【解決手段】長手方向の一端部外表面に現れている第1金具51,61と他端部に取り付けられた第2金具52,62とをそれぞれ有する第1及び第2防振マウント50,60の、第1金具51,61に塗装する防振マウントの塗装装置1は、第1金具51,61に塗装する塗装スプレー46と、第1及び第2防振マウント50,60を第2取付金具52,62側において支持するマウント支持部10を備えている。第1防振マウント50は、第2金具52の周囲から突出する外周突部58を有している。第2防振マウント60は、第2金具62自体が突出する金具突部64を有している。マウント支持部10は、外周突部58を両側から挟んで支持する一対の支持壁部14,15と、金具突部64に嵌合する凹部17とを有している。
ゴム部材の長手方向の一端部の外表面に現れている第1金具と他端部に取り付けられた第2金具とを有する防振マウントの、第1金具に塗装する、防振マウントの塗装装置であって、
塗装対象となる前記防振マウントには、前記他端部において、前記第2金具の周囲から前記長手方向に突出した外周突部を有する、第1タイプの防振マウントと、前記他端部において、前記第2金具そのものが長手方向に突出した金具突部を有する、第2タイプの防振マウントとが含まれており、
前記第1金具に塗装する塗装部と、
前記防振マウントを前記他端部側において支持するマウント支持部と
を備え、
前記マウント支持部は、
前記外周突部を、前記長手方向に直交する方向において両側から挟んで支持する、一対の支持壁部と、
長手方向に凹設されており、前記金具突部に嵌合する、凹部と
を有している、防振マウントの塗装装置。
請求項1〜5のいずれか1つに記載の防振マウントの塗装装置を用いて、前記第1タイプの防振マウント及び前記第2タイプの防振マウントの前記第2金具に塗装する、防振マウントの塗装方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
防振マウントは、要求される性能に応じて、防振特性の異なる様々なタイプ(類別)が存在し得る。また、防振マウントは、取り付けられる相手部品の形状に応じて形状が相違するタイプが存在し得る。このため、塗装装置には、マウント支持部に支持される部分の形状が相違する防振マウントが存在する場合には、形状が相違する防振マウントそれぞれに対応して、位置決めする専用のマウント支持部がそれぞれ設けられている。
【0006】
この結果、生産ラインにおいて形状が相違する防振マウントを混流して製造する場合に、塗装装置においては、生産する防振マウントに対応させて専用のマウント支持部に段替えをする必要が生じる。この結果、段替えの度に生産ラインが停止することになるので、塗装装置における生産性が低下してしまう。
【0007】
本発明は、複数のタイプの防振マウントを混流して製造する場合に、塗装装置における生産性を向上させることができる、防振マウントの塗装装置及び防振マウントの塗装方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
ゴム部材の長手方向の一端部の外表面に現れている第1金具と他端部に取り付けられた第2金具とを有する防振マウントの、第1金具に塗装する、防振マウントの塗装装置であって、
塗装対象となる前記防振マウントには、前記他端部において、前記第2金具の周囲から前記長手方向に突出した外周突部を有する、第1タイプの防振マウントと、前記他端部において、前記第2金具そのものが長手方向に突出した金具突部を有する、第2タイプの防振マウントとが含まれており、
前記第1金具に塗装する塗装部と、
前記防振マウントを前記他端部側において支持するマウント支持部と
を備え、
前記マウント支持部は、
前記外周突部を、前記長手方向に直交する方向において両側から挟んで支持する、一対の支持壁部と、
長手方向に凹設されており、前記金具突部に嵌合する、凹部と
を有している、防振マウントの塗装装置を提供する。
【0009】
本発明によれば、第1タイプの防振マウントは、外周突部がマウント支持部の一対の支持壁部によって支持される。一方、第2タイプの防振マウントは、金具突部がマウント支持部の凹部に嵌合される。したがって、他端部側の構成が異なる、第1タイプの防振マウント及び第2タイプの防振マウントを、共通のマウント支持部によって支持できる。これによって、防振マウントの塗装装置において、マウント支持部の段替えをすることなく、2つの異なるタイプの防振マウントの第1金具に塗装できるので、生産性が向上する。
【0010】
