(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-89627(P2020-89627A)
(43)【公開日】2020年6月11日
(54)【発明の名称】負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁
(51)【国際特許分類】
A62C 35/68 20060101AFI20200515BHJP
F16K 31/363 20060101ALI20200515BHJP
【FI】
A62C35/68
F16K31/363
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-229746(P2018-229746)
(22)【出願日】2018年12月7日
(11)【特許番号】特許第6621225号(P6621225)
(45)【特許公報発行日】2019年12月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073324
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100134898
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 克子
(72)【発明者】
【氏名】福岡 悠里
(72)【発明者】
【氏名】牧野 徹
【テーマコード(参考)】
2E189
3H056
【Fターム(参考)】
2E189CA10
2E189CC02
2E189MA00
2E189MB01
3H056AA09
3H056BB47
3H056CA02
3H056CB03
3H056CC17
3H056CD01
3H056CD04
3H056DD03
3H056EE10
3H056GG01
3H056GG05
3H056GG11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ウォーターハンマーの発生を効率よく抑制すると共に、バウンド現象の発生も抑制する。
【解決手段】負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁は、一端部が閉塞され、軸方向の中央部側面の流入口3から流入する水を含んだ空気が他方側の端部の流出口4から流出するシリンダ部2と、シリンダ部2内で真空ポンプで生成される負圧により前進移動してシリンダ部2の流入口3と流出口4とを連通状態とするピストン部6と、ピストン部6を後退移動方向に付勢して、負圧が解除されたピストン部6をシリンダ部2の流入口3と流出口4との連通を遮断するよう移動させるコイルバネ11とによって構成される。平常時及びスプリンクラーヘッド破損時には、ピストン部6は前進位置にあり、火災発生時には、信号によって真空ポンプが停止すると、ピストン部6はコイルバネ11によって後退位置に移動する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負圧湿式予作動スプリンクラー設備において、
予作動式流水検知装置と該予作動式流水検知装置の一次側に設けられ、基端側に給水手段が接続される一次側配管と、
該予作動式流水検知装の二次側に設けられ、スプリンクラーヘッドが接続された二次側配管と、該二次側配管を負圧とする真空ポンプと該二次側配管と真空ポンプを接続する吸気管と、
前記二次側配管と前記吸気管との接続部に設けられ、
前記二次側配管から前記吸気管に流入する空気と水が通過する本体部と、該本体部に設けたシリンダ部内で真空ポンプで生成される負圧により移動可能に設けられたピストン部と、
前記負圧による前記ピストン部の移動に抗するコイルバネとによって構成され、
前記ピストン部の外周部の一部に、空気と水が流入できる開口と、該空気と水が流入できない閉塞部があり、
前記シリンダ部には、空気と水が通過する流入口と流出口があり、
前記負圧によりピストン部が移動すると、前記シリンダ部の流入口が前記ピストン部の開口と一致連通し、
真空ポンプの停止によって、前記二次側配管の負圧が解除され、前記コイルバネの復元力により前記ピストン部が移動することで、
シリンダ部の流入口がピストン部の閉塞部と一致し、前記連通が閉塞され、空気と水の流入を閉止することを特徴とする負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項2】
前記ピストン部の内部は空洞をなし、前記ピストン部の一端は閉塞され、他端は前記空洞と連通開口し、該空洞内を前記空気と水が他端を経て前記連通開口を通過し、シリンダ部の流出口より流れ出る構造を特徴とする請求項1に記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項3】
前記シリンダ部の流入口がピストン部の閉塞部と一致し、前記連通が閉塞され、空気と水の流入を閉止する前記ピストン部の閉塞部には、少量の流路が設けられ、
前記連通が閉塞されたとき、前記シリンダ部の流入口より前記ピストン部の閉塞部の少量の流路を経て、少量の空気と水が前記シリンダ部の流出口より流出できることを特徴とする請求項1又は2に記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項4】
負圧湿式予作動スプリンクラー設備において、
予作動式流水検知装置と該予作動式流水検知装置の一次側に設けられ、基端側に給水手段が接続される一次側配管と、
該予作動式流水検知装の二次側に設けられ、スプリンクラーヘッドが接続された二次側配管と、該二次側配管を負圧とする真空ポンプと該二次側配管と真空ポンプを接続する吸気管と、
前記二次側配管と前記吸気管との接続部に設けられ、
前記二次側配管から前記吸気管に流入する空気と水が通過する本体部と、該本体部に設けたシリンダ部内で真空ポンプで生成される負圧により移動可能に設けられたピストン部と、
前記負圧による前記ピストン部の移動に抗するコイルバネとによって構成され、
前記ピストン部の外周部の一部に、空気と水が流入できる流入開口があり、該ピストン部の流入開口に対向する前記ピストン部の外周部の一部に、空気と水が流出できる流出開口と、該空気と水が流出できない閉塞部を有し、
真空ポンプの停止によって、前記二次側配管の負圧が解除され、前記コイルバネの復元力により前記ピストン部が移動することで、
前記シリンダ部の流出口が前記ピストン部の閉塞部と一致し、前記連通が閉塞され、空気と水の流入を閉止することを特徴とする負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項5】
前記真空ポンプで生成される負圧によりピストン部が移動すると、前記シリンダ部の流入口が前記ピストン部の流入開口と一致連通し、前記シリンダ部の流出口と前記ピストン部の流出開口が一致連通したとき、
前記シリンダ部の流入口と前記ピストン部の流入開口とが一致してなす流入開口面積に比べて、前記シリンダ部の流出口と前記ピストン部の流出開口とが一致してなす流出開口面積が小さいことを特徴とする請求項4に記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項6】
前記シリンダ部の流出口とピストン部の閉塞部と一致し、前記連通開口が閉塞され、空気と水の流入を閉止する前記ピストン部の閉塞部には、少量の流路が設けられ、
前記連通開口が閉塞されたとき、前記シリンダ部の流入口より前記ピストン部の閉塞部の少量の流路を経て、少量の空気と水が前記シリンダ部の流出口より流出できることを特徴とする請求項4又は5に記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項7】
前記ピストン部の回転防止構造を備えてなる請求項1乃至6のいずれかに記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項8】
前記ピストン部の回転防止構造が、前記ピストン部の外周面に、該ピストン部の軸方向に沿ってもうけたガイド溝と、前記シリンダ部に設けた、先端部が前記ガイド溝に摺動自在に嵌入するガイドピンをもって構成してなる回転軸防止構造である請求項7に記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項9】
前記シリンダ部の流入口に、複数の開口を同心円状に配置した流量制御板を配設してなる請求項1乃至8のいずれかに記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項10】
