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特開2020-89719人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置及びその操作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-89719(P2020-89719A)
(43)【公開日】2020年6月11日
(54)【発明の名称】人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置及びその操作方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20200515BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20200515BHJP
【FI】
   A61B5/11 110
   A61B5/0245 Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-205239(P2019-205239)
(22)【出願日】2019年11月13日
(31)【優先権主張番号】107143988
(32)【優先日】2018年12月6日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】508226816
【氏名又は名称】國立台湾科技大學
(71)【出願人】
【識別番号】507196631
【氏名又は名称】台北醫學大學
(74)【代理人】
【識別番号】100185694
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 隆志
(72)【発明者】
【氏名】李三良
(72)【発明者】
【氏名】曽昭雄
(72)【発明者】
【氏名】洪綾秀
(72)【発明者】
【氏名】許永和
(72)【発明者】
【氏名】陳正憲
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA10
4C017AA14
4C017AB04
4C017AC40
4C017BB01
4C038VA04
4C038VB31
4C038VB33
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】人体の生理学的信号を検出させるためのマイクロ波検知モジュールを備え、人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置及びその操作方法を提供する。
【解決手段】自己注入ロック一体型発振アンテナ及び復調器を含み、発振信号を人体に発信させ、且つ人体から反射された反射信号を受信させ、制御ユニットによりマイクロ波検知モジュールが作動されて人体の生理学的信号を検出させた後、遠赤外線モジュールが作動されて遠赤外線ビームを人体に照射させ、遠赤外線ビームが人体に照射された時間が所定の時間に達すると制御ユニットが終了し、省エネの目的を達成させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己注入ロック一体型発振アンテナ及び復調器を含み、発振信号を人体に発信させ、且つ前記人体から反射された反射信号を受信させ、前記人体の生理学的信号を検出させるためのマイクロ波検知モジュールと、
遠赤外線ビームを発生させるための遠赤外線モジュールと、
前記マイクロ波検知モジュール及び前記遠赤外線モジュールに電気的に接続される制御ユニットであって、前記制御ユニットにより前記マイクロ波検知モジュールが作動されて前記人体の生理学的信号を検出させた後、前記遠赤外線モジュールが作動されて前記遠赤外線ビームを前記人体に照射させ、且つ前記マイクロ波検知モジュールが前記人体の生理学的信号を持続的に検出させることと、を備えることを特徴とする人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置。
【請求項2】
前記自己注入ロック一体型発振アンテナはアンテナ及び能動素子を有し、前記能動素子は前記アンテナに電気的に接続され、前記アンテナは周波数選択を行うと共に前記能動素子と共に振動を構成して発振信号を発生させるために用いられ、且つ前記アンテナは前記発振信号を前記人体に伝送させるために更に使用され、前記人体から反射された反射信号が前記アンテナにより受信されると、前記自己注入ロック一体型発振アンテナが自己注入ロック状態(Self-injection-locked state)となり、且つ前記発振信号が前記人体のバイタルサインにより周波数変調(frequency modulation)及び振幅変調(amplitude modulation)信号に変調され、
また、前記復調器は前記自己注入ロック一体型発振アンテナに電気的に接続されて前記周波数変調及び振幅変調信号を受信させ、前記復調器は前記周波数変調及び振幅変調信号に対する復調を行って前記人体の生理学的信号を取得させるために用いられることを特徴とする請求項1に記載の人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置。