また、第1タイプの防振マウント及び第2タイプの防振マウントそれぞれに、専用のマウント支持部を準備しなくてもよいので、マウント支持部の類別が低減すると共に、マウント支持部を製作するための費用を低減できる。
【0011】
好ましくは、前記外周突部には、前記他端部側に開口した切り欠き部が形成されており、
前記一対の支持壁部の間に、前記切り欠き部に係合する、ガイドピンが設けられている。
【0012】
本構成によれば、第1タイプの防振マウントがマウント支持部に支持された状態で、切り欠き部に突起部が係合することによって、第1タイプの防振マウントのマウント支持部に対する回転方向における位置決め(又は回り止め)が構成される。これによって、マウント支持部を回転させながら塗装するときに、第1タイプの防振マウントをマウント支持部と共に安定して回転させることができるので、むらなく塗装できる。
【0013】
また、好ましくは、前記外周側壁部は、外表面がゴム部材で構成されており、
前記外周突部と前記一対の支持壁部との間の隙間は、前記金具突部と前記凹部との間の隙間よりも大きい。
【0014】
本構成によれば、外表面がゴム部材で構成されており、相対的に表面における摩擦抵抗が大きくなりやすい外周突部については、対応する一対の支持壁部との間の隙間を相対的に大きく設定することによって、外周突部との接触が抑制されるので、外周突部の組み付け性を確保しやすい。また、第1タイプの防振マウントの外周側に位置する外周壁部が、一対の支持壁部で支持されるので、両者の隙間を相対的に大きくしてもガタつきを抑制しやすい。
【0015】
一方、外表面が金属で構成されており、相対的に表面における摩擦抵抗が小さい金具突部については、対応する凹部との間の隙間を相対的に小さく設定しても組み付け性を確保しやすい。さらに、両者の隙間を相対的に小さくすることによって、第2タイプの防振マウントをマウント支持部にガタつきを抑制しつつ支持できる。
【0016】
したがって、ガタつきが相対的に大きくなりにくい外側に位置する外周突部に対しては隙間を相対的に大きく設定する一方で、ガタつきが相対的に大きくなりやすい内側に位置する金具突部に対しては隙間を相対的に小さく設定し、隙間が大きく設定された外周突部については外表面をゴム部材で構成でき、隙間が小さく設定された金具突部について外表面を金属で構成できる。
【0017】
また、好ましくは、前記長手方向から見て、
前記金具突部は、非円形に形成されている。
【0018】
本構成によれば、第2タイプの防振マウントがマウント支持部に支持された状態で、非円形である金具突部と凹部とが嵌合することによって、第2タイプの防振マウントのマウント支持部に対する回転方向における位置決め(又は回り止め)が構成される。これによって、マウント支持部を回転させながら塗装するときに、第2タイプの防振マウントをマウント支持部と共に回転させることができるので、むらなく塗装できる。
【0019】
また、好ましくは、前記長手方向から見て、
前記金具突部は、第1の方向に細長く形成されており、該第1の方向に対向する一対の円弧部と、前記第1の方向に直交する第2の方向に対向する一対の平坦部とを有しており、
前記金具突部と前記凹部との間の、前記第1の方向における隙間は、前記第2の方向における隙間よりも小さい。
【0020】
本構成によれば、長手方向から見て、短手方向に平坦部を設定し、長手方向に円弧部を設定し、凹部に対する金具突部の短手方向における隙間を、長手方向における隙間よりも小さくすることによって、金具突部の凹部に対するガタつきがより抑制される。
【0021】
また、本発明の他の態様は、上記いずれか1つの防振マウントの塗装装置を用いて、前記第1タイプの防振マウント及び前記第2タイプの防振マウントの前記第2金具に塗装する、防振マウントの塗装方法を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、複数のタイプの防振マウントを混流して製造する場合に、塗装装置における生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは相違している。
【0025】
図1は、防振マウントの一例として、第1タイプの防振マウント50(以下、第1防振マウント50と称する)が示されている。第1防振マウント50は、不図示のエンジンと車体フレームとの間に介設されて、エンジンを車体フレームに対して弾性的に支持するものである。
【0026】
