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特開2020-87237漫画作成支援システム、漫画作成支援方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-87237(P2020-87237A)
(43)【公開日】2020年6月4日
(54)【発明の名称】漫画作成支援システム、漫画作成支援方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 11/80 20060101AFI20200508BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20200508BHJP
   H04N 1/393 20060101ALI20200508BHJP
【FI】
   G06T11/80 F
   H04N1/387 110
   H04N1/393
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-224564(P2018-224564)
(22)【出願日】2018年11月30日
(71)【出願人】
【識別番号】718006280
【氏名又は名称】株式会社アキュトラス
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 寛
(72)【発明者】
【氏名】中矢 誠
(72)【発明者】
【氏名】田澤 征昭
(72)【発明者】
【氏名】野口 克洋
【テーマコード(参考)】
5B050
5C076
【Fターム(参考)】
5B050BA06
5B050BA15
5B050CA07
5B050CA08
5B050EA03
5B050EA05
5B050EA07
5B050EA09
5B050EA13
5B050FA02
5B050FA05
5C076AA17
5C076AA21
5C076AA22
5C076AA36
(57)【要約】
【課題】漫画作成の過程で行われるコマのアスペクト比の変更の品質を向上させる漫画作成支援システムを提供する。
【解決手段】漫画作成支援システム100に含まれる端末装置5は、フレーム内に1以上のオブジェクトが描かれたコマについて、コマをフレームの縦横方向のアスペクト比の異なる第1のサイズから第2のサイズに変更するリサイズ処理を実行する演算部511を有する。リサイズ処理は、縦横方向の一方を第1方向、他方を第2方向として、第1のサイズから第2のサイズへの縦横方向それぞれの倍率のうちの第1方向の倍率を拡縮用倍率として、拡縮用倍率でフレームの縦横方向の長さ、及び、1以上のオブジェクトの位置並びに形状を変化させる拡縮処理と、第2方向の長さの第1方向の長さとの比率を第2のサイズのアスペクト比とする倍率を調整用倍率として、調整用倍率で第2方向の長さを調整するとともに、調整用倍率を用いて1以上のオブジェクトそれぞれを調整後のフレーム内に再配置する調整処理と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム内に1以上のオブジェクトが描かれたコマについて、前記コマを前記フレームの縦横方向のアスペクト比の異なる第1のサイズから第2のサイズに変更するリサイズ処理を実行する演算部を有し、
前記リサイズ処理は、
前記縦横方向の一方を第1方向、他方を第2方向として、
前記第1のサイズから前記第2のサイズへの前記縦横方向それぞれの倍率のうちの前記第1方向の倍率を拡縮用倍率として、前記拡縮用倍率で前記フレームの縦横方向の長さ、及び、前記1以上のオブジェクトの位置並びに形状を変化させる拡縮処理と、
前記第2方向の長さの前記第1方向の長さとの比率を前記第2のサイズのアスペクト比とする倍率を調整用倍率として、前記調整用倍率で前記第2方向の長さを調整するとともに、前記調整用倍率を用いて前記1以上のオブジェクトそれぞれを調整後のフレーム内に再配置する調整処理と、を含む
漫画作成支援システム。
【請求項2】
前記調整用倍率は、前記第1のサイズから前記第2のサイズへの前記第2方向の倍率を前記第1方向の倍率で除して得られる倍率である
請求項1に記載の漫画作成支援システム。
【請求項3】
前記再配置は、前記1以上のオブジェクトを、それぞれに設定された基準点の、前記第2方向の座標値に対して前記調整用倍率を乗じて得られた座標値に示される、前記調整されたフレーム内の位置に配置することを含む
請求項2に記載の漫画作成支援システム。
【請求項4】
前記演算部は、所定の面積を有し、前記所定の面積内に配置される複数のコマ群を含むページについて、前記コマ群のうちの第1のコマに対して前記リサイズ処理を実行すると、前記コマ群のうちの前記第1のコマ以外の第2のコマに対して前記リサイズ処理を実行する
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の漫画作成支援システム。
【請求項5】
前記演算部は、所定の面積を有し、前記所定の面積内に配置される複数のコマ群を含むページについて、第1のコマの前記ページへの追加、前記コマ群のうちの第1のコマの前記ページからの削除、及び、前記コマ群のうちの第1のコマの前記ページ内での移動、のうちの少なくとも1つが行われると、前記コマ群のうちの前記第1のコマ以外の第2のコマに対して前記リサイズ処理を実行する
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の漫画作成支援システム。