【請求項3】
前記復調器は、
前記周波数変調及び振幅変調信号に対する振幅復調を行うための包絡線検波器と、
前記周波数変調及び振幅変調信号を受信するように、前記自己注入ロック一体型発振アンテナに電気的に接続される微分器であって、前記微分器は前記周波数変調及び振幅変調信号に対する微分を行い、前記周波数変調及び振幅変調信号を振幅変調信号に変換させ、前記振幅変調信号に対する振幅復調を行うための前記包絡線検波器が電気的に接続されることと、を備えることを特徴とする請求項2に記載の人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置。
【請求項4】
前記マイクロ波検知モジュールの表面は反射特性を有する材質で構成され、部分的な前記遠赤外線ビームが前記表面に向けて発射された後に前記人体に向けて反射されることを特徴とする請求項1に記載の人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置。
【請求項5】
前記表面は金属材質であることを特徴とする請求項4に記載の人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置。
【請求項6】
全ての前記遠赤外線ビームが前記人体に向けて発射されることを特徴とする請求項1に記載の人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置。
【請求項7】
前記マイクロ波検知モジュールと前記人体との間には0乃至30センチメートルの範囲の有効検出距離を有し、前記マイクロ波検知モジュールと前記人体との距離が前記有効検出距離の範囲内にある場合、前記マイクロ波検知モジュールが前記人体の生理学的信号を検出可能であることを特徴とする請求項1に記載の人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置。
【請求項8】
制御ユニットが作動される工程(a)と、
前記制御ユニットによりマイクロ波検知モジュールが作動され、前記マイクロ波検知モジュールは自己注入ロック一体型発振アンテナ及び復調器を備え、発振信号を人体に発信させ、前記人体反射からの反射信号を受信させて前記人体の生理学的信号を検出させるために用いられる工程(b)と、
前記制御ユニットにより前記マイクロ波検知モジュールが前記人体の生理学的信号を検出したかどうかの判断が下され、検出したと判断された場合、次の工程(d)が実行され、検出していないと判断された場合、警告フローチャートが実行される工程(c)と、
前記制御ユニットにより遠赤外線モジュールが作動されて遠赤外線ビームを前記人体に照射させ、且つ前記マイクロ波検知モジュールが前記人体の生理学的信号を持続的に検出させる工程(d)と、
前記制御ユニットにより前記遠赤外線ビームが前記人体に照射された時間が所定の時間に達したか否かの判断が下され、達したと判断された場合、次の工程(f)が実行され、達していないと判断された場合、前記遠赤外線ビームが前記人体に照射される時間が前記所定の時間に達するまで工程(d)が持続的に実行される工程(e)と、
前記制御ユニットが終了する工程(f)と、を含むことを特徴とする人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の操作方法。
【請求項9】
前記警告フローチャートは、
前記制御ユニットにより警告部材が作動されて警告信号を発信させる工程(c1)と、
前記制御ユニットが終了したかどうかの判断が下され、終了したと判断された場合、前記工程(f)が実行され、終了していないと判断された場合、前記使用者に対する前記遠赤外線照射装置の位置が調整された後に前記工程(c)が実行される工程(c2)と、を含むことを特徴とする請求項8に記載の人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の操作方法。
【請求項10】
前記工程(c2)では、検出された本人または他の人により前記制御ユニットが終了したかどうかの判断が下されることを特徴とする請求項9に記載の人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の操作方法。
【請求項11】
前記工程(e)では、前記制御ユニットにより時間計算ユニットが作動されて時間計算が行われ、前記遠赤外線ビームが前記使用者に照射された時間が前記所定の時間に達したか否かの判断が下されることを特徴とする請求項8に記載の人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の操作方法。
【請求項12】
前記工程(d)及び前記工程(e)が実行された際に、前記マイクロ波検知モジュールが前記人体の生理学的信号を検出不能である場合、前記警告フローチャートが実行されることを特徴とする請求項8に記載の人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の操作方法。
【請求項13】