図1(a)に示すように、第1防振マウント50は、縦長に構成されたゴム部材からなる弾性基体53と、この長手方向の一端部(
図1(a)において上端部)に設けられた第1取付金具51と、他端部(下端部)に設けられた第2取付金具52とを備えている。第1取付金具51は、金属製の円筒部材であり、弾性基体53の上端部の外周部にカシメにより取り付けられている。第1取付金具51は、上記車体フレームに取り付けられる。
【0027】
図2は、第1防振マウントの縦断面図である。
図2を併せて参照して、第2取付金具52は、弾性基体53の下部の内側に含まれるように加硫接着されており、下端面のみ弾性基体53から下方に表出している。第2取付金具52には、上下方向に延びる雌ねじ部54が設けられており、ここに不図示のボルトを締め付けることによって上記エンジンに取り付けられる。
【0028】
弾性基体53の上端部の内側には、上方に開口した液室55が画定されている。液室55の上端の開口部55aには、ダイヤフラム56が設けられている。
【0029】
液室55は、ダイヤフラム56によって密閉状態に構成されており、水、エチレングリコール、シリコンオイル等の液体が封入されている。液室55は、仕切り部材57によって上側の第1室55bと下側の第2室55cとに上下に仕切られており、これらは仕切り部材57に形成された不図示のオリフィス流路を介して互いに連通している。すなわち、液室55に封入された液体は、第1室55bから第2室55cへ又はこの逆方向へ、互いに流動可能に構成されている。
【0030】
図1(b)は、
図1(a)のA矢視に係る第1防振マウント50のA矢視図(下面図)である。
図1(b)を併せて参照して、第1防振マウント50は、第2取付金具52の周囲には長手方向の他端部側(
図1において下方)に突出する外周突部58が形成されている。外周突部58は、
図1(b)においてU字形状に形成されている。
【0031】
外周突部58のU字状の底部には、U字形状の外側から内側に貫通する切り欠き部59が形成されている。切り欠き部59は、外周突部58の高さにわたって形成されている。換言すれば、外周突部58は、切り欠き部59を挟んだ両側に分断されている。外周突部58の先端部は、長手方向の他端部側に向かって先細りとなる面取り形状に形成されている。
【0032】
図2に示すように、外周突部58は、芯材として第2取付金具52を有し、この外周部が加硫接着された弾性基体53により覆われている。したがって、外周突部58の外表面はゴム部材により構成されている。
【0033】
図3は、防振マウントの他の例として、第2タイプの防振マウント60(以下、第2防振マウント60と称する)が示されている。第2防振マウント60も、第1防振マウント50と同様に、不図示のエンジンと車体フレームとの間に介設されて、エンジンを車体フレームに対して弾性的に支持するものである。第2防振マウント60は、長手方向に延びる弾性基体63と、この長手方向の一端部に設けられた第1取付金具61と、他端部に設けられた第2取付金具62とを有している。
【0034】
第2防振マウント60は、第2取付金具62が弾性基体63から下方に突出している点で、第1防振マウント50と異なる。第2取付金具62は、それ自体が弾性基体63から下方に突出して、第2防振マウント60の下端部に金具突部64を構成している。すなわち、金具突部64は、ゴム部材により覆われておらず、外表面が金属により構成されている。
【0035】
金具突部64は、長手方向に延びる円筒状の棒状部材であって、他端部側の略半分において、延在方向に直交する方向に二面幅加工が施されている。すなわち、金具突部64は、径方向に一対の円弧部64aと、二面幅加工された部分であって、一対の円弧部64aを互いに接続する径方向に一対の平坦部64bとを有している。
【0036】
次に、第1防振マウント50を製造する製造ラインについて説明する。まず、
図4を参照して、第1防振マウント50の組立ライン30について説明する。
図4(a)に示すマウントワーク載置工程31において、弾性基体53に第2取付金具52が加硫されたマウントワーク50Wが準備され、マウントワーク50Wが、液室55の開口部55aが上方に開口する姿勢で組立台37の上に載置される。
【0037】
次に、
図4(b)に示す液体注入工程32において、液体Wが液室55に所定量注入される。そして、
図4(c)に示す仕切り部材組付工程33において、仕切り部材57が液室55に組み込まれる。さらに、
図4(d)に示すダイヤフラム組付工程34において、ダイヤフラム56が液室55の開口部55aに組み付けられる。