前記シリンダ部における閉塞部分を前記ピストン部の移動軸線上に貫通する点検棒が設けられ、前記ピストン部の閉塞部分と点検棒が接続固定され、シリンダ部の外部より前記ピストン部を移動させることができる構造を有する請求項1乃至9のいずれかに記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項11】
前記コイルバネは前記点検棒とシリンダ部における閉塞部分との間に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項12】
前記ピストン部とシリンダ部における閉塞部分との間の夫々が当接する部分に弾性緩衝材を配設してなる請求項4乃至6のいずれかに記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項13】
前記点検棒とシリンダ部における閉塞部分との間の夫々が当接する部分に弾性緩衝材を配設してなる請求項10に記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次側配管内に水が充填され且つ火災発生時以外においては負圧状態とする負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来における消火設備として、スプリンクラーヘッドの破損等が生じた場合に漏水を防止し、且つ火災発生時に速やかに放水する機能を有する、二次側配管内に水が充填され且つ火災発生時以外においては負圧状態とする負圧湿式予作動スプリンクラー設備がある。
【0003】
図19は斯かる負圧湿式予作動スプリンクラー設備の概略構成図である。該図において100は負圧湿式予作動スプリンクラー設備である。
【0004】
101は消火水槽102から送水ポンプ103を介して立ち上がって配管された一次側配管である。104は前記一次側配管101に接続され、スプリンクラーヘッド105まで配管された二次側配管である。
【0005】
106は前記一次側配管101と二次側配管104との間に設置され、火災発生時以外では閉状態が維持される予作動式流水検知装置である。107は天井部に設置された、火災を感知して火災信号を送出する火災感知器である。
【0006】
108は前記二次側配管104に一端側108Aを接続すると共に、他端側108Bを、真空ポンプ109から立ち上がって配管された吸気管110と、下端が前記消火水槽102まで垂下した排水管111とに接続された吸引管である。
【0007】
112は前記吸引管108の途中部に設置された、前記二次側配管104内の負圧の状態の正常監視時には少量の、配管破損やスプリンクラーヘッド破損等の異常時には多量の流通量とし、放水時には閉止する流量制御弁である。また、該流量制御弁112は、
図20及び
図21に示すオリフィス付き自動弁であり、口径40Aの直動式電磁弁のものがある。そしてまた一例として、その定格はDC24ボルト、1,580mAのものがある。
【0008】
また、該流量制御弁112であるオリフィス付き自動弁は、
図20に示す如く、二次側配管104内の負圧の状態の正常時(緩慢な圧力上昇)には、入口側の開口112aから本体内に流入した水を含んだ空気は、矢標で示すようにオリフィス(小孔)112Aを通過することによって少量が出口側の開口112bに流れるようにされている。そしてまた、二次側配管104内の負圧の状態の異常時(圧力の急上昇)には、
図21に示す如く、通電によって電磁コイル112c及びプランジャ112dを介して弁体112eを上昇させ、開放された本来の流路112Bを通って多量が出口側の開口112bに流れるようにされているものである。
【0009】
また、
図19において113は前記吸引管108の途中部における前記流量制御弁112より二次側配管104側の位置に設置された、二次側配管104内の圧力を検出する真空スイッチである。
【0010】
114は火災発生時に前記火災感知器107からの火災信号を受信し、後記制御盤に該信号を送信する信号受信盤である。
【0011】
115は前記信号受信盤114からの信号を受信し、前記予作動式流水検知装置106を開状態として前記一次側配管101と二次側配管104とを連通状態とすると共に、前記送水ポンプ103を作動させる制御盤である。尚、その他図中116は前記吸気管110の前記吸引管108への接続部分に設置した気水分離器、117は前記吸引管108の前記吸気管110と排水管111との接続部分に設置した逆止弁である。
【0012】
そして、火災発生時以外のときには一次側配管101と二次側配管104のいずれにも水が充填されており、且つ二次側配管104内を、吸引管108及び吸気管110を介して真空ポンプ109で負圧状態とするものである。
【0013】
また、火災発生時には、火災感知器107が火災を感知して火災信号を信号受信盤114に送信し、そして該信号受信盤114から該信号を制御盤115に送信する。該信号を受信した制御盤115は予作動式流水検知装置106を開状態とすると共に送水ポンプ103を作動させる。これによりスプリンクラーヘッド105から放水が連続して行われるものである。尚、斯かる際には、流量制御弁112であるオリフィス付き自動弁は、
図20に示す状態であって、真空ポンプ109の作動は停止される。
【0014】
従来における負圧湿式予作動スプリンクラー設備は上記の通りである。しかし、斯かる設備には二次側配管内の負圧の状態を適正に保持する構成において問題がある。それは、吸引管108の途中部に設置された流量制御弁112として、
図20及び
図21に示すオリフィス付き自動弁を用いていることによるものである。
【0015】
而して、斯かるオリフィス付き自動弁は電磁弁であり、そして、斯かる電磁弁は、無通電時には閉止し、通電時に開放するなど制御方法がシンプルであるというメリットがある一方、消費電流が大きく、且つ弁体の開放中は通電し続けなければならず、大きな電源が必要となる。そして、上記の如く、従来の設備に用いられていたオリフィス付き自動弁は、口径40Aの直動式電磁弁のものがあり、そしてまた一例として、その定格はDC24ボルト、1,580mAのものがあり、消費電流も大きく且つ弁体の開放に大きな電源が必要であった。
【0016】
また、従来用いられていた電磁弁は、上記の通り消費電流も大きく且つ弁体の開放に大きな電源が必要であることから、停電時における問題もある。即ち、停電時において、二次側配管の破損等で二次側配管内の圧力が急上昇する事態が起き、弁を開放させる必要が生じることがあるが、その場合に備えて容量の大きい蓄電池を設けるか、非常電源設備による給電を行うなどの対策が必要であった。しかし、容量の大きい蓄電池を設ける場合には、蓄電池自体の大きさだけでなく、それを収納する制御盤の大きさも大きくなり、コストも増えることになる。また、非常電源設備による給電を行う場合には、予め非常電源設備の設計の際に電源容量を見込む必要があり、設備のリニューアルに対応できない等の問題があった。
【0017】
そこで、本特許出願人は、上記負圧湿式予作動スプリンクラー設備において、それに用いる二次側配管内の圧力の適正保持用の流量制御弁として、電力消費の大きい従来のオリフィス付き自動弁に替わる電力不要の流量制御弁を、先に提案した。そして、これを用いることにより上記従来の問題点を悉く解消することができるようになった。
【0018】
而して、本特許出願人が先に提案した流量制御弁は、
図17及び
図18に示した通りである。該図において、1は流量制御弁である。2は両端部が閉塞2A、2Bされ、一方側の端部側面に設けた流入口3から流入する水を含んだ空気が他方側の端部の閉塞部分2Bに設けた流出口4及び該流出口4の内側に連成された該流出口4より小径の開口5から流出するシリンダ部である。尚、該シリンダ部2の一方側の端部側面に設ける流入口3は、シリンダ部2自体に設ける場合と、図示はしないがシリンダ部2の一方側の端部の閉塞部分2Aを大きくしてこれに設ける場合とがある。6は前記シリンダ部2内で水の圧力により前進移動可能に設けられたピストン部であり、流入する水の圧力によって後記コイルバネの付勢力に抗して最前進位置まで移動することによりその閉塞部分が前記シリンダ部2の閉塞部分2Bの内側面に密接するようになされたものである。また、該ピストン部6は、前部側の端部が閉塞6′された円筒状をなし、他端部に外径が前記シリンダ部2の内径と等しいフランジ部6Aを形成し、閉塞部分6′の、シリンダ部2における他方側の端部の閉塞部分2Bとの対向面に、ピストン部6における閉塞部分6′がシリンダ部2における他方側の端部の閉塞部分2Bに密接した状態において、両閉塞部分6′、2Bの間に、ピストン部6の外周とシリンダ部2における閉塞部分2Bの開口5との間に少量の流通量の流路を形成する溝7を設けると共に、円筒状部分に大径の開口8を設けてなるものである。