前記工程(c)において、前記マイクロ波検知モジュールと前記人体との距離が有効検出距離に達した場合、前記マイクロ波検知モジュールが前記人体の生理学的信号を検出可能になり、前記有効検出距離は0乃至30センチメートルの範囲であることを特徴とする請求項8に記載の人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置及びその操作方法に関し、更に詳しくは、検出感度が高く、製造コストが低く、小型軽量で携帯及び配置が便利であり、生理学的信号の有無を検出させると共に遠赤外線モジュールを作動または停止させ、使用者が実際に遠赤外線を照射しているか否か確認し、省エネの目的を達成させる遠赤外線照射装置及びその操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線はマイクロ波と可視光線との間の波長の電磁波であり、その波長幅は760ナノメートル(nm)乃至1ミリメートル(mm)の間の範囲であり、波長が赤色光より長い不可視光線である。室温で物体が発する熱放射の多くはこの波長幅の範囲にあり、工業、軍事、科学、医学等の分野に応用され、例えば、サーモグラフィーは熱源物体の温度分布を検出し、赤外線の強度を分析してサーモグラフとして表示する。
【0003】
近年環境保護意識の高まりを受け、環境方面の検出に応用されており、例えば、ガスや水質汚染等の検出に応用されており、赤外線分光計が汚染物質の吸収量の測定に常用されている。波長範囲に基づいて、約0.7乃至2マイクロメートル(μm)の波長範囲の近赤外線、約3乃至5マイクロメートルの波長範囲の中赤外線、主に6乃至8マイクロメートル以上の波長幅の遠赤外線に区分される。現在多くの文献で指摘されているように、遠赤外線の医療機器が放出する遠赤外線は生物体に対して効果を発揮し、血液循環の促進、新陳代謝の改善、組織の生長及び再生等の作用を達成させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
介護医療に使用される従来の遠赤外線照射装置は、使用後に身体の疲労を回復させ、血液循環を改善させ、筋肉痛を緩和させる等の効果を達成させる。しかしながら、従来の遠赤外線照射装置は照射機能しか備えておらず、起動と停止及び強度調整機能しかなく、生理学的信号の検出機能はなかった。また、このような従来の遠赤外線照射装置では体積の大きいセラミック板または炭素繊維材料を加熱するため、エネルギーの消耗が激しく、高温が発生するため、うっかりスイッチを入れてしまったり、使用後にスイッチを切り忘れると、エネルギーを浪費するばかりか、火傷を負うこともあった。
【0005】
なお、従来の遠赤外線照射装置は体積が大きく、携帯や配置に不便であり、操作も不便であり、家庭内での介護には不向きであり、往々にして使用者が困難に直面した。
【0006】
そこで、検出感度が高く、製造コストが低く、小型軽量で携帯及び配置が便利であり、生理学的信号の有無を検出させて遠赤外線モジュールを作動または停止させ、使用者が実際に遠赤外線を照射しているか否かを確認し、省エネの目的を達成させる『人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置及びその操作方法』をどのように提供するかが、関連する技術分野の者にとって解決が切に待たれる課題であった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものである。上記課題解決のため、本発明は、人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置及びその操作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明は、
自己注入ロック一体型発振アンテナ及び復調器を含み、発振信号を人体に発信させ、且つ前記人体から反射された反射信号を受信させ、前記人体の生理学的信号を検出さ せるためのマイクロ波検知モジュールと、
遠赤外線ビームを発生させるための遠赤外線モジュールと、
前記マイクロ波検知モジュール及び前記遠赤外線モジュールに電気的に接続される制御ユニットであって、前記制御ユニットにより前記マイクロ波検知モジュールが作動されて前記人体の生理学的信号を検出させた後、前記遠赤外線モジュールが作動されて前記遠赤外線ビームを前記人体に照射させ、且つ前記マイクロ波検知モジュールが前記人体の生理学的信号を持続的に検出させることと、を備えることを特徴とする人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置。
【0009】
また、本発明に係る人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の操作方法特徴は、
制御ユニットが作動される工程(a)と、
制御ユニットによりマイクロ波検知モジュールが作動され、マイクロ波検知モジュールは自己注入ロック一体型発振アンテナ及び復調器を備え、発振信号を人体に発信させ、人体反射からの反射信号を受信させて人体の生理学的信号を検出させるために用いられる工程(b)と、
制御ユニットによりマイクロ波検知モジュールが人体の生理学的信号を検出したかどうかの判断が下され、検出したと判断された場合、次の工程(d)が実行され、検出していないと判断された場合、警告フローチャートが実行される工程(c)と、