【0038】
次に、
図4(e)に示す第2取付金具組付工程35において、第1取付金具51がマウントワーク50Wの上端部の外周に嵌挿される。最後に、
図4(f)に示す液室封止工程36において、第1取付金具51を径方向内側にカシメてダイヤフラム56を液室55の開口部55aに固定することによって、液室55に液体Wを封止する。これによって、第1防振マウント50が組み立てられる。
【0039】
次に、
図5を参照して、第1防振マウント50の第1取付金具51の外表面を塗装する塗装ライン40について説明する。
図5(a)に示す余熱工程41において、第1防振マウント50の第1取付金具51が、オーブン45によって予熱される。予熱しておくことで、後続する工程で塗布された塗料の乾燥を早めることができる。
【0040】
次に、
図5(b)に示す塗料塗布工程42には、第1防振マウント50を支持するマウント支持部10と塗装スプレー46(塗装部)とを有する塗装装置1が設けられている。マウント支持部10は、第1防振マウント50を、長手方向を上下方向に向けて第1取付金具51が上方に位置する姿勢で下方から支持し、第1防振マウント50の長手方向に延びる中心軸周りに回転するように構成されている。塗装スプレー46は、マウント支持部10により支持され回転する第1防振マウント50に対して塗料を噴射して塗布する。
【0041】
最後に、
図5(c)に示す塗料乾燥工程43において、第1防振マウント50は、送風機47から送風が供給されて、第1取付金具51に塗布された塗料の乾燥が促進される。これによって、第1防振マウント50が製造される。
【0042】
上記説明では、第1防振マウント50を例にとって説明したが、第2防振マウント60も同様に製造される。また、組立ライン30及び塗装ライン40には、第1防振マウント50の製造に加えて、第2防振マウント60も製造される、混流ラインとして構成されている。
【0043】
以下、塗装装置1のマウント支持部10について詳述する。マウント支持部10は、段替えを要することなく、第1及び第2防振マウント50,60を、互いに形状が異なる第2取付金具52,62において支持可能に構成されている。
【0044】
図6はマウント支持部10を示す斜視図である。
図6に示すように、マウント支持部10は、上下方向に延びる回動ロッド11と、この上端部に固着された支持部12とを有している。回動ロッド11は、不図示の回転手段(例えばモータ等)によって軸心周りに回転可能に構成されている。
【0045】
支持部12は、円盤状のベース本体13と、ベース本体13の周縁部に沿って上方に延びる外周壁部14と、外周壁部14の内側においてベース本体13から上方に突出した中央突出部15とを有している。
【0046】
図7に示すように、上面視で、外周壁部14は、ベース本体13の周縁部の半周に対応して円弧状に形成されており、円弧状に延びる延在方向の中間位置を挟んだ両側に位置する第1外周壁部14Aと第2外周壁部14Bとに2分割されている。第1外周壁部14Aと第2外周壁部14Bとの間には、上方に延びるガイドピン16が設けられている。
【0047】
ガイドピン16は、第1外周壁部14Aと第2外周壁部14Bとの間から、ベース本体13の径方向内側に延びて中央突出部15の側面に至っている。ガイドピン16の頂部は、上方に向かって先細りとなるように面取り状に形成されている。
【0048】
上面視で、中央突出部15は、ベース本体13の径方向中央部から、ガイドピン16とは反対側に位置するベース本体13の周縁部まで延びている。中央突出部15の上面における外周縁部のうち反ガイドピン16側の端部を除く部分には、面取りが施されている。
【0049】
中央突出部15の上面には下方に凹設された凹部17が形成されている。凹部17は、ベース本体13の径方向中央部に位置しており、上面視において、中央突出部15の延在方向に縦長となる矩形状に形成されており、4隅には隅Rが設けられている。凹部17の上端の開口縁部には、全周にわたって面取りが施されている。凹部17は、長手方向に対向する一対の長手方向端面17aと、短手方向に対向する一対の短手方向端面17bとを有している。
【0050】
中央突出部15の反ガイドピン16側の端部には、ベース本体13の周縁部に沿って上方に延びる第3外周壁部18が形成されている。第1〜第3外周壁部14A,14B,18は、それぞれ頂部が同じ高さ位置に形成されており、該頂部にはベース本体13の径方向内側に面取りが施されている。