【0019】
9は前記シリンダ部2の一方側の端部の閉塞部分2Aに摺動自在に貫挿した点検棒であり、前記シリンダ部2内において後記コイルバネの付勢力に抗して前記ピストン部6をその最前進位置まで押し出すものである。また、該点検棒9は前部側の端部を前記ピストン部6の閉塞部分6′に接続している。また、該点検棒9の軸方向の略中央部には後退位置を規制するストッパ9Bが形成されると共に、シリンダ部2の一方側の端部の閉塞部分2Aから突出する後部側の端部には、該シリンダ部2の閉塞部分2Aから該点検棒9を囲むように突設した筒状部10に出没するフランジ部9Aを形成している。
【0020】
11は前記点検棒のフランジ部9Aと前記シリンダ部2の閉塞部分2Aとの間に縮設したコイルバネであり、前記点検棒9を介して前記ピストン部6を後退位置に向けて押圧付勢するものである。
【0021】
そして、該コイルバネ11の弾発力(バネ定数)は、火災発生時において二次側配管104内に一次側配管101から水が供給され、該水の一部が吸引管108内に流入したときの圧力によってのみ縮小する程度であることを要する。したがって、流入口3から水が流入し、その圧力が該コイルバネ11の付勢力を超えている状態でピストン部6は前進移動が行われることになるものである。
【0022】
また、前記筒状部10と前記点検棒9のフランジ部9Aとをもって点検棒の変位量の測定手段12が構成されており、筒状部10の突出端面10aと点検棒9のフランジ部9Aの外端面9A′との間隔L1を、ピストン部6が後退位置にあるときにおける該ピストン部6の閉塞部分6′とシリンダ部2の他方側の端部の閉塞部分2Bとの相互間隔L2に対応する間隔とするようになしている。これにより点検棒10の動きを通してシリンダ部2内のピストン部6の動きや位置を外部から確認することができることになるものである。
【0023】
また、上記流量制御弁1の作用は、次の通りである。
火災発生時以外のときにおける二次側配管の温度変化による体積膨張や流量制御管等からの微少な空気流入等による緩慢な圧力上昇があるときは、
図17に示す如く、ピストン部6は後退位置にあり、シリンダ部2の流入口3から流入した水を含んだ空気は、ピストン部6の大径の開口8を通ってシリンダ部2の開口5と流出口4から流出する。
【0024】
また、スプリンクラーヘッド等が破損して二次側配管内の圧力が急速に上昇したときには、ピストン部6は
図17と同じ後退位置にあって、真空ポンプ109が作動する。そして、この吸引によって漏水が防止される。尚、その際において真空ポンプ109の吸引力はコイルバネ11の弾発力より低いためピストン部6は移動しない。
【0025】
また、火災発生時において一次側配管101から二次側配管104に水が供給され、その水の一部が吸引管108内に流入すると、
図18に示す如く、その水の圧力によってコイルバネ11の付勢力に抗してピストン部6が最前進位置まで移動し、その閉塞部分6′がシリンダ部2の閉塞部分2Bの内側面に密接する。また、このときにおいては真空ポンプ109は作動しない。そして、これにより水はピストン部6の溝7を通じて少量しか流れず、スプリンクラーヘッド105からの充分な放水が確保される。尚、ピストン部6の溝7から引き続き水が流出するが、該溝7からの流通量は少ないことから流出の影響は少ない。
【0026】
そして、消火完了後、予作動式流水検知装置106が閉止すると、ピストン部6の溝7から水が流出することで二次側配管104内の圧力が減少し、ピストン部6はコイルバネ11によって再び後退位置に戻される。
【0027】
以上の如く、上記流量制御弁1は、電力を要することなく作動するものである。
【0028】
また、上記流量制御弁1は、定期的に点検し、加圧水を流入させることなくピストン部6の動作を確認することができるようにした構成も備えている。
【0029】
斯かる構成は、ピストン部6が後退位置にあって、流入口3から水を含んだ空気が流入し、これらが該ピストン部6の大径の開口8を通ってシリンダ部2の開口5と流出口4から流出する状態が長期間にわたって継続すると、ピストン部6の周囲やシリンダ部2の内面において水に含まれるカルシウムや不純物が析出したり、ゴミが付着し、実際の火災発生時においてピストン部6が正常に動作しない事態が起こる虞があることから、これを防ぐためのものである。
【0030】
而して、該構成は、前記の通り、シリンダ部2の一方側の端部の閉塞部分2Aに、前記シリンダ部2内において前記コイルバネ11の付勢力に抗して前記ピストン部6をその最前進位置まで押し出す点検棒9を備えた構成である。
【0031】
そして更に、前記の通り、筒状部10と点検棒9のフランジ部9Aとをもって点検棒の変位量の測定手段12が構成されており、筒状部10の突出端面10aと点検棒9のフランジ部9Aの外端面9A′との間隔L1を、ピストン部6が後退位置にあるときにおける該ピストン部6の閉塞部分6′とシリンダ部2の他方側の端部の閉塞部分2Bとの相互間隔L2に対応する間隔とするようになしているから、点検棒9の動きを通してシリンダ部2内のピストン部6の動きや位置を外部から確認することができることになるものである。
【0032】
本特許出願人が先に提案した上記
図17及び
図18に示した負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁1は、上記の如き構成、作用であり、そして上記の通りの効果を奏するものではあるが、ピストン動作時における、それの閉塞部分とシリンダ部の閉塞部分との最初の衝突により発生する衝撃音とバウンド現象によるピストン部とシリンダ部とのその後に繰り返される衝突による衝撃音による騒音と、ウォーターハンマーの発生による部品の毀損等の改善すべき問題点もある。
【0033】
即ち、本特許出願人が先に提案した流量制御弁1においては、ピストン部6の動作時においてその閉塞部分6′とシリンダ部2の閉塞部分2Bとの間で最初の衝突が起こり、そしてその閉塞部分6′がシリンダ部2の閉塞部分2Bと一旦接触した後で、大径の開口8からピストン部6とシリンダ部2の間の空間部に流入する水や衝突による跳ね返りによりピストン部6が後退方向に押し出されることによってバウンド現象が起き、ピストン部6の閉塞部分6′とシリンダ部2の他方側の端部の閉塞部分2Bとの間で何回も衝突が繰り返される。そして、ピストン部6とシリンダ部2はいずれも金属製であることから、これらの衝突によって発生する衝撃音が騒音となる虞があった。
【0034】
また、ピストン部6は流入する水の圧力によって急速に移動し、その閉塞部分6′がシリンダ部2の他方側の端部の閉塞部分2Bの開口5を急激に締め切ることになるから、内部にウォーターハンマーが発生することがある。そして、この場合においては、その衝撃で配管に設置した表記しない圧力計等の部品が毀損することがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであって、本特許出願人が先に提案した流量制御弁における問題点である衝突によって発生する衝撃音の解消と、ウォーターハンマーの発生を効率よく抑制することができると共に、バウンド現象の発生を抑制することもできるようになした流量制御弁を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
而して、本発明の要旨とするところは、
負圧湿式予作動スプリンクラー設備において、
予作動式流水検知装置と該予作動式流水検知装置の一次側に設けられ、基端側に給水手段が接続される一次側配管と、
該予作動式流水検知装の二次側に設けられ、スプリンクラーヘッドが接続された二次側配管と、該二次側配管を負圧とする真空ポンプと該二次側配管と真空ポンプを接続する吸気管と、
前記二次側配管と前記吸気管との接続部に設けられ、
前記二次側配管から前記吸気管に流入する空気と水が通過する本体部と、該本体部に設けたシリンダ部内で真空ポンプで生成される負圧により移動可能に設けられたピストン部と、
前記負圧による前記ピストン部の移動に抗するコイルバネとによって構成され、
前記ピストン部の外周部の一部に、空気と水が流入できる開口と、該空気と水が流入できない閉塞部があり、
前記シリンダ部には、空気と水が通過する流入口と流出口があり、
前記負圧によりピストン部が移動すると、前記シリンダ部の流入口が前記ピストン部の開口と一致連通し、
