な消費電流値(基準電流値)
が、期待値データ904としてメモリコア332に格納されている。
【0157】
図29は、メモリ装置3の動作を説明するためのフローチャートである。メモリ装置3がホスト装置2に接続されると、まずステップSP401においてCPU362(期間設定部371)は、期間P1〜P8の中から、真贋判定の実行対象となる少なくとも一つの判定対象期間(以下「第1の所定期間」と称す)を設定する。期間設定部371は、予め定められた規則に従って第1の所定期間を静的に選択することができ、あるいは、真贋判定の累積実行回数やメモリシステム1の稼働状況等に応じて第1の所定期間を動的に選択することができる。本実施の形態では、パワーオン期間である期間P1が第1の所定期間として設定されたものとする。また、期間設定部371は、第1の所定期間に対して実行する真贋判定の処理内容を設定する。本実施の形態では、「誤差累積値同士の比較処理」が、真贋判定の処理内容として設定される。但し、誤差累積値同士の比較処理がデフォルト処理として実行される場合には、この設定は省略しても良い。
【0158】
次にステップSP402においてCPU362は、電源VCC4からメモリコントローラ331への電源供給を開始する。
【0159】
次にステップSP403においてCPU362は、メモリコア332から所望の期待値データ904を読み出す。本実施の形態では、真贋判定の処理内容が「期間P1を対象とする誤差累積値同士の比較処理」に設定されているため、期間P1に関する基準電流値パターンと許容誤差累積値を示すデータとが、所望の期待値データ904としてメモリコア332から読み出される。読み出された期待値データ904は、暗号化された状態で、認証制御回路334に送信される。復号器363は、暗号化されている期待値データ904を復号化する。復号化された期待値データ904は、期待値格納メモリ364に格納される。本実施の形態では、期間P1に関する基準電流値パターンと許容誤差累積値を示すデータとが、期待値格納メモリ364に格納される。
【0160】
パワーオン期間である期間P1が第1の所定期間として設定されているため、次にステップSP404においてCPU362は、電源VCC4からメモリコントローラ331への電源供給を停止する。
【0161】
次にステップSP405においてCPU362は、電源VCC4からメモリコントローラ331への電源供給を再開する。これにより、パワーオン期間である期間P1が開始される。
【0162】
次にステップSP406においてCPU362は、ADC367を駆動する。電源VCC4からメモリコントローラ331への電源供給が開始されたことにより、抵抗素子Rに電流が流れる。電流値測定回路333は、抵抗素子Rの両端電圧を所定のサンプリング周波数(例えば1MHz〜数MHz)でサンプリングすることによって、電源VCC4からメモリコントローラ331へ流れる電流の電流値を実測する。実測された電流値は、図示しないプリアンプによって増幅された後、ADC367によってAD変換され、その後、電流値取得部372によってCPU362に順次入力される。なお、ADC367によるAD変換よりも前にプリアンプによって実測電流値を増幅する上記の構成に代えて、ADC367によるAD変換よりも後に乗算器によって実測電流値を増幅する構成を採用しても良い。
【0163】
また、累積誤差算出部373は、期間P1に関する基準電流値パターンを期待値格納メモリ364から読み出して取得する。
【0164】
次にステップSP407においてCPU362(累積誤差算出部373)は、電流値取得部372によって順次取得されたN個の実測電流値Yと、期待値格納メモリ364から読み出した基準電流値パターンを構成するN個の基準電流値Xとに基づいて、各測定ポイントにおける両電流値の差分の絶対値をN個の測定ポイントに関して累積することにより、期間P1に関する実測誤差累積値を算出する。
【0165】
次にステップSP408においてCPU362(真贋判定部374)は、期間P1に関する許容誤差累積値を示すデータを期待値格納メモリ364から読み出して取得する。
【0166】
次にステップSP409においてCPU362(真贋判定部374)は、累積誤差算出部373によって算出された実測誤差累積値と、期待値格納メモリ364から読み出した許容誤差累積値とを比較する。真贋判定部374は、実測誤差累積値が許容誤差累積値以下である場合には、メモリ装置3は正規品であると判定して、真贋判定処理を終了する。
【0167】
一方、実測誤差累積値が許容誤差累積値を超える場合には、真贋判定部374は、メモリ装置3は非正規品であると判定して、メモリシステム1の動作を停止するための処理を開始する。例えば、電源制御部366に電源供給を停止させるための制御コマンドをGPIO365にセットすることにより、電源VCC4からメモリコントローラ331への電源供給を停止する。
【0168】
このように本実施の形態に係るメモリ装置3(情報処理装置)によれば、真贋判定部374は、累積誤差算出部373によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に関する第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、メモリ装置3(被判定装置)が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、実測電流値と基準電流値とを比較する場合と比べて瞬間的異常値に起因する影響を緩和できるため、製品の個体差や突発的ノイズ等に起因して実測電流値と基準電流値とが瞬間的に大きく相違する場合であっても、真贋判定の精度が低下する事態を回避又は抑制することが可能となる。
被判定装置に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記被判定装置に流れる電流を測定する電流測定部と、を備える情報処理装置に搭載されるコンピュータを、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定手段として機能させるためのプログラムであって、
前記判定手段は、
複数の測定ポイントに関して前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得する電流値取得手段と、
前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記電流値取得手段によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出する累積誤差算出手段と、
前記累積誤差算出手段によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に含まれる複数の測定ポイントの各々に関して設定されている許容誤差値を、当該複数の測定ポイントに関して累積した値である第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する真贋判定手段と、
を有する、プログラム。
信号処理回路と前記信号処理回路に電源を供給する電源供給部とを有する被判定装置の真贋判定機能を備え、前記電源供給部から前記信号処理回路に流れる電流を測定する電流測定部を有する情報処理装置に搭載されるコンピュータを、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定手段として機能させるためのプログラムであって、
前記判定手段は、
複数の測定ポイントに関して前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得する電流値取得手段と、