【0051】
ここで、第1及び第2外周壁部14A,14B及び中央突出部15は、第1防振マウント50の外周突部58に対応して形成されている。一方、凹部17は、第2防振マウント60の金具突部64に対応して形成されている。これによって、共通のマウント支持部10に対して、第1及び第2防振マウント50,60を支持できるようになっている。
【0052】
図8には、第1防振マウント50がマウント支持部10に支持されている状態が示されている。
図8に示すように、第1防振マウント50は、マウント支持部10に支持された状態で、外周突部58が、第1及び第2外周壁部14A,14Bによって径方向に支持されており、外周突部58に形成された切り欠き部59にガイドピン16が下方から係合している。また、外周突部58の下端部が、ベース本体13の上面に着座している。
【0053】
図9は、マウント支持部10の上面図に対して、第1防振マウント50の外側突部58の横断面図が併せて示されている。
図9に示すように、上面視において、第1及び第2外周壁部14A,14Bの内壁が外周突部58の外壁に沿って形成されており、中央突出部15の外壁が外周突部58の内壁に沿って形成されている。すなわち、第1及び第2外周壁部14A,14Bと中央突出部15とは、外周突部58を内壁側及び外壁側の両側から支持する一対の支持壁部を構成している。
【0054】
さらに、
図9におけるX部拡大図に示すように、第1及び第2外周壁部14A,14Bと中央突出部15との間の隙間T1が、外周突部58の厚みT2よりも大きく形成されている。これによって、外周突部58を、第1及び第2外周壁部14A,14Bと中央突出部15との間に上方から差し込み可能に構成されている。なお、隙間T1と厚みT2との差は、第1外周壁部14A側の隙間及び第2外周壁部14B側の隙間の両方を合計して、略1mmに設定されている。
【0055】
すなわち、第1防振マウント50は、第1及び第2外周壁部14A,14Bと中央突出部15との間に、外周突部58を上方から挿入すると共に、外周突部58に形成された切り欠き部59にガイドピン16を係合させることによって、マウント支持部10により回転方向の回り止めを構成しつつ支持されている。また、回動ロッド11を回転させた場合に作用する遠心力による第1防振マウント50の脱落が、第1及び第2外周壁部14A,14Bによって防止されている。
【0056】
なお、第1防振マウント50がマウント支持部10に支持された状態で、第3外周壁部18は、外周突部58のU字状開口部側の内側に位置している。
【0057】
一方、
図10には、第2防振マウント60がマウント支持部10に支持されている状態が示されている。
図10に示すように、第2防振マウント60は、マウント支持部10に支持された状態で、弾性基体63の下部が、第1〜第3外周壁部14A,14B,18によって径方向に支持されている。また、図示は省略するが、金具突部64の下端部が凹部17の底部に着座している。
【0058】
図11は、マウント支持部10の上面図に対して、第2防振マウント60の金具突部64の横断面図が併せて示されている。
図11に示すように、上面視において、凹部17の内側に金具突部64が嵌合されている。
【0059】
図11におけるY部拡大図に示すように、具体的には、凹部17の内側に、二面幅加工された金具突部64が上面視における長手方向を、凹部17の長手方向に一致して嵌合されている。したがって、凹部17の一対の長手方向端面17aそれぞれに、金具突部64の一対の円弧部64aが対向して位置しており、一対の短手方向端面17bそれぞれに、金具突部64の一対の平坦部64bが対向して位置している。
【0060】
凹部17と金具突部64間のガタ(隙間)は、短手方向が長手方向よりも小さく設定されている。例えば、凹部17の一対の長手方向端面17a間の長さL1と金具突部64の一対の円弧部64a間の外幅W1(すなわち円弧部64aの外径)との差は、0.4mm以上0.6mm以下に設定されている。また、凹部17の一対の短手方向端面17b間の長さL2と金具突部64の一対の平坦部64b間の外幅W2との差は、0.2mm以下に設定されている。
【0061】
すなわち、第2防振マウント60は、金具突部64を凹部17に嵌合させることによって、マウント支持部10により回転方向の回り止めを構成しつつ支持されている。また、回動ロッド11を回転させた場合に作用する遠心力による第2防止マウント60の脱落が、第1〜第3外周壁部14A,14B,18によって防止されている。