【請求項6】
前記演算部は、指定されたコマを第1のコマと第2のコマとに分割する処理を実行し、
前記第1のコマに分割する処理は前記リサイズ処理を含み、
前記第2のコマに分割する処理は新たなコマを追加する処理を含む
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の漫画作成支援システム。
【請求項7】
前記第1方向は、前記縦横方向のうちの前記第1のサイズから前記第2のサイズへの倍率の変化率の小さい側の方向である
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の漫画作成支援システム。
【請求項8】
漫画作成を支援する方法であって、
フレーム内に1以上のオブジェクトが描かれたコマについて、前記コマを前記フレームの縦横方向のアスペクト比の異なる第1のサイズから第2のサイズに変更するステップを備え、
前記ステップは、
前記縦横方向の一方を第1方向、他方を第2方向として、
前記第1のサイズから前記第2のサイズへの縦横方向それぞれの倍率のうちの前記第1方向の倍率を拡縮用倍率として、前記拡縮用倍率で前記フレームの縦横方向の長さ、及び、前記1以上のオブジェクトの位置並びに形状を変化させることと、
前記第2方向の長さの前記第1方向の長さとの比率を前記第2のサイズのアスペクト比とする倍率を調整用倍率として、前記調整用倍率で前記第2方向の長さを調整するとともに、前記調整用倍率を用いて前記1以上のオブジェクトそれぞれを調整後のフレーム内に再配置することと、を含む
漫画作成支援方法。
【請求項9】
フレーム内に1以上のオブジェクトが描かれたコマについて、前記コマの前記フレームのサイズを縦横方向のアスペクト比の異なる第1のサイズから第2のサイズに変更するリサイズ処理を実行する演算部としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記リサイズ処理は、
前記縦横方向の一方を第1方向、他方を第2方向として、
前記第1のサイズから前記第2のサイズへの前記縦横方向それぞれの倍率のうちの前記第1方向の倍率を拡縮用倍率として、前記拡縮用倍率で前記フレームの縦横方向の長さ、及び、前記1以上のオブジェクトの位置並びに形状を変化させる拡縮処理と、
前記第2方向の長さの前記第1方向の長さとの比率を前記第2のサイズのアスペクト比とする倍率を調整用倍率として、前記調整用倍率で前記第2方向の長さを調整するとともに、前記調整用倍率を用いて前記1以上のオブジェクトそれぞれを調整後のフレーム内に再配置する調整処理と、を含む
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、漫画作成支援システム、漫画作成支援方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コマとは、1つのシーンを表すイラストの区切りであって、領域を区画するフレームと、フレーム内に描かれたキャラクタやテキストなどの1以上のオブジェクトと、を有する。手描きでの漫画作成を支援する装置として、例えば特開2008−305171号公報は、フレーム種類のフレームの中からテキストの長さに応じたフレームを決定するとともに、キャラクタの複数種類の顔写真及び吹き出し枠の中から文章に対する作者の感情に対応した顔写真及び吹き出し枠を決定して、それらを用いて漫画のコマを作成する自動作成装置を提案している。
【0003】
漫画作成の過程において、コマのアスペクト比(縦横比)を変更(リサイズ)したい場合がある。特許文献1に記載の自動作成装置などを利用してコマの画像がデジタルデータとして保存されていると、画像データのサイズを変更することでコマのリサイズが容易に実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−305171号公報
【発明の概要】
【0005】
リサイズの一般的な方法として、コマ全体を1つの画像としてそのアスペクト比を変更する方法が挙げられる。この場合、コマ内の構図が変化しないために構図の自然さが保たれる一方、コマ内のオブジェクトのアスペクト比が変化するため、オブジェクトがキャラクタ画像であったり文字であったりする場合は、不自然な仕上がりとなる場合がある。
【0006】
そこで、リサイズの他の方法として、コマの画像データがオブジェクトごとの画像データで構成されている場合に、コマ内の個々のオブジェクトのアスペクト比は固定してコマ全体のアスペクト比を変更する方法が考えられる。この場合、オブジェクト自体は自然であるものの、オブジェクトとその周囲とのアスペクト比が大きく異なると全体の構図が不自然となる場合がある。
【0007】
従って、漫画作成の過程で行われるコマのアスペクト比の変更(リサイズ)時に、コマに含まれるオブジェクトもコマ全体の構成も自然となるようにリサイズされることが望まれる。
【0008】
ある実施の形態に従うと、漫画作成支援システムは、フレーム内に1以上のオブジェクトが描かれたコマについて、コマをフレームの縦横方向のアスペクト比の異なる第1のサイズから第2のサイズに変更するリサイズ処理を実行する演算部を有し、リサイズ処理は、縦横方向の一方を第1方向、他方を第2方向として、第1のサイズから第2のサイズへの縦横方向それぞれの倍率のうちの第1方向の倍率を拡縮用倍率として、拡縮用倍率でフレームの縦横方向の長さ、及び、1以上のオブジェクトの位置並びに形状を変化させる拡縮処理と、第2方向の長さの第1方向の長さとの比率を第2のサイズのアスペクト比とする倍率を調整用倍率として、調整用倍率で第2方向の長さを調整するとともに、調整用倍率を用いて1以上のオブジェクトそれぞれを調整後のフレーム内に再配置する調整処理と、を含む。