真空ポンプの停止によって、前記二次側配管の負圧が解除され、前記コイルバネの復元力により前記ピストン部が移動することで、
シリンダ部の流入口がピストン部の閉塞部と一致し、前記連通が閉塞され、空気と水の流入を閉止することを特徴とする負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁
にある。
【0037】
また、上記構成において、前記ピストン部の内部は空洞をなし、前記ピストン部の一端は閉塞され、他端は前記空洞と連通開口し、該空洞内を前記空気と水が他端を経て前記連通開口を通過し、シリンダ部の流出口より流れ出る構造としてもよい。
【0038】
また、上記構成において、前記シリンダ部の流入口がピストン部の閉塞部と一致し、前記連通が閉塞され、空気と水の流入を閉止する前記ピストン部の閉塞部には、少量の流路が設けられ、
前記連通が閉塞されたとき、前記シリンダ部の流入口より前記ピストン部の閉塞部の少量の流路を経て、少量の空気と水が前記シリンダ部の流出口より流出できるようにしてもよい。
【0039】
また、負圧湿式予作動スプリンクラー設備において、
予作動式流水検知装置と該予作動式流水検知装置の一次側に設けられ、基端側に給水手段が接続される一次側配管と、
該予作動式流水検知装の二次側に設けられ、スプリンクラーヘッドが接続された二次側配管と、該二次側配管を負圧とする真空ポンプと該二次側配管と真空ポンプを接続する吸気管と、
前記二次側配管と前記吸気管との接続部に設けられ、
前記二次側配管から前記吸気管に流入する空気と水が通過する本体部と、該本体部に設けたシリンダ部内で真空ポンプで生成される負圧により移動可能に設けられたピストン部と、
前記負圧による前記ピストン部の移動に抗するコイルバネとによって構成され、
前記ピストン部の外周部の一部に、空気と水が流入できる流入開口があり、該ピストン部の流入開口に対向する前記ピストン部の外周部の一部に、空気と水が流出できる流出開口と、該空気と水が流出できない閉塞部を有し、
真空ポンプの停止によって、前記二次側配管の負圧が解除され、前記コイルバネの復元力により前記ピストン部が移動することで、
前記シリンダ部の流出口が前記ピストン部の閉塞部と一致し、前記連通が閉塞され、空気と水の流入を閉止することを特徴とする負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁をも、その要旨とするものである。
【0040】
また、上記構成において、前記真空ポンプで生成される負圧によりピストン部が移動すると、前記シリンダ部の流入口が前記ピストン部の流入開口と一致連通し、前記シリンダ部の流出口と前記ピストン部の流出開口が一致連通したとき、
前記シリンダ部の流入口と前記ピストン部の流入開口とが一致してなす流入開口面積に比べて、前記シリンダ部の流出口と前記ピストン部の流出開口とが一致してなす流出開口面積が小さいようにしてもよい。
【0041】
また、上記構成において、前記シリンダ部の流出口とピストン部の閉塞部と一致し、前記連通開口が閉塞され、空気と水の流入を閉止する前記ピストン部の閉塞部には、少量の流路が設けられ、
前記連通開口が閉塞されたとき、前記シリンダ部の流入口より前記ピストン部の閉塞部の少量の流路を経て、少量の空気と水が前記シリンダ部の流出口より流出できるようにしてもよい。
【0042】
また、上記構成において、前記ピストン部の回転防止構造を備えるようにしてもよい。
【0043】
また、上記構成において、前記ピストン部の回転防止構造が、前記ピストン部の外周面に、該ピストン部の軸方向に沿って設けたガイド溝と、前記シリンダ部に設けた、先端部が前記ガイド溝に摺動自在に嵌入するガイドピンをもって構成してなる回転軸防止構造であるようにしてもよい。
【0044】
また、上記構成において、前記シリンダ部の流入口に、複数の開口を同心円状に配置した流量制御板を配設するようにしてもよい。
【0045】
また、上記構成において、前記シリンダ部における閉塞部分を前記ピストン部の移動軸線上に貫通する点検棒が設けられ、前記ピストン部の閉塞部分と点検棒が接続固定され、シリンダ部の外部より前記ピストン部を移動させることができる構造を有するようにしてもよい。
【0046】
また、上記構成において、前記コイルバネは前記点検棒とシリンダ部における閉塞部分との間に設けられているようにしてもよい。
【0047】
また、上記構成において、前記ピストン部とシリンダ部における閉塞部分との間の夫々が当接する部分に弾性緩衝材を配設するようにしてもよい。
【0048】
また、上記構成において、前記点検棒とシリンダ部における閉塞部分との間の夫々が当接する部分に弾性緩衝材を配設するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、本特許出願人が先に提案した流量制御弁の問題点である衝突によって発生する衝撃音の解消と、ウォーターハンマーの発生を効率よく抑制することができるものである。また、バウンド現象の発生を抑制することもできるものである。
【0050】
本発明に係る発明は、真空ポンプで生成される負圧でピストン部を移動させ、そしてこの移動を通してシリンダ部における流入口と流出口の流路を開放せしめ、また、火災発生時における真空ポンプの作動停止に伴う負圧の解除によりコイルバネの復元力により反対方向に移動させ、そしてこの移動を通してシリンダ部における流入口と流出口の流路を遮断するようになしたものである。
【0051】
このような構成において、火災発生時に送水ポンプが作動を開始し、真空ポンプが作動を停止したとき、二次側配管と真空ポンプを接続する吸気管内の圧力の上昇は緩慢であることから、送水ポンプの圧力と負圧とのせめぎ合いが発生し、ピストン部は比較的ゆっくりと閉じる動作となる。したがって、シリンダ部における流入口と流出口の流路を急激に遮断することがないから、ウォーターハンマーの発生を効率よく抑制することができるものである。且つまた、バウンド現象の発生を抑制することもできるものである。
【0052】
また、シリンダ部における流入口と流出口の流路がL字状をなす場合(請求項1の場合)には、シリンダ部における流入口側に流路の開閉機構が位置しており、消火完了後において平常の監視状態への復旧時には、真空ポンプで生成される負圧が直接ピストン部の軸線方向にかかることになり、直接ピストン部を移動させる力が働くことから、ピストン部がシリンダ部における流入口と流出口の流路を開放する平常の監視状態に復旧するまでの時間が短くて済むものである。
【0053】
また、シリンダ部における流入口と流出口が直線状をなす場合(請求項4の場合)には、施工時の作業性が向上するメリットを有するものである。
【0054】
また、シリンダ部における流入口がピストン部の閉塞部と一致し、シリンダ部の流入口とピストン部の開口との連通が閉塞され、空気と水の流入を閉止するピストン部の閉塞部には、少量の流路が設けられ、
前記連通が閉塞されたとき、シリンダ部の流入口よりピストン部の閉塞部の少量の流路を経て、少量の空気と水がシリンダ部の流出口より流出できるようになした場合には、消火完了後に予作動式流水検知装置が閉止し、放水を停止した時、その後においても引き続きピストン部の閉塞部に設けた流路から少量づつ水を大径の開口を介して流出させることができ、そしてこの水を真空ポンプの吸引力によって強制的に吸い出せば、流量制御弁の平常時の監視状態への復旧までに要する時間を短縮することができるものである。
【0055】
また、シリンダ部における流入口と流出口の流路が直線状をなす場合(請求項4の場合)において、真空ポンプで生成される負圧によりピストン部が移動すると、シリンダ部の流入口が前記ピストン部の流入開口と一致連通し、シリンダ部の流出口と前記ピストン部の流出開口が一致連通したとき、
シリンダ部の流入口とピストン部の流入開口とが一致してなす流入開口面積に比べて、シリンダ部の流出口と前記ピストン部の流出開口とが一致してなす流出口面積が小さいようになした場合には、開放から閉止への動作時の圧力差が適切に得られることになり、開放から閉止へのピストン部の後退移動動作を迅速且つ確実に行うことができるようになるものである。即ち、平常監視時に作動している真空ポンプの吸引力による負圧によってピストン部はシリンダ部の流入口と流出口とが連通状態となる位置に移動し、この状態に保たれている。そして、火災検出時に信号によって真空ポンプが作動を停止すると、負圧が解除されてピストン部は後退方向に移動しようとするが、しかし、吸気管内の負圧は維持される(圧力上昇が極めて緩慢)ため、ピストン部はコイルバネに抗したまますぐには移動しようとしない。一方、同時に火災検出時に送水ポンプが起動し、二次側配管内の圧力が水流とともに高くなる。このとき、前記の通り流入側と流出側の開口には所定の比率の開口面積差があることにより、ピストン部内に水が溜まって圧力が高まり、もって、吸気管内の負圧は維持されても後退移動動作を行うことができるものである。