前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記電流値取得手段によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出する累積誤差算出手段と、
前記累積誤差算出手段によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に含まれる複数の測定ポイントの各々に関して設定されている許容誤差値を、当該複数の測定ポイントに関して累積した値である第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する真贋判定手段と、
を有する、プログラム。
自身を被判定装置とする真贋判定機能を備え、信号処理回路と、前記信号処理回路に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記信号処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、を有する情報処理装置に搭載されるコンピュータを、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定手段として機能させるためのプログラムであって、
前記判定手段は、
複数の測定ポイントに関して前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得する電流値取得手段と、
前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記電流値取得手段によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出する累積誤差算出手段と、
前記累積誤差算出手段によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に含まれる複数の測定ポイントの各々に関して設定されている許容誤差値を、当該複数の測定ポイントに関して累積した値である第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する真贋判定手段と、
を有する、プログラム。
被判定装置の真贋判定機能を備え、前記被判定装置に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記被判定装置に流れる電流を測定する電流測定部と、を有する情報処理装置において、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、被判定装置の真贋判定方法であって、
(A)複数の測定ポイントに関して前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得するステップと、
(B)前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記ステップ(A)によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出するステップと、
(C)前記ステップ(B)によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に含まれる複数の測定ポイントの各々に関して設定されている許容誤差値を、当該複数の測定ポイントに関して累積した値である第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定するステップと、
を備える、被判定装置の真贋判定方法。
信号処理回路と前記信号処理回路に電源を供給する電源供給部とを有する被判定装置の真贋判定機能を備え、前記電源供給部から前記信号処理回路に流れる電流を測定する電流測定部を有する情報処理装置において、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、被判定装置の真贋判定方法であって、
(A)複数の測定ポイントに関して前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得するステップと、
(B)前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記ステップ(A)によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出するステップと、
(C)前記ステップ(B)によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に含まれる複数の測定ポイントの各々に関して設定されている許容誤差値を、当該複数の測定ポイントに関して累積した値である第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定するステップと、
を備える、被判定装置の真贋判定方法。
自身を被判定装置とする真贋判定機能を備え、信号処理回路と、前記信号処理回路に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記信号処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、を有する情報処理装置において、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、被判定装置の真贋判定方法であって、
(A)複数の測定ポイントに関して前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得するステップと、
(B)前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記ステップ(A)によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出するステップと、
(C)前記ステップ(B)によって算出された第1の実測誤差累積値と、第1の所定期間に含まれる複数の測定ポイントの各々に関して設定されている許容誤差値を、当該複数の測定ポイントに関して累積した値である第1の許容誤差累積値との比較結果に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定するステップと、
を備える、被判定装置の真贋判定方法。
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、被判定装置の真贋判定機能を備える情報処理装置であって、前記被判定装置に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記被判定装置に流れる電流を測定する電流測定部と、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定部と、を備え、前記判定部は、複数の測定
前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得する電流値取得部と、前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記電流値取得部によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出する累積誤差算出部と、前記累積誤差算出部によって算出された第1の実測誤差累積値と、
本発明の第2の態様に係る情報処理装置は、信号処理回路と前記信号処理回路に電源を供給する電源供給部とを有する被判定装置の真贋判定機能を備える情報処理装置であって、前記電源供給部から前記信号処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定部と、を備え、前記判定部は、複数の測定