【0009】
他の実施の形態に従うと、漫画作成支援方法は漫画作成を支援する方法であって、フレーム内に1以上のオブジェクトが描かれたコマについて、コマをフレームの縦横方向のアスペクト比の異なる第1のサイズから第2のサイズに変更するステップを備え、当ステップは、縦横方向の一方を第1方向、他方を第2方向として、第1のサイズから第2のサイズへの縦横方向それぞれの倍率のうちの第1方向の倍率を拡縮用倍率として、拡縮用倍率でフレームの縦横方向の長さ、及び、1以上のオブジェクトの位置並びに形状を変化させることと、第2方向の長さの第1方向の長さとの比率を第2のサイズのアスペクト比とする倍率を調整用倍率として、調整用倍率で第2方向の長さを調整するとともに、調整用倍率を用いて1以上のオブジェクトそれぞれを調整後のフレーム内に再配置することと、を含む。
【0010】
他の実施の形態に従うと、コンピュータプログラムは、フレーム内に1以上のオブジェクトが描かれたコマについて、コマのフレームのサイズを縦横方向のアスペクト比の異なる第1のサイズから第2のサイズに変更するリサイズ処理を実行する演算部としてコンピュータを機能させるプログラムであって、リサイズ処理は、縦横方向の一方を第1方向、他方を第2方向として、第1のサイズから第2のサイズへの縦横方向それぞれの倍率のうちの第1方向の倍率を拡縮用倍率として、拡縮用倍率でフレームの縦横方向の長さ、及び、1以上のオブジェクトの位置並びに形状を変化させる拡縮処理と、第2方向の長さの第1方向の長さとの比率を第2のサイズのアスペクト比とする倍率を調整用倍率として、調整用倍率で第2方向の長さを調整するとともに、調整用倍率を用いて1以上のオブジェクトそれぞれを調整後のフレーム内に再配置する調整処理と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態に係る漫画作成システムの構成、及び、漫画作成システムに含まれる各装置の構成の概略図である。
図2図2は、リサイズ処理を説明するための図である。
図3図3は、リサイズ処理を具体例を表した図である。
図4図4は、ページに複数コマが配置されている場合の、コマのサイズの変動例を説明するための図である。
図5図5は、コマの分割の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[1.漫画作成支援システム、漫画作成支援方法、及びコンピュータプログラの前方検出装置の概要]
【0013】
(1)本実施の形態に含まれる漫画作成システムは、フレーム内に1以上のオブジェクトが描かれたコマについて、コマをフレームの縦横方向のアスペクト比の異なる第1のサイズから第2のサイズに変更するリサイズ処理を実行する演算部を有し、リサイズ処理は、縦横方向の一方を第1方向、他方を第2方向として、第1のサイズから第2のサイズへの縦横方向それぞれの倍率のうちの第1方向の倍率を拡縮用倍率として、拡縮用倍率でフレームの縦横方向の長さ、及び、1以上のオブジェクトの位置並びに形状を変化させる拡縮処理と、第2方向の長さの第1方向の長さとの比率を第2のサイズのアスペクト比とする倍率を調整用倍率として、調整用倍率で第2方向の長さを調整するとともに、調整用倍率を用いて1以上のオブジェクトそれぞれを調整後のフレーム内に再配置する調整処理と、を含む。
【0014】
漫画作成支援システムは、一例として、インターネット等を介して相互に通信可能なサーバと、漫画作成者が用いる端末装置とを含む。この場合、一例として、端末装置はサーバからコンピュータプログラムの少なくとも一部を受信し、プロセッサがそのコンピュータプログラムを実行することによって拡縮処理及び調整処理を実行する。端末装置で拡縮処理及び調整処理が実行されることによって、コマに含まれる1以上のオブジェクトそれぞれのアスペクト比を変化させずにサイズを変更することができる。そのため、サイズの変更後のコマにおけるオブジェクトの品質を保つことができる。また、コマに複数のオブジェクトが含まれる場合、拡縮処理及び調整処理が実行されることで、オブジェクト間の位置関係を固定して、フレームが縦横方向のいずれか一方向に拡大又は縮小される。これは、縦横方向のいずれか一方向に倍率に応じた距離、視点を移動させてオブジェクトを表したことと同じ状態であるため、構図の変化を自然にすることができる。
【0015】
(2)好ましくは、調整用倍率は、第1のサイズから第2のサイズへの第2方向の倍率を第1方向の倍率で除して得られる倍率である。これにより、リサイズ処理後のフレームのサイズを指定されたサイズとすることができる。
【0016】
(3)好ましくは、再配置は、1以上のオブジェクトを、それぞれに設定された基準点の、第2方向の座標値に対して調整用倍率を乗じて得られた座標値に示される、調整されたフレーム内の位置に配置することを含む。これにより、構図の変化を自然にすることができる。
【0017】
(4)好ましくは、演算部は、所定の面積を有し、所定の面積内に配置される複数のコマ群を含むページについて、コマ群のうちの第1のコマに対してリサイズ処理を実行すると、コマ群のうちの第1のコマ以外の第2のコマに対してリサイズ処理を実行する。これにより、あるページにおいて1つのコマのサイズが変更された場合に、連動して、他のコマのサイズも自動的に変更され、1つずつコマのサイズを調整する必要がない。そのため、ページにコマを配置する漫画を作成する際に、コマのサイズの変更に伴う作業が格段に軽減される。