【0056】
また、シリンダ部における流入口と流出口の流路が直線状をなす場合(請求項4の場合)において、シリンダ部の流出口とピストン部の閉塞部とが一致し、シリンダ部の流出口とピストン部の流出開口との連通が閉塞され、空気と水の流入を閉止するピストン部の閉塞部には、少量の流路が設けられ、
連通が閉塞されたとき、前記シリンダ部の流入口よりピストン部の閉塞部の少量の流路を経て、少量の空気と水が前記シリンダ部の流出口より流出できるようになした場合には、消火完了後に予作動式流水検知装置が閉止し、放水を停止した時、その後においても引き続きピストン部の閉塞部に設けた流路から少量づつ水を流出開口を介して流出させることができ、そしてこの水を真空ポンプの吸引力によって強制的に吸い出せば、流量制御弁の平常時の監視状態への復旧までに要する時間を短縮することができるものである。
【0057】
また、ピストン部の回転軸防止構造を備えた場合には、シリンダ部の流入口と流出口と、ピストン部の開口の夫々との位置ずれを防ぐことができるものである。
【0058】
また、ピストン部の回転軸防止構造がピストン部の外周面に、該ピストン部の軸方向に沿ってもうけたガイド溝と、シリンダ部に設けた、先端部が前記ガイド溝に摺動自在に嵌入するガイドピンとをもって構成してなる回転軸防止構造である場合には、ピストン部の回転軸防止構造を容易に且つ低コストで構成することができるものである。
【0059】
また、シリンダ部の流入口に、複数の開口を同心円状に配置した流量制御板を配設した場合には、ピストン部に流入する加圧水量を制限し、緩慢な圧力上昇にすることができるものである。
【0060】
また、シリンダ部における閉塞部分をピストン部の移動軸線上に貫通する点検棒が設けられ、ピストン部の閉塞部分と点検棒が接続固定され、シリンダ部の外部より前記ピストン部を移動させることができる構造を有するようになした場合には、点検時に真空ポンプを停止した状態においてピストン部の作動を確認することができるものである。
【0061】
また、ピストン部とシリンダ部における閉塞部分との間の夫々が当接する部分に弾性緩衝材を配設してなる場合には、弾性緩衝材により、ピストン部がシリンダ部の閉塞部分に衝突する際の衝撃を緩和することができるものである。
【0062】
また、点検棒とシリンダ部における閉塞部分との間の夫々が当接する部分に弾性緩衝材を配設してなる場合には、弾性緩衝材により、点検棒がシリンダ部の閉塞部分に衝突する際の衝撃を緩和することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁の縦断側面図であり、平常時及びスプリンクラーヘッド破損時、並びに点検時の状態を示すものである。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁の縦断側面図であり、平常時及びスプリンクラーヘッド破損時、並びに点検時の状態を示すものである。
【
図17】本特許出願人が先に提案した負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁の縦断側面図であり、平常時及びスプリンクラーヘッド破損時の状態を示すものである。
【
図19】従来の負圧湿式予作動スプリンクラー設備の概略構成図である。
【
図20】従来の負圧湿式予作動スプリンクラー設備におけるオリフィス付き自動弁の作用説明図であり、二次側配管内の圧力の緩慢な上昇時の状態を示すものである。
【
図21】従来の負圧湿式予作動スプリンクラー設備におけるオリフィス付き自動弁の作用説明図であり、二次側配管内の圧力の急速な上昇時の状態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
【0065】
先ず、
図1乃至
図6に示す本発明の第1実施形態に係る流量制御弁1″について説明する。
【0066】
該本実施形態に係る流量制御弁1″は、
一端部が閉塞2Aされ、軸方向の略中央部側面の流入口3から流入する水を含んだ空気が他方側の端部の流出口4から流出するシリンダ部2と、該シリンダ部2内で真空ポンプで生成される負圧により前進移動して前記シリンダ部の流入口3と流出口4とを連通状態とするピストン部6と、該ピストン部6を後退移動方向に付勢して、負圧が解除された該ピストン部6を前記シリンダ部2の流入口3と流出口4との連通を遮断するよう移動させるコイルバネ11とによって構成され、前記ピストン部6は外径が前記シリンダ部2の内径と等しく、後部側の端部が閉塞6′された円筒状をなすと共に、閉塞部分6′寄りの前記シリンダ部2の流入口3と向き合う側の位置に大径の開口8を設け、シリンダ部2の流入口3から流入する水を含んだ空気が前記大径の開口8に流入する位置に前進し、更に、外周部における前記大径の開口8から前部側に向けて、前記コイルバネ11により後退位置まで移動することによりその大径の開口8が前記シリンダ部2の内側面によって閉塞された状態(シリンダ部2の流入口3がピストン部6の閉塞部により閉塞された状態)において、これらピストン部6とシリンダ部2との間に、シリンダ部2の流入口3と大径の開口8との間に少量の流通量の流路を形成する溝7を設けてなるものである。
また、前記シリンダ部2の端部の閉塞部分2Aに、前部側の端部を前記ピストン部6の閉塞部分6′に接続し、前記シリンダ部2内において前記ピストン部6をその最前進位置まで押し出す点検棒9を備えている。更に、該点検棒9の前記シリンダ部2の閉塞部分2Aから突出する後部側の端部に、該シリンダ部2の閉塞部分2Aから該点検棒9を囲むように突設した筒状部10に出没するフランジ部9Aを形成すると共に、該フランジ部9Aと前記シリンダ部2の閉塞部分2Aとの間に、前記コイルバネ11を配設している。そして、
更に、前記点検棒9のフランジ部9Aの内側面に、前記ピストン部6が最前進位置まで移動したときにおいて内端が前記シリンダ部2の閉塞部分2Aに当接する円筒状のストッパ部13を形成している。また、シリンダ部2の閉塞部分2Aにおける円筒状のストッパ部13が当接する部分には、弾性緩衝材14を配設している。また、前記コイルバネ11は、真空ポンプの吸引力よりも弱い弾発力としている。
【0067】
本実施形態においては、更にまた、上記構成において、ピストン部6の外周面に、該ピストン部6の軸方向に沿って設けたガイド溝15aと、シリンダ部2に設けた、先端部が前記ガイド溝15aに摺動自在に嵌入するガイドピン15bとをもって構成するピストン部の回転防止構造15を備えている。
【0068】
また、シリンダ部2の流入口3には、
図16に示す、複数の開口16aを同心円状に配置した流量制御板16を配設している。これによりピストン部6に流入する加圧水量を制限し、緩慢な圧力上昇にすることができる。
【0069】
次に、本実施形態の作用について説明する。
平常時及びスプリンクラーヘッド破損時における状態は、
図1に示す通りであり、真空ポンプの吸引力による負圧によってピストン部6は前進位置にある。そして、シリンダ部2の流入口3から流入した水を含んだ空気は、大径の開口8からピストン部6内に流入し、更にシリンダ部2の流出口4から流出するものである。
【0070】
また、火災発生時における状態は、
図2に示す通りであり、ピストン部6は後退位置となるものである。具体的には、火災が発生すると信号によって真空ポンプの作動が停止する。そして、これにより負圧が解除され、ピストン部6はコイルバネ11によって後退方向に移動させられるものである。
図2に示す如く、ピストン部6が最も後退した位置に移動すると、ピストン部6の大径の開口8は、シリンダ部2の流入口3との連通位置からずれ、シリンダ部2の内側面によって閉塞される。一方で、シリンダ部2の流入口3はピストン部6の閉塞部によって閉塞される。また、このときにおいては、シリンダ部2の流入口3に流入した水は、ピストン部6の外周部に設けた溝7から少量づつ大径の開口8を経て流出する。
【0071】
而して、本実施形態は、上記の如く、真空ポンプで生成される負圧でピストン部6を移動させ、そしてこの移動を通してシリンダ部2における流入口3と流出口4の流路を開放せしめ、また、火災発生時における真空ポンプの作動停止に伴う負圧の解除によりコイルバネ11の復元力により反対方向に移動させ、そしてこの移動を通してシリンダ部2における流入口3と流出口4の流路を遮断するようになしたものである。