前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得する電流値取得部と、前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記電流値取得部によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出する累積誤差算出部と、前記累積誤差算出部によって算出された第1の実測誤差累積値と、
本発明の第3の態様に係る情報処理装置は、自身を被判定装置とする真贋判定機能を備える情報処理装置であって、信号処理回路と、前記信号処理回路に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記信号処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定部と、を備え、前記判定部は、複数の測定
前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得する電流値取得部と、前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記電流値取得部によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出する累積誤差算出部と、前記累積誤差算出部によって算出された第1の実測誤差累積値と、
本発明の第13の態様に係るプログラムは、被判定装置に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記被判定装置に流れる電流を測定する電流測定部と、を備える情報処理装置に搭載されるコンピュータを、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定手段として機能させるためのプログラムであって、前記判定手段は、複数の測定
前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得する電流値取得手段と、前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記電流値取得手段によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出する累積誤差算出手段と、前記累積誤差算出手段によって算出された第1の実測誤差累積値と、
本発明の第14の態様に係るプログラムは、信号処理回路と前記信号処理回路に電源を供給する電源供給部とを有する被判定装置の真贋判定機能を備え、前記電源供給部から前記信号処理回路に流れる電流を測定する電流測定部を有する情報処理装置に搭載されるコンピュータを、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定手段として機能させるためのプログラムであって、前記判定手段は、複数の測定
前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得する電流値取得手段と、前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記電流値取得手段によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出する累積誤差算出手段と、前記累積誤差算出手段によって算出された第1の実測誤差累積値と、
本発明の第15の態様に係るプログラムは、自身を被判定装置とする真贋判定機能を備え、信号処理回路と、前記信号処理回路に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記信号処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、を有する情報処理装置に搭載されるコンピュータを、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定手段として機能させるためのプログラムであって、前記判定手段は、複数の測定
前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得する電流値取得手段と、前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記電流値取得手段によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出する累積誤差算出手段と、前記累積誤差算出手段によって算出された第1の実測誤差累積値と、
本発明の第16の態様に係る被判定装置の真贋判定方法は、被判定装置の真贋判定機能を備え、前記被判定装置に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記被判定装置に流れる電流を測定する電流測定部と、を有する情報処理装置において、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、被判定装置の真贋判定方法であって、(A)複数の測定
前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得するステップと、(B)前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記ステップ(A)によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出するステップと、(C)前記ステップ(B)によって算出された第1の実測誤差累積値と、
本発明の第17の態様に係る被判定装置の真贋判定方法は、信号処理回路と前記信号処理回路に電源を供給する電源供給部とを有する被判定装置の真贋判定機能を備え、前記電源供給部から前記信号処理回路に流れる電流を測定する電流測定部を有する情報処理装置において、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、被判定装置の真贋判定方法であって、(A)複数の測定
前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得するステップと、(B)前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記ステップ(A)によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出するステップと、(C)前記ステップ(B)によって算出された第1の実測誤差累積値と、
本発明の第18の態様に係る被判定装置の真贋判定方法は、自身を被判定装置とする真贋判定機能を備え、信号処理回路と、前記信号処理回路に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記信号処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、を有する情報処理装置において、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、被判定装置の真贋判定方法であって、(A)複数の測定
前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得するステップと、(B)前記被判定装置の動作期間を区分した複数の所定期間のうち第1の所定期間において前記ステップ(A)によって取得された複数の実測電流値と、第1の所定期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた複数の基準電流値とに基づいて、第1の実測誤差累積値を算出するステップと、(C)前記ステップ(B)によって算出された第1の実測誤差累積値と、