【0018】
(5)好ましくは、演算部は、所定の面積を有し、所定の面積内に配置される複数のコマ群を含むページについて、第1のコマのページへの追加、コマ群のうちの第1のコマのページからの削除、及び、コマ群のうちの第1のコマのページ内での移動、のうちの少なくとも1つが行われると、コマ群のうちの第1のコマ以外の第2のコマに対してリサイズ処理を実行する。第1のコマに対する上記の処理は、第1のコマ近傍のコマのフレームのサイズに影響する。そのため、このような場合に自動的に他のコマのサイズが調整されることによって、ページにコマを配置する漫画を作成する際に、コマに対する上記の作業が格段に軽減される。
【0019】
(6)好ましくは、演算部は、指定されたコマを第1のコマと第2のコマとに分割する処理を実行し、第1のコマに分割する処理はリサイズ処理を含み、第2のコマに分割する処理は新たなコマを追加する処理を含む第1のコマの分割であるリサイズ処理は、第1のコマのフレームのサイズの縮小と、ページに新たなコマの追加と、を含む。これにより、このようなコマの分割の際に、第1のコマの構図の変化を自然にすることができる。
【0020】
(7)好ましくは、第1方向は、縦横方向のうちの第1のサイズから第2のサイズへの倍率の変化率の小さい側の方向である。これにより、調整処理の計算を容易にできる。
【0021】
(8)本実施の形態に含まれる漫画作成支援方法は漫画作成を支援する方法であって、フレーム内に1以上のオブジェクトが描かれたコマについて、コマをフレームの縦横方向のアスペクト比の異なる第1のサイズから第2のサイズに変更するステップを備え、当ステップは、縦横方向の一方を第1方向、他方を第2方向として、第1のサイズから第2のサイズへの縦横方向それぞれの倍率のうちの第1方向の倍率を拡縮用倍率として、拡縮用倍率でフレームの縦横方向の長さ、及び、1以上のオブジェクトの位置並びに形状を変化させることと、第2方向の長さの第1方向の長さとの比率を第2のサイズのアスペクト比とする倍率を調整用倍率として、調整用倍率で第2方向の長さを調整するとともに、調整用倍率を用いて1以上のオブジェクトそれぞれを調整後のフレーム内に再配置することと、を含む。この漫画作成支援方法は(1)〜(7)に記載の漫画作成支援システムにおける支援方法である。そのため、この漫画作成支援方法は(1)〜(7)に記載の漫画作成支援システムと同じ効果を奏する。
【0022】
(9)本実施の形態に含まれるコンピュータプログラムは、コンピュータを(1)〜(7)に記載の漫画作成支援システムとして機能させる。そのため、このコンピュータプログラムは(1)〜(7)に記載の漫画作成支援システムと同じ効果を奏する。
【0023】
[2.漫画作成支援システム、漫画作成支援方法、及びコンピュータプログラムの例]
【0024】
[2.1 漫画作成支援システムの構成]
【0025】
図1に示されるように、本実施の形態にかかる漫画作成支援システム100は、サーバ1と、漫画作成者が用いる端末装置5とを含み、これらがインターネット2等の通信回線を介して相互に通信可能である。漫画作成支援システム100は、端末装置5を利用した漫画作成又は編集を支援するシステムであって、特に、漫画作成時又は編集時のコマのサイズ変更を支援する。
【0026】
図1に示されるように、サーバ1は、コントローラ10と、インターネット2等の通信網を介して端末装置5と通信可能な通信装置13と、を備える。コントローラ10は、プロセッサで構成される制御部11及び情報記憶のためのストレージ装置12を備えるコンピュータによって構成される。ストレージ装置12は、一次記憶装置であってもよいし、二次記憶装置であってもよい。ストレージ装置12には、プロセッサによって実行されるプログラム121が格納されている。プログラム121がプロセッサによって実行されることで、コンピュータがサーバ1として機能する。
【0027】
図1に示されるように、端末装置5は、コントローラ50と、インターネット2等の通信網を介してサーバ1と通信可能な通信装置53と、図示しないキーボードやマウスやタッチペンなどの操作装置54と、ディスプレイ55と、を備える。
【0028】
操作装置54は、漫画作成者又は編集者であるユーザからの操作を受け付けて、操作信号をコントローラ50に与える。コントローラ50は、操作信号に従ってプロセッサで構成される制御部51及び情報記憶のためのストレージ装置52を備えるコンピュータによって構成される。ストレージ装置52は、一次記憶装置であってもよいし、二次記憶装置であってもよい。ストレージ装置52には、プロセッサによって実行されるプログラム521が格納されている。プロセッサは、操作装置54からの操作信号に従ってプログラム521を実行し、コンピュータを端末装置5として機能させる。また、プログラム521がプロセッサによって実行されることで、制御部51は演算部511として機能する。
【0029】
プログラム521の少なくとも一部は、リサイズ処理時にサーバ1から端末装置5に配信される。一例として、端末装置5がリサイズ処理時にサーバ1にアクセスすることでプログラム521の少なくとも一部がサーバ1から配信される。又は、リサイズ処理時にプログラム521のすべてが、サーバ1から配信されてもよい。なお、リサイズ処理時は、端末装置5のユーザがリサイズ処理を指示したタイミングであってもよいし、その前のタイミングであってもよい。その前のタイミングは、例えば、漫画作成用のアプリケーションが起動したタイミングなどである。