【0072】
このような構成において、火災発生時に送水ポンプが作動を開始し、真空ポンプが作動を停止したとき、二次側配管と真空ポンプを接続する吸気管内の圧力の上昇は緩慢であることから、送水ポンプの圧力と負圧とのせめぎ合いが発生し、ピストン部6は比較的ゆっくりと閉じる動作となる。したがって、シリンダ部2における流入口3と流出口4の流路を急激に遮断することがないから、ウォーターハンマーの発生を効率よく抑制することができるものである。且つまた、バウンド現象の発生を抑制することもできるものである。
【0073】
また、シリンダ部2における流入口3側に流路の開閉機構が位置しており、消火完了後において平常の監視状態への復旧時には、真空ポンプで生成される負圧が直接ピストン部6の軸線方向にかかることになり、直接ピストン部6を移動させる力が働くことから、ピストン部6がシリンダ部2における流入口3と流出口4の流路を開放する平常の監視状態に復旧する時間が短くて済むものである。
【0074】
また、点検時においては、真空ポンプの作動を停止し、
図2に示した状態において点検棒9を押し出し、ピストン部6を
図1に示す位置まで移動させるものである。そして、この状態はフランジ部9Aの外端面9A′と筒状部10の突出端面10aが同一平面となることから、外部から確認することができるものである。
【0075】
そして、真空ポンプの吸引力によってピストン部6の溝7から水を強制的に吸い出すようになしたものであり、もって流量制御弁の平常時の監視状態への復旧までに要する時間を短縮することができるものである。
【0076】
また、シリンダ部2の閉塞部分2Aにおける円筒状のストッパ部13が当接する部分に、弾性緩衝材14を配設してなることにより、ピストン部6が真空ポンプの吸引力によって負圧になり、最前進位置まで移動したときにおいて、弾性緩衝材14により、円筒状のストッパ部13がシリンダ部2の閉塞部分2Aに衝突する際の衝撃を緩和することができるものである。
【0077】
また、ピストン部6の外周面に、該ピストン部6の軸方向に沿って設けたガイド溝15aと、シリンダ部2に設けた、先端部が前記ガイド溝15aに摺動自在に嵌入するガイドピン15bとをもって構成してなる回転防止構造15を備えてなることにより、シリンダ部2の流入口3とピストン部6の大径の開口8との位置ずれを防ぐことができるものであると共に、ピストン部6の回転防止構造15を容易に且つ低コストで構成することができるものである。
【0078】
また、シリンダ部2の流入口3に、
図16に示す、複数の開口16aを同心円状に配置した流量制御板16を配設してなることにより、ピストン部6に流入する加圧水量を制限し、緩慢な圧力上昇にすることができるものである。
【0079】
次に、
図7乃至
図16に示す本発明の第2実施形態に係る流量制御弁1’’’について説明する。
【0080】
該第2実施形態に係る流量制御弁1’’’と、前記第1実施形態に係る流量制御弁1″とは、以下a.、b.の点において相違するものである。
a.シリンダ部2の構成において第1実施形態に係る流量制御弁1″においては、一端側のみ閉塞2Aし、他端側を流出口4としているのに対して、本実施形態においては、両端部を閉塞2A、2Bし、その流入口3と流出口4とを同一軸線上に設けてなる点。
b.ピストン部6の構成において、第1実施形態に係る流量制御弁1″においては、シリンダ部2の流入口3と向き合う位置に1つの大径の開口8を設けているのに対して、本実施形態においては、シリンダ部2の流入口3と流出口4の夫々と向き合う位置に流入開口8と流出開口8′を設け、そして、これら流入開口8と流出開口8′は、シリンダ部2の流入口3側の流入開口8を、シリンダ部2の流出口4側の流出開口8′より所要の程度大きくなし、即ち、シリンダ部2の流入口3とピストン部6の流入開口8とが一致してなす流入開口面積に比べて、シリンダ部2の流出口4とピストン部6の流出開口8′とが一致してなす流出開口面積が小さくなるようになし、更に該シリンダ部2の流出口4側の流出開口8′は、ピストン部6が後退位置にあるときにシリンダ部2の流出口4と連通しない位置に設ける点。尚、ピストン部6が後退位置にあるときにおいて、ピストン部6のシリンダ部2の流入口3側の流入開口8は、該流入口3と連通状態を継続している。
【0081】
また、その他の構成においては、第1実施形態に係る流量制御弁1″と同様であるから、同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0082】
而して、本実施形態に係る流量制御弁1’’’は、前記第1実施形態における流量制御弁1″と同様の構成において、両端部が閉塞2A、2Bされ、軸方向の略中央部に同一軸線となる流入口3と流出口4を設けたシリンダ部2と、該シリンダ2内で真空ポンプで生成される負圧により前進移動して前記シリンダ部2の流入口3と流出口4とを連通状態とするピストン部6と、該ピストン部6を後退移動方向に付勢して、負圧が解除された該ピストン部6を前記シリンダ部2の流入口3と流出口4との連通を遮断するよう移動させるコイルバネ11とによって構成され、前記ピストン部6は、外径が前記シリンダ部2の内径と等しく、後部側の端部が閉塞6′された円筒状をなすと共に、閉塞部分6′寄りの前記シリンダ部2の流入口3と流出口4の夫々と向き合う位置に流入開口8と流出開口8′を設け、且つ該シリンダ部2の流入口3側の流入開口8をシリンダ部2の流出口4側の流出開口8′より大きくなす、即ち、シリンダ部2の流入口3とピストン部6の流入開口8とが一致してなす流入開口面積に比べて、シリンダ部2の流出口4とピストン部6の流出開口8′とが一致してなす流出開口面積が小さくなるようになすと共に、シリンダ部2の流出口4側の流出開口8′を、前記ピストン部6が後退したときにシリンダ部2の流出口4と連通しない位置となし、
シリンダ部2の流入口3から流入する水を含んだ空気が前記流入開口8、流出開口8′を経てシリンダ部2の流出口4に流出する位置に前進し、更に、外周部におけるシリンダ部2の流出口4側の流出開口8′から前部側に向けて、前記コイルバネ11により後退位置まで移動することによりシリンダ部2の流出口4側の流出開口8′が前記シリンダ部2の内側面によって閉塞された状態(シリンダ部2の流出口4がピストン部6の閉塞部により閉塞された状態)において、これらピストン部6とシリンダ部2との間に、シリンダ部2の流出口4側の流出開口8′とシリンダ部2の流出口4との間に少量の流通量の流路を形成する溝7を設けてなるものである。尚、前記少量の流路となる溝7を設けた部分とそれより前の部分が、シリンダ部2の流出口4を閉塞する、ピストン部6における閉塞部となるものである。
【0083】
また、本実施形態においては、上記構成において、シリンダ部2の閉塞部分2Aにおけるピストン部6が当接する部分に、弾性緩衝材14′を配設している。
【0084】
本実施形態においては、更にまた、上記構成において、ピストン部6の外周面に、該ピストン部6の軸方向に沿って設けたガイド溝15a′と、シリンダ部2に設けた、先端部が前記ガイド溝15a′に摺動自在に嵌入するガイドピン15b′とをもって構成するピストン部の回転防止構造15′を備えている。
【0085】
また、前記第1実施形態に係る流量制御弁1″と同様に、シリンダ部2の流入口3には、
図16に示す、複数の開口16aを同心円状に配置した流量制御板16を配設している。またその他図中、17、18はOリングであり、19はOリングを装填するための溝である。
【0086】
次に、本実施形態の作用について説明する。
平常時及びスプリンクラーヘッド破損時における状態は、
図7に示す通りであり、真空ポンプで生成される負圧によってピストン部6は前進位置にある。そして、シリンダ部2の流入口3から流入した水を含んだ空気は、流入開口8からピストン部6内に流入し、シリンダ部2の流出口4側の流出開口8′を経てシリンダ部2の流出口4から流出するものである。
【0087】
また、火災発生時における状態は、
図8に示す通りであり、ピストン部6は後退位置となるものである。具体的には、火災が発生すると信号によって真空ポンプの作動が停止する。そして、これにより負圧が解除され、ピストン部6はコイルバネ11によって後退方向に移動させられるものである。