制御ユニットにより遠赤外線モジュールが作動されて遠赤外線ビームを人体に照射させ、且つマイクロ波検知モジュールが人体の生理学的信号を持続的に検出させる工程(d)と、
制御ユニットにより遠赤外線ビームが人体に照射された時間が所定の時間に達したか否かの判断が下され、達したと判断された場合、次の工程(f)が実行され、達していないと判断された場合、遠赤外線ビームが人体に照射される時間が所定の時間に達するまで工程(d)が持続的に実行される工程(e)と、
制御ユニットが終了する工程(f)と、を含む
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の構成を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係るマイクロ波検知モジュールの構成を示す概略図である。
図3】本発明の他の実施形態に係る人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の構成を示す概略図である。
図4】本発明の一実施形態に係る人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の操作方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
【0012】
本発明の人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置1は、マイクロ波検知モジュール10と、遠赤外線モジュール20と、制御ユニット30と、を備える(図1参照)。
【0013】
マイクロ波検知モジュール10は、発振信号S1を人体2に発信させ、人体2から反射された反射信号S2を受信させ、人体2の生理学的信号を検出させるために用いられ、血管の脈拍、心拍、呼吸を含み、図1は血管21の脈拍の検出を示す。発振信号S1は単一発振周波数または周波数変調(frequency modulation)を有するマイクロ波連続波(continuous wave:CW)発振信号である。
【0014】
図2本発明の一実施形態に係るマイクロ波検知モジュール10の構成を示す概略図である。マイクロ波検知モジュール10は自己注入ロック一体型発振アンテナ11及び復調器12を備える。自己注入ロック一体型発振アンテナ11はアンテナ111及び能動素子112を有し、能動素子112はアンテナ111に電気的に接続される。アンテナ111は周波数選択を行うと共に能動素子112と共に振動を構成して発振信号S1を発信させるために用いられ、且つアンテナ111は発振信号S1を人体2に伝送させるためにも更に使用される。発振信号S1は無線周波数信号であり、図1に示される遠赤外線ビームL1の照射位置をカバーし、人体2の生理的動態(physiological movement)を変調させ、マイクロ波検知モジュール10に戻すように反射させる。人体2から反射された反射信号S2がアンテナ111により受信されると、自己注入ロック一体型発振アンテナが自己注入ロック状態(Self-injection-locked state)になり、前記自己注入ロック状態により振動の周波数が偏移し、且つ発振信号S1が人体2のバイタルサインにより周波数変調(frequency modulation)及び振幅変調(amplitude modulation)信号S3に変調される。復調器12は自己注入ロック一体型発振アンテナ11に電気的に接続され、周波数変調及び振幅変調信号S3を受信させ、復調器12が周波数変調及び振幅変調信号S3に対して復調を行って人体2の生理学的信号S4を取得させる。本実施形態の復調器12はベースバンド増幅器13に電気的に接続され、生理学的信号S4を受信させると共に増幅させる。
【0015】
図2の実施形態において、前記復調器120は微分器121及び包絡線検波器122を備える。微分器121は前記自己注入ロック一体型発振アンテナ11と包絡線検波器122との間に電気的に接続され、微分器121は自己注入ロック一体型発振アンテナ11により前記周波数変調及び振幅変調信号S3を受信させ、且つ周波数変調及び振幅変調信号S3に対して微分を行い、周波数変調及び振幅変調信号S3中の周波数変調成分を振幅変調成分に変換させる。これにより、周波数変調及び振幅変調信号S3が振幅変調信号SAMに変換され、マイクロ波検知モジュール10が前記人体2のバイタルサインに対して更に敏感になる。次に、包絡線検波器122が微分器121に電気的に接続されると共に振幅変調信号SAMを受信させ、包絡線検波器122は振幅変調信号SAMに対して振幅復調(amplitude demodulation)を行って生理学的信号S4を取得させるために用いられる。本実施形態では更に、微分器121により周波数変調が振幅変調に変換され、人体2のバイタルサインと結合されて発振信号S1に対して周波数変調及び振幅変調を行い、マイクロ波検知モジュール10の微細振動に対する感度を更に高める。
【0016】