【0030】
[2.2 端末装置の機能構成]
【0031】
端末装置5のストレージ装置52は、作成中の漫画の情報を記憶している。漫画の情報は、コマの情報を含む。コマは、1つのシーンを表すイラストの区切りであって、領域を区画するフレームと、フレーム内に描かれたキャラクタや文字などの1以上のオブジェクトと、を有する。フレームは、線図であってもよいし、明示的な図形ではなく概念的なものであってもよい。
【0032】
コマの情報は、フレームの情報と、フレーム内のイラストの情報と、をそれぞれ含む。フレームの情報は、フレームのサイズの情報を含む。フレームは、一例として、縦横辺を有する矩形である。この場合、フレームのサイズの情報は、一例として、フレームの縦横辺それぞれの長さを含む。
【0033】
フレーム内のイラストの情報は、イラストに含まれる1以上のオブジェクトそれぞれの情報を含む。オブジェクトの情報は、オブジェクトの画像情報と、オブジェクトの種類(キャラクタ、テキスト、等)と、フレーム中に配置された位置を特定する情報と、後述のリサイズ処理に用いられる基準点を特定する情報と、を、オブジェクトごとに含む。
【0034】
制御部51は、操作装置54から指定されたコマについてリサイズを指示する操作信号を受け付けると、コントローラ50に含まれる制御部51が実現する演算部511は、リサイズ処理を実行する。リサイズ処理は、コマのサイズを、フレームのサイズがアスペクト比の異なる第1のサイズから第2のサイズとなるように変更する処理を指す。すなわち、リサイズ処理は、対象のコマについて、フレームのサイズを第1のサイズから第2のサイズに変更するとともに、そのフレーム内に含まれる1以上のオブジェクトそれぞれについて、位置及び形状をフレームサイズの変更に応じて変更する処理である。
【0035】
リサイズ処理は、図2に示されるように、拡縮処理(ステップS11)と、調整処理(ステップS12)と、を含む。演算部511は、拡縮処理S11を実行するための拡縮処理部512と、調整処理S12を実行する調整処理部513とを含む。なお、リサイズ処理については後述する。
【0036】
[2.3 リサイズ処理の詳細]
【0037】
図2は、対象のコマについて、矩形のフレームのサイズを第1のサイズである縦H1、横W1のフレーム71から、第2のサイズである縦H2、横W2のフレーム72に変更するとともに、フレーム71内のイラストに含まれる1以上のオブジェクトOA,OBそれぞれについて、フレームサイズの変更に応じて変更する処理を具体例として挙げている。
【0038】
下の説明では、第1のサイズである縦H1、横W1、及び、第2のサイズである縦H2、横W2を、一例として下の値とする。
H1=1,W1=2
H2=0.5,W2=1.5
【0039】
この場合、第1のサイズのアスペクト比AS1(=W1/H1=2)と、第2のサイズのアスペクト比AS2(=W2/H2=3)とは異なり、アスペクト比の異なるサイズにコマのサイズを変形させている。そのため、この場合のコマのサイズを変更する処理はリサイズ処理となる。
【0040】
また、フレーム71内のイラストに含まれる1以上のオブジェクトOA,OBに対しては、各処理における基準点PA,PBが、共通する位置に設定され、原点Oがフレーム71内に設定されている。図2の例では、基準点PA,PBはオブジェクトの左端の点であり、原点Oがフレーム71の左上頂点であるものとする。
【0041】
リサイズ処理は拡縮処理S11及び調整処理S12を含み、その処理順は限定されない。一例として、演算部511は、対象のコマに対して拡縮処理S11及び調整処理S12を、その順で実行する。すなわち、演算部511は、対象のコマに対して後述する拡縮処理S11を実行し、拡縮処理S11後のコマに対して調整処理S12を実行することで、リサイズ処理後のコマを得る。
【0042】
拡縮処理S11は、第1のサイズから第2のサイズへの縦横辺それぞれの倍率のうちの第1の辺側の倍率を拡縮用倍率として、拡縮用倍率でフレームの両辺、及び、対象のコマ内の1以上のオブジェクトの位置並びにサイズを変化させる処理である。言い換えると、拡縮処理S11は、フレーム72の縦横一方の辺(第1の辺)の倍率を利用して、アスペクト比を固定してフレーム71及びその内部のイラストを全体として拡大又は縮小する処理である。
【0043】
第1の辺は、例えば、下の式(1)で示される、サイズ変更の際の、縦横辺それぞれの変化率RH,RWに基づいて決定される。一例として、第1の辺は、縦横辺のうちの変化率RH,RWの小さい方の辺である。これにより、後述する調整処理S12の計算を容易にできる。
RH=|(H1−H2)/H1|
RW=|(W1−W2)/W1| …(1)
【0044】
上記の例の場合、RH=0.5及びRW=0.25であるため、第1の辺は横辺となる。この場合、拡縮処理部512は、対象のコマのフレームの両辺(縦H1、横W1)とも、横辺の倍率である拡縮用倍率S1(=W2/W1=1.5/2=0.75)で変化させる。これにより、対象のコマのフレーム71は、縦辺がH1(=1)からH3(=0.75)、横辺がW1(=2)からW2(=1.5)となり、第3のサイズである縦H3、横W2のフレーム73に変化する。
【0045】
また、拡縮処理部512は、オブジェクトOA,OBについて、各基準点PA,PBの両座標に拡縮用倍率S1を乗じて、フレーム73内におけるそれぞれの位置を算出するとともに、オブジェクトOA,OBの面積を倍率S1で拡大又は縮小する。