図8に示す如く、ピストン部6が最も後退した位置に移動すると、ピストン部6のシリンダ部2の流入口3側の流入開口8は、該流入口3と連通状態を継続するが、ピストン部6のシリンダ部2の流出口4側の流出開口8′は、シリンダ部2の流出口4との連通位置からずれ、シリンダ部2の内側面によって閉塞される。一方で、シリンダ部2の流出口4はピストン部6の閉塞部分によって閉塞される。また、このときにシリンダ部2の流出口4側の流出開口8′と、ピストン部6の外周部に設けた溝7から少量づつシリンダ部2の流出口4に流出する。
【0088】
而して、本実施形態は、上記の如く、真空ポンプで生成される負圧でピストン部6を移動させ、そしてこの移動を通してシリンダ部2における流入口3と流出口4の流路を開放せしめ、また、火災発生時における真空ポンプの作動停止に伴う負圧の解除によりコイルバネ11の復元力により反対方向に移動させ、そしてこの移動を通してシリンダ部2における流入口3と流出口4の流路を遮断するようになしたものである。
【0089】
このような構成において、火災発生時に送水ポンプが作動を開始し、真空ポンプが作動を停止したとき、二次側配管と真空ポンプを接続する吸気管内の圧力の上昇は緩慢であることから、送水ポンプの圧力と負圧とのせめぎ合いが発生し、ピストン部6は比較的ゆっくりと閉じる動作となる。したがって、シリンダ部2における流入口3と流出口4の流路を急激に遮断することがないから、ウォーターハンマーの発生を効率よく抑制することができるものである。且つまた、バウンド現象の発生を抑制することができるものである。
【0090】
また、シリンダ部2における流入口3と流出口4の流路が直線状をなしており、シリンダ部2における流入口3と流出口4が一直線であることから、施工時の作業性が向上するメリットを有するものである。
【0091】
また、ピストン部6が前進位置にあるときにおいて、シリンダ部2の流入口3とピストン部6の流入開口8とが一致してなす流入開口面積に比べて、シリンダ部2の流出口4とピストン部6の流出開口8′が一致してなす流出開口面積が小さいことから、開放から閉止への動作時の圧力差が適切に得られることになり、開放から閉止へのピストン部6の後退移動動作を迅速且つ確実に行うことができるようになるものである。即ち、平常監視時に作動している真空ポンプの吸引力による負圧によってピストン部6はシリンダ部2の流入口3と流出口4とが連通状態となる位置に移動し、この状態に保たれている。そして、火災検出時に信号によって真空ポンプが作動を停止すると、負圧が解除されてピストン部6は後退方向に移動しようとするが、しかし、吸気管内の負圧は維持される(圧力上昇が極めて緩慢)ため、ピストン部6はコイルバネ11に抗したまますぐには移動しようとしない。一方、同時に火災検出時に送水ポンプが起動し、二次側配管内の圧力が水流とともに高くなる。このとき、前記の通り流入側と流出側の開口には所定の比率の開口面積差があることにより、ピストン部6内に水が溜まって圧力が高まり、もって、吸気管内の負圧は維持されても確実に後退移動動作を行うことができるものである。
【0092】
また、ピストン部6の閉塞部に溝7により少量の流路が設けられているから、シリンダ部2の流出口4が閉塞されたとき、該少量の流路を経て少量の空気と水がシリンダ部2の流出口4から流出するものである。これにより、消火完了後に予作動式流水検知装置が閉止し、放水を停止した時、真空ポンプの吸引力によって強制的に吸い出せるので、流量制御弁の平常時の監視状態への復旧までに要する時間を短縮することができるものである。
【0093】
また、点検時においては、真空ポンプの作動を停止し、
図8に示した状態において点検棒9を押し出し、ピストン部6を
図7に示す位置まで移動させるものである。そして、この状態はフランジ部9Aの外端面9A′と筒状部10の突出端面10aが同一平面となることから、外部から確認することができるものである。
【符号の説明】
【0094】
1″、1’’’ 流量制御弁
2 シリンダ部
2A,2B 閉塞部分
3 流入口
4 流出口
6 ピストン部
6′ 閉塞部分
7 溝
8、8′ 流出開口
9 点検棒
9A フランジ部
10 筒状部
11 コイルバネ
12 点検棒の変位量の測定手段
13 円筒状のストッパ部
14、14′ 弾性緩衝材
15、15′ ピストン部の回転防止構造
16 流量制御板
【手続補正書】
【提出日】2019年11月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予作動式流水検知装置と、該予作動式流水検知装置の一次側に設けられ、基端側に給水手段が接続される一次側配管と、
該予作動式流水検知装置の二次側に設けられ、スプリンクラーヘッドが接続された二次側配管と、該二次側配管を負圧とする真空ポンプと、該二次側配管と真空ポンプを接続する吸気管とを備えた負圧湿式予作動スプリンクラー設備における前記二次側配管と前記吸気管との接続部に設けられ、
前記二次側配管から前記吸気管に流入する空気と水が通過する本体部と、該本体部に設けたシリンダ部内で真空ポンプで生成される負圧により移動可能に設けられたピストン部と、
前記負圧による前記ピストン部の移動に抗するコイルバネとによって構成され、
前記ピストン部の外周部の一部に、空気と水が流入できる開口と、該空気と水が流入できない閉塞部があり、
前記シリンダ部には、空気と水が通過する流入口と流出口があり、
前記負圧によりピストン部が移動すると、前記シリンダ部の流入口が前記ピストン部の開口と一致連通し、シリンダ部の流入口と流出口が連通し、
真空ポンプの停止によって、前記二次側配管の負圧が解除され、前記コイルバネの復元力により前記ピストン部が移動することで、
シリンダ部の流入口がピストン部の閉塞部と一致し、シリンダ部の流入口と流出口の連通を遮断し、空気と水の流入を閉止することを特徴とする負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項2】
前記ピストン部の内部は空洞をなし、前記ピストン部の一端は閉塞され、他端は前記空洞と連通開口し、該空洞内を前記空気と水が他端を経て前記連通開口を通過し、シリンダ部の流出口より流れ出る構造を特徴とする請求項1に記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項3】
前記シリンダ部の流入口がピストン部の閉塞部と一致し、シリンダ部の流入口と流出口の連通を遮断し、空気と水の流入を閉止する前記ピストン部の閉塞部には、少量の流路が設けられ、シリンダ部の流入口と流出口の連通が遮断されたとき、前記シリンダ部の流入口より前記ピストン部の閉塞部の少量の流路を経て、少量の空気と水が前記シリンダ部の流出口より流出できることを特徴とする請求項1又は2に記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項4】
予作動式流水検知装置と、該予作動式流水検知装置の一次側に設けられ、基端側に給水手段が接続される一次側配管と、
該予作動式流水検知装置の二次側に設けられ、スプリンクラーヘッドが接続された二次側配管と、該二次側配管を負圧とする真空ポンプと、該二次側配管と真空ポンプを接続する吸気管とを備えた負圧湿式予作動スプリンクラー設備における前記二次側配管と前記吸気管との接続部に設けられ、
前記二次側配管から前記吸気管に流入する空気と水が通過する本体部と、該本体部に設けたシリンダ部内で真空ポンプで生成される負圧により移動可能に設けられたピストン部と、
前記負圧による前記ピストン部の移動に抗するコイルバネとによって構成され、
前記ピストン部の外周部の一部に、空気と水が流入できる流入開口があり、該ピストン部の流入開口に対向する前記ピストン部の外周部の一部に、空気と水が流出できる流出開口と、該空気と水が流出できない閉塞部を有し、
前記シリンダ部には、空気と水が通過する流入口と流出口があり、
真空ポンプで生成される負圧によりピストン部が移動すると、前記シリンダ部の流入口が前記ピストン部の流入開口と一致連通すると共に、前記シリンダ部の流出口と前記ピストン部の流出開口が一致連通し、シリンダ部の流入口と流出口が連通し、
真空ポンプの停止によって、前記二次側配管の負圧が解除され、前記コイルバネの復元力により前記ピストン部が移動することで、
前記シリンダ部の流出口が前記ピストン部の閉塞部と一致し、シリンダ部の流入口と流出口の連通を遮断し、空気と水の流入を閉止することを特徴とする負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項5】
前記真空ポンプで生成される負圧によりピストン部が移動すると、前記シリンダ部の流入口が前記ピストン部の流入開口と一致連通し、前記シリンダ部の流出口と前記ピストン部の流出開口が一致連通したとき、