ちなみに、図2は本発明が採用するマイクロ波検知モジュール10の一実施形態の構成のみを示し、これに限られず、例えば、復調器12が包絡線検波器だけであってもよい。マイクロ波検知モジュール10の他の変化態様及び詳細な操作原理は、本出願者が2017年12月12日付で提出した台湾特許出願公開第106143627号に記載される「非接触式自己注入ロックセンサー」の発明特許文献を参照する。
【0017】
図1に示されるように、遠赤外線モジュール20は遠赤外線ビームL1を発生させるために用いられる。遠赤外線モジュール20は加熱方式で遠赤外線ビームを発生させる材料で製造され、加熱半導体ウェハー、セラミック基板、コイルまたはフィラメント、MEMSウェハー、炭素繊維を含み、或いは、遠赤外線発光ダイオードや遠赤外線レーザーを含み、その種類は制限されず、需要に応じて適用する態様が選択される。
【0018】
制御ユニット30はマイクロ波検知モジュール10及び遠赤外線モジュール20に電気的に接続され、制御ユニット30によりマイクロ波検知モジュール10が作動されて人体2の生理学的信号が検出された後、遠赤外線モジュール20が作動されて遠赤外線ビームL1を発生させて人体2に照射させ、マイクロ波検知モジュール10が人体2の生理学的信号を持続的に検出させる。制御ユニット30の作動方式はアプリケーションプログラムにより制御されるかキーにより制御され、例えば、アプリケーションプログラムが携帯電話にインストールされる。
【0019】
また、マイクロ波検知モジュール10と人体2との間には有効検出距離D1を有し、マイクロ波検知モジュール10と人体2との距離が有効検出距離D1の範囲にある場合、マイクロ波検知モジュール10が人体2の生理学的信号を検出可能になる。換言すれば、マイクロ波検知モジュール10と人体2との距離が有効検出距離D1より長い場合、人体2の生理学的信号が検出不能になる。これにより、スイッチが誤って押されてマイクロ波検知モジュール10が作動を始め、遠赤外線モジュール20が遠赤外線ビームL1を発生させる事故を回避させる。
【0020】
当然ながら、有効検出距離D1の範囲に制限はなく、異なる生理学的信号を検出するように有効検出距離を変えて設定してもよい。例えば、有効検出距離D1が0乃至30センチメートルの範囲である場合、人体の生理学的信号が検出可能となり、有効検出距離D1が30センチメートルを超える場合は検出不可能となる。より詳しくは、0乃至30センチメートルの範囲内において、有効検出距離D1が10乃至15センチメートルの範囲では血管の脈拍を検出し、有効検出距離D1が15センチメートル以上である場合、例えば、15乃至30センチメートルの範囲では呼吸及び心拍を検出する。
【0021】
図3は本発明の他の実施形態に係る人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の構成を示す概略図である。図1に示される構成において、全ての遠赤外線ビームL1が人体2に向けて発射される。また、図3に示されるマイクロ波検知モジュール10及び遠赤外線モジュール20は傾斜して設置され、マイクロ波検知モジュール10の表面14は反射特性を有する材質で構成されるが、材質に制限はなく、例えば、金属材質でもよい。部分的な遠赤外線ビームL1が表面14に向けて発射された後に人体2に向けて反射され、他の部分の遠赤外線ビームL1は直接人体2に向けて発射される。前述のように、発振信号S1は無線周波数信号であり、図1に示される遠赤外線ビームL1の照射位置をカバーし、人体2の生理的動態(physiological movement)を変調させ、且つ反射信号S2をマイクロ波検知モジュール10に戻すように反射させる。
【0022】
また、図1及び図4に示される人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の操作方法のフローチャート400は、
制御ユニット30が作動される工程402と、
制御ユニット30によりマイクロ波検知モジュール20が作動され、マイクロ波検知モジュール10が発振信号S1を人体2に発信させ、人体2から反射された反射信号S2を受信させることで、人体2の生理学的信号を検出させる工程404と、
制御ユニット30によりマイクロ波検知モジュール10が人体2の生理学的信号を検出したかどうかの判断が下され、検出したと判断された場合、工程408が実行され、検出していないと判断された場合、警告フローチャート414が実行される工程406と、
制御ユニット30により遠赤外線モジュール20が作動されて遠赤外線ビームL1を発生させて人体2に照射させ、マイクロ波検知モジュール10が人体2の生理学的信号を持続的に検出させ、マイクロ波検知モジュール10が人体2の生理学的信号を検出不能である場合、警告フローチャート414が実行される工程408と、
制御ユニット30により遠赤外線ビームL1が人体2に照射された時間が所定の時間に達したか否かの判断が下され、例えば、制御ユニット10により時間計算ユニットが作動され、或いは携帯電話及びパソコンに時間計算アプリケーションプログラムがインストールされて時間計算が行われ、または使用者が自分で時間を計算し、遠赤外線ビームが使用者に照射された時間が所定の時間に達したか否かが判断され、達したと判断された場合、次の工程412が実行され、達していないと判断された場合、遠赤外線ビームが人体に照射される時間が所定の時間に達するまで工程408が持続的に実行される工程410と、