【0046】
拡縮処理S11の結果に対して、次に、調整処理S12が施される。調整処理S12は、フレームの縦横辺のうちの第2の辺の他方の辺(第1の辺)との比率を第2のサイズのアスペクト比とする倍率を調整用倍率S2として、調整用倍率S2で第2の辺を調整するとともに、調整用倍率S2を用いてコマ内の1以上のオブジェクトそれぞれを調整後のフレーム内に再配置する処理である。拡縮処理S11の後に調整処理S12が行われる場合、第2の辺は、拡縮処理S11で用いられた第1の辺とは異なる側の辺である。図2の例の場合、第1の辺は横辺であるため、第2の辺は縦辺となる。
【0047】
拡縮処理S11によって、対象のコマのフレームの縦横の一方向は第2のサイズと一致するように拡大又は縮小される。図2の例では拡縮用倍率S1として横辺の倍率が用いられるため、フレーム71の横方向が第2のサイズと一致するように縮小されている。そのため、図2に示されるように、調整処理S12では、拡縮処理S11後のフレーム73を、第2のサイズと一致していない側の縦方向に長さH3(=0.75)を、横辺の長さW2とのアスペクト比が第2のサイズのアスペクト比AS2(=W2/H2=3)となる長さH2(=0.5)とする倍率を調整用倍率S2とし、調整用倍率S2で縮小する。これにより、調整処理S12後のフレーム72が第2のサイズと一致する。
【0048】
調整用倍率S2は、第2の辺側の倍率を第1の辺側の倍率で除して得られる倍率であって、上記の例では、調整用倍率S2は下の式(2)で表される。これにより、リサイズ処理後のフレームのサイズを指定されたサイズとすることができる。
S2=(H2/H1)/(W2/W1)=H2/H1×W1/W2 …(2)
【0049】
このとき、調整処理部513は、拡縮処理S11後のフレーム73内のオブジェクトOA,OBについて、面積は拡大又は縮小せず、調整処理S12後のフレーム72内における位置を算出する。ここで、オブジェクトOA,OBの位置は、基準点PA,PBの座標(x,y)のうち、フレームの拡大又は縮尺を行った方向と一致する軸の座標値に対して調整用倍率S2を乗じ、他方の軸の座標値は固定する。図2の例の場合、基準点PA,PBのそれぞれ座標(x,y)のうちy座標の値に調整用倍率S2(=0.5/0.75=2/3)を乗じる。
【0050】
以上の処理によって、対象のコマのフレーム71は、第1のサイズから、指定された第2のサイズに変更される。対象のコマ内の1以上のオブジェクトそれぞれについては、サイズは、第1のサイズから第2のサイズへの縦横方向のいずれか一方の方向の倍率である拡縮用倍率S1で拡大又は縮小される。これにより、個々のオブジェクトのアスペクト比が変化することなく、オブジェクトの品質を保つことができる。
【0051】
対象のコマ内に複数オブジェクトが含まれる場合、オブジェクト間の位置関係は、拡縮処理S11では固定されている。調整処理S12では、フレームが縦横のいずれか一方向が調整用倍率S2で拡大又は縮小されることに伴って、その方向での間隔が調整用倍率S2で拡大又は縮小される。これは、その方向へ調整用倍率S2に応じた距離、視点を移動させてオブジェクトを表したことと同じ状態である。そのため、複数オブジェクトの位置関係は一方向について変化するものの、フレームの拡大又は縮小に一致させた方向及び倍率とすることで、構図の変化を自然にすることができる。
【0052】
複数オブジェクトを含むコマのリサイズ処理について、具体例を挙げて説明する。図3(A)のコマは、フレーム80内に複数オブジェクト85〜89を含む。複数オブジェクト85〜89のうち、オブジェクト85,86はキャラクター(人物)であり、オブジェクト87〜89はテキスト(吹き出し付の文字列)である。
【0053】
図3(B)は、図3(A)のコマに対して、図2に示されたリサイズ処理であって、フレーム80の縦辺の長さを固定して横辺を縮小するリサイズ処理を行った例である。この場合、拡縮用倍率S1はフレームの縦辺の倍率で1となるため、オブジェクト85〜89はサイズが維持される。オブジェクト85〜89は、フレームの横辺の倍率である調整用倍率S2で横方向にオブジェクトの間隔が縮小される。そのため、オブジェクト85〜89は、調整用倍率S2に応じた距離、視点を横方向に移動させた構図となる。
【0054】
図3(C)は、図3(A)のコマに対して、図2に示されたリサイズ処理であって、フレーム80の横辺の長さを固定して縦辺を縮小するリサイズ処理を行った例である。この場合も拡縮用倍率S1はフレームの横辺の倍率で1となるため、オブジェクト85〜89はサイズが維持される。オブジェクト85〜89は、フレーム80の縦辺の倍率である調整用倍率S2で縦方向にオブジェクトの間隔が縮小される。そのため、オブジェクト85〜89は、調整用倍率S2に応じた距離、視点を縦方向に移動させた構図となる。
【0055】
図3の例では、縦辺又は横辺の一方の長さを固定したリサイズ処理であるため、図2に示されたリサイズ処理の場合、拡縮用倍率S1は1となる。そのため、含まれるオブジェクト85〜89は、いずれもサイズが変更していない。他方の辺の倍率を調整用倍率S2として、オブジェクト85〜89が再配置される。
【0056】