【0062】
上記説明したマウント支持部10を有する塗装装置1によれば、次のような効果が得られる。
【0063】
(1)第1防振マウント50は、外周突部58がマウント支持部10の第1及び第2外周壁部14A,14B及び中央突出部15によって支持される。一方、第2防振マウント60は、金具突部64がマウント支持部10の凹部17に嵌合される。したがって、第2取付金具52,62の構成が異なる、第1防振マウント50及び第2防振マウント60を、共通のマウント支持部10によって支持できる。これによって、防振マウントの塗装装置1において、マウント支持部10の段替えをすることなく、第1及び第2防振マウント50,60の第1金具51,61に塗装できるので、生産性が向上する。
【0064】
(2)第1及び第2防振マウント50,60それぞれに、マウント支持部10を設ける必要がないので、マウント支持部10の類別を減らすことができ、マウント支持部10を製作するのに要する費用を低減できる。
【0065】
(3)第1防振マウント50がマウント支持部10に支持された状態で、切り欠き部59にガイドピン16が係合することによって、第1防振マウント50のマウント支持部10に対する回転方向における位置決め(又は回り止め)が構成される。これによって、マウント支持部10を回転させながら塗装するときに、第1防振マウント50をマウント支持部10と共に安定して回転させることができるので、むらなく塗装できる。
【0066】
(4)外表面がゴム部材で構成されており、相対的に表面における摩擦抵抗が大きくなりやすい外周突部58については、対応する第1及び第2外周壁部14A,14Bと中央突出部15との間の隙間T1を相対的に大きく設定することによって、外周突部58との接触が抑制されるので、外周突部58の組み付け性を確保しやすい。また、第1防振マウント50の外周側に位置する外周壁部58が、第1及び第2外周壁部14A,14Bと中央突出部15とによって支持されるので、両者の隙間を相対的に大きくしてもガタつきを抑制しやすい。
【0067】
一方、外表面が金属で構成されており、相対的に表面における摩擦抵抗が小さい金具突部64については、対応する凹部17との間の隙間を相対的に小さく設定しても組み付け性を確保しやすい。さらに、両者の隙間を相対的に小さくすることによって、第2防振マウント60をマウント支持部10にガタつきを抑制しつつ支持できる。
【0068】
したがって、ガタつきが相対的に大きくなりにくい外側に位置する外周突部58に対しては隙間を相対的に大きく設定する一方で、ガタつきが相対的に大きくなりやすい内側に位置する金具突部64に対しては隙間を相対的に小さく設定し、隙間が大きく設定された外周突部58については外表面をゴム部材で構成でき、隙間が小さく設定された金具突部について外表面を金属で構成できる。
【0069】
(5)第2防振マウント60がマウント支持部10に支持された状態で、非円形である金具突部64と凹部17とが嵌合することによって、第2防振マウント60のマウント支持部10対する回転方向における位置決め(又は回り止め)が構成される。これによって、マウント支持部10を回転させながら塗装するときに、第2防振マウント60をマウント支持部10と共に回転させることができるので、むらなく塗装できる。
【0070】
(6)上面視で、凹部17の長手方向端面17aに金具突部64の円弧部64aを対応して位置させると共に、短手方向端面17bに金具突部64の平坦部64bを対応して位置させ、さらに凹部17と金具突部64間の短手方向における隙間が、長手方向における隙間よりも小さく設定されている。これによって、金具突部64の凹部17に対するガタつきがより抑制される。
【0071】
上記実施形態では、液室に液体が封入された液封防振マウントを例にとって説明したがこれに限らない。すなわち、液体が封入されていないマウント部材の取付金具を塗装する場合にも本発明を適用できる。
【0072】
上記実施形態では、第1取付金具51,61の形状が概ね同一であり、第2取付金具52,62の形状が異なる、第1及び第2防振マウント50,60を例にとって説明したがこれに限らない。すなわち、第2取付金具52,62が上記実施形態で説明した形状に構成されている限り、第1取付金具51,61の形状が異なる第1及び第2防振マウントにも適用することができる。
【0073】
なお、本発明は、上記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。