制御ユニットが終了する工程412と、を含む。
【0023】
なお、警告フローチャート414は、
制御ユニット30により警告部材(図示省略)が作動されて警告信号が発信される工程4141と、
制御ユニット30が終了したかどうかの判断が下され、検出された本人(即ち、前記人体2)または他の人により制御ユニット30が終了したかどうかの判断が下され、終了したと判断された場合、工程412が実行され、制御ユニットが終了し、終了していないと判断された場合、人体2に対する遠赤外線照射装置20の位置が調整され、工程406が実行され、制御ユニット30によりマイクロ波検知モジュール20が人体2の生理学的信号を検出したとの判断が下されると、後続の工程が継続して実行される工程4142と、を含む。
【0024】
工程406及び工程408において、マイクロ波検知モジュール20が人体2の生理学的信号を検出不能である場合、警告フローチャート414が実行される。マイクロ波検知モジュール20が人体2の生理学的信号を検出できない原因は様々あり、例えば、マイクロ波検知モジュール10と人体2との距離が有効検出距離D1より長く、人体2の生理学的信号を検出不可能になる。これにより、誤ってスイッチが押されてマイクロ波検知モジュール10が作動を始め、遠赤外線モジュール20が遠赤外線ビームL1を発生させる事故を回避させる。
【0025】
以上を総合すると、本発明に係る人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置及びその操作方法は、マイクロ波検知モジュール及び遠赤外線モジュールが統合され、マイクロ波検知モジュールの注入ロック振動器の原理により人体の生理学的信号が検出された後、遠赤外線モジュールが作動され、省エネの目的を達成させる。検出後に照射時間が計算され、実際に人体に照射された時間が記録され、且つ遠赤外線モジュールの照射時の生理学的信号の情報が記録され、被検者に参照用として提供され、製品の付加価値が高まる。また、本発明は照射距離の違いに応じて異なる生理学的信号の検出方式が組み合わせられ、これには血管の脈拍、心拍、または呼吸を含む。マイクロ波検知モジュールの検出感度が高く、製造コストが低く、小型軽量であるため、ウェアラブルモジュールとして設計可能であり、携帯しやすく、人体に配置可能であり、医薬や家庭内での介護等の分野に応用される。
【0026】
上述の実施形態は本発明の技術思想及び特徴を説明するためのものにすぎず、当該技術分野を熟知する者に本発明の内容を理解させると共にこれをもって実施させることを目的とし、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。従って、本発明の精神を逸脱せずに行う各種の同様の効果をもつ改良又は変更は、後述の請求項に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0027】
1 人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置
10 マイクロ波検知モジュール
11 自己注入ロック一体型発振アンテナ
111 アンテナ
112 能動素子
12 復調器
121 微分器
122 包絡線検波器
13 ベースバンド増幅器
14 表面
20 遠赤外線モジュール
2 人体
21 血管
30 制御ユニット
400 人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の操作方法のフローチャート
402 人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の操作方法の工程
404 人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の操作方法の工程
406 人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の操作方法の工程
408 人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の操作方法の工程
410 人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の操作方法の工程
412 人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の操作方法の工程
414 人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の操作方法の工程
4141 人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の操作方法の工程
4142 人体の生理学的信号検出機能を有する遠赤外線照射装置の操作方法の工程
D1 有効検出距離
L1 遠赤外線ビーム
S1 発振信号
S2 反射信号
S3 周波数変調及び振幅変調信号
S4 生理学的信号
SAM 振幅変調信号
図1
図2
図3
図4