また、図3の例では、図2で説明されたように、フレーム80の左上頂点を原点として各オブジェクト85〜89の位置を再配置している。すなわち、図3(B)の場合、各オブジェクト85〜89の左上頂点のx座標の値に横方向の倍率を乗じているため、各オブジェクト85〜89の左上頂点のフレーム80の左辺からの長さ調整用を倍率S2で縮小している。従って、図3(B)の場合、各オブジェクト85〜89のフレーム81の左辺からの位置関係はリサイズ処理前の関係を維持して左側に移動し、右辺からの位置関係は、各オブジェクト85〜89の横方向の長さ(サイズ)の分、多少変化している。その結果、図3(B)に示されるように、各オブジェクト85〜89のフレーム81の左辺からの長さは確保される。
【0057】
図3(C)の場合、各オブジェクト85〜89の左上頂点のx座標の値に縦方向の倍率を乗じているため、各オブジェクト85〜89の左上頂点のフレーム80の上辺からの長さを調整用倍率S2で縮小している。従って、図3(C)の場合、各オブジェクト85〜89のフレーム82の上辺からの位置関係はリサイズ処理前の関係を維持して上側に移動し、下辺からの位置関係は、各オブジェクト85〜89の縦方向の長さ(サイズ)の分、多少変化している。その結果、図3(C)に示されるように、各オブジェクト85〜89のフレーム81の上辺からの長さは確保される。
【0058】
例えば、連続するシーンそれぞれに対応した連続するコマを右から左に並べて配置する場合、図3(B)に示されるように、各オブジェクト85〜89の左側の長さを確保した方が読みやすかったり、テキスト(セリフ)の配置が自然であったりする場合がある。この場合、連続するコマを逆向き(左から右)に配置する場合には、各オブジェクト85〜89の右側の長さを確保することが望まれる。
【0059】
同様に、連続するシーンそれぞれに対応した連続するコマを上から下に並べて配置する場合、図3(C)に示されるように、各オブジェクト85〜89の上側の長さを確保した方が読みやすかったり、テキスト(セリフ)の配置が自然であったりする場合がある。この場合、連続するコマを逆向き(下から上)に配置する場合には、各オブジェクト85〜89の下側の長さを確保することが望まれる。
【0060】
従って、各オブジェクトに設定する基準点の位置、及び/又は、フレームに設定する原点Oの位置は、一例として、連続するコマを配置する方向によって変更可能であってもよい。これにより、リサイズ処理において、連続するコマを配置する方向に応じた読みやすさや自然なテキスト(セリフ)の配置を実現できる。
【0061】
なお、図2の例では、対象のコマに対して、最初に拡縮処理S11が実行され、拡縮処理S11後のコマに対して調整処理S12が実行される。拡縮処理S11と調整処理S12との処理順は図2の例に示された順に限定されず、逆の順であってもよい。すなわち、対象のコマに対して調整処理S12を実行し、調整処理S12後のコマに対して拡縮処理S11を実行してもよい。この場合も、図2の説明と同様に、調整処理S12には調整用倍率S2を用い、拡縮処理S11には拡縮用倍率S1を用いる。この処理によっても、図2で説明された処理順と同様に対象のコマのサイズが変更される。
【0062】
[2.4 ページ内でのリサイズ処理]
【0063】
漫画の一つの形態として、図4(A)に示されるように、複数のコマPN1〜PN6が1つのページPAに配置されることがある。ページとは、例えば書籍の1ページや、ディスプレイに一度に表示できる画面サイズなど、所定の面積を有して、その所定の面積内に複数のコマ群が配置可能な領域を指す。漫画作成又は編集を行う端末装置5のユーザは、ページに対する1以上のコマの配置を操作装置54を使って指示することで、コントローラ50は指定されたコマをページに配置する処理を実行する。
【0064】
このとき、演算部511は、あるページに含まれる1以上のコマであるコマ群のうちの第1のコマに対してリサイズ処理を実行すると、そのページに含まれるコマ群のうちの第1のコマ以外の第2のコマに対してもリサイズ処理を実行する。第2のコマは、例えば、そのページの配置において第1のコマに隣接するコマである。つまり、第1のコマについてリサイズ処理が実行されると、同じページにおいてサイズの影響を受ける他のコマに対しても自動的にリサイズ処理が実行される。これにより、ページ内でのコマのサイズの変更を伴う編集が容易になる。
【0065】
また、演算部511は、図4(B)に示されたようなコマPN1のフレームのサイズを変更する処理、図4(C)に示されたようなコマPN1をページPAから削除する処理、図4(D)に示されたようなコマPN1−2をページPAに追加する処理、図4(E)に示されたようなコマPN3をページPA内で移動する処理、及び、図5に示されたようなコマを分割する処理、の少なくとも1つが行われた場合に、そのページに含まれるコマ群のうちの対象のコマ以外の第2のコマに対してもリサイズ処理を実行する。なお、これらの例において、第2のコマのリサイズ処理のきっかけとなる処理が行われる第1のコマ(コマPN1、コマPN1−2、コマPN3)は、少なくともフレームを有するコマであればよい。すなわち、第1のコマは、フレームのみを有し、その内部にオブジェクトを有しなくてもよい。第2のコマは、例えば、上記の対象のコマに隣接するコマである。つまり、対象のコマについて上記の処理が実行されると、同じページにおいてサイズの影響を受ける他のコマに対しても自動的にリサイズ処理が実行される。これにより、ページ内でのコマのサイズの変更を伴う編集が容易になる。
【0066】