前記シリンダ部の流入口と前記ピストン部の流入開口とが一致してなす流入開口面積に比べて、前記シリンダ部の流出口と前記ピストン部の流出開口とが一致してなす流出開口面積が小さいことを特徴とする請求項4に記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項6】
前記シリンダ部の流出口とピストン部の閉塞部と一致し、シリンダ部の流入口と流出口の連通を遮断し、空気と水の流入を閉止する前記ピストン部の閉塞部には、少量の流路が設けられ、シリンダ部の流入口と流出口の連通が遮断されたとき、前記シリンダ部の流入口より前記ピストン部の閉塞部の少量の流路を経て、少量の空気と水が前記シリンダ部の流出口より流出できることを特徴とする請求項4又は5に記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項7】
前記ピストン部の回転防止構造を備えてなる請求項1乃至6のいずれかに記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項8】
前記ピストン部の回転防止構造が、前記ピストン部の外周面に、該ピストン部の軸方向に沿って設けたガイド溝と、前記シリンダ部に設けた、先端部が前記ガイド溝に摺動自在に嵌入するガイドピンをもって構成してなる回転防止構造である請求項7に記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項9】
前記シリンダ部の流入口に、複数の開口を同心円状に配置した流量制御板を配設してなる請求項1乃至8のいずれかに記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項10】
前記シリンダ部における閉塞部分を前記ピストン部の移動軸線上に貫通する点検棒が設けられ、前記ピストン部の閉塞部分と点検棒が接続固定され、シリンダ部の外部より前記ピストン部を移動させることができる構造を有する請求項1乃至9のいずれかに記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項11】
前記コイルバネは前記点検棒とシリンダ部における閉塞部分との間に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項12】
前記ピストン部とシリンダ部における閉塞部分との間の夫々が当接する部分に弾性緩衝材を配設してなる請求項4乃至6のいずれかに記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【請求項13】
前記点検棒とシリンダ部における閉塞部分との間の夫々が当接する部分に弾性緩衝材を配設してなる請求項10に記載の負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
而して、本発明の要旨とするところは、
予作動式流水検知装置と
、該予作動式流水検知装置の一次側に設けられ、基端側に給水手段が接続される一次側配管と、
該予作動式流水検知装
置の二次側に設けられ、スプリンクラーヘッドが接続された二次側配管と、該二次側配管を負圧とする真空ポンプと
、該二次側配管と真空ポンプを接続する吸気管
とを備えた負圧湿式予作動スプリンクラー設備における前記二次側配管と前記吸気管との接続部に設けられ、
前記二次側配管から前記吸気管に流入する空気と水が通過する本体部と、該本体部に設けたシリンダ部内で真空ポンプで生成される負圧により移動可能に設けられたピストン部と、
前記負圧による前記ピストン部の移動に抗するコイルバネとによって構成され、
前記ピストン部の外周部の一部に、空気と水が流入できる開口と、該空気と水が流入できない閉塞部があり、
前記シリンダ部には、空気と水が通過する流入口と流出口があり、
前記負圧によりピストン部が移動すると、前記シリンダ部の流入口が前記ピストン部の開口と一致連通し、
シリンダ部の流入口と流出口が連通し、
真空ポンプの停止によって、前記二次側配管の負圧が解除され、前記コイルバネの復元力により前記ピストン部が移動することで、
シリンダ部の流入口がピストン部の閉塞部と一致し、
シリンダ部の流入口と流出口の連通を遮断し、空気と水の流入を閉止することを特徴とする負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁
にある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
また、上記構成において、前記シリンダ部の流入口がピストン部の閉塞部と一致し、
シリンダ部の流入口と流出口の連通が遮断され、空気と水の流入を閉止する前記ピストン部の閉塞部には、少量の流路が設けられ、
シリンダ部の流入口と流出口の連通が遮断されたとき、前記シリンダ部の流入口より前記ピストン部の閉塞部の少量の流路を経て、少量の空気と水が前記シリンダ部の流出口より流出できるようにしてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
また、予作動式流水検知装置と
、該予作動式流水検知装置の一次側に設けられ、基端側に給水手段が接続される一次側配管と、
該予作動式流水検知装
置の二次側に設けられ、スプリンクラーヘッドが接続された二次側配管と、該二次側配管を負圧とする真空ポンプと
、該二次側配管と真空ポンプを接続する吸気管と
を備えた負圧湿式予作動スプリンクラー設備における前記二次側配管と前記吸気管との接続部に設けられ、
前記二次側配管から前記吸気管に流入する空気と水が通過する本体部と、該本体部に設けたシリンダ部内で真空ポンプで生成される負圧により移動可能に設けられたピストン部と、
前記負圧による前記ピストン部の移動に抗するコイルバネとによって構成され、
前記ピストン部の外周部の一部に、空気と水が流入できる流入開口があり、該ピストン部の流入開口に対向する前記ピストン部の外周部の一部に、空気と水が流出できる流出開口と、該空気と水が流出できない閉塞部を有し、
前記シリンダ部には、空気と水が通過する流入口と流出口があり、
真空ポンプで生成される負圧によりピストン部が移動すると、前記シリンダ部の流入口が前記ピストン部の流入開口と一致連通すると共に、前記シリンダ部の流出口と前記ピストン部の流出開口が一致連通し、シリンダ部の流入口と流出口が連通し、
真空ポンプの停止によって、前記二次側配管の負圧が解除され、前記コイルバネの復元力により前記ピストン部が移動することで、
前記シリンダ部の流出口が前記ピストン部の閉塞部と一致し、
シリンダ部の流入口と流出口の連通を遮断し、空気と水の流入を閉止することを特徴とする負圧湿式予作動スプリンクラー設備における流量制御弁をも、その要旨とするものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
また、上記構成において、前記シリンダ部の流出口とピストン部の閉塞部と一致し、
シリンダ部の流入口と流出口の連通が遮断され、空気と水の流入を閉止する前記ピストン部の閉塞部には、少量の流路が設けられ、
シリンダ部の流入口と流出口の連通が遮断されたとき、前記シリンダ部の流入口より前記ピストン部の閉塞部の少量の流路を経て、少量の空気と水が前記シリンダ部の流出口より流出できるようにしてもよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
また、上記構成において、前記ピストン部の回転防止構造が、前記ピストン部の外周面に、該ピストン部の軸方向に沿って設けたガイド溝と、前記シリンダ部に設けた、先端部が前記ガイド溝に摺動自在に嵌入するガイドピンをもって構成してなる回
転防止構造であるようにしてもよい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
また、ピストン部の回
転防止構造を備えた場合には、シリンダ部の流入口と流出口と、ピストン部の開口の夫々との位置ずれを防ぐことができるものである。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
また、ピストン部の回
転防止構造がピストン部の外周面に、該ピストン部の軸方向に沿って
設けたガイド溝と、シリンダ部に設けた、先端部が前記ガイド溝に摺動自在に嵌入するガイドピンとをもって構成してなる回
転防止構造である場合には、ピストン部の回
転防止構造を容易に且つ低コストで構成することができるものである。