図4(B)を参照して、演算部511は、図4(A)の状態からコマPN1のフレームのサイズを縮小するリサイズ処理を実行すると(ステップS21)、ページPAにおいてコマPN1に隣接するコマPN2,3のサイズを拡大するリサイズ処理を実行する(ステップS22)。
【0067】
図4(C)を参照して、演算部511は、図4(A)の状態からコマPN1を削除するリサイズ処理を実行すると(ステップS23)、ページPAにおいてコマPN1に隣接するコマPN2,3のサイズを拡大するリサイズ処理を実行する(ステップS24)。
【0068】
図4(D)を参照して、演算部511は、図4(A)の状態からコマPN1−2を追加するリサイズ処理を実行すると(ステップS25)、ページPAにおいてコマPN1−2に隣接するコマPN1のサイズを縮小するリサイズ処理を実行する(ステップS26)。
【0069】
なお、コマを分割する処理には、図5(A)のコマを図5(B)とする処理と、図5(A)のコマを図5(C)とする処理と、が含まれる。図5(A)のコマを図5(B)とする分割処理は、図5(A)のコマのフレーム及びフレーム内のイラストを分割する処理であって、図5(A)のコマのフレーム80を合計サイズがフレーム80と概ね等しいフレーム83A,83Bに分割するとともに、図5(A)のコマに含まれていたオブジェクト85〜89のうち、オブジェクト85,87,88をフレーム83A内に、オブジェクト86,89をフレーム83B内に配置する処理である。
【0070】
図5(A)のコマを図5(C)とする分割処理は、図5(A)のコマのフレーム80のサイズを縮小してフレーム84とし、図5(A)のコマに含まれていたオブジェクト85〜89すべてを縮小されたフレーム84内に再配置するとともに、フレーム90を有するコマを追加する処理である。演算部511は、ページに含まれる1つのコマを分割する処理の場合、図5(A)のコマを図5(C)とする分割処理である場合にリサイズ処理を実行する。この場合、演算部511は、フレーム90を有するコマを追加するリサイズ処理を実行する。これにより、分割によって生じたフレーム84を有する側のコマの構図を自然にすることができる。
【0071】
なお、以上の例では、端末装置5が処理時にサーバ1からプログラム521の少なくとも一部を取得し、コントローラ50がプログラム521を実行することで演算部511として機能して拡縮処理S11及び調整処理S12を実行するものとしている。すなわち、以上の例では、漫画作成支援システム100では、拡縮処理S11及び調整処理S12のすべてが端末装置5側で行われる。しかしながら、拡縮処理S11及び調整処理S12は、漫画作成支援システム100に含まれるいずれの装置で行われてもよい。
【0072】
例えば、図1に点線で示されたように、サーバ1のコントローラ10がプログラム121を実行することで演算部111として機能し、拡縮処理S11及び調整処理S12のすべてを実行してもよい。この場合、一例として、サーバ1のコントローラ10はインターネット2を介してアクセスした端末装置5からリサイズ処理の指示を受け付けて、指定されたコマに対して上記のリサイズ処理を実行する。そして、コントローラ10は、処理後のコマの情報を端末装置5に送信する。他の例として、サーバ1と端末装置5との一方の装置が拡縮処理S11を実行し、他方の装置が調整処理S12を実行してもよい。この場合、処理結果がインターネット2を介して装置間でやり取りされる。
【0073】
さらに他の例として、漫画作成支援システム100にサーバ1が含まれず、端末装置5のみであってもよい。言い換えると、端末装置5が漫画作成支援システム100を構成する。この場合、端末装置5はプログラム521のすべてを予めストレージ装置52に記憶しておく。
【0074】
また、以上の説明では、フレームの形状を縦横辺を有する矩形であるものとしている。しかしながら、矩形は一例であって、コマに含まれるフレームの形状は矩形に限定されない。フレームの形状は、矩形以外の多角形や、円形、楕円形などであってもよい。この場合、上記の縦辺及び横辺は、それぞれ、第1方向、第2方向と読み替え、第1方向は縦横方向のうちの一方、第2方向は他方であるものとする。フレームの形状が矩形以外であっても、同様にリサイズ処理を実行することで構図の変化を自然にすることができる。
【0075】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 :サーバ
2 :インターネット
5 :端末装置
10 :コントローラ
11 :制御部
12 :ストレージ装置
13 :通信装置
50 :コントローラ
51 :制御部
52 :ストレージ装置
53 :通信装置
54 :操作装置
55 :ディスプレイ
71 :フレーム
72 :フレーム
73 :フレーム
80 :フレーム
81 :フレーム
82 :フレーム
83A :フレーム
83B :フレーム
84 :フレーム
85 :オブジェクト
86 :オブジェクト
87 :オブジェクト
88 :オブジェクト
89 :オブジェクト
90 :フレーム
100 :漫画作成支援システム
111 :演算部
121 :プログラム
511 :演算部
512 :拡縮処理部
513 :調整処理部
521 :プログラム
AS1 :アスペクト比
AS2 :アスペクト比
O :原点
OA :オブジェクト
OB :オブジェクト
PA :基準点
PB :基準点
PN1 :コマ
PN1−2 :コマ
PN2 :コマ
PN3 :コマ
PN4 :コマ
PN5 :コマ
PN6 :コマ
RH :変化率
RW :変化率
S1 :拡縮用倍率
S2 :調整用倍率
図1
図2
図3
図4
図5